フジクラ(東5803) 2001/04/27更新

2001/04/27(金)

フジクラ(東5803) ☆☆☆☆

 先日の日経新聞に同社の前期業績に関する記事が掲載されていた。連結売上高3500億円、経常利益276億円と非常に好調な結果となったようだ。特に経常利益は210億円の計画であったため、ディスクローズのルール(売上10%もしくは利益で30%の変動)に抵触ギリギリの大幅増益を達成している模様。

 連結群の詳細はわからないが、光製品が相当な牽引役になったのは間違いない(特に光ファイバー&ケーブル)。平均利益がかなり高いと言われ、売上拡大は即、利益に直結する。 米国の光投資の減速は気になるところだが、同社の売上にはその影響は出ていないと想像する。2月の光製品の統計が発表されたが、ファイバー輸出の伸び率は確かに鈍化だが、それでも今年に入っての伸び率は60%位の大幅な伸長であり、米国からの受注伸び率が鈍化しても、作っても足りない状況が継続しているのだ。

 HSBC証券中尾さんのレポートが最近出たが、そこにはフジクラの光ファイバー&ケーブルの工場稼働率は100%を越えているかもしれないと記述されておりますが、私は軽く100%オーバーと考えている。
 フジクラの場合、顧客毎の仕様の変化による工程間の空き、休憩など、たとえ5分でも時間があればそれを埋めるべく、檄が飛ぶ場合がある(この激を飛ばす人たちが誰かは言えませんが…)。
 こうしたことより2直??時間、3直??時間と定めている稼働率を基に計算すると、現在の工場稼働率は軽く100%を越えてしまっているであろう。

 さて今期の利益がどの程度になるかに注目が集まりますが、最近IR担当者のパンダファイバに対するトーンが若干下がったと聞いております。今期は160−200億円の売上が見込めそうとのコンセンサスでしたが、同社によると200億円は無理という感じのようだ。

 パンダファイバの営業利益率は30%と発表しておりますが、証券界ではもっと高いと見ておりまして、パンダファイバのトーン低下は同社の株価に影響を与えるものとなりましょう。
 今期の同社業績(両津予測)は連結売上高3750−3800億円、経常利益で300億円と予想します。これを見ると利益は前期比10%しか伸びないではないかと思われる方がいらっしゃることでしょう。しかし私のこの予想はあくまで決算発表時に会社が発表するであろう業績計画です。そして来年の今ごろにはディスクローズのルールギリギリのラインに近い、もしくはオーバーするかもしれない利益額になると読みます。ですから経常利益で400億円前後が私の予想です。(米国通信関連企業の現状や、同社の前期業績の出し方を考慮しました)

400億円の基本的な考え方は、
1)パンダファイバは確実に伸びる。また利益率も証券界の予想をはるか越えている。読めないのが歩止まり。しかし歩止まりが改善しているかもしれない。
2)ファイバ&ケーブルは今期も強気でいける。加えて単価も下がらない。電線メーカー以外の我々証券界や産業界の方はファイバー&ケーブルの価格が読めないのが実情。特にケーブル(被覆)によって付加価値はかなり付けることが出来、我々の予想する利益率以上のものがあるかもしれない。

 被覆の付加価値とは、海底中で長年劣化しない、特殊用途で薬品に侵されにくいなどの条件を満たすもの。
 もっと特殊なケースもあります。まだ満足なものが出来ていないと思われますが、これが開発されたらメーター当り単価は多分数十倍でも売れましょう。
 それは潜水艦に搭載される光ケーブルです。しかも条件が変わっていまして、速く劣化するケーブルです。海水に触れると跡形もなく溶けるケーブル。しかも溶ける速度は早ければ早いほど良い。電線メーカーはこのような被覆にもチャレンジしている。
 ちなみにこの溶けるケーブルは何のために使うか、あえて言いませんがもう皆さん御わかりでしょう。

 今期業績を抑え目に発表し、成長期待が嫌気され株価が押す局面があれば、そこは投資チャンスと考えます。(両津)

 

2001/04/13(金)

フジクラ(東5803) ☆☆☆☆

 2月23日にフジクラについて掲載しましたが、相場が軟地合の中、700円台に落ちたことはあるものの、下値では根強い買いがあったようで本日は900円をつけている。

 WDM関連の銘柄、特に古河電工が叩き売られたが、同社もパッシブWDM製品を手掛けている。この4−6月はアクティブよりパッシブ製品の方が打撃が大きいはずだが、なぜか同社の株価は堅調。その背景には電線メーカーやWDM関連の銘柄群で割安に放置されていたことがあるものの、やはり業績が良いということではなかろうか。

