富士重工業(東7270) 2001/09/27更新

2001/09/27(木)

富士重工業(東7270) ☆☆☆☆
 

 スバルの目算にズレが生じ始めている。

【日本市場】

 モデル末期のフォレスターが落ち込み、マイナーチェンジしたレガシーはミックスが落ち込んでいる。一方、昨年モデルチェンジを施したインプレッサは台数こそ昨年より伸びているものの、ミックスが極端に悪く売上が落ちている。インプレッサは200万円以下のものが7−8割を占めるが、実態は150万前後の価格帯が売れているのが実情。低価格帯のもので台数を伸ばし稼働率アップにつなげ、高い価格帯で利益を出す戦略が成功していない。

【米国市場】

 今年度モデルチェンジのない日本より、海外、特に米国市場に期待していた感がある。
 月を追う毎に尻上がりに良くなって行ったが、米国でのテロ発生を契機に会社側はトーンダウン、状況が一変してしまったようだ。SOAは今期18万台の予想だがこれが若干ショートするかも。しかしながら会社側は+αを初めから期待していたようだ。テロの影響は米国における東海岸での販売をメインにしている同社にとり、打撃が大きいためだ。

 会社側の今期業績予想にはバッファがあまりないと推定し、計画する営業利益840億円は未達になると読む。(両津)

 

2001/07/10(火)

富士重工業(東7270) ☆☆☆☆
 

・会社側の計画する販売台数は国内軽自動車が0.3%増、国内登録車が2.4%増、国内トータルは1.2%増。一方、海外は7%増を見込んでいる。その計画に対し4−6月の状況は、国内軽自動車が6.7%増、国内登録車が16.6%減、海外は1−6月ベースで乗用車10.9%増、トラック1.7%減のトータル6.7%増となっている。

・国内の軽自動車販売は6月に好調な結果となっているが、軽自動車のマーケットの実体を考えると営業が相当な力を入れて作った数字のようだ。

・国内登録車は昨年モデルチェンジしたインプレッサの人気が出ず、5月にマイナーチェンジしたレガシーでは全体の販売台数を牽引することが出来ていない。今期フルモデルチェンジなしでの国内販売は厳しい。

・一方、海外、特に米国での販売は計画通りの好調さを示しており、フルモデルチェンジしたインプレッサ及びターボバージョンが顧客に受け入れられている様子。ターボエンジンの比率は約半分に達している模様だ。

【ポイント】

 今秋以降にオペルのZafiraのスバルバージョンを国内に投入するものの、年間7000−10000台の販売計画で収益面での寄与はほとんどなく、今期の売上高は会社計画の14000億円程度に落ち着きそう。
 但し、115円前提の為替で予算を組んでおり、為替が現状の水準なら収益にはモロプラス。1円で約15−20億円程度の増益効果があり、その分が乗っかりそう。

 モデルチェンジなしの今期は特に国内販売の苦戦が予想されるものの、会社側ではインセンティブの積み増しをある程度予算に入れており、特に大きなマイナスサプライズを呼ぶことはなさそう。

 来期は米国でフォレスターのモデルチェンジや新型ピックアップSTXの発売が期待され、株価の位置を見ながら投資したい。(両津)

 

2001/06/01(金)

富士重工業(東7270) ☆☆☆☆
 

 5月24日決算説明会が開催されました。なんでこんな遅くに配信するのかと読者の方々から怒られそうですが、昨晩ぢんぢ部長から富士重工フォローの要請があったからです。

 説明会は、前期業績及び今期見通しの説明がなされた後、中期経営計画の見直し内容が報告された。

売上高
営業利益
経常利益
NET
EPS
01.3
13118(-1.4%)
817(‐10.6%)
715(-17.8%)
226
30.4円
02.3
14000(+6.7%)
840(+2.8%)
770(+7.6%)
400
53.8円

前期業績】
 売上高の89%を占める自動車部門は、国内登録車販売が前年を上回る2.1%増だが、全需の2.6%に及ばなかった。軽自動車は国内全需が2.5%減少する中、1.6%の減少。一方、米国販売はインプレッサがモデル後期で前年比1.5%減少(この3月にモデルチェンジを行っている)となったが、レガシーが9.9%増、フォレスターが13.9%増と前年を上回る。

