No.
日付
タイトル
執筆者
22
2002/09/30
これからどうなるのか!?
 時価総額6億円以下のJASDAQ上場の穴株的企業
炎のファンドマネージャー
21
2002/09/30
割安株を探せ!
炎のファンドマネージャー
20
2002/09/30
今週の株式相場展望
炎のファンドマネージャー
19
2002/09/27
役所の資格商売
生涯遊人
18
2002/09/27
閑中忙あり その2
駄洒落商会会長
17
2002/09/24
ショートコメント
海パン刑事
16
2002/09/20
Z復活
両津勘吉
15
2002/09/20
チャネルの多様化進むアパレル業界
小野小町
14
2002/09/20
ニッコウトラベル
海パン刑事
13
2002/09/17
ダイヤモンド・ザイ 「株」データブック 秋号 アナリスト・コメントの背景にあるもの
大原部長
12
2002/09/14
米国の政治姿勢
生涯遊人
11
2002/09/13
閑中忙あり
駄洒落商会会長
10
2002/09/10
大地震に備えた株式投資
海パン刑事
9
2002/09/09
日本経済再生への道(その1)
炎のファンドマネージャー
8
2002/09/09
今週の株式相場展望
炎のファンドマネージャー
7
2002/09/06
為替相場動向
生涯遊人
6
2002/09/06
パンジシールの獅子
小野小町
5
2002/09/06
防災関連銘柄
海パン刑事
4
2002/09/06
企業分析:日東電工(6988)
大原部長
3
2002/09/02
見捨てられたナスダックジャパン銘柄を育成しよう!!
炎のファンドマネージャー
2
2002/08/02
ラ・パルレ(4375)に対する見方
炎のファンドマネージャー
1
2002/09/02
9月の株式相場展望
炎のファンドマネージャー

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22
2002/09/30 これからどうなるのか!?
 時価総額6億円以下のJASDAQ上場の穴株的企業
炎のファンドマネージャー

 

 東証では上場廃止基準を厳格化することを明らかにしたが、JASDAQ市場においても同様に上場廃止基準が明確となり、そうした基準を満たさない銘柄はこれから一体どうなるのでしょう?
 本日は穴株的要素の強いこれらの銘柄をお持ちの皆さんや、これから穴株投資したい方にご紹介しておきますのでご参照下さい。

 先日、南野建設(1783・ジャスダック)が上場基準を満たすための1350万株(一株33円)の第三者割り当て増資を発表したことで株価がストップ高を演じたが、これによって、これに類する銘柄が今後穴株的に注目される可能性が出てきた。
 これらの銘柄は決してまともな銘柄ではないし、むしろ一歩間違うと上場廃止基準に抵触するためリスクはあるだろうが、今回の南野建設のような事例から物色の対象になりうることも考えられる。
 とにかく時価総額5億円以下が一定期間続くと上場廃止の憂き目にあるのだから、今後まともな経営を行っている企業ならば南野建設のように何らかの対応が必要になるし、水面下では対応策が練られているに違いない。
 これらの企業の経営者が今新たな心意気で新規にIPOしているとの感覚で投資家にアピールすれば蘇ることになるのだが…。
 参考までに時価総額6億円以下のJASDAQ企業を取り上げておきたい。

銘柄(コード)
株価
(円)
時価総額
(億円)
太陽毛絲紡績(3211)
50
信貴造船(7052)
105
山洋工業(8109)
58
ニッソー(7881)
31
横浜鋼業(7410)
61
フドウ建研(1910)
28
暁飯島工業(1997)
71
ユニオンペイント(4622)
96
国際電設(1953)
115
郡是高分子(4227)
95
プラコー(6347)
56
協和コンサルタンツ(9647)
75
バックスグループ(4306)
15.5万
ダイトーエムイー(9923)
190
エスケーアイ(9446)
11.5万

 

 以上の中から、特に選定した注目銘柄はユニオンペイント(4622)、国際電設(1953)、郡是高分子(4227)である。

●ユニオンペイント(4622) 時価105円 PER5.5倍 配当利回り2.4% 有利子負債3.5億円

●国際電設(1953) 時価117円 PER4.6倍 配当利回り5.1% 有利子負債4.2億円

●郡是高分子(4227) 時価100円 PER3.4倍 配当利回り 0% 有利子負債12億円

 皆さんはこれらの穴的要素の強い株からどれを選定されますか?少なくとも上場を維持するためには時価総額が5億円以上ないといけないので、これらの銘柄では株価の上昇か何らかのファイナンスが必要となるでしょうが、こうしたことは水面下で行われていますので一般には判らないので突然の発表というようなことにもなるのです。
 でも突然の倒産、上場廃止という事態も想定しなくてはなりませんのでご注意下さい。(炎)

 

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21
2002/09/30 割安株を探せ!
炎のファンドマネージャー

 

 【類似企業比較から見出す割安銘柄】

 このところ内需株が堅調です。参考になるかどうか判りませんが、8月28日に配信しました弊社の特別レポートをアレンジしてお送りします。ご参照下さい。
 なお、このレポートは、多くの類似企業を比較して割安か否かを判断するためのものです。今回は、東建コーポなど土地有効活用事業に絡んだ銘柄を比べてみました。ご参照下さい。

<マンション・アパート建設、不動産仲介関連銘柄編>

比較対象会社(コード)   株価 時価総額/今期予想経常利益/倍率/PER/現金残

●三光ソフラン(1729)
 時価 1750円 118億円/5.5億円/21.5倍/39.7倍/626百万円 ※一貫上昇

●東建コーポ(1766)
 1400円 89億円/38.9億円/2.3倍/4.7倍/17191百万円 ※底練りから反転の動き

●スルガコーポ(1880)
 1749円 152億円/26.7億円/5.7倍/10.6倍/18619百万円 ※大幅調整後の反転期待

●大東建託(1878)
 2705円 3682億円/427億円/8.6倍/15.1倍/118929百万円 ※ジリ高歩調

●高松建設(1762)
 1280円 249億円/87億円/2.9倍/3.9倍/11467百万円 ※M&A発表後ジリ高

●積和不動産(8846)
 532円 104億円/35.2億円/3.0倍/9.5倍/14750百万円 ※ジリ高だが重い

●エイブル(8872)
 2700円 366億円/42億円/8.7倍/16.5倍/17047百万円 ※ボックス圏の往来

●レオパレス21(8848)
 824円 1016億円/350億円/2.9倍/5.3倍/39901百万円 ※長期上昇トレンド中の調整場面

●スターツ(8850)
 561円 83億円/45億円/1.8倍/6.1倍/7518百万円 ※下降トレンド

●幸洋コーポ(8866)
 320円 23億円/3.5億円/6.6倍/11.3倍/712百万円 ※低迷基調からやや持ち直し気味

●センチュリー21(8898)
 4310円 17億円/4.35億円/3.9倍/8.5倍/1204百万円 ※ジリ高歩調

(炎)

 

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20
2002/09/30 株式相場展望
炎のファンドマネージャー

 

 【先週の相場を振り返って】

 3連休明け後の先週の日経平均株価は、NYダウの2番底形成場面を迎えたことと、政府の具体策が出てこないことへの失望売りが重なり、一旦は9100円ぎりぎりまで下落したが、NYダウが反発したことに加えて不良債権処理の加速などの政策期待から、週末にかけ反発の動きを示した。
 結局日経平均のレンジは9月25日の安値9106円と27日の高値9572円となり、先週想定したレンジから200円ほど下振れする結果となった。
 政府部内でも対応策が異なっているのか、各担当大臣の発言によって株価が上下するといっためまぐるしい展開が週末にかけ見られたのも特徴で、今週月曜日で9月末を迎えるための必死のリップサービスが見られたことがかろうじて9500円を回復した内実なのかも知れない。
 市場では週末の株価上昇について公的資金の買いと見ており、官民挙げての中間期末の買い支えが行われていると見るのが一般的ではなかろうか。

 セクター別に見るとジリ高歩調を辿ったのは水産、鉱業、建設、食品、紙パルプ、石油、不動産、鉄道、バス、陸運、倉庫、通信などで内需関連中心の物色が続いたことがわかる。また政策期待から銀行・証券・保険などの金融株がしっかりの動きとなったのが目についた。
 一方で、自動車、電機、精密、機械、ゴム、化学といった輸出ハイテク関連株、国際優良株については週末にかけ多少は戻りを入れてきたが、9月19日のピークを抜けずに推移し、冴えない展開を続けていた。

【各主要セクターの動き】

・銀行
 9月4日の989ポイントをボトムに上昇トレンドを継続。27日には高値1186ポイントまでつけた。ボックス圏で推移する今回の相場のリード役となっている。
 989ポイント → 1186ポイント +19.9% 週末終値 1178ポイント(前週比 +46ポイント)
・不動産
 9月4日のボトムからの動きでは銀行株より強い動きを見せた。
 533ポイント → 668ポイント +25.3% 週末終値 667ポイント
・証券
 9月4日のボトムから一旦19日に高値をつけた後、調整してきたが、週末はその高値に接近。
 1930ポイント → 2351ポイント +21.8% 週末終値 2318ポイント +20.1%
・自動車
 9月4日のボトムから9月19日のピークまで17%上昇して調整局面入り。
 1426ポイント → 1673ポイント +17% 週末終値 1602ポイント
・電機
 9月6日のボトムから9月19日のピークまで11.5%上昇して調整局面入り。
 2250ポイント → 2509ポイント +11.5% 週末終値 2359ポイント 
・精密
 9月6日のボトムから9月19日のピークまで12.5%上昇して調整局面入り。
 1776ポイント → 1998ポイント +12.5% 週末終値 1850ポイント

【米国株動向】

 前週に8000ドル割れとなったNYダウは想定通り2番底形成の動きに入ってきた。9月25日の安値は7665ドル。7月24日の安値7532ドルまであと一歩まで下落。その後、反転して木曜日は7997ドルまで戻ったものの、GEなどの企業業績悪から週末には7701ドル(安値7694ドル)と急落。まだまだ不安定な状況が見られる。
 一方、NASDAQは7月24日の安値1192ポイントを割り込み9月24日に1169ポイントという安値をつけた。これも一旦木曜には1221ポイントへ戻ってきたが、週末は1199ポイントとなり反落。

【インデックス動向】

日経平均週末株価 9530円
    前週末比△49円(△0.5%)
TOPIX 936ポイント
  同△10ポイント(△1.1%)
日経店頭平均 1089ポイント
 同▲14ポイント(▲1.3%)
NYダウ 7701ポイント
 前週末比▲285ポイント(▲3.6%)
NASDAQ 1199ポイント
 同▲22ポイント(▲1.8%)

【今週の株式相場展望】

 いよいよ明日、9月中間期末を迎え、明後日より10月相場インとなる。これまでは政策的見地から9月中間期末高を狙った買い支えが相場の下値を限定的なものとしてきたが、週末のNY株安から週明けは波乱の動きになることは容易に推察できる。10月相場ではより一層の政策の具体化が鍵となるが、整理回収機構への公的資金投入や銀行への資本注入に消極的な柳沢金融相の留任で動いていることが伝えられたが、実際にどうなるかが市場動向に影響を及ぼすだろう。小幅の内閣改造から政策に多くを期待できないことは明らかであり、更なる痛みを国民に求めることはありうることだ。今年度の後半戦突入は来年3月期末に向けてのスタートでもある。9月末株価が9500円より上であれ、下であれ目標となるハードルとなることは明確である。楽観的なシナリオを描くなら9月6日の日経平均8969円が大底となり、底練り相場を経て来年3月末には11000円という展開も考えられるが、米国の景気・企業業績が不透明でNYダウの下落基調がなおも続きそうなこと、イラク攻撃の可能性などに加え、不良債権処理や構造改革の遅れが国内景気の停滞とあいまって日本の株式相場に重くのしかかってくることが考えられる。

 今週もそうした内外情勢から全体相場は政策頼みの展開となり、日経平均で9200円〜9600円のレンジを想定しておきたい。ただ、このところ、銀行株が強く、日経平均以上にTOPIXの動きが良くなっている点に注目する向きもある。
 また、個別株に目を移すと結構しっかりなものが目につくようになっており、水面下での資金のエネルギーは蓄積されていること考えられることから、ここから仮に突発的に投げが出て全体相場が突込みを入れるような局面があれば拾っておくところだと考えるが、公的資金に支えられた場面を過度に強気の材料に考える必要はないだろう。5月高値からすでに4ヶ月を経過しており、相場のリズムからはそろそろ中期反転局面が訪れても良いと見ているが、ここでは全体相場の動きに左右されにくい銘柄をじっくりと選定して取り組みたいところである。

 今週のIPO銘柄は4日にアインメディカル(2746)、北雄ラッキー(2747)といったローカル企業が登場する。
 アンジェス、アーツ効果が単純に波及するとは思えないが、来週からさ来週にかけ東北新社(2329)、ジーモード(2333)などの注目銘柄が登場するので密かに期待している。(以上は週末段階での弊社有料メルマガの相場展望です。)

**本日は想定通り、下げて終わったが結果として上半期の日経平均は9383円、TOPIXは921ポイント、OTCは1089ポイントとなり、OTCは昨年9月末に比べプラスとなったが、日経平均、TOPIXともマイナスで終わったことになる。こうした流れの中で、結構しっかりに推移している以下のような銘柄も見出せる。

【指数の推移】

日経平均
 昨年9月末9774円 →3月末 11024円 →本年9月末 9383円(昨年9月末比▲4.0%、3月末比▲14.9%)

TOPIX
 同上 1023ポイント →同上 1082ポイント→同上 921ポイント(同上▲10.0%、同上▲14.9%)

日経店頭平均
 同上 1064ポイント →同上 1180ポイント →同上1089ポイント (同上△2.3%、同上▲7.7%)

結局勝利したのは日経店頭平均であった。果たして後半戦はどうなりますか?

