No.
日付
タイトル
執筆者
24
2002/10/29
ベンジャミン・グレアムに学ぶ証券投資
 その1株式投資の分析
大原部長
23
2002/10/29
高配当銘柄をスクリーニング
海パン刑事
22
2002/10/28
京都発世界的企業を狙え!!
炎のファンドマネージャー
21
2002/10/28
決算発表シーズン到来その2
炎のファンドマネージャー
20
2002/10/28
株式相場展望
炎のファンドマネージャー
19
2002/10/25
為替相場動向
生涯遊人
18
2002/10/22
非効率な企業が退場して、貸しはがしの嵐が起こる、そして資本は海外に逃避する
大原部長
17
2002/10/22
弱いものは放任し強いものを鍛えよ
大原部長
16
2002/10/22
株価が下がる会社の法則
海パン刑事
15
2002/10/21
決算発表シーズン到来
炎のファンドマネージャー
14
2002/10/21
上場企業のR&D戦略及び注目特許
(10/8〜10/18分)
炎のファンドマネージャー
13
2002/10/21
企業研究 内田洋行(8057)
炎のファンドマネージャー
12
2002/10/18
変化するコンビニ像
小野小町
11
2002/10/18
ワールドクラブチャンピオンフットボール
海パン刑事
10
2002/10/15
株価の本源的価値とノアの箱舟
大原部長
9
2002/10/11
おまえはすでに死んでいる
生涯遊人
8
2002/10/07
住友化学と三井化学
億近産業調査部化学班
7
2002/10/07
緊急提言:再び始まった恐慌相場
炎のファンドマネージャー
6
2002/10/07
ディフェンシブストック
炎のファンドマネージャー
5
2002/10/07
株式相場が下落する中で得する投資家はいるのか?
炎のファンドマネージャー
4
2002/10/04
為替相場動向
生涯遊人
3
2002/10/04
国際航空貨物業界の動向
小野小町
2
2002/10/01
厳しい環境は続くが、よい銘柄を拾う時期でもある
大原部長
1
2002/10/01
デジタルアーツ(2326)
海パン刑事

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24
2002/10/29 ベンジャミン・グレアムに学ぶ証券投資 その1株式投資の分析
大原部長

 

 「すべての株式はその性質からいって本質的に投機的である」(ローレンス・チェンバレン)

 1929年の米国株式の大暴落を経て、1934年にグレアムとドッドの名作「証券分析」(パンローリング社)が出版された。
 グレアムはバリュー投資の原型を提唱した偉大な投資家であり、哲学者であった。

 ITバブル後の株式投資のあり方を考えるとき、我々が賢人として名高いグレアムに学ぶことは山ほどあろう。
 グレアムが書いた証券投資のテキスト「証券分析」のエッセンスを伝えたいと思う。

 さて、不動産は時代の洗礼をいちはやく受け、今は年率の利回りベースで価格が決定されている。
 キャピタルゲインを前提とする投資というのは、大きな値上がりが見込めるときには有効であるが、ここでいいたいことは、利回りがよくてキャピタルゲインも見込まれるということはありえないということだ。利回りがよいなら値上がりはあまり期待してはいけない。

 値上がりを期待するのであれば、利回りはそれほどとれない。
 不動産もバブル相場ではキャピタルゲインに基づいた価格が正当化された。それはとんでもなく高い値段であった。
 株式についても、配当利回りベースで取引されていた時代が長く続いていた。そして、たまにやってくる熱狂がすべてを狂わせる。「新しい株式投資の時代が始まった」といつもバブルの度にいわれてきた。それが、収益の何倍で取引されるべきだというPERの議論である。実際、配当利回り1%程度でPERが20倍という基準は、200年程度の歴史で見ると取り立てて安い水準とはいえない。配当利回りが国債よりも相当高いというのが株式投資の常識であった時代の方が長いのではないか。

 配当利回りが5%で、それは安全な水準ですよという時代があった。しかも値上がりも見込むことができた。そういう時代にはPERという概念は無用であろう。PERなど持ち出さなくても、利回りで取引されればいいからだ。むしろ、PERではなく、PERの逆数の益利回りと配当利回りの余裕度で株価は評価されていた。配当利回りが5%だが、益利回りは10%以上なので、この株は安全だ。そういう議論がなされていた。

 そういう議論がなされなくなったのは、企業の収益が成長するという時代が長く続いたからである。だから長期投資という哲学が生まれてきた。そして、配当利回りが急激に低くなり、もはや株価を論じるツールとして役に立たなくなった。しかたなく、益利回りの逆数で株価を論じるようになっていった。PERだけで株価を論じていいのか。

 しかし、本当に、これからの50年間はこれまでの50年間と比べて、成長の時代なのか?すくなくとも日本においてはそれは絶対に違う。ならば、PERだけで株価を判断してはならないだろう。PERは企業収益を基に株価の高い安いを判断しようという取り組みである。しかし、グレアムはPERだけの分析を片手落ちとして厳しく批判している。なぜなら、企業の収益は大きく変動するものであり、大きく変動するものを株価の基準として採用するのは危険すぎるからだ。将来の収益予想の危険性をグレアムが指摘しているが、パンローリング社「証券分析1934年版 9800円」から引用を中心に以下のようにまとめたい。

第27章 p435より
 〜収益トレンドを予測する危険性〜

『過去の収益トレンドが将来も続くという前提に懐疑的なのは
●マクロ要因:収益低下と競争激化の原則に照らすと、〜急成長のカーブは横ばいになることが避けられない
●景気循環的要因:収益の上昇トレンドが人々から最も注目されるのは、それがまさに反落する直前である
1927年〜1929年においても、収益トレンドの理論は、投資という名の投機が大々的に行われる口実となり、その理論を信じた投資家は上昇トレンドがもたらす期待利益を鵜呑みにしたのである。その結果、過去5年、4年、または3年間に置ける上向きの収益トレンドが将来もずっと続くと考えられ、その会社の限りなき成長を約束する合言葉になってしまったのである』

 ITバブルで、クレイフィッシュを買ってしまったこともあるわたしは、あの株で上場初日に米国ナスダックでスッ高値で売り抜けた「稀有」な男かもしれない。
 あの後、持ちつづけていたら? いま考えるとゾクゾクしてしまう。
 もう、すでにクレイフィシュを保有していたという事実で、わたしは「とんでもない」投資家ということになろうか。耳が痛い言葉である。それではわたしたちはどうすればいいのか??

〜続く〜
(大原)

 

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23
2002/10/29 高配当銘柄をスクリーニング
海パン刑事

 

 最近、株式市場に対する不透明感が増していることから、ややリスクが小さい高配当利回りの銘柄に関心が集まっている。
 今回は1)配当利回り3%以上、2)今期連結経常利益の伸び率が10%以上で決算期が2月、3月の銘柄をスクリーニングしてみました。
 但し、3月決算企業についてはあまりにも数が多く、業績発表も近いため、直近で上方修正または中間決算をすでに発表している銘柄のみをあげました。
 なお上方修正発表、時価総額は10/28日現在(値がつかなかった銘柄は基準値を採用)。

【2月決算】
銘柄名
配当利回り
連結経常
(伸率)
時価総額
(億円)
8175 ベスト電
4.51
999.9
420
8247 大和
3.97
156.9
45
9089 ロジパル
3.84
39.5
24
2747 北雄ラッキー
3.82
11.2
29
8196 カスミ
3.55
104.7
224
7520 エコス
3.51
18.5
52
5982 マルゼン
3.36
19.7
71
6142 富士精
3.31
23.8
45
9982 タキヒヨー
3.29
40.5
79
8125 ワキタ
3.24
55.5
147
2718 ミドリ薬品
3.15
17.6
16
       
