税制改正の影響 −両津勘吉−
 2000/02/03(木)発行分

  当メルマガで募集している「素朴な疑問」に来た質問が発端でこのコラムを書くことにしました。その質問の内容とは、来年4月以降、株式売却後源泉課税が選択できなくなり、専業主婦が株でぼろ儲けをしてしまうと控除が受けられなくなるの? というもの。

 全く収入のない専業主婦が、株でボロ儲けしてしまった。ダンナの所得に対する控除はどうなるか? 簡単に記します。

 配偶者特別控除(38万円)は、奥さんの株式年間売買益の金額(5万円毎)に対し、段階的に削られるそうである。では、配偶者控除(38万円)はどうなるのか?これは奥さんの年間の売買益に、一定のラインが設けられ、それを超せば控除はゼロ、それ以下なら38万円満額控除されるというものらしい。つまり最悪の場合、配偶者控除及び配偶者特別控除の計76万円が受けられなくなるらしい(基礎控除はOK)。これは国税・地方税とも。  今でも株でボロ儲けし、申告分離を選択すれば前述の通りなのだという。しかし現実には、源泉分離と申告分離をうまく使い分け、課税金額を最小限に食い止める、あるいは源泉分離のみの選択をされている方がほとんどで、来年4月からは否応でも申告分離のみで、これは深刻な事態かな?

 現在、奥さん名義で株の売買をされている御主人、御自分の収入と売買益が発生する過程、あるいは売買利益予想を立てて、課税金額・控除のシミュレーションを一度くらいやったほうがいいのではないでしょうか。

 上記事項に加えてもうひとつ。現在パートをしていて、ダンナの控除やら扶養を続けるために、はっきりとした金額はわかりませんが年間130万円くらいで止めている方が沢山いらっしゃると思います。もし奥さんが新規公募に当たり、半年位で数倍に化けてしまい、利喰いしたら数百万、数千万儲かった。その年に他の売買は一切なし。その売買純利益に対し申告し、26%の税金を払いました…。ハイそれで終りかというと、終わらないらしいです。

 難しいことはわかりませんが、何でも控除というのは色々あるようで、例えばダンナがサラリーマンなら、社会保険から外れてしまったり、年金はどうなるこうなると…。

 以前の質問で、源泉税について改悪だと言われた方がいました。私は「源泉課税は日本くらい」と簡単に言ってしまいましたが、やはり申告分離のみになるマイナスの影響は、心理的に出そうですね。

 しかし一番困った問題は、このことを、私を含めてかなりの方が知らないということです(証券会社の社員も含めて)。日本の税制は世界で一番ややこしいかと思いますが、取引税廃止・平成13年4月から源泉税の選択不可となった際のマスコミ報道に、結果こうなると記されていたかなーと…。

 証券会社も、控除について説明もないまま、顧客に「明日から申告のみですよー」ということになると、ボロ儲けしたらあとあと税務署とトラブルにならない様、顧客にきちんとアドバイスをしてもらいたいですね。何のために各証券ともファイナンシャルプランナーとやらに力を入れたのか。
証券会社の前向きな姿勢を期待します。

(上記、控除・社会保険についての事項は、ある証券会社の税務担当の方にヒアリングを行いました。あくまで概略であり、投資家が上記事項に該当する場合や、その金額的なことなどを含め、相談・判断を仰ぐ場合は、証券会社・専門家にヒアリングされる様願います。当コラムの内容に基づく損害に対して保証はできませんのであしからず。)

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