浜松ホトニクス(6965) 2001/08/21更新
2001/08/21(火)

浜松ホトニクス(6965) ☆☆☆

 【ポイント】

 電子管の生産現場見学。儲かる仕組みが出来上がっている。来期の数字如何では例のごとくアナリストや短期投資家が過剰反応する可能性もある。☆は3つ。ただし、固体レーザの量産状況次第では、大きな期待を抱かせる会社となろう。

【社長コメント】

 人類がまだわからないことはまだいっぱいある。それをしっかりとわかるようにする。これが人類の仕事だ。
 しかし、厚生省は「わからないことをわかるようにして、それがなんなんだ?」という。
 大学の先生は、外国に留学し、そして日本に対する輸入総代理店となっている。たまに参勤交代で外国にいく。それが大学の教員。
 新しくアメリカ技術を真似して、ITやバイオだとか、米国の価値観を日本に持ち込んで、これを日本もやらなきゃならんということを審議会で主張する。なってない。

 産業の役割とは何か。人類に新しい価値観を与えることじゃないか。
 知識産業ともいえよう。中国にできることをやっても日本が勝ち目がない。人類がわからないことをわかるようにして、新しい産業を興すことが日本のやるべきことだ。
 儲けるためにも社会に貢献することをやらなければならない。

 脳の中の細胞はどうなっているのか。あいつ今喜んでいるから、いま、あいつの頭をちょっと調べよう。それで頭をちょんぎってもあいつ笑ってやがる。ということはできない。
 20−30年前、科学の力で、将来は人間のこころの仕組みがわかるようになるという浜松医大の上村先生が新聞のコラムに書いた。
 それを見て先生に本当かと聞くと「本当だ」という。当時、その分野の権威ワグナー先生に会いに行くとやはり「本当だ」という。しかしワグナーさんから「おまえはけしからん。PETはみんなHAMAMATSUだ。おれたちはみんなこんなに勉強しているのに、PETの性能が悪すぎて計測できない」といわれ、冗談じゃないと発奮した。

 サイクロトロンの中で電子をたくさんつくり、それを物質にぶつけるとポジトロンができる。
そのポジトロンが正の電荷をもっている。周りの負電荷とチャラになると511eVという高エネルギーをもった2個のフォトンが180度反対に出る(ガンマ線)ことがもう30数年前にわかっている。
 だから、頭をくるりと一周するようにスキャンして、180度反対方向に飛ぶガンマ線それぞれの光がスキャンされる時間を正確にわかれば、脳のどの位置から出たかがわかる。
 考えると脳の中に血が集まる。
 簡単なことを考えているときと難しいことを考えているときと、脳の使われる部位が違う。
 血があつまると、血中にO15があるため、これがポジトロンとなり、ガンマ線が出るらしい。脳の機能解明の一つの例だ。

 脳の研究からはじめたが、癌にも応用できることがわかった。
 全身用のPETだ。
 癌は増殖。増殖は糖をほしがる。酸素や糖をたくさん使うところを見つければよい。光電子倍増管の性能を向上。そして早期癌を発見できるようにした。
 癌を発見する機械の会社の社長が癌で死ぬわけにはいかない。そこで検査をしてもらった。小さな癌を見つけたが、小さすぎてこの癌が50年後に大きくなるような癌だった。これでは癌が大きくなるまでに自分は死んでいる計算になる。

 これからは、癌を見つけることも重要だが、癌を治すことも重要な課題だ。
 内視鏡との組み合わせで、光を当てて治療をする。
 いまは、半導体レーザがつくれるようになった。効率1%のCD用レーザーなんて商売にならない。うちは、50%の効率を目指した。

 応用は、たとえば農業だ。太陽はひとつしかないからいかん。
 人工太陽があれば建物のなかでも十分できる。日本の産業は問題点は3つ。電力代が高い、原材料がない、土地が高い。この3つを直す。
 米を勉強している。レーザなら70日で出来、5耗作が可能。無菌状態で育成できる。害虫被害ゼロだ。光合成のために必要な光は何色、波長はいくら、細胞分裂のために寄与する光はどういう光、ということがわかってきた。


 さて、億ゼミ生のフェニックスさんがいま、居酒屋に到着しました。さあ、フェニックスさん、日ごろ、浜松の装置をお使いになっているようですが、浜松フォトニクスの話を是非お願いします。

◇ 浜松ホトニクス(6965)byフェニックス

 我々実験屋の間で非常に高い評価を受けている企業です。SONYと同じくらい誰でも知ってる会社、それがHAMAMATSUです。光電子増倍管などの電子管事業、LED、フォトダイオード、PSDなどの光半導体事業、それらを利用した画像解析システムの販売を手掛けます。

 451億円の売上のうち、70%以上を電子管事業と光半導体事業が占めています。同社の技術力といったら光子を1個から検出できる凄さです。その技術がないと原子核実験がはじまりません。ここだけの話ですが、我々の実験も同社の売上に??億円貢献しています。これらの事業は私が考える、良い事業の例です。

 さて、PET(Positron Emission Tomography)を例にして、同社の技術(及び原子核実験の手法)が世の中の役にたっていることを示しましょう。

 PETとは癌を早期に発見できる機械と考えればいいと思います。現在、年間30万人もの人が癌で亡くなっています。そんな中、癌の早期発見(早期治療)に対する『客のニーズ』は切実です。
 その原理ですが、まず陽電子放出核種と呼ばれる物質をブドウ糖類似化合物に合成し、体内に投与します。癌細胞は、勢い良く分裂する過程でエネルギーとなるブドウ糖を必要とするので、癌細胞のあるところに大量のブドウ糖が存在することになります。そのなかには、投与されたブドウ糖類似化合物も含まれていて、陽電子が放出されます。陽電子は電子と結合して消滅しますが、それぞれの質量のエネルギーを光として放出します。その微弱な光を円筒上に並べた同社の光電子増倍管で検出し、光が活発に放出されている部分を探すのです。この装置により、5mm程度の非常に早期の癌を発見することが可能です。

 装置の普及に向けた『事業計画』もしっかりしています。装置を癌診断に特化させてコスト削減に努めたり、効率の良い検査体制を作り上げようとしているのです。
 さらに、陽電子放出各種を作るのに不可欠な装置でありながら、非常に高価で大規模なサイクロトロンに関しても、追い風が吹いています。つくば市にある高エネルギー加速器研究機構で、私の友人達の手によってコンパクトで低価格なサイクロトロンの開発が行われているのです。少し大きな都市の病院なら、どこへ行ってもPETとサイクロトロンが置いてあるという時代がもうすぐやってきます。

 事業の質の良さはもう織り込まれてると言っても良いかも知れません。しかし、上でみたように将来性豊かな得意分野に絞りこんで事業を行っている企業に対しては、今からでも安心して投資できるといえないでしょうか?
 日経平均が100万円になる時代にも、きっと同社は生き残っているでしょう。そして株価も100倍になっている(米ダウ平均は円に換算すると100万円以上です。決して無理な想像ではないと思うんですが。)。
 昨今短期の値幅取りで買われている株価低位の企業は、その時一体いくつが100年後も生きのこっているのでしょうか?

−−−−−−−−以上、フェニックスさんでした。−−−−−−−−−−−−

 大原です。
 電子管の生産現場などを見てきました。あれはとにかく儲かりますね。儲かる仕組みが出来上がっている。大変なものだ。。。。
 でも、9月決算の数字を見極めたい。
 来期の数字如何では例のごとく、アナリストや短期投資家が過剰反応する可能性もある。いやだいやだ。会社は予想数字を出さないでほしい。だから、☆は3つ。(大原)

 

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