No.
日付
タイトル
執筆者
14
2002/05/31
今週の為替相場
生涯遊人
13
2002/05/27
今週の相場展望
炎のファンドマネージャー
12
2002/05/27
配当利回りの高い企業が果たして求められているのか!?
炎のファンドマネージャー
11
2002/05/24
今週の為替相場
生涯遊人
10
2002/05/20
今週の相場展望
炎のファンドマネージャー
9
2002/05/20
ソニーが最近公開したユニーク特許紹介
炎のファンドマネージャー
8
2002/05/17
外貨投資の時期
生涯遊人
7
2002/05/17
足元のビール・発泡酒市場
小野小町
6
2002/05/17
光ファイバー用ガラスの量産
海野六郎
5
2002/05/17
トヨタ
両津勘吉
4
2002/05/13
炎より企業IR担当者へお願い
炎のファンドマネージャー
3
2002/05/13
今週の相場展望
炎のファンドマネージャー
2
2002/05/10
円が売られる理由
生涯遊人
1
2002/05/07
炎の証券アナリスト講座講義録
炎のファンドマネージャー

前月のコラムへ

14
2002/05/31 今週の為替相場
生涯遊人

 

 私のファーストターゲットの123.00円に到達した$円だが、円高の勢いは止まらない。ドル全面安の中で、散発的な日銀の介入だけでは、この流れを止めるのは難しい。
 前回の介入でもそうだが、数億$規模の介入でも、1円〜1円50銭ドルを押し上げるのがせいぜいで、介入が入らない海外のマーケットでは、また元のレベルまでドルが下落してしまう。
 マーケットの需給を吸収するには、数日間にわたる介入により、ドルの供給を吸収して、マーケットの需給を歪めないと介入の効果も大きくならない。
 前回の介入時に塩川財務大臣が述べたように「ドルを押し上げる介入ではなく、円高のスピードを調整する介入だ」というスタンス通りに積極的な介入ではない。

 財務省がこのスタンスを継続すると、じりじりドル円は下落し、わたしのセカンドターゲットの120.00も時間の問題となるだろう。
 今のところ125.00円がすでに天井となっており、127.00円が短期的な抵抗線になっている。向こう1−3ヶ月の期間では、120−127のレンジでドルの方向性を確かめる相場が続くのではないだろうか。
 120円を完全に割れると115円が視野に入ってくるだろうから、そのレベルでは、さすがに介入のスタンスも積極的な介入に変ってくるのではないだろうか。

 わたしを含めて多くのディーラーが、日銀の介入を120.00円とみていたため、123円台で介入した時は、意外感があった。
 このレベルから120.00円にかけては、通貨当局とマーケットとの戦いが続いていくでしょう。
(生涯)

 

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13
2002/05/27 株式相場展望
炎のファンドマネージャー

 

 【先週の株式相場】

 日経平均の引け値ベースでの12000円大台乗せこそ実現しなかったが、週末のザラ場高値は12023円となるなど、3月高値12034円にあと一歩まで迫ってきた。米市場が3連休控えということもあって、週末こそ日経平均は小幅のマイナスとなったが、TOPIX、日経店頭平均など総じてしっかりで、出来高も3日連続の10億株超えとなった。
 円高基調となったことから物色の流れは値嵩ハイテクから内需株に移ってしまったが、値嵩ハイテクでもソニーが上値追いを見せるなど、根強い人気を保っていたのが目についた。
 また、先週はこれまで余り目立たなかった建設、食品、繊維、化学、石油、非鉄、造船、その他製造、商社、銀行、その他金融、証券、保険、不動産、鉄道・バス、倉庫、ガスといったセクターが人気を集めていた。
 この結果、先週は日経平均よりもTOPIXの上げが大きくなった。
<日経平均週末株価11976円(+129円 +1.1%)、TOPIX同1139ポイント(+31ポイント +2.8%)、 日経店頭平均1236ポイント(+22ポイント +1.8%)>

【今週の株式展望】

 今週は月末接近で、週前半の多少のもたつきはあっても、堅調な推移を辿ると見て良いだろう。 基本的には先週の流れを引き継いで、今週も日経平均の引け値ベースでの12000円台乗せが焦点になると推測される。
 出来高の増加から流動性重視の展開で鉄鋼、造船、化学などの低位株人気も継続が予想されるほか、内需系では3月高値抜けが依然として叶わない銀行やサービスなどのセクターの動向が注目される。
 為替が5月22日の1ドル=123.58円で当面の円高トレンドを終えたのかどうかはまだ予断を許さないが、ここに来てお休み状態の輸出関連銘柄にとっては循環物色のタイミングを図る動きも出てくるかと想定される。
 また、週末にはワールドカップサッカーが始まるが、マスコミも含めてオリンピック以上のお祭り騒ぎが各地で見られるだろう。
 利益確定売りを交えて、適度に押し目を形成しながら穏健な動きを続ければ株式相場の上昇トレンドは息の長いものとなろうが、お祭り騒ぎのような上げがあれば波乱の要素となりかねないので注意深く見守りたいところだ。
 上値には依然として持ち合い解消売りが待っていると推定されることから、一気に上昇するという見方は少ないが、何かのきっかけから一旦は3月高値抜けを果たし、踏み上げ的な買い戻しから急騰するような場面もないとは言い切れない。
 その契機となるのは政策の後押しとなるだろうが、果たして実効性の伴う政策が打ち出されるのか注目をしておきたい。

**本日もあと一寸で引け値ベースでの12000円台乗せが叶わなかったが、ザラ場では3月11日の高値12034円を抜けた。本日のザラ場高値は12081円。NY株がお休みのため明日も模様眺めとなる可能性もあろうが、値嵩ハイテク株人気が復活すれば日経平均の上値トライが可能となる。果たして・・・。(炎)

 

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12
2002/05/27 配当利回りの高い企業が果たして求められているのか!?
炎のファンドマネージャー

 

 〜MMF元本割れから巻き起こる高配当銘柄物色の気運〜

 東京スタイル(8112)に対して、元通産官僚であった村上氏率いる投資ファンドが起こした、一株500円という高額の配当を求める株主提案等は結果として拒否されたが、このことは今後のコーポレートガバナンスのあり方を示唆する大切な役割を果すと、市場での評価がなされている。
 企業にとっては、蓄積してきた利益を社外に流出するようなことは是が非でも避けたいとの思いがあろうが、株主にとってはROEの低下など非効率に活用されている資金を回収して、効率的な経営主体に移したいとの理屈は大いに評価に値するだろう。

 だが、本当にこの理屈が正当化できるのだろうかは、はなはだ疑問である。そのような配当政策が未来永劫に続く筈はないし、一時的に多額の配当金を受けてもその分は企業から資金が出ていくために、株価に織り込まれてしまうことは容易に想像できる。つまり株価の下落につながる訳だ。
 それでも前代未聞の500円配当という要求が受け入れられたとすれば、株価は実際にどう反応したのかは興味深いところだ。

