日本ケミコン(東6997) 2001/03/16更新

2001/03/16(金)

日本ケミコン(東6997) ☆☆☆☆☆

  フォローです。

【投資スタンス】買い ☆☆☆☆☆

【足元の状況】
月次売上高動向(対前年比:3ヶ月移動平均)              

 
10月
11月
12月
1月
2月
全売上
+21%
+15%
+9%
+7%
−2%
アルミ電解コンデンサー
+8
+7
+3
+2
−3
その他コンデンサー
+56
+50
+49
+39
+25
コンデンサー合計
+14
+12
+10
+8
+1
回路機構部品
+1
−5
−9
−20
−31

 

 昨秋から電子部品業界の受注に陰りが見え始め、マイナスに陥るところが多い中、同社は12月まで非常に堅調な受注をキープしてきた。今年に入り、ユーザーの生産調整の影響を被る形となっている。

 前回開催された技術説明会時に、2月・3月の単月での受注が15%くらいのマイナスになることを社長が示唆している。公表はしていないものの、2月の単月受注は10−15%程度のマイナスと思われる。

 同社の場合、受注から出荷までのタイムラグは約1ヶ月、現在4月出荷分の受注が入っているのだが、この3月は例年に比べると鈍い状況で、2月とほぼ同程度のマイナス伸び率になると推測する。3月の売上状況は4月の中旬に発表される。

 現在4月からの単価交渉をユーザーと進めているが、ほぼ横バイないし2−3%のダウンに落ち着きそう。一部ではAV機器向けの生産調整が終わり、パソコンの生産調整終了期待をする向きもあるが、現状を考慮するとなべ底状態が4、5月まで続き、6月もしくは7月から回復を示すか?
 4−6月での急回復は期待できないが、機能性高分子コンデンサーの行方と為替が、来上期業績を語る上でのポイントになろう。

 特に機能性高分子は、他のコンデンサーと比較して非常に高い利益率をキープしている上、市場が立ち上がったばかりであり、大幅なコスト削減が可能な製品であり、販売数量拡大は同社の収益に直結する。

 電子部品会社の業界来上期は減益が多い中、同社は償却増という要因があるものの、増益をキープできる可能性がある。
 今期業績は、会社側が計画する115億円を10億円程度上回ると予想し、来上期の期待は禁物だが、通期では増益基調をキープし、今期比10億円程度のプラスαになると予想する。(両津)

 

2000/12/19(火)

日本ケミコン(東6997) ☆☆☆☆☆

 月次のフォローです。

 11月の売上高は前年同月比15%増収(但し3ヶ月の移動平均ベース)。
 メインのアルミ電解コンデンサーは6.5%増と好調を持続している。固体コンデンサーは、タンタルを中心に50%増。回路、機構部品は携帯モジュール用がなくなり5%減少。

 前年は12月から伸び率が拡大しており、今後の売上伸率は鈍化することは止むを得ず。しかしある程度の鈍化はマーケットコンセンサス。同社に対する見方に変更なし。(両津)

 

2000/12/11(月)

日本ケミコン(東6997) ☆☆☆☆☆

 読者から「なぜ先週下げたのか」質問がありましたので、フォローいたします。

 ケミコンに対する強気の見方は全く変えておりません。
 デジタル化、多機能化、自動車電装化の流れから、同社製部品に対するニーズに変わりはないと思っております(今後の展開は以前掲載したものをご覧下さい)。

 先週の下げについては、売っている方にヒアリングしないとわかりませんが、ベアマーケットの中、株価は比較的高い位置にあり、SQや他外部要因を意識した動きでボラティリティが高かった、と私はみております。下がった銘柄はなにもこの銘柄だけではありません。(両津)

2000/11/27(月)

日本ケミコン(東6997) ☆☆☆☆☆

 続編です。
 株式市場で話題に上っている、低圧タイプの機能性高分子について記載しましょう。

 アルミ電解コンデンサーは、電解液と固体電解質タイプの2種類に分かれますが、各々の特長を列挙します。

【電解液タイプ】
 <長所>
 1)製造が簡単で安価
 2)液体のため浸透性が良好で大容量が可能
 3)液体に自己修復作用があり、少しのダメージなら修復可能
 <短所>
 1)伝導度が低く抵抗が大
 2)液体が蒸発するため寿命が有限

