No.
日付
タイトル
執筆者
21
2001/07/31
日本株展望
大原部長
20
2001/07/31
相場のトレンドを読むときに役立つ投資の法則
大原部長
19
2001/07/31
今日のまえがき
大原部長
18
2001/07/30
単位株変更銘柄を狙え!!
炎のファンドマネジャー
17
2001/07/30
頑張れ!!億ゼミ・アナリスト
炎のファンドマネジャー
16
2001/07/30
何をもたもたしているのか、急げ!!証券税制改革
炎のファンドマネジャー
15
2001/07/27
市場の分断と統合
生涯遊人
14
2001/07/27
自己紹介と億近との係わり
駄洒落商会会長
13
2001/07/26
半端でない技術を誇る中小企業の集まり…
日本ガイシ(5333)
両津勘吉
12
2001/07/24
2度目の自己紹介と運用の秘訣
大原部長
11
2001/07/23
株主優待制度をうまく活用しよう!!
炎のファンドマネジャー
10
2001/07/19
新体制挨拶とチョコラルスキー法
両津勘吉
9
2001/07/19
オークネット(9669)見学記
生涯遊人
8
2001/07/18
土地本位制から特許・知的所有権本位制へ
炎のファンドマネジャー
7
2001/07/17
大原自己紹介と億ゼミ参加者新規募集要綱
大原部長
6
2001/07/16
エクセレントカンパニー20社
炎のファンドマネージャー
5
2001/07/16
自分で投資スタンスを決めよう
炎のファンドマネージャー
4
2001/07/12
提言:IRの新潮流
炎のファンドマネージャー
3
2001/07/09
コラム3連発
炎のファンドマネージャー
2
2001/07/05
電子部品セクター見通し−売りから中立へ一歩前進
大原部長
1
2001/07/02
今週の相場展望について
炎のファンドマネージャー

21
2001/07/31 日本株展望
大原部長
 

 2001年の半導体生産額は30%を超えるマイナス成長。目下、史上最悪の半導体不況です。
 携帯電話、パソコンが全滅の状態で、積みあがった製品在庫の水準がなかなか下がってきません。
 4−6月期の決算は、米国、欧州、日本、そしてアジアの代表的なハイテク企業において著しい不振を示し、投資家心理を一層暗くしています。
 ナスダックが再び2000ポイント割れ、日経平均が12000円割れ。バブル後最安値を連日更新しようかというさえない展開となっています。

 これから世界経済は長い不況のトンネルに入るのか、それとも景気は落ち着きを取り戻すのか、判断は非常に難しいところです。
 このまま株安が続けば消費者心理が一段と冷え込み、それが企業業績をさらに悪化させるという悪循環。まさに瀬戸際です。

運用方針は、したがって、

1)景気の悪いときに、次回の拡大期に向けて予断なくしっかりと準備している「準備ばっちり企業」、2)コスト競争力で他を圧倒するため、他社に比べて、業績の落ち込みが軽い企業(「強い企業」)への投資を継続する予定です。

1)を説明します。
 景気の悪いときは、基本的に暇になります。暇なとき、なにをするかで勝負は決まります。暇なとき、ボーとしていてなにもしない、なにもできない。そういう企業が残念ながら多い。
 日本の企業は、半導体悪い→投資凍結=なにもしない。
 欧米企業は、半導体悪い → 投資のチャンス!です。

 市況が悪いとき、半導体製造装置の値段は1/3になる。馬鹿みたいですね。半値以下で買えるのにそういうときに買わない。
 実は、暇なときこそ、徹底的に生産性を高めるチャンスです。忙しいときはなかなか勉強する時間もありません。暇なとき、じっくりいろいろなことを試す組織は強い。

 よい経営者は、次の景気拡大期で市場を完全に制覇する心意気をもって会社を運営しています。景気が悪いとき、暇なときが本当の勝負なんです。1)の「準備ばっちり」な企業は2)の「強い企業」でもあり、1)に当てはまらない準備不足の会社のほとんどは、2)の「強い企業」ではありません。なぜなら、1)の準備ばっちりで、努力を継続している企業が、最終的に2)の「強い企業」となっていくからです。

 強い企業は、不況を乗り越えるたびに強くなる傾向があります。不況を経験するたびにシェアが上がっていく。

 具体的には、ファーストリテーリング(9983)、日本ファウンドリー(6939)などコスト競争力と経営力を兼ね備えた企業群への投資を継続していく方針です。
 セクターウエイトについては、秋から冬にかけて、いま極端に落としていたハイテクのウエートを徐々に高めていければいいなあと思っています。(村田もロームも京セラも松下通信もNECも東芝も東京エレクやアドバンも全然持っていないのはうちぐらいじゃないか。2001年前半クレイフィンレイのアウトパフォームの要因は、ハイテク外しの決断だったが、たまたま運がよかった。)

 2002年は、サッカーワールドカップや冬季オリンピックが開催されます。消費者心理は若干改善するでしょう。パソコンはXPなどのネット機能が充実したOSが出てきます。このOSはメモリーを本当にたくさん消費します。半導体需要は盛り上がるはずです。そして、家庭におけるインターネットの通信速度なども日に日に改善されつつあります。一方、半導体、液晶などの電子部材の価格も大きく調整しました。15万円のノートブック・パソコンや10万円台の18インチ液晶テレビなどが今年のクリスマスを賑わすと見ております。安くて思わず買いたくなってしまう商品が目白押し! これが今年のクリスマスになるかもしれない。

 ただ、世界的には、景気減速感が強いので、回復基調となるのは、どうしても来年の2Qと見ています。それまで相場は、一進一退でしょう。向こう1年はハイテクは駄目な可能性もある。
 向こう1年半から2年見れば、ハイテクで勝てるだろう。

 明るい兆しもあります。PCの新OSや通信インフラの整備、部品価格下落による製品価格の低下を見れば、需要が喚起される環境は整ってきています。

 弱気相場から強気相場への転換点は静かにやってくるものです。 来年春から夏は相場の転換期。そう思える支援材料が増えてきています。
 この夏、悪いニュースを運ぶゴキブリが、大量に発生しました。ゴキブリホイホイが欠かせません。

 よいニュースを運んでいるゴキブリは、いつ頃、見つかるでしょうか?秋口からちらほら見つかるでしょう!(大原)

 

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20
2001/07/31 相場のトレンドを読むときに役立つ投資の法則
大原部長
 

【ゴキブリの法則】

「家で、ゴキちゃんを1匹でも見かけると、実は200匹は隠れているらしい!」(ゴキブリの法則)

 相場のトレンドを読むとき、この「ゴキブリの定理」が活用できます。
 よい相場のが続いているときに、片隅で悪いニュースが小さくでている。最初は、みんな無視する。「たいしたことないよ」といって。
 でも、【ゴキブリの法則】によれば、次々と悪いニュースが出てくることが予想される。また、ここにもいた! あそこにもいた! という具合です。

 逆もあり。
 弱気相場で悲観論が蔓延。みんなが落ち込んでいるとき。片隅に、ちらっとよいニュースがでている。でも、また同じ。なんだ、「たいしたことないよ」となります。でも、その後、そういう「よいニュース」が散見されるようになり、最後はよいニュースだらけになる。

【トレンド継続の法則】

「トレンドはみんなが思っているより長く続く」(トレンド継続の法則)。

 景気がよくなったとします。もう悪くなるだろうと思っても、なかなか悪くなりません。
 景気が悪くなる。そろそろよくなるだろうと思ってもなかなかよくならない。
 ハイテク株が下落する。もう反発するだろうと思っても、なかなかしない。どうしてだかわかりますか?

 二者択一で考えてしまうからです。悪いの反対はよい。よいの反対は悪い。よくなり悪くなる。悪くなりよくなる。世の中、二択なんてものは存在しない。実際は、悪い状態にいろいろあります。たとえば、ここが悪いここがより悪くなって、あそこがちょっと悪くなっているここが悪いが、あそこはまあまあここと、ここと、ここと、あっちと、あっちと、あっち、みんなまあまあだが、ここだけは特別に悪い。

 株だけじゃなくて、なんでも、なにか計画するとき、2通りだけパターンじゃなくて、4つとか5つのパターンを考えたほうがよい。

【ゴキブリの法則】Χ【トレンド継続の法則】→スタンス不変の薦め

 悪いニュースがひとつ出たら、ゴキちゃんのように、影には多くの悪材料が隠されているということ。
 ひとつ見かけちゃったら、今後、山のように悪いニュースがくる日もくる日もくる。くるくるくる。これでもかというほどくる。いつまでもいつまでも続くかのようにくる。

 結論は、「すぐに逆バリしないこと」。「すぐに戦略を変えないこと」。

 これを実践できているのが、最近のドイツ証券でしょうね。ドイツの佐藤さんは「弱気相場は続く」と見ている。
 「いつかはよくなるんだから」といって、下げトレンドを無視して、押し目でハイテクを買っていった個人は今のところやられています。
 日東電工大幅減益、松下通信赤字転落、富士通赤字転落、ソニー実質営業赤字転落と悪いニュースの真っ盛りである。

 トレンドはしぶとい。下がれば、いつかは買い。そりゃそうだ!でも、そのいつかはいつなのか? 1年後、2年後だったら??

 買いは、あせらないことです。相場のトレンドについてのご意見、ご質問を「億近」無料掲示板http://club.lycos.co.jp/club.asp?cid=l0600001にてお待ち申し上げています。

以上、トレンドのお話でした。(大原)

 

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19
2001/07/31 今日のまえがき
大原部長
 

 大原です。

 松下通信の赤字すごかったですね。携帯といえば、億ゼミの彼岸先生がライバル企業で携帯開発を担当しています。先生はいつもNECの特許で頭を悩ませているようです。

 NECの2つ折りたたみの携帯。出た当時、NECの方が自信を持って言っていました。「2つ折りって、技術的には難しいんですよ。はっはっは!」と思わず勝利宣言。
 それから2年も経たない。それなのに国内の勢力図はとんでもなく変わってしまう。市場は恐ろしいところだ。

 NEC。実はとんでもない特許が各社を悩ませている。ICの配置である。NECは2つ折りに携帯を設計する場合、ここに、こういう機能のICを配置するんですよという特許を抑えている。
 「そんなのありかよ!」と彼岸先生。特許は回避できるのか。答えは保留します。構造や形状に特許が認められると基本的な特許として威力を発揮します。

 一方、丁度1年半前、ニッセイアセットのファンドマネージャー(FM)の〇〇さん、わたしとある工場見学会でタクシーで同席した際、どういう株を持っているのかしつこく聞いてくる。

わたし 「日立もNECも富士通も東芝ももっていないんです」
ニッセイFM 「優秀じゃん!なにもっているの?」
わたし  「部品会社をたくさんもっています」
ニッセイ 「ますます優秀じゃん!ところで松下通信は?」
わたし  「興味がもてなくて、松下通信はもってないです」
ニッセイ 「だめじゃん!優秀さがちょっと後退かな?」

 この人、いつも聞くだけで、自分のこと話さないんだもん。もう、とっくに売っていると思うけど、ちょっと心配になってしまう....

 ソニー。暴落。買いのレーティングの証券会社のアナリスト19人のうち、数人は暴落後に格下げ。証券会社のレーティングって、ちょっと迷惑かな。

 古河電工。底入れ。最後まで信念を貫きとおしたのは両津さんと麗子さんと長井さんぐらいじゃないですか?この人たち、下がれば下がるほど、どんどん強気になった。えらい。

 それにしても、モルガンスタンレーのアナリスト長井さんは好きだ。長井さんとは3年前、一緒にタイの工場見学に行きました。
 忙しい方です。夜わたしが一人でバンコクを出歩いて遊んでいるのに、一人ホテルに残りファックスの山と格闘していた。
 夜、ある会社の現地法人の社長連中と飲んで、長井さんと私は「設備投資中途半端にやるんじゃない!やるならとことんやろう!」ととんでもないことをいっていた。
 長井さんとわたしは、ある大手企業の経営企画担当の方に会って、「こういう会社に変わりなさい!」と説教。とんでもないことを言っていた。
 長井さん、わたしを利用したでしょう!こいつに言わせれば、なんでも言うと思って!!

 さて、ゼミ彼岸先生のNEC携帯特許の解説が読みたい方は、クラブライコス「億近」メイン掲示板(無料)の#127「彼岸先生がNECの特許を解説してくれました!!!」を参照してください。http://club.lycos.co.jp/club.asp?cid=l0600001(大原)

 

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18
2001/07/30 単位株変更銘柄を狙え!!
炎のファンドマネージャー
 

 8月1日から76もの銘柄が一気に単位株を変更する。

 単位株の変更というのは、これまで1000株単位で売買していた銘柄が500株とか100株で売買が可能となることから、1回当たりの投資額が小さくなるため、零細投資家の参入が容易となり、投資家の裾野が広がってくる点で注目されるのである。

 例えば1000万円もっている人は、株価10000円の銘柄だと1000株しか買えないので、値下がりリスクに対応できず、投資に躊躇することになるが、これが100株単位であれば、買いつけ株数を100株の倍数とすれば時間分散しながら買いつけすることができるため、売買手法に幅ができることになる。

 私が時々主張する小額資金によるポートフォリオ運用も、こうした単位株の変更によって、はじめて成り立つことになる。
 今回の単位株変更銘柄は以下の通りだが、これらをうまく組み合わせて皆様もポートフォリオを構築してみてください。

 既に株価が高くなっている銘柄もありますが、意外と安くなってきている銘柄もあります。私なりのポートフォリオを組んでみましたので参考になさって下さい。今回はトヨタ系3社が変更しますし、あの東北パイオニアが変更です。これで個人も買い易くなりました。

<8月1日からの単位株変更銘柄(コード順)>

スルガコーポ(1880) 岩塚製菓(2221) ジャパンF(2599・500株) インターニックス(2657) オートウェーブ(2666)
ITC(2670) カゴメ(2811) 焼津水産(2812) 信越化(4063) 日立化(4217)
エイジス(4659・200株) ニッポン放送(4660・500株) ワタベ(4696) もしもしH(4708・50株) パソナソフトBK(4721)
サクラKCS(4761) KCE東京(4780) セントラルSP(4801) 東映アニメ(4816) 鶴弥(5386・500株)
豊田織機(6201) ロキテクノ(6296) NECマシナリー(6344・500株) 昭和真空(6384) オーイズミ(6428)
駿河精機(6468) エネサーブ(6519) 日東工(6651) ミツミ(6767) パイオニア(6773)
日本トリム(6788) パトライト(6825) 東北パイオニア(6827) シメオ精密(6828) アオイ電子(6832)
SUNX(6860) フェローテック(6890) デンソー(6902) 双信電(6938) フクダ電(6960)
武蔵精密(7220) 今仙電機(7266) ホンダ(7267) 安永(7271・500株) 豊田合成(7282)
FCC(7296) アトム(7412) 高速(7504) ムサシ(7521・500株) 丸文(7537)
幸楽苑(7554・500株) 橋本総業(7570) 共信テクノ(7574) トップカルチャー(7640) バンプレスト(7854)
セキ(7857) 小松ウォール(7949) リョーサン(8140) 加賀電(8154) 東洋物(8249)
デンコードー(8290・500株) 武富士(8564・10株) グローバリー(8745) エイブル(8872) ハマキョウ(9037)
ニッコウトラベル(9373) 軽貨急配(9374) 近鉄エクス(9375) 新日ガス(9542・500株) アイネット(9600・500株)
CRC総研(9660) 両毛システム(9691・500株) 元気寿司(9828) ユーエスシー(9844) 都築電サービス(9884)
ギガス(9921)
*500株、200株、50株以外はすべて100株