【今日の値上がり人気株】

天馬(7958)、大東建託(1878)、北越紙(3865)、三菱紙(3864)、鹿島(1812)、西濃運(9076)、近畿車輛(7122)三菱証券(8615)、ジーンズメイト(7448)、ライトオン(7445)ミサワH(1923)、三井金(5706)、王子紙(3861)内需関連株が堅調な動き。2部では日本精鉱(5729)が連日の新値追い。大東建託高で東建コーポも値上がり。ワタベ(4696)、オーベクス(3583)などもしっかりの動き。(炎)

 

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19
2002/09/27 役所の資格商売
生涯遊人

 

 昨日、新聞広告をみていたら、FP(ファイナンシャルプランナー)FP技能士試験に対応と出ていた。要するにFPという民間資格を技能士という国家資格にリンクさせることにより箔をつけさせようということなのだろう。
 最近の資格ブームをみていると、資格をとるより資格の学校やるほうがよいのではないかと思うくらいの盛況ぶりです。

 最近は、勤務先以外で通用する実力が大事という危機感と、失業保険の教育給付金を利用することにより、資格をとろうということが流行りのようです。資格の良し悪しは別として、ここで国家資格と民間資格のことについて少し考えてみたいと思います。

 やはり、同じような資格ならば民間の資格よりも国家資格のほうが権威があるような印象を受けます。実際、難関といわれる資格は国家資格が多いと思います。
 しかしそもそも国家資格がそんなに沢山要るのでしょうか。ここには役所の思惑が反映されているように思われます。自分達の支配領域を増やし、権限を維持するために資格を利用しているともいえます。

 ちなみにFP技能士はなんと厚生労働省の資格なのですが、この技能士という資格は、都道府県中央職業能力開発協会というところが管轄しています。
 厚生労働省の管轄する数ある資格(およそ60ほどあります)のうち、厚生労働省自体で管轄する試験は、医師、薬剤師などおよそ10ほどです。これらの直轄の資格はやはり難関試験でしかも、社会的認知度も高いように思えます。
 また、なによりも厚生労働省がおこなうのがふさわしい(資格の性質上)試験のように思えます。 残りの50ほどの資格に関しては、すべて財団法人がその資格を認定しています。その中には「このような資格が国家資格として必要か」と思えるものもあります。

 結局、役所は資格の認定という権益を、財団法人をつくることにより拡大しているのではないか?…という疑問が湧いてきます。なにより、重要と思える資格は役所の直轄とし、あとの資格は財団法人と言う下請けに回すという手口です。
 これらの財団法人に天下りの役人がどれくらいいるのか調べれば、その実態もみえてくるでしょう。

 日本のスキーを管轄する団体でSAJ(財団法人日本スキー連盟)という団体があります。ここは、たぶん運動関係でしょうから文部省に届け出をだしているんでしょうが、べつに、役所の資格商売とは関係のない1925年から続く、スキーの普及と発展をめざす由緒ある民間団体です。
 この団体では、スキーの普及を目指して指導員の資格制度を何十年も運営してきましたが、何年か前に、文部省が別のスキー指導員の資格をつくり、スキー連盟に属する指導員にも序々にそちらに移行するように指導したことがあります。いわく、民間の管轄する資格は信用ならん、お上が資格を認定するから、ありがたく受け取るようにと…。
 何十年も関係者が努力して築いてきた資格ですらこうなのですから、民間の資格団体はたまったもんではありません。
 しかしその後、この文部科学省認定のスキー指導員の話はあまり聞かなくなりました。もしかしたらあまりのくだらなさに、役所の改変のときに廃止されてしまったのかもしれません。
 ちなみにイタリア、フランス、オーストリアなどのスキー大国は、スキー指導員は国家資格であり(何十年も前から)、スキー教師が国家公務員のところもあります。しかしこれらの国では、スキーが大きな産業であり、文化でもあるために、国家が育成、指導していくという明確なビジョンと国家戦略があります。べつに天下り先にスキーの資格をだしている団体を運営しているわけではありません。

 厚生労働省のところでも述べたように、医師などの重要な資格は役所の直轄ですが、ある意味でどうでもいいものは天下り先の財団法人が認定するというのが、役所の資格商売の方法です。

 このような役所の利権を、小泉さんの構造改革で是非つぶしてもらいたいものです。(生涯)

 

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18
2002/09/27 閑中忙あり その2
駄洒落商会会長

 

 駄洒落商会会長です。

 バカのひとつ覚えのように、しまむら(8227)、菱食(7451)、西松屋チェーン(7545)を推奨し続けてきましたが、中間決算発表(8月中間決算銘柄)も本格化してきます。
 小売業界のサブセクターを大雑把にみてみますと、百貨店が会社計画を下回り苦戦(主要銘柄では三越、高島屋が業績見通しを下方修正しました)、総合スーパーが食品中心に概ね好調、コンビニがほぼ会社計画線か若干下回る、といった状況です。
 コンビニの場合は、年間でも夏の7、8月のウエイトが高く、この2ヵ月の月次売上高が非常に重要です。7月は、休日要因(前年に比べ休日が2日間少なかった)、2度にわたる台風の到来などの影響から、各社全般に振るわなかったのですが、8月は多少バラツキがみられます。このあたりが中間決算にどう反映されるかが注目点ですね。

 このほか、ファーストリテイリングの期末在庫がどの程度なのか、この点に関する経営陣の意識がどの程度であるのか、といった点も注目ポイントです。
 この銘柄を取り上げた際、株価の動きは当面「2500〜3500円のボックス圏」との予想を述べさせていただきました。そして、このボックス圏を離れる条件も列挙いたしました。
 この中間期にはその条件が整いませんでしたが、下期に向けてまず注目したいのは、売上げの減速に応じた生産調整が迅速になされているかでしょうね。この会社に関しては、ファッション業界に近い方ほど評価が厳しくなる傾向があります。柳井会長にしてみれば、年間500億円もの営業利益をあげてとやかく言われるのはかなわん(笑)というところでしょうが。(駄洒落)

 

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17
2002/09/24 ショートコメント
海パン刑事

 

●夢見つけ隊(2673) 7月掲載 

中高年男性を中心とした通信販売業。一般の通販とは異なり変わり種製品を扱う。
 今期2003.3期会社予想ベースの連結経常利益361百万円に対して直近発売の四季報では380百万円と会社計画に対して上ブレを予想。健康関連など幅広い商品での売上が伸びている模様だ。会社側ではどの程度好調かは語らなかったが、春先あたりからの好調が持続している様だ。連結ベースの今期予想PER7〜8倍。上方修正はまだ発表していない。

●エプコ(2311) 7月掲載

 低層住宅の排水設備の設計及びソリューション事業を展開。前期実績の経常利益率34%の優良企業。 2002年7月中間期の連結経常利益は126百万円。2003年1月通期の連結経常利益の通期予想は239百万円。差し引き下期予想は113百万円。下期は株式の公開費用(20百万円)がなくなることや新規顧客の増加などを考慮すると現状の計画はかなり保守的。今期連結経常利益280〜300百万円程度、連結EPS35000円が期待できそう。これをもとにした今期連結予想PER8倍弱はかなり割安。(海パン)

 

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16
2002/09/20 Z復活
両津勘吉

 

 Zが復活した。

 車好きの私の長男も毎日のように質問攻めしてくる。車の”勉強”をしているようで、最近では昭和40年代のZの質問が散見される。なんでも同級生に同じ車好きがいるようで、その子の近所にS30Zが駐車されているらしく、2by2を発見。「昔は2シーターじゃないのか?」と聞いて来たもんだ。あと非常に答えが難しいのだが、「どの車が一番速い?」との質問には困る。 ここで少し話が脱線するが、9月4日億近に読者と執筆人の掛け橋になる内容が…。その読者の方はポルシェオーナーだそうで、Zはポルシェのパワー、ハンドリング、ブレーキを超えられないと。
 日産ファンの私にとっては非常に悲しいことですが、でも事実です。ノーマル状態ではドイツ車に勝てません、但し直線の話ですが。

 輸入車にはパワー制限がないことを読者の皆様はご存知だと思いますが、国産車には旧運輸省が口頭通達のような曖昧な形で出した指導があり、ここで280馬力に制限がされています。排気量が2リッターターボ、3リッターターボでも280馬力なのはこのためです。ですからドイツのように何キロ出しても構わないアウトバーンがある国ではパワーに上限がなく、ポルシェターボならノーマルで400〜500馬力が当たり前となります。当然のことですがそのパワーを支えるために、あちらこちらの部品を強化する必要が出てまいりますので海外スポーツメーカーはそれなりの材料とセッティングを施しています。

 しかし国産車でもサスペンションやブレーキなどは小手先のチューンでも驚くほど良くなります。特にエンジンは100万円程度費用を掛ければフェラーリ、ポルシェのノーマルなら簡単に勝負できるくらいに化けます。

 一番安上がりは13Bエンジン。これって生産中止になったRX−7に搭載されていたエンジンですが、旧セブンに搭載されていた12Aに対し排気量が大きいこととポートが初めから大きくなっており、マフラーと軽いコンピュータチューンでOK。
 一方、12Aはポートが狭く、サイドポートのままポートを拡大するだけで特性ががらっと変わってしまいます。2サイクルでピストンリードバルブと聞いた方もあるかと思いますが、ロータリーエンジンはローターが回転する事でポートを空けたり塞いだりしており、ポート口径を拡大することでピストンエンジンに例えるならカムシャフトのタイミング(カムプロフィールと呼びます)を変更することが出来ます。軽くNAチューンを施してHKSのボルトオンターボ付けて300馬力です。

 過激なのはノンターボのままサイドポートを埋め尽くし、ローターに対しダイレクトに吸気させるペリフェラルポート。マツモトキヨシスポンサーのセブンをチューンしているRE雨宮社長の雨宮さんによれば、「ぺリフェラルポートにする前に自分の腕と相談しろ」というシロモノ。ポートの開け方にもよるが6000回転以下はただ回っているだけの状態で、トルクゼロのイメージ。

 次にピストンエンジンですが、チューンの代表といえばやはり日産のZやセドリックなどに搭載されていたL型エンジン。このL型、私の記憶では下はスタンザに搭載した1600CCから、2800CCまでのバリュエーション。ジムカーナ、ラリーで有名なチーム北斗(現在名はチームグルービー)の会長である須藤氏が横浜で中古車を経営していたが、自ら莫大な費用をかけたL型エンジンはNAチューンながら怖くてアクセルを開けられないほどだという。そのエンジンを元副会長の中村氏(運転については色々お世話になりました)が操ったが、生まれて初めて怖いと感じたという(須藤氏、中村氏はキミの高校の第1期生だよ:ぢんぢ部長へ)。

 昭和40年、50年代、Zやスカイラインを改造し、誰が一番速いかというような特集が雑誌に多くあった。L28をフルチューンし当時、日本1番に輝いた男が川崎にいる。川崎で一番有名なガソリンスタンド。そう鮫島石油だ。プロゴルファーの丸山氏のスポンサーになっている企業で、川崎市宮前区では超有名。そのライバルスタンドが東名川崎インター手前にある出光。現在kカンパニーが経営しているが、昔は農家だったIさんが経営し、私はそこでバイトをしていた。当時は国産Zに初めて3リッターターボが搭載された時で、覆面パトも含めて、交通機動隊はそのスタンドで休憩したあと獲物を取りにいったものだ。

 そのZターボを操るとんでもない運転をする警官がいた。私が現役バリバリの走り屋で40キロ制限の尻手黒川線を夜間は1*0キロで走っていた若い頃でも、その警官とだけは勝負したくなかった。名前は白○さん。いつもガソリンを20リッターしかいれず、スタートは見事なホイールスピンスタートで東名に勝負しに行く。覆面パト警官とは非常に仲が良かったから”誰誰には気をつけろよ”と教えてもらっていたが、白○さんだけは別格。車外に出ることも殆どなく、給油中も車内。エンジンも止めず給油&サイン終了でスタートダッシュと、亀有交番前(TV)ではバイクに跨ったホンダ巡査のイメージ。

 話が反れましたが、某米系投資顧問に勤務する某氏がポルシェに乗っておりました。しかし同じマンションにGTRに載っているお兄さんがいたそうで、運転させて欲しいとの交渉をしたそうです。なんでも800馬力仕様に改造してあるそうで、直線ではポルシェノーマルを全く相手にしない加速。

 車というのはその国の規制によって大分変って来ます。フェラーリが速いといったって、日本の公道でインプレッサやランエボについて行くのは難しいでしょう。あれだけ速いGTRでも箱根の無料道路ではインプレッサに敵わない。まあそれ以上に腕の差が大きい訳ですが。

 私とチームグルービーの方では曲がる速度が全く違います。私は交差点の直角を一車線のみドノーマル仕様で80キロで曲がったことがありますが、プロの領域になりますと次元が違います。
 前述の中村氏、テストで富士スピードウエイに行った時、高橋健二氏運転の車に乗ったそうですが、感想は”怖い”ではなかった。「変態!」に近い言葉でした。

 長男がZを購入しろと迫ってきますが、買うならS30。日産復活を信じる方が増えつつありますが、私の走り屋復活も近いか?(両津)

 

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15
2002/09/20 チャネルの多様化進むアパレル業界
小野小町

 

 アパレル業界では秋物商戦が本番を迎えています。柔らかいエレガンス系が主流だった春夏に対し、秋冬は黒を基調としたやや固めの「ベーシック」と「フォークロア」がテーマとなりそうです。店頭ではプリーツスカートやウェスタン調のブーツ等が早くも売れ始めています。

 しかし主力の販売チャネルである百貨店は厳しい状況にあります。全国百貨店の衣料品売上高は7月まで4ヵ月連続マイナスとなりました(8月の東京地区は若干プラスに転じましたが)。一時的なものかはわかりませんが、某アパレルの方に取材した折にも昔に比べ百貨店の販売力が弱まっているという話を耳にしました。海外高級ブランドと量販店との間に挟まれブランドアイデンティティーを訴求しにくくなっているのも一因のようです。こうした中、各社は新たな販売チャネルの開発を積極的に進めています。

 例えば、婦人服の人気ブランド「組曲」や「23区」を展開するオンワード樫山(8016)はファッションビルや駅ビルなど百貨店以外の販売チャネル開拓を加速しています。これら新業態を通じた販売は前期に2年前の倍の132億円に拡大。売上構成比は低いですが今期も2割増の売上げを見込んでいます。

 また主力購買層の団塊ジュニアが結婚適齢期を迎える中、郊外のショッピングセンターを中心にファミリー層をターゲットとしたブランドも増えています。トレンドを取り入れながらも百貨店より価格を抑えているのが特徴で、中でもワールド(3596)が2000年春に投入したブランド「HUSHUSH(ハッシュアッシュ)」は新規出店の増加もあり今4〜7月で売上高は前年同期比3倍、既存店ベースでも同20%増と高い成長を続けています。

 一方「ビームス」に代表されるようなセレクトショップも好調です。セレクトショップとは国内外の複数ブランドからバイヤーが独自の感性で仕入れた商品を販売する業態を指し、上場企業ではユナイテッドアローズ(7606)やポイント(2685)等がそれに該当します。ちなみにユナイテッドアローズは秋物の立ち上がりも好調で8月の既存店売上高も前年同月比27%増と高い伸びを続けています。消費者も単一ブランドで全身を固めるのでなく、複数ブランドを自分なりに組み合わせて着こなす傾向にあります。トレンドを取り入れつつ自在に商品を組み合わせられるセレクトショップの人気はしばらく続きそうです。

 百貨店を中心に展開する国内衣料品メーカーの需要予測精度は、情報端末の高度化もあり年々向上しています。ただそこから一歩ライバル企業に先んじるには、使い古された表現ですがいかに「リスク」を取れるかがポイントとなります。大規模なヒット商品を生み出すのは難しくなっていますが、価格とそれに見合う価値さえ伴えば潜在的な需要を掘り起こすことは可能です。今後は店頭販売→追加投入といった消費者ニーズに追随する従来型のSPA(製造小売)から、商品面で消費者ニーズを先取りするリスクのとれる(いわゆる提案営業?)企業に勝機があるのではと思います。(小町)

 

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2002/09/20 ニッコウトラベル
海パン刑事

 

 ●ニッコウトラベル(9373)

【要約】

1)第一次ベビーブーマー層はお金と時間に余裕がある引退期に近づいている。この為、こうした年齢層をターゲットにした企業に投資妙味が出てきそう。こうした中で熟年層をターゲットとしたニッコウトラベルに注目。
2)同業者であるユーラシア旅行社の来期業績好調の観測記事が出たこと、先日発売された会社四季報では前回予想より増額しているなど足元の業績好調と推測できそう。今期業績が大幅増となること、バリュエーション面でも割安感があり、第一次ベビーブーマー層マーケットの拡大で恩恵が受けられるなどから株価は割安では?