【固体電解質タイプ】
 <長所>
 1)伝導度が高く抵抗が低いため高周波特性が良好
 2)寿命が無限
 <短所>
 1)製造が複雑で長い時間の熱処理が必要で製造コストが高い
 2)自己修復が不可能でありショートモードで破壊する可能性あり
 3)大容量化は難

 各メーカーが10年前から固体電解質タイプを使用するようになったが、最近ではより伝導度の高い機能性高分子にシフトしつつある。電解質とは陰極の材料であり、各々の材料の電気伝導度は電解液で0.01−0.1S/cm、β−MnO2で0.1−1S/cm、TCNQで1−10S/cm、機能性高分子と呼ばれるPEDTやポリピロールが10−100S/cmとなっており、数値を見れば機能性高分子が期待されている理由が御分かりになろう。
 同社では既に製品販売を行っているが、同業他社では未だに機能性製品を扱っていないところが見受けられる。

 アルミ電解コンデンサーは古くからあり、しかも構造が非常に簡単と、ハイテクのイメージからかけ離れているものの、現在の性能を維持した製品は海外において一貫製造するのは不可能なのだ。唯一不可能な工程はアルミ箔の電気エッチング。きれいな水、電力といったインフラの他に、何種類もの薬品が揃わないのが実状であり、この業界を海外メーカーがキャッチアップするのはまず不可能。その難しいアルミ箔の世界シェアナンバーワン企業の同社は、日本発として世界で金メダルを取り続けている超ハイテク企業なのだ。

 株式市場では2番手のニチコンが評価を受けているが、そのニチコンはアルミ箔を一部ケミコンから供給を受け、更に他の部材も手当てしているのが実状。
 武田社長は外注のメリットを、『自社工場の稼働率を高く保つため』と言っているが、2番手以降の高耐圧品やその保証時間、ラインナップをみれば、どこが1番か直ぐに分かるであろう。

 自動車向けに125度の製品は多いけれど、150度で2000時間保証は同社だけでないかな? (あったら教えてください)
 ライバルA社は150度を出しているが、保証が1000−2000時間と非常に曖昧。
 自動車会社、部品メーカーから160度以上の耐熱要求があるそうだが、そうなるとケミコンもお手上げ。さすがのケミコンも、アルミ箔を巻く時に用いる紙は購入しております。あの有名な四国の高度紙(店頭)からですが、この紙が160度以上に耐えられないそうです。

 ケミコンに対する評価は最近になってようやくアップしつつあるものの、同社の技術をきちんと調べればもっと高い評価が出てくるのでは?

日本ケミコンのシリーズはこれで終了します。(両津)

2000/11/20(月)

日本ケミコン(東6997) ☆☆☆☆☆

 先週行われた説明会の最後に、インバーター化によるアルミ電解コンデンサーの需要増について説明がありましたので、同社の資料に沿って簡単に述べさせて頂きます。

 かなり前から地球温暖化が問題視されており、そのため京都議定書が採択され1990年の二酸化炭素排出量を基準に、2008−2012年を目標に日本、米国、欧州が各6、7、8%ずつ排出量を削減するということになりました(但しこの数字の見直しがありそう)。
 最近、家電製品の待機電力を減らそうとしているのはこのためである。さてその場合のターゲットしてテレビ、VTR、照明、エアコン、冷蔵庫、電子計算機、コピー、磁気ディスク、自動車など。その中で特定機器の省エネルギー基準目標は、エアコンが2004年に97年度比63%(4KW未満)、蛍光燈は2005年に97年度比16.6%、冷蔵庫2004年度に98年度比30%と制定されている。

 この削減目標を達成するため、各家電製品のインバーター化が進み、同社の扱うアルミ電解コンデンサーの需要が出てくると、今回の説明会で訴えていた。
 ではどの程度インバーター化が進むのであろうか?
 同社の資料によると、2000年度の冷蔵庫インバーター化50%が2003年に約95%、洗濯機35%が80%に、電球50%が75%程度までインバーター化するとしている。数字はどうあれ、インバーター化が進むのは誰でも容易に想像できよう。

 次にハイブリッドを含めた電気自動車の開発動向であるが、1993年にフォードのエコスターが登場し、同社のコンデンサーが4本使われている。1996年にはトヨタのRAV4で従来の4本使いを3本に減らし同社製コンデンサーが、1999年には本田のインサイトで3本同社製が、そして2001年には従来のハイブリッドとは違うセミハイブリッド車が登場し、同社製のアルミ電解コンデンサーが3本使用される予定になっている。 その後2003年には欧州の燃費規制が導入され、ハイブリッドがかなり増える可能性があると、会社側はここまで説明した。つまり家電も自動車も今後は更にアルミ電解コンデンサーを使うようになるとの話だ。