【3月決算】
7439 サンミック
6.00
58.1
39
8339 都民銀
5.27
186.9
358
2714 プラマテルズ
5.15
10.7
22
9366 サンリツ
4.21
29
30
8860 フジ住
4.00
44.5
57
9763 丸紅リース
3.89
134.7
26
3945 スパバック
3.75
11.6
27
2204 中村屋
3.74
124.4
136
4838 Sシャワー
3.73
138.8
36
8043 スターゼン
3.70
77.2
118
7582 富通デバ
3.31
11.8
176
9963 江守商事
3.22
31.3
16
7935 コンビ
3.13
13
115
5657 鈴木金
3.12
241.8
23
9991 ジェコス
3.12
42
117
7258 栃富士
3.08
73.5
89
8129 東邦薬
3.01
43.8
157
1301 極洋
3.00
37.1
113

(海パン)

 

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22
2002/10/28 京都発世界的企業を狙え!!
炎のファンドマネージャー

 

 *当コラムは私の有料メルマガで以前配信した内容を一部修正したものです。

 ノーベル賞受賞者を輩出した島津製作所(7701)が一躍脚光を浴びている。京都からはこれまでも多くの世界的R&D型ベンチャー企業が世に送り出されてきたが、今回の出来事で再び関心を呼ぶのではないだろうか?
 そこで今回は冒頭のタイトルの通り京都発世界企業15社をピックアップして株価動向をチェックしておくこととする。今回はその1としてR&D型の注目5社を選定してみた。


1.オムロン(6645) 1444円(10月10日安値 1320円)

【コメント】

 未来志向の大型グローバルベンチャー企業として注目
 株価水準も過去の安値水準に接近
 シンクタンク「ヒューマン・ルネッサンス研究所」で将来のシーズ探し
 逸早く取組んできた構造改革の成果が徐々に表われる。
 制御機器から健康機器まで手掛ける

【過去の株価の安値とその後の高値】

 87年4月 990円 (その2年半後に高値4090円)
 92年8月 938円(その7年半後に3450円)
 98年10月 1059円


 2.京セラ(6971)  7440円(10月10日安値 7000円)

【コメント】

 1兆円企業として世界に飛躍
 積極的なM&A戦略
 独自のR&Dによるユニークな製品群が成長の鍵
 浸透する稲盛イズム
 環境への取り組みに積極的
 情報通信分野でも飛躍
 強固な企業理念

【株価コメント】

 2001年9月安値も7000円。今回の安値が2番底となるか注目


3.島津(7701)  380円 (10月9日安値 261円)

【コメント】

 京都の近代産業発展の先達の歴史を担う
 創業126年を迎える同社にとって今回の田中氏のノーベル賞受賞は大きなエポックメーキングとなる
 製薬、航空機、ハイテク産業の発展を支える母なる企業としての存在感
 既存の分析機器、医用機器、航空機器・産業機械の3分野に光とX線、そして画像処理という3つのコア技術を活用して高付加価値と得意のニッチ事業へ参入
 矢嶋社長は国際派

【株価コメント】

 89年6月1640円をピークに下落トレンド。261円は20年来の水準。
 2002年1月の262円安値に次ぐ週間足での2番底形成。ここから多少の下振れはあっても長期上昇トレンドを描くか注目。


4.宝ホールディングス(2531) 625円(10月10日安値551円)

【コメント】

 総合酒類メーカーからバイオと健康食品で飛躍目指す
 バイオに賭けるグローバル企業に
 独自の遺伝子解析法や遺伝子治療関連技術など幅広いバイオ分野の基礎特許を有す
 2003年度のバイオ部門の売上高250億円を目指す
 長期経営計画(TE−100)でアジア最大規模の解析能力を持つゲノム解析センターを稼働

【株価コメント】

 2000年3月にバイオバブル発生で急騰したが、その後は調整。90年10月557円、92年8月465円、98年1月432円が安値。そろそろ 買いのチャンス。


5.村田製作所(6981) 6000円 (10月10日安値 4980円)

【コメント】

 独自製品の開発力で世界に飛躍
 元はガス管向け特殊磁器関連のベンチャー企業
 京都大学の田中助教授との出会いが産学協同体制の契機に
 現社長は「ITは利用するがあくまで道具であるに過ぎない。むしろバランスシートに表われないような企業価値を高めることが必要」との意識を持つ

【株価コメント】

 99年の高値25610円から調整、95年6月2800円、97年12月3200円の安値はよもやないだろう。(炎)

 

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21
2002/10/28

決算発表シーズン到来その2

炎のファンドマネージャー

 