 東京スタイルという会社が、余分な現預金を持たなくても経営を続けられるのかどうかも興味深いところ。企業はいずれは蓄えた資金を食いつぶす運命にあると考えるなら、そうならないうちに株主に返しておくのが本筋ということになるが、今の経営陣にとっては多少でも危機意識を持つ契機になったとすれば、今回の事件は意義深いものであるに違いない。

 危機意識という観点からすれば、日本国自体(呑気に馬券が当たって喜んでいる小泉首相も)が再び危機意識が薄れてきたと囁かれているが、そうならないためにはまた株価が下がる必要があるという穿った見方ができる。
 日経平均が2月のボトム9420円から上昇している背景は、3月危機意識の中で取られた空売り規制を始めとした官製相場という面が強かったが、国内景気の自律的回復や、アジアを中心とした海外景気の回復という流れが支えとなっている面も強い。

 しかしながら、ここに至って日経平均は12000円の大台をなかなか抜けない状態で推移している。円高傾向で輸出ハイテク株人気が高まってこないためだ。ジリ高を歓迎する状況となり、循環物色という流れが定着はしてきたが、目先狙いの投資家から「儲からない」との認識が徐々に出てくるようだと、一旦は下に振れる可能性もある。それでも今の市場で相場がなかなか下がらないのは、企業業績がソコソコ底堅くなってきたことがあるだろう。
 楽観的ながら、業績の回復期待があるうちは株式市場の大きな崩れもないと考えて良いだろう。

 ここから1ヶ月のタームでは季節は梅雨入りとなるが、株式相場はジリ高から上値トライの可能性を考えておく必要がある。6月下旬にかけて13500円を試すことが、危機意識の薄れた今の日本にとって次の下落相場への入り口となる公算も考えられる。

 さて、冒頭の話題に話を戻そう。今回の事例はやや極端であったかも知れないが、日本の株式市場にはこれまで積み上げてきた現預金を効率的に使えないままに来ている企業が多い。経営陣からして見れば「俄か投資家になめられてはたまらない」と大株主に結束を呼びかけることになるのだが、彼らにとってこうした株主からの声なき要求に、普段から耳を傾けておかないと大変だと認識しておく必要がある。投資家にとっては、キャピタルゲインがなかなか上げられないとなると、「せめて配当だけは多い方が良い」と銘柄選定のポイントにしてくることが想定される。

 最近ではエンロン問題から、元本保証と見られていたMMFがまさかの元本割れを演じ、投信の解約が急増するなど確定物への信頼すら失われる有様。
 それでも、少しでも高い利回りを求めてお金は動いていくことになるので、株式市場でも高配当利回り銘柄を狙われる素地がある。ただ、いくら配当利回りが高いとしても、キャピタルロスの発生が予想されては投資の対象にはなり難い。

 そこで、高配当り利回りという条件に加えて、PERの低い銘柄という些か虫の良い銘柄探しにチャレンジする必要が出てくる。ここに来て全体相場が堅調に推移する中で、配当利回りの高さと業績の堅調さ、PERの低さなどから高速(7504)、積和不動産(8846)といった株価が急騰を演じるなど、配当利回りの高い好業績低PER銘柄への関心が高まっている。高速などでは5月14日にアナリスト向けに会社説明会を実施し、その後急騰に至っているが、今後もこうした流れの中で出遅れ銘柄を探す動きが強まるだろう。

 代表的な高配当利回り銘柄と言えば、皆様なら電力株を思い浮かばれるだろうが、これらは誰の目にも明らかだから今回は除外しておこう。表面上はあのユニクロでお馴染みのファーストリテイリング(9983・配当利回り3.1%)が今回は高配当利回り銘柄となって浮上しているのは意外だが、これは上期の配当が70円、下期が25円ということから、現状の配当は年50円となるので注意が必要。

 今回は雑誌の原稿執筆依頼から、今期配当利回りが2.5%以上で連結PER12倍以下の銘柄をスクリーニング。その結果、約200社の銘柄が見出せたが、このことは日本の株式市場の魅力がある証左とも言える。ここから更に株価の推移なども加味して有望銘柄を見出したのだが、残念ながら今回は全部を披露できない(6月15日号のジャパンポストをご覧になって下さい)。

●バンダイ系のアミューズメント機器・景品メーカーであるバンプレスト(7854・株価1070円・配当利回り2.8%、PER10.3倍)
●日本ジャンボー(9677・同639円、配当利回り3.1%、連結PER7.0倍)などに当面は注目しておきたい。それに配当利回りは2.3%だが、連結PERが8.7倍に留まっていて割安感のあるペット用品卸のエコートレーディング(7427・同700円)も、うさぎブームの到来から狙い目か?(炎)

 

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11
2002/05/24 今週の為替相場
生涯遊人

 

 先週、予測した123.00ミニマム寸前まで円高が進み、かなり早いペースのマーケットの動きになってしまった。127.00を抜けるまでは、$安の流れでユーロ高$安、円高$安の動きであったが、127.00から123.50までは円の独歩高となり、$安というより円高の動きであった。

 ユーロは2月に0.8563で底を打ち、堅調に推移してきた。特に4月の中旬に0.8850を上抜けしてからは、0.92台までほとんど押し目なしに上昇してきた。
 $円は3月の日本の投資家などによるリパトリエーションにより、一時126.50まで下落したがすぐに133円台まで戻してしまい、その後下落したが、ここにきてようやくユーロに追いついてきたという感じだ。

 今週は、米国がまたテロの標的になるとか、インドとパキスタンの情勢が緊迫するなど$を売って、ユーロ、スイスを買うという動きが水曜日ぐらいから顕著になった。
 円に関しては、$を売って円に逃避するというよりは、円高、株高を考えると、やはり日本に海外から資金が入ってきていると考えられる。

 123.50は、去年の115−125円のレンジを上抜けするときのレジスタンスになったところで、チャートポイントとなっている。2日にわたる数十億規模の介入により、このポイントをサポートすることが出来た。
 $は、対ヨーロッパ通貨でも強含んでおり、対円でも少し戻すのではないだろうか。 今のところ125.30−50近辺にはかなり売りの需要があり、ここを抜ければチャート上の200日移動平均線のある126.8090あたりがターゲットとなる。
 しかしこの$安円高の流れはまだ継続中である。
 $の反転はあくまで自立反転であり、129.50を抜けるまではコンスタントな$高とはならないだろう。
 私の円高のファーストターゲット123円、セカンドターゲット120.00円はまだ続行中である。