 説明会翌日以降、証券会社から出されたレポートはレーティングを1に引き上げたり、非常にわかり易い説明であったとの、ポジティブなものがほとんどである。私も同社をポジティブに見ている1人であるが…。
 しかしながら時間の関係もあるかもしれないが、会社側はもう少し踏み込んだ説明をした方が良かったのではなかろうか?
 他社の動向、なぜ同社がシェアトップなのかなど技術的な裏付けがなければ、いくら株価が安いからと言ってもなかなか買うことはできない。

 前述の2001年にマーケットに出てくるセミハイブリッド用アルミ電解コンデンサーは、通常のアルミ電解コンデンサーとは違う。それを同社は写真で見せただけで、何も説明をされていなかったが、実はあのコンデンサーは同社の中高圧コンデンサーを予想する上で、非常に重要なポイントになるものである。日本ケミコンに代わって私が訴える。特にバイサイド及びセルサイドアナリストの方は必ず覚えておいて欲しい。

 写真のコンデンサーは普通のコンデンサーと違う形状をしている。普通は円筒型だが、あのコンデンサーは円筒型をつぶした形状をしているのだ。
 普通のコンデンサーを3個ならべると、〇〇〇←このように隣り合うコンデンサーの接点の上下にスペースが出来てしまい、そのスペースは無駄な空間となる。今回同社の提案しているコンデンサーは円筒型を長方形の様につぶしており、そのため片側の直径が約3分の1に圧縮され、複数のコンデンサーを並べた場合に、円筒型に比較し体積が約3分の1に済むのだ。
 スペースの少なくて済むこのコンデンサーはかなりの競争力を持つ。特に自動車のような限られたスペースのものには最適である。これを会社側はもっと訴えて欲しかったな!

 このコンデンサー、もっと特徴があるのです。製造方法は通常のコンデンサーと同じようにアルミ箔を巻き、最後に潰すだけです。しかしながらアルミ箔の外側が外装ケースと接触しており、熱の発散が良い構造にされているのです。
 この構造のお陰で電解液の蒸気圧が低減され、従来品に比べ実際の体積の1.2倍の静電容量を実現しております。スペースは取らず容量は多い訳です。

 『他社が真似するのでは?』と読者の皆様は御思いでしょう。
 前述のアルミ箔ですが、実は通常の円筒型と少し違います。ここでアルミ箔をどうやって作るかおさらいしましょう。
 アルミ箔の表面積が多ければ多いほど静電容量が多くなることは前回記載しましたが、薄く延ばしたアルミ箔を化学的に処理します。薬品の中につけ通電し、腐食を起こさせるのです。腐食を起こしたアルミ箔の内部には無数のピットが表れ、これが表面積増大になります。

 通常、低圧用ではACエッチングが、中高圧用にはDCエッチングが用いられ、今回の自動車向けは中高圧ですからDCを使います。そのDCエッチングの特徴は、ピットがアルミ箔中、垂直にトンネル状のものができますが、アルミ箔の上の面から下の面まで貫通させたものを、上記のコンデンサーに用いたらどうなるか?円筒型を潰す訳ですから、それに耐えなければなりません。
 ですからトンネルピットを貫通させた脆いアルミ箔では駄目な訳です。同社では上の面から、下の面からアルミ箔の中心部に向かってトンネルピットを成長させ、しかも中心部で貫通させない非貫通のトンネルピットに成功しております。
 その特許は以下のものです。

【公開日】 平成12年10月10日(2000.10.10)

【発明の名称】 均一深さのトンネル状ピットを有する電解箔、それを電極とする電解コンデンサー並びに該箔の製造方法

【氏名又は名称】 日本ケミコン株式会社

【課題】 機械的強度を低減させる貫通トンネル状ピットがなく、かつ静電容量を可能な限り大きくした電解箔、その製造方法及びその箔を電極箔とする電解コン デンサーの提供。

