菱食(東7451) | 2003/03/09更新 |
2003/02/28(金) | |||
菱食(東7451)
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久しぶりに菱食を取り上げます。02年12月期業績が公表されましたので、報告を兼ねまして。 株価は、昨年秋以降、大きく下落いたしました。02年は、株式相場全体が冴えないなか、同社の株式は頑強な動きが続いていました。株価の下落はその反動によるものであり、同社のファンダメンタルズに変化が生じたものではないと考えています。中間流通業界では、「オピニオンリーダー」とも目されるカリスマ的経営者である廣田正社長(現会長)の会長昇格が失望された、との見方もあるようですが、廣田会長は健在であり、CEO的立場で経営全般を総覧するものと考えています。 さて、発表されました02年12月期決算は、想定よりもポジティブな内容でした。連結業績は、売上高で1兆566億円、前期比24.9%増、営業利益で86億円、同2.1%増、経常利益で99億円、同3.9%増となりました。単体ベースでは17期連続増収増益を達成しています。 「想定よりポジティブ」と述べましたのは、同社の酒類部門の収益化が順調に進んでいることが確認できたことによります。中間流通業者が今後、生き残りをはかるうえで重要なポイントのひとつに取扱い商品の「フルライン化」が挙げられます。川下のスーパーなど小売業者を顧客化するのは必須のことといえましょう。伊藤忠食品など同業大手が従来から酒類に強みを有していたのに対し、同社は加工食品ではトップであったものの、酒類では他社の後塵を拝してきました。このため、中泉、祭原など酒類卸各社をM&Aにより子会社化し、酒類では業界ベスト3に入っています。また、冷凍チルド類でも本年10月にはニチレイの子会社であるユキワを連結子会社化することにより、業界トップの座を固めることになります。 課題は、酒類事業のいかに利益率を改善するかでした。売上規模は拡大するものの、現在は子会社の従来の体質を受け継ぎ、未だ赤字であるからです。廣田会長は3年で収支トントンに持っていく、と言明していましたが、計画通り進捗しているもようです。 同社の課題である「酒類事業」の収益性が順調に改善していることで、今後も順調な収益の拡大は続くものと判断しています。(駄洒落)
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2002/08/16(金) | |||
菱食(東7451)
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夏休みをとっている間に、日経新聞に菱食(7451)の中間期業績に関する観測記事が掲載されました。若干のコメントを加えたいと思います。 「菱食の二〇〇二年六月中間期は、連結経常利益が十三億円強と前年同期比四三%減ったようだ。従来予想は十一億円。コンビニエンスストア向けに販売を伸ばし、物流業務の合理化などでコスト削減を進めたことで減益幅が縮小する。 以前にも触れさせていただきましたが、連結経常利益が大幅にマイナスとなるのは、01年4月に酒類卸子会社・リョーショクリカーと合併した中泉が今中間期で初めて連結対象となるための一過性の要因です。酒類卸各社は、激しい競争から厳しい業績を余儀なくされていますが、今下期より菱食によるてこ入れ効果が出てくる見込みです。 織込み済みのこととて、株価はあまり反応しておりません。引き続き、下押す場面では、中期的観点から買いの好機と考えております。(駄洒落)
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2002/07/19(金) | |||
菱食(東7451)
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株式相場が冴えないせいか、当「イチオシ銘柄」コーナーもすっかり寂しくなっておりますが(笑)、孤軍奮闘を続けましょう。 このほど、菱食(食品卸売業界で売上高2位)は、最大手の国分(非公開)と折半出資で共同物流会社を設立することを発表しました。これは、食品・酒類メーカーの商品をまとめて荷受けし、各卸に一括配送するもので、配送回数を減らすことにより、メーカー側のコスト削減を目指すものです。 元来、流通システムのなかで、「卸売業者」介在の根拠を示す理論としては、以下の2つが著名です。 1.取引数量最小化の原理(ホールの第一法則) M.ホールによって提唱された流通過程における卸売業者介在の根拠のひとつ。製造業者と小売業者の間に卸売業者が介在することによって、社会全体の流通コストを削減することができるというものである。例えば、製造業者が3社、小売業者が3社存在する場合、卸売業者が介在しなければ3×3=9回の取引が必要となるが、卸売業者が介在することによって、それが3+3=6回に削減される。 2.不確実性プールの原理(ホールの第二法則) M.ホールによって提唱された流通過程における卸売業者介在の根拠のひとつ。各小売業者が、消費者需要の季節変動や地域格差等を見越して在庫を持つとすると、社会全体として無駄が生じる。そこで、卸売業者が中間在庫を持つことにより、需要の不確実性によるロスを軽減し、小売業の在庫コスト、流通コストを削減することができるというものである。 今回の国分・菱食提携は、まさに「取引数量最小化の原理」にのっとったものといえます。しかし、留意いただきたいのは、こうした「法則」があてはまるのは、一部の高度に進化した卸売企業だけである、ということです。つまり、世界で最も厳しい商品の選択基準を持つ日本人の消費性向を勘案すれば、「卸売」機能の重要性は決して薄れたわけではないのですが、対応可能な卸売企業はわずかであるということです。 今後も、卸売セクターの優勝劣敗は進行するのでしょうが、菱食のような高度な情報化、総合化を実現した企業は高い収益の成長を継続することが予想されます。(駄洒落)
