ファーストリティリング(東9983) 2002/05/12更新

2002/05/10(金) 

ファーストリティリング(東9983) ☆☆
 
 久々に取り上げることになります。

 02年2月中間期業績は、1月8日に下方修正された業績見通しを若干下回ったものの、サプライズをともなうものではありませんでした。むしろ、既存店売上高の急激な低迷が続くなかで、中間期末の商品在庫を304億円、01年8月期末比18億円の増加にとどめたことは、同社が需要予測、在庫コントロールにおいて一定の力量を示した結果として評価できます(あくまでも現段階では)。

 小売企業の場合、商品企画が成功し、好調な販売が継続する過程で、仕入管理、在庫管理が甘くなり、ブームが去って売上げが減少に向かう局面でそうした不備が表面に出ることにより、収益の下落に拍車がかかるケースがよくあります。

 良品計画が典型例です。同社は、順調な収益拡大が続いた結果、機会ロスを避けるために需要予測の120%を仕入れることが常態化していました。この体制は、何と既存店売上高の不振が鮮明になってからも続きました。結果として、同社は01年8月中間期において大量の在庫処分(実に3年分の在庫!)を余儀なくされます。かつては小売セクターの優良企業として衆目の一致するところであった同社も、機動的な生産調整、在庫管理を行なうことは出来なかったわけです。

 ファーストリテイリングは、今回の決算説明会において、今後の商品開発に関して、コア製品の完成度アップ、シーズンにマッチした商品開発、柔軟な生産調整、の3つの基本コンセプトを標榜しました。価格コンシャス一辺倒から、「ファッション志向」が鮮明になってきた消費者動向に対応しつつ、生産調整を機動的に行なうことにより、再び収益の成長軌道を回復しようとの方向性です。商品の多様性がはかられる半面、在庫コントロールの難易度は増すことが予想されます。

 販売面において、かつての「ブーム」を回復することはまず不可能でしょう。しかし、冒頭で触れたような在庫コントロールの力量を継続的に示すことが出来れば、柳井社長が84年社長就任後に掲げた「ノンエイジ・ユニセックスの高品質なカジュアルウェアの提供」により、安定的な収益拡大をはかることは可能であると判断しています。

 ただ、夏にかけ、前年度のバーの高さから、既存店の月次売上高は低迷が続く公算大です。新商品の本格的投入も今秋冬物からとなるもようです。既存店売上高の低迷は既に株価は織り込んでいるでしょうから、当面、手掛かり難から、2500円から3500円のボックス圏での動きとなることを予想します。このボックス圏を上下に離れるとすれば、M&Aによる新規事業参入、予想と極端にかけ離れた月次売上高の発表などの材料出現が想定されます。

 夏以降、02年8月本決算において改めて生産調整、在庫コントロールの力量が示される、英国現地法人が計画を上回って好調に推移する、秋冬物新商品が好調に立ち上がる、秋に予定されている中国(上海近辺)での新規出店が順調に立ち上がる、などの好材料が確認されて、はじめて株価が上値をうかがう条件が整うものと判断しています。

 新規事業、特に(株)永田農業研究所との提携による食品事業の提携については、あまりに収益的なインパクトが小さく、株価材料にはなりにくいでしょうね。ちなみに、(株)永田農業研究所は97年4月、オムロンの孫会社であるエム・エー・エム・アソシエイションと共同出資することにより、「有限会社おさつフロンティアファーム」を北海道千歳市に設立し、高品質トマトの栽培を開始しています。一部ではかなり注目を集めたようですが、オムロンは02年1月21日に、連結子会社ヒューマンルネッサンスコーポレーション及びその子会社であるエム・エー・エム・アソシエーションの解散を発表しています。理由は「業績が低迷しており改善の見込みが立たないこと」をあげています。「有限会社おさつフロンティアファーム」の詳細については、私もまだ調査していませんが、「有機農業の大規模事業化」の難易度の高さは十分想像できますね。

レーティングはとりあえず☆☆としておきます。(駄洒落商会会長)

 

2000/11/08(水) 

ファーストリティリング(東9983) ☆☆☆☆
 
 2日に発表されました10月の販売動向は、既存店売上高が前年同月比87 .2%増、直営店合計が同147.9%増、直営店及び通信販売合計で154 .9%増となりました。18日より開始のインターネットによるフリース販売、 23〜29日のフリース・キャンペーンなど販売促進政策が奏功、単月ベース では最高の売上高を達成しています。

 なお、今期に入って9、10月の既存店売上高の累計は前年同期比99%増 と会社側計画の同20%増を大幅に上回って推移しています。(駄洒落商会会長)

2000/10/11(水) 