 


【参考:炎の300万円ポートフォリオ】

1.1、2部主力銘柄を中心に5銘柄で構成

銘柄
コメント
時価
株数
金額
カゴメ(2811) トマト加工の最大手。野菜生活は体にいい。ハインツとの提携で株価アップ。
1165円
400
47万円
信越化(4063) 半導体シリコンの300ミリ化に期待、シリコン樹脂の世界的メーカー。
4160円
100
42万円
豊田織機(6201) トヨタ本家、液晶事業に投資
2450円
200
49万円
デンソー(6902) 世界4位の自動車部品メーカー
2255円
200
45万円
東北パイオニア(6827) 有機ELの最先端企業
2600円
300
78万円
投資額合計  261万円

 

2.小型5銘柄で構成

銘柄
コメント
時価
株数
金額
焼津水産(2812) バイオ関連技術を有すR&D型企業
1680円
300
51万円
オートウェーブ(2666) 千葉県を主体とした自動車用品小売業
1300円
400
52万円
オーイズミ(6428) パチンコホール向け中心の自動サービス機器会社
1590円
400
64万円
小松ウォール(7949) 間仕切り2位、オフィス向けが堅調で業績底堅い
1234円
400
49万円
パトライト(6825) パトカーなどの回転灯、表示灯で国内シェア7割
1340円
300
41万円
投資額合計  257万円

*時価は7月30日前場段階

 

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17
2001/07/30 頑張れ!!億ゼミ・アナリスト
炎のファンドマネージャー
 

 =成長企業や成長ビジネスを探す活動が証券アナリストの真骨頂=

 相場低迷の折ではありますが、株式市場において投資魅力を高める努力は、市場の内外で続けられております。
 億の近道もその一端を担っていることに誇りを持っております。

 証券界でも様々な活動を続けているかと思いますが、営利団体の活動では限界がありますので、彼らは組織として証券広報センターという中立的な活動を行う主体を通じて活動しています。ただ、いかんせん予算消化型のお役所仕事的な対応が常だというのが残念でなりません。学校での啓蒙活動は証券広報センターなどで続けられておりますが、やっと入り口に立ったと言ったところです。現在の努力を重ねて、やっと10年先に成果が見えてくる世界ではないでしょうか?

 結果として株式市場の啓蒙活動を担ってきた、アナリストという専門職について言うと、その肩書きをもった活動従事者は極めて限定されています。
 中立的な立場に立って企業を見ながら、投資判断ができる一般投資家向けの経験豊富なアナリストの数は潜在的には増加しているかとは思いますが、検定アナリスト制度がかえって邪魔してしまい、検定アナリストの数は1万人以上と揃ってきたと言っても、本当に企業訪問などを絡めた活動に従事し、投資家にその成果をアピールして食べていける方は限定されています。

 事業としての成立は、大きな活動資金がないと難しいのが現状ではないでしょうか?
 マンパワーが不足する中において、全ての企業を細かくチェックしながら投資に値する企業を見出す活動がきちんとできていないのが現状だと感じております。

 各証券会社や投資顧問会社、投資信託会社などの優秀なアナリストやファンドマネジャーは、専門分野や長年担当してきた企業のことはかなり詳しく大局的なコメントが可能ですが、年令が上になっていくに連れて、時代の変化についていけなくなるし、あくまで彼らの意見は所属企業のためにしか存在しないのであるから、一般投資家にとっての有益な情報を見出す可能性は小さいと言っても良いでしょう。

 外資系アナリストは、誰が決めたかわからないが5年先の企業業績を提示し、アピールすることが常。でも現在の経済環境は、そうした中期展望を悠長に行えない状況にしています。
 企業と同様に、アナリストも自信をもって未来を示せず、誰でも考えるような自己保身的なコメントしか出せない格好なのではないでしょうか。
 このことは私も含めて反省しないといけません。この点については後日、また改めて述べるとして、ある意味では皆様一人一人がアナリストとして活動することがこれから先、重要になってくるのでないかと思います。

 ここに来て、億近ゼミに対する関心が高まり、多くの読者がプロを上回る卓越したコメント、レポートが出せるようになってきたことを嬉しく感じております。

 ある一定のサイクルを描く産業の特徴をつかみ、循環的な視点でアピールするもよし、新たな成長分野を見出し、それに対して先行優位に立つ企業の将来を自分なりに見出してアピールするもよし。技術を詳しく調べ、そこから得られた結論を語るもよし。財務分析を徹底的に行い、企業の効率性からアピールするもよし。様々な観点からそれぞれの判断を下し、投資家にアピールすることが必要です。

 因みに私は、次の成長企業を見出すことが証券アナリストの真骨頂と考えております。目先のリスクを恐れず、将来の成長に対して積極的に組みしてくれる資金の出し手に、アナリストは大いにアピールすべきでしょう。

 大原部長、両津氏が、目先より中・長期的視点でアナリスト活動を続けていることは億近ゼミに集う皆さんにとっても十分理解されておられるものと思います。

 暑い最中で申し訳ありませんが、億近ゼミ生の今後の熱いメッセージを期待しております。(炎)

 

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16
2001/07/30 何をもたもたしているのか、急げ!!証券税制改革
炎のファンドマネージャー
 

 先日私は小泉メールマガジンに対して政策提言をしておきました。先日皆様に紹介しておきました、インカムゲイン重視の投資スタンスを裾野の広い投資家層に大いに啓蒙し、また株式発行企業にも自社株買いも含めて、そうした投資家への配当による利益の還元を心掛けてもらうことで、株式市場へ自然に資金が集まるようにしようとの提言でした。

 その後、偶然にも政策当局者から証券税制についてのヒヤリングも受けましたが、彼らも相当に意識を持ってはいるようですが、スピードが遅い点に苦言を呈しておきました。

 証券税制改革には、キャピタルゲイン課税の申告方法の見直しと税率の見直しがメインの議論となっております。私はそのヒアリングで配当課税の見直し、つまり配当二重課税の廃止を主張しました。

 既に企業が払った税金の残りから拠出される配当に、また20%の税金をかけるというのは、諸外国では当然のことと説明されても私には解せないのです。
 企業と投資家は一体であり、この20%の配当に対する課税を撤廃することで、配当が現状維持として配当利回りという投資価値は20%も上がることになります。

 企業は投資家に払う配当に20%も課税されることから、敢えて配当を増やそうとしない高収益のところもあるかと思います。配当性向が10%以下という企業には投資家に満足してもらえない分、成長性で応えるという理屈を言うところもありますが、企業に配当性向を30%程度にして配当率を高めてもらうためには、配当の二重課税をなくすことが近道ではないでしょうか。

 全体相場が低迷する中で、消去法で投資対象として選択された電力株が上昇傾向を辿ってきましたが、こうした流れは配当重視の現われと見て良いでしょう。

 キャピタルゲイン重視からインカムゲイン重視で構造改革の痛みを乗り切る政策を断行していけば、株式市場は一定の評価をしてくれるに違いありません。皆さんだって、銀行や郵便局に0%台の金利で預けておくような愚をいつまでも続けておかれることはないと思いますが、いかがでしょうか。(炎)

 

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15
2001/07/27 市場の分断と統合
生涯遊人
 

 金曜日担当の生涯遊人です。

 ご存知のように、私は株式業務には携わっていないため、個別の株式については述べませんが、専門の為替を中心に、債券などの市場情報、またもっと広く経済全般について、情報を届けていきたいと思います。
 個別株の情報は、エキスパートの皆さんにお任せして、それ以外の分野で、皆さんの投資に役立つコンテンツを書いていくつもりです。
 金曜日は、駄洒落商会会長という強力な味方がいます。駄洒落さんともども金曜日の億近を盛り上げていきたいと思います。

 今回は、市場の分断と統合について少し書いてみたいと思います。

 電子取引がますます盛んになり、市場の形態が大きく変化しています。
 また、先週書いたオークネットという会社が(先月末に会社訪問をしてきました)この市場の統合に大きく貢献しているため、先週のレポートを補足する意味もあり、取り上げてみました。

 江戸時代、大商人紀伊国屋文座衛門が、紀州のみかんを江戸に運び大もうけしたという逸話がありますが(話の真偽はともかくとして)、これなどは市場が分断されていたからこそできる取引です。
 生産地と消費地の価格差が大きく、また価格の情報が消費者に届かない場合、中間業者は大儲けできます。今でいえば裁定取引といったところでしょうか。

 それぞれの市場ごとに、取引が成立している場合(市場が分断されている場合)、消費者あるいは投資家は、取引コストを大きく取られます。
 この市場の分断は、なにも江戸時代の話ではなく、つい最近までいたるところで散見されました。それは、取引の技術的な問題、規制、言語、カルテルなど様々な理由があります。

 為替のマーケットでいえば、7−8年前までは、人間が株式の場立ちのように、最終的な市場の需給を調整していましたが、いまでは85%は一つの取引システム(電子取引)で行われ、人間ブローカーのシェアは、わずか15%に激減してしまいました。
 これは、取引の迅速性、正確さなどが機械にたちうちできず、またコストが機械の方がかなり安いため、数年でシェアの逆転がおこりました。

 もともと金融商品は電子取引に適しており、債券、株式もいわゆる卸売市場は、ほとんどが電子化されてしまいました。
 いま電子化されていない市場は、シカゴの米国国債先物市場とニューヨークの株式市場ぐらいで(これらも米国が夜間の取引は電子化されています)、多数の人々が集まって売り買いしている様は、なかなか壮観ですが、ほとんど象徴的な意味しかありません。

 合理化と公平さを売り物にする米国の2大マーケットが、電子化しないというのも大変面白い現象ですが、人間が仲介するマーケットでは公平性と透明性の面でどうしても恣意性が入る分、電子マーケットに劣ります。

 たとえば米国債の先物マーケットでは、自分の出している買い値より下が出会っているのに、自分の買い注文が執行されないということがあります。
 それは電子取引に比べ、大量の注文をさばけない人間取引では、大量の取引をさばくために取引相手を探します。その過程で間の小さな買い注文を通り超して、大量に買ってくれる業者の注文が先についてしまいます。これは大量に買ってくれるお客に値引きするようなもので、人間がやっている以上しかたのないことかもしれません。

 そこに市場の分断がおこるわけで、市場の分断がおこれば、最終消費者や、小口の投資家はどうしても、大口の消費者や投資家に比べ不利になり、中間業者が、濡れ手に粟の儲けを得る場合もあります。

 電子取引により市場が統合され、金融機関も個人投資家もひとつのシステムで取引すれば価格の透明性は非常に高くなり、また規模の大小による不利益もなくなります。
 これが市場の統合におけるメリットです。

 この市場の統合をしようとしている企業に、オークネットという中古車の衛星オークションを運営している会社があります。
 中古車といえば、それこそ友人同士の売買など市場は分断され、無数に存在します。そのために中古車市場の価格の透明性は低く、質の善し悪しは素人にはわかりにくい部分があります。
 無数に存在するマーケットを、多くの中古車業者(信用のある)が参加することにより統合し、価格の透明性と商品の品質を維持することにより、中古車販売店の仕入れコストを削減し、ひいては消費者に利益をもたらすことに、この会社の社会的意義があります。

 このように分断された市場が統合されていく過程で、中間業者の利益の減少、独占による弊害などが考えられますが、概して最終消費者は利益を得る傾向にあります。(生涯)

 

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14
2001/07/27 自己紹介と億近との係わり
駄洒落商会会長
 

 読者の皆さん、こんにちわ。
 金曜日の担当、駄洒落商会会長です。

 新しいシステムでお届けするようになってから、各執筆陣の張り切りようは、たいへんなものですね。今後の展開、大いに期待してください。

 さて、私も少し「自己紹介」をさせていただきます。

 まず、「駄洒落商会会長」名の由来ですが、名付け親は両津さんです。日頃(特に酩酊時)、寒いダジャレを連発する悪癖があるところから、命名されたのでしょう。特に、センスが良いわけではありません。
 火曜日担当の大原さんが、「運用は運よ」とのたもうておられましたが、似たようなレベルです。

 「億近」執筆陣との出会いですが、私が証券会社の国際営業部のセールス担当として、在京海外機関投資家の開拓に従事していた際、中小型株ファンドマネジャーとして名を馳せていた炎氏と出会ったことが発端です。
 その後、炎氏とは、有志による株式研究会でも偶然ご一緒するなどして親交が深まりました。

 「億近」に執筆を開始したきっかけは、炎氏を介して「酒友」となっていた両津さんが、あまりに熱心な執筆活動により体調を崩された際、リリーフ登板したことです。
 当時、既に「億近」は、「両津・大原」の二枚看板によるテクノロジーに特化した内容がプロの間でも高く評価されていましたから、リリーフはかなり勇気を要することでした。昨年の秋のことです。

 それから、1年になろうとしています。
 つらつらとわが身を振り返るに、やはり私はあくまで「助っ人」ですね。
 大原さんの献身による「億近」ゼミからは、優秀なアナリストが次々に輩出されようとしています。新たな執筆者がさらに増えてくれば、私の「助っ人」としての使命は終わるものと考えています。

 アナリストになるきっかけは、金融法人部在籍時に、証券アナリスト資格を取得したことです。特に、調査部志望ということでもなく、自己研鑽の一環でしたが、資格取得直後に調査部に配属され、現在に至っています。
 アナリストの実務は、資格取得の勉強とは別の次元です。しかし、「基礎的教養の取得」との意味合いでは、特に金融・証券界の20代の方には勉強してみることをお奨めしたいですね。

 また、証券会社が「資産管理営業」を強化した頃には、社内研修の講師を担当させられたことから、必要に迫られて日本FP協会のAFP、CFP資格を取得しました。もちろん、現在はFPとしての活動を行なっているわけではありませんが、テキストの監修などの仕事もしています。
 読者の方で、このあたりの勉強などでご相談がありましたら、ご質問下さい。

 本日はこんなところで。来週からまた、個別銘柄を含む充実した紙面をお送り出来るよう努力していきます。

 これから「コルトレーン・トリビュートライブ」を聴きに行ってきます。
 今年は生誕75周年だそうですね。(駄洒落)

 

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2001/07/26 半端でない技術を誇る中小企業の集まり…日本ガイシ(5333)
両津勘吉
 

 木曜日担当の両津です。

 億近発行プロジェクトテクノロジーチーム第1回目の本日は、セラミックハニカムの製造工程をお伝えし、2回目の来週は順序が逆さまになりますが、ハニカムテクノロジーについてお話させていただきます。

