情報通信関連株とリスク −炎のファンドマネージャー−
 1999/11/30(火)発行分
 今年も残すところあと僅か。ベンチャー型の情報通信関連株への投資によって、大きな成果を収められた投資家にとっては最高の1年であったかと思いますが、そうでない投資家にとっては、不満の残る年の瀬かも知れない。

 今年最大の投資テーマであった、インターネット関連を始めとした情報通信関連株は、それぞれが途方もない上昇を示したことはご存知の通り。単純にソフトバンク株を年初6700円で100株投資した方が持ち続けたとして、11月26日の高値で計算すると、67万円が765万円にもなっているのだから驚きである。この間、ソフトバンクの業績が飛躍的に伸びたかと言うと、内外インターネット関連企業の含み益のみが拡大しただけで、言わばベンチャーキャピタルとしての評価がなされたとしか言いようがない。当然時価総額は7000億円から8兆円を上回る規模に拡大。孫社長は今や日本のビル・ゲイツとなろうとしているが、ここからの経営手腕が更に注目されることになろう。

 これに続けとばかり、光通信など情報通信関連企業は市場からの信任をとりつけ、株価の上昇傾向を強めている。こうした流れは来年にも引き継がれていくことになるが、投資リスクも高まっていくことになる。

 情報通信関連株の上げは米国株、とりわけNASDAQの上昇が前提になっている。米国のネット関連株が波乱を示せば日本株にも多大な影響を及ぼすに違いない。
今のところ、多くの投資家が浮かれたようにネット関連株に資金を振り向け、多大なキャピタルゲインを得ているようだが、利益の出ていない企業への投資は、キャピタルゲインのみが頼りになるため、株価上昇の構図が壊れた時に雪崩を打って、株価の下落が始まる危険性もある。

 リスクの分散という観点からは、時に市場から見放されてきた銘柄群にも目を向ける必要があろう。

(日本証券アナリスト協会検定会員)


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