 塩川財務大臣が述べているように、今回の介入は$円を押し上げるための介入ではなく、速すぎる円高のスピードを調整するスムージングオペレーションの域を出ず、国際協調による$安阻止ももちろんないため、影響は限定されている。
 また120円を超える円高は真剣に阻止したいだろうが、株高が継続している限りでのこのレベルの円高は、財務省としても許容範囲なのではないだろうか。

 外国資本の流入により、通貨高、株高、経済の好調という好循環の中にある、お隣韓国の例があるように、今の日本にとって、少々の円高は株高を伴っている限りにおいてはウェルカムだろう。
(生涯)

 

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10
2002/05/20 今週の相場展望
炎のファンドマネージャー

 

 【先週の株式相場】

 海外株高を背景に先週の株式相場は堅調な展開となった。日経平均株価のゴールデンクロスが実現。ソニー、京セラなどの指数に影響しやすい値嵩ハイテク株だけでなく各セクターとも堅調に推移。
 週末の日経平均は11926円と一時11900円台に乗る場面があった。引け値も前週末に比べ316円高い11847円となった。週末の出来高も10億株台に乗せたのが目についた。日経平均の値上がり率が2.7%、TOPIXが2.1%となった一方で日経店頭平均は0.5%と低いが、これは先週の物色人気が電機ハイテク株などの主力銘柄に集中した結果と考えられる。
<日経平均週末株価11847円(+316円)、TOPIX同1108ポイント(+23ポイント)、日経店頭平均1214ポイント(+6ポイント)>

【主力電機株の株価推移】

●ソニー(6758)3月高値 7320円 週末終値 7260円 (週末高値7300円)
ジリ高歩調、今週は3月高値抜け期待
*本日のザラ場高値7340円で3月高値をクリア。但し、引けは7250円。

●ファナック(6954)3月高値 8070円 週末終値 7450円
押しの倍返し9680円
*本日の高値7540円、引けは7460円

●京セラ(6971)3月高値 10390円 週末終値 9660円
4月安値8300円からの出直り。今週は3月高値に挑戦するか?
*本日の高値9980円、引けは9950円

●村田(6981)3月高値 10000円 週末終値 8740円
高値から2000円幅の調整後出直り。目標は12000円か?
*本日の高値9910円、引けは8780円

●NEC(6701)3月高値 1207円 週末終値 992円
安値900円からの出直り局面。リストラ策発表。
*本日の高値1028円、引けは1019円

【チャート分析】

 5/1の日経平均の25日移動平均線と200日移動平均線のG・C(ゴールデンクロス)に続いて、5/13には100日移動平均線と200日移動平均線とがゴールデンクロスした。200日移動平均線が17日に約二年半振りに上向きに転じ、株価と移動平均線との関係は順の位置の強気のパターンを提示。一目均衡表も16日より株価>転換点>基準線>先行スパン(1)>先行スパン(2)といった順の位置の強気パターンが出現。

【今週の株式展望】

 外資系証券支店長からの強気発言や、大手証券のカウンターレディからの「個人投資家が週末になって動きが出て来た」との発言などを聞いていても3月高値から膠着状態を続けてきた日本の株式相場を強気に転換させる兆候かと思わせる。チャート分析の専門家によると前週のゴールデンクロス(上記参照)についてはまだ日経平均だけだとの指摘があるが、今週はTOPIXも実現すると想定される。週末の出来高は10億株を突破。好需給を背景に今週の日経平均は3月11日のザラバ高値である12034円を上抜ける局面があるとの見方をして良さそうだ。(本日の高値は11942円、引けは11856円)

 企業の3月期決算の発表がピークを迎えるが、通常通り概ね下期に期待を込めたものとなっている。欧米景気の先行きについては依然として不透明な意見が多い一方で、アジアの景気が堅調との話もあってハイテク銘柄には意外な業績回復もありうるとの期待が底流にはある。半導体関連や電子部品など日本が世界に誇れる電機セクターが物色対象となるだろう。

 但し、既に今期の業績の変化をかなり織り込んでいると考えられることから決算発表が相場全体に与える影響は限定されたものになるとの見方が一般的だろうが、決算の内容によっては市場の予想を上回る好業績企業に対する個別物色の色彩を強めることも想定。今週は好需給を背景に投資家心理のもう一段の好転を期待。相場の柱は不在ながら足元収益の好調な企業や、自社株買いを発表した企業への物色意欲は継続するものと思われる。主力ハイテク株の決算発表は一巡したが、業績を吟味しながらの押し目買いスタンスが相場を下支えするだろう。特にシンボルストックであるソニー株は3月高値抜けが目前となっており、その動向に注目したい。また、24日には大手銀行の決算発表が予定されており、整理回収機構(RCC)への売却を含めた今期の不良債権処理計画が注目されるだろう。

 4月からの学校の週休2日制への移行はアミューズメント施設の事業環境を明るくしたほか、塾などの教育関連企業の業績を明るくさせる要因となるなどセクターによっては消費もそろそろ底打ち傾向が感じられる。

 来週5月31日からはワールドカップサッカーが始まる。海外から多くの観客が訪れることになることから国内消費回復の契機となってくれることを前向きに評価したい(但し、終わった後はその反動も想定される)。

 IT関連ではブロードバンド化の流れが成長企業を輩出する構図も想定され、引き続きネットワーク関連が潜在的な成長余力を残しているだろう。

 先週週末17日の寄り前の外資系証券12社の売買注文が差引き2,580万株の買い越しの他、日通しでは5,700万株、売買代金でも640億円もの大幅買い越しとなり、外人投資家の強気姿勢が浮き彫りになっている。特に、ドイツ証券、モルガン・スタンレー証券、メリルリンチ証券等の外資系証券の買い越しに注目。ドイツ証券はG・W明けの7日すぎから968億円の買い越し。モルガンも16日だけで400億円を上回る買い越しを記録し、メリルは17日に大手都銀株の大量買いに走った。

 外資系証券の日本株買い比率の引き上げや持たざるリスクの意識高揚は注目に値しよう。ただ、日経平均が12000円を上回る水準では、利益確定売りや戻り待ちの売りに加えて、生損保、銀行などからの持ち合い解消売り圧力が強まることになろう。

 3月高値水準での売買代金(3/7〜3/11の3日間)が4兆4,182億円と高水準であっただけに12000円台に乗せてからの出来高及び売買代金の推移に留意。12000円台乗せからは上昇ピッチが速まるという意見と高値揉み合いに入るとの意見があるが、高水準の出来高、売買代金を維持出来ずに上値の重さが確認されるようなら、スピード調整気運が高まってしまうことになる。

 取り敢えず今週の株式相場は一旦の下振れがあったとしても2ヶ月ぶりの高値抜け実現期待から明るさを維持しよう。

 セクター別の動向を見ると日産自動車の高値追いに見られるように自動車セクターが既に堂々の高値抜けを演じたほか、その他製造、小売りなど、既に3月高値抜けから上昇トレンドを描いているセクターもあり、全体相場のリード役を演じているが、これらに加えて今週は電機、精密などのハイテクセクターや先週末に4月高値と並んだ造船セクターなどの動向に注目しておきたい。

