武田薬品工業(東4502) 2001/05/09更新

2001/05/09(水)

武田薬品工業(東4502) ☆☆☆

 久々にフォローします。

 医薬品セクターの株価が冴えない展開となっていますが、当社の比較的頑強な動きが目を引きます。ここ数年は新薬ラッシュでしたが、半面、現在有力な「新薬予備軍」がない端境期に入っていることがウィークポイントであることは既にふれました。

 ただ、ここへきて睡眠障害治療薬「TAK−375」、アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎治療薬「TAK−427」、糖尿病治療薬「TAK−677」の3種が海外でフェーズII入りしたことを発表しました。これで海外におけるフェーズII段階の化合物は6種類となっています。

 従来、「新薬開発力」「成長性ある海外市場」での展開力では国内メーカーでは抜きん出た存在でしたが、新薬パイプラインが再び充実しつつあることは当社の評価を高めることとなりましょう。(駄洒落)

 

2000/11/10(金)

武田薬品工業(東4502) ☆☆☆

 昨日(9日)行われました中間決算説明会では、冒頭武田國男社長の挨拶のなかで、前立腺がん治療薬「リュープリン」の件について簡単な説明がありました。

 「詳細な内容はいまだ不透明」とのことで、先日お伝えした範囲内のものです。説明会場はおおげさに言えば立錐の余地もないほどアナリスト、ファンドマネジャーが集まりましたが、この件については取りたてて追及されることもありせんでした。「一過性の問題」との認識は皆さん共通してお持ちなのではないかと思います。

 説明会で私が感じたことは次の2点です。
(1)当社は製薬業界にあって出色のマネジメント力を有することです。今期は「98−00修正中期計画」の最終年度に当たりますが、当社は「自社医療用医薬品売上高1兆円(2005年)達成に向けた基盤固めと成長戦略の強化」を推進、海外部門の強化、ROE・粗利益率のアップ、人員削減と着実に目標をクリアしてきました。さらに、「世界的製薬メーカーにふさわしい事業構造」「主力製品育成、新薬パイプラインの充実」を達成すべく、「01−05中期計画」の編成に取り掛かっています。他業界ではしごく当然の経営努力かもしれませんが、製薬業界においてはまれな例ではないかと思います。

(2)糖尿病治療薬「アクトス」はじめ既存の大型新薬は豊富ですが、「次の」大型新薬が見当たらず、「端境期」に入っていることです。これは、当社のウィークポイントといえましょう。ただ、武田社長もこの点についてはかなりの危機感を持って研究開発陣を督励する一方、他社新薬の導入にも注力中です。「可能性として有望なものが複数」とのことですから、早晩大型提携が実現するものと予想します。

 以上、当社株価は目先弱含みですが、中期的観点から期待したいと思います。

2000/11/08(水)

武田薬品工業(東4502) ☆☆☆

 7日付日本経済新聞に、同社と米アボット・ラボラトリーズ社との合弁会社(折半出資)であるTAPファーマシューティカル・プロダクツ社が販売している前立腺がん治療薬「リュープリン」が米国司法省から調査を受けている旨の記事が掲載されました。これを受け、同社株は7、8日と続落しています。

 詳細につき、同社広報担当の方に電話取材してみました。
 ことの発端は、米インディアナ州の医師がTAP社の供与した「リュープリン」のサンプルを治療に用い、医療保険から不正請求していたことです。
 この医師は既に起訴されていますが、米法務省は97年12月に同社に対し、同剤の販売及びマーケティング方法についての書類提出を命じ、同社はこれに応えています。あえてこの時期に情報開示に踏み切ったのは、法務省が処分を決定する時期が近づいたとの判断によるもののようです。
 ただ、この処分が同社に対して下されるのか、あるいはTAP社、TAP社の販売担当者に対してのものになるのかは判断がつきません。また、賠償金を求められた場合にはどの程度の金額になるのか現状では分かりません。

 私個人は、同社が大幅に責任を問われるような問題ではないと判断していますが、「訴訟社会」である米国の判断基準を楽観視しているわけではありません。しかし、重篤な副作用などと違って、一過性の問題であることは確かです。投資判断は据え置きます。

 明日(9日)の中間決算説明会については改めてご報告します。(駄洒落商会会長)

2000/11/01(水)

武田薬品工業(東4502) ☆☆☆

 今回は武田薬品工業(4502)を取上げます。

 昨日(10/31)、当社は今中間期及び通期の業績予想を単独、連結ともに大幅に上方修正しました。
 連結業績のみご紹介しますと、中間期の売上高4,600億円を4,740億円に、同経常利益1,160億円を1,524億円に、同当期利益685億円を900億円に修正。また、通期の売上高9,240億円を9,550億円に、経常利益2,330億円2,860億円に、当期利益1,380億円を1,680億円に修正しています。

 業績上方修正の要因は、米国において大型新薬である糖尿病治療薬「アクトス(塩酸ピオグリタゾン)」が予想を上回り好調であることと、国内でも血圧降下剤「ブロプレス」、前立腺・子宮内膜症治療薬「リュープリン」、糖尿病治療薬「ベイスン」が好調であることです。

 「アクトス」は血糖値を抑えるインスリンの作用を高める働きがあり、糖尿病患者の99%を占める「インスリン非依存型」患者を対象としています。100%出資の米国販売子会社TPAが昨年8月に米国での販売を開始。会社側では通期売上高を400億円と予想していましたが、1〜6月では既に約290億円を販売しており、通期600億円で超える勢いです。今3月に競合品であったワーナーランバート社の「レズリン」(日本名「ノスカール」)が市場から撤退したことも好調の要因です。

 なお、国内では昨年12月に発売しており、約9万人が服用し、約35億円の販売実績があります。10月5日には「アクトス」の服用者5人に、副作用とみられる心不全が起きていたことが判明し、厚生省が当社に対し、 医療機関への「緊急安全性情報」の配布を指示。当社株価が急落する一幕がありました。
 しかし、副作用による死亡例を出した「レズリン」(ノスカール)を教訓として、慎重な販売姿勢をとっていたこと、副作用が出るまでの投与期間は1〜3ヵ月と短いうえ、投与中止後は症状が改善していること、などから、影響は軽微との見方が浸透。当社株価もすかさず戻しています。

 従来当社は業績予想が保守的な傾向があり、前2000.3期の決算説明会の席上でもアナリストから不満の声が上がっていました。案の定、大幅に上方修正がなされたわけですが、今中間期の連結経常利益1,524億円に対して、通期の予想は2,860億円とまたしても控えめな予想がなされています。新薬の好調ぶりからしてさらなる上方修正があるものと予想します。

 国内医薬品市場は約5兆円と米国市場に次ぐ第2位の規模にありますが、政府の薬価抑制策により今後の伸びは限定的とみられます。国内大手製薬メーカーにとっては海外展開がポイントといえますが、当社は他社に先駆け、日米欧にまたがるグローバルな自社開発・販売体制を確立しています。業界ではイチオシといえましょう。

 なお、中間決算発表は6日、説明会は9日が予定されています。また、ご報告します。(☆☆☆)(駄洒落商会会長)

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