【50〜54才の人口に注目】

 総務省のホームページを見て日本の人口の年齢構成で気づくのは、
1)25〜29才及び30〜34才の第二次ベビーブーマー層、
2)50〜54才の第一次ベビーブーマー層、
の人口の多さです。第二次ベビーブーマー層では前後の層(20〜24才、30〜34才)との差は100万人以上、第一次ベビーブーマー層では前後(45〜49才、55〜59才)で200万人以上の差となっています。
 特にこの第一次ベビーブーマー層はお金と時間の余裕が増加傾向にある引退期に近づいており、こうした層をターゲットとした企業は不景気ながらも安定成長が期待でき、これに関連した銘柄への投資妙味は高いように思います。
 そこでこうした点から、熟年世代にターゲットを絞った旅行会社ニッコウトラベル(9373)に注目してみました。

【概要】

 可処分所得の多い熟年世代をターゲットとした海外パック旅行の販売を手掛ける。
 ユーザーの年齢構成は39歳以下が1.5%、40歳代が1.5%、50歳代が8.3%、60歳代が48.8%、70歳代が37.4%、80歳以上が2.5%(2002年3月期)と高齢者層で大半を占めている。
 地域別の売上高ではヨーロッパ67.1%、北米12.0%、中南米2.2%、オセアニア4.9%、アジア9.5%、アフリカ1.0%、その他3.4%(2002年3月期)とヨーロッパ地域が大半。 同業他社はユーラシア旅行社(9376)、エイチ・アイ・エス(9603)、近畿日本ツーリスト(9726)、東急観光(9727)など。

【同業他社比較】

 四季報予想の連結経常利益率を比較するとユーラシア旅行社02/9期2.2%、エイチ・アイ・エス02/10期1.5%、近畿日本ツーリスト02/12期2.2%、東急観光02/12期2.2%。一方、ニッコウトラベル03/3期9.3%となっている。決算期の差はあれ利益率での優位性は高い。
 ちなみにこれら企業の連結予想PER(クイックベース)はユーラシア旅行社22.0倍、エイチ・アイ・エス18.7倍、近畿日本ツーリスト30.2倍、東急観光23.4倍。ニッコウトラベルは13.1倍とバリュエーション面でも割安感が強い。

【特徴】

 同社のツアーはゆっくりと旅を楽しんでもらうというのが基本コンセプト。
 ツアーであわただしい日程にならないよう、滞在地のホテルは2連泊が基本。またスケジュールも9時出発の16時ホテル着。また、売上構成比の高いヨーロッパ地域ではスーパー・リラックス・カー(シートがゆったりとしたバス)を独自で導入。移動中も極力疲れないような配慮をしている。
 株価が気になるひとにはFAXにて株価情報サービスを提供。また、自宅に要介護者がいる場合は在宅介護サービスの紹介まで行っている。こうしたサービスが支持されてか、リピート率は2002年3月期で69.6%と2001年3月期の55.7%よりも上昇している。
 ツアー例としては、
ビジネスクラスで行く世界一周の旅 33日間  330万円
カリブ海クルーズ 11日間 39.8万円〜(期間による)
ヨーロッパ音楽鑑賞の旅 52.8万円
ポーランド周遊 12日間 38.8万円〜
東部・南部アフリカゆったり完全周遊 22日間 99.8万円など
 ツアー単価は高いものの、疲れなく、ゆったりとした日程を組み、且つ安心した旅が楽しめるというのが熟年層に受けているようだ。

【四季報では増額を予想】

 前回の四季報予想では今期の連結経常利益は会社計画と同じく440百万円。しかしながら、今回の四季報では520百万円に増額されている。四季報によれば、ツアー数を絞り込んでツアー当りの催行人数が増えて採算が向上。また北米、エジプト、トルコのツアーを9月から再開。・・・・イラクへの武力行使あっても会社計画の営業利益4億円強は確保か。と増額を示唆している。実際、ツアー数は2割以上削減され、ツアー当りの催行人数も18人程度から20人程度に上昇している模様。
 また、先日、9月7日に日経新聞でユーラシア旅行社の来2003年9月期連結経常利益は今期見込比2.5倍の3億円になる見通しという観測記事から考えると同社業績の増額余地は十分確度の高いものと言えそうだ。
 今期業績が増額含み且つ、大幅増収増益となること、第一次ベビーブーマー層が引退期ゾーンに近づいたことによる恩恵が今後期待できそうなことから株価674円(9/18日)、今期連結会社予想PER13.1倍は割安では?と思います。

 ただ、リスク要因としては米国のイラクに対する武力行使。やはり熟年層の人はあぶない橋を渡ってまで旅行はしないので武力行使があったらキャンセルの続出は覚悟しなくてはならないでしょう。武力行使が終わって落ち着いた頃からの投資でも遅くないかもしれません。第一次ベビーブーマー層マーケットの拡大で恩恵を受ける企業として覚えておいて頂くと幸いです。(海パン)

 

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2002/09/17 ダイヤモンド・ザイ 「株」データブック 秋号 アナリスト・コメントの背景にあるもの
大原部長

 

●富士通(6702) ☆ 「弱気」
●東芝(6502)  ☆ 「弱気」
●日立(6501) ☆☆ 「中立」
●NEC(6701) ☆ 「弱気」
●松下(6752)  ☆ 「売り」

【ダイヤモンド・ザイ 「株」データブック 秋号 アナリスト・コメントの 背景にあるもの】

 誌上で星5つの☆☆☆☆☆でレコメンドさせていただいている大変便利な株式のガイドブック、ダイヤモンド・ザイ 「株」データブック。データブックでは掲載500社中、300社程度に対してわたしの所属する会社からコメントを出しました。アナリストの投資判断は5段階。買い、強気、中立、弱気、売りの5段階で、日本株が歴史的な低水準にあるため、誌上を見渡すと、「強気」「買い」の判断が前号よりも多くなっています。

 ところが、企業によっては安値圏にあるのにも関わらず、厳しい判断「弱気」「売り」をせざるを得なかった企業もあります。こんなに株が下がっているのにどうして弱気なんだというお叱りも受けそうですが、企業の存続自体に疑問符のつく銘柄については、厳しいコメントを掲載しました。

 いままで外国企業は、日本企業を買収できませんでした。株式交換が認められなかったからです。日本企業は甘ったれで世界が厳しく競争する中、多角化を改めず、コングラマリットが10社以上残っているという極めて脆弱な産業構造になってしまっています。

 ようやく政府もこれじゃいかん、ということで、外国企業による株式交換を認める方向らしい。ビックニュースととらえていいと思います。

 たとえば、富士通は10年前自己資本が40%近くあったが、いまでは倒産の危惧さえささやかれ始めています。富士通とIBMでは従業員の規模では2倍の差しかないが、時価総額では10倍近い差がついてしまいました。かつての盟友、GEと東芝は時価総額で30倍近い差がついてしまいました。GEは1/30、3%の新株発行で東芝を100%買収できます。そして、買収されたらいいとこどりの解体作業を始めることも可能です。

 富士通の51%を交換するにはIBMは5%の自社株を容易すればよい。企業統治能力が全くない富士通が飲み込まれるのは、日本のソフト産業の安定にとっても好ましいことかもしれません。
というのは、なりふり構わない形で市場の価格破壊をしているのは、リーダーシップを発揮しなければならない富士通当人なんです。システムインテグレーションの現場では、富士通がいま、シェア下位メーカまがいの価格攻勢をかけている実態があるわけです。
富士通の辞書にはコーポレート・ガバナンスという言葉が、もしかしたらないのではないでしょうか。
新光電工、ファナックなどの関連会社たちは、まったく無関係のようで、事業上の相乗効果を経営的に考えるということが皆無です。言い換えれば、子会社は好き勝手に行動しているわけです。富士通の子会社群においては、ソフトやシステムベンダーの事業領域では、親と子が顧客争いでバッティングしたりしているようです。
「おいおい一体この会社は何なの?」と疑いたくなるような企業統治の実態ではないでしょうか。

 さて、IBMが仮りに富士通を買収すれば、富士通を解体することになるでしょう。半導体部門は叩き売られるでしょう。HDD部門は二束三文で売りにでるでしょう。ファナックなどの関連会社の株式、銀行の持ち合い株式はすべて叩き売られるでしょう。 そうならないためには、彼らはどうしたらよいのでしょうか。

 ところが、経営者のやることは、せいぜい他社との緩やかな業務提携か責任のはっきりしない合弁にとどまるに違いありません。
 サラリーマン社長ではこういう危機的状況に対応しろといってもやっぱり無理なのかもしれません。

 それでは外資の餌食になるであろう富士通や東芝の株を買えるかとなると、これはまだまだ下落する可能性があり難しいでしょう。たとえば、富士通が第3者による再建の粗治療で自己資本50%を回復するためには、買収後第3者割り当てで大量の資本注入が必要になります。その過程で、強烈なダイリューション、希薄化が起こるでしょう。
IBMは、自社の株主を納得させるために、富士通の株主にすべての悪材料を押し付けるでしょう。つまり、富士通の株主にとっていいことは何一つ期待できないというわけです。

 投資家を裏切り続けて来た大手総合メーカは、ついに消滅の危機を迎えています。1年後に存在しているかどうかもわからないというのが私の正直な実感です。

 一般的に、外国企業による株式交換解禁によって、割安の株価が見直されるという期待で被買収企業の株を買ってよいのだろうか? これは機関投資家は乗ってきません。

 さて、解体作業はどうなるのか、その解体作業の成り行きが不透明すぎるからです。そして、買収企業の株主が株価が下がることに納得しないでしょう。ということは、被買収企業は買い叩かれるということになります。買い叩きとは、実際の価値の半分程度の金額ということになるでしょう。

 そうなる前に、今の経営者が大胆な事業交換が実施できるか、その実行力を期待するしかないわけなんです。
 つまり、買収されて解体される前に、お互いに抜本的な事業交換が自主的に経営者だけの判断で、できるかどうかが試されているということです。

 たとえば、富士通は他社のソフトウエアサポート部門を購入する代わりに半導体やHDDなどは他社へ100%売ることが可能なのか?
 東芝は他社の半導体事業を買う代わりに重電は三菱重工や日立に売るとか、そういうわかりやすく皆のシェアが国内で圧倒的に高くような事業交換の決断ができるかどうかです。
 日本で圧倒的にシェアが高くなれば、世界への視点が備ってくるはずですね。そういう脅しで、企業同士が事業交換を迫られるという事態は、株価にはポジティブなはずなんです。

 しかし、50:50にこだわる経営者はここでまた挫折してしまう。日立とNECのDRAMの合弁会社は1+1=マイナス2になってしまっている。相乗りの合弁ではまったく価値が創造できないということがわかりますね。それでは各分野で名実ともトップのメーカが買収を先導するしかありません。
個別企業となると、たとえば、東芝は半導体で主導的な地位が築けるかもしれません。富士通はソフトで立ち直りのきっかけが打てるかもしれません。
NECはどうするのでしょうか。多分、富士通へのソフト部門売却には同意しないはずです。東芝へ半導体を売る決断もできないでしょう。

結局、日本勢だけで業界の再編ができるかといえば、今までどおり期待倒れになる可能性が高いでしょう。すったもんだの挙句に、変てこな合弁という形になるでしょう。

 投資家は、ゆっくりと、その合弁企業のIPOの結果を見ればよいということになり、本体を買う意味は全くないという結論になるでしょう。

 自主的な事業交換が表に出てくれば証券会社のアナリストたちは強く買い推奨を出してくるかもしれません。しかし、自己資本が枯渇している企業を買い推奨する度に、へんてこりんなエクイティファイナンスで重大な希薄化が起こっている実態を軽視してきた結果、彼らの投資判断はいつも楽観的という批判が世の中に渦巻いているわけです。投資家はもうだまされないでしょう。

 NECはいったいいくらの優先株を発行しているのでしょうか。富士通の大量のCBは今後も追加的に発行され続けるでしょう。

 東芝の自己資本比率は13%ですが、半導体というビジネスのリスクの大きさを考えたときに、考えられない財務内容です。少なくとも半導体事業は自己資本の範囲で投資すべきです。そうなると、自己資本は50%以上ないならば事業のリスクに見合いません。つまり、50%÷13%で買収後は段階的に3倍程度の希薄化が起こる危険もあるわけです。
 となると今期EPSの予想は2円程度になるでしょう。PE20倍なら40円。40円が東芝の買いゾーンというわけです。
 従業員のリストラを現在の経営者がやった結果、どの程度の株主価値を破壊したことになったでしょうか。
 10%の人員を解雇するだけで、数千億円規模の特別損失が出たことを思い出してください。
 仮に東芝の従業員が20%余剰だと経営者が評価すれば、なんと債務超過になってしまうのです。
 だから経営陣は打つ手が全くないのです。 何事も結果です。結果を残さなかった経営者の責任は重大です。