 決算発表予定一覧(11月分)〜

 先週に引き続き、今回は11月分の予定表を披露しておこう。


決算期
市場
コード
企業名
発表予定日
JQ 1770 藤田エンジニアリング
11/22
JQ 1772 東北エンタープライズ
11/20
JQ 1799 第一建設工業
11/22
JQ 1800 利根地下技術
11/15
JQ 1992 神田通信機
11/下旬
JQ 2222 寿製菓
11/21
JQ 2224 コモ
11/15
JQ 2294 柿安本店
11/15
JQ 2304 セントラルサービスシステム
11/中旬
JQ 2309 シミック
11/中旬
JQ 2310 ECワン
11/20
JQ 2320 日本ヘラルド映画
11/29
JQ 2657 インターニックス
11/15
JQ 2658 ウライ
11/20
JQ 2661 キンレイ
11/15
JQ 2669 カネ美食品
11/18
JQ 2673 夢みつけ隊
11/29
JQ 2674 ハードオフコーポレーション
11/12
JQ 2676 高千穂交易
11/12
NJ 2681 ゲオ
11/26前後
JQ 2697 コーエーネット
11/12
JQ 2700 木徳神糧
11/26
NJ 2701 フードエックス・グローブ
11/11以降
JQ 2708 久世
11/22
NJ 2712 スターバックスコーヒージャパン
11/20
JQ 2719 キタムラ
11/21前後
NJ 2720 プライム・リンク
11/18
NJ 2724 フォーバルクリエーティブ
11/15
JQ 2727 テン コーポレーション
11/20
JQ 2737 トーメンデバイス
11/中旬
JQ 2913 フジフーズ
11/18
JQ 2921 フクシマフーズ
11/15前後
JQ 2924 イフジ産業
11/11
JQ 3424 ミヤコ
11/15
JQ 3425 本郷
11/22
JQ 3891 ニッポン高度紙工業
11/8
JQ 3951 朝日印刷紙器
11/25
JQ 3956 国際チャート
11/上旬
JQ 4106 エヌ・イー・ケムキャット
11/21
JQ 4234 サンエー化研
11/20
JQ 4274 細谷火工
11/15
NJ 4280 ギャガ・コミュニケ−ションズ
11/25
JQ 4282 EPS
11/下旬
JQ 4288 アズジェント
11/14
JQ 4293 セプテーニ
11/13
JQ 4294 メガフュージョン
11/20
JQ 4298 プロトコーポレーション
11/13
JQ 4299 ハイマックス
11/6
NJ 4301 アミューズ
11/25前後
NJ 4304 イーストアー
11/中旬
JQ 4306 バックスグループ
11/15
TM 4308 Jストリーム
11/中旬
JQ 4315 日清医療食品
11/20
JQ 4319 TAC
11/20
TM 4320 シーエスアイ
11/中旬
JQ 4326 インテージ
11/15
NJ 4331 テイクアンドギヴ・ニーズ
11/12
JQ 4333 東邦システムサイエンス
11/22
JQ 4338 コナミコンピュータエンタテインメントジャパン
11/13
JQ 4339 スターキャット・ケーブルネットワーク
11/21
JQ 4340 シンプレクス・テクノロジー
11/12
NJ 4357 ラ・パルレ
11/中旬
JQ 4358 TYO
11/27
JQ 4365 松本油脂製薬
11/22
JQ 4368 扶桑化学工業
11/12
JQ 4548 生化学工業
11/15
JQ 4554 富士製薬
11/15
JQ 4557 医学生物学研究所
11/29
JQ 4561 デンカ生研
11/1
JQ 4628 エスケー化研
11/19
JQ 4636 T&K TOKA
11/20
JQ 4644 イマジニア
11/中旬以降
JQ 4652 ウッドランド
11/下旬
JQ 4655 NOVA
11/下旬
JQ 4656 サン・ライフ
11/26
JQ 4659 エイジス
11/11
JQ 4662 フォーカスシステムズ
11/22
JQ 4672 ベルックス
11/22
JQ 4682 電通テック
11/15
JQ 4686 ジャストシステム
11/20
JQ 4688 日本ドレーク・ビーム・モリン
11/21
JQ 4705 クリップ
11/25
JQ 4709 インフォメーション・ディベロップメント
11/20
JQ 4718 早稲田アカデミー
11/22
JQ 4720 城南進学研究会
11/22
JQ 4726 ソフトバンクテクノロジー
11/6
JQ 4729 コナミコンピュータエンタテインメント大阪
11/中旬
JQ 4743 アイティフォー
11/12
TM 4747 クレイフィッシュ
11/中旬
TM 4751 サイバーエージェント
11/21
TM 4753 オン・ザ・エッヂ
11/20
TM 4756 カルチュア・コンビニエンス・クラブ
11/14
JQ 4757 インテリジェンス
11/26
JQ 4769 インフォメーション・クリエーティブ
11/11
TM 4770 エルミックシステム
11/21
NJ 4777 ガーラ
11/12
JQ 4780 コナミコンピュータエンタテインメント東京
11/13
TM 4787 日本コンピュータグラフィック
11/中旬
TM 4795 スカイパーフェクト・コミュニケーションズ
11/7
NJ 4800 オリコン
11/中旬
JQ 4816 東映アニメーション
11/26
JQ 4823 サイバード
11/11
JQ 4828 東洋ビジネスエンジニアリング
11/21
NJ 4831 オープンループ
11/上旬
NJ 4833 ぱど
11/20前後
JQ 4837 シダックス
11/25
JQ 4838 スペースシャワーネットワーク
11/7
TM 4839 WOWOW
11/21
JQ 4848 フルキャスト
11/15
JQ 4953 タイホー工業
11/22
JQ 4961 日油技研工業
11/20
JQ 4970 東洋合成工業
11/25
JQ 5162 朝日ラバー
11/26
JQ 5185 フコク
11/19
JQ 5217 テクノクオーツ
11/20
JQ 5381 日本ミクロコーティング
11/18〜22の間
JQ 5384 フジミインコーポレーテッド
11/15
JQ 5484 東北特殊鋼
11/22前後
JQ 5935 元旦ビューティ工業
11/15
JQ 5949 ユニプレス
11/22
JQ 5970 菊池プレス工業
11/22
JQ 5989 ヒラタ
11/1or5
JQ 6145 日特エンジニアリング
11/18
JQ 6276 ナビタス
11/18
JQ 6284 日精ASB機械
11/26
JQ 6290 SES
11/19
JQ 6296 ロキテクノ
11/13
JQ 6297 鉱研工業
11/末
JQ 6314 石井工作研究所
11/11
JQ 6324 ハーモニック・ドライブ・システムズ
11/22
JQ 6337 テセック
11/19
JQ 6384 昭和真空
11/15
JQ 6401 ソディック・プラステック
11/26
JQ 6408 小倉クラッチ
11/28
JQ 6413 理想科学工業
11/7
JQ 6425 アルゼ
11/15
JQ 6429 タイヨーエレック
11/中旬
JQ 6468 駿河精機
11/11
JQ 6494 日本ファーネス工業
11/末
JQ 6760 カシオマイクロニクス
11/12
TM 6786 リアルビジョン
11/18
JQ 6788 日本トリム
11/18
JQ 6828 シメオ精密
11/18
JQ 6830 YOZAN
11/27
JQ 6834 精工技研
11/15
JQ 6840 アドテック
11/15
JQ 6855 日本電子材料
11/25
JQ 6868 東京カソード研究所
11/20
JQ 6871 日本マイクロニクス
11/22
JQ 6876 光波
11/22
JQ 6877 OBARA
11/20
JQ 6880 シンワ
11/27
JQ 6890 フェローテック
11/25
JQ 6892 シチズン電子
11/18
JQ 6907 ジオマテック
11/20前後
JQ 6930 日本アンテナ
11/27
JQ 6960 フクダ電子
11/20
JQ 7220 武蔵精密工業
11/5
JQ 7264 ムロコーポレーション
11/22
JQ 7288 テクノエイト
11/28
JQ 7293 大井製作所
11/20前後
JQ 7298 八千代工業
11/6
JQ 7419 ノジマ
11/11
JQ 7457 セキテクノトロン
11/22
JQ 7458 第一興商
11/18
JQ 7465 マックスバリュ北海道
11/22
JQ 7468 アムスク
11/8
JQ 7502 プラザクリエイト
11/25
JQ 7523 アールビバン
11/19
JQ 7553 サザビー
11/20
JQ 7566 ジャパンケアサービス
11/20
JQ 7571 ヤマノホールディングコーポレーション
11/20
JQ 7574 共信テクノソニック
11/15
JQ 7575 日本ライフライン
11/25
JQ 7579 オリジン東秀
11/15
JQ 7595 アルゴグラフィックス
11/12
JQ 7627 なか卯
11/11
JQ 7628 オーハシテクニカ
11/21
JQ 7633 明響社
11/22
JQ 7634 星医療酸器
11/20以降
JQ 7642 ビジョンメガネ
11/20
JQ 7646 みった
11/1
JQ 7705 ジーエルサイエンス
11/22
JQ 7706 セントラルユニ
11/26
TM 7709 クボテック
11/8
JQ 7715 長野計器
11/20
TM 7717 ブイテクノロジー
11/21
JQ 7722 国際計測器
11/28
JQ 7858 小野産業
11/14
JQ 7859 アルメディオ
11/20
JQ 7864 フジシール
11/13
JQ 7866 アトラス
11/22
JQ 7873 アーク
11/22
JQ 7902 ソノコム
11/15
JQ 7917 藤森工業
11/21
JQ 7927 ムトー精工
11/中旬
JQ 7980 重松製作所
11/15
JQ 8119 三栄コーポレーション
11/18
JQ 8126 三光純薬
11/6
JQ 8225 タカチホ
11/18
JQ 8739 スパークス・アセットマネジメント投信
11/中旬以降
JQ 8744 日本ユニコム
11/22
JQ 8749 エース交易
11/22
JQ 8848 レオパレス21
11/20以降
JQ 8850 スターツ
11/20〜25の間
JQ 8866 幸洋コーポレーション
11/22
JQ 8872 エイブル
11/29
JQ 8876 リロ・ホールディング
11/22
NJ 8889 アパマンショップ・ネットワーク
11/13
JQ 8893 新日本建物
11/22
JQ 8897 タカラレーベン
11/中旬以降
JQ 9036 東部ネットワーク
11/14
JQ 9059 カンダコーポレーション
11/19
JQ 9060 日本ロジテム
11/29
JQ 9087 タカセ
11/22
JQ 9133 東栄リーファーライン
11/21
JQ 9370 郵船航空サービス
11/22
JQ 9376 ユーラシア旅行社
11/19
JQ 9377 AGP
11/12
JQ 9436 沖縄セルラー電話
11/7
JQ 9438 MTI
11/27
JQ 9448 インボイス
11/中旬
JQ 9472 エスコム
11/下旬
JQ 9478 翔泳社
11/22
JQ 9610 ウィルソンラーニング・ワールドワイド
11/18
JQ 9638 情報技術開発
11/7
JQ 9639 三協フロンテア
11/15
JQ 9652 日本医療事務センター
11/21〜22
JQ 9658 ビジネスブレイン太田昭和
11/18
JQ 9696 学育舎
11/25
JQ 9698 クレオ
11/22
JQ 9730 ワオ・コーポレーション
11/22or26
JQ 9733 ナガセ
11/中旬
JQ 9758 ジャパンシステム
11/15
JQ 9782 DMS
11/15
JQ 9785 大新東
11/29
JQ 9794 カラカミ観光
11/20
JQ 9795 ステップ
11/12
JQ 9838 トラベラー
11/下旬
JQ 9841 ユーズBMBエンタテインメント
11/19
JQ 9844 USC
11/14
JQ 9880 イノテック
11/22
JQ 9892 卑弥呼
11/18
JQ 9955 ヨンキュウ
11/18