 週末において為替が一気に1ドル=125円台へと円高に向かっていたことを勘案すれば、不動産、医薬品などの内需関連セクターにも関心が集まるだろう。全体的な水準訂正があるのならサービス業、商社などの出遅れセクター内の銘柄への待ち伏せ買いが奏効することも考えておきたい。

*本日は医薬品が安く、自動車が利益確定売りに安くなった一方で不動産、証券、その他金融、通信、小売、機械、造船などのセクターの上げが目についた。 なお、一部市場が活況を呈する間はJASDAQ銘柄は全般的に一服するだろう。ここでは出遅れ株中心、出来高重視の流れからはJ−Stock銘柄などが底堅く推移すると想定される。(日経店頭平均・・・本日の高値1225ポイント、引値も同値と想定以上に堅調な推移となった)

 

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9
2002/05/20 ソニーが最近公開したユニーク特許紹介
炎のファンドマネージャー

 

 最近の特許戦略の活発化は、様々な企業の申請特許を見れば理解ができる。ソニーでは以下の内容の特許を公開。読むとどうやら証券界にも関係しそう。複雑な内容なのか、簡単な内容かが判らないうちに、結構多方面に関係していることが判ればこれは・・・と思ってしまう。
 まあ、世界のソニーがこのような特許を出していることだけは皆さんの頭に入れておいて頂きたいと思います。

 なぜこのような特許を出しているのかを知りたい方は多いと思われます。特に証券界の皆さんは知りたいのでないでしょうか。まず本日は紹介まで。
 理由をご存じの方はお知らせ下さい。こちらでも判れば追ってご報告致したいと思います。知的所有権に関連した特許も面白いですね。これもまた追って…。
(情報提供:JPRA日本パテントリサーチアソシエイツ 代表幹事 大鐘)


● 特開2002−133115

1.アイデア投資装置およびこれを用いたアイデア運用装置ならびにそれらの方法

2.ソニー株式会社

3.アイデアに対する投資家を募り、アイデアの運用資金を調達するとともに、アイデアの運用に必要な書類の作成に関する処理を自動化するアイデア投資装置、アイデア運用装置ならびにそれらの方法を提供する。株公開部14においてアイデア株の情報が投資家2aに公開され、株販売部16において投資家2aから販売要求を受けた株が販売されて、アイデアの運用資金が得られる。また、アイデアの運用に必要な書類の作成費用の見積金額または完成費用が、書類作成管理部17によって書類作成者端末2cに所定間隔で問い合わせされ、当該問い合わせに対する回答金額と株の売り上げ総額との比較結果に応じて、書類作成費に充てる運用資金の不足が判断される。不足が判断された場合、書類作成費不足処理部18によって当該不足に対する処理が関係者に問い合わせされ、株の追加発行や書類の作成中止などの処理が行われる。


● 特開2002−133087

1.知的所有権資産運用システム、知的所有権申請装置、知的所有権資産利用推進装置、権利維持判定装置、権利阻止判定装置、権利侵害対応装置、リスク対策装置、知的所有権資産運用方法及び記録媒体

2.ソニー株式会社

3.知的所有権資産運用に関する適切な手続きを、誰でも、容易に、安価な費用で行うことを可能にする。知的所有権申請サーバ装置43において、収集された知的所有権資産価値情報をもとに、知的所有権資産の申請に関する事項を決定し、知的所有権資産利用推進サーバ装置45において、収集された知的所有権資産の利用希望者から、知的所有権資産の利用を許諾する利用許諾者を決定し、権利維持判定サーバ装置46において、収集された収支情報をもとに、知的所有権資産の権利維持を行うか否かを決定し、権利阻止判定サーバ装置47において、収集された根拠情報をもとに、他者の知的所有権に対する法的措置を決定し、権利侵害対応サーバ装置48において、収集された権利侵害情報をもとに、権利侵害情報に示される行為に対する法的措置を決定し、リスク対策サーバ装置49において、収集されたリスク対策情報から、実行するリスク対策を決定する。

(炎)

 

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8
2002/05/17 外貨投資の時期
生涯遊人

 

 ドル円が130.00円を割れてきて、そろそろ外貨への投資を考えられている方が多いと思うが、まだその時期ではないと思う。

 理由は3つあり、
1、米国の経済状況がまだ不透明である。
2、そのために、ドルの金利水準が魅力のあるものではない
3、$円がもう少し円高方向に進む可能性がある。
などが挙げられる。

 まず米国の経済状況だが、今週は米国の株価も上昇しているが、経済指標自体は、それほどよくない。小売売上高は、1.2%(4月)、企業在庫は−0.3%(3月)鉱工業生産は+0.4%(4月)と健闘しているが、雇用指数はあまりよくない。また4月の設備稼働率は75.5%と、前回の75.3%からは改善しているものの、FRBが景気過熱を押さえるため利上げをした頃の水準82%以上からは程遠い水準にある。
 このように米国経済は、未だにまだら模様であり、6月のFOMCでの利上げは見送られるであろう。

 米国がこのような状況であるために、米ドルの短期金利は極めて低い状況にある。米ドルの預金金利をみると、1年物で0.9−1.2%と、外貨に投資するにはあまりに魅力のない水準にある。
 ちなみに他の国の通貨の1年物の金利をみてみると、

オーストラリアドル
2.3−3.8%
ニュージーランドドル
3.3−4.8%
イギリスポンド
2.1−2.8%
ユーロドル
1.8−2.1%

となっている。

 金利水準では、オーストラリア、ニュージーランドドルなどが有利にみえるが、2−3%の金利では為替リスクをとって投資するには、あまりに低すぎる。やはり5−6%は欲しいところだろう。
 米国経済が回復し、FRBが利上げをしたあとに、金利水準が上がり、また$が安定してから投資を開始しても遅くはないと思う。
 株式投資の場合は、景気が悪く、株価も低いときに仕込むのが良いが、預金の場合は景気回復が確認され、金利が上がったあとに始めても遅くはない。

 3番目の為替の水準だが、先月までの円安傾向がここのところ円高気味に振れている。 130.00がすでに天井になってしまい、125円を窺うリスクも出てきた。しばらくは126−130.00のレンジをこなしながら、いずれは125.00割れを試すような円高に向かうだろう。
 ミニマム123円台、マックス120.00ぐらいの円高もあるだろうと個人的には考えている。

 このような理由から、外貨投資の時期としては、米国景気の回復による金利の上昇か、少なくとも為替の125円割れまで待つほうがよいだろうと思われる。(生涯)

 

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7
2002/05/17 足元のビール・発泡酒市場
小野小町

 