 ところが、証券会社のアナリストは一部評価が甘すぎます。東芝にいたっては8人が「強気」か「買い」としています。日立は7人が「強気」や「買い」としています。富士通は5人、NECは3人が「強気」もしくは「買い」の判断です。
 当然、今の経営陣が厳罰に処せられない限り、収益が向上するとは思えません。
 なんのために、昨年、あれほどの大損を出し、特損を計上したのでしょうか。

 全く、事業というものがわかっていないという辛らつのわたしの批評も間違いではなかったのかもしれません。

 企業の国際的競争力の強化目標という国策を持たなかった日本という国の悲劇です。

 わたしは本当に追い込まれて、自主的な事業交換は行われないという感じがしています。何もいわない株主の存在がありますし、何よりも、日本の経営者にそれほど大胆な人がいないでしょう。

 追い込まれても敗戦を認めなかった太平洋戦争は57年も昔のことです。陸軍と海軍が勝手に動いて同じ国の中にいながら、意思疎通が出来ず、敗戦が決定的になってからも終戦の決断ができませんでした。

 国民は、複雑化する証券税制に嫌気をさしているというよりは、むしろ、税制や法制度改革が競争力を高める方向に一度も向かわないで、矮小化されて、根本的な解決が見出せない政府や日本企業に嫌気がさしているわけです。米国がこけて、有利な状況がつくり出せるはずなのに、残念なことです。

 とはいえ、しっかりとがんばっている企業は黙々を世界を見据えて戦っているわけですから、投資家とすれば、政府に何も期待することなく、そういう優良企業だけをしっかりとフォローしていればよいということになるのかもしれません。

 長々と書いてしまいました。こういう背景があって、厳しいコメントをダイヤモンド・ザイ「株」データブックに載せているということが言いたかったわけです。(大原)

 

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2002/09/14 米国の政治姿勢
生涯遊人

 

 木曜日のニューヨーク市場では、原油の値段が1$程下がり、また金曜日はドルが全面的に買い戻される展開となった。
 米国のイラクに対する姿勢の変化が原油価格の下げに影響し、ドルの安定化をもたらした結果となった。
 米国はイラクに対して、大量破壊兵器開発の疑惑があるために、先制攻撃も辞さず、他の国がそれに賛成しなくても戦争を始めるというスタンスが各国との摩擦を生んでいた。前回の湾岸戦争のときは、イラクのクエート侵攻、それにともない国連の場でイラク攻撃の是非を問い、アメリカ軍中心とはいえ国連軍という形でイラクと戦争を始めた。
 しかし9.11のテロ以降アメリカは、ユニラテラリズムに陥り各国との協調を無視した傾向が増えてきた。ユニラテラリズムというのは単独行動主義とでも訳せばよいのだが、要は米国は、他の国の以降を無視して勝手に行動しますよということで、軍事的にも経済的にも唯一の超大国となった米国の傲慢さとも受けとれる。

 米国は19世紀のモンロー主義で、米国は欧州の問題に関与しないから、欧州は米国の問題に関与しないでくれという単独主義の伝統があり、米国は他国の問題に関与しないという政治スタンスが強くなったり弱くなったりする傾向が時の政府や、国民の空気の影響で多分にあった。そのことが米国が国際連盟に加入せず第二次世界大戦の歯止めになんら手が打てなかったという歴史がある。
 第二次世界大戦後は国際連合の創設、IMFの創設など米国中心とはいえ国際的な枠組みの維持に積極的に関与してきた。しかし米国の伝統かあるいは超大国の奢りか、ときとして単独主義に傾斜することがある。

 その米国が欧州からの圧力かどうかわからないが、イラクに国連の武器査察を求め、それを拒否する場合は戦争という姿勢に、少なくとも単独主義ではなく、国連という国際協調の枠組みのなかでのイラク問題の解決という方向に舵を切ったことが、原油市場、為替市場では好感されたようだ。
 これは、来週総選挙をひかえたドイツのシュレーダー首相が戦争反対を唱えたり、米国に基地を提供するトルコ、サウジアラビアの戦争反対など、各国の早期イラク攻撃反対の意見の高まり、またもともと中国、ロシアは米国の姿勢に反対するなど、イギリスだけしか、米国に対する全面的な賛成国がいない状況に追い込まれてきたことが影響している。
 また前回も述べたが、米国政府内には、即時開戦の強硬派と国際協調を重視する穏健派が存在する。
 強硬派は、チェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官、ウルフォウイッツ国防副長官などである。これらの人々はネオコンサバティブと呼ばれ、キリスト教右派系、国防総省、防衛産業、保守系シンクタンク、右派言論人などのサポートをうけている。国防産業ではロッキード、シンクタンクでは、ヘリテージ財団、アメリカンエンタープライズ研究所、言論ではウオールストリートジャーナルなどがこの派に属している。
 これらは米国の共和党内を中心とする勢力だが、これに対して、共和党内にこれらの勢力に対抗する勢力がいる。
 ブッシュ元大統領(ブッシュ大統領の父)、スコウクロフト元大統領補佐官、など対中国、対イラク融和派の勢力で政権内には、パウエル国務長官、マイヤーズ統合参謀本部長などがいる。また言論では、ニューヨークタイムズがこれらの派に属している。
 これらの政権内の力関係で一応今回、イラク問題の国連を通した解決というスタンスへの政策変更が決定された模様となった。

 また金曜日には財務省の黒田財務官が、非公式の会合でデフレ阻止のためにドル買い円売り介入も視野に入れると発言した(未確認)というニュースが流れ、それがドル円を119円台〜120円台に押し上げる原因となった。

 ニューヨーク市場では、122円後半で取引を終えた模様で、来週は119−124円に円安方向の展開となろう。(生涯)

 

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2002/09/13 閑中忙あり
駄洒落商会会長

 

 駄洒落商会会長です。
 携帯電話の「ワン切り」問題が深刻化したこともありましたが、私の場合は、深夜の着信に翌朝気がつきますと、それが両津氏であるケースが大半ですね。
 当「億近」でも何度か「断酒」を宣言されていますが、彼の場合、既に「宿痾」といってもいいでしょう。
 その両津氏が、エリック・クラプトン、ミック・テイラーなどの系譜を受け継ぐブルース・ギタリストであることは以前お知らせしました。エリック・クラプトン、ミック・テイラーの共通点といいますと、ジョン・メイオール&ブルース・ブレーカーズに在籍したギタリストであることです。メイオールは英国の「ホワイト・ブルース育ての親」ともいうべき大立者ですが、彼のバンドには後にフリート・ウッドマックで活躍するピーター・グリーンも在籍しています。まさに多士済済ですね。 ところで、私はR&Rバンドといいますと、文字通り、ローリング・ストーンズが最高であると信じて疑わないのですが、よく比較されるビートルズに対してより「ブルージー」な路線を追求したストーンズは、オリジナルメンバーであるブライアン・ジョーンズが不慮の死を遂げた後、ブルース系ギタリストの加入を強く望みました。まず候補に挙がったのはクラプトンですが、これは実現せず。結局、ミック・テイラーが加入することになります。しかし、74年にテイラーは脱退。代わって加入したのが、ロッド・スチュワート&フェイセズのギタリストであったロン・ウッドです。
 ここでまた補足しますと、クラプトン、ジミー・ペイジと並んで「3大ギタリスト」と称されるジェフ・ベックが主宰した「ジェフ・ベック・グループ」のボーカルがロッド・スチュワート、ベーシストがロン・ウッドであったという因縁があります。
 このロン・ウッドが加入して後、80年代前半にかけてがストーンズが最も輝きを放った時期であると私は考えております。アルバム「スティル・ライフ(アメリカン・コンサート’81)」は最高の一枚ですね。
 恐らく両津氏も同意見であることでしょう。

 さて、本日付日経新聞には、しまむらの業績観測記事が掲載されました。
 概ね会社計画に沿っているとの内容です。バリュエーション的に、割高であるとの見方もありますが、私は、同社は高い評価を受けるだけの「仕組み」を確立した企業であるとの考え方は変えておりません。
 中堅スーパーにテナント出店する道が開けたことで、今後売場面積の拡大が加速することが予想されますし、PB比率の上昇からマージンの向上も見込まれます。引き続きご注目いただきたいものと思います。(駄洒落)

 

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2002/09/10 大地震に備えた株式投資
海パン刑事

 

 前回では防災(地震)関連として銘柄をあげてみましたが、いつ起るかわからない、大地震に備え、どの銘柄に投資すればリスクヘッジできるかを考えてみました。
 参考となるのは阪神大震災前と後の業種別株価指数と時価総額増減(株価上昇下落)動向です。以下に上昇率上位と下落率上位をあげてみました。

94年12月末、95年1月末比較株価指数上昇率上位
上昇率上位
下落率上位
1 建設
16.1
  1 電気機器
▲14.0
2 不動産
6.1
  2 小売業
▲13.5
3 金属製品
4.1
  3 精密機械
▲12.6
4 ガラス・土石
▲ 0.1
  4 海運業
▲11.8
5 鉄鋼
▲ 2.3
  5 パルプ・紙
▲11.5
6 銀行
▲ 2.8
  6 通信業
▲11.2
7 倉庫
▲ 3.6
  7 輸送機器
▲10.3
8 陸運
▲ 3.7
  8 卸売業
▲ 9.7
9 医薬品
▲ 4.3
  9 繊維製品
▲ 9.3
10 石油・石炭
▲ 4.8
  10 非鉄金属
▲ 9.1

 

94年年末時価総額と95年1月31日の時価総額増減率比較
(時価総額2000億円以上)
増加
減少
1 きんでん(1944)
28.1
  1 大丸(8234)
▲29.8
2 大林組(1802)
26.0
  2 ダイエー(8263)
▲28.2
3 住友大阪(5232)
24.7
  3 キヤノン販(8060)
▲24.1
4 フジタ(1806)
24.6
  4 伊勢丹(8238)
▲22.2
5 住友不(8830)
17.6
  5 ビクター(6792)
▲22.1
6 ナショ住(1924)
16.6
  6 スズキ(7269)
▲20.9
7 大成建(1801)
13.4
  7 阪急百(8242)
▲20.3
7 東京製鉄(5423)
13.4
  8 ミネベア(6479)
▲19.0
8 積水化(4204)
13.1
  8 アドテスト(6857)
▲19.0
8 INAトステ(5938)
13.1
  10 沖電気(6703)
▲18.9

ちなみに94年12月末と95年1月末比較で
日経平均  ▲5.4%
TOPIX ▲6.1%
といったパフォーマンスです。

 上昇率上位の傾向を見ると関西に強い電気設備会社やゼネコン、住宅、不動産などの上昇が目立ちます。ちなみに、11位以下では16位 太平洋セメント(9.3%)、17位 板硝子(8.8%)、18位三和シャッター(8.4%)、といった周辺銘柄も上昇率上位に入っていました。
 下落率の方では先行きの消費低迷を嫌気し、上記に見られるような関西が地盤の小売企業を始め、12位ヨークベニマル(▲18.8%)、18位丸井(▲18.1%)、他高島屋、三越など、小売関連が総じて低迷したのが目立ちます。また、関連するかは不明ですがビクターやアドバンテスト、11位シャープ(▲18.9%)、13位ソニー(▲18.8%)、16位NEC(▲18.4%)などハイテク関連が下落率で上位を占めています。地震には直接的に関係ないようですが、当時は米国景気に対する懐疑的な見方から、外国人がハイテク売りを加速したためと新聞で書いてありました。地震で業績に直接影響を受けそうな業界といえば保険を思い浮かびますが地震直後は売られたものの、33業種中19番目7.4%の下落でした。

 なお、時価総額2000億円以下の上昇率、下落率を見てみると以下のとおりで上位は建設株で独占していました。

時価総額2000億円以下時価総額上昇率、下落率上位
上昇
下落
1 不動建(1813)
149.5
  1 そごう(8243)
▲ 31.8
2 住友建(1823)
101.4
  2 大東紡(3202)
▲ 28.8
3 大末建(1814)
98.3
  3 神戸糸(3007)
▲ 26.8
4 佐伯建(1889)
86.7
  4 菱洋エレク(8068)
▲ 24.3
5 東洋建(1890)
74.1
  5 大昭和(3871)
▲ 23.6
6 五洋建(1893)
70.6
  6 芝浦(6590)
▲ 23.5
7 大都工(1891)
70.2
  7 エスペック(6859)
▲ 22.9
8 浅沼組(1852)
66.0
  8 巴川紙(3878)
▲ 22.3
9 若築建(1888)
61.7
  9 ツガミ(6101)
▲ 21.6
10 青木建(1886)
59.8
  10 ケンウッド(6765)
▲ 21.3

 もし、都市部を中心とした地域で大規模な地震が起きた場合、おおよそこうした傾向で株価は上昇もしくは下落する可能性が高いでしょう。株式投資を行う上で地震リスクを考慮されているのであれば、リスクヘッジとしてポートフォリオの一部分にあえて不人気なゼネコン株を入れるのも良いかもしれません。もちろん、時価総額200億円以下のランキングを見ていただくとお分かりのとおり、その後破綻した企業もあるため、地震がくる前に倒産してしまいそうな銘柄は避けましょう。
(海パン)

 

 

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9
2002/09/09 日本経済再生への道(その1)
炎のファンドマネージャー

 

 億の近道には、多くの研究者や技術開発者が集まっていると聞くが、これまでの日本のR&Dシステムの変革が日本経済再生の道に繋がるとの議論を今回は提起したい。
 知的財産とはいかなるものかをまずは解説しておきたい。

 多くの証券アナリストは現在、会計原則に基づいて企業が作成するバランスシートや損益計算書をベースに過去の定量的分析をまず実行し、それとともに企業経営者などのインタビューを通じて得られる定性分析のための材料を得て、それぞれがレポートとして作成し投資家に供しているが、そこに現れるデータは土地や工場設備など(タンジブルアセット)目に見えるものが中心であり、目に見えない資産(インタンジブルアセット)については評価の対象にはなっていない。
 これが評価価値を生むのはM&Aなどの時ぐらいである。本日フランス企業にTOBされるとの報道がなされたデジタル(6884・JASDAQ)が3800円という時価(1800円)や一株純資産(1643円)をはるかに上回る株価でTOBされることになったが、これなども無形資産の評価が大きく左右していると考えられる。

