ブラザー工業(東6448) |
2002/09/14更新 |
2002/09/10(火) | ||||||||||||||||||
ブラザー工業(東6448) ☆☆☆☆ 2001年6月に億近の企画で「あなたのイチオシ銘柄」を募集。応募19銘柄の中にブラザーがありました。 さっそくわたしはブラザーを緊急訪問し、そのよさを実感、2001年6月15日の億近で5つ星で紹介させていただきました。 その後株価は倍以上になり、今尚700円を越えて推移しているのですが、この水準でも魅力的だと思っています。 【勝負する価格帯が違う】 デジタル複写機のリコー。カラーレーザーのキャノン。ブラザーとは方向性も価格帯も違う。 証券会社においても、営業マンというのはかつては必要だったが、営業マンがいない松井証券がこれほど伸びているのはどうしてだろうか。 ブラザーの快進撃は多分中期的にも続くはずだ。こういう構造的な問題やトレンドで説明できる会社は当面大丈夫だろう。 【リストラ】 ブラザー販売という販売会社のリストラにより来期のコストダウンが期待できる。 【新商品投入時期が来年の秋以降になってしまう】 製品の投入サイクルからいうと、来年の秋以降が新製品の投入が期待できる。来期下期の売上活性化が期待できる。しかし、来年の春商戦は厳しいかもしれない。 【家庭用ミシンや電子文具など】 シェア一番の分野が多くある。 【目標株価】 多くのアナリストが語っているように、1000円はあると思っています。(大原)
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2002/02/26(火) | ||||||||||||||||||
ブラザー工業(東6448) ☆☆☆☆☆ (1)着メロのエキシングの会員が伸びている。 【表1 着メロ会員数】
今期の平均は500万人+αとなる。来期は少なくとも4月で600万人からのスタートとなるわけだから、平均で700万人程度になるものと思われる(少なくとも、着メロが一過性のブームではない限り)。 ※2003/3 増益利益算定⇒200万人×月額平均200円(年間2400円)=48億円。来期は着信メロディだけで20億円程度の増益要因となろう。 (2)リストラ効果が来期数億円、再来期40億円の固定費の減少が期待できる (3)工業用ミシンの開発品種絞り込み効果 (4)為替のメリット(来期30億円程度) (5)通信機能標準搭載のプリンター(FAX&プリンター複合)のヒット 【結論】 いろいろ合わせると2年後に営業利益100億円上乗せも可能。営業利益320億円の10倍の時価総額が適正なら時価総額は3200億円だが、現状は1400億円。だからまだまだ安いという結論に至った。
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2001/07/24(火) | ||||||||||||||||||
ブラザー工業(東6448) ☆☆☆☆☆ リストラ継続。子会社のプラザー販売では合計610人の希望退職がこの上期に実施された。これで、来期の営業利益は30億円上乗せとなる。 【着信メロディ】 エクシング(90%子会社)による着信メロディは、ついに会員が400万人を突破した。今期100億円の売上となり、倍増。荒稼ぎだ。今後、着メロは、さらに進化するし、音楽配信なども付加価値ビジネスも視野にいれている。 【インクジェットプリンター】 精鋭をあつめたインクジェットプリンター開発。総力をあげて圧電素子加工技術を追求している。SOHOをターゲットにする以上、エプソンの家庭用プリンタよりは高速、テキスト印刷に秀でていなければならない。ドットプリンターで世界発の量産を成し遂げたあと、ワイヤードットから圧電素子に10年前から取り組んでいた。ミシン、電子文具、ファックス、すべてに応用可能な要素技術だけに真剣だ。技術力は侮れない。 【経営改革】 責任の所在がはっきりしてきた。社長がグループ戦略と事業部戦略、副社長が開発責任、専務が人事、常務が財務を担当している。3つのカンパニー代表とあわせて、少人数の会議は意思決定が格段に速くなった。白熱した議論が行われるようになった。 【ファックス】 Lモードは新製品化まだだが、先行した他社の販売状況がいまひとつで、状況をみながら投入のタイミングを図っている。(大原)
