田辺製薬(東4508) 2001/03/07更新

2001/03/07(水

田辺製薬(東4508) ☆☆☆

 1月に3回にわたって「再生医療」についてのコラムを掲載いたしましたが、このところ株式市場でも関連銘柄が少しづつ話題となっているようです。
 たとえば、科研製薬(4521)です。線維芽細胞増殖因子(bFGF)を使った世界初の医薬品となる難治性皮膚潰瘍治療剤「フィブラスト」が2月23日に特別部会で承認を得、5〜6月発売の見通しとなりました。
 「コラム」でもお伝えしましたように、同薬剤は米サイオス社より導入したもので、ピーク時年商50〜70億円が見込まれています。この規模では「大型新薬」とは言い切れませんが、マーケットでは今回適応の難治性皮膚潰瘍以外に、将来的に骨折、歯周病、骨粗鬆症、脳梗塞への適応認可の可能性を材料視しているようです。

 今回はやはり、コラムでも書きました田辺製薬(4508)を取り上げてみたいと思います。当社は京大、滋賀医科大、近畿大と共同研究で、カニクイザルの受精卵から「万能細胞」と称される胚性幹細胞(ES細胞)を作り出すことに成功しています。このほど厚生労働省が幹細胞を利用した臨床試験を行う際の指針作りに乗り出したことで改めて注目を集めています。

 また、当社は今月6日、現在開発中の性機能改善剤「TA‐1790」の日本とアジアの一部を除く地域での独占的な開発・販売権を米ヴィーバス社(カリフォルニア州)に供与することを発表しました。ヴィーバス社は91年に設立された性機能改善剤に特化したベンチャー企業で、経尿道及び局所的投与技術に関する特許を所有しています。経口剤である「バイアグラ」の登場以来苦しい立場にありましたが、今後は「TA‐1790」の経口剤開発が期待されます。

 なお、田辺製薬は糖尿病治療薬「T‐1095(ジョンソン&ジョンソンへ)、抗炎症剤「TR‐14035」(グラクソ・スミスクラインへ)に続いて計3品目を矢継ぎ早に海外メーカーに導出したことになります。

 当社の弱みは、海外販売網を持たないことでした。国内製薬メーカーを評価するポイントは、1)当然のことながら、新薬開発力(含むゲノム創薬)、2)国内市場が薬価抑制政策により伸びが限定されるため、年率15%程度で成長を続ける米国市場ほか海外市場で強い販売力を持つこと、などです。
 同社の場合、積極的な海外メーカーとのアライアンスにより、2)の弱点を補おうとの戦略は評価出来ます。また、その海外メーカーは熾烈なM&Aを繰り広げていますが、時価総額が小さく、新薬開発力の優れた国内メーカーは将来的にその格好の対象となることが十分予想されます。当社の場合、主要国内メーカー間の比較では、時価総額、M&Aレシオでみた場合、「買収しやすい企業」ということが出来ます。仮にそうした対象となった場合の「株価的妙味」は言うまでもありません。

 ちなみに、今期の連結当期利益は退職給付債務の積立不足347億円を一括償却するため、ゼロとなる見通しですが、来2002.3期は正常な決算となることから、過去最高益を更新する見通しです。(☆☆☆)(駄洒落)

 

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