【解決手段】箔厚70〜150μmのアルミニウム箔を塩酸あるいは硫酸等の水溶液中で、初期電流密度1500mA/cm2以上の最大電流密度で直流電解を開始し、その後急激に100mA/cm2以下に低下させ、10〜30秒の短時間で電解を終了することにより、アルミニウム箔の両表面に均一深さのトンネル状ピットを持ち、その中心部に箔厚の10〜30%の非貫通層をもつ電解コンデンサー用の電解箔を形成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】アルミニウム箔の両表面に深さが箔厚の30%以上であるピットが全ピット数の80%以上である均一深さのトンネル状ピットを持ち、かつその中心部に層厚が箔厚の5〜25%であるピット非貫通層を有する箔の厚さが70〜150μmであるアルミニウム直流電解箔。
【請求項2】箔厚が80〜120μmであり、ピット非貫通層の層厚が箔厚の5〜15%である請求項1記載の直流電解箔。
【請求項3】ピット非貫通層の層厚が5〜25μmである請求項1又は2記載の電解箔。
【請求項4】アルミニウム箔の両表面に深さが箔厚の30%以上であるピットが全ピット数の80%以上である均一深さのトンネル状ピットを持ち、かつその中心部に層厚が箔厚の5〜25%であるピット非貫通層を有する箔の厚さが70〜150μmであるアルミニウム直流電解箔を電極箔とする電解コンデンサー。

【実施例】
【0019】そして、得られた電解箔の性質及び断面構造は表1及び図2(a)、(b)に示すとおりである。この結果から、本発明においては、従来技術に比し形成されたトンネル状ピットは深さが深く、かつ揃っており、また箔の中心部に薄いピット非貫通層が形成されており機械的強度も高いことがわかる。さらに静電容量も実施例の電解箔の方が従来例の電解箔に比し優れていることがわかる。
【0020】また、得られた電解箔のピットの深さの詳細な分布状態については、表3に記載するとおりであり、この表から従来例ではピットの深さが0〜50μmを越えた範囲の広範囲に分布しているのがわかる。それに対し、実施例1では40〜50μmの範囲に88%が存在し、きわめて限られた範囲にほとんどが存在しており、そのピットのほとんどはいずれも深くて、かつ深さが揃ってるいることがわかる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電解コンデンサーの電極箔等として利用されるアルミニウム電解箔、その製造方法及びその箔を電極箔とする電解コンデンサーに関する。より詳細にはアルミニウム箔の両表面に均一深さのトンネル状ピットを持ち中心部に非貫通層を有するアルミニウム電解箔、それを水溶液中における直流電解により製造する方法及び電極箔とする電解コンデンサーに関する。
【0002】
【従来の技術】アルミ電解コンデンサーは、近年の電子機器の小型化に伴いますますサイズの小さいものが求められている。このアルミ電解コンデンサーには、アルミニウムの電解箔が電極箔として従来より使用されており、中高圧用電解コンデンサー用の電解箔の製造では、単位面積当たりの静電容量を大きくするために高密度の立方晶組織を有するアルミニウム原箔を塩素イオンを含む酸性電解液等の水溶液で直流電解によってエッチングして、結晶方位の(100)方向にトンネル状のピットを形成している。
【0003】このトンネル状ピットの形成においては、腐蝕開始点のピット数は、そこに印加される電流密度の大きさに関係すると共に箔の溶解量は電気量にほぼ比例するものであり、その結果アルミニウム箔の静電容量を大きくするためには、電解電流密度を大きく設定して高密度にトンネル状ピットを形成し、かつ印加する電気量を増大させることにより溶解量を増加させ、箔の表面積の拡大を図っていた。
【0004】そして、そのトンネル状ピットの形成過程については、該ピットの形成は高密度のピットがアルミニウム箔の全面にわたって同時に進行するのではなく、当初はピットが箔に粗く発生して成長し、その成長が停止すると別のピットの成長が始まり次第に箔の全面に密にトンネル状のピットが形成されることが観察されている。
【0005】この電解箔については、所定の強度を有すると共により大きな静電容量を有するものが高性能で望ましいものであり、そのためには中央部に強度を保持させる可能な限り薄い未エッチング部分を残存させ、しかもトンネル状ピットについては高密度でかつ深く形成することが必要であると従来考えられていた。そのトンネル状ピットの形成については、従来法では箔に対する直流電流の印加は図1(a)に図示するように時間に対し一定電流密度の条件でなされていた。

