ノリタケカンパニーリミテッド(東5331) 2000/12/28更新

2000/12/28(木)

ノリタケカンパニーリミテッド(東5331) ☆☆☆☆

 【伊勢電子】

  • CNTランプ形状は、円筒形、直径20mm、長さは50mm。実物の明るさは5万カンデラだった。SIDの2000年シルバー賞を獲得した(ちなみにSID金賞は、USのi−magine社の有機ELディスプレイだった)。
  • 伊勢では、来年(2001年)に量産に入りたい、としている。
  • 伊勢が扱いにくい多層CNTを敢えて選んだのは、単層CNTより信頼性に優れるからだ。
  • 現状はグリッド電圧がまだ数百Vであり、満足できない。しかし、来年の量産品はとりあえず、1000Vの規格の模様。
  • FEDでは、エリアカラーディスプレイを15インチサイズで試作した。厚さ7mm。
  • スクリーン印刷であれば、後から高さの微調整が出来る。つまり、手間隙をかければ、よいものができる状態にある。大画面化を狙うのであれば、CVDではなく、スクリーン印刷が本命だろう。コストの道筋がつくかも。
  • 大手の液晶メーカから声がかかった。これはフィールドシーケンシャルのバックライトへの応用である。CNTランプの応答スピードは、赤で1ミリ秒。青や緑は数ミクロン秒レベルだ。パルス応答性で優れる。輝度はCCFLに比較し断然よい。CNTランプは話題性はあるが、大きさ、重さ、消費電力が実用のネックになっている。改善の余地が大きいのも事実。
  • 日本真空技術と組んで、熱CVD法(500度)で基板上の選択成長を試している。特性がなかなかでないようだ。共同でかなり特許を押さえたようだ。一方、ペースト方法は、伊勢独自のもの。使い分けとしては、小型はCVD、大型はペーストという感じ。
  • ソニーが力を入れているFEDは、CandecentのSpindt型。これは高精細だ。しかし、Moなどの金属を使用するため、管内の真空度要求水準が高い。高精細な画質にこだわるソニーらしい選択だ。20インチ程度まではがんばれるようだ。ただし、コスト面では苦しそう。工程が多い。一方、CNT電極表面は、不活性なので、管内の真空度が求められない。
  • 伊勢電子としては、FEDと液晶、どちらが生き残っても、CNT事業は成功するという戦略。
  • しかし、FEDを単独で消化する実力はないのではないだろう。CNTランプのほうは、心配しておりません。アプリケーションは遅かれ早かれランプから出てくるだろう。
  • 課題は、ペースト状の溶剤をミクロンオーダーで均一にする技術。ペーストの中に多層CNTが含まれており、熱処理でCNTの先っぽを焼き切ります。その結果、CNT先端とグリッドとの距離が均一でなければならない。もしくは、グリッドを印刷で作成するなどして、なにがなんでも距離を一定にできる処理技術がほしい。もしくは、後からCNT先端を微調整するノウハウ。
  • 伊勢がブレークスルーを起こせば、CRTがフラット化し、大画面を制することも可能だ。市場規模は10兆円を超えるだろう。もちろん、伊勢・ノリタケにそれだけの体力はない。どうするつもりなのだろうか。どこの大手と手を組むのか。興味深い銘柄。(大原)


2000/11/06(月)

ノリタケカンパニーリミテッド(東5331) ☆☆☆☆

 先週末の続きです。

 同社の試作したカーボンナノチューブランプは、電極にカーボンナノチューブを使用したものです。カーボンナノチューブの特徴は、良く電子を放出してくれることです。真空管などは電極に高い電圧をかける事によりサーマルエレクトロン(熱電子)を飛ばしておりますが(ヒーターと呼ばれる)、カーボンナノチューブではこうしたヒートも必要とせず、ただ電極間に電圧を駆ければエレクトロンがどんどん放出してきますので非常に効率的です。

 しかし、現在の試作ではFEDの電極にナノチューブを付けており、FEDの小型化には無理があり、チップLEDの代替には無理がありましょう。ですが最近では、LEDが信号機やタクシーの天井上のランプに応用されており、これはカーボンナノチューブFEDとバッティングしていくこととなりましょう。信号機へ応用すれば、現在主流のランプよりLEDの方が優位、しかしLEDよりカーボンナノチューブの方が更にメリットは大きいのです。なのに信号機では当分カーボンナノチューブFEDは登場しません。
 ナノチューブにはまだ問題があるのでは?と読者の皆様は考えるかもしれませんが現実は違います。
 ナノチューブを用いれば輝度の問題は無し、寿命もOK、点滅にも強い、よってメンテも楽。良い事だらけなのになぜ?実はこの「良い事だらけ」に採用されない理由が隠されております。皆様、お考えになってください。

 さてランプ以外では、同社ではカーボンナノチューブディスプレイの試作をし、かつて発表を行っております。韓国の三星も同様に試作展示を行なっており、そろそろ量産実験に入るのでは?と噂されております。

 ナノチューブをディスプレイに用いれば、エレクトロンを飛ばし発光素子にぶつけるだけの非常に簡単な構造で、しかも特別な製造ラインを必要とせず、また原材料の炭素は地球上に幾らでもある非常に安価な元素ですから、一気にフラットパネルディスプレイへの候補となることでしょう。