 はじめまして小町です。主に食品や小売業を担当しておりますひよっこアナリストです。

 頭に殻がついてる未熟者(カリメロ?)ではございますが、どうぞ宜しくお願い致します。基本的に固い文章を書くのは苦手(というか書けない)ですので気軽に読んで頂ければ幸いです。

 さてもうすぐ夏到来ということで、私の方からは足元のビール・発泡酒市場について取り上げたいと思います(個人的には一年中飲んでいますが)。

 足元の市場動向を見ますと、1〜4月累計のビールの課税移出数量は前年同期比11.1%減、発泡酒は同24.3%増と相変わらず2けたの伸びを続けています。
 4月単月ではビールは前年同月比6.4%減ですが、減少幅は今年に入り最小となっています。発泡酒は2〜3月の10円引きキャンペーンの反動があったものの各社の新製品投入で16.1%増と2けた成長をキープしました。4月は新製品を出したキリン、サントリーは前年同月を上回ったものの、アサヒ、サッポロはやや苦戦しているようです。

 しかしこの発泡酒、家庭でのビールの地位をすっかり奪ってしまったようです。子供が父親に瓶のビールをお酌してあげるなんて光景は今や過去のものとなってしまったのでしょうか(昭和何年代の話だ?)。家で飲むのは発泡酒、外食やギフトはビールというスタイルはすっかり定着していますね。でも私の上司には未だに家でも頑なにビール(しかもキリン)という方もいらっしゃいますけど(リッチだな〜←貧乏?)。

 話はそれましたが、各社ともビールは既存ブランドを強化する一方、発泡酒は新製品開発に力を入れています。特に今年は数が多くて飲みきれ…いや覚えきれません。

 主な発泡酒の新製品(季節商品除く)をリストアップすると、

1月23日
ファインラガー(サッポロ)
2月13日
マグナムドライ爽快仕込(サントリー)
2月27日
極生(キリン)
4月 9日
炭濾過・純生(サントリー)
4月10日
淡麗・グリーンラベル(キリン)
5月15日
きりっと新・辛口<生>(サッポロ)
6月19日
樽生仕立(サッポロ)

 間違いや抜けているのがあったらすみません。

 ちなみにアサヒは去年初めて投入した「本生」一本に絞って、新製品は出していません。5月から味とパッケージをリニューアルするとのことです。

 キリンは「極生」や「グリーンラベル」が共に好調。特に「極生」は広告販促費を抑え常に10円安い135円(350ml)で提供していることもあってコンビニでのスペース確保も進んでいるようです(でも従来型の「淡麗」が消えている気がしなくもないですが)。

 サッポロは4月にリニューアルした「北海道・生搾り」は前年を上回ったものの「ファインラガー」はまだ定着していないようです(1月に飲んだっきり、私自身どんな味だったか忘れてしまいました)。

 サントリーに関しては詳細はわかりませんが、「炭濾過」は私の周囲ではなかなかよい評判を得ております(苦みが少なく飲みやすいらしいです)。CMには藤木直人と小雪という旬のタレントを起用しています。

 じゃあ今期のレースの結末は?と問われますと、正直読めません。各社共年初に販売計画を発表していますが、発泡酒は軒並み2けた増と異様に強気です(本当に達成できるのかなあ…)。各社レポートも出ていますが、個人的にはアナリストの好みが出やすい分野と思いますので、参考に留めておいた方がよいかもしれません(常にアサヒだけ押しているアナリストの方もいらっしゃいますから)。

 投資判断をする際には、ビール以外の事業についても注意が必要です。酒類メーカーは各社、総合飲料メーカーを目指すべく多角化を急いでおり、今年に入りキリンが永昌源の、アサヒが協和発酵や旭化成から事業を買収するなど、業界再編が加速しています。また各社が力を入れている缶チューハイも、ここ4年で市場が3倍になるなど、成長分野として期待されます(氷結果汁のオレンジは大好き!←聞いてない)。またキリンビバレッジ、アサヒ飲料など飲料子会社の動向もチェックした方が宜しいでしょう。

 また重要なポイントとして発泡酒増税が挙げられます。現在発泡酒の酒税はビールの約半分ですが、この格差をなくそうという動きが出ています。税率にもよりますが、仮に増税されれば消費者には発泡酒を買うメリットがなくなり、発泡酒とビールの境界線自体が消滅する可能性もあります。

 ところで財務諸表や販売動向を分析するのもよいですが、単純に御自分の好きな銘柄に投資するのも一興と思います。それこそビールを飲みながら判断された方が意外と当たるかもしれません(飲酒しながらの投資は禁止?)。

 というわけで日々欠かさず飲み…いや研究に励んでいる私です(肝心の投資判断は?)。(小町)

 

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2002/05/17 光ファイバー用ガラスの量産
海野六郎

 

 MCVD法でも、初期のVAD法でも、光ファイバー用のガラス母材の最外部分には、溶融石英ガラス管が使われていました。これが曲者で、溶融法で作られたガラス故、気相法で作られた石英ガラスよりも桁外れに不純物を含んでいるものでした。ガラス中の不純物は、光ファイバーの命でもある低損失(光強度の減衰が小さい)という性質に悪影響を与えます。

 ということで、石英ガラス管を使わずにクラッド部分も気相法で作ってしまおうということがなされました。 MCVD法は、ガラス管の内側にガラスを堆積させるため、どうしてもガラス管を使わなくてはならないから、全合成はできません。全合成ができるのはVAD法だけです。

 もう一つ、光ファイバー心線の需要増が見込まれたため、買い手側(当時はNTTだけ)から安価な光ファイバーが求められました。安く作るためには、生産の3要素(土地・労働・資本)の3つのいずれの生産効率をあげることしかありませんでした。

1)土地生産性の向上
 工業製品で土地生産性といっても何かピンとこない話ですが、限られた面積でいかに生産設備を並べるか_と考えてください。

2)労働生産性の向上
 作業員を減らすことと、作業の数を減らすことです。長さ1mの母材2本よりも長さ2mの母材1本の方が、作業工数は単純計算で半分です。

3)資本生産性の向上
 あまりにおかしな言い方なので言い換えます。材料の仕入れを安くすることです。買ってくる石英ガラス管はそれはそれは高いものでした。その分を安くするために、気相法で石英ガラス管の部分のガラスを作ってしまうことです。

 こうしてできたのが、光ファイバー用ガラス製造のための巨大設備です。当社のガラス母材は、胡瓜か大きくても大根の大きさでした。巨大設備で作られた母材は、まるで爆弾の大きさです。

 さて、ただ設備を大きくしてもうまく行くものではありません。ものには限界もあれば、適正規模もあります。一度に大きなガラス母材が作られる訳ではなく、そこには何段階もの工程があります。 

 VAD方によるコアとその周囲のガラスの製造

   
VAD方によるコアとその周囲のガラスの製造
   
   
脱水と透明化のための加熱
   
   
ガラス母材の切断
   
 
ガラスロッドを加熱し延ばし切断
 
 
そのガラスロッドに、気相法により
ガラス微粒分を堆積させる
 
 
再度、脱水と透明化のための加熱
 
 
ガラス母材の切断

 こうして、手間はかかりますが、ガラス母材の全合成方法が確立しました。

(次回予告) 電線会社がガラスを作る理由
(海野)

 

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2002/05/17 トヨタ
両津勘吉

 

 トヨタの経営は素晴らしい。経営者の危機意識は自動車メーカーでナンバーワン。その危機意識を縦割り組織の中で従業員に浸透させ、確実にシェアアップを図った。

 そんなトヨタは毎年自社株買いを実施、今年度は6000億円という、他の企業にとっては目も眩む金額で、発行済み株式数の約5%に当る。つまり金融機関からこれだけの株券が売りに出される訳で、投資家に対する前向きな姿勢と判断…と、一般的に伝えられているのですが、本当に投資家のためなのでしょうか?