【0028】
【発明の効果】本発明では、電解箔におけるトンネル状ピットは内部深くまで高密度で、かつ深さが揃ったものが形成されており、そのため箔の中心部にはトンネル状ピット不存在の非貫通層を存在させることができる。その結果本発明においては、機械的強度を低減させることなく高静電容量の電解箔を提供可能とするという卓越した効果を奏することができる。

(a)
(b)
本発明等の電解箔断面の電子顕微鏡写真であり、(a)は実施例1の電解箔、(b)は従来例の電解箔である。

 2枚のアルミ箔を掲載しておきますが、(b)は上下のトンネルピットが中央まできており、ほぼ貫通しているのがわかりましょう。しかしながら(a)では上下のトンネルピットが一定のところで止まっており、中央部はエッチングによる腐食の影響が無い、つまり強度は保たれているのが理解されます。
 更にコンデンサーは外装ケースまでも特許を取得しており、このコンデンサーは他社が参入出来ぬよう特許で固められております。

続きはまた…。(両津)
 

2000/11/16(木)

日本ケミコン(東6997) ☆☆☆☆☆

 木曜日が出張のため、この原稿は水曜日の夜に作成したものです。

 本日もケミコンは続伸、豊田合成は大幅続落し、またもや非常に気分の良い大原・両津コンビです。

 さて、本社においてケミコンの中間決算説明会がありました。本社でやるのだから、出席者は少ないであろうと思いきや、かなりのリサーチャーが来ており、少し驚き?
 火曜日の晩、大原部長とケミコンの話をしていたのですが、彼が「売上が10%弱伸びただけで、なんで利益が3倍にもなるのか」と言い出し、詳細を知らない二人でした。恥だな!

 利益増大の概略ですが、通期売上1300億と9.1%増の計画に対し、営業利益は115億で192.7%増と約3倍。
 営業利益の増加要因は、1)売上増効果60億円 2)新商品効果7億 3)コストダウン15億 4)不採算商品撤退及び価格是正38億。
 減益要因として、5)円高マイナス40億 6)販管費マイナス4億。
 トータルすると、前期比プラス76億円の増益と想定している。通期の会社予想から上期の数字を差し引けば下期の計画数字が求められますが、下期は売上高635億、営業利益54.2億と、上期に比ベ売上で約30億、営業利益で約6億あまり収益が落ちるとしている。しかしこれは堅めの予算編成であろう。次回また上方修正が期待される。

 目標株価は当然4桁載せでしょう。

 もうすぐ夜の11時近くになりそうです。明日は遠くに出張。しかし、ちょっと問題が…。
 大原部長と取材に行くのですが、新幹線に乗らず、私が遠方数百キロ先を目指して運転する事になったのです。きっと大原部長は温泉で一杯やることを考えているのでは???

2000/11/14(火)

日本ケミコン(東6997) ☆☆☆☆☆

  先月掲載した日本ケミコンがなんと場中にストップ高しているではないか!私は夜8時になって気付いたのだが…かなり鈍感。

 そういえば昨日中間決算を発表していたのだ。
 その中で通期の業績修正を行っているが、売上を1290億円から1300億円に、10億円程のアップなのだが、なぜか経常利益は101億から115億と、14億円のアップ。
 よくよく考えると、前期の売上が1191億で経常利益が25.6億だから、今期は売上が100億円ほどのアップに対し、利益は4倍強とハンパじゃない伸びである。一体どうなっているのか?

 マーケットではニチコンの評価が先行しておりますが、がんばれケミコン!
 ケミコンを☆☆☆☆☆にしておいて大正解。
 ついでに豊田合成を売りと宣言したあと、株価は反対方向に行ったものの、先日ストップ安で本日も安い。

とても気分の良い、大原・両津コンビでした。

2000/10/26(木)

日本ケミコン(東6997) ☆☆☆☆☆

 火曜日の続きです。

【中長期展望】
 一般的に、現在のデジタル製品ではコイル・コンデンサーの使用個数は減少しているものの、多機能化の流れから内部回路電源は多様化され、DC/DCコンバータは増える方向にある。前述の6.3ボルト用途が増えているのはこのためである。
 また自動車の更なる電装化の流れで、コンデンサーの需要は増える一方だ。自動車電装では内外メーカーが12ボルトから42ボルト化を計画しているほか、キャビンを広く取るための策として、現在配置している電子回路基盤をエンジンルーム内にシフトする動きが今後出てくる。
 一般的なアルミ電解コンデンサーの耐熱温度は−40度から+125度の間だが、エンジンルーム内は約130度まで上昇し、既存のコンデンサーでは信頼性に問題があろう。
 各社対応を考えているが、同社では既に150度対策の2000時間保証のアルミ電解コンデンサーを製作している。またハイブリッド車も各社から発表されているが、DC/ACインバータ用の大型アルミ電解コンデンサーが必要となり、同社では既にトヨタ、ホンダ向けに実績を積んでいる。DC/AC、DC/DCとも数量増が見込め、低圧・中高圧とも伸びよう。

