キーエンス(東6861) | 2001/09/06更新 |
2001/09/06(木) | ||||||||||||
先達て下方修正を行った。
下方修正の内容は御覧の通り下期回復型であり、7月初旬の段階で想定した景況感を前提に予算を組んでいる。今年の5月の時点ではほとんどの企業が下期回復型の予算編成をしていたが、先日下方修正したファナックのように下期の方がより落ち込むとしている企業もある。キーエンスの修正した業績予想が妥当なものなのかどうかについては疑問を感じる。 昨日、機械セクターのメジャーアナリストと会談したが、その方も比較的ラフな業績を予想しているが、心中は通期12.7%減収に終わらないと思っているようだ。 前期連結営業利益477億円の内、海外での利益は10億円強に過ぎない。これは海外で製造を行わず、海外販社に対するマージン(仕切り)から生じている。よって海外での利益が国内より遥かに少ないわけではない。 キーエンスは、営業利益率では上場企業中トップクラスの素晴らしい企業である。以下、簡単にご紹介しよう。 キーエンスは工場インフラなどに用いられるセンサーや、計測器を製造販売する企業であり、いくつか特徴をもっている。 1つ目は代理店を一切使わない直販のみであること。代理店を経由では、正確なそしてタイムリーな顧客ニーズが掴めないことである。 顧客工場は製造インフラに関する悩みを必ず有しており、この情報をゲットするために製造技術者や購買担当者と親密な関係を作るのがポイント(証券会社の支店営業に似ているな!)。 技術者も営業からの情報のみに頼らず、自らの足で顧客企業の現場を回り、生の情報をゲット。このやり方でソリューションを提供する営業・開発体制の構築に成功したのだ。 同社の製品単価は決して安くない。同社の製品で1番安いもので1万円。つまりセンサー1個が1万円? 更に徹底的なコストダウンに成功している。 前期の材料費は172億円、外注に支払った費用は39億円と、売上高1020億円の内、実際の原価は211億円。連結での売上原価は230.5億円に押さえ込んでおり、粗利益率は77%に達する。しかも外注メインであることにより工場建設・ライン投資の費用が少なく、固定費は非常に軽く、設備投資は約10億円でしかない。 減価償却も今期は14億円と、利益に対してほとんど無視できるレベルでしかない。14億円の内、新大阪から歩いて10分弱の距離にとても目立つ本社が聳え立っているが、その償却が全体の半分弱である。 四季報を見れば同社の給料の高さもわかろう。30歳そこそこで平均1100万円オーバーと、日本を代表する企業並である。この給料も能力級の度合いが推定だが3割程度。つまり業績に応じてそれだけアップダウンするわけであり、原材料・外注費用を加えた変動費用は20%台であろう。そのため限界利益率が高く、売上増はそのまま利益に直結する。 この結果、営業利益率47%という驚異的な高さを実現している。 但し、国内収益の度合いが高く、日本の鉱工業生産にパラレルなトレンドを描いてしまい、現在はまさにバッドな状況。しかし同社の扱うセンサーは工業界では絶対の必需品であり、シクリカルな影響を受けるが着実な成長を遂げよう。 また省力化提案企業としてM&Aなどを活用し、更なるポジションアップが見込める。現在の扱い品目は70−80シリーズと絞り込んでいるが、今後はもっと工場インフラ整備に役立つソリューションを提供する企業へと変化しよう。 しかしながら上述したように、業績に関しては下ブレ懸念があり、国内設備投資の回復も全く読めないなかで、あえてこの時期に投資するのはリスクが高いかもしれない。(両津)
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