日本電池(東6931) 2001/01/15更新

2001/01/15(月)

日本電池(東6931) ☆☆☆

 フォローです。

会社計画
売上高
経常利益
NET
単体
850億円
15億円
10億円
連結
1500億円
30億円
15億円

 

連結
GSメルコの計画

売上高
営業利益
経常利益
前期
411億円
−2億円
−8億円
上期
227億円
10億円
7億円
通期計画
500億円
20億円
10億円

 

 単体業績は、自動車向け鉛バッテリーが若干の好調さを見せている。
 4−11月の数量ベースの前年伸率+5%が、4−1月では+8%に拡大(金額ベースでは2%から+3%の増収)。
 最需要期である12月そして1月に寒波の影響が出ており、鉛バッテリーの保守用マーケットの好調が背景。

 一方、リチウムイオンやリチウムポリマーを手がける子会社のGSメルコは、若干の苦戦を強いられている模様。数量ベースでの当初計画はクリアーの見通しだが、当社の想定以上に価格ダウンの歯止めが効かないためだ。丸型の価格下落が激しく、角型に経営資源をシフトする同業他社が増え、当社の手掛ける角型のリチウム系バッテリーの価格下落が想定以上に長引いているためだ(角型の用途は携帯電話や他PDA端末、モバイルなど、今後マーケット拡大が見込める分野)。
 このため、GSメルコの今期業績は売上高こそ達成するかもしれないが、利益に関しては若干(1−2億円程度)の未達に終わる可能性がある。但し、単体の鉛バッテリーが、若干だがリチウム系の弱さを補う事となろうが、連結業績は計画線ないし若干の未達になると予想する。

 なお、足元の円安傾向であるが、単体での鉛バッテリーの輸出はなく、反対に部材(鉛)を輸入しているものの、殆んど影響は無い(鉛の価格はトン当たり9万円前後で安定している)。
 また、リチウム系でもGSメルコの海外現地生産はあるものの、全体からのウエイトが少なく影響は軽微である。円安の恩恵は受けない。
 来期業績は、微増ながら増収増益の展開維持するものと推測する。角型リチウム系バッテリーの価格次第の面はあるが、合理化や海外生産で乗り切ると見る。

 また自動車に搭載されるバッテリーの容量アップという材料面も将来はフォローとなろう。
 この背景には、高度情報化社会の中で、安全かつ情報を取り込んだ運転を目指すITSなど、自動車自体が「動く情報基地化」し、消費電力が拡大することが背景だ。
 現段階で、この大容量36ボルト鉛バッテリーの単価を議論し、業績に与えるインパクトを求めても相当不確定要素が高いものとなるので割愛させて頂く。(両津)

2000/12/11(月)

日本電池(東6931) ☆☆☆

  鉛バッテリーの最大手。

 三菱電機との合弁であるGSメルコで、リチウムポリマーの研究を実施。本年8月に月産30万個からスタートし、9月には60万個体制へ。これは当初より想定以上の進捗率となっており、数量ベースでの伸びは業界ではトップ。現在は携帯端末向けのみだが、今後は拡販していく。メルコの業績はまだ赤字の模様だが、水面浮上も間近であり来期は黒転を計画。設備投資は前々期からかなり落ちてきており、今後は昨年並みの投資額に落ち着きそう。
 燃料電池の開発を行っているものの、各国ベースでバラバラの状態。どの方式がスタンダードになるか現状では定かではない。単価も高い。

 以上、読者の皆様も証券会社のレポートをご覧になれば掲載されていることですので、詳細は省かせていただきます。

【ポイント】鉛バッテリー
 成熟と言われている鉛バッテリーが、同社の業績を底上げする可能性が出てきた。リチウムイオンやポリマー、燃料電池が脚光を浴びる中、鉛バッテリー最大手の同社は、評価を受けにくい面があったかもしれない。しかし今後の同社を取り巻く産業界を見ていると、鉛の需要が増えていきそうな気配。以下は学会誌からの抜粋である。

