アイデアを思いついたら、どうするのか?
 
−大原部長−
 2000/08/30(水)発行分

  大原です。株式投資のプロセスで一番楽しいのは、投資のアイデアを思いついてから、関連銘柄をはじきだすところです。なぜ、楽しいのか?
 それは、このアイデアは自分だけのものかもしれない、株式市場でこれから認められる新しいテーマかもしれない、などとわくわくするからです。しかし、当然、関連銘柄が見つからないこともあります。また、陳腐な結論しか出てこないことも多々あります。しかし、それでも、ない知恵を絞りアイデアをひねりだそうとします。上手くいけば、ひとつのアイデアから複数の銘柄が芋づる式に出てくることもあるからです。

(1)アイデア:ふと、ケーブルのないマウスを見て… リモコンと同じだろうという発想
 昨日、家のトイレで、ふと、疑問に思ったことがありました。そういえば、最近、PCのマウスにしても、キーボードにしても、ワイヤレスになってきているな。多分リモコンと同じで赤外線の送受信なんだろうな、などと考えておりました。こういう計算は株が好きな人間なら誰しもやると思うのですが、私も例外に漏れず、デスクトップPCが世界で1億台だとして、本体に受信回路2つ、マウスに送信回路1つ、キーボードに1つなら、赤外線通信はどんな市場規模になるか、と遊んでいました。指向性が狭いのでLEDは送信側には2個以上だな、マウスとキーボードは電池と直流電源が必要になるな、とか、検波用にもダイオードが必要だな、キーボードにはバッファメモリーなんかも要るんじゃないか、など、など。
 そのあと、遊びでIrDAなどのキーワード検索をインターネットでしているとノキアなどが結構面白い特許を持っていることがわかりました。そういえば、ノキアはIrDAに熱心だったな、それで、携帯のLEDバックライトパッケージとならんで赤外線通信パッケージの最大手、シチズン電子(6892)なんかも、彼らのIrDAがソニーのポケットステーションに採用されて、去年話題になったなあ、などと感慨に耽けっておりました。
 もちろん、赤外線通信そのものは新しいものでもなんでもないため、技術的な興奮はありませんが、ひとつの機能として、なんでも需要をカウントする、というのは株式市場における反応のひとつです。

(2)アイデア:おもちゃのロボットが最近目立ってないですか?
 今日、へんな押し売りがオフィスにやってきて、会話するプーさんロボットを置いていった。そこで、はっと、思いました。そうだ、こんなちんけなロボットって、今、流行ってなかったっけ?水の中を泳ぐクラゲロボットとか、犬のロボットとか、バンダイなんかが、ソニーのAIBOブームに便乗してましたね。
 そうです。ロボットって、赤外線通信ですよね。壁を避けてぶつからないように走行するなどという芸当は、赤外線の送受信回路でやっているだけです。このように、現状では、場所を検知したりするために、LEDが使われています。今後は、ゲーム機をコントローラーにするとか、ロボット同士でデータ通信するとか、今後データの送受信機能がどんどん追加されるでしょう(データ通信の場合、手段は無線になるかも)。

(3)結論:陳腐な結論ですが、安物ディスクリートと安物IC。トホホ
 でも、使われるのは安物ダイオードやフォトダイオードでしょうか。電源は必要です。乾電池かな、一部太陽電池かな。2次電池じゃないだろうな。抵抗、コンデンサ、ここでも活躍する受動部品。もちろん、増幅回路も必要でしょう。アンプですね。電子ペットの需要を一家に一台とすれば、日米欧でPCを上回る赤外線通信の需要になる。まあ、おもちゃの回路は中国あたりで調達するんだろうけど。

 ファンドマネージャーっていうのは、こんなふうに、毎日のように、ああでもない、こうでもない、とやっています。とりとめのない話でした。億近の読者の皆さん、皆さんもよいアイデアがあれば、こんな感じで遊んでみては?

 アイデアがあっても、関連銘柄がわからなければ、ご相談にのります。例えば、無線であれほど話題になるセラミック基板が赤外線では話題にならないのはなぜだろうなどと、疑問に思って調べることから、投資技術は磨かれるのです。なんて、えらそうなことをいっています。

【関連銘柄】シチズン電子(ダイオードパッケージ大手、ソニーのポケットステーションゲーム機に採用)、アンプ(バイポーラ、ソニー、三洋、松下など、その他大勢)、LED(サンケン、ロームなど、その他大勢)、フォトダイオード(松下、ソニー、その他大勢)。ゲーム端末メーカー(任天堂、バンダイ、ソニーなど)。ロボット(バンダイ、ソニー、トミー)。乾電池(松下など)。抵抗(KOA、ローム、松下など)。コンデンサ(村田など多数)…

いやー、地味ですな、今回の話は。


あくまで投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり内容を保証したわけではありません。
投資に当たっては投資家自らの判断でお願いします。
億の近道 on the Web
質問・要望事項はこちらまでメールを。

当ページの無断転載・引用を禁じます

戻る