メガチップス(東6875)
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内容
§1 Q&A オン メガチップス 社員の声
§2 やりぬき 世界一を目指す会社
§3 CDMA2000 1xEV−DO 世界一の鼓動 画像処理ASSP 離陸する
§4 株価見通し 少なくとも2倍になる??
§1 Q&A オン メガチップス
まず、どういう会社なのか、HPよりメガチップスの中堅社員さんの声をお聞きください。
(http://www.megachips.co.jp/jp/rec_senior/index.html)
☆Iさんへの質問 (Iさんは社会人歴12年目(1999年当社入社))
Q:あなたが、メガチップスを選んだ理由(入社動機)をお聞かせください。
A:昔から画像関連で民生的な商品を作りたいと思っており、「仕事するぞー」って感じでできるところ(小さいけどPowerのある会社)を探していました。その中でマルチメディア関連の技術をもっていてLSI設計からシステムの設計までやっているメガチップスが目にとまり、なんかよくわからないまま玄関をたたいてました。「とんとん 入れてくれますか〜」って感じで。集団というよりは個が強い会社。個々がすごい技術を持っていると思います。だからいろんなところにダイヤモンドが転がっています。それとみんなパワフルです。
Q:現在の仕事内容を教えてください。
A:産業用で使われるハードディスクを記録媒体としたビデオレコーダを開発しています。
Q:仕事をする上で大切にしていることは何ですか。
A:あきらめないこと。
Q:これから入社する、未来の後輩にメッセージをご記入ください。
A:負けてもいいからやりぬくこと。技術者はやらないことが負けですから。(最近、自分に言い聞かせてます。)
☆Sさんへの質問 Sさんは社会人歴16年目(1998年当社入社)
Q:あなたが、メガチップスを選んだ理由(入社動機)をお聞かせください。
A:自分のやりたい仕事(デジカメ用の汎用チップの開発)をさせてくれると思ったからです。
Q:入社前と入社後の印象に、違いはありましたか。また、入社して初めて知ったことは
A:印象は思っていたとおりでした。また、「良い意味での個人主義が徹底している」と思います。それらに加え、各個人のスキルが非常に高く、大企業が数人でやっている仕事を一人でこなしている人がたくさんいますね。
Q:現在の仕事内容を教えてください。
A:デジタルカメラ用の1チップコントローラおよび周辺ICの企画、開発、営業(開発に所属しているのですが、、、?)をしています。
Q:これまで一番苦労した点は何ですか。
A:デジタルカメラ用チップの開発すべてですね。山ほど問題が出てきて、お客様にもたくさん迷惑をおかけしましたが、それだけ目指すものが高かったんだと思います。先方の担当の方からは、「高度10mで、太平洋を渡っちゃったね。」と、お礼とも、ボヤキとも、とれる言葉を頂きました。
Q:仕事をする上で大切にしていることは何ですか。
A:世界一を常に目指しています。本当に世界一には、なかなか、なれませんが、目指さなきゃ絶対になれませんからね。
Q:今後の、仕事に対する抱負などがありましたらご記入ください。
A:「目指せ、デジカメ界のインテル!」です。
Q:これから入社する、未来の後輩にメッセージをご記入ください。
A:なんでも良いから、自分の分野で、世界一を目指してください。仮に世界一になれなかったとしても、その努力がきっといつか実を結びます。
§2 やりぬき 世界一を目指す会社
高い技術があるならば、それを存分に活かせる職場がほしい。頂上を目指すものたちに共通する意識の高さが見られる。どうしてもやりたいことがある。それができる環境に飛び込む。
知識は沢山あっても、やりたいことがない者は、できるだけ安定した職場を求める(傾向が強い)。さらに条件もよくて、結果責任の問われない職場(=大企業の研究所)を目指す(傾向が強いように思える)。
やりたいことがはっきりとあって、その目的のために、長年努力を重ねている者の給料と知識は十分にあるがやりたいことがはっきりとしない者の給料は何倍違っているべきだろうか?