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2002/07/05(金) | |||
菱食(東7451)
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前々週に続いて、菱食(7451)を取り上げたいと思います。 米国経済の先行きに対する懸念の台頭から、円高ドル安が進行しています。詳しい見通しについては、生涯遊人氏のコラムをご参照いただきたいのですが、円高進行により、今下期の国内企業業績見通しに不透明感が増してきたように思います。 菱食は、今02年12月期連結業績を、売上高で1兆800億円、前期比27.6%増、営業利益で90億円、同6.5%増、経常利益で96億円、同1.1%増を見込んでいます。利益が伸び悩むのは、01年4月に全国5位の酒類卸・中泉を合併した子会社・リョウショクリカーが足を引っ張るためです。常温帯加工食品には圧倒的な強みを持つ菱食ですが、この酒類卸部門は、数少ない同社のリスクファクターといえます。 ただ、同社は基幹システムである「New‐TOMAS」をリョーショクリカーに導入することにより、管理コストの削減に取組んでいるほか、埼玉県川口市に酒類専用のRDCを保有することにより、「小ロット多頻度配送」のノウハウを酒類販売にも適用しようとしています。この効果は、時間を経るとともに発現するものと予想しています。今期業績が想定を上回って落ち込むようですと、中期的には格好の買い局面になるものと予想します。(駄洒落)
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2002/06/21(金) | |||
菱食(東7451)
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このところ、国内の「中間流通」(卸売)に注目しておりますが、とりわけ菱食(7451)は、読者の皆さんにも中長期的にご注目いただきたい銘柄です。 食品卸業界において、売上高で国分、雪印アクセスに次いで第3位ですが、経常利益でトップ(菱食の01年12月期連結業績は、売上高で8460億円、前期比19.7%増、経常利益で94億円、同7.9%増)。 1925(大正14)年、三菱商事の水産缶詰販売子会社として設立された北洋商会がその前身です。69年、北洋商会は北洋商事に社名変更。79年8月には野田喜商事など三菱商事系食品卸3社を合併するとともに、菱食に社名変更して全国的な食品卸売業としての業容を整えました。95年7月、東京証券取引所第2部に株式を上場。97年6月、第1部に指定替えとなりました。 01年12月期の連結ベース品種別売上高構成比は、缶詰類2.8%、調味料類18.8%、麺・乾物類14.9%、嗜好品・飲料類21.5%、菓子類3.9%、冷凍・チルド類11.2%、酒類19.9%、その他7.0%と商品のフルライン化を実現しています。 ☆4つの理由は以下の通りです。 1)「ディスインターミディエイション」(いわゆる卸の「中抜き」)が進行することにより、国内卸売業界の淘汰が加速していますが、同社は「フルライン」サービスの強みを生かし、地方スーパーなどに対するカテゴリー・マネジメント、リテールサポートによる「垂直統合」を実施しています。「勝ち組」としての地位は動かないものと言って宜しいかと思います。 (用語解説) 菱食は、本部や配送センターを持たない独立系の中小スーパーを対象に、オンラインでの受注により、生鮮と日配品を除く加工食品、菓子などの一括配送を実現しています。スーパー側にとっては、在庫の大幅削減と荷受け作業の簡略化などのメリットを享受することになります。 2)全国にある物流センターを広域対応のRDC(Regional Distribution Center)と地域対応のFDC(Front Distribution Center)に分けることにより、出荷頻度別の物流システムを確立しています。これにより、小売側のニーズの高い「小分け多頻度配送」を行いつつ、物流の効率化と納品精度の向上を実現しています。 3)情報と物流を有機的に結合させるため、総合経営情報システム「NEW‐TOMAS」を導入しており、全国、地域別、個店別の出荷商品すべての売上げデータを引き出すことを可能にしています。このことが、幅広いリテールサポートを可能としています。(駄洒落)
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