グローバルダイニング(東7625) 2000/01/31更新
2000/01/31(月)メルマガ「億の近道」同時掲載分
グローバルダイニング(東7625)
 先週グローバルダイニングに対し訪問取材を行なった。が、長谷川社長にお会いする前に、神宮前5丁目のラ・ボエム(イタリア料理)に行き雰囲気を味わってみた。

 神宮前から表参道に行く途中の地下1階に店があり、中に入ると薄暗くレトロ風で何度来ても飽きない雰囲気だ(昨年末銀座のボエムに行ったが同様だ)。
あらかじめ眺めの良い席をキープし(禁煙席で辛かったが)、客層・客のオーダー状況・店員の態度などをチェック。約80席で店員は15−16名の内、社員は2人だけだ。しかし誰が社員で誰がアルバイトか全く区別がつかないのだ。唯一黒い服装の方が1名いたので店長だとわかったが、それ以外の店員さんに聞いたら全員アルバイトであった。それだけアルバイトの教育が成されているのだ。
 当然社員の働きもハンパでなく、同社の言う完全実力主義が窺える。メニュー・及び一定の範囲のルールはあるものの、それ以外は店長の自由裁量であり、売上・利益を伸ばせなければ降格。昇格したければ自分で立候補しない限り一生転勤・給料アップはない、当然年功序列なんてものは無しだ。
 アルバイトの女性に時給を聞いてみたら1200円だという、しかも時給はアルバイト自ら店長に申請するのだという。あらかじめ同社のホームページを見ていたので、どんなに凄いかは知っていたが、やはり現場に行くと驚いてしまう。
 料理の方はというと…興味のある方は行ってみて下さい。因みに、グルメなぢんぢ部長に言わせると「うまい店」ではなく、「まずくない店」というのがチェーン店での人を集めるポイントだそうだ。

 次の日長谷川社長と面談したわけだが、まずは同社のホームページを見ることをお勧めする。http://www.global-dining.com/global/index.html
 いくつかの項目があり、カンパニーインフォメーションをクリックし、現れた画面の一番下に「長谷川耕造の考え方」というマスがあるので、それをクリックすると長谷川社長の言いたい事が次から次に現れてくるのだ。
 一般の大企業だと、役員始め管理職は部下にカッコつけて「失敗を恐れるな、顧客満足(CS)だ」なんて良く言っていたが、今ではCSという言葉すらでてこない。代わって意味は少し違うが、今度はソリューションだのと言う様になっており、この言葉も先行き使わなくなるのでしょうね。
 長谷川社長の経営哲学は、『既存のマンネリ化した組織では優秀な人材はやがて無能となる。潜在能力のある人にその力を120%発揮出来る組織作りが重要。本人にとっても自らの自己研鑚と達成感、更に自己研鑚する前向きな人生が40歳、50歳になった時充実した人生といえる。そうした職場をグローバルダイニングは社員に提供することにより、社員がお客様に最高のサービスを演じてくれる。そのことにより企業は成長する』…そこいらの上場企業雇われ社長とは全然違います。口だけでなくそれを間違いなく実行してしまうのですから。
 今まで会社訪問してきた中で、「この会社のオーナーは違うな」と感じたケースはありますが、長谷川社長は間違いなく違います(同社はカジュアルOKですが、社長をパッとみた時、髪は短くオールバックで庭師かと思いました)。
長谷川社長率いる軍団に投資してみたくなりました(ファンダメンタルズなんてクソ食らえ…冗談です)。
 本来社長業というのは、同社社長のような考え・行動が常識なのに、周りの大半の社長が常識を口ではいうものの、行動は非常識になっており、それを見ている社員も段々とそれが正しく見えてきて、終いには自分も非常識に染まってしまうのでしょう。長谷川社長曰く、大企業入社3年で染まり出し、本当に優秀な奴は窓際族になっていると言い、そういう人こそ採用したいとも述べています(どなたかチャレンジしてみたい方はいらっしゃいますか?)。
 おっと、前置きが目茶苦茶長くなり申し訳ございません。

 事業内容はレストランの企画・運営で、ラ・ボエム(イタリア)・ゼスト(メキシコ/米)・モンスーンカフェ(東南アジア)・タブローズ・ステラート(高級インターナショナル折衷料理)の4種類を、東京山の手地区に展開、超一等地から少し離れた場所にその地区に合った店作りを行う。