 金融機関から大量の売りが継続し、来年も再来年も続くことが予想され、私にアドバイスをくださる某機関投資家(部長)によれば腐るほど出るらしい。その全額とまでいわないが、いちいちトヨタ自らが買い取っていたら一体いくらの金が必要なのか?
 株式を売りたいのなら市場で売却すれば良いし、潜在株の浮動化で高いバリュエーションも是正され、個人投資家はより投資し易くなるんじゃないかな。

 もし株式を消却すれば1株当り5%程度のEPSアップになるが、そんな程度のために大切なキャッシュを6000億円も使うのは非常に勿体無いと考えてしまう。過去の金額累計は忘れたが、たぶん今回の金額を合計すれば1兆円を突破し、この資金を使って失敗している多角化(事業)の改革やM&A、また目指しているベンツ並みのブランド構築のために、新たに別会社組織による高級車ブランドという手もあるであろう。

 年産10万台ラインの工場作ってもたかが1000億円、人やシステムもあるから後は販売構築。1兆円あれば充分すぎる。

 しかしトヨタは株価の低下を嫌がっているようで、子会社が年金債務のためにトヨタ株を拠出していることも一つの要因であろう。しかしながら今回の自社株買いも所詮、銀行のためと考えてしまう。兆単位に上る国民の血税を受けても一向に経営改善せず、未だ高い給料を払いつづける銀行に、トヨタは民間企業として今回は6000億円も支払うのか。

 トヨタ株主は、莫大な金を使って銀行の持ち株を買い取ることを歓迎しているのか?
 株価があまり反応しないところをみると違うのかな?
 読者の方々、意見をお待ちしております。

 昨日は信越化学、本日は住友化学とケミカルカンパニーの説明会が相次いでおります。ナフサから始まって誘導品がズラリ、MMAモノマー、カプロラクタムなど、記憶力乏しい私にとっては超難題。無機化学は物理に近いためあまり抵抗ありませんが、有機化学はチンプンカンプンもいいところ。
 住友化学社長が、プロピレンオキサイトがどうのこうのと言っていたが、私にとっては宇宙語に聞こえる。一体いつになったら日本語に聞こえてくるのであろうか? 化学セクターを担当するセルサイドアナリストは偉いよなあー。

 大和総研の斎藤さんは、東京理科大学卒業ということもあって、化学記号を使って説明しちまうし、他の方もケミカルの知識を持っていることであろう。

 億近執筆人は全員化学はダメ。産業調査部として化学知識の大幅なレベルアップが急務であるな。(両津)

 

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4
2002/05/13 炎より企業IR担当者へお願い
炎のファンドマネージャー

 

 4月から始まったわが母校での証券アナリスト講座も既に3回が過ぎ、受講生の皆さんもようやく慣れてきた段階かも知れない。これまで行ってきた講義は通信テキストがなく、私からの一方的な話になってしまった感があるが、これからは少しずつ受講生の皆さん自身で考えて頂く形式を取っていきたいと考えている。

 第2回と第3回では産業分析と企業ファンダメンタルズ分析というテーマでとりあえずは基本的なところをお話してきたが、次回25日からはより実践的な取り組みを行って受講生の脳裏に強く焼きつくような講義にしたいと考えている。

 現在、多くの3月期決算企業で決算発表が相次いでいるが、受講生の皆さんには、この決算短信を用いて実際に企業レポートを作ってもらうという試みにチャレンジしてもらう考えである。これまで学習してきた分析手法を用いてレポートを作って見るのは受講生の皆さんにとって初めてではあろうが、きっと良い経験になるに違いない。こうした定量分析の後に定性分析を行うために実際に企業訪問を行って企業経営者やIR担当者の生の声を聞くことが私の活動の大きな狙いである。

 究極的にはアナリスト試験に合格してもらうことが目標ではありますが、それだけではなく、経済や企業、株式市場の仕組みを肌で感じてもらうことがあれば受講生にとってこの上ない経験になるに違いない。就職が決まっている方もまだこれからの方も、証券アナリスト活動の一端を垣間見ることができれば幸いである。

 受講生にはどのような企業に興味があるかを問い掛けてみたが、結果として阪神(9043)、ファーストリテイリング(9983)、アルゼ(6425)、古河電工(5801)、ローム(6963)の5社に声がかかった。これに私はライバル企業として阪急(9042)、良品計画(7453)、サミー(6426)、住友電工(5802)、京セラ(6971)に加えて、自動車セクターからトヨタ(7203)、日産自(7201)、ホンダ(7267)に取り組んでもらうこととしたい。

 また食品セクターからなとり(2922)にもお願いして決算短信を送ってもらうことにしたが、同様に上記の各企業のIR担当者の方々にも最新の決算短信を1社3部で構いません。直接大学までお送り願えればと思っております。最近は多くの企業がネットからダウンロードできる状況になっていますが、連結決算短信では1社30ページ以上に及ぶことはザラです。

 もう少しコンパクトになれば良いのですが、コピーするだけでも大変な労力がかかりますので、皆様の暖かいご協力、ご支援をお願い致します。直接電話等でお願いすることもあると思いますが、担当各社の窓口の方宜しくご対応下さい。

 なお、上記以外でもぜひこの際に宣伝をかねてアピールしたい企業の方々はお送り願えれば幸いです。今後、講義はポートフォリオ理論にまで話が及びますが、一旦取り上げられた企業は企業ファンダメンタルズ分析だけではなく継続的にポートフォリオのところで取り上げられる予定です。(炎)

【炎よりお知らせ】

 来る5月29日(水)18:30より、日興ビーンズ証券、ゴールドマンサックス証券共催の投資セミナーで炎のファンドマネージャーが講演を行います。参加費用は無料です。
ご興味がある方は以下URLをご参照の上、奮ってお申し込み下さい。http://www.nikkobeans.co.jp/AboutUs/A0003598/guest/G800/anb/anb02048.htm

