有機ELのアクティブはいつ本格化するか? |
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ELアクティブ化のネックは唯一低温ポリシリコンTFTのコストである。低温ポリシリコンTFTの歩留まりが低い。だが、この原因ははっきりしている。まず、基板を多結晶化する際、アニールの温度分布が生じることで均一な膜ができない。そして、ゲートと保護膜の相性だ。表面にゲートを形成すると簡単に酸化してしまう。それを防ぐための保護膜に課題があった。そのため、各社はボトムゲート方式を採用。しかし、ボトムゲートでは、配線のチェックとリペアが効かない。そのため、東芝はアップゲート方式を採用。歩留まりを70%まで引き上げた。アップゲートはよりLSIに近いプロセスだ。各社もアップゲート方式への展開を急いでいる。 アニールの問題は早急に解決できる。高気圧下でのアニールを播磨が提唱。ビーム放射からアニールへの転換はコスト上も助かる。この2つの課題を片付ければアクティブ化の目処はついたも同然。アクティブ量産に2年はかかるまい。 EL本来の発光素子の寿命や発光効率は、化学メーカがようやく本腰を入れはじめた。「発光効率はこの2ヶ月で4倍になった。問題の赤はこの一週間でまたまた改善した。2001年1Qに製品を投入」(ダウケミカル)。 装置メーカは、日本真空技術、エプソン、Vテクノロジーなど、センス抜群の日本最高峰のエンジニア集団が関わっている。「封止工程を省略できる」(日本真空技術)、「高分子では蒸着でなく、インクジェットで塗布」(エプソン) 大げさだが、紙にプリンタで印刷するようにディスプレイが製造できるようになる可能性もある。ELならではのコスト対応力だ。液晶とのコスト面での勝負はすでに決している。しかし、液晶業界の政治力は侮れない。シャープのクリスタルバレー構想である。 さて、小型ディスプレイの歴史は、昭和40年代の電卓までさかのぼる。シャープの佐々木さんの号令のもと、伊勢電子、神戸、双葉などの真空表示管だ。丸型から平型、一桁から多桁、さらにドット表示へ進化していく。真空管の技術は、蛍光表示管に受け継がれた。しかし、液晶が登場。低消費電力で一気に電卓市場を奪い取ってしまった。しかし、まだ、耐久性や視認性で車のパネルや計測器には蛍光表示管が採用されている。この技術がFEDに引き継がれ、PDPを脅かそうとしているのだから、真空管の要素技術というものはしぶとい。 液晶対ELの対決は、野球に例えるなら、液晶は先攻、ELは後攻である。ELは先発のパイオニアが打ち込まれ(出血赤字)、液晶が大きくリードしている。しかし、それでもELは押せ押せムードである。1番モトローラ(セットで先陣)がクリーンヒットだ。2番トッキ(量産に貢献)が内野安打。3番三洋が三遊間を破り(設備投資発表)、ノーアウト満塁。早くもヤマ場を迎えた。ここで、本来クリーンアップを打つTDKはケガで登録を抹消。無期(無機?)退場している。液晶のリリーフ陣はFS方式と反射型である。反射型は抑えのエースで「電力なし=消えるバックライト」という決め球がすごい。FSは変則下手投げ。癖球が要注意(投げる不動産屋)。しかし、EL打線は層が厚い。打球のスピード(応答速度)が液晶陣の数倍はある。長打力(輝度)もある。守り(現状のコストではなく、今後のコストダウン余地)は鉄壁だ。抑えの反射型が出る前にFSを打ち込まないとELの負け。 結局、反射型液晶が有機ELとどこまで共存できるのかがこの試合のポイントでしょう。液晶が昭和48年から続いている王座を守れるか?解説の両津さん、どう思われますか?
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