 無形資産には借地権、電話加入権などのほか、ブランド、ノウハウ、組織文化などの知的資産及び特許権、実用新案権、著作権などの知的財産などが含まれている。
 これらの中でもブランドと特許権は最も重要な資産と考えられる。今回のデジタルのケースが何を狙いにTOBに至ったのかはまだ分析されていないが、少なくとも株主資本を上回る買収資金が用意されており、企業が持っている知的財産への評価があってのものと推察される。政策当局の意に反して株価低迷の日本の株式市場であるが、水面下で繰り広げられているだろうM&Aではこうした知的財産への評価が重要視されているに違いないのである。

 さて、こうした水面下で繰り広げられているM&Aは潜在的に存在すると考えておきたいが、こうした点を念頭に入れるなら知的財産の評価は決して軽んじることはできないだろう。
 日本には3000社以上の上場企業、それに準じた上場予備軍が列をなしていると考えられるが、証券アナリストが分析する対象としてこの目に見えない知的財産に対して大いに関心を向けておきたい。
 ところで、特許庁の外郭団体である旧日本テクノマートは現在は発明協会と名前を変えて、日本の特許流通・事業化の役割を担っている。米国に負けじと最近の国の政策も大きく変化し始めていることは皆さんも既にご存じだろう。
 つまり、近年において国の政策として知的財産市場の整備が図られるようになったことは意義深いものと言える。
 インタンジブルアセットの市場を流通整備することは、株式市場における企業評価と密接に繋がることがお判りになれば、私の提言は概ね皆さんにとって役に立つものと考えている。

 97年より特許庁では特許の流通促進を目指して、以下のような政策に取り組んでいるとのことだ。
1)特許流通を促進するインフラ整備
 (A)特許流通データベースと未利用特許活用例集の作成・公開
 (B)特許評価指標試案の策定・公表
 (C)技術分野別特許マップの作成・公開
2)技術移転仲介機能の強化・拡充
 (A)特許流通アドバイザーの育成
 (B)知的財産取引の仲介等を営む事業者情報のデータベース化
3)普及・商談機会の提供
 (A)特許流通フェアの開催

 これらの施策が効果を上げれば、特許の流通が活発化し、効率的な市場が形成されるとの期待は高い。
 一部のアナリストでは「相対で既に市場は存在している」との指摘をする方もいて、そうした市場形成は意味がないとの辛口の意見もあるだろうが、これまで実現できなかった特許評価に当たって、容易に市場アプローチが適用できることの意義は大きいだろう。

 ところで特許の評価というのはコストアプローチ、インカムアプローチ、マーケットアプローチの3つが存在するとの考え方があるが、発明協会が平成10年に実施した調査結果では、特許出願300社を対象に実施した結果であるが、特許の価格の決定については研究開発に要したコストに見合った金額を定める方法(コストアプローチ)が最も多い。次いで自社製品で利用したり実施許諾をしたら得られたであろうキャッシュフローを見積もって算定する方法(インカム・アプローチ)が多く取られているとのこと。
 金融界では融資の際の担保として、土地などの物的な資産を対象としてきたが、彼らの能力を超えた担保対象と考えられる特許などの資産に対しては、信託法の問題もあって担保となり得なかった。

 さて、特許の事業化というと私がここ1年にわたり支援してきたNPO団体の日本パテントリサーチアソシエイツ(JPRA)の活動はかなり先進的である。特許の入札会を過去1年以上にわたって行ってきた実績が特許庁に認められて、9月25日から27日にかけて東京ビッグサイトで開催される独立行政法人 工業所有権総合情報館主催の特許流通促進セミナーの中で、初日に開催される特許入札会を開催することになったのだ。これには私も1アナリストの立場で出席を予定している。
 皆さんもついでのことがあればぜひお立ち寄り願いたい。日時は9月25日10時半から16時15分まで。企業、銀行、証券会社、ベンチャーキャピタリスト、エンジェル、民間知財業者、弁理士、弁護士、個人事業家、特許流通アドバイザーといった方が一堂に会して、公開の場で特許入札会を行うことになっている。
 知的財産の事業化への客観的評価、市場価値という社会的尺度を図る上で、多くの関係者が集う場で行うこの特許入札会は今後の特許流通市場の活性化に向けて大きな効果を担っている。
 なお、当日はJPRAとオークネットが共同で衛星通信・専用回線を使ったリアルタイム特許オークション事業化を提案することになっている。
 特許の流通は中古車のような訳にはいかないだろうから、この取り組みが成功するとはにわかに信じ難いが、新たな試みとして評価したい。

 こうした取り組みはまだまだスタートしたばかりであるが、今後も日本経済再生に向けての取り組みとして、様々な形で実行に移されるだろう。
 億の近道に集う皆さんの中には、日夜研究者として最先端の分野で活動されている方もお見えと思いますが、自分の研究が知的財産としてどのように評価されるのかを知りたいとは思いませんか?いや、そんな必要はないと言い切る方も多いでしょうが、青色LEDを巡る日亜化学、豊田合成、中村先生の争いは他人事ではないでしょう。今回、ようやく日亜化学と豊田合成の間で和解が成立したようですが、新たなR&Dシステムの構築が社会全般にとっても必要な時期にさしかかっているとも思われます。
 企業はきちんと知的財産をめぐる会計処理方法を開示し、少なくとも大きな特許紛争に巻き込まれないように戦略を構築しないとならないでしょう。
 担当の研究者にとっても、企業に所属している以上は経営トップとしっかりとした交渉や話合いをしておき、企業価値を高める努力をして頂きたいものです。(炎)

(次回はその2として特許の信託化についてレポートしたいと思います。)

 

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8
2002/09/09 今週の株式相場展望
炎のファンドマネージャー

 

 【先週の相場を振り返って】

 先週の株式相場は、これまで下値の目途と考えられてきた日経平均9500円を割り込むと一段安の動きになった。7日連続安のあと、木曜日は一旦は反発の動きを示したが、依然として下値不安が強く、多くの市場関係者が下値目途として8500円や8000円という水準を予測。また、戻り目途が今度はこれまでの下値目途である9500円になるとの見方があり、投資家の買い意欲は鈍ったままとなってしまった。
 市場には悲観ムードが漂ってしまい、日経平均は9月6日には一時8969円の安値をつけるなど、19年ぶりの安値水準となったが週末の終値は9129円となった。
 一方、NYダウは7月24日の安値7532ドルから8月22日の戻り高値9077ドルまでの半値押し水準である8300ドル水準まで来て多少抵抗している。NASDAQも7月24日の安値1192ポイントから8月22日の戻り高値1426ポイントまでの半値押し水準である1309ポイントを多少下回ってはきたが、安値1251ポイントで反転の動き。 振り返ってみると米国株より日本株の方がパフォーマスが悪い結果となってしまった。
 セクター別に見てみると週半ばから反発の動きを示したのが石油、ゴム、自動車、銀行、証券、不動産、通信、ガスなど。とりわけガスは前週の603ポイントから615ポイントへとプラスとなった。

日経平均週末株価 9129円
   前週末比▲490円 (▲5.1%)

TOPIX 894ポイント
  同▲47ポイント(▲5.0%)

日経店頭平均 1093ポイント
  同▲50ポイント(▲4.4%)

NYダウ     8427ポイント
 前週末比▲236ポイント(▲2.7%)

NASDAQ 1295ポイント
 同▲19ポイント(▲1.4%)

 

【今週の株式相場展望】

 週末の米国株が反発して終えたことに加えて、小泉首相の緊急経済対策指示を受けて20日に政府から上場投信の買い付けなど株価対策が打ち出されるとの報道もあり、売り方もこれ以上売り込みにくいとのムードが出る可能性があり、週初は多少の反転が期待できるだろう。少なくとも9000円割れから8500円までの下落過程が今週に見出されるなら、格好の買い場と判断する投資家も多いだろう。
 問題は一旦の戻りがあった後であり、ここではあくまで戻り相場と割り切って対応することが肝要となろう。
 米国のイラク攻撃のスケジュールが近づいていることは多くの投資家が注意している点だろうが、実際に米国が行動に移すことになれば市場にとって波乱要因になるだろう。
 今週は1年前に起きた9月11日のあの忌まわしいテロ事件を思い起こさせてくれる週となるため、株式市場にとってもその時の比較がなされることになろう。米国としては1年前に比べて復興した力を株式市場の復活で示したいところだろう。
 アジアでは来週17日にわが小泉首相が日朝会談に臨むことになった。外交の季節でもあるが、帰国後の20日に打ち出される緊急経済対策への関心が高まることになるが、国民全般に危機意識が不足していることが株式相場にとってはなおも下値模索の余地を残すことになりそうだ。前回、今月の相場について、「9月13日のSQ控えで、デリバティブを絡めて9月第2週まではなおも下値模索を予想。その後は中間期末を意識した動きや、中間配当取りの動きも活発化すると考えられる。」とコメントしておいたが、基本的にはこうした考えには変化がない。但し、短期狙いの投資家にとって今週はデリバティブを活用するとかなりエキサイティングな成果が得られることになりそうだ。2日新甫は確かに荒れてきているが、まさにこうした局面をチャンスと考えるかどうかが各投資家の運用成果の分かれ目となることも否定できない。
 全体相場の波乱が、個別株も影響を受けやすいだろうが、ここでは9月中間決算の動向を見極めて投資行動に出ることが肝要と見ている。
 短期投資ならインデックス連動型の銘柄で極力業績動向の明るい銘柄の突っ込み狙いで対応することが良いだろうし、中期狙いなら高配当率銘柄、低PER銘柄などの中でできるだけ成長性が高く事業の展開が明るい銘柄をじっくりとチェックしながらコツコツと買うスタンスで臨みたい。

**本日は想定通り株式相場は反発の動き。但し、ここからの戻り相場後の展開がポイント。波乱はあると見た方が無難だろう。(炎)

 

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2002/09/06 為替相場動向
生涯遊人

 

 今週、ドルが売られた背景には、3つの理由がある。
1)アメリカの景気指標の数字が悪かった。
2)それにより米国株の下落が加速した。
3)日本株の下落により損失を抱える日本の機関投資家が唯一、利が乗っている外国債券を売り、日本に資金を戻す動き、所謂リパトリエーションが9月の決算期を前にして加速した。

 これらの理由で116円台までドル円は売り込まれた。1)と2)の理由はドル売り要因であり、3)の理由は消極的な円高要因である。

 外国為替市場は2国間、あるいは多国間の要因の綱引きであるから両方とも悪い材料であっても、どちらかがより悪いかということで今回、米国株の下落が日本株の下落を上回った格好となった。
 日米ともに、今回の景気回復が短期間で成し遂げられると思われている方はあまりいないと思う。やはり景気回復、株価の回復にはかなり時間がかかるのではないだろうか。
 日米ともに債券の価格が上昇し、長期金利が下落を続ける流れはしばらく続くのではないだろうか。

 政治的な要因としては、米国のパウエル国務長官の政権1期目で辞任するという報道がドルにとっては、悪い材料となった。
 ブッシュ政権内では、対イラク政策に関しては3つの派閥があるという。
1)パウエル国務長官、マイヤーズ統合参謀本部議長らの穏健派。
2)チェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官らのネオコン派
3)ブッシュ大統領、ライス補佐官らの中間派である。

 ネオコン派というのは新保守主義と呼ばれ、イラク即時攻撃に積極的な派閥だ。夏ぐらいまでは、穏健派の巻き返しにより、戦争回避が予想されたが、ここにきてパウエル長官の進退から、ネオコン派優勢で対イラク戦が間近なのではないかとの憶測が台頭してきた。
 当然、戦争は経済に(国防産業以外の)悪影響をあたえ、経済政策の失策を戦争によって隠そうとするブッシュ政権に対する疑問が、ドル売りに拍車をかける展開となった。
 戦争は米国にとって財政支出であり、財政赤字の拡大を意味し、このこともドルにとっても株価にとっても悪材料となる。

 戦争、テロとの戦い、低迷する株価、経済情勢いずれをとっても短期的に世界経済が上昇する要因はみあたらない。各国中央銀行は、とくに米国はさらなる金融緩和をめざし、より効果がある時期を見計らっている状態であろう。

 1−2年のタームでみれば、さらなる金融緩和の継続、株価の低位安定が続き、金融緩和の効果が出はじめ、資金がジャブジャブになり、それがやがて株式市場に回帰してくるまでは、今しばらくの時間がかかるのではないだろうか。(生涯)

 

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2002/09/06 パンジシールの獅子
小野小町

 

 「9.11」の2日前、アフガニスタンでもうひとつのテロが発生しました。標的となったのは北部同盟の指導者、アハマッド・シャー・マスード(1952〜)。ちなみにマスードは戦闘名で現地の言葉で「運のいい人」という意味です。旧ソ連の7度にわたる攻撃を退け、敵将から別名「パンジシールの獅子」と恐れられていたゲリラ戦の天才です。

 私が初めてその名を知ったのは2000年の冬でした。もともと写真集を見るのが趣味なのですが(好きなのは土門拳やユージン・スミス等)、たまたま図書館で見た長倉洋海氏(1952〜)の「旧友の手紙を読むマスード」という写真が印象に残っていました。

 その後、写真展が開かれたので見に行ったのですが、たまたまその日トークショーがあり長倉氏からアフガニスタンの話を聞きました。同氏がマスードに初めて会ったのは旧ソ連侵攻後の1983年、以来度々この地を訪れては取材を続けています。

 伝聞で人を評価するのは危険なことですが、マスードは誰にでも分け隔てなく接する人柄で、民衆から慕われていたそうです。捕虜も拘束・拷問することなく2年たてば本国に帰していました(中には帰りたがらなかった者もいたそうです)。それまでアフガニスタンがどこにあるのかすら知らなかった私ですが、新聞に記事が載ると目を通すようになり、彼は今頃砂漠の中で厳しい戦いを続けているのだろうかとぼんやり考えたりしました。

