大丸(東8234) | 2000/10/25更新 |
2000/10/25(水) | |||
大丸(東8234)
☆☆ 今2000年初頭、大手百貨店各社の初売りセールが軒並み活況となったことが話題となりました。伊勢丹新宿本店では、初売りとなった3日の来店客が25万人、売上高18億円といずれも過去最高を記録しています。 業界が抱える構造的問題とは、1)バブル期の過度な出店戦略(海外を含む)や多角化による資産、事業規模の膨張により、現在の売場面積が全国で約2割過剰とされる「オーバーストア」状態、2)売場運営や在庫リスクを問屋、メーカーに過度に依存する商習慣が長く続いたことによる営業力・商品力・変化対応力の弱体化、3)それがもたらす低収益率、などです。 大手百貨店各社は、これらを克服すべく前2000年2月期からいずれも経営変革に取組んで来ましたが、その方向性は大別すると二通りありました。 単独ベースで比較しますと、高島屋は全16店中12店が前年割れし、売上高は4,796億円、前年同期比3%減、経常利益は26億円、同54%減と大幅減益。三越も全12店中7店が前年割れとなったものの、売上高は3,291億円、同3%減、経常利益は29億円、同38%増と増益を確保。大丸も全7店中5店がマイナスで、売上高は1,983億円、同5%減、経常利益は36億円、同67%増となっています。 これを受け、高島屋、三越が2001年度からから2003年度までの3ヵ年経営計画を策定するなど、各社はさらなる経営変革を推進しようとしています。まだまだ、前途は多難とも見られますが、私は百貨店の「業態」そのものの将来展望は決して暗くはないと考えています。 首都圏など都市部への人口の再流入、雇用機会・産業の集中に加え、高齢化にともなう富裕高齢者の増加、未婚率の上昇(いずれも消費の拡大要因といえます)などは今後も続くとみられ、百貨店が好立地に大型店舗を持つことの優位性はさらに高まる見通しです。また、各社が蓄積した富裕層などの豊富な顧客データとブランド力は、電子商取引などニュービジネスに進出するうえでも大きな戦力といえます。 問題は、今後の百貨店個々の経営変革ですが、私は他社に先駆け早期退職制度を導入した大丸の奥田務社長の手腕に注目しています。同社長は、トヨタ自動車の奥田碩会長の実弟。営業改革、外商改革、後方部門改革を着実に推進しています。 同社長は、早期退職制度、店舗閉鎖(町田店など)に始まる外科手術はほぼ成功した、としており、今後の改革の効果発現が待たれますが、消費環境はまだまだ厳しいものがあります。中長期的スタンスで同社株に注目してみてはどうでしょうか。 (イチオシ度 ☆☆)(駄洒落商会会長) |
あくまで投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり内容を保証したわけではありません。 投資に当たっては投資家自らの判断でお願いします。 |
億の近道on the Web | 質問・要望事項はこちらまでメールを。 |