【半端でない技術を誇る中小企業の集まり・・・日本ガイシ】

 7月25日、新光証券エクイティ営業部主宰で、日本ガイシ(NGKI)の自動車排ガス浄化用セラミックハニカム工場の見学会が開催されている。読者の皆様にも、日本ガイシのハニカム工場の現状をお伝えしよう。
 工場はNGKI本社と道を一本挟んだ隣の敷地に隣接されている。

【ハニカムの製造工程】

 調合、混練、成形、乾燥、仕上げ、焼成、検査で終了となる。

【調合・混練】

 セラミックハニカムを製造するための原料は、大まかにカオリン、アルミナ、タルクの3種類。これらをタンクに入れ分級(粒を振り分ける)し、原料の割合を調合する。ここでこの調合割合によりハニカムの特性が決まるのだ。この調合が各社腕の見せ所である。

【成形】

 成形にはラム成形と連続成形の2つの方式を用いている。

 ラム成形は、従来タイプの厚壁ハニカムや大型のハニカム用に、連続成形は薄壁ハニカム用に用いられている。
 連続成形は3ラインで、もうすぐ1ライン導入する。世界で最も薄壁である2ミル(1ミル=約25ミクロン)の製造を連続成形で行っている。調合・混練し、水分を含むセラミックスを真空チャンバー内に引き出し(気泡を抜くという意味合いもある)、真空パイプを通じて金型に押し出してやる。金型を通過したセラミックスは、蜂の巣状(蜂の巣とは少し違いますが)の円筒状で押し出され、顧客の要求する長さにワイヤーカッティング(ワイヤー径は??ミクロン)される。日本ガイシの連続成形は2ミルタイプで25mm/秒(1.5m/分)の速度で押し出される。

 一方、ラム成形は混練したセラミックスを2−3m毎の長さにカットし、成形機に順に投入するタイプ。材料を投入し始めるたびに、その先端付近のセラミックスは不合格品が数多く発生する。しかし成形速度が連続成形の2ミルと比較し、速い。
 この速度はハニカムの壁の厚さに関係してくる。日本ガイシの場合、6ミルタイプで3秒に1個、4ミルで4秒に1個。壁が厚ければ70mm/秒も可能であり、実際の運転速度は30−80mm/秒である。

 ここで歩留まりが気になりますが、ラム成形では材料投入初期にエラーが生じると申し上げました。作業者は、金型を押し出されワイヤーカットされた断面を見ながら不良品を撥ねて行きますが、あくまで不良が出やすいのは初期と後期です。ここで失われる材料の分だけ歩留まり低下が発生すると思われるのですが、実際は違うのです。押し出されたセラミックハニカムは水分を含んでおり、粘土のような状態(粘土ほどの粘性はありませんが)。

 つまり再生が利くのです。エラーとなったハニカムは再度、成形前の段階に戻され押し出し成形が行われます。つまり成形までの段階で歩留まりは限りなく100%に近いのが現状です(焼かない限り再生が利く)。

 金型は標準ハニカムタイプで1つ300万円。薄壁タイプでその2倍弱といったところ。金型は消耗品ですので交換しなくてはなりませんが、交換頻度は1ライン当たり1ヶ月に2−3回です。

 日本ガイシは金型を1社購買としており、会社ではどこの業者か言いませんが、これは昨年に億近で掲載した放電精密加工研究所(6469)が担当しております。

【乾燥】

 押し出されたハニカムは水分を24%含んでおり、これを2段階に別けて乾燥を行います。まず高周波で100−120度の温度で乾燥させ、水分を20−22%とばした後、120度の熱風で1%の水分をとばします。

【焼成】

 日本ガイシでは2種類の焼成釜を持っています。1つは通常思いつくバッチタイプの釜。もう1つはハニカムをトロッコに乗せ、トンネル状の釜の中を走らせる連続焼成釜。

 連続焼成釜は2種類ありまして、NCT−3とNCT−5。

 
全長
焼成帯の長さ
最大焼成温度
NCT−3
137.8m
44.1m
1400度
NCT−5
130.7m
41m
1400度

 焼成時間は約2日間。焼成は非常に難しく、各社の企業秘密となっている。焼成の一番難しいところは、ピークまでの温度の上げ方である。これをうまくコントロールしないとハニカムの壁が崩れる事になります。

 以上が製造工場の簡単な説明です。

 しかしいくらNGKIの工場を見ても、同社の強さを理解することは出来ません。当然のことながら、他社と比較してNGKIの製造工程はここが素晴らしいと、強みを確認しなければ、NGKIの工場見学をする意味は半減してしまうことでしょう。

 ではNGKIのライバルの工場がどうなっているのか。

 セラミックハニカムの製造工程は、ほぼどの企業でも大した違いはありません。しかし成形からは各社の違いが出ているようです。

 ライバルのA社では、成形速度が明らかにNGKIより遅い。1本のラインは1.5m/分で動かしているものの、別のラインはこの速度の1/3−1/5位の速度で動かしていた。
 また乾燥・焼成工程ではマイクロ波で90度乾燥した後、最大焼成温度1400度で5時間の焼成を行っているが、トータルでは3日間の乾燥・焼成時間となっている。つまり1400度まで上昇させるのに2.5日も費やしているのだ。したがって2.5日+1400度で5時間+冷却時間となり、NGKIのトータル2日間を大きく超えている。

 金型は1ライン当たり1ヶ月に2−3個とNGKIと同じ頻度だが、実際の1ライン当たり製造個数はNGKIの方が多い上、金型コストは標準で車1台分、しかしハイエンド品では1000万円だという。

 セラミックハニカム産業は装置産業です。ですから固定費を吸収するためにはとにかく1日当たりの製造個数を上げなければならない。製造個数を上げるということは、セラミックスですから原材料はとんでもないくらい安い。固定費さえ吸収してしまえば、変動費は非常に安い原材料と金型、焼成のためのガス代と、限界利益率は非常に高い。

 装置代は高いものの、かなりの費用は焼成炉であろう。その次に材料の調合・混練か? 成形などは金額にすれば知れています。

 NGKIのハニカム製造ラインの償却は、生産ラインが12年、単独釜が5年、連続釜が7年の定率です。メチャクチャ儲かる商売でしょう。

 世界シェア4割超、及び最先端技術を誇るNGKIのシェアは、そう簡単に奪うことは出来まい。

 

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2001/07/24 2度目の自己紹介と運用の秘訣
大原部長
 

 いやあ、炎さん、月曜日はすごい迫力ですね。億近の月曜日はスーパー・マンデーですね。
 わたしも、ぼちぼち力を入れていこうと思っています。毎週が、スーパー・テューズデーと呼ばれるよう、がんばっていきます。そして、一層、「わかりやすさ」を前面に出していきます。

 とりあえず、ライコスクラブの掲示板、「億の近道」のオフィシャルクラブ(無料)を投資家が気軽に訪問し、有意義な議論が行えるサイトとして活性化させようと思っています。
 一時、訪問率が8%台と低迷していましたが、この1週間で35%近くまで徐々に訪問率が増えてきました。しかし、会員わずか150人強です。億近の読者数、約1万4000人の1/100とは少なすぎます。この会員数を1年で1000人ぐらいまで増やしていきたい。

 そして、ゆくゆくはこのオフィシャルクラブを日本株についてのファンダメンタルズの議論ができるフォーラムとして発展させていきたい。

 今後とも、火曜日原稿に書ききれないことなどを中心に、オフィシャルクラブに書き込んでいくつもりです。オフィシャルクラブの掲示板(無料)をよろしくお願いします。
 読者によるストックバトル、個人投資家がIRに電話したときの対応をそのまま書いた「素顔のIR」、億近ゼミの募集要項などをオフィシャルクラブに掲示しています。どうぞ、ご参照ください。

 さて、2度目の大原の火曜日ですが、今回は、わたしの運用歴について紹介させていただきます。

【大原の運用歴→ クレイフィンレイを運用界のイチローと呼ばせてくれ!】

 前回、お粗末な自己紹介をさせていただきました、大原部長(こと、クレイフィンレイの山本)です。所属するクレイフィンレイの過去の運用成績をさらりと紹介させていただきます。わたしを含めた4人のチーム、日本株運用チームの過去の成績。

 
クレイフィンレイ
TOPIX
 
1997年
暦年
+10%
−20%
(大原入社年)
1998年
−6%
−7.5%
 
1999年
+134%
+58%
 
2000年
−21%
−25%
 
       
4年累計
+91%
−12%
 

 2001年も昨日の段階でインデックスには勝ち越しております。
 四半期(=3ヶ月)単位でみますと、97年から2001年6月までの18四半期中、15四半期でインデックスを凌駕しました。
 途中、98年第3四半期から2000年の第3四半期まで9四半期連続(27ヶ月間)でインデックスに勝利。

 そのとき意識したのが、恐れ多くも、大リーグのイチロー選手でした。
 対インデックスの勝率80%。クレイフィンレイを株式運用業界のイチローと呼ばせてください!
 97年にクレイフィンレイに100円預ければ、2000年終了時に、191円になっています。同期間TOPIXで運用したら、100円が88円へ目減していました。

【とはいえ、まだまだ未熟者です】

 固定されたチームとなって、わずかに4年。まだまだ発展途上のチームです。とにかく今後も10年のうち7−8年は勝ちたい。今年は勝てそうですが、今、「ちょっと待てよ」と戦略を再考しているところです。

 というのは、来年大きく勝てそうなんです。来年は、わたしたちの得意なパターンになりつつある。今年勝負にこだわると来年があまり勝てなくなる。3年のタームでいけば、今年のパフォーマンスをやや犠牲にして、来年にかけるという作戦もある。

 8月に総合戦略をチームでまとめるつもりですが、予備調査では、来年大勝できる情勢になってきている。毎日が楽しい。

【組織運営論】

 クレイフィンレイは、運用だけではなく、儲ける組織つくりを徹底しています。みんな、ファンドマネージャーとして、いろいろな会社に「こうしたほうがいい、ああしたほうがいい」とえらそうなことを言っている以上、わが身も正さなければという思いが強い。

 1兆円近い株式運用残高がありながら、本社の営業責任者は2人です。間接部門人員は数人です。アナリスト&ファンドマネージャーが世界中で20人程度です。だから、営業利益率も10%を大きく超えています。
 自分が勤めている会社の利益率が低いのに、えらそうに他の会社を取材して、「御社は利益率が低すぎるのでは?」なんて指摘したら、超かっこ悪いですから。

 コスト削減とインセンティブを両立するため、いろいろな工夫をしています。

1)基本的に会議ゼロ(東京オフィス)。
2)無駄な仕事をしない。感覚的に割高な株や、割安でも市場の支持を得られそうにないものは、調査の手抜きをする(言葉は悪いが必要なこと)。
3)確信を得た段階で仕事は打ち切り。それぞれがタイムリミットを自分で決めている。1年を超える長期プロジェクトもあれば、1日の短期プロジェクトもある。
4)全日カジュアルデー。自宅勤務OK。事務すべて外注。なにをどこでやろうが自由。
5)完全な業績連動給与。1年だけではなく、3年の成績で評価。無理な運用はしない。給料が半分になったり倍になったり。
 給与が半分になるとつらいものです。税金は次年度請求がくるので、年棒半分のときに高い税金を払うはめになる。
 2000年はTOPIXにすこしだけ勝ったが、ボーナスゼロ。
 理由は、日本株チームが欧州株チーム、米株チーム、アジア株チームに大きく負けたからです。社内の競争が本当に熾烈。運用が悪いと担当を取り上げられる。

【運用の秘訣】

 肝心の運用成績ですが、物足りないとはいえ、まずまずの成績です。どうして負けないのか?理由があります。

1)運がよい。たまたまうまくいった。これが最大の理由です。運用は結果論だから。
2)業績がよくてもバリエーションの高いものは避けている。
3)バリエーションが低くても、業績の裏付けがないものは避けている。
4)経営者がすばらしくても、従業員の士気が低い会社は避けている。
5)すべてがすばらしい会社であっても、証券会社のアナリストがほぼ全員強気のときは避けている。

 つきつめると、「買わないのに上がってしまった株は、すぐにあきらめ、忘れます。」

【アナリストが失敗するとき】

 アナリストの失敗には、パターンがあります(わたしも含めて、この失敗はよくする)。

1)高いバリエーションを正当化し、次々とその高いバリエーションを2番手、3番手にあてはめる。 「ノキアは〇〇倍だから、松下通信は××倍でもいいはず。JDSUが××倍なら、古河は〇〇倍でもいいはず。」
 そうやって、失敗を繰り返していく。
 そういう議論はおかしい。
 ノキアは〇〇倍だが、これはピークのバリエーション。松下が××倍ならそれはピーク。そういう状態は長続きしない。

2)業績がこれからよくなるというときを逃し、よくなったのを確認してから、買いのレポートを書こうとする。逆に、業績がこれから悪くなるときを逃し、実際に悪くなったのを確認してから、売りを薦める。
 そりゃ、外れますって!!! 株価が上がってから買い、下がってから売りですから。

【証券会社のアナリストを利用する方法】

 もう、みんなやっていると思いますが、証券会社が買いといったら買うな。売りといったら売るなです。
 個人投資家の中には、証券会社が買いといったらカラ売る人がいますが、それは行き過ぎ。

証券会社の指示
買え
売れ
中立
投資見解無し
売りから中立へ
取るべき行動
買わない
売らない
売り/買い
大いに売り買い
買いの場合も

 そうです。証券会社の利用法は、証券会社の投資見解を利用しないこと。それが最高の利用法です。

 最後に、証券会社が「売れ」から「中立」に戻すときがあります。そういうときって、結構、「買い」です。

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2001/07/23 株主優待制度をうまく活用しよう!!
炎のファンドマネジャー
 

【株主優待制度をうまく活用しよう!! 本を送ってくれる角川書店の話】

 先日、配当利回りの高い企業を重視することが、下値不安の高い相場状況下では有効だと提言をしましたが、株主優待制度の活用も、皆様にとっては大切な役割を担うかと思います。

 お手元にある会社四季報か会社情報の1898ページを開けてみて下さい。そこには633社の企業の優待制度の中身が書いてあり、結構一般投資家にとっては嬉しい内容のものもありそうだ。

 先日、私の友人の元に株価が45000円の高値からたった2020円(但し2分割を実施したが)にまで急落してきた角川書店(9477)から、配当金とは別に株主優待が送られてきたらしい。
 どんな優待制度かと思ったら、角川文庫や単行本の無料送付ということであった。自分で選択できるようにリストが送られてきて、株主はその中から2,3冊選ぶ仕組みだという。
 実際にそのリストを見たところ、文庫本は400円前後で安いのに対して、単行本は辞書など3000円以上するものもあり、結構株主には有り難い内容であった。
 その友人は結構高値で買いつけた100株持っているらしいが、結局3000円前後の単行本を2冊申し込んで、妙に納得していた。
 現在株価は2100円前後だから100株で投資額21万円。約5000円から6000円の本代と、年12.5円の配当金を貰って、利回りは3%程度。買い値から下げたら致し方ないので、こんなこと言っていてもしようがないが、本が好きな方にとっては家族で名義を分けて購入すれば、結構妙味がある水準にはなったと言えよう。でも高値掴みしてしまった角川書店の株主からすれば、今更角川書店の本を貰っても面白くないとお嘆きなのかも知れないが・・・。

 電機ハイテク株が有望と言っても、結果はキャピタルゲインか配当だけ。株価が下げ続きではつまらない存在に映ってしまう。こんな時こそ、折角テクノロジーの塊のような日本を代表するような有力ハイテク企業は、柔らかいムードで一般投資家に対話する施策を取ってほしい。

 株主にして見れば、実際には手元に送ってくれる配当金と優待制度のサービスや商品は、目に見えて有り難いということになる。
 それぞれの趣味嗜好に合わせて投資企業を選定し、送られてくる優待制度を楽しむ手もあることを知って頂きたい。

 外食レストランや食品、流通などの企業では株主優待制度を充実させている。投資家ニーズが多様化し、単に切った張ったの目先のキャピタルゲイン狙いから中期ビジョンを考えた投資スタイルが定着する時、株主優待制度の役割は案外大きなものになるかもしれない。

 3月末に権利確定する企業の優待が圧倒的な中で、8月に権利が貰える企業もある。しかも少額投資で配当金プラス株主優待付きは、結構妙味あるかも知れない。

 炎が発見した魅力ある銘柄は以下の通り。


【ジーンズが好きでお近くにジーンズメイトのお店がある方へ】

ジーンズメイト(7448)
 時価775円:投資額は100株で77500円
 1株配当金15円:8月中間決算の配当金7.5円。つまり100株で750円:配当利回り1.9%
 株主優待制度:一律自社商品購入優待券(1000円)3枚 ・2月20日、8月20日に権利確定
 株価の位置:業績低迷で株価も低迷。それでも財務の安定性や在庫管理の徹底から企業基盤は良いので下値は乏しいと判断。赤字転落にでもならない限り、本年1月安値600円が下値目途。

 100株買って1年間ほっておいて株主優待を取って活用すれば、あの堅実経営の西脇社長のことだからリターンも得られるだろう。何と過去の高値は99年の6600円。夢よもう一度!!