 パキスタンの支援を受けたタリバンはその後も圧倒的な強さを見せ、国土の9割を制圧。追いつめられたマスードは2001年春に欧州へ出向き「これは内戦ではなく侵略戦争である。パキスタンの支援を止めてくれれば半年でタリバンを追い出してみせる」と訴えました。また「このままアフガニスタンのテロリストをほっておけばいずれ世界中にそれは飛び火する」とも言いました(この話を聞いた長倉氏も当初は大袈裟な話と思ったようですが)。

 欧米の支援を必要としていたマスードですが「私達は物乞いに来ているのではない。決めるのはあなた方だ」と最後まで毅然とした態度を貫きました。しかし支援は得られず、成す術もないまま暗殺の日を迎えました。

 現在、アフガニスタンは平和への一歩を踏み出そうとしています(大統領が暗殺の危機に遭うなど基盤は脆弱ですが)。ところで元々この地にテロリストを集めたのは他ならぬ米国です。冷戦時代、旧ソ連の南下を防ぎたかった米国は世界中からテロリストを呼び寄せ養成所で訓練を施しました。マスードも、かのビンラディンも元はここの出身です。

 冷戦後、各国のアフガニスタンへの関心は薄れましたが、残されたテロリスト達は世界中に散らばり不気味に暗躍しています。
 現在、米国のブッシュ大統領は、イラクへの攻撃を検討していますが(国際社会や政権内の同意が得られるかは疑問ですが)、テロ撲滅には武装もさることながらその根底にある貧困の解消も重要と思われます。

 話は変わりますが先日、南アフリカのヨハネスブルクで環境開発サミットが開かれ約180カ国の代表が話し合いました。しかし更なる援助を要求する途上国と不況下で援助疲れの感のある先進国の溝はなかなか埋まらないようです。過去の代理戦争、経済発展に伴う環境破壊いずれも第一次産業への依存度の高い途上国に被害は集中してきました。

 中でも今後、懸念されるのが水不足です。今後30年間で水の需要は世界的に5割増え、全人口の半分が水不足に直面すると言われています。水はその地域の経済や衛生に深く関わっており、放っておけば食糧不足や感染症、更なる貧富差の拡大が予想されます。ちなみに日本はフランスに次ぐ水の輸出国で、海水の淡水化プロジェクトでは世界シェアの半分を占めるなど技術面での期待が寄せられています。

 さて「平和が訪れたらもう一度大学へ戻り勉強したい」と言っていたマスードですが、今仮に生きていたら何を考えただろうと思うことがあります。彼は高邁な思想は掲げず、常に身近なところから改革を実践しようとした人でした。私は普段「平和」等について考えたりする方ではありませんが(せいぜい悩むのは今日のおやつは何かとか←平和)、あれから一年と思うと少し胸に重いものを感じる今日この頃です。(小町)

 

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5
2002/09/06 防災関連銘柄
海パン刑事

 

 先日8月30日付の新聞各紙で、政府の中央防災会議が東海地震について最悪のケースでは死者8100人、建物の全壊が23万1400棟にのぼるとの試算が出ておりました。
 9/1の防災の日にちなんで、防災(地震)関連をピックアップしてみました。リスクヘッジで組み入れてみるのはいかがでしょうか?

【耐火金庫】

キング工業(7986) ペイオフ、金庫窃盗団関連も

【火災警報装置】

能美防災(6744) ホーチキ(6745)

【防護服】

帝国繊維(3302) 救助器具、防災服など防災関連で収益の大半を占める。

【防塵マスク】

重松製作所(7980) 産業用防毒マスクシェア8割。米3Mが2位の株主。
興研(7963) 防塵・防毒マスクの大手。防衛庁向け独占供給。
両者火山灰、瓦礫の灰対策にも。

【住宅関連】

積水ハウス(1928) 住宅業界トップ企業
大和ハウス(1925) 住宅業界2位。
文化シヤッター(5930) シャッター業界2位。
三和シャッター(5929) 業界トップ。
INAXトステムホールディングス(5938) アルミサッシ最大手。

【ゼネコン・道路会社・橋梁】

ほとんどの上場企業
 ただし、地震がくる前に倒産しない企業を選びましょう。
日本舗道(1881) 日石三菱の出資比率は55%強の道路舗装トップ。
前田道路(1883) 業界2位。
横河ブリッジ(5911) 橋梁トップ企業。

【鉄鋼】

新日鉄(5401)など

【免震関連】

オイレス工業(6282) 免震装置トップ。
バンドー化学(5195) 免震装置。
積水化学(4204) 免震システム
東洋ゴム(5105) 免震ゴム
ニッタ(5186) 免震ゴム
昭和電線電纜(5805) 免震装置。ただし、有利子負債大。

【ソフト・調査・GIS】

システムソフト(7527) 自治体向け災害支援システム
応用地質(9755) 地質調査業界トップ。地震の予測、解析、調査など。
応用技術(4356) 自治体向けGIS(地図情報システム)
ドーン(2303) GISエンジン

 もちろん、防災(地震)関連はたくさんあるため、上にあげた銘柄はほんのわずかです。
みなさんで穴を埋めていただければ幸いです。(海パン)

 

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2002/09/03 企業分析:日東電工(6988)
大原部長

 

 ●企業分析 日東電工(6988) ☆☆☆☆☆ by 大原 & 満月

【株価評価 買い】

バリエーション:☆☆☆☆ 10年間の長期成長率10%程度が可能で現状のPE30倍以下
競争力:☆☆☆☆☆ 光学フィルムは60%を超えるシェア
経営:☆☆☆☆☆ グローバルニッチ戦略の正しさとコスト管理能力の高さを証明している
財務内容:☆☆☆☆ 自己資本比率60%以上で合格点
 10年以上の長期に渡り成長を確信できる数少ない銘柄のひとつ。目標株価は10年で1万円程度。

【日東電工の経営】

 「グローバル・ニッチ」を戦略に立て、「変化はチャンス」をスローガンとする素材メーカ。

 山本社長は述べている。
「経営者は技術の細部を理解する必要はない。だが、経営者は、技術に多大な関心と興味を持ち、顧客のニーズを汲み取りながら、企業の長期に渡る成長を成し遂げるためには、技術をエンジンとして、事業展開に有効活用しなければならない」
「トップ・マネジメントの使命とは、技術者を勇気付け、鼓舞し、技術者に執行権を与え、最終的に、収益という結果を得ること」

「技術者に義務と責任感を持たせるような経営」を目指す。
 新製品の比率が全売上の30%を超えるのも、経営者がしっかりと新製品比率を経営の数値目標として掲げ、達成する努力を怠らないからに他ならない。

【経営のトラック・レコード】

 経営者の功績は4つの新分野を切り開いたことだろう。

1)液晶パネル向けの偏光膜を中心とする光学フィルム事業(世界シェア60%で1位)
2)医療分野における粘着テープ応用製品群
3)半導体チップ向けの封止材料(住友ベークに次いで世界2位)
4)HDDヘッド向けフレックス・プリント基板(世界2位)

 数字は以下の通り。
 投資家にとって最も重要なEPS。
 94年3月のEPSは44円。5年後の99年にはEPSは倍近い93円となった。88年には1780億円程度の売上は、昨年度3380億円まで成長させている。
 過去15年の平均営業利益率は6%だが、最近5年間の営業利益率は7.4%と改善傾向にある。
 フリーキャッシュフローは毎年のように黒字を達成してきた。

【経営の決断力とスピード】

 昨年度、日東電工の伝統的なビジネス、工業用テープ事業の営業利益率が過去最低水準の2.5%に落ち込んだ。
 経営者はリストラを前期中に決断し、700人の人員整理と不採算品種からの撤退を指示した。
 その結果、工業用テープ事業は利益率を5%を超える水準に回復させている。
 ボードメンバーは20人から14人に削減している。また、自社株買いもストックオプションの導入も決定している。

【財務内容】

自己資本比率60%を超える。流動比率は2倍を超える。売上高回転率は1倍と資産効率はまずまず。
 7000種類を超える工業材料を扱っている企業としては上記の数字は申し分のないものかもしれない。
 多くのプロダクト・ラインを持つ企業は往々にして管理が緩くなる傾向があるためだ。
 少人数のビジネスユニットごとにBSとPLを導入が始まっている。この新システムの導入はさらに組織運営をきめ細かいものにするだろう。

【日東電工の競争力に関するコメント】

●高いシェア(光学フィルム)
 光学フィルムで60%を超えるシェアというのはそれだけで差別化要因になる。ライバルと比べて3倍近い能力を持てば、ライバルが赤字の時にも黒字となるだろう。

 たとえば住友化学というライバルとの比較を以下に行った。数字はあくまで推定である。

光学フィルム事業の推定値
 
日東電工
住友化学
フィルム売上
1000億円
200億円
材料費
600億円
130億円
償却費
50億円
20億円
人件費
50億円
20億円
その他固定費
100−150億円
30億円
営業利益
150−200億円
10億円
利益
110億円
5億円

投資余力で見ると110億円÷5億円で22倍の差になってくる。価格低下の影響でライバルが苦しいときに、敢えて大きな投資をしてくるだろう。その戦略は正しいと思われる。

●光学フィルムと封止材料という事業の性格
  最終部材に比べて価格が安いが、最終工程にあり、それまでの多くの工程を全部駄目にしてしまう危険がある、そういう重要な部材。
 光学フィルムや封止材料というのは、トップ企業が安定的な供給ができるだろう。液晶パネルのせいぜい数%の価値しかない光学フィルムを値切って、パネルメーカが大きな損を被ることは十分予想できる。
 3−4%に過ぎない部材ではあるが、消費者の目にさらされるとき、光学フィルムの出来はかなり見た目に重要だ。
 液晶パネルは顧客が目視で選べる。質の低い光学フィルムを使って一本でも干渉縞が見えたら、パネル自体がパーになってしまう。
 よって、長年の信頼関係があり、過去大きな問題を起こしていない日東電工からサプライヤーを変えるという決断はメーカはしにくいだろう。

 同様のことが封止材料にもいえる。
 封止材料を信頼の薄いメーカに切り替えて不良になれば、チップそのものがパーになってしまう。数滴の材料のせいで前工程のチップの製造努力が泡となる。
 最終価格と比べて、フィルムや封止材料の値段はしれている。

●川上メーカが出てこない
 富士フィルムやコニカなどの光学フィルムの保護フィルムメーカは偏光膜のビジネスを手掛ける意思がない。川上からの脅威がない。
 富士やコニカにとっても、材料を大量に消費してくれる日東電工は大口顧客であり、お互いにハッピーな関係を築いている。(意思があっても勝てないだろう。その理由は後述する)

●圧倒的な供給量を確保し、参入を未然に防いできた
 市場の需要に見合う能力を絶えず保有してきた。参入者や下位メーカーへの痛烈なメッセージである。

●開発力とマンパワーに秀でている
 液晶は急激に伸びている。そのため、絶えず最先端のものが投入されている。研究開発を前もって余裕を持ってやることができない。
 マンパワーがあり、顧客からのニーズが最も先に入るトップランナーが最も有利になっている。
 大手パネルメーカの中には光学フィルムについては日東電工に任せきりにしているところもある。

●コストダウンの余地がまだある
 廃棄される材料コストが売上の数割を占めている。半分以上が破棄されているため、抜本的な材料費の削減が将来可能になるかもしれない。
 原理的には大型液晶の比率が上がれば上がるほど、破棄される材料比率は下がるようになっている。光学上、斜めにフィルムを切っているためで、フィルムサイズを大きくすることで捨てる量を少なくできるからだ。フィルムの幅は毎年拡大傾向にあり、コストダウン余地は十分にあるだろう。
フィルム幅の拡大に加え、新材料の開発、フィルム厚の削減、共通モジュールの提案など、コスト削減の方向性は多岐に渡る。
 フィルム幅の拡大は一定の受注を確保する必要があり、ここでもトップ企業が恩恵を最も受ける構図が現れる。ちなみにフィルム単層の厚みは毎年薄くなってきている。

●新素材と知的財産で優位に立っている
 最近の注目点は輝度向上フィルムなどに用いられるコレステリック液晶(複屈折率材料)だろう。
 コレステリック液晶を反射偏光板として利用するためには、高分子設計・合成技術・薄層塗工技術・光学設計技術・製造技術・評価技術がハイレベルで要求される。3次元方向のコレステリック液晶のピッチまでをも高精度に制御している。フルカラーLCDパネルでは単一波長ではなく広い可視光域(少なくともRGB)を対象とするがゆえにより高度な技術が要求される。高度な技術で明確な差別化が達成できている。さらに特許で技術を保護しておけば他者の新規参入はさらに困難となる。最近の経済状況の中での日東電工の好業績はこのような勝ちパターンを反映している。
 特許の数でいえば、ライバルのサンリッツや住友化学の10倍以上の数を光学フィルムでは押さえている。

●参入リスク小:技術的な参入障壁−光学接着剤が屈折率を好みに制御している
 光学接着剤の設計力が高い。光学接着剤は、保護フィルムや先ほどのコレステリック液晶などの分子材料とを張り合わせるときに必要になる。
 屈折率の制御は、応力がかかると物質の構造が変ってしまうため、引っ張り具合一つとっても、わずかなストレスでその部分の屈折率が変化してしまう。
 日東電工は小数点第4位まで屈折率を制御できるとあるが、ライバルにとっては、第4位まで屈折率を計測するだけでも大変なことだろう。そして、接着剤そのものも屈折率をもつため、接着剤と光学フィルムとの屈折率の差をあらかじめ、設計段階である程度吸収していると思われる。

●プラットホームのリスク小:フラットパネルに必要になる汎用的な技術である−有機ELでも偏光フィルムは必要になる
 フラットパネルならでは必要になるのが光学フィルムである。ELなどの自分で発光する素子においても、フラットパネル化することで、外光がパネルの電極などで反射して干渉を起こしてしまう問題点が必ず発生する。よい光学フィルムを使うことが製品の差別化につながるだろう。

●代替リスク小:動画対応などの技術の進歩や技術革新の波にさらされない
 フィールドシーケンシャルなどの動画対応で不要になるかもしれないカラーフィルターなど、他の部材には代替のリスクが付きまとうが、偏光フィルムは代替のリスクがほとんどない。

リスク

●光学フィルムの価格低下リスク
 液晶光学フィルムで利益の半分を稼いでいるが、その光学フィルム事業の営業利益率がピークアウトするだろう。数量はまだまだ伸びるだろうが、利益率の低下のリスクが付きまとう。