 JQはJASDAQ、TMは東証マザーズ、NJはナスダック・ジャパン
*は9月本決算企業 未定の企業は除く(炎)

 

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20
2002/10/28 株式相場展望
炎のファンドマネージャー

 

 【先週の相場を振り返って】

 米国株高の流れを受けて週明けこそ堅調にスタートしたものの、テク二カル上の戻り目途とされる日経平均の9100円台には持合い解消売りや目先資金の戻り売りが待っており、上値の重さが意識されると一気に弱含みの展開となり、週半ばにかけては再び下値不安が高まった。
 発表が予定されていた経済対策の発表が延期されたことも嫌気材料となったほか、NY株の上値が重くなってきたのも盛り上がりに欠ける要因となった。週半ばに日経平均は一時8500円を割り込む場面があったが、週末は政府の総合デフレ策の発表が接近していることに加え、公的資金と見られる買いが入ってきたことなどから買い戻しが入り、持ち直しの動きが見られた。特に9月中間決算の集計を終えて通期の好業績見通しを発表しはじめた企業の株価は堅調。
 とりわけ、今期の業績見通しを上方修正した日産が人気を集め、出来高を伴ってしっかりの動き。週末には一時1000円台に乗せる場面があった。また、同様に今期業績の上方修正を発表したファナックも人気を集めた。前週の動きを受けて人気化した島津は週明けに高値をつけたが、その後は調整の動きを見せ、再び400円台を割れてきた。
 なお、一旦弱含みの展開となったNY株並びにNASDAQは週末に上昇し、結局は前週比プラスとなって終えた。特にNASDAQの上昇が目についた。

【時価総額】(提言:時価総額増大キャンペーンをやろう!!)

 東証1部時価総額 256.4兆円
 東証2部時価総額   4.5兆円
 JASDAQ時価総額 7.9兆円
 総額 268.8兆円
 (国民1人当たり時価総額 約224万円)

【インデックス動向】

日経平均週末株価  8726円    前週末比▲360円 (▲4.0%)
TOPIX 871ポイント    同▲22ポイント(▲2.5%)
日経ジャスダック平均 1050円     同▲8円(▲0.8%)
NYダウ 8443ドル     前週末比△121ドル (△1.5%)
NASDAQ 1331ポイント   同△44ポイント(△3.4%)

【今週の株式相場展望】

 米国の株式市場が底堅い展開を示していることは歓迎すべきであるが、日本株は基本的にはまだ上値が重いといった感触が強い。ただ、下値圏では公的資金の買いや自社株買いも入ると期待され、今週の日経平均は8500円〜9000円の展開を想定。 補欠選挙の結果が政府与党に優位に働いたことから、今後はいかに小泉政権の一段の経済対策の具現化が待たれるところ。今週はより具体的な政府のデフレ対策も出てくると想定。日経新聞が伝えたように自社株買いの増加が今後株式相場の下値を支えることも考えられるほか、日銀による持合株の買い表明などが相場を下支えするだろう。既に日産やファナックなどの好業績銘柄への買いが入ってきており、決算発表動向を見極めながらの展開を想定しておきたい。
 東証1部市場の時価総額は250兆円前後となり、配当利回りも1.4%と国債の金利を上回っていることが下支えとなるだろう。引き続きR&D型の企業や国際優良株、時価総額の大きなドコモやJR東日本など業績堅調な内需関連銘柄が物色の対象となる公算が高い。(炎)

 

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19
2002/10/25 為替相場動向
生涯遊人

 

 125.64銭の高値をつけたドル円は、切り返して、コレクションに入りつつある。ユーロ円も123.03銭、オーストラリアドル円も高値から切り返してきており、円は全通貨に対して強含みになってきている。

 竹中金融担当相の就任以来、大手銀行に対する資本注入、不良債権処理の加速化、とりわけ税効果会計による資本金算定額についての混乱が続いている。竹中案が実行された場合は企業淘汰が進み、竹中案がつぶされた場合は問題先送りによるいつもの日本のパターンという懸念からか、いずれにせよ日本株は弱気の流れが続いているのだろう。
 日本経済は、ハードランディングもソフトランディングもできず、ネバーランディングで、長期停滞の方向に向かうのだろうか…。

 そのような中で、なんで円が買われるのかといえば、まず行き過ぎた円安観測に市場が傾いてしまったことにある。

 いずれにしても日本経済にとってはよくなく、いずれ135−140円の円安がくるという観測が、ここのところのマーケットの主流をしめている。
 このために、ドルの買い持ちのポジションが溜まりやすくなり、これがマーケットの需給を歪めている。買い持ちのポジションが膨らんでいるために、なにか決定的なニュースが出ない限り、125円のミドルを超えて買い上げていくパワーはいまのところはない。

 また、さすがに125円台になってくると実需の売りも出てくるため、この126−127円のエリアは一筋縄では抜けていかない。

 またもうひとつの円高の理由として、いずれ竹中案が実行される場合には、日本の銀行は不良債権処理の原資確保のために外貨資産を売って円に戻してくる、所謂リパトリエーションを行うから、先に売ってしまえという投機筋の売りという話もある。

 また不良債権処理のための原資確保以外に、もし大手銀行の一角が自己資本8%を割り、国際業務から撤退しなければならない場合、大量に抱える外貨資産を売り払わなければならず、その額は巨額なものになるという話もある。

 しかし、このリパトリエーションの話は、株安のときの通貨高のときには、必ず出てくるために、要注意です。
 実際、米国株安が、アメリカ人が日本株を売ってドルに回帰しているだとか、ヨーロッパの投資家が、日本株を売って欧州に資金を戻しているためにユーロ円が買われているといった話は、この夏から何度となくマーケットに流れている話です。

 いまは、マーケットにエネルギーを溜めている時であり、いずれ大きくレンジをブレークするのであろうが、当面上値は127−128.00を抜けていかなければ、135−140円といった円安には加速しないだろう。

 やはり120−125.00を中心にしたレンジの中で、次へのエネルギーをためているところだろう。(生涯)

 

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18
2002/10/22 非効率な企業が退場して、貸しはがしの嵐が起こる、そして資本は海外に逃避する
大原部長

 

 形而上学的なレトリックが、人々の思考を支配するといったら言い過ぎだろうか。

非効率な企業は退場すべきだ
この企業は非効率である。
だからこの企業は退場すべきだ。
新しい産業は育つべきだ。
この企業は新しい。
だからこの企業は育つべきだ。

「非効率な」の反意語は、「効率的な」じゃないのか?「新しい」ではない。

 先週の日経新聞に松井証券の松井社長のインタビューが載った。

「退場すべき企業を残してきたのがおかしい。企業の淘汰が進まない限り新しい企業にカネが回らない」(松井社長)

 純粋な論理はそれが論理上での真であっても、現実上の真であるとは限らない。
レトリックを現実の政策として当てはめると、それは壊滅的な打撃を市場に与えかねない。

 市場がたくましく想像したように、効率的でない企業の代表としてダイエー8263があり、効率的な企業の代表としてヨーカ堂8264がある。
ダイエーの経済規模は売上で2.4兆円。ヨーカ堂の売上は3.3兆円。
カネはどう回っているのだろうか。

ダイエーの時価総額は500億円。ヨーカ堂の時価総額は1兆7500億円。
ダイエーの時価総額の30倍がヨーカ堂のそれである。
ヨーカ堂の借金は4000億円弱。ダイエーは2兆円強。
カネがまわらないのは2兆円分の元本ですな。
金利は支払われている。
営業利益まるまるが金利へと充当されている(年400億円)。
スプレットは150bp。格付けの割に少なすぎるのかもしれないけど。
大口顧客だから優遇されているのだろうか???

