大原の株式専門用語解説
参入障壁

  誰でもやろうと思えばできる事業のことを、参入障壁が低い事業といいます。参入障壁の低い事業からの利益は低水準です。喫茶店、学習塾、床屋などは参入障壁が低い事業です。もちろん、効率的で質の高いサービスを提供している方も大勢いらっしゃいます。共通するのは、資金と人手が少なくても開業できる点です。

 さて、長期的には、参入障壁の低い事業の収益率(儲け)は、参入障壁の高い事業の収益率より低くなります。例えば、喫茶店がブームになったとします。すると、「じゃあ、わたしもやってみようかしら」と考える方が参入してきます。ブームが続くうちは、サラリーマンの数倍の収入が入ってきます。「ああ、起業して、正解だったわ」となるわけです。ブームが下火になります。周りを見れば、喫茶店だらけ。やがてブームは、下火になります。それでも、家賃が払えて、生活費が捻出できるうちは、収入が激減しても、誰も自ら進んで廃業しません。「そのうちまたよくなる」「またブームがくる。それまでの辛抱」と考えてしまう。全体として、喫茶店の数は多すぎるのに、自分は大丈夫だと思ってしまう。過剰サービス、過剰勤務になり、低収益が続いてしまいます。

 参入障壁の低い事業は、よい時期が短く、わるい時期が長い。結果として低収益になります。

 参入障壁の高い事業は、限られた人しか参入できない。障壁といっても、さまざまで、技術的な障壁、資金的な障壁、特許などの法的な障壁、関税障壁、ブランド(意匠権)などの障壁などがあります。長期的に供給が限られるというところがポイントです。

 参入障壁の高い事業は、よい時期が長く、わるい時期は短い。結果として高収益になります。

 さて、高収益事業と低収益事業のバリエーションを比較してみましょう。低収益事業の平均収益率が2%、高収益事業の平均収益率が20%とします。低収益事業は高収益事業の十分の一の収益しかないため、事業価値も十分の一です。高収益事業のPERが100倍なら、低収益事業のPERは10倍が適正となります。

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