 

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2002/05/13 今週の相場展望
炎のファンドマネージャー

 

*本コラムは日興ビーンズ証券向けの5月13日付け炎のバリューレポート、及びアイリス有料コンテンツ5月13日号に掲載されたものを参考に制作しております。**の箇所以外は日曜日に作成しております。

【全体相場は今週も小動きか】

 先週は連休明け後の相場ということで注目されたが、一時上値を追いかけたものの、結局は米国株安などから調整含みの展開を余儀なくされた。米国景気の先行きに不安感が残っている間は輸出関連のハイテク株などの上値は抑えられてしまう。

 前週末の日経平均は11531円で終え、前々週と比べ20円のマイナスとほとんど動きがなく、その中で個別に動く銘柄が見られたのが特徴。

 セクター別に眺めるとエーザイ(4523)、大正薬(4535)などの薬品株がしっかりとなったほか、東電(9501)、東ガス(9531)などの電力・ガス、三井不動産(8801)などの不動産株といった内需関連株が堅調であった。東邦テナックス(3403)、東海カーボン(5301)、トキコ(7232)、三井造(7003)などの中低位材料株が個別に買われたほか、輸出関連の自動車、ハイテク株では好決算を発表した日本電産(6594)や日産自動車(7201)がしっかり。流通では引き続きイオン(8267)、大丸(8234)が買われたほかシートゥーネットワーク(7588)、ドンキホーテ(7532)の上昇が目についた。

 決算発表がラッシュとなる中、企業業績を見極めようとする動きが続く中、今週も全体相場は小動きとなりそうだ。円高の流れは一服しているが、米国景気の動向が不透明で輸出関連企業には手が出しづらいため、インデックスの上昇余地は限定的。

 ここに来て著名ハイテクアナリストが輸出関連ハイテク企業にネガティブな見方を表明している点が前週末に伝えられた点も心理的には嫌気されるだろう。また、その他の有力外資系証券などもインデックスの上値は限定的とコメントしている点も相場の頭を抑えてしまうだろう。

 一方において銀行・生保などの持ち合い解消売りが継続する中で外国人や個人が下値を支えている構図も見られ上にも下にもいきづらいということが現在の相場の特徴である。

**週明けの本日はNY株安を背景に続落の動きとなってきました。NY株の先行き不安からハイテク株を中心に上値が重くなってきましたので、一旦は11000円前後を試す場面があるのかどうかという状況です。

【好業績銘柄、個別材料株物色、出遅れ株物色が続く】

 このため前週と同様、今週も個別株物色が主流とならざるを得ない。決算発表後にアナリスト諸氏が選定した中長期成長銘柄や当面の好業績が見込まれる銘柄、個別に材料を内包している銘柄など買い安心感のある出遅れ株などに物色人気が集中する展開が続こう。

 一方で、不良債権処理の進行を証明する動きとして市場から退出していく非効率な企業が知らない内に出ていることについてはむしろ評価すべきだろう。ここに来て、宝幸水、日重化、第一家電などが倒産となったのに続き前週末に住倉工が突然の破産宣告を発表。財務内容から見て危ない企業への投資は手控えられることになろう。このため、景気動向を更に見極めるまでは二極化の動きが想定される。

【需給の良いJASDAQ銘柄も人気化の公算】

 1部銘柄の動きが重いとなると需給の良いJASDAQ銘柄などに人気が集まることも想定される。日経店頭平均はジリ高歩調を辿っており、資金が着実に集まってきている感が強い。先週はEMシステムズ(4820)、日本医療事務センター(9652)などのヘルスケア関連企業、カワチ薬品(2664)藤久(9966)などの好業績流通株が堅調に推移。イオンファンタジー(4343)、アトラス(7866)などのアミューズメント関連株の一角が人気を集めた。商いの中心はJ−Stock株であるが、出遅れ好業績成長株を探す動きもあちらこちらで見出せる。最近の動きでは日本トリム(6788)などはその典型だろう。また、FCC(7296)など本田関連の低PER銘柄にも物色人気が集まっていた。

 最も注目されるのは最近上場した銘柄群の動きである。自動車関連のテイン(721)、クリーニング事業のきょくとう(2300)など上場時に人気の無かった銘柄にすら見直し人気が見られるようになった。

 ナスダックジャパン銘柄でも三光ソフラン(1729)、日本ロングライフ(4355)などシルバー事業に注力する直近上場銘柄に物色人気が高まったのが目についた。

 こうした流れは今週も継続が予想される。最近上場した好需給銘柄の中で調整していたような割安出遅れ銘柄や好業績見通し発表銘柄が注目されるだろう。東証2部に先般上場したJALUX(2729・東証2部)は今期の連結EPSを66.1円と発表。これに対して先週末の株価は530円。早耳筋の動きからかやや前週末に既に動きが見られたが、PER面での割安感から見直し買いが入る公算もあろう。この他先週末には半導体関連のコマツ電子(5977・東証2部)、鳥羽洋行(7472・JASDAQ)が今期業績見通しのV字型回復を公表。こうしたPER面からの割安感を持った銘柄が目先筋の買い人気を集めることになりそうだ。(炎&スパシーバ)

 

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2
2002/05/10 円が売られる理由
生涯遊人

 

 昨日のテレビで、まるで映画のワンシーンのような光景が映し出された。ご覧になった方も多いと思うが、中国の日本領事館に逃げ込んできた亡命者と思われる北朝鮮系の住民が、領事館内で中国人警官に拉致された事件だ。
 ベルリンの壁があった10年以上前は、ヨーロッパでも東側から西側への亡命が多く、このようなことは多くあったのかもしれないが、いまや東側から西側への亡命というと、朝鮮半島だけになってしまった。

 これらの亡命者のサポートには、NGO組織がついていて、報道機関などに予告があったともいわれているが、世界中に映像が配信されたことによって当事者達は、事件を闇に葬ることはできなくなったわけだ。

 亡命者の素性ははっきりしないが、もし彼らが北朝鮮に引き渡されて処刑されれば、中国、北朝鮮は当然非難されるだろうが、目の前で傍観した日本も非難されるであろう。
 映像には、側で傍観している領事館職員らしき男性3人が映っていたが、そもそも領事館・大使館というのは当該国の領土に等しく、中国の権力の及ばない治外法権のはずで、ここに許可なく進入するのは、大変な外交問題といえる。

 それに対して、何も出来ない領事館官員、命懸けで亡命を求める難民を傍観する職員というのは、2重の意味で恥さらしであり、しかも世界中にその恥がさらされたわけだ。
 米国大使館にも亡命者がいたらしいが、米国大使館にはこのような無法は働けないだろうし、大使館職員はこのような場面では、抗議したことだろう。

