ミヨタについて
 
−大原部長−
 2000/09/14(木)発行分

 読者から、「ミヨタ(店7770)の強誘電マイクロ液晶事業はどうか」という問い合わせがありました。
 ミヨタ企画部の野村さんに、9/11に確認しました。

 実を申しまして、今日の今日まで、ミヨタがUSベンチャーのディスプレイテックの液晶量産を手がけているとは知りませんでした。強誘電タイプは、山口東京理科大、東北大学、富士通などがOCB液晶で先端を走っているようです。

 ディスプレイテックの液晶は、今年のコンシュマ向け展示会において、三星の背面タイプのプロジェクタに採用されるなど、LED駆動のFS方式(先日のヒューネットと同様の方式)を特徴とします。「CMOSシリコンをバックプレーンに、高速応答性を持つ強誘電性液晶を塗布、対角1インチ以下の超小型ながら高解像度、高精細、高輝度表示が可能である。従来のTFT液晶と比べ、その高速応答性により高解像度・高輝度を可能とし、同時に低コストの実現が期待されている。」(日商岩井HPより)

 ミヨタは、今期20億の売上を見込んでいましたが、その半分の10億程度に落ち着くようです。 ディスプレイテックからチップの供給を受け、ミヨタがエッジライトなどのモジュール加工をするということですが、時計とビデオカメラについては、営業権をミヨタが有しているとのことでした。加工する仕事ですので、高い利益率は難しいでしょうが、5〜10%の利益率は確保できるのではないでしょうか。

 応用分野ですが、低消費電力が必須の携帯電話向けは、消費電力135mWという点で、無理でしょう。厚みも7mm以上あるのは、ミラーやスプリッタなどが必要なためでしょう。まず、ビデオカメラ、プロジェクタなどへの応用が中心になると思われます。また、FSとしては、レスポンスが少し遅いような感じを受けました。あと、最大の欠点は、直視が出来ないという点です。レンズで拡大するためです。ただ、この技術は学会でもよく取り上げられています。強誘電液晶(FLC)は、そのレスポンスの速さが、注目されており、つまり、早いレスポンスにより、フィールドシーケンシャル方式(FS)が可能になれば、大きなコストを占めるカラーフィルタが不要になるからです。 しかし、「FLCは、アモルファス上では早く動かない。せめてポリシリコンでないとダメ」といわれています(東北大内田先生)。このマイクロFLCは、ポリシリコンを飛び越えてシリコン上にFLCを走らせるという荒業というか、発想の面白さがあります。みんな直視タイプを念頭においていたため、大きな市場であるプロジェクタ用途に気づかなかったのかもしれません(いままでのプロジェクタは赤青緑の液晶パネルが3枚必要だった。それをFSなら1枚にできる。小型化してコストダウンが可能)。
 そういえば、Kopinという会社も似たようなことをやっていたなあ。

 さて、このFLCですが、着色のための青色LEDは日亜化学から供給を受けます。FS方式は、カラーフィルタがないため、LED光源に3色必要です。
 販売(ミヨタ、日商岩井、HP)などが、しっかりしている点、FS方式で今後のコストダウンが見込まれる点などから、ミヨタにとって数十億円程度の事業に育つ可能性があります。

 それはそうと、同じシチズングループのシチズン電子と同様に、今期から携帯向けカラー液晶のバックライトに参入します。シチズン電子は、豊田合成やCreeから青色LEDを調達しています。ミヨタは日亜化学がサポートし、白色LEDのエッジライトモジュールを手がけます。来期ぐらいには、国内シェア10%を目指すとのこと。

 読者の皆さんは、シチズン電子のバックライト売上とミヨタのバックライト売上を今後注視してはいかがでしょうか。ここでも日亜対豊田合成の戦いが見られます。

 さて、業績面は、証券会社に譲るとして、こんなところで、よろしいでしょうか。


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