 その中でも特筆されるのが同社のパンダファイバー。古河電工や住友電工も手掛けているが(住電工が現在でも製造販売しているかは不明)歩留まりが全く上がらない。
 何せ、あの細いファイバーに2箇所の長い穴を貫通させる技は正に職人芸そのもの。ライバル企業もフジクラの職人芸には完全に脱帽しているのが現状なのだ。そのフジクラの職人が昨年、職を離れたという本当かどうかわからないが噂が電線メーカーに広まっていたくらいですから、フジクラという会社を今一度見直す必要があるのかもしれません。

 私は同社に対する評価の内、かなりの部分をパンダファイバが占めております。まだ売上金額が少なく、他社のキャッチアップも当分は無理のようであることを考えると、あと2年は間違いなく同社に対する強気な見方が継続できると考えております。

 古河電工のパンダファイバ歩留まりは多分10%前後と私は想像していますが、フジクラはもっと高いレベルにいるのでしょう。マーケットでは20%前後と噂されていますが、本当の所はわかりません。
 但し、パッシブWDM機器が生産調整の波を受ける中、ファイバーオーダーは堅調であり、同社の業績は会社計画の営業利益210億円を上回るものになると推測します(かなり上回るのではないか)。

 WDM銘柄の業績を強く見すぎていたアナリストが業績予想を修正をしていますが、同社はマーケットが期待している業績もしくは期待以上の数字が見込まれるかのように株価は堅調です。

 既にフジクラをお持ちの方にはホールドをお勧めします。(両津)

 

2001/02/23(金)

フジクラ(東5803) ☆☆☆☆

 【経営戦略】

・メタル電線など既存事業は今後の成長が望めない他、グローバル競争が一層激しさを増すものと思われ、リストラや他社とのアライアンスを検討し、黒字定着を目指す。
・競争力のある分野を更に強くし圧倒的な技術と競争力で成長を図る。ターゲットは情報通信・電子分野。更なる経営資源の選択と集中を図り、収益力のある事業を拡大する。
・本社管理部門のスリム化、営業人員の成長分野へのシフト、製造部門生産性の向上のためのスリム化など低コストのための改革を図る。

【ポイント】
(光関連事業)
・世界シェア9割を握るパンダファイバ(偏波面保存光ファイバ)が大幅に伸長する。
 パンダファイバとは光波形劣化を、内部応力を利用し偏波分散を制御するもので、WDMのデバイスに組み込まれ、高スピード・大容量化のための必需品と言われる。2.5Gbpsから10Gbpsへアップするとともに、今秋から本格化しそうなラマンアンプ(RAMAN)で大幅な需要アップが期待される。
 パンダファイバは製造は非常に難しい。同社では20年に渡って作っているにも関わらず歩留まりは低い。但し、同業他社は更に低い10%前後の歩留まりと言われ、同社の優位性は当分の間揺らぎそうにない。その要因もあり、1メーター当たり単価は高く営業利益率も30%。(同社広報)
 パンダファイバの売上は前期13億円、今期57億円計画が70億円程度に、来期は160−200億円程度になりそう。生産能力を再来年の3月までに10倍に引き上げることを発表。
・前期435億円を売上げた光ファイバー・ケーブルが北米を中心にタイトな状況。売上高の半分が光ケーブルでほ全量国内向けに対し、残りの半分が光ファイバーで輸出比率は72%と高い。その内訳はカナダを含む北米が27%、中国21%、ロシア・欧州15%、その他アジアが9%と分散。旺盛な需要を背景にパンダファイバと同様に大幅な生産能力増強に動く。WDM用ファイバを10倍、シングルモードファイバを2倍に拡大する。
・光部品の内、汎用品の一部でルーセント、ノーテルからの受注状況に変化が生じてきたのも事実。しかし光関連事業全体で見た場合には影響が軽微であり、データ伝送の増大に伴い着実な成長を示そう。
・既存のメタル電線事業は自動車用ハーネスが一部伸長したものの、電力会社の設備投資、産業用プラントの減少によりリストラを実施しているものの厳しい状況。先般、巻線事業で昭和電線と合弁会社を設立し4月から活動開始になるが、こうしたアライアンスを電力・汎用電線でも検討し、前期約80億円の赤字を収益トントンまで持っていく計画。

【リスク】
・49%出資するアルコアフジクラは、今12月期27%減益の計画だが大丈夫か。
・タイにある製造子会社のうち、Fujikura Thailand、PCTT、LTECの主要3社の業績着地は?(両津)

 

あくまで投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり内容を保証したわけではありません。
投資に当たっては投資家自らの判断でお願いします。
億の近道on the Web 質問・要望事項はこちらまでメールを。


戻る