ダイエーはフリーキャッシュフローがプラスである。
ヨーカ堂は設備投資が年間1800億円程度。
ダイエーの設備投資は年500億円程度だ。
ダイエーは時価総額相当の設備投資をしている。
それは過大ではない。
減価償却費の範囲内で投資をしているために、なんとかなるわけだ。

フリーキャッシュフローはプラスにせざるをえず、その範囲でカネを粛々と返済するしかない。

 彼らには、カネのかかる新規のビジネスチャンスがめぐってこない。
彼らには、原状の資産を活かして懸命に働くしなかない。
もう、カネがかかるビジネスチャンスは彼らには回ってこない。

しかし、よいビジネスとはなんだ?カネをかけないで儲けることにつきる。
「カネをかけないことがよいビジネスだ」ということに経営者や従業員が気が付いて、集団が精神的な成長を経て、士気が高まったとき、この話はハッピーエンドになりうる。
精神を鍛えるために寺で修行をするのと似ている。
カネを使わずに知恵を使え、それがビジネスの基本だからだ。

 カネはダイエーに行かない。グループ企業の切り売りも続くだろう。
その売ったカネで銀行への返済をすすめ、そのカネを誰に貸そうがそれは銀行が決めることだ。

 効率的な企業へカネが回り、非効率的な企業へカネが回らないという状況はずーと前から続いている。

 非効率的な企業を退場させることにより、効率的な企業へカネが回るということはないのである。
退場させてしまえば、ハゲタカがやってきて、二束三文で店舗を切り売りし、本来1800億円程度の規模で投資活動を続けていたヨーカ堂が、同様の効果をダイエー店舗をつまみ食い、2000億相当の経済効果を500億円程度の投資で済ませることができるようになる。
ヨーカ堂にはすばらしいことだが、マクロ的にいえば、小売業界の縮小均衡である。
ライバルの退場で、効率的な企業はカネをますます借りなくなる。
勝者が益々強くなり、収益力がさらに向上することになるかもしれない。

 まあ、ヨーカ堂は、「カネくれたとしてもダイエーの店舗を引き取りたくない」という可能性もある。
ヨーカ堂は既存店の売上を上げるのに懸命にリソースをつぎ込んでいる。
それでもなかなか既存店は上がってこない。
ダイエーの店舗を譲られても、困りますというだろう。
イオンは経済合理性で動くだろうが…。

 このように効率がよい企業も成熟市場においては政策の選択肢を柔軟に持ちたがるものである。
その柔軟性こそが企業の命綱である。
だから、政府から頼まれたからという理由で安物買いをすることはない。
企業文化や風土を保つために苦心しているというのに。
慢性的な需要不足なら、ダイエーがつぶれて、そのままその店舗を更地にしてしまった方が、ヨーカ堂の既存店は恩恵を受けるわけである。
仮にイオンが買っても、すべての店舗を引き受けるわけではないだろうから、有力な戦略の選択肢が「様子見」、なにもしないことなのだろう。

 話がそれてしまったが、すでに効率的な企業への一極集中的なカネまわし現象が数年来継続して続いているということである。

 松井社長さんには申し訳ないが、わたしの独断で、記事を勝手に訂正させていただく。

(誤)「退場すべき企業を残してきたのがおかしい。企業の淘汰が進まない限り新しい企業にカネが回らない」

→(正)「非効率的な企業は徹底的に市場から選別され避けられていた。新しい企業へじゃんじゃん資金は用意されていた。故意罪新内閣の発足までは」。

 だから効率的なネット証券の松井証券はどんどん大きくなる。

 松井社長、いつもすみません。あげ足をとっているわけではないのです。応援しております。わたしも松井の株主ですから。(大原)

 

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17
2002/10/22 弱いものは放任し強いものを鍛えよ
大原部長

 

 国は、弱い産業を整理することに熱中している。
 強い産業をどうやって創出するかの議論は空回りして、弱い産業をどんどん整理しようとしている。
 強い産業を創出するには強い企業を戦略的に誘致しなければならない。三重県が懸命に取り組んだクリスタルバレーのような発想が国にほしい。

 強い企業を誘致するには、国のトップが営業しなければならない。営業してみて初めて日本に足りないものが実感できる。ところが弱い産業を整理するには営業する必要もない。それはあたかも営業が、営業にいかないでデスクの上の掃除ばかりを年がら年中やっているのと同じである。

 国のトップは、営業の仕事ができない。仕事がとれない。受注がとれない。お客さんが買ってくれない。そうブツブツ文句をいいながら、毎日、デスクをピカピカに磨き、給料泥棒に励んでいる。米国では、大統領でさえビック3を引き連れて外国に頭を下げて営業にいく時代である。
 日本政府も掃除はいいから、営業しろといいたい。

 夏に小泉さんはハーバードを訪問した。ちゃんと営業してきただろうか??経営規模が慶応の100倍あるハーバード。日本政府が肩代わりして、新丸ビルに夜間MBAコースを設置したらどうか?
 優秀なOLを「拉致」し数年間「虎の穴」で特訓し、新丸ビルのハーバードビジネススクールにOLを200人程度そこに送り込み、卒業後は、日本の各企業の経営幹部として送り込む。使命は、資本コストの意識を各上場企業に染み込ませることだ。

 バカげていても戦略的なプランは、総花的なプランよりはいい。給付金30万を万人にばらまくよりいい。
 金利が安いという理由でばかなエクイティファイナンスをする経営者が多い。このような愚行が激減するなら、MBA拉致作戦はやってみる価値があるだろう。

 ふるさと創生基金でも給付金30万円も公明党の懐かしい商品券1万円構想も、経済的な効果はないとはいわないが、戦略としては零点。たとえば、新丸ビルのハーバードのクラスで、こういう政策案を考えて発表したら、同級生から袋叩きにあうだろう。

 少子化を嘆くなら、「子どもを産んだら100万円支給!」とかの方がいい。安直ではあるが国家戦略がある。1億円の人々に1日10円支給するよりも、1つの優れたビジネスプラン10億円を託す方がよい。人間という物理的な肉体にカネをばらまくのではなく、ビジネスプランというシステムやアイデアや執行可能性にカネを使うべきだ。

 国がすべきことは、強い企業を支援することで、外貨をがっぽりと稼いでもらい、国民に誇りと経済的なゆとりを与えることである。

 中国では親族の中で頭のよい子どもがいると、みんながカネを出し合い、その出来のよい子どもを英才教育し、北米で留学、欧米一流企業で就職させ、資金を中国内に還流させる。勉強の出来ない子どもと出来る子どもの違いは、出来る子どもは将来できない子どもの30倍の給料を稼ぐということに集約される。こんな具合だろう。

「もう、うちの息子は出来が悪くて国営企業で年収が500万円しかないの。苦しいわ」
「おかげさまで、わたくしの息子は外資系で年収が3億円あるのよ。貯金は年間1億円しているけど、親戚がうるさくて、毎年1億円渡しているわ」

 日本の親も、海外に年収が30倍以上になる職場が転がっているなら、留学ブームになるにちがいない。日本だと初任給20万。X国だと月給600万円。やっぱり勉強するわな。

 出来の悪い子どもは、せめて体だけでも丈夫で、はつらつとするか、思いやりのある痛みのわかる人間に育てるか、芸術や文学という感性の世界で磨くか、実学で堅実に生きるか、本人の自由であり、放任されている。

 産業政策も同様で、韓国ではそれぞれの分野で強い企業は1社でよいということになり、三星はソニーをも脅かす存在になった。台湾は日本の半導体が束になってもかなわないTSMCを生んだ。いずれも国家の努力の賜物である。国が関わる限りは、世界で一番になってもらわないと困る。出来の悪い子どもたちを、いっそのこと、殺してしまうことで、出来のよい子どもがますます出来がよくなるのではないかという議論が日本で起きている。不良少年の議論である。あ、もとい、不良債権の議論である。

