ファナック(東6954) | 2001/09/13更新 |
2001/09/13(木) |
|||
ファナック(東6954)
☆☆☆ テクノロジー担当リサーチャーにとっては、非常に頭の痛い問題であろう。企業の期初見通しをベースに選択的開示情報を加え、鉛筆舐め舐めのPLが多いものの、企業の見通し自体が非常に甘かったため、数字の作り直しが大変であろう。 しかしファナックだけは違った。 ところがどっこい、ファナックがCNCシステムをOEM供給する工作機械メーカーは、現在でも増収増益や下期復活シナリオを掲げているところが多い。(ほとんどかな?) 昨年の工作機械受注は9975億円と前年比27.7%のアップを記録し、今年度1−6月の累計では4547億円と前年比1.3%の減少でしかない。しかしながらこの統計では暦年の区切りであり、1−3月は前年をクリアーし、4月以降マイナス転落。しかも月を追うごとに悪化の一途であり、単月ベースでの受注は、1−4月は700−800億円台がそれ以降600億円台に低下。 今週、大手工作機械メーカーに取材したが、どこも下期は頑張るの一点張りで、下期の悪化は目に見えていると水を向けても、全く取り合わない。けれど「不透明感強く、どうなるかわからない」と言うが、それなら業績を早く見直せ! 基本的に経営の良い企業ほど早い時期に業績修正を行う傾向があり、今度の中間期に当てはめれば、9月末や決算を締めた後に大幅減額修正をするような企業は、すくなくともエクセレントカンパニーではない。当然のことながら、ディスクローズのルールに引っかからない程度なら開示しなくても(修正)良いが…。 さてファナックだが、会社側は上期1201億円(前年比−2.2%)、下期982億円(前年比−30.5%)で通期2183億円(同−17.3%)、営業利益535億円(同−39.1%)に修正。 ところが子会社が独自で仕入れた部品類の売上が連結に立つため(これらはほとんど利益が発生しないと読む)、台数の減少の割には売上が落ちないという訳。 本日、ドイツで機械ショーが開催されており、工作機械メーカーの社長や役員が渡独。メジャーアナリストも行っていよう。 ファナックの減額修正は、CNCが昨年のITの反動で特に国内向け、ロボットは国内自動車が健闘だが、海外の案件が先延ばしになっている上、非自動車の減少が予想以上であったことが背景にある。しかしながら米国の景気が底割れするリスクを充分に織り込んだ減額修正かというと、必ずしも充分ではなかろう。 【ファナックの強み】 ハードの技術で、誰にも負けない強みを必ずしも持っている訳ではない。しかしこの分野の最大のポイントは、モーターの使い方。もっと簡単にいえば回し方である。 射出成形機が油圧から電動にシフトしていることをご存知であろう。この電動射出成形機でのファナックのシェアは約3割程度で、将来は5割を狙う。 なぜファナックがこの分野で強いのか? ミネベアを例にとりましょう。 ところが電動なら噴射を任意に選べるため、面倒な作業からある程度開放される。ユーザーに聞いた話だが、ファナック製はこの噴射コントロールが非常にやりやすいらしい。(次回に続く) 今後半年程度のタームは、3割程度のダウンサイドリスクを想像する。3年以上ホールドという前提なら☆☆☆☆☆。(両津)
|
|||
2001/01/23(火) |
|||
ファナック(東6954)
☆☆☆ 事業内容 同社のコアビジネスはNC(数値制御:工業用専用CP)とサーボの組み合わせが全体の6割を占める。工作機メーカーにOEM供給し、工作機械と組み合わせ制御し、サーボを動かす。世界シェア5割を達成しており、大きな利益を生んでいる。また産業用ロボットや射出成形器にも応用。 日本の工作機械はNC比率が9割に達しており、設備投資の影響が出やすいが、中国、インドなどは同10%程度であり、今後の成長期待は高い。長期的な視点では多少のブレはあるものの、着実な右肩上がりの推移となろう。 同社の売上高全体でみると約半分が自動車向けとなっており、自動車産業の設備投資に左右される面がある。特にこの秋から調整局面に入りだした米国新車マーケットのマイナス影響から、設備投資動向がどうなるか気になるところだ。 新車販売と設備投資がかなりパラレルに、という意見もあれば、米国自動車メーカーの設備投資は新車販売と連動して動かない、というメジャーなアナリストもいる。但し、私あくまで個人の考えであるが、今年以降の中期的な視野でのビッグ3設備投資は、過去の経験則を当てはめるのは禁物ではなかろうか。 今回のトヨタ・GMはその典型的パターン。これは燃料電池であったが、他のメーカーが開発できれば、もっと別の関係も生まれるかもしれない。現在、燃料電池に目が向きつつある状況で証券界もリサーチに励むアナリストが出てきているが、私がメーカーから入手している情報では、かなり時間がかかりそうな雰囲気だ。特にトヨタの技術者を知り合いに持つ方からの情報では、かなりネガティブであった。ダイムラーが燃料電池搭載車を先行発売すると伝えているが、私はもう少し様子をみることにする。 さて通常のガソリンエンジンに話を戻すと、日系のエンジン世界シェアは大きくアップする可能性が出てきており、各自動車メーカーはエンジンR&Dや設備投資の更なる増強に動くこととなろう。 現在、混成ラインはほぼ導入済みで、しかもホンダのようなプラットフォームが同じようなものを混成するのは当然で、極論すれば日産の場合はシーマとマーチを混成させることも可能だとか。日産はこの生産システムをFMSと呼び、大中小の車を混成させれば1つの車の稼働率が上がらなくとも他の車がカバーし、工場全体の操業度を保てるというもの。つまり生産能力を減少させ、固定費削減からの利益増大が見込めるわけだ。 日本の自動車メーカー向け売上は今後も増勢基調は間違いないところだが、日系の好調が米国分を補えるかがポイント。上述のように米国自動車メーカーはエンジン開発を今後どう行っていくのだろうか??? 100%そうなるとまでは言わないが、方向として日系メーカーはエンジン供給側、米国や欧州の弱体メーカーは自社ブランドの車体組み立ての方向になろう。 短期☆☆☆(1万円が上限かな?)
|
あくまで投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり内容を保証したわけではありません。 投資に当たっては投資家自らの判断でお願いします。 |
億の近道on the Web | 質問・要望事項はこちらまでメールを。 |