 欧州は為替の影響が大きく現われ、前年比36.2%減少となっている。 その他事業については前期に較べ減収、営業利益は前期の11億円の赤字から8億円の赤字と若干の改善に過ぎない。このため自動車事業の売上高は11672億円となり、前年比0.7%の減少である。

 一方、営業利益面では当初から減益見通しをしており、マーケットコンセンサスの範囲での結果である。利益減少要因は安全対策120億円、ユーロ安に伴う欧州向けの値下げ80億円、試験研究費増65億円などトータル390億円、対して増益要因は原価低減210億円、その他83億円のトータル293億円で差し引き97億円の減益になった。

【今期見通し】
 今期見通しは売上高1.4兆円と6.7%増の計画を打ち出してきた。 国内自動車販売はGMからのOEM車を1車種投入し、前期比微増と見る一方、海外ではレガシー、インプレッサで拡販を狙う。

 米国マーケットがシュリンクし、今期の米国販売は厳しさを増すことを考慮にいれ、インセンティブも前期の1台当たり492$から700$を予算に入れている。なお為替レートは1$=115円で見ている。

【新中期経営計画】
 昨年策定した2004年度までの5カ年計画を見直し、新たに2005年度までの計画を打ち出した。

2005年度の収益目標
売上高   17700億円(2000年度比35%増)
営業利益   1340億円(同64%増)
経常利益   1280億円(同79%増)
NET     710億円(同214%)
有利子負債  3350億円(8%減)

 売上高30%アップと生産性、コストを30%改善させ売上台数80.4万台と38%増の拡販を計画する。そのため国内の生産体制を2003年、2004年の2期間に渡り630億円投資し、年間生産台数85.8万台まで能力増強する。

重点施策としてGMやスズキとのアライアンスがある。
・多人数乗りワゴンの国内投入
・台湾でのプロジェクト
・中国でのミニカープロジェクト
・新コンセプトSUV共同開発
・欧州向け新規開発車

 具体的に進行しているプロジェクトや構想レベルのものまで多種多様。GMとは今期発売するOEM1車種を除き、共同開発プロジェクトとなる。一方、スズキとのアライアンスについては、経営者・現場の行き来程度であり、当分新車が出るような状況にない。

【コメント】
 今年の国内販売台数をほぼ横ばいと見ており妥当な線と考える。
 欧州販売は円建てで行っており、前期はユーロ安の影響から値下げによる現地ディーラー支援として45億円の出費をしている。今期は昨年より5千台の拡販を予想しているが、為替に左右されよう。

 米国は3月にマイナーチェンジしたインプレッサに初めてターボを搭載し、この効果が出てくると想定する(ダサい丸型ライトも米国ではOKのようだ:某自動車会社海外営業担当)。

 しかしながら、日本国内も同様だが今年度はモデルチェンジが1車種もない状況にあり、シュリンクする米国マーケットで期待通りの台数が販売可能か。また会社の想定する1台当たりインセンティブが妥当なものなのか、シビアに見ていた方が無難。但し、今期、会社の利益計画は努力的な色彩が強いものではない。米国で若干の未達があろうと、115円で予想する為替で充分吸収できよう。

 中期経営計画でのGMとの共同開発は、ある程度の内容まで開示しており、順調との印象を受ける。しかしながらスズキとのアライアンスについては具体案がなく、現状では評価できない。中期計画をそのまま鵜呑みにすることは出来ないが、会社の成長方向が見えてきており、基本的にはポジティブに捉えたい。

 富士重工は登録車が4車種しかなく、新たな新車がヒットした時の収益貢献は大きい。得意技術を活かしてニッチに徹した同社の戦略は非常にうまく、今後もこの戦略を大きく変更しない限り、同社の躍進は続こう。

 今までの戦略と異なる自動車を発売した場合、拡販のチャンスであるがリスクも高いと考える。(両津)