 21世紀を間近かに控え、化石燃料の大量消費から地球には重大な危機が訪れようとしている。21世紀は再生可能エネルギーの大量導入と、省エネが地球環境保全の大きな役割を果たし、欧米を中心に電力相当量5、10−50%程度を賄う目標が立案され、大幅な導入が進められている。
 主要国での98年末の太陽光電池累積導入率量は、日本が133MW(メガワット)、米国100MW、ドイツ54MW、イタリア18MW、スイス12MW。一方、大型風力発電累積導入量は、ドイツ4442MW、米国2445MW、スペイン1812MW、デンマーク1738MW、日本68MW。
 2010年の日本の導入目標は、太陽光5000MWと風力300MWで、徐々に設置が進んでいる。昨年の太陽電池の全世界生産量は201.5MWで、米国64.6MWに対し日本80.5MWと世界第1位となり、主流の多結晶モジュール1KW当たり50万円前後と低下している。
 地球の人口は60億人を超え、その3分の2の方々は無電生活を強いられており、大規模システムより小規模分散電源のハイブリッドなどの導入が必要である。
 日本でも山岳ブームを背景に登山人口の増加で、し尿処理や土壌汚染、緊急時の非常電源、サテライトなど無電源地域での小規模な電力需要が増加しているのが現状だ。
 ハイブリッドシステムの実用例を記載しよう。

(株)NTTファシリティーズ
 沖縄県久米島のNTT久米島無線中継所に、ハイブリッド発電システム245KWがある。風力と太陽光の組み合わせ。風力による交流480ボルトを交流200ボルトに変圧、太陽光からの出力である直流300ボルトを、交流200ボルトに。
 風力発電システムの発電電力が通信装置の消費電力を上回る場合には、余剰分を商用系統に回す。発電容量が消費分より小さい場合は、商用系統から不足分を供給する。電力変換装置を、充電から蓄電池を放電させるインバータ運転に切り替える。

沖縄電力
 沖縄は40余りの有人離島からなり、比較的近い島々は海底ケーブルで連携され、電力系統は本島を含む13の独立した電力系統となっている。このうち本島以外の12系統が独立した小規模離島電力で、コスト的には不利なディーゼル発電供給だ。これは本島の数倍のコストとなっており、二酸化炭素問題を含めた課題となっており、自然エネルギーを効果的に利用するための技術開発を推し進めている。
 ここでNTTのバッテリーは鉛が使用されております。

 2次電池は鉛、ニッケル水素、リチウムイオン(コバルト系、ニッケル系、マンガン系)などがありますが、鉛は体積エネルギー密度は最低ですが、コスト的には優れております。リチウムマンガンと鉛に注目。

【完全に成熟と言われている自動車用途に大きな変化が現れる】
 日本ケミコンの時に掲載したかと思いますが、自動車の電気系統に大きな変化が現れます。2005年に国内自動車メーカーが、現在の12ボルトを更に高めた設計をしていると触れましたが、世界的にこの流れが訪れます。
 現在のバッテリーは乗用車が12ボルト、トラック24ボルトです。乗用車の場合、実際はオルタネーター(発電機)は14ボルトの出力を出しており、これを12ボルトバッテリーに貯めております。これを42ボルト発電、36ボルト貯蔵の動きが出ているのです。それはいつ起きるか?
 ずばり、来年の秋から36ボルトバッテリーを搭載した車がマーケットに出て参ります。
 第1号はダイムラーベンツです。コンプレッサなど大容量向けに36ボルト、他の低消費電力製品には従来の12ボルトの供給が成されましょう。つまり、このベンツは鉛バッテリーを2個搭載するのです。その後、順次36ボルト車が出てくることになりましょう。国産車は2005年スタートと以前は聞いておりましたが、これも早まりそうです。2003年もしくは2004年には確実の状況のようです。

 何社もの電子部品会社及び関連企業にヒアリングしましたが、確かな歯応えを感じました。中にはずばり教えてくれたところもありました。現在各企業とも設計変更を行っております。

 つまりポイントは2点。当分の間、36ボルトと12ボルトが並列して稼動する。バッテリーの需要が増える。
 36ボルトバッテリーは今以上に大型化されており、1個あたりの単価は上昇。現在でも乗用車からRVの使うバッテリー、約80アンペア以上なるとバッテリー価格は急激に上昇する。1アンペアあたりの単価が高くなる。ここで儲からないと言われている自動車メーカーへの納入(新車時に搭載されるもの)マージンが高くなる可能性がある。

 上述したように、自然エネルギーでも鉛の需要が出始めるわけです。鉛バッテリーは自動車用途の比率が高く、限界利益率は高くありませんが、生産性は抜群です。数量効果は間違いなく出て参ります。

 株価が直ぐに上昇を始めるとは思いませんが、要注目だと思います。

追伸:
会社の方もリチウム系の質問ばかり受けているようで、誰も鉛に見向いてくれないのを残念がっていました。鉛が飛躍する可能性を証券界は見抜いておりませんから…。
 同社の蓄電池・電源のうち、鉛の売上は6割に達します。だから私は同社に注目しているのです。ケミコンのような受動部品メーカーも同様な理由です。(両津)

☆☆☆(タイミングを見計らって変更します)

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