日本電子(東6951) 2001/10/02更新

2001/10/02(火) 

日本電子(東6951)

 原子が並んでいる写真を見せられて、「これが原子ですよ」といわれたら、それは本当だろうか。実際は、トンネル走査顕微鏡(STM、スキャニング・トンネル・マイクロスコープ)であたかも見えているように「見える」だけで、実際は計算されたシミュレーション画面にすぎない。

STMの先端はピエゾ素子である。両津さんが、日本ガイシで取り上げた、エプソンのプリンターの心臓部にも使われている。

さて、1983年にIBMのビーニッヒとローラーによって発明されたのが、このSTMである。それとその顕微鏡の製作をこなしたルスカさんも80歳を超えていた思うが、この3人、めでたくノーベル賞をとった。この3人、実は数年後に超伝導物質をSMTを使って探し出し、またしてもノーベル賞に輝いた。

ピエゾ素子は、測定したい物質との距離がある程度以下になるとトンネル電流が流れる。それが距離にすごく敏感。ということはXYZ方向にピエゾ素子の針をつけて、電流を一定にすれば、距離が測れることになる。

原理は単純だ。でも、電流は金属しか流れないからSTMは金属しか測れなかった。絶縁体を測るには、STMを改良し、サンプルと針との間の斥力と引力を利用すればよい。それがAFM(アトミック・フォース・マイクロスコープ)である。

このようにして、原子一個一個をあたかも見ているような画像を人類は手に入れることができた。「見る」だけではなく、針をつかって、原子一個一個を並べたり積んだりできる。だから、数ナノの原子径を制御できることになり、ナノテクと呼ばれる手法の一つになった。

電子顕微鏡といえば、日本電子(6951)。描画装置でも有名だが、要素技術という点で見ると、なかなか楽しみな会社である。(大原)


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