三菱製紙(東3864) | 2001/04/02更新 |
2001/04/02(月) | |||
三菱製紙(東3864) ☆☆☆ 2002/3 【投資判断】 紙パルプセクターは円安はデメリット。市況見通しも厳しい。しかし、三菱製紙は、写真印画紙(全売上の20%)の輸出比率高く、またインクジェット用紙(全売上7%)も輸出しており、円安はデメリットとならない。紙パの中で積極的になれる銘柄のひとつである。 【リストラ】 今後2年でこうなるという計画です。(会社インタビューをもとに大原予想) さて、土地含み益だけで500億円はある。有価証券が500億円程度。あわせて1000億円を借金返済へ回せば、経常収益は改善。EPSに効いてきます。 財務リストラを進めようとする決意があるかどうか。今期も中川工場周辺土地売却で200億円程度すでに借金を返したそうです。今後も借金は返していってもらいたい。 【写真印画紙】 写真はジリ貧かもしれない。しかし、円安はメリット。国内ではコダックを組む。販売費や管理費を削減し、黒字化。 【IJ用紙】 R/D投資40億円。280人をインクジェットにつぎ込んでいる。20年間前からIJ用紙を研究している。光沢のある中級用紙以上がメイン。 2年後IJ売上300億円予想(大原予想)で営業利益率15%だから営業利益は45億円。IJ事業の株式価値は、成長性を見込んで営業利益45億の12倍の540億円はあるだろう。 【IJ用紙の技術的な説明】 紙をベースにインクジェット記録においてよい印刷特性を得るため、コート層を設けてある。 IJのドット直径は数十ミクロンメートル。紙は長さ数ミリ、直径数十ミクロンの繊維が折り重なっている。紙が水を吸うのは、その繊維と繊維との隙間に水が入り込むからである。するとその水分は繊維の長さ方向に進んでいき、それが「にじむ」という現象。 そのため、コート層を設けている。コート層は、粒子が数十ミクロン以下の顔料を使用し、顔料粒子間の隙間でインクを吸収させる。その上、その顔料を穴だらけに設計して顔料自身の内部にもインクが行き渡るようにしてある。非晶質シリカなどの多孔質顔料を使用する場合が多い。 ただし。顔料だけだと脆いので、紙からコート層が剥がれ落ちてしまう。そのため、バインダーを併用している。インクはコート層の出来るだけ表面にとどまってほしい。紙のほうに深くもぐってしまうと画像濃度に寄与しない。インクは染料系が多いので、インク染料分子をすばやく捕まえる染料定着剤(カチオン性化合物)をコート層に配合している。光が錯乱すると染料の色濃度が落ちてしまうので、コート層の素材は屈折率も低くするよう設計してある。 さらに、強い光を当てても、画像が劣化しないように光に強い(耐光性)材料の開発がインク側で進んでいる。また、インクの染料は解けてしまうので、紙に雨などでぬれてしまうと台無しになってしまう。そういう観点からは、インクなどを顔料にする動きもある(→東洋インキや大日本インキが顔料インキを開発)。 IJ紙側でも、染料定着剤の配合で、雨にぬれてもにじまないIJ用紙は可能となっている。また、耐光性においても、酸化防止剤をコート層に入れることで若干改善できる。原紙側の対応。 また、効率よく、コーティングは一度で終わらせたい。複数回コーティングはコストに合わない。コート紙は乾燥時に縮むため内部に空孔ができる。原紙側に空孔が多いとインクが原紙にどっと来てしまう。だから、工程の改善で空孔を適度に減らす努力をしている。 光沢。粒の大きな吸水性顔料のかわりに、粒の小さなコロイド状顔料を用いて表面のつやつやを出している。すると、隙間が小さくなって十分なインクを捕獲できない。だから、吸水性顔料を下にひいている。製法も違う。(キャスト法) インクの改善も重要。あまり知られていないが、でも紙だってこんなにがんばっているんですよ。 【特許】 IJ用紙関連の特許250以上。ライセンス収入も得ている。 【リスク】 汎用品がそれでも売上の半分を占める。市況が心配。ただし、一時期に比べれば、大型合併もあって、業界の問題児も少なくなった。安売り、たたきあいも以前に比べてましになった。なんとか、乗り切れるのでは。 ただし、純資産倍率も0.7倍ですから。市況悪化は折込済みと思っています。IRは円安で輸入品がこないからたぶん大丈夫といっていたなあ。まあ、人気のないセクターで誰も評価しないから、こんなに安いだろうけど。 【ダイヤモンド・ザイ5月号より】 設備投資が終わっているという安心感もある。証券会社が見落としている点も重要。 ZAIの5月号28ページ(500円)にピーターリンチの7か条が紹介されています。是非購読してください。IJ関連の三菱製紙は、この7か条にぴったりですよ。
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