 

2000/12/18(月)

富士重工業(東7270) ☆☆☆☆

 【ポイント】
GMとのアライアンスはポジティブに働こう。

1)同社製ボクサーエンジンが優秀であることは事実。但しボクサーのみの評価ではなくパワートレン系として評価するべき。

2)GMは、ボクサーエンジン+ミッション+プロペラシャフトに4WDを含めたパワートレンを評価し出した。

3)しかしながら、スバルのボクサーエンジン+4WDの良さは足回りにも波及している。エンジンとミッション間にクロスメンバーが入れられるのがポイント。これによりロアアームが長く取れ、横剛性が高まる。サスペンションのセッティングも他のライン、Vスタイルに比べ優位性を持つ。

4)GMは上記のトータル技術指導をスバルから受ける可能性が高い。

5)GM、スバル間では今後共同購買をしていきコスト削減をしていくが、GMが今後使うであろうスバルパワートレン系の部材は、スバルが主導権を握ると推測する。

6)その場合、GMはスバルから部材を購入することとなり、同社のコンポーネント事業は拡大する。またスバルはタダでパワートレンの技術指導をするとは思えない。なにかしらの指導料を得よう。

7)GMの4WD生産台数次第だが、スバルはこれらパワートレン系の収入だけで結構な収益アップとなる可能性がある。またこのコンポーネント事業には、ほとんどリスクが伴わないと推測する。非常にオイシイ商売。

8)先行きスバルは世界各国で本格的な販売を行ない出すであろう。この場合為替の影響が大きい国内からの輸出ではなく、GMの工場が利用出来そうなことが重要だ。

 

【ネガティブ

9)今回の新型インプレッサの販売はスロースタートであり、会社側も期待したほど売れていない事を認めている。新型はダサイの一言に尽きる。あんな丸型ライトでは誰も買わない。

10)Stiは280馬力は同一だが、トルクを2kgアップの38kg。シリンダの補強、新型鍛造ピストン、コンロッドの他、大型タービン、A/Rの見直しと30万円アップの理由は理解できる。しかしながらエンジン特性はマイルドになり、ファンは来年2月発売の三菱ランサーエボリューションに乗り換え組が出よう。車重も1250kgから1380kgに大幅アップ。

 短期的にはダサいインプレッサが足を引っ張りましょうが、中長期は国産自動車メーカー中トップの成長を示すのではなかろうか。ベンチマークに対しては☆☆☆☆☆(機関投資家)、☆☆☆☆(個人投資家)(両津)

 

2000/12/07(木)

富士重工業(東7270) ☆☆☆☆

 スバルと言えば20−30年前のレオーネを作っている時代のイメージが強い方もいらっしゃるかもしれない。しかし、10年前に社長交代してから独自技術に的を絞り、確実な成長を遂げている。
 株式マーケットでは『ニッチを突いてマーケットを築き上げる』など、アナリストからは結構評判が高い同社である。

 同社の強みは、なんと言ってもボクサーエンジン(水平対向)及び4WDシステムだ。10数年前に、三菱がギャランで4WD仕様のVR−4をデビューさせ、その時搭載したエンジンが2リッターのターボで、これが速いのなんのと話題になり、その時のライバルがスバルから出たレガシーで、2リッターターボ仕様。
 その頃から絶対的に速いと言われていた2リッターオーバー車を、2リッターもしくは1.8リッターでカモルのが流行り出した。コーナーでは車重が軽い方が有利だが、直線でも2リッターオーバーを抜けるとなれば、これは若者にとってはその頃税金が高い3ナンバーを乗る理由はなくなってしまう。

 ここからスバルの前進劇が始まる。その後、ワゴンといえば商用車のイメージの頃、なんとレガシーワゴンに過激な4バルブツインカムターボを搭載してしまい、世界一早いツーリングワゴンをマーケットに送り込んでしまったのである。
 これには元走り屋のお父さん方も驚いたに違いない。大蔵省である女房には『子供もいるし、休日にはハイキング、バーべキュー、ちょっとしたドライブのためにワゴンに乗換えようか? 俺は走り屋を卒業したから』と嘘をついて買い換えた人が結構いる筈だ。納車後、アクセルを半分踏んだだけで奥さんは驚くに違いない。メーターのフルスケール一杯の180キロを簡単に出してしまう動力性能に。メーター裏に配線されているリミッターを外せば、240キロは出る筈だ。
 こうしてスバルはスポーツワゴンのマーケットを立ち上げてしまった。