能力の差は5倍、意識の差は100倍。日本電産の永守社長はそう社員を鼓舞しているようだ。実際、100倍程度、生涯賃金は違ってくるだろう。今後、20年間のメガチップスの社員の給料は、大企業社員の100倍以上に達する可能性が高いだろう。台湾で成功したファブレス企業のメディアテックの去年の年末のボーナスは新人社員も含めた平均で1億円以上だ。製品開発者は10億円以上の報酬を得ていると推定される。
たとえば、現状700億円のメガチップスの時価総額は、3年で2000億円程度になる可能性がある。その1300億円の10%は社員に還元される可能性がある。開発者には30億円程度の報酬になるかもしれない。世界一を目指すのは、そうせざるを得ない衝動からだ。しかし、世間は黙っていない。それを目指す者には、しっかりと報いる。世の中はそう出来ている。
それが見えない者たちは、大企業へしがみつく。しがみつくのが悪いとはいわない。やりたいものがないのだから仕方ない。「世界一でなくても、別にいいや」、そういう気持ちでやっているのだから、道楽であって、ビジネスではない。ビジネスは「勝ち」以外は無価値だ。いや、無価値ではなく、損失だ。
理論株価は、将来のキャッシュフローが赤字であれば、マイナスの価値がつく。そういう意味では、ビジネスにおける「負け」は、大変なマイナスの価値であり、多額の損失を株主に与える。現に多額の損失を与えている会社は、サラリーマン研究者がいい加減に生活している大企業がほとんどだ。
※いい加減という意味は、ビジネスの「勝ち」「負け」とは無関係に生活している、その意識の低さを指している。
もちろん、カネは第一義的なモノサシではないだろう。やるのかやらないのか、世界一なのかそうじゃないのか − ビジネスの基本は「勝ち」と「負け」。ビジネスは勝たない限り、それまでの努力は無に帰す。例え、負けても、それは最終的に勝つまでのひとつの過程にすぎない。
メガチップスは、HPからも、次々と「世界一」という言葉や「やりぬく」という言葉が聞こえてくる。社長や経営者が言っているのではない。1人の社員が個人として、そう言っている。そういう会社がある。投資家冥利につきるではないか。
そして、いま、本当に世界一になれる可能性が開けてきた。それが現在のメガチップスの状況である。
§3 CDMA2000 1xEV−DO 世界一の鼓動 画像処理ASSP の離陸
サムソンのCDMA−ONEの最高機種(CDMA2000 1xEV−DO)にメガチップスの画像処理チップの採用が決まった。それを聞いたときの反応は、投資家まちまちだろう。
ちなみに、わたしの反応は、「ええええーーーー!!! すっごい!!」
それは、サムソンが今一番伸びている携帯電話メーカーということもあるし、
サムソンの携帯電話事業の利益率が30%もあるということもあるし、
打倒NOKIAを長期的に掲げられるのは、ソニー・エリクソンとサムソンぐらいしかないということもある。
いや、それにも増して、韓国がいますごい。
昨年立ち上がったCDMA2000 1xの加入者は激増している。
昨年3Q(4−6月)の加入者200万弱が、4Qで420万、今年1Q(1−3月)には790万(全加入者の25%)と増えている。
今年中にすべてCDMA2000に置き換わる猛スピードでデジタル化が進んでいる。
サムソン向けのメガチップスのASSP(特定用途向けのスタンダード半導体)は量産が開始された。
5月 5000個6月 10000個7月 20000個そして尻上がりに個数は増えていくだろう。
サムソンはワールドカップまでにどうしても間に合わせたかったようだが、なんとか間に合った。
サムソンに採用と聞いて、平常心でいられるようなら、それはよほどの大物投資家だ。
わたしのような小心者は、NECに採用!というニュースにはインパクトはそれほどないけど、サムソンに採用ということなら、ぐらぐらっときてしまう。
平常心が大切といいながら、いけませんね。
【表1:ノキアとサムソンの携帯電話出荷台数】
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2000実
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2001実
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2002予
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ノキア |
128百万
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138百万
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155百万(予)
