荏原のCMP事業 |
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先日、荏原(6361)の電子精密事業部の方に取材にいきました。 このコラムで読者に伝えたいこと: より高度な読者のための質問: さて、 CMP(ケミカル・メカニカル・ポリッシング)というのは、よくご存知のように、半導体の製造工程(ウエハー工程)の一部です。主に配線技術が物を言うロジックICの製造工程で多用されてきました。 CMPは、丸いテーブル上にパッドという布を敷き、その上にウエハーを乗せ、ウエハーとテーブルをそれぞれ回転させながら、表面を化学反応の力を借りながら、ウエハー上の配線や絶縁層を削っていくものです。その際、テーブルの下からスラリーという研磨液をにじませます。 市場動向ですが、荏原は日本、台湾、米などでAMATと競っています。シェアは30%程度でしょう(台数ベースではもっと高いシェアとなります)。このCMP市場は、AMATと荏原の2強時代を迎えています。いろいろな参入企業がありましたが、落ち着いてきた感じです。 このCMPがにわかに注目されたのには、理由があります。STI(シャロウ・トレンチ・アイソレーション)というゲート周辺の作り方がDRAMで2年前くらいから主流になっています。STIがDRAMのセルを小さくするための必須条件と数ヶ月前のNECのコラムに書きました。 さて、絶縁材や配線材を平坦処理する方法としては、1)エッチングバックと2)CMPがあります。 CMP有望論の2つ目の根拠は、メッキ技術です。CMPは、ウエットなプロセスです。金属を堆積する方法として、1)CVD、2)スパッタ、3)メッキ、があります。もっとも安くて速いのがメッキです。メッキは電解メッキ槽にウエハーを入れてメッキするだけですから(もちろん、メッキの前にシード層堆積の前処理が必要でその際はCVD要。ですから、メタルのプロセスは絶縁膜より複雑で、装置メーカーが工夫する余地が大きく、収益性を期待できる)。 CMP有望の最後の根拠は、LowKです。絶縁層はこれまで酸化シリコンや多結晶シリコンでした。この絶縁層の材料がLowk材に変わっていきます。そうなると、ダマシンプロセスをとらないアルミ配線上に、Lowkを堆積した後、Lowk材を削る必要あります。CMPで削れるのです(もちろん、銅配線ではLowkを削る必要がない)。 荏原の強さは、CMPとメッキと洗浄にあります。それらは、配線をつくって削るという連続するプロセスになります。たとえ、どんなシリコンサイクルが来ようと、CMPの売上げは順調に拡大すると見ております。 メッキについては、先日、天才アナリスト両津氏が、上村工業で取り上げました。今、両津氏はメッキに夢中です。ウエハーレベルのパッケージは、メッキではんだボールをつくります。CMPとメッキ槽とステッパとコーターを行き来するだけで最終製品が出来てしまう日が近い将来やってきます(もちろん、一部のICがそうなるだけで、後工程がなくなるわけではありません)。 メッキ処理装置についても、CMP規模の市場があります。この分野では荏原は断然トップになるでしょう。将来、半導体製造装置売上げ2000億円も射程距離です。株価2000円も夢ではありません。 荏原については、引き続き強気で見ております。イチオシに入れてチョ。(大原) |
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