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2001/06/15(金) | ||||||||||||||||||
ブラザー工業(東6448) ☆☆☆☆☆ −−−−−−−−− 【沿革】 1908年安井兼吉(現社長の祖父)が「安井ミシン商会」として創業。後に兄弟である正義との共同経営となったため、「安井ミシン兄弟商会」と改称。兼吉と正義によるミシン「兄弟」(=Brother)が、商標の起源である。Brother商標は1928年から継続使用されている。以後、工業用及び家庭用ミシン事業を拡大(1950年までミシン専業)、高度成長期1960年代には、タイプライター事業へと事業領域を広げていった。 コストダウン意識は戦後の高度成長時にも強く、韓国へ1965年に生産拠点を設けるなど、海外生産拠点整備に余念がなかった。1980年代はアジア、90年代は中国への生産移管を行なった。 タイプライター投入によって、印字市場・事務機器市場へ足がかりを得たが、1980年代にタイプライター市場は頭打ちとなった。 経営は、「機械化から電子化へ」の流れにのり、プリンタとワープロへ拡張的な事業展開をしていった。1971年に米セントロニクス社と共同で高速ドットプリンタを世界で初めて量産した。タイプライターも電動化(メカトロニクス時代1985年まで)。 特許に対する取り組みもしっかりしていた。1989年には特許検索システムを社内で完成させている。また、ソフトウエアへの取り組みを強化した。刺繍ソフトなど開発。ミシンや電子文具などはデータ処理機能や通信機能を付加、ネットワーク化への取り組みを行なっている。 タイプライターなど事務機器市場へのアクセスを確保していたため、1)電子データ処理が重要な付加価値源泉になることが予想できた、また、2)世界中に販売チャネルを作ることが出来た。こうしたことから、データ転送や処理などの通信分野(今では着メロ配信事業として利益貢献)、プリンタのレーザ技術はファックスに生きた。 タイプライターによる英語文化とワープロによる日本語文化の掛け橋として、翻訳ソフト業務にも進出。顧客サイドのニーズを事業として具体化するのは上手い。ミシンは累計3000万台、ファックスは1000万台を突破した。 事業は、すべて、ハードで裾野を広げた後、消耗品で儲けるというビジネスモデルとなっている。消費者向けは消耗品がなかなか出ない反面、価格設定が企業寄りで、その分利益率が高くなっている。ハードの採算の悪化は、心配ない。文具などではサプライが70%を占め、プリンタでも50%近くを占めている。そのため、収益構造が大きく変化することがない。むしろ、収益は累積販売と比例し、年々積みあがる傾向にある。 リスクは為替。中国やマレイシア生産で調達はドルベースが多い。一方で、ユーロへの依存度が高いため、ユーロ安環境で放置される危険がある。ただ、歴史的にユーロの安値もいいところに来ているため、これ以上のユーロ安はないだろう。 為替の安定を前提に、来期EPS30−35円。PER15−18倍の450−600円を今後1年間の目標ゾーンとする。
【経営】 安井義博氏は創業者の孫。慶応卒業、米国マサチューセッツ工科大学留学。社長になって11年が経過した。サプライチェーンの構築、特許検索システムの開発、海外への生産移管などに実績を残した。ボードメンバーわずか10人というスピード重視の経営を打ち出している。元来、技術指向の強い会社だったが、技術者が優遇される風土が残っている。 経営思想は、顧客第一主義。「資源は有限だが、知恵は無限」(安井社長)。知恵を出し合える組織を目指し、社員のマインド面のケアに務めている。 【電子文具】 1980年代はブラザーにとって苦しい時期だった。タイプライターの衰退。ワープロ化の波。ブラザーはワープロに社運をかけて進出した。 開発当時、ベースは、タイプライター事業で養ったサーマルプリント技術だけだった。ワープロで重要になる変換や記憶保持に関するソフトの蓄積はなかった。技術陣を優先投入、85年に商品化にこぎつけた。小型化で先行するものの、東芝などの大手の相次ぐ参入で利益率が悪化。