東燃ゼネラル(東5012) 2001/11/02更新

2001/11/02(金) 

東燃ゼネラル(東5012) ☆☆☆

 将来の動向を見据えた上で、しっかりとした戦略を打ち立て邁進する。本来の企業経営では当たり前のことであるが、日本でそれをキチンと実行している企業はどの程度あるのであろうか。
 同社は特筆できる満足な経営を行っている。

 20−30年も前のことであるようだが、ガソリン、軽油、灯油などいわゆる白油の将来を見越し、精製から販売に至るまで白油に沿った構築を実行した。仕入れる原油は同業他社がコストの低い重質油(API34−35)に対し、同社はガソリンが抽出し易い超軽質原油(API38)。需要にもよるが、重質油より超軽質油の方が価格は高いのだが、この原油を難しい精製方法を用いて、炭素をうまく分解し残渣が少なく、よりガソリンなど中間留分を多く抽出するのに成功している。

 一口に原油といっても採掘場所により成分が異なる。この成分の違いにより精製・運転方法は異なり、経験と技術が必要である。しかし同社の親会社であるエッソモービルグループは世界30数カ国に拠点を設け、成分の違いによる精製・運転方法を共有しており、このグループ力が同社の低い精製コストに跳ね返っている。

 マーケティングもシステムを構築し、他社との違いを見せている。他社もシステム構築してはいるものの、実情は営業マンの人的なつながりの要素が大きいが、同社は完全にシステマチック。担当営業が替わろうと販売量が落ち込むことはない。

 1リッター当りの販売店コストも、エッソモービルグループは日本でダントツの低いレベルにある。
 開発を除けば石油会社の利益は、原油仕入れコストと販売価格の差(マージン)である。仕入れコストは原油価格動向を見ていれば大体の線が見えてくる(基本的には月決め)。

 一方、販売単価はディーラーとの交渉になるが、これは需要つまり景況感から左右される側面がある。ガソリンなどは一般的に個人消費であるものの、軽油なら運送会社との交渉や重油なら企業との交渉など。

 よって原油価格が低下し日本の景況感が強く、販売価格が上昇するのが理想な訳だ。しかし現在の局面のように原油価格は低下し、需要も今ひとつの時はどうなるのか?

 仕入れコストは確実に低下するであろうが、末端価格に反映されるには多少のタイムラグが存在するといわれています。先程月決めと言いましたが、昨年末は原油価格が大分下がりましたが、販売コストに反映されるのに約2ヶ月の間があり、その期間は石油会社は多大な恩恵を受けたのです。

 反対に需要が悪く販売価格が低下基調の中、原油価格がジワジワと上昇するケースは最悪です。有事で大幅な原油価格上昇であれば販売価格に転嫁することが可能ですが、ジワジワ上昇する場合は転嫁するのが難しい。

 また商売がうまく行かないときほど、業界の秩序も乱れます。同社以外の元売(石油会社)は全て需要に対し設備過剰であり、環境が悪いと稼働率維持のために価格競争に陥ることが予想される。

 サインポールをエネオスに変更した日石三菱が減産について言及しておりましたが、他社も設備過剰問題を早く解決して頂きたいものです。(両津)

 

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