シリコンバレー報告#3
 
−炎のファンドマネージャー−
 2000/06/23(金)発行分

  次に訪れたNTTドコモUSラボラトリーズは昨年11月に創立された新しい研究所で、ドコモの対米国戦略の第一歩となる前線基地でもある。米国で進んでいるネットワーク技術を、現地の研究者を採用することで取込み、そして開発した技術を日本に送ると言う使命を受けている。
 現在は現地研究者の採用を開始したところであり、日本人9名の陣営であるが、今期末には30名体制になる予定である。ドコモは急速に発展した会社であり、研究開発を今必要とされている分野に集中して投下する必要があり、これから先必要となる技術を研究する暇はなかった。しかしながら、今後拡大するであろう日本でのワイヤレス通信に対して、トップキャリアーであるドコモはインフラを構築する必要があると考え、この研究所の開設を考えたようである。
 また、移動体通信の国際標準(IMT2000など)の一元化をするために、いまだ固まっていない米国の規格を、ドコモに好都合なように持ってゆけるようにして行くことも命題の一つであり、加えて、次世代通信技術のベンチャー企業があった場合には、積極的に協力する(出資)事も使命として持っており、そのためドコモインベストメントと言う投資会社も持っている。

 ここでは現在、第3世代(IMT2000)の次世代である第4世代技術の一つとして、ソフトウェア無線を考えている。ソフトウェア無線は、ハードウェア(部品回路)である無線機の中身を、ソフトウェアにして書き換えすることで世界対応の端末を目指す方法である。これにより新しいサービスの提供を端末の買い替えでなく、書き換えで賄うことが可能となり、また、一斉ダウンロードでバグの修正も行えるなど用途は広いと見られる。

 このところ多発しているi−modeのダウンについて、同社では「サーバーの必要量の読み間違えであり増強する」とコメントしているが、社内での反応はどうも違うようである。
 US研究所ではそもそもi−modeはダウンしても構わないつもりでサービスを開始したとしており、もしダウンしないようにサーバーを補強したなら会費はきわめて高額になるだろうと見ている。i−modeは300円の価格で基本的に音声通話を拡大する『おまけ』でスタートしたサービス。でも、会員が多く集まってしまうとダウンが許されなくなってしまい社会的責任が発生してしまった。
 今後の対策については、電電公社時代に「電話の集中により繋がりにくくなる現象」を真剣に研究し、どこに問題があるのかを追求して来たことを引き合いに出し、今回の事件も安易に増設で済まさず、原因(まだ誰も研究していない)を追求し、ドコモのネットワーク技術として蓄積していきたいとしていた。

<つづく>


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