 不良企業と不良銀行がだらしないので、カネが新しい産業に回らないというアレである。
 大蔵で育てた出来の悪い子どもが多すぎて、外国で育った出来のよい子どもに教育資金が行き届かないらしい。外資系証券のストラテジストはそうのたまい、政府は外資系のいうことを鵜呑みにする。(ストラテジストはテクニカルチャーティストと同様に、偶然をパターン化するのが得意で、関係ない二つの事象をレトリックで結ぶ天才だ)

 出来の悪い企業を再生させようと、事業の特性や商習慣がわからない政府筋の人間が、切りのよい数字で、再生の方針をつくった。
 切りのよい数字というのは、なんの数学的物理的根拠というものがないのだが、精神的な安定感を作者に与える。不思議なものだ。

 なになに、再建企業は、フリーキャッシュが10年で債務額を超えるような結果を出せ??
 資産額=負債額の企業たち、これらの出来の悪い子どもたちにとって、これはどういう意味があるのだろうか。10年で資産分のキャッシュを稼ぐ??
 あんた、本当にビジネスしたことあるの?これってROA10%以上の企業になれってことよ。そして2年目にROA10/90、3年目にROA10/80、4年目にROA10/70、5年目にROA10/60、6年目にROA10/50、つまりROA20%の企業になれってことよ!
 あのー。ROA1%が上場企業の平均なんですけど。頭のよい、オリンピックに出れそうな子どもの平均は3−4%なんですけど。ROA20%が達成できるならねえ、誰でも大金持ちになれますよ。そんなビジネスありえないっつーの!

 でも、「お前、殺すぞ!」といって毎日脅されて励めば、出来の悪い子どもたちも、かわいそうに、驚異的なROAを達成し、突然変異をするやもしれん。

 そういうことで、くどいようですが、わたしは不良少年たちを不当に拉致した小泉(故意罪)政府を批判しているわけです。(大原)

 

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16
2002/10/22 株価が下がる会社の法則
海パン刑事

 

 アナリストが各企業の業績予想を会社計画に対して弱めに書くと、足元が計画を下回っているのにもかかわらず、クレームをつける企業がたまにある。
 何年か前、先輩のアナリストと取材に行った際、某企業のIR担当者はとある外資系証券会社が業績未達のレポートを書いたらしく、不機嫌な顔をして愚痴をこぼし、「今度、出入り禁止にしようかなぁ…」なんてことを言ってました。
 しかし、その後上方修正するならまだしも、結果的には上場以来の連結営業赤字。株価はそのときに比べ大幅に値下がりしました。その後は、完全子会社化で上場廃止となってしまいました。
 そのほかにも、レーティングを下げたとか、表現上でクレームをつけたり、目標株価を上げるように要求したり、やたらと態度が横柄だったり(でも、投資家にはとってもやさしかったりする)、といった企業があります。
 こうした企業はその時順調であっても、経験則上なぜか、その後株価が大きく下がるケースが多いのです。

 アナリストに対してヒアリングをする機会がある方は、業績だけでなく投資対象会社の担当者はアナリストに対してどのような態度で接しているか、クレームを良くつけたがる会社(アドバイスなら良いですが)かどうかもたずねてみるのもよろしいのではないでしょうか。(海パン)

 

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15
2002/10/21 決算発表シーズン到来
炎のファンドマネージャー

 

 〜新興市場企業の決算発表予定一覧(10月分)〜

 駄洒落商会氏から3・9月期決算発表新興企業(JASDAQやNASDAQジャパン)の発表予定一覧が送られてきたので、氏に了解を得て皆さんにも披露しておきたい。今回は10月分を掲載する。
 ベンチャー企業や中小型企業は業績の変動が激しいため、株価も思いがけない変動に見舞われることが多い。下方修正なら売られるだろうが、上方修正なら逆に見直し買いの対象になることもあるだろう。
 9月中間決算企業が圧倒的であるが、その結果が通期にも影響する。また9月本決算なら前期が悪くても今期の見通しが明るいなら評価されることになる。このあたりに気をつけておく必要がある。
 更に決算内容は複雑なケースもある。経常利益が黒字でも最終損益が赤字のケースだってあるし、売上が減少しても経常増益のケースもある。
 その背後に潜む決算の謎にメスを入れることも株式投資の面白いところだというくらいに楽しんで頂きたい。
 上場企業がきちんと投資家に成績を示して、それを投資家きちんとが見て投資判断するようなインフラがあってはじめて、機能的な市場が形成される。
 そうした大事なシーズンは日本の企業の決算期が3・9月に集中しているため、10月後半から11月にかけてと4月後半から5月にかけて到来する。今回はその年2回のシーズンの一つとして到来する。なお、1,2部銘柄についても既に発表予定が決まっているので、各自で証券会社のサイトなどで情報を得てほしい。
 とにかく皆さんも決算発表の日程を見て、売買には十分に留意されるよう希望する。(炎)


*******************************

市場
コード
企業名
発表予定日
JQ
2599
ジャパンフーズ
10/28
NJ
2656
ベクター
10/25
NJ
2665
ネクストコム
10/28
JQ
2696
大和フーヅ
10/24
JQ
3534
エヌビーシー
10/28
NJ
4303
CSKコミュニケーションズ
10/31
JQ
4556
カイノス
10/24
JQ
4689
ヤフー
10/23
JQ
4700
アクセス
10/15
JQ
4778
ヒュー・マネジメント・ジャパン
10/31
JQ
4793
富士通BSC
10/29
JQ
4836
日本フィッツ
10/30
JQ
7218
田中精密工業
10/30
JQ
7296
FCC
10/30
JQ
7556
住商エレクトロニクス
10/31
JQ
7591
エクセル
10/31
JQ
8458
NIFベンチャーズ
10/25
JQ
9630
アップ
10/29
(出所:ヒアリング)
 JQはJASDAQ、NJはナスダック・ジャパン 未定の企業は除く

(炎)

 

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14
2002/10/21 上場企業のR&D戦略及び注目特許(10/8〜10/18分)
炎のファンドマネージャー

 

 青色LEDをめぐる一連の特許訴訟や、島津製作所の田中氏がノーベル賞を受賞し1000万円の報償金を得たことなど、研究者への待遇問題が話題を呼んでいる。日本の企業はこれまでこうした研究者への待遇を無視してきたと言えるが、インセンティブ制度の見直しが企業業績にどのように反映されてくるかは不透明ではあるが、R&Dから生み出される優れた製品群が企業の業績向上に繋がることを期待し、最近のR&D戦略事例や注目特許を新聞記事からピックアップしてみたい。

1.上限3000万円の発明報奨金制度 関西ペイント(4613) 時価289円
 □平成14年10月18日(金)【日経】
 □関西ペイントは、研究員約1000人を対象に新規発明の報奨金制度を導入。発明技術を使った製品の売上高が10億円以上に達した場合、売上高の0.25%を開発者に支払う。対象となる発明は今年4月以降に登録したもの。研究成果は会社に帰属する。

2.もう泣かないで タマネギ調理 遺伝子組み替え 新種開発へ
 ハウス食品(2810) 時価1092円
 □平成14年10月17日(木)【日経】
 □ハウス食品はタマネギの催涙性物質を生成する酵素を発見、遺伝子も突き止めた。新酵素は催涙因子合成酵素と命名、新酵素の遺伝子は日米欧などで特許出願した。来年3月には遺伝子組み替えでこの遺伝子を取り除いた実験用タマネギを作り、製品化の手がかりとする。

3.知的財産の売買子会社 アルプス電気(6770) 時価1461円
 □平成14年10月16日(水)【日経】
 □知的財産を売買する全額出資子会社「IPトレーディング・ジャパン」を11月1日に設立。自社の未利用特許を販売するだけでなく、他社が持つ電子部品関連の知的財産も売買する。2004年3月期に売上1億4000万円を目指す。