【コメント】
 今までのアルミ箔の表面積拡大技術も続こうが、今後はそれ以外の部材技術も今まで以上に重要になってくると思われる。

代表的な電解液
1)エチレングリコールまたは水もしくはこれらの混合液を主溶媒とした電解液(以下EG系)
  特色:塩素による腐食反応が起き易い(ネガティブ要因)
      比抵抗値が低減可能(低ESR化)、低インピーダンス化、電気特性向上、揮発し      にくく長寿命
2)Y−ブチロラクトンを主溶媒とした電解液(以下BL系)
  特色:腐食しにくい

 腐食を考えなければEG系がベストで、従来品に多様化されている模様。
 しかし上記の150度対策品では、低温領域での電気伝導性を考慮し、BL系に高沸点の新溶媒を加え対応している。更に、封口ゴムも従来の合成ゴムから高温耐久性の優れたガスケットを使用し、問題をクリアーしているなど材料の素材技術なしでは考えられなくなってきているのではなかろうか?
 コンペティターであるニチコンは一貫製造体制ではない(会社としての戦略の様だが)。日本ケミコンは全て自前で製作している。また生産ラインも自社の設計であり、こうした観点から同社の技術優位性は続く可能性がある。加えて前述の自動車電装では高温に続き激しい振動も加わり、静電容量のみ追求した時代から変化が起こる可能性有り。
 最後にコンペティターであるニチコンの強み。
 ニチコンの福井県にある冨田工場は北陸電力から1000V電源の供給を受けており、他社は700−800V。どのような技術的差別が図れるのか?

日本ケミコンの押し目は絶好の買い場と考える。(両津勘吉)
イチオシ度☆☆☆☆☆

2000/10/24(火)

日本ケミコン(東6997) ☆☆☆☆☆

 2回に分けてお伝えします。

【アルミ電解コンデンサーの製造方法】

アルミプレーン購入→エッチング→陰極・陽極(酸化皮膜形成)→スリット→素子巻き→封止

【アルミ電解コンデンサーの構造】
 アルミニウム等の弁金属からなる金属箔表面を、該表面積を拡大するための拡面処理を施し、誘電体層である酸化皮膜を形成した陽極箔と、前記弁金属からなる金属箔の表面に拡面処理のみを施した陰極箔とを一対の電極箔とし、電解液を含浸させた電解紙を、電気絶縁性セパレータとして陽極と陰極との間に介在させ、積層または巻回すことにより形成されたものを、有底筒状の外装ケースに収納し、開口端部を封口ゴムで塞ぐ。
 他に、アルミ箔の両面に活性炭層を形成して分極性電極箔とし、陽極及び陰極の1対とされた該分極性電極箔間に、電解液が含侵された電解紙を電気絶縁セパレータとして介在させ、積層または巻回すことにより形成。

【コンデンサーの容量】
  静電容量は次式から求められる。

 C(μF)=8.855×10−8×εS/d
ε:誘電体の導電率 S:電極面積(cm2) d:誘電体の厚み(cm)

 アルミ電解コンデンサーの誘電率は8−10で、他のコンデンサーに比べ大きくないものの、誘電体の厚みが15Å/Vと非常に薄く、電極であるアルミ金属表面を細かくエッチングして表面積を拡大し、他のコンデンサーと比べ、単位面積当たりの静電容量が多く低コストが図れる。
 陽極の表面の誘電体層である酸化アルミニウムは定格電圧に応じ形成し、真の陰極である電解液は蒸発防止のためゴムなどで封止されている。
 しかしながら、アルミ電解コンデンサー特有の電解液はイオン伝導であり、大きな直列抵抗(ESR)が避けられない。ESRの大きさと電解液蒸発による有限寿命がウイークポイント。

