住友特殊金属(東6975) 2000/07/06更新

2000/07/06(木) 

住友特殊金属(東6975) ☆☆☆☆

 ご無沙汰しておりました。海外出張やら、年金営業に駆り出されておりまして、この3週間、お休みさせていただきました。カルフォルニアの年金基金が新規で獲得できそうになり、千億円というロットでのお話でしたので、全社をあげての営業活動なんです。普段あまり揃っていないEV/EBITDAをすべてのユニバースについて今後5年を予想するという、とてつもない無謀な試みを終えたところです。その中で、発見した銘柄に日本電池と住友特殊金属があります。

 住友特殊金属は、よい特許を保有している代表的な銘柄です。ネオマックスという非常に磁力の強い磁石を製造しています。よい特許というのは、基本的な組成に関する特許という意味です。あれだけ脚光を浴びている青色LEDの特許というのは、製造特許です。いわば、作り方のノウハウです。しかし、組成に関する特許というのは、製造特許より強力です。これとこれを混ぜるとこういう磁石が出来ますというものです。ですから、他人に真似ができない。

 私が証券会社のレポートでかねがね気になっていることのひとつは、資産効率という非常に重要な問題をあまり取り上げないことです。資産効率とは、例えば製造業の場合は、有形固定資産の残高と売上の比率です。組み立て産業の場合は、棚卸・在庫と売上の比率を見ます。競争力とは回転率といっても過言ではありません。

 例えば、従業員の意識の高さはそういった回転率の絶対水準に現れます。意識の高い組織を維持することが経営の大きな目標のひとつですから、経営は回転率で判断すればよい。

 今日も時間がなく、詳しく書くことはできません。しかし、読者の方は、今後銘柄を判断する材料として、売上を有形固定資産で割った数字をチェックするようにするといいですよ。

 売上÷有形固定資産=回転率が1.5倍を超えている製造会社は、競争力があります。もちろん、自社工場を保有している場合です。資産効率が高いということは、他社より少ない投資でリターンが得られ、売上高営業利益率が高いはずです

 しかし、設備投資のサイクルがピークアウトしたばかりの企業は、足元の償却費が多く、利益が圧迫されています。足元の償却費と有形固定資産の残高の比率が30%を超えているような場合は、特殊なケースです。その場合、数年で利益は回復するはずです。1年を目処に2300円程度が目標です。

 住友特殊金属のまとめ

  • 投資判断:買い
  • 強力な基本特許(特開平08-245295参照)
  • 投資効率と競争力(製造業:売上÷固定資産、アセンブラー:売上÷在庫で比較)
  • 経営のよい企業、従業員の意識の高い企業は、回転率の水準が高い。(経営を見るポイントのひとつは回転率です。)
(大原部長)
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