相場全体観の重要性 −大原部長− |
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大原です。今回は、全体感の重要性についてです。
人生は絶対的な基準で生きていけます。しかし、各相場(株式相場、為替相場など)は相対的な基準で成り立ちます。相対的な世界に属する株式市場では、良い事柄と悪い事柄がかならず同じ量だけ存在します(相対の定義)。 しかし、弱気の時期と強気の時期では、同じものがまったく違って見えてしまうのです。世の中には、良い事柄と悪い事柄がそれぞれ同量だけ存在するのに、良い面だけが見えたり、逆に悪い面だけが見えたりする。その結果、同じものが違う値段で評価されてしまいます。 そのため、銘柄間の相対評価も移り変わりますが、肝心なことは、株式市場全体の評価も相対的に切り上がったり、切り下がったりします。(株対現金、株対債券、株対不動産、株対商品先物)。そして、相対的であるために、時空を越えた絶対的な存在がない。ちまたに横行する「相場で必ず儲かる方法」というのは絶対にない。いつも勝ちつづけることは論理的に絶対に不可能なのです。しかし、勝つ確率を高めることはできます。 個人投資家が成功するパターンは、
往々にして強気市場なのに弱気市場と勘違いすることもあります。弱気市場で投資した後に、それに輪をかけて弱い市場がくるかもしれない。ですから、一般常識として、株に全資産を投入してはいけないですよ、ということになっています。まあ、2順目まで待つとして、初期投資を資産の半分以下にすれば、成功の確率も上がります。初期投資に半分をつぎ込んだ方は、それでも、2順目に失敗すれば3順目はない。ですから、慎重な方は、株は純資産の3分の1に押さえるはずです。3回連続で失敗する確率は10%程度です。
最後に、冒頭で言及しました、「悪い銘柄を避ける」、というテクニックについて。 悪い銘柄とは、話題性があって、新規事業などへの過大な期待感がある会社です。業績はよいが、バリエーションも高い、という銘柄はわたしにとっては悪い銘柄です(アドバンテスト、ディスコなどはいい企業ですが、株価は高すぎる)。 機関投資家は、業績重視ですが、その傾向が強すぎます。業績がよいのをいいことに、高いバリエーションを正当化してしまう。すでに人気化していて、業績もよい、だから、バリエーションが少々高くても、買ってしまうのです。 バリエーションというのは、やっかいな代物です。低金利下におけるPER40倍は必ずしも高いとはいえないからです。PER40倍はその水準のEPSが今後も続くと仮定すれば、金利水準に直すと1÷40で2.5%になります。EPSが今後向上していく確率の方が高いのなら、PER40倍も高いとはいえません。金利水準が4〜5%あれば、PER40倍はあきらかに高いといえます。PER20倍が金利水準で5%のレベルです(歴史的に、PER20倍がひとつの目安です。でも、この低金利では、流動性=時価総額を伴ってPER20倍というのは、探すのが難しいでしょう。金利と株価の相対性)。 高値から、かなり下落しましたが、今のNIDEC(EV/EBITDA20倍)とか、松下通信(やはり20倍)とかは、わたしにとって、まだ「買い」ではありません。まだ、バリエーションが高いからです。EV/EBITDAで15倍以上は、払えない。 わたしにとって、良い銘柄とは人気がなくても、実力があり、限界利益率が高く、需要がこれから好転していく企業です。実力があって、EV/EBITDAで10倍台前半の銘柄に投資します。ちょっと高いですが、ファナックなどはそれでも15倍程度です。私は、ファナックが13倍まで下がれば(8000円)買おうと思っています。 多くの方にとって、バリエーションは株価と収益の関係です。ですが、わたしには、バリエーションは、それ以上のものです。わたしにとっての最後のよりどころがバリエーションだからです。運用失敗時には、誰も助けてはくれません。唯一、バリエーションだけがわたしを助けてくれるからです。 長期的な運用を心がけながらも、短期的な下落リスクには注意を払う。 いやー、恥ずかしいぐらいに矛盾だらけですよ。 さて、完全復帰された両津アナリストのコメントでいつもすばらしいと思うことがあります。それは、彼のコメントは、足元の業績をしっかりフォローしていることです。これはアナリストの基本作業です。いつも、両津氏は、業績を正しく把握しています。彼は、高すぎるバリエーションを正当化しない。 ランキングトップのアナリストでさえ、詐欺師のような方が多いので、両津さんのコメントが読める「億近」読者のみなさんは、安心です。 なんだか脈絡がない話ですみません。 |
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