コニカ(東4902)
昨晩、重合トナーについてネットで調べていたのですが、読者であり技術コンサルタントであるQ氏が早速答えてくれました。以下ご紹介します。
億近コンサルタント ドクターQ氏
コニカの特許の一部を抜粋して付けます。
ここに書かれているのがコニカの言う(コニカが優位であるという)理由でしょう。
ちなみに、キヤノンは球形の重合トナーを使いこなす(特に現像プロセス)のに非常な努力をしたようです。つまり、トナーの方を楽に作る(コストダウンする)のか、他の部分に手を入れるかという選択です。
どちらがよいかは一概には言えませんが、球形が使えるならばそちらがいいのかなという気はします。勿論画像表現上も球形の方が有利でしょう。
僕は、キヤノンに1票入れます。
では引用です。
【公開番号】特開2000−29240
【公開日】平成12年1月28日
【発明の名称】重合体粒子の製造方法及び静電荷潜像現像用トナーの製造方法
【出願人】【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカ株式会社
【従来の技術】
電子写真方式による画像形成方法において、近年高画質化の要請が高まっており、この高画質化の要請に対して小粒径で粒度分布の狭い静電荷潜像現像用トナー(以後、単にトナーともいう)を用いて画像形成を行うことは極めて有用である。そこで従来よりも更に小粒径化されたトナーを得る製造手段としては、従来一般的なトナーの製造法である粉砕法ではその生産上の能力、効率、収率、コスト等の面で最早対応できないのが実情である。特に、粉砕法で得られるトナーはその粒度分布が広く、高画質化に必要とされる均一な粒径のトナーを得るためには精度の高い分級操作が必要となり、生産性の悪化、高コスト化を招くという問題点がある。
上記トナーの小粒径化への要請に対し、近年新たに重合法によるトナーの製造方法が提案されており、この重合法は前述の粉砕法に比して小粒径化及び粒度の均一化の点で優れていて有利なトナーの製造方法である。具体的には水系の分散液中にトナーに必要とされる着色剤、離型剤等を共存させて懸濁重合法等により樹脂を重合させ、これら着色剤、離型剤を含有した重合性樹脂微粒子をトナーとして用いる方法であり、例えば特公昭56−87051号公報等にその具体例を見ることができ、該公報記載の重合法では従来の粉砕法では得られない小粒径のトナーを得ることができる。
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの重合方法により製造されたトナーは基本的には真球状であって現像性が悪く、また粒径のバラツキが多く実用上満足できるものではなかった。 そこで、例えば特開平6−329947号公報等には、乳化重合により生成した樹脂微粒子を複数個会合させることで非球形トナーを得る方法が提案されたが、該公報記載の方法ではトナーの製造時、固形分濃度を低く抑える必要があること及び多量の分散安定剤を使用する必要があることから、生産性が悪く、分散安定剤としての活性剤の除去が不十分となり易く、その他粒子の強度が弱く、かつ粒径のバラツキも多いため、結果的にトナーの電子写真性能が劣化し易いという問題を生じた。
本発明は上記実情に鑑みて提案されたものであり、その目的とするところは、粗大粒子を含まず、粒度分布がシャープであり、粒子の強度も大きく、しかも生産性にも優れており、トナーとして画像形成に用いたとき高解像力でかつクリーニング性に優れている重合体粒子の製造方法、及び該重合体粒子を用いたトナーの製造方法を提供することにある。
重合トナーについてのコメントです。
真球型(キヤノンタイプ)と不定形型(コニカタイプ)の相違点について:
トナー形状の違いは製法による差が現れている。キヤノンは縣濁重合で球形。コニカや富士ゼロックスなどは、会合重合で不定形。夫々の長所短所を簡単に整理すると:
真球型(縣濁重合) :転写性○ クリーニング性×
不定形型(会合重合):転写性× クリーニング性○
カラーでオイルレス定着ならば、キヤノンのような作りかたの方が有利ではないかと考えられます。
キヤノンは、クリーニング性の克服のために他の要素をかなりリファインしています。同様にコニカや富士ゼロックスなどは転写性の悪さをどうカバーするかが腕の見せどころというところですね。
結論としては、重合トナーで不定形が有利であるという根拠は今のところ薄い。少なくともカラーの電子写真のトナーは重合タイプが席巻すると思うが、不定形であるべき必然性はない。即ち、それだけでもってコニカが買えるとは思わない。
以上、ご参考になれば幸いです。
以上、ドクターQの素晴らしい技術評価でした。ドクターQ、どうも有り難うございます。
明日は各執筆陣の年末挨拶で個別銘柄は本日が最後となります。コニカの続報は年を越えてまた。(両津)
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