相場一口コメント −炎のファンドマネージャー−
 1999/11/16(火)発行分
 相場の二極化が際立ち、陽の銘柄と陰の銘柄で運用成果が明らかに異なってきた。この流れは一体いつまで続くのか。投資家の心理には戸惑いが付きまとい、下げ続ける株を投げてしまう衝動に駆られることになる。結果を見て投げておいて良かったと思う方も、売却してできた資金を何に投資するかは迷ってしまう。

 陽の銘柄群へ今更投資するのも癪だし、さりとて下げ続ける陰の銘柄に改めて投資しようという気にはなれない。相場の方向性が国家を挙げて情報通信やベンチャー的成長の芽をもった企業に向いている為、陽の銘柄は途方もない天文学的なPERで買われても、時価総額極大化経営の名の下に正当化され、打ち消されてしまってはまともなモノサシでは判断できない。所詮、バブルとはそんなもの。


 ただ、このバブルと思しき現象は未来の夢、現実の収益向上によってバブルではなくなるから難しい。すべての企業が抱く夢が現実のものとなるかは判らない。
 今やベンチャーのリスクが低く、安定した老舗企業の方がリスクが高いと投資家は評価し始めているに違いない。市場参加者も旧勢力と新勢力に分かれて綱の引き合いをやっているようなもの。こうした状況が毎日、毎日繰り返されて今のような二極化が未来永劫に続いていく。でも果たしてどこまで続いていくのか。

 その答えは陽の銘柄についてはNY株の動向が鍵を握る。既に陽の銘柄群は日経平均で言うと4万円以上の水準になっている。逆に陰の銘柄群は日経平均で言うと1万円の水準なのかも知れない。こうした二極化によって、陽の銘柄は訳も無く突然の大きな下げに襲われたり、陰の銘柄は長らくの下げトレンドに終止符を打つかのように突然の大きな上昇が発生する。

 こうした一時的にしろ大逆転の可能性を秘めながら年末相場を迎えようとしている。ここではそれぞれが冷静に判断し、長期的スタンスから割安銘柄を見つけていく努力が必要だ。PER10倍割れ、3%前後の高い配当利回り銘柄など、過去の歴史の中で証明してくれた効率的な運用成果をもたらす割安銘柄への投資チャンスは徐々に高まっていると言えないだろうか。

(日本証券アナリスト協会検定会員)


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