続きはまた次回。

 

【億近発行プロジェクトテクノロジーチームへ業務連絡】

 フラットパネルディスプレイ実用化に向けて(FTCプロジェクト学会発表から抜粋)
 従来のアーク放電、レーザーアブレーションからCVD法が注目。これは従来法より大量生産、低温での反応が可能、配向制御が可能といってメリット。
 CVD法での目玉は金属触媒で、微粒子の触媒を使用しないとナノチューブが成長しない。この金属微粒子を作成するのにゼオライトやポーラスシリコンなどの細孔に埋める、金属薄膜をレーザー・マイクロ波でエッチング、有機金属錯体の熱分解により熱粒子化など。
 但しナノチューブの成長制御、ディスプレイへの対応を考えると制御またはハンドリングし易い微粒子の調整法が望ましい。

 そこで表面活性材に囲まれた微少な空間の中で金属イオンを還元する逆ミセル法というのがあるらしいが、これでコバルトナノ粒子を完成させた(4nm)。これを基板にキャストし、800−900度でアセチレンの希釈ガスと反応すると、多層カーボンナノチューブが完成。この触媒液は大気中で安定、ハンドリングが容易、スクリーン印刷法やインクジェットとの組み合せで、容易に大面積化やパターンニングが可能。曲面上への塗布もOK。

2000/11/02(木)

ノリタケカンパニーリミテッド(東5331) ☆☆☆☆

  マーケットが弱含みの中、同社株の堅調ぶりが目立つ。なんせ逆行高してますから。9月に業績上方修正を行なって、更なる業績修正期待?いや、それも一因としてあるかもしれませんが違いましょう。

 今期に入って、同社を訪問する機関投資家がかなり増えたそうです。皆さん同じ事を考えていると思われます。目的は、かつて豊田合成のLEDが叫ばれる中、億近で「調査する」と宣言した、カーボンナノチューブにあるようです。

 1991年に、NECの研究者が偶然発見したカーボンナノチューブですが、構造により金属にも半導体にもなるという優れものです。但し、抽出するのが大変難しく、数年前には1日に数グラムしか抽出できないと言われ、夢の技術と思われていました。
 また、カーボンナノチューブを得たとしても、自在にカットや目的の場所に貼り付ける(貼り付けるという表現は適当でないかもしれません)のが容易ではないとも言われておりました。

 しかし最近、カーボンナノチューブの特許やHPを見ているうち、大量生産が可能になったような研究者の意見を発見しました。とはいえ、うまくカットするのは無理だろうと思いきや、ある特許を発見しました(大原・両津の技術軍団で)

 特許出願が平成11年4月16日、公開が平成12年10月31日の最近公開された特許です。発明の名称は『フィラメントとそれへの電流誘起方法及びその加工方法』で審査請求されております。
 課題項目には『ナノメートル級微細構造のフィラメントを個別に、選択的に所望の形状に変形する事ができ、更に選択的に電流を誘起することができるフィラメントとそれへの電流誘起方法及びその加工方法を提供する』とあります。
 ナノメートル級とはカーボンナノチューブを指しており、カーボンナノチューブ応用製品が私たちの身の回りに出現する確率が非常に高まった可能性があるのです。

 ではカーボンナノチューブ応用製品を一つご紹介しましょう。 ランプの電極にカーボンナノチューブを付けるとどうなるか?メチャクチャ明るいランプが完成します。ノリタケの資料によると、超高輝度で屋外でも高い視認性が得られ、輝度は50000Cd/m2と記載してあります。消費電力は発光ダイオード(LED)の約75%です。

 つまり、発光ダイオードより電気は食わないし、しかも明るいと来たらLED派には残念なことですが、マーケットは先行きカーボンナノチューブに食われる可能性が出て参りました。しかもこの輝度で収まらないようです。同社の輝度目標は100万から300万cd(カンデラ)というから驚きです。

 しかしまだ問題もあります。 グリッド電圧が非常に高い、小型が難しい(LEDマーケットがすぐに食われないのはこの為です)ということです。しかし屋外大型パネルや産業用途向けから出発し、先行きは卓上蛍光燈や白熱球の市場を侵食する可能性は十分にありましょう。

 豊田合成に投資した投資家、特に機関投資家は、白色発光ダイオードの家庭用マーケット市場への応用を鉛筆ナメナメ計算し、莫大な市場規模になると思われている方がいるかと思いますが、カーボンナノチューブの動向には注意した方が良いと思われます。

 白・赤・青の3色がとても眩しく、まともに注視することが出来ないほどの明るさです。
 「カタログデータだけでデタラメ言うな」と言われそうですが、億の近道は機関投資家と同一以上の情報を一般投資家にお伝えするボランティアグループであり、決してデタラメを言っている訳ではございません。

 億近発行プロジェクトでは、上記カタログデータのカーボンナノチューブの電圧を降圧し、約30000cdに下げたものを実際に見たからです。
 50000cdでは目が痛くて涙が出るかもしれませんね。

 また続きを掲載します。
 ちなみに、上記特許はNECから出されたものです。

あくまで投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり内容を保証したわけではありません。
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