ファーストリティリング(東9983) ☆☆☆☆
 
 先週に続いて、決算発表の概要をお知らせします。

 発表された2000.8期業績は、売上高で2,289億円、前期比106.1%増、経常利益で604億円、同326.9%増と驚異的なものでした。
 通期の既存店売上高は前期比67.7%増(客数同72.2%増、客単価2.6%減)と、低迷の続く小売各社を横目に快走。昨秋冬シーズンに重点投入したフリース(1,900円)は、なんと850万枚を販売しました。また、今春夏のキャンペーンも、デニムが目標500万点に対して結果520万点、ストレッチは目標500万点に対して690万点、Tシャツは目標2,500万点に対し2,920万点、ショートパンツは目標500万点に対して600万点と大成功裡に終了しています。

 また、値下げ販売の必要がないため、粗利益率は49.2%(これも驚異的)、同7.6ポイント上昇しています。当社はよく、しまむら(東証1部、コード8227)と比較されますが、最も異なる点は、当社はほぼ100%自社オリジナル開発商品で臨む完全なSPA(製造小売アパレル)企業であることです。商品を絞り込み、物流加工も中国で直接行うなどのサプライチェーン構築が、高い粗利益率を可能にしています。

 なお、会社側では2001.8期業績を、売上高で3,300億円、前期比44.1%増、経常利益で800億円、同32.3%増と見込んでいます。新規出店は111、退店は30でネット81店増加の計画です。既存店売上高は上期に前年同期比20%増、下期にプラスマイナスゼロ、粗利益率は47.0%、2.2ポイント減と慎重な予算を策定しています。

 また、フリースについては、あえて具体的目標は公開しませんでしたが、1,200万枚以上の販売を目指しているようです。目標達成のため、シーズンを通して全50色の展開をはかるほか、10/27より1月中旬まで12週連続で毎週新色を3色ずつ店舗投入する意向です。

 また、今期より、カタログ、コールセンター、インターネットなどの「ダイ レクト販売事業」を本格展開します。シムリーとの業務提携によりカタログ通販事業は売上げ100億円を目指すほか、インターネット通信販売でも10月18日よりフリース全50色を同時販売するなど、売上げ30億円を計画しています。

 柳井社長は、「いつでもどこでも誰でも着られるファッション性のある高品質のベイシックカジュアルを市場最低価格で継続的に提供」することにより真の国民ブランドを目指し、さらには世界一の製造小売業を目指すことを表明しています。

 当社が、生産と販売を直結させる世界的にもレベルの高いサプライチェーンマネジメントを確立していることから、今後も高い成長は続くものと予想します。

 ただ、来年秋に予定している英国進出には疑問符を付けたいと思います。柳井社長は英国進出の理由として、米国はカジュアルの競合が激しい、英国はビジネス慣行が日本人に合っている、などを挙げていましたが、果たしてそうでしょうか。私もかつてロンドンに滞在しましたが、英国人にユニクロがウケるとは思えないのですが。何より当社の強みであるサプライチェーンが生かせないのではと危惧します。

 ともあれ、本日の説明会に出席しまして、当社の好調は一時的なブームではなく、中期的にも続くものとの印象を持ちました。
まとまらぬ文章ですみません。

11日終値26,650円。 イチオシ度☆☆☆☆とします。

2000/03/03(金) 

ファーストリティリング(東9983)
 2月の月次売上が出た。既存店が89.3%増、全店は124.5%増で、今期に入り累計の既存店が54.1%増、全店が79.6%増である。冬物セールそして春物も好調にスタートを切ったようだ。

2000/01/25(火)
ファーストリティリング(東9983)  

 足許絶好調すぎるほどの同社であるが、ある外資系証券がレーティングを、「買い」から「売り」に変更した(レポートは8ページからなる長編だ)。

 それによると、

  1. 昨年10月に稼働率がほぼ100%に達した。
  2. この冬800万枚もの販売を行ったフリースジャケットは1900円と低価格であるが、同じことをしようにも他社では利益が出ない(ファーストはこのプライスでも50%の利益率を確保)。但し、ライバル各社はファーストの戦略を調査しており、数ヶ月後には近い価格で販売開始となりそうで、ファーストリティリングの優位性が消える。
  3. このままの増床スピードでは先行き無理が生じる。
  4. 現在の既存店の驚異的な伸び率はいずれ減速し、その際のショックは大。
…というものだ。
 決して今すぐ売りなさいというのではなく、バリュエーション上かなりプレミアムがついており、既存店の伸長率変化が年内にはやってくるという見方で、その時の変化が減速から落ち込みと認識される時には、大きくプレミアムが剥げ落ちる。そのためにも売りのタイミングが非常に重要と指摘している非常にすばらしいレポートだ。
☆はとりあえず一つ。追ってフォローしていきます。
1月25日引値37400円
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