【手芸が好きでお近くに手芸センター「トーカイ」がある方に】

藤久(9966)
・時価1250円:投資額は100株で125000円 1株配当金28円(6月年1回決算)、100株で2800円:配当利回り2.2%
 株主優待制度:残念ながら6月が過ぎてしまったので来年6月にならないと権利は取れないが、100株以上の方は50枚の優待券(200円券)が貰える。1000円以上の買い物で1回使用することができるそうだ。
 株価の位置:業績が踊り場になっていて株価も徐々に下げてきており、依然として下値目途は見えにくいが、PERは10倍を切ってきたことから、ここから1000円前後まで下げた段階では利回り採算にも乗るし、優待券も来ることから手芸の好きな方にはチャンス到来かも知れない。

 名古屋の堅い会社なのでいつまでも下げ続けることはないと思うが、業績の見通し次第。99年高値は3650円。もうここまで下げれとは思うが・・・。
 来年の6月までの安いところを買っておこう。

【牛丼の好きな方に】

吉野家(9861)
 時価18万6000円:投資額は1株で186000円:1株配当金年3000円(8月中間1500円):配当利回り年2.0%
 株主優待制度:半期毎に優待券5000円(500円券10枚)が貰える。8月1日から280円に並盛は値下げとなり、株主優待権利取得者には半期で並み盛12杯から半期で並盛17杯が食べられる勘定に。年間では優待券を入れて7%近い利回りとなるが、牛丼は嫌だという方には奨められない。企業の福利厚生に利用したいという中小企業のオーナーや、牛丼好きのサラリーマンの方々には奨めておきたい。18万円余りで年間34杯の並盛牛丼確保!!でもリターンは・・・?。
 それにしても同社の株主数は多い。何と19530名!!きっとこれだけの投資家が牛丼をいっぱい食べた上にキャピタルゲイン獲得の夢も描いているのだろう・・・。
 株価の位置:牛丼の値下げ効果がどう出るかを見極めたいと模様眺め。3月の安値154000円からジリ高で7月には214000円をつけたが、その後は調整の動き。ディフェンシブストックであり、電機ハイテク株が不人気の時に電力株と同様に利回り採算で買われている。
 時価総額1230億円は、170億円余りの経常利益水準と比べなお割安感あり。日本発世界の牛丼となるか?!マックに負けるな!!

(炎)

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2001/07/19 新体制挨拶とチョコラルスキー法
両津勘吉
 

今週から新体制に入り、木曜日担当になりました両津勘吉でございます。宜しくお願いいたします(金曜日は駄洒落商会会長です)。

 新体制になったばかりのところ申し訳ございませんが、再度曜日の再編成を来月行う予定です。炎氏、大原部長、が月、火曜日。水曜日は休刊、木曜日は海パン刑事、麗子さん他ゲスト、金曜日が生涯遊人に加え、駄洒落商会会長と私が交代で隔週の担当となります。

 私が隔週の担当になるには理由があります。 先達て大原部長をはじめ各執筆人から、「自動車ばかり書かないで技術回帰せよ」との要望が寄せられました。しかも「製造現場まで踏み込んだ内容にせよ」との厳しい要求で、レベルをどんどん上げなければならない。

 株式投資のための情報提供として、素人ながら技術を少しだけ盛り込んで原稿にしていた億近でしたが、今後は更に技術を前面に打ち出し、技術メルマガの方向性を打ち出していこうと考えております。

 そのため「億の近道発行プロジェクトテクノロジーチーム」を結成し、チームに加わっているアナリストはお互い、そして億近ゼミ生となられている世界最先端の研究に従事している研究者の方とコミュニケーションを取りながら、必要なら夜間大学で物理・化学を専攻し、情報発信していく所存であります。

 HP、メルマガで億近の近道以上の技術チームを持ち合わせている機関はありませんでしょう。また証券会社のシンクタンクと云えども同じ事であろうと思います。

 私たちはボランティアではありますが、今後も読者の皆様に新鮮な情報をお届けしていく所存です。ご期待ください。

 

 本日は骨休みとして、チョコラルスキー法について記述します。

 真性半導体であるシリコンとゲルマニウム。特に半導体にはシリコンが多用されています。
 しかし、シリコンはゲルマニウムに比べ超高純度にするのが非常に難しいとされる。SiO2からH2還元が難しいのだ。SiO2は溶融状態で化学的に活性であり、白金坩堝を浸食させてしまう(使っているうちに白金が減少し、坩堝の重量が減少する)。どうやって製造するのか? 記述します。

  1. Siの製造
    1. 租Siの製造をする
      白珪石を炭素と共にアーク炉内で加熱し、還元する。
      SiO2+C ⇒CO2となって消える。
      この段階で97−98%の純度のSiが出来る。
    2. 高純度Siの製造・・・2つの方法がある。
      1. 三塩化シラン法
        租シリコンを塩素と反対させ、三塩化シラン(SiHCl3)。
        Si+3HCl ⇒ SiHCl+H2 ⇒液体状態
        これを蒸留装置で何万回か処理した後、租塩化シランを精留し、高純度化する⇒高純度シラン
        1. 熱分解法
          高純度シランを800度−1000度で熱分解する。
          4SiHCl3 ⇒Si+3SiCl+2H2
        2. 水素還元法
          熱分解をH2気流中で行う。
          SiHCl3+H2 ⇒ Si+3HCl
          太陽電池の薄膜やガラスの板を作るときに用いる。
      2. 四塩化珪素法(デユポン法)
        (租)精製金属Siを塩素化して四塩化珪素(SiCl4)として、これを精製して高純度四塩化珪素とする。これに亜鉛またはマグネシウムを加えて還元すると高純度Siが得られる(950度)。
        亜鉛の場合:SiCl4+2Zn ⇒ Si+2ZnCl
        ここで高純度といってもまだ低レベル。

  2. 超高純度のSi製造
    上記の化学的処理で得た純度99.9−99.999%程度のSiを、更に物理的な方法で高純度化する。

    ・チョコラルスキー法
    坩堝の中に液体Siを投入し、単結晶の種となる結晶を入れ高周波熱源により坩堝を暖め、種結晶をゆっくり回し単結晶の成長に合わせ引き上げていく⇒シリコンインゴットの完成である。  

 こうして半導体ウエハの基となるインゴットが完成するのですが、この装置を他のビジネスに応用し、莫大な財産を築いた方がいるそうです。

 東京は銀座のど真ん中の5丁目に、鳩居堂というビルがあるのをご存知でしょうか。ここにクレサンベールというテナントが入っており、女性の欲しがる宝石を扱っている店であります。しかしこの店は普通の宝石を扱っているわけではございません。

 宝石は大きく2つに天然と人工に分かれますが、このクレサンベールはどちらにも属さない宝石?を扱っているようです。
 宝石の鑑定士は人工宝石かどうか簡単に見分けるそうです。天然宝石には不純物や泡が混ざっており、レンズで覗くとすぐにわかるそうです。ですから人工宝石はそのような不純物が混入しておらず、鑑定士は一発で見分けられる。

 しかしこのクレサンベール製に関しては、鑑定士も天然宝石と間違えてしまうそうだ。なぜか?
 不純物が天然原石と同じような比率で混入しているからだそうだ。
 その方法はチョコラルスキー法によって行われており、天然モノの不純物の割合を予め計算し、人工宝石にもそれと同じような成分を混入し、チョコラルスキー法で引き上げを行うわけである。
 非常に頭の良い技術者がいるもんだ。

 これを行ったのは鹿児島県出身の京都人。
 そう、あの京セラの稲盛氏である。クレサンベールにはイナモリストーンという石があるもんな!
 この石を発売したとき、普通なら天然と偽れば高く売れるのに、そのような詐欺をしない稲盛さんの精神はやっぱり凄い。

 

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2001/07/19 オークネット(9669)見学記
生涯遊人

 

  先日、アイリスジャパン主催のオークネット見学会に行ってまいりましたので、見学会印象記と称してレポートします。

 当日までに私なりに調べてみましたが、不確実な情報を読者に伝えたくはないので、財務分析業界比較等々などは、炎氏に譲るとして、あくまで会社訪問のイメージとして捉えてください。

 まず皆さんは、この会社を自動車オークションの運営会社と捉えていると思いますが、実際私も訪問するまでは、そう思ってました。
 訪問後の私の印象では、情報産業、それも銀行などの金融機関に近いと思いました。しかも融資を中心とした日本型の銀行ではなく、米国型の情報を武器にした手数料収入中心の銀行です。

 電子取引の成功例としては、株式のインターネット取引が上げられると思います。もともと金融商品は、現物を見る必要がなく、値段さえ分かればよいためネット取引に適しているといえましょう。その分差別化も難しく、結局は、ディスカウント競争になり易いといえるでしょう。

 逆に電子取引に馴染みにくいものとしては、現物を見なければいけないもの中古車などは、その最たるものでしょう。しかし逆にそこのところ解決できれば、利益率の高いビジネスになる可能性があります。

 オークネットは、そこのところを、参加業者の信頼性を維持すること(銀行の与信管理)、商品の正確な情報を伝えることの2点により、オークションの信頼性を高めています。まさにここのところが、私が金融機関に似ていると感じた理由です。

 商品の評価をするために、オークネットインスぺクションサービスを独立事業として運営しています。この検査は、オークション参加者から、検査が厳しすぎると言われるほど厳格な検査するため、また全国どこでも、検査を2日で終了できるため、商品の品質の信頼性を保っています。そのため大手メーカーからの検査業務を受託し、それ自体事業性も期待できます。

 次に情報サービスですが、この会社の売上構成比(2000年度の決算報告より)をみると、オークション収入が46.8%、情報サービス収入が33.2%となっており大きな比率をしめています。 これは、中古車共有在庫市場というコンセプトのもとに、端末と中古車情報を提供するもので、販売店用のオークナビ、販売店の顧客用のオートバンクがあります。

 この中古車共有在庫市場というのは、オークネットに参加している販売店の在庫情報を共有化することにより、販売店の在庫負担を減らすとともに、商品の流動性を高めるものです。

 またオートバンク端末によって、消費者に在庫情報を知らせることにより、予約販売も可能となり、中古車店にとってメリットとなっています。

 検査事業、情報サービス事業から分かるように、オークネットは、メーカー、中古車店との共栄共存の事業を進めていくことによって、中古車市場の活性化を図り、そのことがこの会社の強みになっています。

 最後にこの会社の将来展望ですが、信頼度の高い、オークションシステムがすでにあるためこれに、参加企業の信頼度の維持と商品の信頼性の維持というノウハウが結びつけば、自動車に限らず、市場規模の大きなあらゆる商品のオークションが可能となります。

 現状では、自動車関連の売上が、92.7%(オークション収入)、77.4%(情報サービス収入)と圧倒的ですが、10年後には、どんな商品が主力となるか、楽しみです。

 最後に、一個人投資家に2時間もの時間をとっていただき、素人の質問にも丁寧に答えていただいた、オークネットの佐々木取締役と広報の福田さんに御礼を述べたいとおもいます。(生涯遊人)


【見学会主催者の炎氏よりコメント】

生涯遊人様見学記のレポート有難うございました。

 中古車が最初で最後のオークション商品となるのかどうかが、オークネットの命運を分けることになりますが、とにかく中古車の流通で大いに役立っているこの企業の実体をお判り頂いたことで、企業への理解は深まったかと思います。

 既にこのシステムを活用して花卉のオークションもスタート。事業モデルが明確になってきたことから、他の業種、商品アイテムにも拡大していくことで成長の方向を読み取って頂ければ、今回の見学会の目的は達成されたと思います。

 財務面での分析は改めて行うとして、極めて身軽でアイデアにあふれた企業体質である点が評価される時、再び上昇トレンド入りが期待できることになるでしょう。もう少しダイナミックな展開を期待する向きもあるでしょうが、着実に事業を展開する堅い企業とのイメージも持って頂けたのかも知れません。

 同社では8月20日に中間決算の発表を予定しておりますが、その後に個人投資家向けの決算・事業説明会を計画しております。億の近道の読者でご関心のおありの方は、ぜひご参加頂けましたら幸いです。正式に決まりましたら改めてご案内申し上げます。(炎)

 

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8
2001/07/18 土地本位制から特許・知的所有権本位制へ
炎のファンドマネジャー

 

  【土地本位制から特許・知的所有権本位制の経済来たる!!】

 長い間の土地本位制に別れを告げ、日本にもようやく新しい経済の枠組みが出来上がろうとしている。

 銀行や事業会社、株式市場が一体となって、この経済の枠組みを構築する時、構造改革に取り組もうとする日本経済は蘇ることになるだろう。
 実際には構造改革よりも大事なポイントなのかも知れないが、誰も大きな声を出そうとしないので、私が敢えて主張しておきたい点だ。

 さて、日本経済の困難は知的所有権を経済価値に置き換えて来なかったことに起因する。基本的に土地を担保とした融資の態度は根本的に間違っていた、と考える銀行マンがどれほどいるだろうか?戦後一貫した土地価格の上昇、日本経済にとっては土地神話ができてきたことで、何も訳のわからないものを担保にする必要などなかった。手間がかからず有り余る資金を融資することができた点で、土地本位制は銀行ビジネス(実際には楽して儲けるビジネス)にとっては大変都合が良かったに違いない。

