米国人投資家に対して思うこと
 
−両津勘吉−
 2000/09/07(木)発行分

  私が日本にいるからそうなのかもしれませんが、海外の企業が良く見えません。AT&Tやウオルトディズニーが何をやっているかは知っていますが、メインのビジネス以外はさっぱりわかりません。

 しかし、海外において日本株を運用しているファンドマネージャーが現実には居るのですから、良く情報を集めているものだと思います。
 実を言いますと、以前より米国の様々な投資家からリサーチ依頼が来ているのですが、その調査指示には感心するものがあります。

 詳細は言えないのですが、例えば「松下通信製の携帯電話が売れるのか」という質問が来たとします。そして、「マーケットにおける位置付けはどういう状況なのか」と問いただしてきます。
 私は懸命にヒアリングをするのですが、ヒアリング先は複数です。何故かといえば、マーケットにおける位置を調査するにはライバル企業の足許も押さえなければなりませんから。また、トレンドの変化も求められます。更にその端末を販売している、光通信、MTI、BIGグループなどディーラーにも、多少内容を変えてヒアリングします。そして当然のことながら通信キャリアーにもです。川上、川下まで調査すると、対象会社が嘘?をついていても、かなり怪しいなとわかります。

 松下通信はあくまで例に過ぎませんが、松下通信製の端末は足許絶好調です。光通信はドコモを扱っておりませんが、BIGグループではドコモ系でNEC及び松下が売れていると言います。特に松下製は足りないようです。auではまだカラー液晶が出ておりませんが、ここでもやはり松下製のモノクロタイプが人気を集めているようです。J−PHONE系では、全般、カラー液晶端末が不足ぎみですが、シャープ製に人気が集まっているといいます。

 ちなみに松下通信はどう言っているかというと、209タイプは生産後直ぐにトラックにのせて、さようならの状態で在庫はなし、特に折りたたみできる209S(8月19日から販売開始)は全く在庫がないと言い、足許、新製品の出荷は想定以上になっている状況です。
 では単価はどうなのか? 前述のディーラー曰く、地区にもよるが売る側にとってはカラー化、高機能化で販売単価は上昇しており、機種変更でもドコモなら1万円くらい払う人はザラにいるそうです。新規販売では東京なら1−2万円は当たり前だといいます。
 では松下側はどうか…上昇傾向だそうです。
 次に松下の輸出はどうか?欧州向けWAPはiモードと違い、パケットタイプでなく料金が嵩み、想定以下の出荷です。しかしながらこれを是正するべく、欧州キャリアーは立ち上がったようです。パケット対応の端末を早急に開発せよと…。

 このように、裏を取り、外堀を埋めていくようなリサーチを米国人はしているのか…と、大分前に感心しました。手間暇かかりますが、皆様も身近なところから始めてはいかがかな?


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