【電極の形成】
 上記の静電容量を求める式を見れば明らかなように、静電容量アップには電極の表面積(S)を拡大するのが手っ取り早い。過去、アルミ電解コンデンサーの容量アップにはスパンを如何に広げるかということを念頭に置いていた。
 粗面化とはそのためであり、電極表面に凹凸を付ければそれだけ面積は拡大する。しかし、現実の電極箔にはアルミ中にピットと呼ばれる穴を形成するためのエッチング処理を施している。
 処理工程は
アルミプレーン→ACエッチング→ACエッチング→水洗い→後処理→脱水
 ここで低圧用コンデンサーと中高圧コンデンサーでは、エッチングプロセスに大きな違いがある。


エッチングプロセス
低圧用
中高圧用
アルミ箔の純度
3N(スリーナイン)−4N
同左
調質
H22−H18
厚さ
60μ−110μ
75μ−110μ
前処理
酸液処理
同左
エッチング
ACエッチング
DCエッチング
ピット

0.1μ−0.5μのキューブ状ピット
(サイコロ状)

1μ−2μのトンネル状ピット
(パイプ状)

 ACエッチングではプラス・マイナスのサイクルが時刻々と変化しているが、この時のアノードサイクル(プラス)の時にアルミを溶かし、カソードサイクルの時に水素ガスが発生し、エッチフィルムができる。この繰り返しを行うことによりキューブ状のピットが無数に形成されるわけだが、DCエッチングでは連続的にアノードサイクルで処理することで、直線的にピットを形成させる(氷柱が成長するように)。
 しかし、中高圧のピット形成は容易ではない。アルミ箔の両側からエッチング処理し、ピットを側面からアルミの中心部に成長させるが、貫通させればアルミ箔の強度が低下し、かといって深さが足りなければ表面積が稼げない。
 適度に成長させるのが非常に難しく、どんなアルミニウムを用いるか?エッチング処理の方法は?電圧は?電流は?電圧・電流の駆け方は?原液は?…など各企業のノウハウによる面が大きい。
 過去のコンデンサー業界は『容量の競争』と言っても過言ではなく、言い換えればアルミ箔の形成が大きなポイントであり、アルミ箔のエッチング処理は非常に重要と言えよう。
 アルミ電解コンデンサーを作るに際して、製造コスト中に占める電気料金は馬鹿にならない。アルミ箔製造工程のコストに占める電気料金は約??%と高く、それなら安い海外でアルミ箔を作れば良いのではと考えたくなるが、海外での薬品他部材供給や電力インフラを考えると、日本でないと作れない。
 構造は簡単だが、それだけ厳しい技術的要求が課されている(化成工程では電気代が約??%と高いが、米国なら化成工程は可能だという)。

【アルミ箔の動向】
 低圧縦型電解コンデンサー(10φ−18φ)においては、1996年過ぎに6.3ボルト品が急に立ち上がってきた。中高圧品においては330ボルト<200ボルト<400ボルトの方が伸びてきている。
 アルミ箔の出荷状況(国内メーカーすべて)は、1995年までが年率6.5%、最近ではもっと伸長してきている。これを低・中高圧に分けると、1986年を基準として低圧が年率5%、中高圧が10.5%伸びている。
 アルミ箔使用ベースでの国内シェアは、日本ケミコングループが35%、ニチコンが27%、B社が18%、C社が15%、その他5%、世界シェアは各々国内シェアから5%ダウンの数字となる。
 使用用途では、パワートランジスタが1989年以降良く使われるようになったが、アルミ電解コンデンサーも同様であり、また低圧用ではダイオードと合わせて使用され同様に伸びている。
 1999年以降、パワートランジスタは更に使われて行き、1999年から2002年までは確実に成長を遂げよう。2000年までの伸び率は8.9%で、以降もこのペースで伸びることが予測される。(日本ケミコン予想)

【現在のエッチング稼動状況】
 2000年10月1日現在、日本ケミコン新潟工場では135名の人員で生産量は????km2。1999年は低圧用?台、中高圧?台、の計??台が稼動していたが、2000年上期に?台増設し、更に第3期工事をしており、低圧用に?台設置する計画である。また顧客の要望次第であるが、2001年以降に第4期工事、更に第5期工事も考えている。
 アルミプレーンは非常にデリケートなもので、手で触れただけでも使い物にならなくなってしまい、不良品は梱包・運送中に起こるケースが殆ど。また、プレーンをエッチング加工し、化成に送る際も同様であるものの、エッチングにおいてはACエッチング・DCエッチングとも目標不良率に向け鋭意努力中。

<次回に続く>

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