 しかしながら、今や状況は一変した。土地の価格がピークを打って、国際的に通用する評価の手法である収益還元法に基づいて売買されるに及んで、土地価格は落ち着きこそ取り戻しつつあるが、これまでのようなバブルの発生は見込めない状態になりつつあるのだ。
 しかも、土地に関しては日本固有の問題。つまり予期せぬ自然災害の発生が想定されては、収益還元法すらも怪しい評価方法と言えるのかも知れない(そこまで気にする人はいないかも知れないが…)。

 一方で、このところの知的所有権をめぐる動きは活発で、銀行などもようやくブランドや特許に関して評価する仕組みを作ろうとしていると言える。
 一昨日の株式市場では、富士紡(3104)が大変な商いを集めていたが、Tシャツでビタミンを吸収するという加工技術に対して特許を出願したとの報道で、一気に株価が101円から120円へと飛んでしまった。

 これをきっかけに、各投資家が特許に対して敏感になることも予想されるが、今後の行方が気になるところだ。特許戦略については億の近道や株式雑誌などでも発表し、一般にアピールしてきた実績があるが、奇抜なアイデア、面白い特許が新聞、マスコミなどで伝えられ、低迷してきた株価を刺激するような事例が今後頻繁に起こるのではないかと期待している。

 夢を追いながら株式市場は発展してきたが、人々の営みの中の夢はテクノロジーの中にこそあるのであって、決して不動産価格の上昇や銀行ビジネスそのものにあるのではない。ズバリ、テクノロジーを具現化した特許や、知的所有権にこそあると思って頂きたい。この場合のテクノロジーは、人間の生活を豊かにしてくれるテクノロジーがより求められる。

 テクノロジーの発展があって人間の生活が豊かになる、経済的にもリッチになるという認識を新たにしていかないとならない。

 株式市場ではそれがようやく認識され出したようだ。 折りしも15日の日経新聞は、「すべて時価会計 未来の価値 経営指標に 株式会社を考える」との特集記事で、具体的に以下の企業の取り組みを紹介している。 


 協和発酵(4151)は開発途上の新薬がどれだけキャッシュフローを生み出すかを予測し、そこから逆算して決算期末ごとにその時点の時価をはじく「未来資産」の経営指標を使用する。

 アイシン精機(7259)は保有特許4000件の時価評価を始めた。現時点では資産として帳簿に載らないが、国際会計基準理事会(IASB)では無形資産も含む全ての資産を時価で財務諸表に計上しようと検討している。

 愛知製鋼(5482)の株価が上昇しているのも、背景にあるのは先日発表した自動車の安全走行に寄与するSIセンサーの開発にある。同社はグループ内の豊田合成(7282)の青色LEDの例にならって、より特許戦略を活発化させ企業価値を高める意向のようだ。


 このほか最近の新聞記事には、7月13日付け日経では「未来戦略 理研からベンチャー続々 超先端技術を実用化」と理化学研究所のことが以下の内容で紹介されている。


 理化学研究所は年間予算900億円、研究員2000人を擁する。戦前は発明を事業化していた。最近の国立大学の独立行政法人化や産学官連携活発化の流れの中で、ベンチャー企業を設立し、現在11社。ゲノムやナノテクノロジー等の研究から生まれたが、ほとんどは他社が真似できない技術である。起業を支援するベンチャーも誕生したが、特殊法人として勝ち残るためにはベンチャ−を通じ特許料収入を増やし財源を多様化することが不可欠となっている。

 このほかメディアシーク(4824)がスウェーデンの調査会社、インテレクチャル・キャピタル社から自社の知的資産価値の格付けを取得。ビジネスモデルの強さや経営陣の能力など無形資産の評価を受け、投資家向け公報などに活用するという。メ社の評価は「VBの成長期に典型的な評価」。イ社は欧州の150社以上の知的資産を評価しているとされる。 富士写(4901)の連結ベースの研究開発人員は約5800人で、従業員の約15%(キャノンは7%)。年間6千件程度の特許を申請する。研究開発は研究者が希望するテ−マのうち、事業的に見込みのありそうなものに集中投資し、一定期間で成果が見込めないときは見切りをつける。同社はコダックの特許に抵触しない技術を目指さざるをえなかったため、「自前主義」でやってきたが、自らの研究開発だけでは賄えない技術を取得するため、自前主義から脱皮しようとしている。

 更に同社はレンズ付きフィルム(LF)を開発し、特許を抑えている。

 今回、香港メーカー2社と米国と香港の商社18社を輸入差し止めと販売禁止を求めて、米国際貿易委員会(ITC)に提訴した。9社は99年のITCの一般排除命令を受けていた。フィルムの再補填が可能に見せかけた粗悪品が流通しており、LFの信頼を落としかねないと再提訴に踏み切った。

 田辺(4508)は米臨床試験受託会社エーエーアイファルマ社に薬物送達システム(DDS)技術の独占的な利用権を与えたと発表、体内で徐々に薬剤を放出する技術など3件。エー社は医薬品メーカーから新薬開発を代行する受託ビジネスを展開しているが、特許切れを迎える医薬品にDDS技術を適用して、製品寿命を延ばす狙い。


 などと各企業の最近の特許戦略が新聞などで伝えられている。

 こうした企業の特許戦略に関心を持てば、中長期的な成果が上がるだろうと感じた私は、更に切り口を鋭くしたいと思い、特許関係のNPOである日本パテントリサーチアソシーツ(JPRA)とがっちり手を組むことにしました。
 皆様の中で特許動向や特許の事業化等に関心のあおりの方は、ぜひこのJPRAの一般会員として登録されることをお奨めしたいと思います。詳細は03−3260−4330(代)代表 大鐘(おおがね)氏か、jpra1@ict-net.co.jp へお尋ね下さい。その際に「億の近道」を見てと一言おっしゃって頂ければ幸いです。

 さて、今後も皆様も特許と関連した企業情報に、大いに関心をお持ち頂ければ幸いです。

 土地本位制から特許・知的所有権本位制へ…皆様もこの発想で株式投資に取り組まれたらいかがでしょうか?(炎)

 

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2001/07/17 大原自己紹介と億ゼミ参加者新規募集要綱
大原部長

 

 みなさま、いつも、ご購読ありがとうございます。

 今後、毎週火曜日を担当することになりました大原です。「わかりやすさ」をモットーにがんばりたいと思います。
 個別株情報、相場の方向性、億近ゼミ運営のことなどを、みなさんに紹介していく予定です。
 このたび、新規に億近株式ゼミ参加者と募ることになりました。こぞってご参加ください。


【億近ゼミ参加者募集要綱】

 腕一本で活躍できる個人投資家兼アナリストを1人でも多く、火曜日の億近から輩出したい。個人投資家がプロを目指すうえで、億近をプロへの登竜門にしたいという気概をもって執筆させていただきます。
 億近のゼミへの参加希望の方、熱意さえあれば、受け入れたいと思います。
 学歴不問、経歴不問、年齢不問、性別不問、知識不問です。
 情熱ある方、日本株式市場を変えたいと思う方、メールにて応募して下さい。
 募集期間は、7月31日。定員は未定です。
 年齢、氏名、住所、連絡先、応募理由をしっかりと書いてください。
 特に応募理由は、出来るだけ詳しくお書きください。

 両津さん、駄洒落さん、そして既存のゼミ参加者に手伝ってもらいながら、ゼミを運営していきたいと思います。
 目標は、焼き穴子さんや堂島さんのように松井総合研究所客員アナリストへの合格です。億近では、現在5人の松井総研客員アナリストのうち、2人を輩出しております。既存のゼミ生もまだまだ合格していくと思います。
 そういう楽しくも厳しい環境の下で、株を勉強したいという方であれば、参加資格は十分かと思います。


【自己紹介】

 火曜日の億近をより楽しんでいただくために、自己紹介をさせていただきます。大原こと、クレイフィンレイの山本 潤と申します。

 ニューヨーク本社のクレイフィンレイに勤めて、早くも4年となりました。クレイフィンレイは、8000億円程度の運用をまかされているブティック的な運用機関です。

 ブティックというのは、ファンダメンタルズ分析に基づき、全世界の株式だけで運用しているためです。米国株、欧州株、アジア株などとならんで、日本株は主力運用先のひとつです。私を含めて固定された4人のチームで銘柄の選択と運用をしています。担当セクターは、電機精密など中心に製造業を担当しています。

 クレイフィンレイの顧客は、米国やカナダ、欧州の公的年金および企業年金です。
 先々月に日本国内資金をはじめて獲得できました。UAM(ユナイテッド投信)から委託をうけ、あさひ銀行の富裕顧客向けファンドを手がけております。2ヶ月で20億円近く集まり、上々のスタートとなりました。あさひ銀UAMファンドの運用は、わたしたち、クレイフィンレイ割り当て運用分だけを見れば、TOPIXを設定以来14%程度上回って推移しています。2ヶ月で14%なので、12ヶ月ではいったいどの程度凌駕できるのか挑戦中です!!!

 1963年10月生まれ。O型です。大学学部と大学院は島根大学という超マイナーな大学で勉強しました。生徒12人に対し、先生10人を擁する完全個別指導教育を実施している?大学です。専攻は、「政治思想史専攻、テーマは資本主義と宗教」(学部 マックスウエーバー中心)および「法哲学専攻、テーマは個人主義理論、所有権理論」(大学院 ジョン・ロックやロバート ノジック中心)です。

 授業というよりは、毎日がゼミのような大学でした。生徒のほうが、先生より少ないため、先生1生徒1のゼミになってしまう。大学も生徒のために、6人部屋を勉強室として割り当て、生徒ひとりひとりに個別の机や本棚、電気スタンドまで用意してくれました。

 教授は、自宅によく招いてくれ、奥さんの手料理をご馳走になりながら、哲学の議論をよくしました。あるゼミでは、和室でリラックスしながらの研究発表でした。(ソクラテスは議論は寝転がってしないとだめといっていた)。

 影響をすぐ受けるたちなので、勉強を続けるうちに、今では、強烈な自由主義者となってしまいました。

 唐突ですが、入学当初、ジャズピアニストを目指していました。大学へいかない日々が3年間も続き、日本各地を転々と放浪していました。夏はビアガーデンで演奏のバイトや演歌の伴奏なんかもやりました。バーなんかは好きに弾けるので一番好きでした。

 当時、ともによく遊んだ大学同期の加納美佐子なんかは、ジャズピアニストとしてCDデビューを果たし、そのころの夢をかなえています。http://www02.u-page.so-net.ne.jp/ka2/misako/ 美佐子女史は、NYで活動しております。みなさんも応援してあげてください。

 わたしは、音楽生活がたたって、ようやく6年かかって大学を卒業。ただ、ゼミでは言いたい放題言っていたので、担当の教授に誘われて、大学院に進学しました。

 就職活動もしないまま、大学院最後の夏休みが過ぎ、このまま「町の哲学者」になろうと思っていました。先輩の学習塾(鍋田学習塾・松江市)を手伝ったり、ピアノの仕事があったので、それで生活していくつもりでした。しかし、当時はバブルだったので、同期なんかのボーナスの話を聞いて、やっぱりボーナス2−3回もらったら辞めて、また、人生を考えようと計画を変更(特に留学を考えていました)。ボーナスが多そうな金融機関がいいんじゃないかと思っていました。でも、もう秋だったので、就職はないかなとあきらめていました。それに、就職の方法がわからない!みんなどうやって就職したんだろう??

 とにかく地元の松江支店長に相談したいと思い、電話帳の金融機関の欄で、松江支店があるところに電話して、「支店長お願いします!」 野村やニッセイは、支店長に会わせてくれない。その点、和光証券は支店長が気軽に出てくれました。支店長「2年間ぐらい泥にまみれる気持ちになれますか?」わたし「(泥?? とんでもないこと言うなあ。でも、「はい」というしかない…) はい。でも、松江に配属してください!松江が好きなんです!(だって、夜はピアノバーの仕事続けたいし鍋田先輩の塾は人手が足りないし…)」 その場で内定をいただき、そのまま就職。親や担当教授は反対しました。「証券会社なんて社会の悪じゃ!」わたしは、「資本主義の本質を理解したい!」とわけのわからない説得をしておりました。

 鍋田先輩は、「他人の釜の飯を食うのもいい経験じゃ。でも、2年したら会社を辞めて帰ってこいよ」といってくれました。 90年4月。松江支店かなわず、東京の引受企画部に配属。鍋田先輩ごめんなさい!という気持ちでいっぱいでした。その後IBJへの出向を経て、和光国際部に戻りました。機関投資家向けの営業兼調査を担当。一応、日本証券アナリスト協会検定会員。そして、現職です。

 和光国際部で、現新光投信の中野常務に調査の仕方を叩き込まれました。

 7月12日の日経金融の1面でジャーデンへの転職記事が出た新光投信の小瀬沢さんは、国際部の先輩(1年上)です。国際部の先輩や後輩は、私同様、外資系運用機関に移っています。ロスチャイルドの高橋部長、ピンカスの川北さん、シグナの村山君、みんな中野さんの教え子です。わたしの右横に村山君、右側2つ先に中野さん、3つ先に高橋さんが、ちょっと離れて川北さんが座っていました。

 クレイフィンレイでは、ハイテク関連企業を運用で任される以上、ある程度の専門知識が必要だと感じ、東京理科大学の夜間に通っています。電気工学科の3年生です。
 大学の試験がもうすぐ始まります。最近、テスト準備で忙しく、わたしの億近への投稿はめっきり減りました。申し訳ございません。試験は31日に終了します。

 クレイフィンレイのいいところは、1年以上かけてひとつのことを極める努力です。たとえば、半導体プロセスを本当に理解したうえで、開ける世界がある。プロセスのひとつひとつ、専門書を読み、確実にものにしていくというプロセスを取ります。また、毎週の大学での基礎実験をすることによって、現場の厳しさや技術の難しさの一端を垣間見ることもあります。

 最近、メディアに億近ゼミの参加者が登場するのが一番の喜びです。個人投資家育成への努力が報われた気がするからです。
 日経ネットトレーディング Vol.4(7月16日発売)の57ページに松井総合研究所客員アナリストの焼き穴子さんこと、佐久間さんが登場しています。みなさん、佐久間さんの意見に注目してください。
 わたくしごとで恐縮ですが、同じく日経ネットトレーディング76ページから80ページに時価会計の特集があり、わたしの顔写真と漫画の胴体がアンバランスに結合しています。思わず、笑ってしまいます。780円とちょっと高いですが、よろしくご購読お願いいたします。

 漫画といえば、ダイヤモンドZAi 8月号(500円)の115ページと120ページにわたしのイラストが載っています。「神谷町のドラコン男」として紹介されています。こちらも、ご参照ください。次回は、8月21日発売のダイヤモンドZAiに登場予定ですが、そのときは、顔写真に体は漫画というのは、いくら短足のわたしでも、いやなので、出来れば、全身写真にしてもらいたいものだと思っています。編集部の前原さんお願いします!

