PDP関連の材料メーカー(パート1)
 
−大原部長−
 2000/09/21(木)発行分

 太陽インキのコラムで、PDP向け材料が出荷できそうと書きました。今回は、PDP関連で、今後注目されるであろう銘柄候補をみなさんと、考えていきたいと思います。

このコラムで伝えたいこと=PDP具体的な材料の理解です。
考え方: 既存ディスプレイの材料、主にCRTとPDPの違いをはっきりさせる。CRTで使わないもの、PDPから必要になるもの、PDP独自のものがあれば、その材料メーカーを特定する。
PDPに使われるもの: 前面板関連で、透明電極、誘電体層、MgO膜、電磁波防止膜、ガラスなど。 背面関連で、隔壁、誘電体層、蛍光体、アドレス電極、ガラスなど。
CRTに使われるもの: 電子銃、カーボンストライプ(R−Rまでストライプピッチ300μm、ストライプ幅50μ)、偏向ヨーク、シャドウマスク、蛍光体、ガラス、電磁波シールド材、光反射防止シートなど。

 じっくり取り掛かりたいので、今回は、隔壁からスタートします。PDP特有のものです。隔壁は、通常ストライプ状に形成されます(ワッフル構造もあります)。隔壁のピッチは、150μ、幅20以上μ、高さ100μ以上でしょう。絶縁性ペースト材。
 液晶でいえば、スペーサーの役割なのでしょうか。放電の広がりを単位発光領域内に制限する、また、隣接するセル間の誤放電や色にじみを防ぐ、などの役割です。

 プロセスは、まだ、定まっていないのでは。スクリーン法、サンドブラスト法、リフトオフ法、型押し法(京セラ)、型転写法(シリコーン法)、感光性ペースト法。コスト面では、感光性ペースト法が有望だと思うのですが、読者はどう考えますか。
 スクリーン法は、露光がないものの、8回以上積み上げるため、精度が確保しにくいうえに、コストがかかる。ブラスト粉を吹き付けて削っていくサンドブラストも工程が多いため不利ではないか。ドライフィルムを除去しなければならないリフトオフもどうだろうか。
 画像の質は、均一な隔壁にかかっている。輝度の面でも、放電ガス空間はできるだけ広く、隔壁はできるだけ薄くしたいところです。蛍光体の形成で、反ったりしない、それでいてアスペクト比の高い隔壁が必要。

 さて、東レさんの感光性ペーストはどうなのでしょうか。太陽インキは、成果が収められるのでしょうか。これから、調べていこうと思っております。PDPは、広さがあり、厚みがあるため、材料メーカーにとっては、重要な市場となるでしょう。携帯電話の1万倍の体積です。数が携帯の0.1%でも、材料としては、10倍大きな市場だからです。

 そういえば、液晶材料で、圧倒的な強みのあるJSRを訪問してきました。IRの方でしたが、JSRのPDP向け材料の展開力を聞いたところ、「いろいろやりますが、いえません。」とのこと。「でも、ひとつだけ、ヒントをあげます。全面板、背面版、両方につかうドライフィルムを提供するのは確実です。」とのこと。

 本日の問題です。JSRのPDP向けドライフィルム、一体、どこにつかわれるのでしょうか???? 私は、背面隔壁プロセスのリフトオフ法かサンドブラスト法につかわれるドライフィルムかな、と思いました。でも、わからない。みなさん、一緒に考えてください。


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