三井金属(東5706) 2000/04/24更新

2000/04/24(月) 
三井金属(東5706) ☆☆☆☆
【三井金属の銅箔事業】

 銅箔はプリント基板に使われます。銅箔は、エッチングされ、残った部分が配線部分となるわけです。プリント基板の配線は、年々、細くなっています。携帯機器の小型化・高機能化を背景に、基板への実装が急ピッチで高密度化しているためです。

 一般的に、細かい配線を形成するためには、エッチングの負担が少ない薄い銅箔が好まれます。また、プリント配線は、通常多層です。つまり、配線層と配線層の間には、絶縁層があるのですが、絶縁層に穴を空け、上下の配線層同士をお互いに電通させます。その穴あけはレーザーが使われることが多いのですが、銅箔が薄ければ、レーザーで配線層と絶縁層を一度に貫通させることができます。反対に、銅箔が厚ければ、一度エッチングして銅箔を削ってから、レーザーで絶縁層に穴を空けることになり、工程が2倍長くなります。そこで、銅箔の厚さも年々薄くなる傾向にあります。

 銅箔は電解メッキで作られます。メッキ槽から薄膜状の銅をドラムで引っ張っていくのですが、ドラム面はつるつるになるので平坦度に問題はないのですが、その裏面はけっこうデコボコになります。このデコボコは、5ミクロン程度のこぶですが、従来は、これがあったほうが銅箔を絶縁層にくっつけるとき、くっつきやすくなるため好都合でした。しかし、銅箔自体の薄さが数ミクロンを要求されるようになると、このこぶを平坦にしなければなりません。その平坦化の技術に秀でていることが、この会社が強い理由です。

 さて、銅箔の競争力を武器にして、三井金属はいろいろな周辺分野に進出しています。たとえば、ビルドアップ基板に用いる樹脂付き銅箔です。樹脂付き銅箔は、基板材メーカーである、松下電工、日立化成、三菱ガス化学、住友ベークなどが主なメーカーです。三井金属はそれらのメーカーに銅箔を供給していました。
 しかし近年は、樹脂を独自開発し、樹脂付き銅箔そのものの生産をはじめました。この川下への展開は成功しました。サムソンやヒュンダイなどが携帯電話に樹脂付き銅箔を採用したためです。銅箔だけでなく、今まで売っていなかった絶縁材料も売ることになるため、極端な価格下落がなければ、銅箔事業の売上・収益共は、確実に増えていくと思われます。

 また、液晶向けのTABテープもこのような川下分野です。TABは、銅箔に実装用テープが接着したもので、ドライバーICを液晶パネル周辺に実装するためのものです。この銅箔は、リード部分に使われるため、ある程度の硬さと強度が必要です。しかし、一方でエッチングで切りやすいことが要求されます。銅箔の薄さと平坦度が大変重要です。TAB事業での競争力も銅箔が基本になっています。液晶TABにおけるシェア50%以上で、TABは営業利益のかなりの部分を稼いでいます。

 銅箔の価格に対しての材料費は20−25%の間です。銅箔という、一次的な生産財にしては、材料費率が低いことに注目しています(つまり、わたしが大好きな限界利益率が高い事業です)。銅箔の生産は、2000/3の上期が3500−3900トン程度、下期4300トンと切りあがり、フル稼働の状態です。厚さ12ミクロン以下のハイエンド品でのシェアは90%です。ライバルは古河やジャパンエナジーです。

 株価は、4月21日引け値で550円。今期2001/3は、この生産状況が続けばEPS30円程度が期待できます。PER20倍割れですので、買い。

 これまでの繰り返しになりますが、限界利益率が高いだけではなく、それが長期的に維持できる実力があることが、「いい銘柄」と見る条件です。月曜日の億の近道に間に合うかな?(大原部長)

(大原部長、間に合いましたよ〜!byぢ)

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