 自己紹介したのは、わたしが、「たたき上げ」の運用者だからです。エリートではありません。 わたしは、変わった学生だった。高校は卒業はしましたが、授業はあまり出ませんでした。川原で親友の詩に歌を作ってすごしていました。3年間で800曲以上の歌をつくりました。
 それがなんだっていうのか?親や先生は詰め寄りました。学業を犠牲にして、なんのために歌をつくるのか?と。 わたしは答えました。「さすがに、歌をつくるのがうまくなったよ!」と。(なにかを努力して上手になる。それでいいんじゃないのか…)

 中学高校時代、学校へいかないときは、登校拒否になった仲間の家へよく遊びに行きました。不器用でいいんじゃないか。あれもこれもやらなきゃならないなんて、ごめんです(登校拒否の場合、ご両親の心配はいかほどのものでしょうか?
 わたしのような同級生が学校をサボって訪ねていけば、とても歓迎してくれました。よくお昼にはめったに食べれないお寿司なんかを出前でとってくれました。それが2回目以降、目当てになったりした…)。

 クラスで登校拒否が出るのが、自分の力が足りないからだと思い上がっていた。今思うと、思い上がりですよね。
 中学の先生で、やさしいお爺さん先生がいました。長期欠席している生徒の席を見ながら、「おまえたちは、なんという薄情な人間なんだ」とつぶやいた。わたしの授業なんかどうでもよいから、だれか迎えにいけというではありませんか。そのとき、体中に電流が走ったのを今でも覚えています。

 それから、登校拒否の友達の家でじっくりと毎朝学校へ行こうと説得していた、というよりはいっしょに遊んでいた(本人は迷惑だったろう)。
 登校拒否の友達を誘う度に、遅刻となり、中間テストなんかも受けられずに零点を取ったりした。中間テストのときなんかは、内申書がかかっていた。でも、それは関係なかった(わたしが到着するのを待っている数人の友達も、そろって零点となった。みんな、成績は悪かったのでやっぱり関係なかった。悪ガキ集団は、それで他人にいい成績がつくんだからそれでよいと思っていた。よい内申書がほしい人は、馬鹿が多いから楽だといって喜んでいた。相対評価とはなんぞや?)。

 さて、わたしが、高校3年生の2学期、生徒会長に立候補したとき、校長はわたしの立候補の用紙を破り捨てた。
 丁度、その1年前、学校を占拠したこともありました。生徒を中庭にあつめて、校舎によじ登ったり、学校行事をボイコットしたり。
 高校2年の生徒会の演説では、途中で先生が演説内容に驚き、途中でマイクを切るという離れ業を見せました。わたしは大声で演説を続け、全生徒の90%を超える得票を獲得し当選しました。その得票数は、記録として今も残っているはずです。

 わたしは16歳ですでにアジテーションのプロでした。
 朝日新聞や毎日、読売などがわたしたちの高校のどたばた劇を面白おかしく記事にしました。「生徒が学校をボイコット 理由はコーヒー牛乳!?」とか「マラソン大会 生徒走らず 先生だけで走る」などなど。
 新聞記者は嫌いです。自分の言ったことが矮小化されてしまう。

 それをみたカクマル派や赤軍くずれの大学生がわたしを勧誘にきました。でも、わたしはそういうのが嫌いだった。 生意気なガキで、就職もせず、ただ単に就職執行猶予のために、大学に行きたかった。受験勉強をしなくても大学へはいった。いけるところへいけばよいだけだから。

 高校時代や大学時代の挫折は、受験という挫折ではなかった。生き方に挫折してきた。
 80年代の愛知県を支配した管理教育というものは、3年間我慢して、素通りすればいいものじゃなかった。
 道具を手に入れるためではなく、生き方そのものを手に入れるためにやってきた。そういう意味の「たたき上げ」です。 そんな原体験がわたしを支えています。

 この仕事をしていても、どんな状況でも、個人投資家が一番大事だと思っている。大手ばかりで何でも決めて、既得権益の塊のような業界に嫌気がさしています。
 個人投資家が報われない社会は、信頼できる社会ではない。そう思って億近を手伝っています。

 火曜日の大原のページでは、銘柄情報は長期投資に向くものだけを取り上げる予定です。そして、投資の真髄に読者とともに迫りたい。たたき上げの運用者として、人間のすばらしさを伝えていきたい。

 繰り返し、投資のすばらしさを訴えていくつもりです。何度でも。何度でも。 投資とは、人間の営みそのものだということがわかってきたからです。

今後とも、億近をよろしくお願いいたします。(大原)

 

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2001/07/16 エクセレントカンパニー20社
炎のファンドマネージャー

 

 【有力アナリストが選んだ技術立国・日本発世界をリードするエクセレントカンパニー20社】

 株式市場の低迷を受けてお悩みの投資家は多いだろうが、とりわけ電機・ハイテク株をお持ちの方は、ITバブルの崩壊で先行きが見えなくなってきたことから、いくら世界的なテクノロジーを持っていると言っても不安が先行。どこまで下がるかと、ただ指をくわえて見ているしかないのが現状かも知れない。

 折りしも、バイオテクノロジー、エレクトロニクスなどのハイテク関連上場企業で、海外の機関投資家が実質的な筆頭株主になる例が相次いでいる、との報道がなされた。

 皆さんも会社情報などをご覧頂くと判るように、外人持株比率が結構高い企業を見出すことができるだろう。また、キャピタルリサーチやフィディリティなど、やたらとカタカナの名前の株主が並んでいる企業も数多いと感じておられるに違いない。

 彼らの投資成果がどうであれ、彼らの投資先は世界に通用する経営、技術を持つ企業だとしており、投資スタンスは明確。今後も彼らのようなスタンスで海外投資家は日本株を十分に吟味し、選択しながら投資してくるに違いない。

 そこで億近の兵(つわもの)3名(両津、大原、駄洒落)にお願いして、技術立国・日本から世界に向けて誇れる代表的な企業20社をセレクトしてもらった。3人寄れば文殊の知恵、低迷する株式市場が復活する砦となるようなエクセレントカンパニーにご注目願いたい。

 前回の月曜のコラムで登場した20銘柄を選定したのは、皆さん既にお判りの通り両津氏。
 これまで約1年の間、精力的に国内外の企業や工場等を訪問し、しっかりと自分の目で企業を見てきた実績がある両津氏は、今回特に20銘柄のうち次の5年間に活躍が期待できる企業として、カテーテル、マイクロマシンの技術に優れたオリンパス(7733)、シンチレーションと呼ばれる検出器の技術に優れた世界的な光関連企業である浜松ホトニクス(6965)、圧電素子などのファインセラミックスの分野で画期的な技術力を誇る日本ガイシ(5333)、化合物半導体エピタキシャルで世界的な技術を有す古河電工(5801)、NC、サーボモーターの世界的メーカーであるファナック(6954)、次世代ディスプレイとして脚光を浴びるカーボンナノチューブの世界的企業であるノリタケ(5331)、同じく有機ELの最先端企業である東北パイオニア(6827)などに注目しているという。

 上がっている株もあれば下がってきている株もあり、「皆さんご自身でうまくタイミングを考えて投資してください」と、うまい冷酒の入ったボトルを傾けながら話してくれた。

 また、大原部長が選定したのは両津氏と同様に電機・ハイテク企業が主であるが、10銘柄をピックアップして貰ったのだが、その中ではR&D型企業としてソルダーレジストで世界シェアトップの太陽インキ(4626)、プラスチックからガラスレンズまで光学系の量産製品を支える立役者としてのエンプラス(6961)、セットメーカーの原点に立ち返り再生を期す映像と音響の技術融合を図るユニークな企業として世界市場で君臨できる企業としてアイワ(6761)、回路設計、ノイズ処理技術に優れ新たに高周波設計サポートビジネスが立ち上がった村田製作所(6981)、Cu配線のCMPに期待される荏原(6361)、半導体製造装置の世界的企業である東京エレク(8035)の6銘柄に、こちらで勝手に赤丸をつけて、20銘柄の中に入れさせて貰った。

 テクノロジーセクターから流通分野まで幅広く企業調査をしている有力アナリスト、駄洒落商会さんにはテクノロジーという世界からは選定の主旨から外れたかも知れないが、大手流通企業からも選定してもらい、20銘柄をピックアップして貰った。その中からユニクロを展開し世界に挑戦するファーストリテイリング(9983)、世界最大のコンビニチェーンであるセブンイレブン(8183)や、24時間無人時間貸し駐車場という世界にも通用するユニークな事業を展開するパーク24(4666)、バイオテクノロジーの世界で武田(4502)、宝酒造(2531)、ヘルスケアでは動脈硬化を自動計測できる血圧脈波検査装置の急成長が期待できる日本コーリン(6872)などを特注銘柄とした。また、環境関連では世界的フッ素ケミカル企業で燃料電池用のイオン交換膜技術を有す旭硝子(5201)に大きな関心を示しているとのことで、これも20銘柄に加えさせて頂いた。

 最終的に、彼らが提供してくれた候補銘柄から私が独断と偏見で選んだのが以下の20銘柄である。

銘柄
テーマ
外国人
持株
比率
(%)
R&D
比率
経常
利益
(億円)
ノリタケ CNT(カーボンナノチューブ)
11.2
-
82
日本ガイシ 圧電素子などファインセラミックス
15.6
5.1
310
古河電工 化合物半導体エピキャシタル
30.3
2.3
660
東北パイオニア 有機EL
12.2
1.8
35
ファナック NC、サーボモータ
19.4
-
800
浜松ホト シンチレーション
5.2
11.9
102
オリンパス カテーテル、マイクロマシン
23.1
5.9
300
太陽インキ ソルダーレジスト世界シェアトップ
17.6
1.5
54
荏原 半導体ウェット工程統一
13.2
3.1
160
アイワ 映像と音響の融合技術
4.6
-
赤字
エンプラス プラスチックレンズ
12.1
2.3
45
村田製作 ファインセラミックス
30.7
6.6
935
東京エレク 新塗布プロセスの立ち上がり
36.2
10.1
250
宝酒造 再生医療、ゲノム解析
10.9
1.7
115
武田薬品 ゲノム研究
29.9
11.2
3170
パーク24 24時間無人時間貸し駐車場
12.4
-
42.5
旭硝子 イオン交換膜(燃料電池)
14.7
2.0
980
日本コーリン 血圧脈波検査装置
10.3
8.4
32
セブンイレブン コンビニエンスストア
7.6
-
1483
Fリテイリング ユニクロの世界進出
22.0
-
1040

 多少の投資タイミングの研究余地はあるにしろ、世界に誇れるとの認識が投資家にあれば、財産としてこれら株式を所有し、中長期でリターンを上げることもできるであろう。
 日本を代表するこれらエクセレントカンパニーが、株式市場復活の鍵を握っていると考え、決して全体相場の動きを悲観視することなく、前向きに捉えていきたいものです。

 特許戦略を含めて、今後ますます技術優位の経営を打ち出した企業が注目されてくるに違いありません。社内に蓄積された有益な特許や技術力、経営ノウハウが、対外的にアピールされる時、これらの企業は大いに価値を高めることになるでしょう。

 日本が生き残るためには弛まぬ最先端の技術の開発や、様々な応用技術が不可欠となります。低コストでの生産を中国やベトナムにまかせて、日本はテクノロジーをベースに生き残ることが肝心です。
 それには、こうした技術的な背景やノウハウを備えた企業を、皆さん自身がもっと知って身近なものにしていくことが必要だと思います。

 マーケットオリエンテッドからテクノロジーオリエンテッドへと、日本の構造改革が進む中で、市場参加者の意識改革が大いに求められているのではないでしょうか。(炎)

 

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5
2001/07/16 自分で投資スタンスを決めよう
炎のファンドマネージャー

 

 「あなたの投資スタンスを教えて下さい。」そう聞かれて皆様はどう答えられますか?

短期ですか?長期ですか?小型株指向ですか?大型株指向ですか?成長株指向ですか?安定株指向ですか?低位株指向ですか?値嵩株指向ですか?自分で投資判断しますか?他人に判断を任せる方ですか?技術力を重視しますか?マーケティング力を重視しますか?ブランド力で決めますか?ビジネスモデルで決めますか?バランスシートを重視しますか?損益重視ですか?配当重視ですか?高値圏でも平気で買いますか?安値買いに徹していますか?分散投資していますか?集中投資していますか?

…などなど、どのような投資スタンスでお金を運用しているかで、皆様の億の近道度が違ってきます。

 こうした投資スタンスは一般にはふらふらしているものです。相場の流れが常に変化しているからです。今日買って明日売るなどという短期売買中心の運用では、その時の状況によってそのスタンスそのものが物凄く変化してしまいます。
 短期売買が儲かるというのはある種の錯覚です。儲かるように見えて実際には大きな資産は実現できないことも事実です。

 100万円が200万円、200万円が400万円、400万円が800万円、800万円が1600万円、1600万円が3200万円、3200万円が6400万円、6400万円が1億2800万円。最初の100万円を倍増させていくと、7回目で1億円に到達します。

 1年で倍の目標なら、7年で100万円は1億円を突破します。
 これは投資の「波乗りジョニ−」といった夢のような状態です。でも決して夢ではありません。あの三協フロンテアが、わずか3ヶ月で4倍になったように、株式市場には常に可能性が秘められているのです。

 つまり、10%だとか20%とかいう小さな投資成果を1年かけて狙っていくようなスタンスでは大した資産形成はできないが、毎年倍増狙いなら100万円は7年後には1億円となって返ってくることになります。夢を追い求める方は、こうした資産倍増の方法を常に研究しておくことが必要となります。

 このノウハウを失敗の繰り返しから学ぶことがポイントです。 毎月10%を狙うもよし、1年のスタンスで銘柄を決めて倍増を狙うもよし、リスク分散しながら着実にいくことにしましょう。ある意味では現状の市場環境は資金倍増作戦にはチャンスかも知れません。これ以上下がらないと判断できる水準を自分で考え、着実に個別銘柄を拾っておきたいものです。

 考えようによっては、今まで市場に参画していなかった方はここから新規に入れば夢の実現に向けての第一歩となる可能性があるのです。これまですでに市場参加している方にとっては、いまいましい株式相場であるのかも知れませんが、これから新規で始める方にとって下がっていることが幸いなのです。

 ところで、四季報などをご覧頂くと3000社以上の銘柄の年間の高値、安値が出ていますが、単純に安値と高値を比較してみると、2倍ぐらいあるのはザラです。
 安くなった時こそ、次のタネを蒔いておく必要があります。高くなった時はなかなか売りにくいものですが、しっかり売っておいてボトムが来るのを待つことです。…と言っても、言うは易く行うは難し。

 止まっているゴルフボールなのになかなかナイスショットすることができない(皆さんはゴルフが上手かも知れませんが…)のと同様に、これだけ情報が氾濫し、いろいろな評論家の先生や投資情報誌が出回っていて、それを参考にして売買しているのになかなか儲からないという経験がおありかと思います。

 それは、大方が投資スタンスを間違えているからだと私は思っています。ゴルフのレッスンプロが基本のフォームをしっかり教えてくれるように、各自がご自分の性格や状況に応じた投資スタンスを身につけ、無理なくゆったりした気持ちで株式投資にあたられることをお奨めしたいと思います。