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サムソン |
20百万
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29百万
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36百万(予)
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(シェアを伸ばしている。この勢いは続きそうだ) |
サムソンだけではなく、日系企業のSや韓国SKTなど数社内定している。
画素数が多くなるハイエンド機に搭載されるのは心強い。
§世界一といわれる所以
上記ASSPのライバルはDSPで有名なTI(テキサス・インスツルメンツ)と東芝。
しかし、TIは繰り返し計算が多すぎ、性能で劣る。
東芝は、チップが大きすぎる。
メガチップスによれば、並列処理となるべくハードウエアで処理を済ませるという工夫が他社との差別化になっているという。
あまりにも汎用的なプログラマブルチップやDSPでは、ハードウエアの効率が悪くなる。
たとえば、MPEG4なら圧縮するにもその演算が限られるわけで、最適化されていないPLDやDSPに負けるはずはない。
ある程度の数量が見込まれる分野ならなおさらコスト優位性は保てるだろう。
メガチップスの場合、画像処理に関するアルゴリズムが優れているといわれている。
計算量が膨大になるデジタル画像処理のかぎは、圧縮のやり方の上手さにある。
これを演算の種類もべらぼうに大きいDPS上で高速クロックで無理矢理処理やれば、RF部へノイズを与えることにもなりかねない。
リアルタイムで処理するためには、メモリー⇔CPUを効率的にデータを移動させる必要がある。
秘訣は、動画の予測にある。
画素補間、色空間変換、色抑圧などの補正をリアルタイムで処理するところに強みがある。
もともとクロックジェネレータの正確さでは定評がある会社である。
そして、圧縮のやり方。
これがまずいと集積がへたくそになり、コスト勝負で負けてしまう。
動画を圧縮する。
再生じゃなくて、圧縮。
そのデザインの最適化にここ数年かけてきた。
高度10メートルで太平洋を横断してしまったから、世界一になれた。
いま、任天堂を保有している機関投資家から、任天堂の動向を探るために、訪問を受けているようなメガチップス。
しかし、採算性の高いASSP事業の立ちあがりを素直に評価すれば、2900円?? これはSCREAMING・BUYだろう。
§4 株価見通し
わたしの勝手な試算では、株価が数年で2倍以上になると出ている。時価総額が小さすぎて、わたしたち機関投資家は買えない。
残念な話である。うー。買いたい。(大原)
P.S.今回のわかりにくい言葉の解説:
ASSP:
完全に顧客に仕様を合わせるASICよりは汎用的だが、完全に標準的なPLDと比べると用途が決まっている半導体チップ。
うーん。PLDは、なんでもできるように、ソフトで処理することが多く、また、ハードの演算の種類も沢山ある。その分、面積も大きくなりコストでASSPより不利。
(チップを石という。「石が大きくなる」という言い方をするが、「チップ面積が大きくなってあかんがね」という意味である)
だから、基地局のように数が出ない石は、PLD。端末のように数が期待できるときは、ASIC。
でも、最高機種のように数量はそれほどでもないが、それでもいくらなんでも数万個は売れるでしょうという場合は、ASSPという棲み分けがある。
「棲み分け」を理解しないと、株式投資では大変な損失をこうむることになる。
世の中を理解しないと損失が待っている。
SCREAMING BUY:
「こりゃ、買ーーーい!!!!!!」 もう滅茶苦茶絶対に買いという業界用語
理論株価がマイナス:
株式価値を破壊している事業。将来のキャッシュフローがマイナス。これは赤字なのに事業を継続する場合、株価がその赤字事業の分、ディスカウントされる。
NECの社長が、コングラマリット・ディスカウントといっているが、悠々黒字で競争優位があれば、コングラマリットだろうがなんだろうが、ディスカウントはない。
世の中には、価値がマイナスなのに、株価がついていることがある。それは、マイナスのキャッシュフローを正確には予想できないことが原因だ。
投資家の仕事は、キャッシュフローの予測が大半なわけで、そのために、競争優位や市場占有率にこだわり、トップ企業にプレミアムがつくという当然のことが起こる。
わたしの私見では、だめな事業は、社員の士気の低さがその原因になっている。
社員の士気が高いか低いか、ローム、UMCJ、HOYAなど、よい企業で社員の士気が低いというところは皆無だ。士気の差は100倍、能力の差は5倍なのかもしれない。
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