大原の株式専門用語解説
限界企業

  限界企業は、市場における地位が限界的なポジション、つまり、ぎりぎり生き残れるかどうかの位置にいる企業のことです。例えば、複写機事業におけるシャープやミノルタは、ゼロックス、キャノン、リコーのような高シェア企業の下位に位置する限界企業です。アルプスはGMRヘッドの外販では高シェアですが、自力でGMRを開発できる企業、IBM、富士通、日立、シーゲートより下位、そして同じく外販メーカーであるTDKより下位に来てしまう限界的な企業です。ヤマハや日立金属はアルプスよりも限界企業でした。そして、事業から撤退してしまいました。

 一般にトップ企業の方が、開発力があり、生産量が多いため、稼働率が安定するうえ、資材調達において規模の経済が働くなど、利益率が安定する構図になっています。そのため、優秀な人材が集まり、業績面で実績が積み上がり、信頼、ブランドなどを補強していきます。一方で、財務面も良好になり、企業買収の選択肢が増え、研究開発資金や設備投資を後押しします。シェアトップであることから、限界企業より有利な情報が顧客から入ります。顧客のニーズの把握が早く、業界動向に詳しくなり、経営判断が確かなものになります。

 限界企業は好況期には業績の改善が著しく、シェアも上昇します。一方、不況期には業績悪化がひどく、シェアも低下します。

 限界企業の最大のリスクは、少ない顧客に依存しているということです。その顧客が他社製品に切り替えたら、売上が激減します。

<限界企業のリスク>

  1. 少ない顧客をベースにしている、売上激減のリスク
  2. 稼働率が不安定なため、平均的な利益率が低い
  3. 財務、人材に見劣りする
  4. 業界情報が少なく、経営判断があやふや
 限界企業で経営がよいという企業を探すのは難しい。

 限界企業のバリエーションは、シェアトップ企業のバリエーションより相当割安になります。業績リスク、経営リスクに加えて、人材などの潜在力の乏しさが株価を押し下げます。

 限界企業のバリエーションは、トップ企業の半分が相場でしょう。その傾向がはっきりしたため、昨今、株式市場では、2極化現象などと騒がれました。一部のトップ企業の株価だけが評価される状況になったからです。

 だからといって、投資家は限界企業を買ってはいけない、というわけではないのです。限界企業を買う局面は、業界全体に底打ち感が出て、景気がよくなるという期待が膨らむときです。それは往々にして短期のトレーディングになります。

 投資には短期の投資と長期の投資があります。短期投資が悪いわけではありません。テクニカル分析は、こうした限界企業の短期売買に有効です。要は、自己資金のうち、短期投資用資金と長期投資用資金をはっきりと区別することです。

億の近道 on the Web
質問・要望事項はこちらまでメールを。


当ページの無断転載・引用を禁じます

戻る