4.特許出願、中国バイオ企業が躍進 松下(6752)は5位 松下電産(6752) 時価1286円
 □平成14年10月12日(土)【NIKKEI NET】
 □世界知的所有権機関(WIPO)は、国際出願の2001年版企業ランキングを発表。中国の上海バイオウインドウズ・ジーン・ディベロップメントが665件出願し、7位に躍進。同社は遺伝子特許を大量に出願した。1位は蘭のフィリップス。松下電産は5位。中国の出願件数は1999年の240件から2001年に1670件と急増した。

5.株式会社日立製作所(6501) 時価 566円
 食品への安全性や品質管理へのニーズの高まりから下記の特許は有効と見られる。
 特開2002−297700【食品情報提供システム及び食品情報提供方法】
 消費者からの商品に関する履歴等の問い合わせに対して、食品メーカの品質管理部門で回答を作成して行う必要がない食品情報提供システムを提供する。
 各食品メーカの原料情報,原料の調合情報を含む食品の履歴情報を蓄積したデータベース3を有するサーバ2を備え、消費者から送信される食品の履歴情報の問い合わせ信号をインターネット4を介して受信して、消費者のコンピュータ11にサーバ2に記憶されている食品の履歴情報を検索して送信する。

6.社員の偉業で島津株上昇、特別昇進・報奨金を検討 島津(7701) 時価388円
 □平成14年10月10日15:44(木)【YOMIURI ON LINE】
 □田中耕一さん(43)のノーベル化学賞受賞決定から一夜明けた10日朝、島津製作所の株価が跳ね上がった。同社は特許出願時に6000円、登録時に5000円を支払う制度があり、今回受賞した研究について、田中さんは1万1000円と他の社員と共同で10数万円の業績表彰を受けた。同社の業績はここ10年は苦戦しているが、たんぱく質の分析装置などにより、バイオ事業の売上高は2001年度に約50億円、今年度70億円を見込む。

7.海辺で9年、それでもさびない鉄開発 新日鉄(5401) 時価 146円
 □平成14年10月8日23:00(火)【asahi.com】
 □さびをさびで抑える耐候性鋼は50年代に米国から入ってきたが、従来型は塩がつくとうまく「さびの膜」が出来ないため、潮風の当たる地域での使用はされなかったが、ニッケルを3%混ぜれば塩分があってもうまくさびることが分かった。98年からは海浜耐候性鋼として出荷している。海浜耐候性鋼は鉄の2〜3割高であるが、塗装いらずで加工や溶接方法も変わらない。(炎)

 

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2002/10/21 企業研究 内田洋行(8057)
炎のファンドマネージャー

 

 =日本の基礎教育分野を支える有力企業「内田洋行(8057)」をチェックする=

 内田洋行と言えば事務机やロッカーなどのオフィス用品を思い浮かばれるかも知れないが、同社には国の根幹をなす教育関連事業という大事な事業が存在する。また、コンピュータなどの情報関連事業でも有力な企業である。
 その内田洋行について今回は先日の決算説明会に基づいて報告しておきたい。(なお、このレポートについては既に9月18日付アイリス有料メルマガで報告済みです。)

1.事業概要

 オフィス関連事業(各種事務用品、事務用・印刷用機械器具、各種オフィス家具の製造販売)、教育関連事業(教材教具、CAI関連商品、施設設備品の製造販売)、情報関連事業(コンピュータハード及びソフトウェアの製造・開発・販売)及び不動産賃貸事業、労働者派遣事業、教育研修事業を行うグループで、IT関連度の高い事業を運営。前期の最終赤字決算から今期は黒字化を目指して各種の施策を打ち出す。

2.株価基礎データ

時価 307円(10月18日終値)
今期予想連結EPS37.2円
予想連結PER8.3倍
時価総額 164.9億円
期末連結有利子負債 337億円
前期売上高実績 1590億円
今期予想売上高 1660億円
今期予想連結経常利益 40億円

3.前期決算の概要

1)前7月期は単体を中心に10.3%の減収となり、最終利益は15億8700万円の赤字を余儀なくされた。オフィス関連の減収が127億円分、教育関連が端境期となって買い控えが起きたことから11億円の減収となったほか、情報関連でもIT投資の手控えで6億近い減収となった。
2)連結キャッシュフローとしては計画通りで、有利子負債の削減を進めることができた。単体で460億円あった有利子負債は前期187億円、今期は更に150億円以下の水準になる模様。資産売却ではなく事業の中でキャッシュフローを生み出し、返済に努める構え。
3)連結子会社ではホビー+クラフトへの事業展開を図り成功しているウチダオブアメリカ(本社:米ロスアンジェルス、経常利益5億円・無借金)やPCソフトをまとめてライセンス販売するウチダスペクトラム(前期売上高65億円、今期80億円、経常利益1億円)などが好調で、いずれも今後の上場期待がある。

4.今期の期待分野

 今期は教育関連がPCコールの本格導入で伸びが期待できるほか、英語教育の強化でPC連動の教材関連が伸びる見込み。情報関連でもブロードバンドの普及でハードウェアが底打ちするほか、ソフトウェア、サービス&サポートが反転する見込み。オフィス関連ではブロードバンド化でノンファニチャーが伸びると見ている。

5.コスト削減策

 コスト削減へ努める意向で、今期は人件費4億円、減価償却費7億円、物流経費3億円、退職給付債務の圧縮6億円、計20億円の削減を見込む。

6.今期決算見通し

 今期は連結売上高1660億円(+4.4%)、同経常利益40億円(前期比10.3倍)、同税引利益20億円(黒字化)を見込む。

7.今期の注目施策

 今期の施策として注目されるのは教育関連事業分野でのリアル+バーチャル事業の展開。学びの場ドットコムでは目標会員数5万人(現在1.3万人)を達成し、一気にスタンダード化を狙うほか、代理店向けWEB受注率50%を目標として徹底したWEB戦略を推進。ソニーが持っていたバーコードリーダーシステムの事業を継承した事業や、CAI戦略、情報関連事業におけるeジャパン構想への対応、オリジナル業務パッケージの強化、ユビキタス事業を推進する方針。オフィス関連では東京都心のオフィス需要が2001年から2006年まで首都圏で発生することに合わせて、戦略商品を投入する。今年はその第一のピークがやってくると見ている。過当競争ではあるが今後4−5年間の需要が見込めるとしている。

8.ブロードバンド化について

 すべてのジャンルでブロードバンド化の流れが事業に大きく影響を及ぼしており、今期も情報関連事業においてこの流れで新たな展開が期待できるとの見通しが示された。

9.株価コメント

 全体的に前期の最終赤字決算から今期は大きく浮上の動きが感じられた。連結PER10倍以下であることと、有利子負債の削減が進んでいる点、時価総額が事業規模の割に200億円以下と見劣りがする点などを加味すれば出遅れ感が強く、今後の株価も押し目買いスタンスで良いかと思われる。8月の安値240円をボトムに株価は一旦350円程度まで上昇したが、その後は全体相場の低迷に歩調を合わせて再度の調整場面入り。今期の業績はV字型の回復見通しにあるが、新四季報では来期の業績も大きく伸びると見込んでいる。不安感があった異常な有利子負債の増加に歯止めが打たれ、財務リストラの進展が見られることは歓迎すべきことだ。とは言っても過去の業績推移は決してほめられたものではない。有利子負債削減が実現できている点は評価できるが、業績面の向上がないと株価の大きな上昇も期待できない。同社ではブロードバンド化の流れに対応した新たな展開を見込んでいるもようである。ブロードバンド関連企業、ITと教育とが密接に連携した新たな事業発展の芽が見出せるなら大いに評価を高めることが可能だろう。
 現状の時価総額は165億円に過ぎないが、今期の連結経常利益40億円の実力と有利子負債削減による財務内容向上によって、時価総額400億円程度までの株価展開も容易に想像ができる。但し、これは今期の業績計画達成後の目標となるだろう。(炎)

 

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2002/10/18 変化するコンビニ像
小野小町

 

