志村化工
 
−大原部長−
 2000/07/12(水)発行分

 大原です。

志村化工(5721)について読者から質問がありました※。
この会社は、機 関投資家へのアプローチも積極的に取り組んでいますし、ベアリングや旧クラインオートベンソンにおける説明会(スモールミーティング)などで、投資家の評価も上がっています。

 わたしも、この会社への投資を考慮しましたが、投資に踏み切りませんでした。それは、以下の理由からです。

(1)要求される原料粉末の精度が高い(1ミクロンから10ミクロン)。
磁石製造における粉末粒子が競合品に対し小さすぎる(競合は25ミクロンでもOK、5倍の精度格差がある)。採算性に疑問があった。粒子の大きさはそのままコストをあらわします。小さい粒子は手間隙がかかり、割高であること。その結果、市場はハイエンドに限られる。コストパフォーマンスがない。
(2)工程が複雑。一部の工程は危険がともない、投資効率の点から、疑問があった。水素を扱うので、安全性の対策が必要。初期コストがかかる。
(3)高額のライセンス料を支払って、新規に設備購入に走るのは、一般論としては、危険な賭け。
(4)投入金額に対して売上効率が高いとはいえない(投入金額30億円、売上は2年目に60億円以上は欲しい)。

 しかし、将来は、MRIなどへの応用が期待できるでしょう。磁石は応用分 野における周辺特許も数多いため、新規参入は難しいでしょう。 磁気材料というのは、その性能ではなく、回路全体に与える影響度などの周辺技術が第一です。

※質問の要旨は、「イチオシ銘柄の住友特殊金属「ネオマックス」の競争者として、「磁気強度1.5倍で錆びにくい磁石」のライセンス契約を取った志村化工はどうか」という内容です。


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