 通貨の強さは国力の比較で決まるのだが、その多くの部分は経済的、政治的なファンダメンタルズに負うところが多い。政治的に落ち着いていれば、経済的なことでほとんど語られるのだが、それだけではない政治力、外交力、軍事力というのも、国力ひいては通貨の力を示す指標となる。経済力が同等なら、政治力、軍事力などが比較の対象になる。
 たとえ経済がスローダウンしても、世界一の政治力と軍事力をもち、基軸通貨であるドルは、それなりのプレミアムがついている。少なくとも、まっとうな亡命者を見殺しにするような国は、どんなに経済力があっても尊敬されないし、通貨にプレミアムがつくこともないのである。

 私がもし外国で戦争などに遭ったら、日本の大使館に逃げ込んでよいのだろうか、あてになるだろうかと思ってしまう。
 そのようなときには、1)米国大使館、2)日本の商社(世界中どこにでもあり、情報網もしっかりしている)に助けを求めようと、真剣に考えてしまいました。(生涯遊人)

 

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1
2002/05/07 炎の証券アナリスト講座講義録
炎のファンドマネージャー

 

 春爛漫の京都にて先日、私は自らの時間を省みず多くの若い学生諸君に証券アナリスト講座の講師を勤めさせて頂きました。
 前回4月27日は2回目の講義であったが、より実践的な内容にしたいとの気持ちから具体的な企業を事例にして産業分析、財務諸表の見方等を講義させて頂いた。

 具体的な企業というのは、皆様すでにおなじみの中古車衛星TVオークションのオークネット(9669・株価1196円)であります。
 私は受講生の皆さんに財務の見方を実践してもらいたいと、同社から送られてきた事業報告書を題材にその見方を披露しておきました。 学生さんたちにとって財務諸表の見方は慣れるまではとっつきにくいものかも知れませんが、非常に熱心に聞いて頂いた感がする。今後もこうした講義の進め方をしたいと考えている。

 つまりアナリストの分析手法として、既に公表された財務データをベースにした定量分析と、事業の将来性等を考慮した定性分析が求められるのだが、基本的な定量分析を受講生にはまずは学習してもらいながら、少しずつ定性分析という真髄にまで入っていくことにしたいと考えている。
 本日は、既にアイリス・ジャパンの有料メルマガ購読者にも配信しておりますが、オークネットの財務内容を定量的に分析しておきたいと思いますのでご参照下さい。

【なお、次回は5月11日。これをご覧の学生諸君は企業分析の続きを行いますので楽しみに願います。次回はより実践的に現在実施されています企業決算の発表を踏まえた講義にしたいと考えております。基礎的な用語などはきちんと理解しておいて下さい。模擬試験はしないつもりですが、もしかしたら講義の途中で計算してもらうことになるかも知れませんので覚悟下さい。】

 なお、本講義が終わった5月1日にオークネットの役員の方にお目にかかってこのお話をさせて頂いたところ大変喜んで頂いた。受講生を交えた東京での企業説明会も実施できそうである。実践的な証券アナリスト講座として過去に例のない授業にしていければ幸いである。


【参考】
●オークネット(9669)

 最近紹介した産直銘柄であるが、その後の下落傾向が続き、読者からの問合わせもあったので再度チェックしておいた。
時価 1196円 時価総額142億円 配当金25円 配当利回り 2.1%
予想連結EPS88円 同PER13.6倍 有利子負債ゼロ 株主資本比率85%

 衛星を活用したテレビオートオークション(AA)をはじめ、衛星やIT活用のオークションシステムで先駆する同社は、主力事業である中古車AAの構造変化に対応し、提携AA会社と現車ライブAAによるネットワークを積極的に構築。トヨタやホンダ、日産などメーカー系の中古車流通市場参入もビジネスチャンスと見て、積極的な提携を図り事業拡大を図ろうとしている。

 既に同社の車両検査は延べ300万台の検査実績から信頼性を得て業界のスタンダードとなっており、これが同社の強みとなって各自動車メーカーとの提携拡大に結びついている。
 今期はデジタル新端末へ移行。独自システムの完成度は圧倒的に高く、6500会員の満足度向上に繋がっている。中古車オークション業界ではUSS系が昨年181万台を取り扱っているが、同社ではメーカー系も含めて140万台の取り扱い台数となる。

 今期の予想連結EPSは88円。2004年には200円を目指している。
 同社株は決算発表後に960円から1550円まで上昇したが、その後は調整。以下の通り同社の財務内容は申し分なく、仮に当面の利益の成長性が鈍化したとしても1200円台の時価は同社の知的財産権などを勘案すれば、投資タイミングとして不安は小さい水準と考えられる。
 なお、同社は自己株式について200万株、25億円を上限に取得が承認されている。

【企業健康診断】
 ランクA=大変素晴らしい
 ランクB=素晴らしい
 ランクC=普通
 ランクD=注意
 ランクE=ひどい

1)自己資本比率 85.6%・・・ランクA
2)流動比率 493%・・・ランクA
3)当座比率 440%・・・ランクA(オークション貸し勘定を当座資産に含めて計算)
4)固定比率 40.5%・・・ランクA
5)売上高伸び率 7%(2年平均)・・・ランクC
6)売上高売上総利益率 41.5%・・・ランクA (トヨタは17%)
7)売上高営業利益率 14.2%・・・ランクA
8)売上高経常利益率 15%・・・ランクA
9)売上高販管費比率 27.3%・・・ランクD(本社引越し費用、広告宣伝費の増加あり)
10)使用総資本回転率 0.9回・・・ランクC(もっと高めるべき)
11)固定資産回転率 2.6回・・・ランクC(流通業としてなら5回転以上はほしい)
12)棚卸資産回転率 9.06回・・・ランクD(流通業で10回以下は一寸注意。但し前期はイレギュラー。 基本的に在庫はない)
13)売上債権回転日数 12.9日・・・ランクA(素早い回収期間が特徴で極めて健全)
14)使用総資本経常利益率 13.2%・・・ランクA(日本企業の平均は3〜5%)

 以上から総合的に判断して、同社は売上高の伸びこそ鈍っているが、極めて健全な体質を備えている。前期に投下した販売管理費の効果が売上に好影響することが今期以降のポイントになろう。(炎)

【炎よりお知らせ】

 さて、私、炎のファンドマネジャーではこの度、日興ビーンズ証券を通じても一般投資家向けの有料コンテンツを提供することになりました。既に炎のファンドマネジャーではこれまで、この億の近道を通じて多くの皆様からのご支援を頂戴してアナリスト活動に従事して参りましたが、今回の日興ビーンズ証券との連携によって約9万人の口座開設者の方々とも有料コンテンツを通じて交流が持てることになりました。読者の方で日興ビーンズ証券に口座をお持ちの方はぜひその内容をご確認下さい。もちろん、オンライン証券に口座開設をご検討中の方もどうぞ。

 

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