ラ・ボエムの平均客単価 約2000円
ゼストの平均客単価 約2500円
 モンスーンカフェの平均客単価 約2200円
 タブローズ・ステラートの平均客単価 約9000円
 出店費用はかなりの資金を用いる。理由は、お客に落ち着いた雰囲気を醸し出す為に(安らぎの空間)、人間工学的な設計を含ませ、しかも楽しみも味わう事が出来る店舗を作るためだ(社長以下5名のチームがある)。前述した神宮前5丁目の店舗は、禁煙席からトイレに行く時、橋を渡って行き、他の店では味わえないものがある。
 4つの店舗コンセプトと立地・環境にベストマッチさせ、ふんだんに資金を用いた店舗は、継続投資が少なくて済み(しっかりしたコンセプトの店は時間が店舗魅力を作り出すという)、高品質・高サービス・年中無休・完全実力主義が同社の特徴であり強みである。
 同社の粗利率は、98年度に53.9%と他社と比べてみると低いが、これは原価処理に製造原価方式を用いている為である(今期からは更に店舗関係の費用は全て原価にし、本部費用を販管費とする)。
 しかし実際は、販管費が上述した継続投資の少なさなどにより、売上高経常利益率でみると同等か他社以上となっている。現在ブティク型店舗をメインに20数店舗出店しているが、今後は200席以上の大型店をメインに出店していき、毎年15%ずつの売上増を目論む。
 前期売上73億円を、対投資家には2005年12月期に220億円、売上経常利益率は現状の店舗でも大型店でも今の10%を継続するシミュレーションだそうで、22億となるか。社内目標は、2005年12月期売上250億であり、今のEPS約70円が5年後に210円以上出る計算だ(発行済み株式数に変化がなければ)。
 今後2年間は設備投資をキャッシュフローの範囲内に抑えておく計画であり、その後マーケットから調達する予定のようだ。株価は同社に対する期待及び、伝説を創っているIR会社がコンサルティングを行なっている事を一部の機関投資家が知っており、小さく生んで大きく育てる理想的な株価形成にならなかった。
 現在、公開来安値付近の約6000円と、前期EPSベースでPERで90倍弱と、ワタミフードと同程度だ。安くなったとはいえまだプレミアムは結構ついており、今後郊外型店舗を出していく際に、今得られている「高級」なイメージをどう維持、もしくは郊外型が成功するのかがリスク要因だ。
1月31日引値6400円

 現在月次売上は公表されておりません。近々にHP上で毎月公表するそうです。まだ前期の決算及び月次売上が発表になっておりませんが、機関投資家より早く、読者の皆様にお伝えしましょう。

売上単位は千円、伸率は%
月次 総売上 伸率 累計売上 伸率
99年1月 499196 39.5 499196 39.5
99年2月 477119 35.3 970315 37.4
99年3月 578646 34.7 1548961 36.4
99年4月 606928 37.7 2155889 36.7
99年5月 649220 25.0 2805109 33.8
99年6月 616748 24.5 3421857 32.1
99年7月 660518 24.2 4082375 30.7
99年8月 622950 18.8 4705325 29.0
99年9月 610029 13.1 5315354 27.0
99年10月 647778 9.3 5963132 24.8
99年11月 606265 8.4 6569397 23.0
99年12月 743231 5.6 7312627 21.0

月次 既存店売上 伸率 客数(人) 伸率 客単価(円) 伸率
99年1月 351604 0.0 138588 2.0 2537 -1.9
99年2月 335152 -2.2 131647 -0.3 2546 -1.9
99年3月 402489 -4.8 154245 -5.9 2609 1.3
99年4月 410654 -5.4 161973 -2.9 2535 -2.6
99年5月 430278 -6.6 172316 -4.0 2497 -2.8
99年6月 484838 -0.6 192773 1.0 2515 -1.6
99年7月 524275 0.1 213736 -0.8 2453 0.9
99年8月 495289 -4.2 203193 -4.1 2438 -0.2
99年9月 482520 0.7 193248 1.0 2497 -0.3
99年10月 591541 1.0 223050 0.0 2652 1.0
99年11月 548381 -0.7 206589 -0.7 2654 1.0
99年12月 670101 -0.3 235227 1.2 2849 -1.5
トータル 5727122 -1.8 2226585 -1.2 2572(平均) -0.6

あくまで投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり内容を保証したわけではありません。
投資に当たっては投資家自らの判断でお願いします。
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