 株式投資では、単純に回収金額から投資金額がプラスなら利益と考えず、マイナスとなっても勉強した分が蓄積されているなら、それは無形資産としてご自身の頭の中に蓄積されているとお考え頂く方が気が楽だと思います。皆さんは様々な経験の中からそうした意識を、知らない間に植え込んでおられるのかも知れません。

 年令や資金量、資金の性格、運用期間などによって投資スタンスは違ってきます。短期的な売買を繰り返す方々が大きな資産作りを目指しても、なかなかうまくいかないと嘆かれるのは、最初から投資スタンスが決まっていないためです。

 皆様のような個人投資家(中には機関投資家の方もお見えかも知れないが)であれば、株式の経験年数によってチャレンジの仕方が変わってくるかと思います。
 初心者の方は、とにかく最初は勉強のために様々な性格の銘柄にチャレンジすることも時には必要でしょう。既に億近などを活用して、実践されている方も多いのかもしれません。

 実践しているうちに経験が蓄積されて自ら物を考え、決断力も高まるのかと思います。投資スタンスを決めて、そのスタンスに沿って大いにチャレンジして頂きたいと思います。

 少額資金でリスクが取れる度合いが高いのなら、リスクはあってもリターンの高そうな銘柄にチャレンジすることですが、折角そうした気持ちを持っていても、大きな資金と同様に余りに安定指向に走ってしまって、周りが奨めるものだからと、誰もが知っているNTTや今回の日本マクドナルドなどのような有名企業の株式に投資してしまうことが一般的なのかも知れませんが、それではつまらないと思います(但し、それでいいんだという方もいるかも知れません)。

 このように、大きな資産を作ろうとするためには、各自で投資スタンスを決めておいた方が良い場合が多いことが、おわかり頂けたかと思います。

 例えば、大原部長のように年金資金を相手に運用を行うファンドマネジャーであれば、かなり長期で企業の成長性を見極め、投資に当たることになります。これは年金資金という性格上、止むを得ない面があります。

 また資金の額が大きいと、時価総額の小さい小型株は運用の対象にはなり難いことが大半です。例えば1000億円の年金マネーであれば、約50程度の銘柄に100%分散投資するとして、1銘柄当たり20億円が投じられます。そうすると1日に1000株、2000株しか出来ないような店頭小型株なら、買い付けするだけで何日もかかりますし、発行済み株式数の10%以上を組み入れないとならないことにもなりかねません。運用の際のある一定のルールが決まっていますので、例えば発行済み株式数の5%を超えて買えないとなると、時価総額は400億円以上ないといけないことになります。

 この辺りのことは追々触れていきますが、とにかく各自で資金の性格等に応じて投資スタンスを決めて頂き、所期の目標に向かって邁進して頂きたいと、大いに期待しております。

 私たちはそのホンの小さなお手伝いさせて頂ければ幸いです。 これからも億の近道をこよなく愛して頂き、皆様のライフスタイルの中に取り入れて頂きたいと思います。(炎)

 

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2001/07/12 提言:IRの新潮流
炎のファンドマネージャー

 

【企業はIRのために無駄な高いコストを払わず、配当金で示せ】

 最近は多くの企業がIRに力を入れ始めてきたことから、皆様もこのIRという言葉はよく耳にされているかと思いますが、いかがでしょうか?

 企業は自分たちのことをよく投資家に知ってもらいたいと、専門業者や証券系のノウハウもないような人集めだけが長けている企業に、一定の決して安くはないフィーを払ってアナリストミーティングなどを開催し、企業内容の開示を図ることになる。

 アナリストミーティングでは、より具体的な企業の実体が明らかにされていき、アナリストレポートが作成されていく。時にはスモールミーティングで少数の限定されたアナリストに対して内容が明らかにされていく。企業はIRに熱心な企業ほど、できもしないような過大な業績目標を示し、それを信じて投資した善良な投資家の落胆を買うことになることもよくある。

 変化の激しい時代であるから、アナリストはよほどの神様のような存在か、ビジネスモデルが明確で景気の波に左右されない企業でないと買いのリコメンドは出せないはずだが、いとも簡単に買い推奨をすることが多い。一旦アナリストがレーティングを上げると、馬鹿な機関投資家はそれを信じてうなされたように逸早く買いに走る。手数料はスズメの涙程度しか貰えないから、きっと裏では何か悪いことをしているのではないかと思われるような、仕組まれたようなレポートが出ることもある。

 彼らの本質は、所属する機関のために調査活動をすることであり、決して一般投資家のために仕事をしているのではない。誰がソフトバンクや光通信の素高値で買いのレポートを出したかはもう記憶の彼方に去ってしまったが、もう彼らはその機関には存在しないだろう。

 株価がつり上がって儲けた投資家は何も言わず、儲けた金を温存していればよし。きっと他の株を高値でつかんで四苦八苦しているに違いない。多くのアナリストや投資家を集めた時代の寵児は、今や見る影もないのである。

 熱から冷めた投資家は一体どこにいくのか?
 さまよえる子羊は自我に目覚めることになる。
 独自の判断力や株式投資の基本をしっかり身につけることが早道と…。

 そこで提案。

 投資家は投資の原点である配当を重視しよう。
 企業は、相場の状況を見ながら最大限の配当を投資家に配分しよう。配当性向の重視が、さしたる成果も期待できないようなIRへかけるコストに代わって重要であることを認識しよう。

 例えば、IRに600万円や1000万円かけるぐらいなら、そのお金を投資家のために配当金に回すようにしよう。IR会社、特に証券系のIR会社はさしたるノウハウがないのに余分なフィーを要求せず、頼まれたら実費だけにしよう。もはやIRは自社内で処理するか、NPOに頼むしかない。例えば日本証券アナリスト協会などのNPO組織だ。彼らの会場費は極めて安い。

 アナリスト協会はもっと積極的にIRをサポートしよう。できることは山ほどある。プレゼンの内容をTV放映やインターネット中継するぐらいの試みをするべきだ。証券系のIR会社は補助的役割に徹して、中立性に欠けるので基本的に企業は活用することを控えよう。

 彼らが要求する法外な費用は、株主に還元することが必要だと痛感する。
 配当重視、つまり投資家は目先のキャピタルゲインより、安定した配当を求めたインカムゲイン投資に重点を移そう。

 政府は配当の二重課税など不公平な税制を見直し、リスクを負って投資する一般投資家に収益をより多く還元する制度を構築しよう。

 アナリストや証券会社は、成長性の予測や財務内容の分析だけでなく、配当にリコメンドの重点を置こう。配当政策の充実を企業に働きかけ、郵貯に預けている投資家を株式市場に戻そう。

 投資の原点を、昭和30年代に見られた配当利回りに戻す作業が、すべてに求められていると言ってもよい。

 株価が下支えされてはじめて構造改革は実現する。小泉首相を批判する前に構造改革を実現するための施策を市場関係者は皆んなで考えるべきだ。

 たった今、ある企業のオーナーから電話がかかってきた。

「当社は配当金を上げることを検討しようかなと思っています。これまでIR会社などに頼んでIRをやってきましたが、なかなか市場が言うことを聞いてくれません。現在の5円を引き上げて配当利回りを上げて、新たな投資家を呼び込みたいと思います。」

「社長、まさにしかり。私も配当利回りの高い企業を大いにアピールしようとしています。高い費用をIR会社に払うなら、その分を配当金にまわした方がよほどいいのではないですか?投資家の期待が高いですから、よろしく頼みますよ。」

 年間2000万円を配当に回しているその会社が、1000万円使ってIRしているなら、その分を増配して年間3000万円を配当に回した方が良い。決して馬鹿にならない金額である。一株配当は5円から7.5円。これで現在の配当利回りは1.7%となる。ついでに先行きの業績に自信があるなら、配当性向主義で配当性向を30%にしておけば、投資家はEPSが増えたら自然に配当が増えて、自分のリターンとなることを認識できるのである。

 こうした配当性向30%を打ちだしたカナレ電(5819)の株価は、ここに来て下がってはいるが比較的安定している。下値が堅いのは多くの投資家に支持されている証拠とも言えるし、下がったら自社株買いをやるとの企業のスタンスにもよる。

 発行体は、いかに長期スタンスの投資家を集めるかが重要な鍵となっている。企業オーナーでこのメルマガを見ている方がおられれば、こうした考えをぜひ参考にして頂きたいと思います。

 因みに私が期待している配当率は4%以上です。実際にこうした企業は市場に存在しています。皆さんの期待配当率はいかがでしょうか?それでは、皆さんの健闘を祈る…。(炎)

 

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2001/07/09 コラム3連発
炎のファンドマネージャー

 

 先週末の億近プロジェクトチームの会合で、「各自に割り当てられた曜日毎にもっと色をつけて各自が取り仕切っていくようにしよう」との意見が出され、私の担当曜日であります月曜日もそうした要請に応える必要が出てきました。

 ズバリ!!私の特色は皆さんご存知の通り、小型株に強い(決してそうとばかりではないと自分では思っているが…)ことにあります。炎と言えば誰が何と言おうと小型株、特にJASDAQ株、新興市場株にアクセントを置いているとのブランドを、更に確立していきたいと思っております。

 常に結果は後からついてきますので、レビューしながら次に進むスタンスを続けていきたいとも思っております。誰も見向きもしなくなったにも関わらず、内容の優れた企業の株式を皆さんに徹底的に紹介していくスタンスを取っていきたいと考えております。

 低PER、低PBR、高配当利回りなどの指標でフィルターにかけて見て、割安感が自然に出てくる銘柄に取材を敢行し、将来性が高い企業の株式を抽出していくことが、私の活動の主たる中身となります。皆様にとっては大方が買い安心感のある銘柄ばかりを基本的には選択しますので、多少高値で掴んでも時間が経つとかなりの確率で戻ってくることが期待できるものと自負しております。

 但し、私は既に多くの方に支持を受けていて私の活動のためのカンパをして頂きながら日々生活もしておりますので、いくら我が愛すべき億近読者のためとは言え、限界もあります。有料コンテンツとは切り離して、極力内容表現して参りたいのですが、このあたりをご理解賜り、大いに今後ともお楽しみ願いたいと考えております。

 なお、特色としてよりわかりやすく、明るく、楽しくをモットーにして参りたいと思います。
 時に笑いあり、悲しみあり、ダジャレは駄洒落商会に任せるとして、近未来株式小説や季節毎の俳句集ありと、バラエティに富んだ内容にしていきたいと考えております。

 決して大原部長や両津氏のような、レベルの高い技術への造詣を背景にした素晴らしいコンテンツは掲載できないかも知れませんが、ごく当たり前に皆様の生活の中に溶け込むような内容にしていきたいと考えております。もちろんコラムなども今まで通り、掲載していきたいと思います。拙いコラムですが、ぜひご参照願えれば幸いです。引き続きご愛読の程をお願い申し上げます。
 なお、億近の新バージョンは来週月曜日からスタートする予定です。


【コラム3連発】

1.どこまで下がるのかインデックス〜当面の下値目途、今週の相場レンジ〜

 先週末に日経平均は12500円を一気に割り込み、三角保合いからの下放れを提示。週末のNASDAQ安なども手伝って、本日の株式相場も大幅続落。日経平均は一時12029円と、12000円割れ寸前まで売られてしまった。6/19の終値1254.19ポイントを若干下回ったものの、6/20のザラ場安値1245ポイントは維持して先週末を終えたTOPIXも、本日は一気に安値を更新。1237.9ポイントと大幅安で引けた。

 指数に寄与度の大きいソニーなど主力ハイテク企業の株価の下落が激しい上、このところしっかりした動きを見せた中低位銘柄や、銀行、証券株など軒並み安となった。

 日経平均は6/19の安値12511円を割り込んでしまった事から、当面のレンジは11800〜12700円と考えられるが、6/8の戻り高値13430円から6月18日の12697円までの下落幅の倍返しが11964円であり、転換足からは下値目途は11824円と計測できる。

 これは3/13の終値11819円とほぼ一致していることから、11800円は相当な下値支持線と考えたい。

 今週は米主要ハイテク企業の四半期決算発表が本格化する。予想外の業績悪化が報じられれば、日本株式も影響を受けない訳がない。日米共々ハイテクセクターの先行き業績懸念は当面払拭できないことから、米の通信、ネット関連企業の決算発表が相次ぐ今週は、ハイテクセクターの動きが特に注目される。

 9日の機械受注発表にも注目。前日比5%減の市場予想を更に下回るようなら、全般に売り圧力が強まることに。

 12,13日の日銀政策決定会合では、現状の政策維持が見込まれており、株式市場にインパクトを与えることはないだろう。

 なお、13日には上場型投資信託(ETF)がスタートする。相場にどの程度インパクトを与えるか注目される。

*前回の株式展望で13000円を挟んでもみ合う展開を予想したテク二カルアナリストI氏は心なしか元気がない。皆様にももしかしたらご迷惑をおかけしたのでは…と、オフィスにも顔を出さなくなってしまった。相場の達人をも悩ます相場展開となってきましたが、今回は先週末のテクアナI氏のコメントをベースに、本日の相場の動きまで含めて私、炎がまとめておきました。

 どちらにしても、誰かがある程度の見通しをコメントしておく必要がありますから、拙い私のコメントですが、ご参照ください。


2.技術大国日本発世界をリードするエクセレントカンパニーを探そう
   〜3人寄れば文殊の知恵〜 (その1)

 相場下落の折に株式雑誌のネタになりそうだと思い、現在3人のアナリスト(実は大原部長、両津勘吉、駄洒落商会)に技術大国日本発世界をリードするエクセレントカンパニーを選定してもらっているが、その中の1人からは早速に以下の銘柄が返ってきた。

 その結果は順不同ですが、

●オリンパス(7733・時価1976円) カテーテル、マイクロマシン…ライフサイエンス
●浜松ホトニクス(6965・同3420円) シンチレーション(検出器)…半導体、ライフサイエンス
●日本ファウンドリー(6939・同68.1万円) 低コストセミコン製造…半導体
●日本製鋼所(5631・同166円) レーザーアニール、燃料電池…半導体、エネルギー
●三菱製紙(3864・同215円) インクジェット紙…IT
●東芝機械(6104・同310円) 電子描画装置…半導体
●日本ガイシ(5333・同1004円) 圧電素子などファインセラミックス…半導体その他、エネルギー
●古河電工(5801・同803円) 化合物半導体エピタキシャル…半導体、IT
●フジクラ(5803・同631円) パンダファイバ…IT
●デンソー(6902・同2310円) 給排気トータルソリューション…環境
●ファナック(6954・同6100円) NC、サーボモーター…省力化、ロボット
●ノリタケ(5331・同647円) CNT(カーボンナノチューブ)…次世代ディスプレイ
●東北パイオニア(6827・同2670円) 有機EL(蒸着)…次世代ディスプレイ
●日本板硝子(5202・同630円) セルフォックマイクロレンズ…IT、通信
●旭硝子(5201・同994円) イオン交換膜(燃料電池)…エネルギー
●日本酸素(4091・同471円) MOCDD…半導体
●エンプラス(6961・2560円) プラスチックレンズ…光・半導体
●村田(6981・同7410円) ファインセラミックス…IT、通信
●日本特殊陶業(5334・同1147円) ファインセラミックス…IT、半導体
●放電精密(6469・同1710円) 金型、複合マシン…省力化

