JSR(東4185) 2000/11/17更新
2000/11/17(金)

JSR(東4185) ☆☆☆☆

  旧名は日本合成ゴムです。発表されました2000.9期(中間)連結業績は、売上高で1,134億円、前年同期比3.8%増、営業利益で44億円、同30.4%増、経常利益で51億円、同33.3%増となりました。
 ちなみに当期利益は、合理化にともなう人員削減により11億円の特別退職金を特別損失に計上したため、22億円、同22.4%減となっています。

 内容的には、半導体製造装置用フォトレジスト、光ファイバーコーティング材料などを中心とする多角化事業の好調が目立ちます。同事業の今中間期売上高は295億円(連結売上高構成比26.0%)、前年同期比11%増、営業利益は23億円(同構成比51.9%)、同89%増となりました。

 個別製品では、フォトレジストが前年同期比10%増と伸長。主力のi線レジストの価格低下を韓国、台湾向けのKrFレジストの増加が吸収しています。KrFレジストの構成比は今中間期で20%を超えており、会社側では下期25%を超えるものと見ています。LCD材料も同35%増と好調。
 説明会に出席された春木取締役財務経理部長は、現在の韓国向けの高水準の伸びに加え、来期には台湾向けが本格的に立ち上がるなどのユーザー層の広がりにより、98年のような落ち込みは考えられず、現在の伸びは今後も十分維持出来るとの自信をのぞかせます。

 また、国内シェア約90%を占める光ファイバーコーティング材料も同30 %増と好調。需給タイトな状況は今後も継続することが予想され、やはり会社側では伸び率鈍化はあっても悪化はないとの見方をとっています。

 当社の強みは、最先端の技術動向をフォローするため、早くからシリコンバレーの有力な半導体メーカーや国内大手液晶パネルメーカーと緊密な関係を築いてきたことです。マーケットで主導権を握るメーカーが数年後、何を商品化しようとしているのかの把握を最優先し、継続的な新製品の開発に成功してきました。
 近くでは、次世代半導体製造に不可欠な低誘電層間絶縁膜材料(Low‐k材料)の開発に成功しています。そうした電子材料は、顧客であるメーカーの戦略のなかで、「重要部品」として位置づけられており、限界利益率も高いため、多少の売上げの伸びでも利益の伸びは著しいものとなります。
 私も伸び率の鈍化はあっても、多角化事業が中期的に当社の収益を牽引する形は変わらないものと予想します。

 一方で、石油化学事業は、原油高に伴うナフサ価格の高騰を、製品価格に転嫁するのが遅れており、収益的には厳しい状況にあります。ただ、当社が中期経営計画において策定した、人員削減を含むコスト削減は予想以上に順調に進展しています。

 石油化学事業の伸び悩み、多角化事業の成長鈍化予想から評価を引き下げるアナリストの方もおられますが、当社株価はバリュエーション的にそうした局面を織り込んだ水準にまで調整しているものと判断しています。(☆☆☆☆)(駄洒落商会会長)

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