●液晶関連銘柄としての市場の位置付け
 仮に上記のような優位性を有していても、液晶関連銘柄とのレッテルを貼られているため、利益がしっかり出ていても、液晶市況などに株価が影響を受けるだろう。

●タイミングのリスク
 昨年の9月、10月に2300−2400円で日東電工を推奨することができたが、液晶市況が悪いときに買い、よいときに売れば、倍程度のリターンになったことになる。いま、どちらかというと液晶市況が悪くなる局面であり、無理して焦って高値を買うこともない。だが、3000円割れは衆目の一致する買いのレベルであろう。

参考:
 偏光フィルムというのは、フィルムで光を吸収することを利用している。洗濯糊(PVA)を乾かしてヨードチンキの塗りドライヤーで乾かしながら引っ張って2−3倍の伸ばすことで出来上がる。
ヨードチンキに含まれるヨウ素がほどんどの色を吸収する。
ヨウ素は引っ張られて直線的に並ぶ。
その直線上の光が吸収されて、垂直方向の光が抜けるという仕組みで原理上50%の光は吸収されて熱になる。
フィルムは引っ張られるために、方向によって密度が違ってしまう。
分子の並び方が方向によって違うと屈折率が違ってくる。このことを複屈折率と呼ぶ。

さて、屈折率が違うと光の透過するスピードに差がでてきてしまい、干渉やちらつきの原因となる。
ちなみにアクリル板なども製造工程に引き伸ばし工程が入っていると、必ずこういう複屈折率を持つようになる。
 日東電工は、複数の膜を接着する光学接着材を自社で設計している。
鍵は、この光学接着剤であり、その設計によって屈折率の差を吸収していると思われる。
張りあわせでボイドができたときに、その影響を考えて接着剤のまぶし方などを調整している可能性もある。
膜厚も問題である。
屈折率の差が同様だと、膜厚が大きくなると、膜の中の光の波の数が多くなる。
するとわずかな波長の差で影響がでてしまい都合が悪くなる。

 ビニールを伸ばしただけの製品にどうして付加価値があるのだろうか。投資家であれば、彼らの技術障壁の低さを危惧するのは当然のことだろう。安く大量に生産できるフィルムであり、その光学接着剤についても、高価な材料は何一つ用いていない。

 固定費も驚くほど低い。ならばどうして彼らの高いシェアは達成できたのであろうか。もちろん、開拓者であったというスピリッツに負う事も大きい。前述したように、技術的な強みもないわけではないのである。

 新規参入や、川上や川下との交渉力、要素技術や、組織の運営力、そして財務力など、総合的に見て、もっとも安定している会社のひとつであろう。

 さて、ゼミの水曜版でも満月さんから偏光フィルムの原理についてはかなりの詳しい説明があると思うので、満月さんのレポートを参考にしていただきたいと思う。(大原)

 

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3
2002/09/02 見捨てられたナスダックジャパン銘柄を育成しよう!!
炎のファンドマネージャー

 

 米NASDAQがナスダックジャパンからの撤退を決めたこともあって、このところのNASDAQジャパン銘柄は人気が離散している。今日取り上げてみたレントラックジャパンもその一つ。決して業績が悪くなっているのではないが、株価は上場して以来冴えない展開が続いている。
 多くの皆さんがNASDAQジャパン銘柄だからという理由だけで忌み嫌っているのなら、そうした誤解を解かないとならない。以下は同社についてのプロフィールである。

レントラックジャパン(2314・NJ) 時価 915円

今期予想連結EPS105.1円
同PER8.7倍
時価総額54億円
今期予想経常利益11.8億円
今期1株当たり年間配当金14円配当利回り 1.5%
上場日 7月30日 ナスダックジャパン市場
本社 東京都渋谷区恵比寿
資本金 2億6000万円(02年3月31日現在)
上場時発行済株式数 589万株公募70万株 売出47万株
大株主
 マスダアンドパートナーズ 42.08%
 増田 宗昭 29.73%
 有線ブロードバンドネットワークス 3.29%
 日下 孝明 3.20%
単元株 100株
公募価格 1300円
幹事証券 新光
事業内容 映像ソフト及び音楽CDソフト等の加盟店への貸与及び販売事業等

【事業の概要及び資本関係】

 同社は主にPPT(Pay Per Transaction=出来高払い制による収益分配方式)システムを使ったビデオレンタル店向けの映像ソフト(VHSソフト・DVDソフト)等の貸与・課金サービスを行っている。PPTとは米レントラック社が開発した仕組みで、映像ソフトメーカー等(作品の著作権や作品供給者等)から同社に貸与される映像ソフト・CD等を期間限定でPPTシステム加盟店舗に貸与し、加盟店においてエンドユーザーにレンタルされた出来高に応じて加盟店、映像ソフトメーカー等及び同社にて収益を分配するシステム。同社のPPTシステムの仕組みは映画業界における興行収入に応じた収益分配方式と同じ考えに基づいている。
 同社はもともとはCCC(蔦屋書店の展開を行っているカルチャーコンビニエンスクラブ)と、米ポートランドにあるレントラック社との合弁でスタート。
 蔦屋書店以外にも加盟店を広げていく狙いから、CCCとの提携を解消。現在はCCCの増田社長が個人名ないし個人企業名で大株主になっている。また、レントラックからは4月に日本とアジアの営業権を買い取り、資本関係はなくなった。

【PPTのビジネスモデル】

 同システムにおいて加盟店は初期コスト(ハンドリングフィー・1本当たり1000円程度)を支払った上で商品を一定期間借り受け、エンドユーザーのレンタル回数に応じた売上(トランズアクションフィー・レンタル料金の半分)を一定の比率のもとで加盟店・映像ソフトメーカー等・同社の三者で分配する形になる。また、リース期間終了後に加盟店がPPT商品を買い取る場合においても、対価(リースアップフィー・ビデオであれば1年で、DVDなら2年で期間満了)が発生する。同社にはこの3つの収入が得られる。

【このビジネスがもたらすソリューション】

エンドユーザーのニーズ…見たい時に見たい、多くの作品を見たい
PPT…導入コストの低減が可能
ビデオレンタル(加盟)店…大量導入 品揃え充実
エンドユーザー…見たい時に見られる、多くの作品を見られる
ビデオレンタル(加盟)店…収益増
映像ソフトメーカー…収益増

 上記のように、エンドユーザーの満足度を満たすことが映像ソフトメーカーやビデオレンタル店の利益の最大化、ひいては業界の発展につながるとの考えのもと、三者の満足度を向上させるためのPPT関連事業を中心に事業基盤を拡大してきた。
 同社ではこのPPT事業を支えるインフラ構築のための受発注・請求システムや、物流システム等の構築に努めてきた。この結果、市場ニーズにマッチした作品選定と、作品ラインナップの充実を図るためのマーチャンダイジング等の同社独自のノウハウが蓄積されている。同社ではPPTシステムで供給される商品の編成から提案、プロモーションまでトータルサービスを提供している。

 同社のPPTシステムへの加盟店舗数は、前期末で全国に3235店舗となっている。全国にはビデオレンタル店が約6500あるとされるが、このうちの約半分に既に導入されている。また、ビデオメーカーのうち139社が利用。但し全タイトルとは限らないし、売り切りもある。
 同社は年間約500万本の映像コンテンツの単品管理を行っているが、これはPPTにより構築してきたプラットフォームが支えているのである。

 同社は創業して13年で映像メーカーとレンタルショップの関係を構築。業界全体がほぼ横ばいで推移する中にあって、同社の業績は順調に推移してきた。
 現状の事業環境も相変わらず厳しいが、VHSからDVDへの移行期にあたり、メーカーによるDVD流通における商品管理ニーズが増大。PPTシステムへの評価も上昇してきている。
 また、ビデオレンタル店の大型化進展、中古ビジネスの拡大がフォローとなり、DVDの貸し出し増が業績に貢献している。
 なお、現状の加盟店3300店のうちDVDレンタルの取り扱い店は2300店であり、今後更に伸びていく方向にある。
 また、同社ではWEBを通じて収益の最大化を図ることができる最適発注本数提案システムの導入を蔦屋(TSUTAYA)以外の各加盟店に働きかけ、効率の向上に努めようとしているほか、MPP(マルチパーパスプラットフォーム)の展開を図り、DVDだけではなく音楽やゲームレンタルまでカバーしようとしている。
 また、新規チャネルとして都心の家電量販店や海外事業(韓国など)にも注力。次世代事業として長期的な展望に立って、ブロードバンドへの取り組みも行っている。既存事業だけでも成長性は高いと言えるが、こうした新たな取り組みによって更なる成長を図る構えである。

【ポイント】

1)13期連続の増収を達成しており、今後も更なる継続的な成長が可能であること。
2)独自性の高いビジネスモデルを構築し、業界シェアがナンバーワンであること。
3)ITインフラの活用によってDVDレンタルの普及を強力にサポートできること。

業績推移 (単位:100万円、円)
単独
決算期
売上高
経常利益
税引利益
EPS
配当金
2002.3
23240
1076
395
76.16
2003.3E
26008
1175
614
104.24
−−
           
連結
決算期
売上高
経常利益
税引利益
EPS
2002.3
23605
1049
360
69.41
 
2003.3E
26400
1187
619
105.1
 

 同社の平成15年3月期第1四半期連結業績は、売上高5,537百万円(前年比4.2%減)、営業利益は372百万円(同81.0%増)、経常利益は357百万円(同94.7%増)となり、営業利益、経常利益ともに大幅に増加した。これは、PPT関連事業において、ワールドカップ開催の影響があったものの、DVDソフトの出荷枚数が23.6万枚(前年比55.3%増)と順調に推移したため、売上高が若干の減少にとどまる一方、利益率の高い取引が少なめに推移したことや、一時的に広告宣伝費が減少したこと等によるとしている。足下の業績は好調であり、今期の業績見通し(単独決算)は表記の通りを見込んでいる。

 また、同社は、株主に対する利益還元を経営の最重要事項の一つとしており、株主還元の一環として、今期1株当たり配当予想を前期比2倍の14円にすることを公表した。

*8月29日に850円まで下落した株価であるが、本日は940円まで戻ってきた。(炎)

 

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2
2002/09/02 ラ・パルレ(4375)に対する見方
炎のファンドマネージャー

 

 週末の小町さんの体験レポートは興味深く拝見させて頂きました。私も既に2回ほど先方にお邪魔しておりますので、小町レポートは大いに考えさせてくれるものでありました。ただ、単に体験レポートという一方的な視点ではいけないと思いますので、今日は会社側への質問に答えてもらうことと致しました。
 なかなかエステ業界というとイメージが悪い状態が続いておりますが、業界初の上場ですので理解不足のところもあろうかと思いますので、このあたりを踏まえてご紹介しておきたいと思います。
 なお、本日の株価は15.5万円。PERは7倍の水準。時価総額33億円が割高か否かは皆様の判断にお任せします。

 まずは、先日私の有料メルマガで配信した内容を掲載しておきたいと思います。更に、今回の小町さんの体験レポートにあった点を会社側のIR担当者にぶつけて答えて貰いましたので、それも掲載しておきたいと思います。
 私も暇を見て実際にエステを体験してみたいと思っております。エステ体験の炎のファンドマネジャーにもご期待下さい。


1.アイリス有料レポートから

■産直銘柄 2002/07/10■
●ラ・パルレ(4357・J)
 時価21.3万円
 今期予想EPS2.266万円
 時価総額 54.5億円
 今期PER 9.4倍
 訪問日:7月8日
 訪問先:経営企画室室長 荻原健一
      経営企画室 経営戦略課 課長 田嶋新一郎

 エステティック業界初の上場ということで上場時に注目された同社であるが、上場後の人気は今ひとつである。
 それでもPERが低い点や、個人投資家にとっては買い易い点などを評価して、企業訪問を試みてみた。
 その結果、評価すべき点があったので、本日は産直銘柄として紹介することとする。

【産業への考え方】

エステやマッサージ業は医者以上に顧客と健康を語り合える人たちである。その人たちの教育と意識向上に成功した企業は、社会貢献度が高まるだろう。

【企業概要と類似企業】

全国に直営エステティックサロン「ラ・パルレ」を展開している。前期末の店舗数は80店舗(北海道8、関東38、東海・甲信越16、関西・中国12、九州・沖縄6)。現社長の大石洋子氏が1代で築いた企業。会社設立は平成2年9月。
 サロンで美顔や痩身、脱毛などのサービスを提供する美容技術(02年3月期売上高構成比67.5%)、自社開発の化粧品やホームケア機器などを販売する商品販売(同29.7%)が収益柱。「美顔」の業界シェアは約3%(第3位)。また、74店舗でメンズエステを併設。男性顧客比率は約30%、業界シェアは46.3%でトップ。
 類似比較企業は、田谷(4679)今期予想PER16.0倍。(時価総額98億円)

上場日 5月1日 (ナスダック・ジャパン)
本社 東京都渋谷区南平台町13−10
上場時発行済株式数 25596株
大株主 大石洋子(代表取締役社長)68.54%
 大石舞(代表取締役社長の血族)15.23%
公開株数 4300株(公募3800株、売出500株)
売買単位 1株
公募価格26万円 上場初値 27万円 高値34万円 安値18.4万円
主幹事 クレディスイスファーストボストン
事業内容:美顔・痩身等のエステ技術の提供、化粧品・ホームケア機器等の商品販売
従業員数:正社員504人、パート・アルバイト60名 (平成14年3月末)
企業理念:共に美しい身体、美しい心、美しい生き方を追求し人生の輝きを創造する
企業理念の社会的背景:高齢化社会、ストレス社会、環境ホルモン、オゾン層破壊、アレルギー&アトピー、食品への不安
事業コンセプト:エステ業界の企業活動の重要テーマ「より大きな社会的信用の確立」
  →CRMをベースとするブランドエクイティの向上
   社会的信用の獲得、一般消費者、株主への利益還元

*ブランドエクイティの向上とは「優れたサービス・商品力、顧客満足度を向上し、高レベルに維持発展させることでブランド価値を高め、顧客ロイヤリティを獲得していく。そのことで企業価値を上げていこうという、経営戦略」

【業績推移】

売上高
営業利益
経常利益
税引利益
1998.3
2855
118
127
26
1999.3
4268
432
442
150
2000.3
5787
989
1001
448
2001.3
6772
666
734
259
2002.3
6799
925
1037
413
2003.3E
7322
1166
582

                                                            

