両津です。今回は億の近道の読者であり、サービス業におけるリサーチの手助けもして下さっている、著名な女性アナリストの意見を参考に書いてみました。
このアナリスト氏、非常に人気が高く、私の顧客であった某損保系投資顧問、へッジファンドなどその他いろいろなファンドマネージャーから高く評価されております。
もしこの女性アナリストに登場してもらいたいという読者の方は、億近メールchikamichi_oku@hotmail.com(管理は鬼のぢんぢ部長)まで。
【業務連絡】
上述のアナリストさん。10月は予定通りお会いできますか?
日本酒を用意して待っております。
昨年は小売、サービス関連の銘柄のパフォーマンスが堅調で、特に独自のビジネスモデルを構築・展開している専門店が投資家の脚光を浴びたのは記憶に新しい。良品計画、しまむら、大塚家具、ファーストリティリングなどがその代表例。しかし、これらの銘柄群で最近になって株価が軟調なものが目に付き、その背景には既存店売上の伸び悩みという要因が存在する。
だがそれを尻目に堅調な推移を今後も継続していくであろうと思われる業界がある。それはメガネ業界だ。
高齢化世代の増大で老眼鏡のニーズが増える上(メガネ屋で安い老眼鏡が売られておりますが、実際の老眼鏡客単価は高く、非常においしいビジネスなのです)、学生及び社会人は情報技術の発達で毎日モニターを凝視し近眼に、子供達は外で遊ばずファミコンで格闘ゲームに励み矯正予備軍となり、メガネ業界にとっては願ってもない環境にあると言えるのでは。
今回はこの業界の中から3社を選択してみた。トップブランドの三城、成長著しいメガネトップ、それとも収益形態で他社と差別化を図るビジョンメガネを投資対象として、皆様ならどの銘柄を選びますか?
なお、今回は単なる情報提供という意味で、全て☆とさせていただきます。読者の皆さんの判断に委ねます。
●三城(東7455) ☆
【事業の特色】
メガネ専門店でシェアトップの企業。利益率は業界でダントツであり、豊富なキャッシュフローを武器に約70店の大量出店展開。既存店を社員に対しのれん分けすることによるによるフランチャイズ化、同社仕様の商品開発、顧客ニーズに最適なメガネを得られるようコンピュータグラフィックを導入するなどの特徴を持つ。
【コメント】
知名度、品質とも高く、業界での利益率は他社を圧倒しており、豊富なキャッシュフローを基に50店以上の大量出店を継続している。前期は高機能なプラスチックレンズや水に浮く軽さのUVガードフルーレライトなど、同社の購買力を活かした商品開発及び顧客に合ったメガネを選ぶミキ・デザインシステム(コンピュータグラフィックス)の導入で他社と差別化を図り、その結果メガネ業界における同社の相対的な位置付けはトップ企業として変化はないものの、シェアは一貫して上昇基調をキープし、92年の7.1%から98年には11.4%まで拡大しており、同社のトップ企業としての地位に揺るぎはなかろう。
●メガネトップ(店7541) ☆
【事業の特色】
メガネチェーンで業界中堅。メガネフレームメーカーのキングスターを98年12月に買収し、製造販売一貫体制を築き上げるとともに、好採算の自社開発ブランドの売上アップを図っている。またブランド志向の日本人に合わせるよう、ナショナルブランド品を低価格で販売するため積極的な店舗展開を行なっている。
【コメント】
ブランド品を低価格で販売するという明確なディスカウント戦略をもち、業界中堅だが成長率ではトップを走っている。三城とはシェアで大きな違いがあるものの、出店エリア毎では三城の横バイに対し同社はシェアを確実に伸ばしており、若い世代を中心に顧客を拡大している様子。一昨年12月にフレームメーカーのキングスターを買収し、製販一貫体制を築き上げた。自社ブランド製品は他の製品と比べ粗利益率が5%も高く、今後はこの一貫体制を活かした自社ブランド製品の販売比率を上昇させる意向で、同社の利益牽引役として働こう。メガネ業界における中長期的な成長率ではトップを走り続ける可能性があり、注視していきたい。
●ビジョンメガネ(店7642) ☆
【事業の特色】
関西地盤のメガネチェーンで業界中堅。顧客ニーズに合わせた製品企画に力を入れ、ISO9002及びISO14001の認証取得は業界唯一。フレームとレンズのセッティング技術で特許を取得しライセンス収入を目論む他、卸売事業の拡大を計画している。
【コメント】
同社のシェアは約2%と拡大の余地が充分ある中、40店以上の高い出店を継続し成長持続を図っていくという。その背景にある同社最大の武器は企画開発力だ。国内外から素材を取寄せ、顧客のニーズを反映した高品質なモノ作りによる自社開発商品があるからだ。新しい事業展開も見逃せない。既に行なっている卸売事業が売上対比で10%未満に過ぎず拡大強化を狙う。加えてレンズとフレームのセッティング技術で特許を取得済みであり、フィービジネスを思考中。これら2つの新しい事業が成長の牽引役となる可能性を秘めており、同社の収益構造が一変するかどうか要注目だ。
【3社比較】
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三城(東7455)
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メガネトップ(店7541)
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ビジョンメガネ(店7642)
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売上高 |
前期 |
800億円(連結)(+29.9%)
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134億円(連結)(NA)
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139億円(+15.7%)
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今期 |
834億円(連結)(+4.2%)
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163億円 (連結)(+21.6%)
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155億円(+11.4%)
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経常利益 |
前期 |
136億円(連結)(+72.4%)
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12.7億円(連結)(NA)
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8.6億円(+38.8%)
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今期 |
159億円(連結)(+17.1%)
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18.1億円(連結)(+42.5%)
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14.0億円 (+62.6%)
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EPS |
前期 |
174.9円(連結)
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75.6円(連結)
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80.5円
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今期 |
151.9円(連結)
|
120.1円(連結)
|
101.7円
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売上高
経常利益率 |
前期 |
16.9%
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9.5%
|
6.2%
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今期 |
19.1%
|
11.1%
|
9.0%
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株価(9/12) |
5590円
|
2800円
|
1500円
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今期予想PER |
36.2倍
|
23.0倍
|
14.7倍
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株式公開日 |
1996年12月
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1997年6月
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2000年4月
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時価総額(9/12) |
2803億円
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191億円
|
90億円
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公開来高値 |
10210円(1999年8月)
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5150円(1999年10月)
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2010円(2000年6月)
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公開来安値 |
1350円(1997年11月)
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300円(1997年12月)
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750円(2000年4月)
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1株当配当金 |
17.5円
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10円
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7円
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配当性向 |
10.0%
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13.2%
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8.7%
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配当利回り |
0.3%
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0.4%
|
0.4%
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公開来の分割状況 |
1997年4月に1:0.1
1998年4月に1:0.2
1999年5月に1:0.1
2000年5月に1:0.3
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1997年10月に1:0.5
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なし
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1株当株主資本
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前期 |
1094円
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533円
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525円
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有利子負債 |
0円
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45.9億円
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66.8億円
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PBR |
5.1倍
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5.3倍
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2.9倍
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ROE |
17.1%
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14.2%
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従業員数 |
2952名
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816名
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399名
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1人当売上高 |
前期 |
2710万円
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1649万円
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3485万円
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1人当経常利益 |
前期 |
460万円
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155万円
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216万円
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注意:99.3期が変則決算のため2000.3期業績の伸率は大きく出ている |
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