EL製造における問題点 その2
 
−大原部長−
 2000/10/26(木)発行分

【ITO膜研磨】
 低分子系有機ELではガラス基板上に0.1μm以下という厚さで各材料の真空蒸着が行われるため、陽極表面上のミクロレベルの突起なども問題となる。それらが有機層の欠損原因になりダークスポット発生につながるため、現在はITO膜を研磨することで平坦化しているが、スーパーITO(日本真空技術が開発)はこの研磨工程を省略できるほか、電気抵抗が通常プロセスの半分と低いため発光効率の向上にも寄与する。

<解説>
 EL素子へのキャリア注入効率を上げるためにはITOを低抵抗化する必要があり、そのためにはITO膜の膜厚をある程度厚くする(0.5μm程度)。
 しかし普通のスパッタで付けた場合、膜厚が厚くなればなるほど表面の凹凸が大きくなる。通常の方法で作ったITOは多結晶であることがその理由。結晶粒の集まりですので、スパッタを続けていくと雪が積もるように平坦に堆積されずに、それぞれの結晶粒がより大きくなるように成長していく。その結果、表面の凹凸が大きくなる。サブミクロン程度の凹凸は出てしまう。研磨等で平坦化する必要があるのも頷けます。膜厚が厚くても、研磨を避けるならばITOをアモルファス化してやればいいと言うのはもっともな話。(億近コンサルタントのT氏)


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