ホンダ(東7267) 2002/02/16更新

2002/02/08(金)

ホンダ(東7267) ☆☆☆☆

 先日、第3Q業績を発表した。

 売上高は1.76兆円(前年比+11.4%)、営業利益は1548億円(同+60.7%)で、今1Qから3Qの累計では売上高5.26兆円(同13.7%)、営業利益4700億円(同+57.8%)となっている。

 二輪車はスクーターが国内で、海外はアジア地域が台数を牽引し、2032億円と+18.3%増収。
 四輪車は国内でスモールカー、北米ではアコードやオデッセイが牽引したが、アジア地域が減少し、ワールドワイドでの台数は1.2%増。売上は円安が手伝い1.43兆円と9.5%増収。
 為替は1$=124円(前年は108円)、1ユーロ=111円(前年は94円)となっている。

【増益・減益要因】

増益要因
売上増及び構成差
601億円
為替
385億円
コストダウン
120億円
減益要因
販売管理費増加
345億円
R&D増加
176億円
トータル
585億円の増加

 全事業が伸長し、3Qの売上は11.4%増収となったが、為替の効果を除くと約3%増収。
 利益面では為替の効果が大きいが、需要環境悪化懸念から特別ローンなどインセンティブ費用を7−9月期比1台当り500$積み増す予算編成を下期は組んでいたが、実際にはこの費用をほとんど使わずに済んでおり、特筆出来よう(1月から若干使い出した)。

 四輪車の販売状況は、ワールドワイドで1Qが63.8万台、2Qが65万台、3Qが65.2万台と若干ながらも減速感が感じられるように見えるが、これはホンダの工場稼働率が欧州を除き日本と米国がフル稼働状態となっていること、アコードがモデル末期であることの2点が要因であろう。
 4Qはモデル末期のアコードを更にインセンティブを積み増して販売するのか、それとも米国生産を絞り日本からの輸出で対処するのか?
 米国では綺麗な販売をするホンダですから、インセンティブ方式は採らないと考えます。ですから4Qはアコード及びシビックの在庫を意図的に落とすと思われ、乗用車は若干弱め、トラック(日本でいうトラックではありません)は強めでトータルでは米国販売台数は3Qに比べ4−5千台程度の減少となりましょう。

 しかしワールドワイドでは3Qプラス2−3万台程度の販売増と読み、4Qの業績も強含むことが予想される。4Qの販売台数を70万台程度、今年度は264万台前後になりましょうか。
 3Qまでの段階で4700億円の営業利益を稼ぎ出し、4Qも円安の影響も手伝い、1600−1700億円程度、つまり通期では6300−6400億円の着地は可能と考える。
 しかしながら3Qの台数鈍化や、工場がフル稼働の状態で来期の増収率鈍化を懸念する機関投資家もいるようで、欧州系投資顧問からの売りが同社株価の頭を抑えているようです。また弱含みの日本株市場に対し、更なる弱気の考えから利食えるものは利食う、自動車株を売却している動きがあるようです。

 だが、ホンダの株価が突っ込んだ局面は買いであると考えます。ホンダはライン構築を非常に上手く行います。モデル変更によるライン入れ替えは非常に素早い上、ライン効率向上もお手のもの。つまり既存のラインだけでも増産より余地はありましょう。

 加えて米国のアラバマ工場が立ち上がりましたので、この分の効果が出てきます。更にどうなるかわかりませんが鈴鹿の第2ラインもありますし、唯一キャパの余っているUKの余力もあります。ホンダは作りたくとも作れないのが現状ですが、増収率鈍化はあまり気にしなくても良いでしょう。

 但し、UKは気をつけなくてはなりません。欧州においては日本メーカーがプレミアムブランドには成り得ません。よってUKの稼働率をフルに持っていくのは難しい。それならばUKから米国へ輸出し、フル稼働に持って行く方法が考えられますが、ここにリスクがあるとおっしゃるセルサイドアナリストの方がいらっしゃいます。

 まあ短期的に見た場合のリスクではありませんので、心配する必要は無いでしょうが…。
 いずれにせよホンダは素晴らしい。レーティングを付けるとすればストロングバイ。(両津)

P.S.
 師匠と思えるほどの自動車担当セルサイドアナリストの方がいらっしゃいます。技術を除いてメチャ詳しく、論理的な説明に驚くばかり。私はそのブローカーに電話をする時は必ずアシスタントの方に”大先生いらっしゃいますか?”と聞きます。大先生のように自動車セクターを語れるよう、がんばるぞ!

 

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