【収益・財務指標(前期実績)】

ROE 25.2%
売上高経常利益率 15.2%
総資本経常利益率 21.0%

【セグメント別売上高推移(百万円)】

受託管理他
商品
技術
98.3
2158
696
99.3
3414
853
00.3
4304
1362
119
01.3
4618
1778
375
02.3
4589
2017
193

【市場の現状と事業の現状】

主要顧客層は20代〜30代
市場規模は対象人口の増加により拡大
1997年 3639億円 → 2001年 3778億円(矢野経済研究所調べ)

 物販も含めて約4000億円の市場のうちTBCが年商400億円とマーケットリーダーの地位にあるが、同社では当面の売上100億円突破から500億円を目指す意向。このためエステ専業から上場を機にチャネルを拡大させる考え。
 このために人材のレベルアップ、IT化推進による効率化を図る。業界のスタンダードとなることですそ野の拡大を図る。
 同社では現在、TBC、高野ゆり、エルセーヌ、スリムビューティなど業界大手10社の6番目ぐらいに位置しているが、同業界初の上場でその優位性を生かしていきたい考え。同業界にありがちな不透明さをなくし、クリーンなイメージを植え付けていく構えである。同業者に比べ固定費を抑えた効率的な事業運営、高い収益性を誇っている点も特色。
 同業他社がコンビニや大手食品会社や電機メーカーと組んで展開している点から、同社としても今後大手事業者との提携によって事業の積極拡大が可能。
 同社の料金は高すぎず、安すぎず。1店舗2000万円〜4000万円が投資額。1店舗の月商は平均700万円。年商は約8400万円で80店舗で前期は68億円の売上高があった。
 今期は新規5店舗を秋口までに立ち上げる予定のほか、22店舗をリニューアルする予定(今期の予算に参入済)。来期には100店舗になる見通し。
 これまでの店舗はメンズもレディースも一緒で、レディス客の導入がしずらかったが、これを改善するためのリニューアルである。なお、レディースとメンズの売上比率は約7対3とのこと。よもや男性の比率が3割も占めているとは思わなかったが、今や日本の男達もおしゃれにこれほど気を使うようになったのかと感心した。ジャニーズ系タレントの影響かも知れないが、メンズのうちの75%が25歳以下。同社のメンズエステのシェアは46%を占めていて、2位の17.9%を引き離しているとのこと。
 なお、グレイなイメージの強かった脱毛からは上場を前に撤退。このため10億円近い売上減があったのだが、これをカバーして前期は売上を横バイにまでもってきた。

【店舗稼働率】
 50〜60%と低いが、まだ80%までの上昇余地を残す。このための人材確保に向け、130人の新卒と中途150人を採用。
 7月1日より組織改革を行い、人材開発課や市場開発課を設置。技術面だけでなく店舗運営まで含めたスタッフ育成を図り、革新的な組織を作る意向。店舗回転率の向上だけでなく、マーケティングをきっちりと行い、様々な企業とのアライアンスによって新規顧客獲得に努める意向。

【顧客数】
 同社には4万人の顧客がいるが、リピート率は26%。但し3ヶ月以上休みはカウントしていない(この数値の意味は不明。)
 1人20〜25万円を1シリーズで支払うが、2−3ヶ月でサービスは完了。解約率は1%と低い。客層をPOSデータで把握してリピートにつなげる意向。

【今期の業績】

 前期比7.7%の増収、上場費用1〜2億円を入れて今期経常利益は12%増を見込むが、本業だけの伸びでも+10%は見込めるほか、売上の30%占める化粧品などの外販も考えており、想定以上の伸びが期待される。
 公開を機に新サービス、新商品の導入を積極化。今秋、来春向けの企画を打ち出す予定。

【IR】

 これまでは機関投資家中心にIRを行ってきたが、7月からは一般個人投資家に向けても行っていく。既に東海東京証券にて先週末にプレゼンを実施した。

【株価】

 上場直後に34万円の高値をつけた後、6月27日に18.4万円の安値まで下落。その後反転の動きを見せ、時価21.3万円。それでもまだ公募価格26万円は下回っている。
 配当金は一株1500円と少ないが、株主優待制度で1株持っていれば10000円相当のエステチケット並びに20000円相当の入会金無料券1枚が来るので、エステに1回行ってみたい方には良いかも知れない。
 但し、1株買って長く持つことがポイントであるが、エステは長く行かないと効果がないので、結局は投資額が2倍にならないと採算に合わないことも予想される。20万円前後でエステ株を取り敢えず1株買っておいてエステ体験を楽しむのはいかがでしょうか。


2.小町さんの疑問や意見に答えて(同社IRより)

<小町さまの体験レポートでのご指摘に対して>

 同社では実際には顧客の苦情等については本社対応できっちりやるシステムが用意されており、お客様の誤解を受けぬよう誠心誠意の対応を行っているとの考えを持っている。それでもし問題が出て来た場合は、毎月の見直しを行うシステムも運用しているそうだ。

お試しコースなのにトータルで約3時間かかるとの指摘について
・説明が無いのも問題ですが、お客様の体質や肌状態・生活習慣・お客様の要望を知る上で必要な時間を入れているので「いわゆるカウンセリングの時間」が入っております。

厳しい食事制限や運動の義務はないものの(本当か?)
・楽して痩せられないのは事実であり、従ってトライアングルシステムのお話をし、必要性を伝えております。

施術は30回くらい…
手頃なコースで331,800円・体質改善からプロポーションの維持まで考えているので当社では回数設定にしております。コース料金の方もビジターで施術を行う(会員になるのではなく、1回毎にお金を払う)よりもコースで設定したほうがお客様にとってはコスト的に安いのです。(ビジターは2割高となります)

5kg痩せるのに50万払うとの指摘について
・体質改善が必要であればその分回数が必要であり、また維持する為も考えてホームケア機器等をご紹介し、見積もりを出しているのだと思います。ただし、お客様の要望に沿っている「価値観」を考えなかったことに問題があったかも知れません。

マッサージや低周波(アブトロニックの強力版)は私には少々痛かったです(効いているといわれましたが)。
・本来は体感の確認(「お強くないですか?」等、気遣い気配り)をしているはずなのですが、いかがでありましたか?

今日契約すれば割引になりますよといわれましたとの指摘について
・キャンペーン等の月には通常より割引きをさせて頂きますので、当日お申し込みがお客様にとって良い事である事はお伝えさせていただいております。ただし、これがキャンペーン月ではなかったとすれば、この発言はお客様の誤解を招くものであり、社内において再度教育研修・指導の徹底を致す所存であります。

中には学生やOL、主婦でもローンを組んで通う人がいるとの指摘に対して
・基本的には納得してからの契約を実施しています。

ソニーCPラボラトリーのサロンはフェイシャル(45分)とメイクアップ(15分)の2種類のサービスを一回2,000円と低価格で提供し成功を納めています。また仏の高級ブランド「ゲラン」が日本橋三越内に出店するサロンも、一回8,000〜18,000円という値頃感
・1回料金であればパルレもあまり変わりはありません。ラ・パルレの1施術当りの平均料金は7,617円。※全国エステ専門店フェイシャルケア料金(店舗当たり各メニューの中の)最低料金
 平均は5,149円、最高料金平均は14,306円※ソニーCPラボラトリーとゲラン他詳しくお知りになりたいようであれば、非常に面白い本があるので是非お読み下さい。エステ関係は第2章「顔」フェイスケア&メイクアップビジネスに書かれてあります。
 本の名前: 図解でスッキリ![最前線]ビューティービジネス 知りたいことがスグわかる!!
 著者: 三田村蕗子
 出版社: こう書房

美容業界は一般に個人事業主が多く、チェーン化に成功するケースはきわめて稀でした。
・日本においてエステティックサロンをチェーン展開されているところは多くございます。海外ではエステティックサロンが大規模にチェーン展開されている例は無く、海外から日本独自のものだとして非常に興味を持たれている事実があります。特に当社においてはFC展開は行っておらず、すべて直営で80店舗の経営を行っているということをアナリストやファンドマネージャーに話すとますます興味を持たれます。

料金体系等の情報開示が適切になされ、消費者が納得できるサービスを提供
・料金体系については事前説明書に明記されております。サロンにおいて料金表を明確にご説明しております。
※サロンに行かないと料金体系が分からないという点はディスクロにおいて問題だと思います。この点については当社ホームページの活用等、改善していくよう検討していく方向であります。

☆以上、長くはなりましたがご参考下さい。エステティック業界については、矢野経済研究所から「エステティックサロンマーケティング総鑑2002年度版」という調査資料が出ておりますので、それをご参考下さい。小町さんをはじめ億の近道の読者の皆さんにおかれましては弊社へのご理解を賜りますよう今後とも宜しくお願い致します。(ラ・パルレ 田嶋)

 

 

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2002/09/02 9月の株式相場展望
炎のファンドマネージャー

 

 【8月の株式相場を振り返って】

1.先週の相場動向を振り返って

 前週の流れを受けて週初こそ日経平均が10162円の高値をつけ終値でも10000円を維持したものの、その後は反落の動き。10000円台維持すら叶わず、相場の頭が重いことが確認されて週末のかけ再び下落歩調を辿った。これで7月下旬から1ヶ月以上にわたっておよそ9500円から10000円での相場展開が続いてしまったことになる。また、6月以来、3ヶ月連続して陰線をつけ、昨年9月や本年2月の底入れ場面のような展開にはなっていないことが改めて認識されつつあり、相場の先行きに暗雲が漂い始め、一段とムードは悪化してしまった。大半のセクターがインデックスに連動して下落歩調を辿っているが、この中では鉱業、倉庫、ガス株などの市況関連やディフェンシブ銘柄が比較的底堅かった。
 JASDAQ銘柄も大きな下落には至らないまでも引続き下落歩調を辿り、日経店頭平均は2月安値の1087ポイントまであと50ポイントにまで接近する場面もあった。
 この中で、久しぶりにナスダックジャパン市場にIPOしたシステムプロ(2317)が初値こそ公募価格(30万円)を下回ったものの、その後は上昇トレンドを描いたのが目についた。

日経平均週末株価 9619円
   前週末比▲248円 (▲2.5%)

TOPIX 941ポイント
  同▲22ポイント(▲2.3%)

日経店頭平均 1143ポイント
  同▲9ポイント(▲0.8%)

2.8月の相場はお盆休みもあって小動きの展開に終始

 NYダウやNASDAQが月半ばにかけ堅調に推移したにも関わらず日本の株式相場はお盆休み入りで商いが閑散となり、9月中間期末に向けての持ち合い解消売り懸念もあって買いが手控えられたことなどもあって小動きの展開に終始。日経平均の相場レンジは8月6日の安値9439円と8月26日の高値10162円の間での往来となった。NYダウは月初から一旦は8000ドル台ぎりぎりまで下落したが、その後は22日にかけて9077ドルまで上昇。月末にかけては反落の動きを見せた。7月24日のボトムから中期的な上昇トレンド入りしたとの考えもあろうが、ITバブル崩壊の傷跡が癒えていないことによる景気の先行き不透明性、イラク攻撃の可能性などこの先のNY株の動向にも意見が分かれる状況になりつつある。円ドル相場については7月19日の1ドル=115.8円をつけた後、これまでのような円高トレンドは止まっており、8月は1ドル=117円〜121円での安定した推移を示した。

日経平均月末株価 9619円
 前月末比▲258(▲2.6%)
 3月末比▲1405円(▲12.7%)

TOPIX 941ポイント
  同▲24ポイント(▲2.5%)
  同▲119ポイント(▲11.2%)

日経店頭平均 1143ポイント
 同▲43ポイント(▲3.6%)
 同▲37ポイント(▲3.1%)

 

【今週の株式相場展望、今月の株式相場展望】

 先週の地合を受けて今週は更に下値を探る展開を予想する向きが多いので、一旦は日経平均が9500円を割り込むような場面も想定されるが、運用ということを考えるとそうした悲観ムードの時こそ銘柄の選別をしっかり行ってより割安な銘柄を買うチャンスと考える方々も多いに違いない。相場の裏の裏をかくなら、総悲観ムードの時だからこそ想定される相場レンジの下限で投資が可能とも考えられる。
 基本的な日経平均の相場レンジは9500円〜10000円であることは変わりないが、ここでの膠着状態が投資家を苛立たせてしまうこともあって、再び見切り売りが出ないとも限らないので多少はレンジが切り下がることも想定しておきたい。
 もっとも株式持合解消売りの懸念は高まろうが各企業の自社株買いアナウンスメントや株価下落による投資価値向上が背景にあることが十分認識されつつあり大きな下値不安を懸念する必要はないと考えることもできる。
 NYダウやナスダックは順調に戻りを入れてきたが、今回の戻りで一応は7月でボトムを入れた格好となり安心感は出ている。今後は7月安値に対する2番底形成がイラクへの攻撃ムードを背景にいつ頃生じるのかに注意しておかないとならないだろう。
 今週から9月相場入りするが2日新甫(最初の立会いが2日となる月)は荒れるとの言い伝えからは今月の相場は大きな波乱もあると考えるベテラン投資家も多いだろう。この膠着状態からいつ抜け出せるのか投資家は固唾を飲んで注意深く見守るしかないが、銘柄をより厳選し、リスク分散に心掛けて運用に臨むことが一段と必要となる時期が来ているように思われる。
 森ばかりを見ていて木を見ないでいると、そこに結構新たな潮流が見出せることに気づかないことだってありうるのだ。つまり、全体相場の動向に怯えてばかりいて個別株の変動に乗り遅れては折角のチャンスを失うこともあるだろう。機関投資家が対応できるデリバティブの世界に絡めた全体相場の変動に目を奪われ過ぎても個人投資家は決して株式相場に勝利することはできないだろう。ここでは自らの裁量で銘柄をチェックし、突込みのタイミングを待つべきだと考えている。
 9月13日のSQ控えでデリバティブを絡めて9月第2週まではなおも下値模索を予想。その後は中間期末を意識した動きや中間配当取りの動きも活発化すると考えられる。歴史的な安値圏に突入している日本の株式相場に本格的なボトムが訪れるのか今年の秋相場の入り口に立つ今月の株式相場を引き続き皆さんとともに見守っていきたい。

**上記の相場展望は週末に作成されたものです。本日の株式相場はやはり続落の動きとなり、日経平均は一時9500円を割り込む場面もありましたが、引けではかろうじて9500円を維持して終わりました。(炎)

 

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