最終的に事業を撤退、ワープロ開発チームは解散の憂き目にあった。 ワープロチームは、新規市場としてオフィスのファイル背表紙へのラベルを思いついた。粘着テープ、発色層、透明なラミネートで構成されるラベリングテープが開発された。文字を反転写させ、ラミネートで字がはげないように工夫した。このテープの構造に特許を出願した。事務機器の販売チャンネルを有していたことが大きかった。既存の販売網が活かされた。(最近はエプソンやカシオなどインク技術によって追い上げられてはいるが) 90年代に本格投入したラベルプリンタ事業は売上約300億円にまで育った。利益率の高いテープが70%占める。今期は最低70億円程度の営業利益貢献(予測)はあるだろう。 これほど、見事な復活劇はなかなかお目にかかれない。 何かが何かを置き換える可能性を追及していくと、既存の産業がしぶとくその要素技術と顧客との強い結びつきを活かして、復活するということがある。結局、顧客のニーズを懸命に吸い上げる努力をしたものだけが、社会的経済的な認知を得るということなのだろう。 そういう意味で、プラザーはよい経営といえよう。ワープロで敗退したが、その要素技術は他に生きた。文字変換、電子データ処理は、通信やソフト開発に引き継がれた。努力は形を変えて報われるものだ。 【家庭ミシン 残りものに福はある】 家庭用ミシンの市場は、強引な販売がたびたび問題となっている。たかが刺しゅうに何十万という機種が家庭で必要となろうはずがない。しかし、寡占業界に価格競争は起こらず、ながらく、訪問販売という名の悪徳商法がはびこっていた。 ここにメスを入れたのが安井社長のえらいところだ。ブラザーは5万円台の低価格品を2年前に戦略的に投入した。一方で、ブラザー販売のあり方を議論、特約店との関係も見直しに動いた。低価格化の決断、戦略変更は、訪問販売への決別を意味する。 いまだ、ブラザー販売では売上の35%を訪問販売に頼っている。これを全廃したいとしている。特約店との関係を見直した際、消費者への強引な商売をするところと縁を切った。 利益率は悪くない。40億円程度の営業利益貢献があると推定している。 【インクジェットに注力】 次の一手は、ピエゾ素子のプリンタヘッド開発。インクは顔料系も視野に開発中だ。インクジェットは、技術の筋としては、バブルジェットを上回る。ピエゾ素子派であり、経営のセンスのよさを感じさせる。 ファックスとインクジェットの複合機は年間15万台を出荷しており、量産に入っている。 ミシン(刺しゅう)とプリンタ(顔料インク)という組み合わせは、洋服のデザインを根本的に変える可能性を秘めている。 インクジェットに研究開発人員を総動員。この要素技術は、半導体製造工程にも革命を起こす可能性がある。電子文具への技術転用も可能だ。経営が技術がわかっているから安心できる。 インクジェットはピエゾ素子開発では日本ガイシと一線を画している。独自技術だ。インクは顔料系への展開を急いでいる。 【工業用ミシン】 波はあるが、中国への衣料品生産拠点が移っており、追い風となっている。シェア20%で2位ながら、400億円程度の売上を確保している。 【着メロ】 JOYSOUNDは着メロ会員340万。シェア一位を伺う勢いだ。月90円から300円というサービス。始めて18ヶ月。順調に拡大した。足を引っ張っていた通信カラオケも黒字化を果たした。着メロの利益だけで、20億円程度は見込めるだろう。将来はますます楽しみだ。 今期の業績予想への確信は、この部門の利益率だ。ご想像のとおり、売上=利益に近いものがある。 【特別損失一段落】 人員削減関連などで特別損失を今期100億円弱見込む。来期に繰り越さない。 【モノクロレーザプリンタ】 欧州でシェア2位。8年前 6ppm、4年前に8ppm、今年12ppmを達成、価格維持に努めてきた。ファックスとの複合機に力を入れている。中国生産。80万台出荷。 【スピード】 役員わずか10人。スピード経営が浸透している。 【財務】 財務体質を改善。不良債権処理は終えた。来期以降、有利子負債も毎年100億円程度づつ削減できるだろう。(大原)
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