ナノテクノロジーの先陣を切って |
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【脚光浴びるカーボンナノチューブとその関連企業】 企業が夢を追い求めるのと同様に、株式市場に参画する人々も常に夢にかけていこうとする人々によって支えられてきたと言っても過言ではない。過去において夢物語とされた技術が、当たり前のように一般的に使われ、私たちの暮らしに大いに役立っている製品群は数多いが、ここで紹介するカーボンナノチューブ(以下CNC)も未来の生活を大きく変えるものと考えて良い。まだ具体的な形で製品化に至ってはされていないものの、ここ数年以内には話題を集めるものと考えられる。 読者の皆様も、既にどこかでこのことを見聞きされたことはあるのかも知れないが、まだ一般的にはなっておらず、大手証券の投資テーマとなったこともないに違いない。 米国ではITやバイオに続き「ナノテクノロジー」を国家の戦略的研究分野と位置付け、5億ドルの予算を表明。ナノという単位については100万分の1ミリメートルという原子・分子サイズに相当。このナノテクノロジーは材料、化学、電子工学、機械、バイオ、医療、情報などの極めて広範囲な分野に渡る新しい技術概念とされる。 微細化の限界が見えてきた半導体産業において、今後使われると見られるのがナノ技術。とりわけ、1991年にNEC(6701)の主席研究員である飯島氏が発見した全く新しい構造の炭素新素材であるCNCは、これまでのシリコン半導体の限界を克服する超微細化を実現する可能性が高く、今後の実用化が待たれるところだ。 CNCは蜂の巣状の六角形の頂点に炭素原子が配置されている「グラファイトシート」を筒状に巻いて、極微な直径の円筒を形成した構造を持つ炭素の結晶。伝統的な竹細工の筒と類似している点で興味深い。 世界で初めて探針にCNCを使った原子間力顕微鏡が、セイコーインスツルメンツより発売され話題を呼んだが、この他ではTVの立ち上がりをスムーズにするためのヒータ余熱用待機電力を不要にする冷陰極ディスプレイ(ブラウン管の約100倍の電子放出能)への応用などが見られる。 ノリタケ(5331)の子会社である伊勢電子では、CNCを用いた高輝度、低消費電力の薄型次世代カラーディスプレイの製品化が最終段階に入っている。遅くともこのCNCを使った壁掛けTVは、ここ2、3年以内には登場する見通しである。 このほかリチウムイオン電池の高性能化への応用。CNCをPCなどに使用される充電型リチウム電池の陰極に数%混ぜると、電池性能を大幅に引き出せる能力がある。 こうした実用化努力は、既に大手電機メーカーや自動車会社、炭素材料会社などで始まっており、より具体的な成果が株式市場のニュースとなって飛び込む日も近い。 恐らく、CNCに関連した企業は今後製品の実用化が進むに連れ増加してくるだろうが、NEC(6701)、日立(6501)、松下(6752)、ノリタケ(5331)、昭和電工(4010)、三菱化(4010)、大阪ガス(9532)などの企業に当面は注目したい。 |
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