 次にインプレッサ。2リットルで280馬力を発生させる高性能エンジンを武器に、三菱ランサーエボリューションと戦いまくり。結果はスバル優位であるようだが…。

 序文が長くなりましたが、スバルはレガシー、フォレスター、インプレッサと、軽2車種しかない。…忘れていました、レオーネの直列4気筒が残っているみたいです。
 何れにせよ車種が少ないから、1車種でも新車が当たればかなりの利益増が期待できるわけです。しかも、元はニッチを突いた自らのマーケットですから、強固な顧客基盤を有している可能性がある。その場合、自動車マーケットがシュリンクしたとしても、同社にはマイナス影響が及びにくい訳です。
 こうした理由から、同社を評価するアナリストが多い。

 しかしながら同社の指標を見ると、それなりのプレミアムが与えられているとは言えない可能性がある。特に同社のボクサーエンジン及び4WDが素晴らしいと言っているアナリストも、将来の展望を記載している方はまずいない。
 なぜか? ボクサーエンジン、4WDを技術的に理解できないからだ。私もその一人です。
 ですから、年内一杯は時間をかけてスバル技術のリサーチ1本に集中しようと考えています。

 昨年から?もしくは今年からかは忘れましたが、従来の4気筒に加え6気筒のボクサーもラインナップに加え、レガシーランカスターに搭載してきました。4気筒2リットル(EJ20)に対し、6気筒3リットルですからデチューンかと思いましたが、全くの新設計だとか! オマケにエンジン全長が短くなっている。

 しかし、どう考えてもスバルの日本国内のボディラインナップには6気筒が必要ない。ターゲットはずばり?でしょう(?はいずれお伝えします)。
 その場合、設備投資が嵩みます。既に発表されている他に必要となるわけですが、実際はここでGMとの効果が最大限現われてくるはずです。この少し先まで読める方なら、自動車のアナリストになれます。ここまでが海外展開の話です。

 次に国内ですが、この全長の短い6気筒をベースに、4気筒2リッターエンジンを出します。これはまだ先のことですが…。私はここで既存の車の他、もう1車種出すのかと深く考えてしまい、その場合どんな車か想像しました。注目点はエンジン全長が短いという点です。エンジン−ミッション−プロペラシャフトが真っ直ぐ伸びるスバルの特長が更に活かすとなれば、まさかフロントミッドシップか? 懇意にさせて頂いている自動車アナリストと話したのですが、彼は単純に軽量化ではないかと…。
 雑誌を捲る事10分。今度のインプレッサは車重が1300−1400kgと重く、これは致命傷だ。次に走り屋を今でもやっているインプレッサーオーナーの従兄弟(元は新日本証券の営業マン)とスバルについて語り合った。

1.吸気ポートを垂直に立たせ流速を速めている
2.2つの吸気チャンバー内にバルブを設け可変吸気を実現
3.空気取り入れ口を前面に配置換え

 この結果、低回転におけるトルクアップが実現できたのだが、反対に5000回転を超えてからの高回転域が、今ひとつになってしまっている。扱いやすいエンジンになったのだが、WRXファンは失望している。おまけにライトが丸型で非常に非難を浴びており、インプレッサからランサーエボリューションへの乗換えが起きる気配である。

 今度のインプレッサに失望し、旧型インプレッサの在庫を取りに行った方がいたが、既に品切れ。バージョン5、6も人気化するかもしれない。
 新型にはディーラーの営業マンでさえ、やる気を失っている方もいる。

 富士重工さん なんであんなにカッコ悪い車を出したのですか!

 でも同社株を強くイチオシする両津でした。☆☆☆☆(両津)

 

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