 億近の読者なら、この銘柄群を見るともう誰の答えかお分かりでしょう。(答えは次回です。)
 やや電機・ハイテクに偏っているきらいがありますが、いずれも素晴らしい企業だと思われます。
 彼は親切にもそれぞれのテーマを書いてもいますので、参考になるかと思います。

 オリンパスやデンソーを除いて大方が急激な下げトレンドに見舞われておりますが、日本を代表するこれらエクセレントカンパニーは、いずれは復活する!!との思いがあれば決して悲観視する必要はありません。但し、全体指数の動向次第でどこで下げ止まるかは判りません。

 皆さんも大いに研究の程を願います。また、あとの二人にもピックアップして貰うようお願いしていますのでお楽しみに願います。

 特許戦略を含めて、今後ますます技術優位の経営を打ち出した企業が注目されてくるに違いありません。社内に眠る有益な特許や技術力が、対外的にアピールされる時、これらの企業は大いに価値を増すことになるでしょう。

 日本が生き残るためには弛まぬ最先端の技術の開発や、様々な応用技術が不可欠となります。低コストでの生産を中国やベトナムにまかせて、日本はテクノロジーをベースに生き残ることが肝心です。

 それには、こうした技術的な背景を備えた企業を、皆さん自身がもっと知って身近なものにしていくことが必要だと思います。かつて私が主張したように、マーケットオリエンテッドからテクノロジーオリエンテッドへと、更に日本は体制を整えていくべきではないでしょうか。


3.見直そう利回り採算と株主優待制度

 相場が下げてくると見直されるのが配当利回り。それにおまけの株主優待制度である。 多くの投資家は、株式投資によって得られるリターンは、買ってすぐ売ることで得られるキャピタルゲインだけだ思っていませんか?それは大きな間違い。株価が下がってくれば、当然の如くに配当利回りで買える銘柄が浮上して参ります。それに大したことはないと考えておられる株主優待であります。 配当利回りなんて重視したら儲からないなどとあきらめずに、しっかり見ておきましょう。目先はともかく後からきっといいことがあると思います。

 値嵩ハイテク株がなかなか下値が見えてこないのは、下支えとなる配当利回りが低いことに起因していると考えられます。つまり、株価がEPSの成長期待から上がっている時には気にならなかったことが、下げトレンドに入ってきたことで収益展望の明るさが見えない間は、どこまで下がるかの目途がなく下げ続ける訳であります。この一方で、利回り採算に乗る電力株やガス株、鉄道株などは下値が堅く、堅調な推移を辿ってきたものと言えます。

 このことは配当利回りの高い店頭小型株にも該当します。安定して配当を継続できると見られる銘柄で、無理なく高い配当を維持できる企業の株価は、概ね下値が堅くなってきます。

 一般投資家はこうした配当利回りの高い銘柄でポートフォリオを組んで、キャピタルゲインよりインカムゲインを狙うことです。結果としてキャピタルゲインが得られるなら、それに越したことはないでしょう。

 インカム狙いならじっくりと株式を買うスタンスが取れます。慌てず、騒がず、じっくりと下値をコツコツ拾うスタンスが結果としては良いという経験を皆さんはこれまで何回となく味わって参りましたよね。

 現在はそうした状況に再びなっています。周りの弱気の声に惑わされず、インカムゲインでも良いとの発想で、冷静に着実にいくことにしましょう。皆さんも四季報などを片手に研究してみてください。
本日は一例として別掲のイチオシ銘柄を掲載しておきました。

【イチオシ低PER、高配当利回り銘柄】 (但し品薄なのでくれぐれもご注意のこと)

●明光ネットワークジャパン(4668)
 時価385円  8月年一回配当年12円、配当利回り3.1%
 今期予想EPS50円 PER7.7倍 ROE13%(20%はほしいがこの水準なら妥当)

 同社は「教育・文化事業への貢献を通じて人づくりを目指す」との経営理念のもと、教育事業全般を視野に入れた事業活動を行っている。現在の基幹事業は個別指導学習塾のパイオニアとして全国FC展開を図る「明光義塾」事業であるが、IT時代や高齢化、生涯学習へのニーズの高まりの中で、これをサポートする21世紀型の総合教育カンパニーへと変容を目指す。

 昨年4月にさいたま市で開校した「明光福祉専門学院」では、高齢化社会で必要となるホームヘルパーなどの研修や、資格試験取得講座などを通じて介護支援事業を行うほか、同時に併設した「明光介護支援センター」では、在宅介護に関する訪問調査・ケアプラン作成などを手掛けている。将来はエリアの拡大で事業発展の柱になることも想定される。

 インターネット関連事業では、生涯学習に関するインターネット上の総合学習オリジナルポータルサイト「学navi.com」を開発。英会話や国家資格取得など、あらゆる教育についての情報を自由に収集し、内容確認から資料請求、サービス申し込みまでが可能。ユーザー会員と法人会員を結びつけるだけでなく、法人会員間の情報交換、各種提携による学習サービスネットワークの構築を視野に入れている。

 このほか、個別指導型パソコンスクールを開校するなど、個別指導塾をベースにしてインターネット関連事業にも進出するなど、少子化対応の戦略が積極化。

 2月中間期業績は過去最高の水準となるなど好調。今期予想EPSは50円。8月期末の12円配当取りも兼ねて、400円以下の株価は買っておいて良い水準ではないだろうか。但し、品薄なのでご注意ください。

 構造改革を推進する小泉内閣にとっては、産業構造を変えるために社会人教育のための事業は不可欠となるだろう。
 少子化でネガティブに見られ、見落とされてきたが、高齢化を睨んだビジネスも開始。
 有利子負債はゼロで財務内容は良好。地味だが着実に業績が上がっていくことを期待。FC先の経営状況などリスク要因もあるので、本当にインカムゲインのみを念頭に入れて投資するよう心掛けたい。なお、過去の上場来高値は昨年の630円。(炎)

 

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2001/07/05 電子部品セクター見通し−売りから中立へ一歩前進
大原部長

 

  年明けから、ずっとハイテク株に警鐘をならしてきたつもりだ。(読者のみなさんは、そうとってくれているのかどうかわからないけど)そろそろ売りの立場から中立へ投資判断を引き上げたい。

 業況はさらに悪化している。
 従来の市場コンセンサスは、「4月5月が底。6月以降は徐々に回復。ただし回復のペースは弱い」という感じでした。しかし、実際、6月の状況が悪く、「底は7−9月、下期徐々に回復」と市場の見方はここ数日の間にさらに厳しいものになってきた。

 ちょっと早い気もするが、2−3年の投資スパンなら、いま、買っておいてよいと思っている。
 あれだけ ボロカスにいってしまったTDK(6762)。ちょっと言い過ぎたかなと実は思っている。予言どおり5000円台(終値5530円)となった。村田やロームと比較では、アナリストの評価はますますTDKに厳しくなってきた。10日の社長のプレゼンに注目したい。

 ロームの経営者であれば、「不況下でこそ出来る前向きの取り組みがある」ということを身をもって示すだろうし、秀でた要素技術を持つ村田であれば、「自社の強みが生かせる応用分野を市場開拓していくのみ」ということになろう。
 しかし、TDKの場合は、不況下でやることがない状態に陥っている、と投資家にとられている。

 よい経営は、不況下でどう体力を温存するのかを知っている。そして、次の飛躍への準備を着実にする。景気がよいときは、ああすればもっとうまくできる、こうすればもっとうまくできる、とたとえ思っていても、忙しくてそれどころではない。

 不況になれば、組織の質の差が大きくものをいう。よい経営は、不況を繰り返すたびに利益のピークを更新できる。不況は、マラソンでいえば、のぼりの坂道。よい選手は、一番苦しいところで、スパートをかけることができる。

 しかし、先日、武蔵というファンドを運用する方のコメントが日経に載っていて、少し、驚いてしまった。真の長期運用者なのか、単なるへたくそなのか、よくわからないが、ハイテクセクターのウエイトがまだまだ高い。

 結構、みんなもっているんだなあ、と逆に先行き心配になった。

 あきらめている一方で、保有しつづけるという人々が多いから、ハイテク株はまだまだ先行き不透明。当面、リバウンドも限られる。

 不況のとき、企業が何をしているのか、しっかりと見てみるといい。NFIやロームは、スパートをすでにかけている。インテルもかけている。財務内容が悪い多くの日本の総合電機会社は、すでに今の時点で脱落してしまった。三星を除く韓国も脱落しつつある。台湾勢も余力がない。

 となると、やはり、日本の電子部品の限られた有力会社の出番は必ずある。

 10月にハイテク株が反転するまで、まだまだ時間がある。しかし、準備はしておきたい。株価が下落している。だから、投資判断は強気へと一歩進むべきだろう。ここで弱気になってはいけない。(大原)

 

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2001/07/02 今週の相場展望について
炎のファンドマネージャー

 

 先週は木曜に嫌な場面があって、週末は明るい展開となりホッとされた方も多いのではないでしょうか。相変わらずの波乱の展開となっていましたが、皆様はどのように対処されましたか?
 弱気の意見に耳を傾け過ぎて、せっかくのチャンスを掴み損なった方が多いのかも知れませんが、我がテクアナI氏だけは相場の見通しを冷静にまた、適確に捉えているようです。まず今回は先々週と先週掲載したコメントをチェックして見てから、改めてコメントをして頂くことに致しましょう。

 さて、先々週と先週の相場見通しについてのコメントは以下の通りでありました。先々週のコメントです。


 米国株安や国内の経済指標悪化など悪材料が重なったことから、日経平均は急反落し、一時12600円を割り込んだ。本日付けた安値12578円は、4/10に付けた安値12579円と同水準であり、言わばチャート上の急所どころであった訳で、12500円台を割り込まなかったチャート上の意義は大きい。大引けは12790円に引き戻し、下ヒゲの陽線を出したことはテクニカル的に見て下値に届いたと判断して良いでしょう。STC指数は昨日10ポイント割れの底値ゾーンに達し、転換足は節目を各々キープ(日経平均12610円、TOPIX1259ポイント、225先物12700円)したことから、12578円が二番底の可能性が濃厚であり、来週はリバウンドを期待。市場では3月下旬から買い越しを続けていた外国人投資家が、6月第1週(4〜8日)は3353億円の売り越しを記録したこと、本日発表された6月の月例経済報告で景気の現状について「悪化しつつある」と判断が引き下げられたこと等、株式市場を取り巻く環境が悪化していることから株価は当面低迷、一部では12000円台割れの弱気の見方も出ているが、短期のテク二カル指標にボトム圏入りを示唆しているものが多く、弱気は禁物です。 来週の株式市場は、前半一目均衡表の雲の下限12995円どころで抵抗に合いましょうが、週後半は13000円台突入と見ております。(テクアナ)


 実際の日経平均は、週初12766円でスタートして19日に一旦12912円の高値があって、同じ日に安値12511円まで売られ、20日も安値12512円をつけたが、引けは12674円、21日は12962円引け、22日は高値13079円まであって引けは13044円となった。(炎)


先週のコメント

 先々週の株式相場に続いて、先週の相場見通しもズバリと相成った。先週の当欄では今週の相場について「週前半は一目均衡表の雲の下限の節目どころで抵抗に合うが週後半は13000円台突入」と書いておいた。果たせるかな日経平均は19日(火曜日)に一旦12912円を付けるものの、伸び切れず反落し、12511円まで下押した。そして週末の今日、想定通り13000円の大台を回復して取引を終えた。廻りが弱気だらけで12000円大台割れの指摘がスンナリ受け入れられるような状況下での13000円台乗せの主張は価値あるものと思うがどうだろう。まだ油断が出来ない事から、19日につけた安値12511円が二番底であるとは断定できないが、それでも二番底の確率は随分と高いことを主張しておきましょう。

 さて、週末にかけTOPIX、日経225先物に続いて日経平均も当面の節目と見られていた一目均衡表の雲の下限の節を抜き、雲の中に突入した。「基準線を超えれば買い」の法則から、次は基準線の水準である13428円(6/22現在)抜けに焦点が当てられることになります。基準線突破なら25日線、75日線が収斂している13200〜300円の節目を一気に取り払うことになり、売り方のリスクが増大してしまう事から、踏み上げ相場に発展する。そうなれば、先週戻りの目途と指摘しておいた13690円までの上昇が期待できることになります。

 来週は色々条件が付くが、基本的には底値反転であり、基準線の節目に留意しながら押し目買いを貫きましょう。(テクアナ)

(*一目均衡表などというテク二カル上の話が出て参りますが、興味のある方 は一度解説した本などで調べてみて下さい。簡単に言うと株価の均衡状態を捉えるチャートのこと。これによっていつ頃までに上昇するか、いつ頃変化するのかという日柄の分析が可能となります。基準線というのはその日を含め過去26日間の最高値と最安値のみを取り出した単純平均で相場の大勢方向を示す。なお、チャートを勉強しながら一緒に株式投資を楽しみたい方はテクアナI氏の投資顧問サービスを一度試しに受けてみて下さい。実戦に即して取り組む皆さんにテク二カル上のツボを伝授して頂けるかと思います。


 実際の日経平均はまだ油断できないの通り、週前半のもたつきから木曜日にかけては再び12500円台まで嫌な下げを演じてしまいましたが、海外株高を受け、週末は大幅高。結局は13000円台に乗せないままで終わりましたが、来週に期待を繋いだ格好となりました。

 さて、今週の相場展望はどうでしょうか?テクアナI氏に許しを得てアイリス投資レポートから転載させて頂きましたのでご覧下さい。(炎)


【今週の株式展望】

 日経平均は13000円を挟んで揉み合う展開が予想される。内外景気は企業業績の先行き不透明感に加えて、ここに来ては構造改革に伴う「痛み」への不安が台頭していることが株価の頭を重くしてしまう恐れがある。構造改革推進による信用リスク不安台頭の指摘も、気懸かり材料。

 来週は今週前半の日米首脳会談や、7月2日の日銀短観発表を受けての株価の動向が注目される。日銀短観は輸出の減少などから、企業の景況感が大幅に悪化し、大企業のDIは3月調査時の予想から更に10ポイント悪化が見込まれている。市場は織り込み済みとの見方もあるが、実際悪い数字を目の当たりにして「嫌気売りが先行する」との指摘もある。ただ、この場合は押し目買いから逆に反発することが予想される。それは日銀短観が悪い結果になればなるほど、金融緩和の観測が強まるからである。

 注目の外国人投資家の動向は、6月第3週まで4週連続しての売り越しを記録したが、直近では政策の筋道が見えたことで銀行株への買い戻しに動いたことや、海外年金好みの銘柄が物色されたり、変化の兆しが見えたことは明るい材料。特に6/22には5/7以来の2000万株を超える買い越しであったことは注目に値しよう。

 テク二カル分析では一目均衡表の雲の下限の節目12995円、T・S波動転換足が陽転を提示する13109円をブレークできるのかどうかが極めて重要であり、各々の節抜けに注目することに致しましょう。(テクアナ)

 

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