 肉まんやおでんなどコンビニに温かいメニューが並ぶ季節となりました。私の勤務先の周辺にもam/pmやデイリーヤマザキ、ファミリーマート、少し離れてローソン、セブンイレブンと犬も歩けば…というくらいにコンビニが立ち並んでいます。根が食いしん坊の私は中華まんや季節限定のプリンなどつい手を伸ばしてしまう今日この頃です(太る…)。

 それはさておき、先週から今週にかけてコンビニ各社の8月の中間決算説明会が開催されました。首位のセブンイレブンは、今期は過去最高のスピードで出店を加速しており愛知県など未出店エリアへ積極的に進出しています。販管費は若干かさむものの、買上点数や客数も安定的にのばしており今期も安定した収益を確保する見通しです。平均日販は67万円と業界平均を20万円以上も上回る高い収益力は健在といったところでしょうか。

 一方、2位以下の企業は本業は厳しい中、店舗スクラップなどリストラに注力しています。2位のローソンは攻めの経営に転じるためあえて費用を計上、通期の単独営業利益を35億円下方修正しました。ただこれは商品開発や教育といった先行投資という意味合いが強くそれほど悲観する必要はなさそうです。3位のファミリーマートは前期から進めてきたコスト削減効果もあり体質改善は順調に進んでいます。下期はセブンイレブンの牙城であるおでんを本格的に投入、日販向上につなげる考えです(社長がしきりに食べて下さいと勧めていました)。

 全般に環境は厳しいという話ですが、個人的には消費者の変化に対応しきれていない部分もあるのではという印象を持ちました。コンビニは1970年代後半に物販に始まり、24時間営業というメリットを生かし宅配便等様々なサービス需要を取り込み成長してきました。しかし昨年度の既存店売上高は4年連続のマイナスと頭打ちの状態が続いています。

 ただそうした中、業績を伸ばしている企業もあります。90年創業のam/pm(非上場)です。売上規模は国内8位ですが、集中出店している都心に限れば大手3社を上回る50%のシェアを占めます。健康志向が高まる中、94年には保存料無添加のフローズン弁当をいち早く導入、カロリー表示も行っています(でも一個1,000キロカロリー近くもあるお弁当は食べる気が失せますが…)。三井住友銀行と提携したATMの利用率は業界NO.1とサービス面でも高い水準を誇っています。人口の都心回帰が追い風になった面もありますが、要は消費者の変化に的確に対応できたのだと思われます。

 一時は出店すれば半ば成功が約束されていたコンビニですが、最近はフランチャイズオーナーの獲得も難しくなっているようです。企業によりますが、オーナーにはおおまかに自ら土地、建物を所有しその他投資を負担するタイプと企業側が提供した店舗を運営するタイプとに分けられます。最近はリスクの少ない後者のタイプを選ぶオーナーが増えているようです。また都心でも、以前は見向きもされなかった裏道や一方通行の道路、地下鉄、病院などの施設へと開拓が進んでいます。また郊外では大型トラックが駐車できるようなスペースの広い立地が優位にあるようです(大型車の運転手はリピート率が高いそうです)。

 現在、コンビニの顧客の7割は男性といわれていますが、女性や高齢者など新たな顧客層を開拓する必要に迫られています。ローソンも下期は実験店舗「ナチュラルローソン」を生かした商品開発を進めるなど、少しずつですが動きが出始めています。

 今期、来期と出店を拡大するセブンイレブンに対し、2位以下の企業がどれだけリストラで攻勢するのか注目したいところです。(小町)

 

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2002/10/18 ワールドクラブチャンピオンフットボール
海パン刑事

 

 先日、フジテレビで今人気の業務用ゲーム機としてセガ(7964)のワールドクラブチャンピオンフットボールというゲームが紹介されていました。ふと、どの程度ゲームセンターが儲かるのか疑問に思い、考えてみました。

【ゲーム内容】

 ゲーム内容としては自分自らがクラブチームの監督となり、チームのマネジメントや試合での選手起用、フォーメーションなど戦略を考えながら対戦し、強いクラブチームに育てていくというもの。

【ゲームの魅力】

 魅力はセリエAの選手やワールドカップで活躍したスター選手を自分が監督となって思ったとおりに動かせること、試合後に出てくる選手カードを集めることができる(誰が出るか分からない)ことという。試合後出てきた、選手(カード)は次回の試合で起用することが出来る。また、中にはプレミアカードもあり、これをあてる楽しみもある。

【ゲームのシステム】

 1システムで8台のゲームがあり、8人がそれぞれゲームをプレーできるようになっている。このゲームを初めてやるにあたってはスターターパックを1000円で購入しなければならない(クラブのICカード1枚、選手カード11枚、選手カードケース11枚、説明書が入っている)。1プレーは300円(2プレイでは500円)。ちなみにこのシステムの定価はおよそ1500万円程度。プレー方法などの詳細は以下のサイトを御参照下さい。http://www.hitmaker.co.jp/game/Champion_Fb/home.html

【年齢層】

 年齢層は大体、大学生から社会人と比較的可処分所得が多い層が中心となっており、これまで何万〜10万円以上このゲームにつぎ込んでいる人は少なくないとのこと。おそらくゲームセンターに来る毎に1500〜2000円程度使うのだろう。

【現状】

 現在大人気ということもあり、休日はフル稼働状態。何時間待ちもあるという。基本的には整理券を店員からもらったり、名簿に名前を書いて順番を待つ。このため、待っている客はその他のゲームをしながら待つことも多く、ゲームセンターの売上寄与につながっている。

 わたくしも、試しにやってみようと思い24時間営業のゲームセンターへ足を運んだのですが休日前ともあり、夜中の1時に予約しても1時間以上待ってもできなかったのでスターターキットを買ったのにもかかわらずあきらめて帰ってしまいました。

 ということで今回このゲームを導入した場合どの程度儲かるか考えてみました。勝手に以下の前提で計算すると、稼働率ごとに次のような売上と利益が出てきます。

1)1プレイの時間を6分間とする
2)1プレイ300円だが2回プレイ(500円)をプレーヤーすべてが選択した
3)ゲームセンターの営業時間数13時間(10時〜11時)
4)ゲーム終了後に出てくるカードの仕入値は1枚80円(実際、いくらか分かりませんが)
5)20プレイに1回スターターパック1000円を購入するものがいる
6)スターターパックの利益率は30%(実際は分かりません)
7)そのゲーム機かかわる店員の人件費1ヶ月50万円
8)それにかかわる電気代1台10万円
9)1システム(8台)のゲームのレンタル料1ヶ月70万円
10)メンテナンス料は売上高の5%
11)ゲームが占有する敷地の家賃は除く

・稼働率が100%のケース(万円以下四捨五入)
408万円(売上高780万円) 利益率52%
〔時間あたりのプレー数×(500÷2プレー)×営業時間×8台(1システム)×営業時間数13時間×1ヶ月の営業日数30日〕―〔人件費50万円+電気代10万円+レンタル料金70万円+メンテナンス料+カードの仕入(1枚80円)〕+〔スターターパック売上(総プレ−数÷20×1000)×0.3(スターターパックの利益率)〕=408.2万円

 もし、仮にカードの仕入が1枚50円だとすると508.1万円の儲けになる。

稼働率が80%のケース301万円(624万円) 同48%
稼働率が50%のケース139万円(390万円) 同35%
稼働率が30%のケース31万円(234万円)  同13%
稼働率が20%のケース▲22万円(156万円) 同▲14%
という計算になる。

 実際、地方でゲームセンターの経営している某上場によると1システム(8台)で1日平均15万円程度の売上があるとのこと。とするならば単純計算で15万円×30日=450万円。およそ、この程度の売上からすると稼働率は約6割近くになると考えられるので先ほどの前提を置いた場合、利益率は40%程度となるので1ヶ月180万円の儲けとなる。ちなみにこの会社は全部で10数システム稼動しているとのこと。

 本当のワールドカップは終わってしまいましたが、ゲームセンターでのワールドカップブームは当面続きそうで、ゲームセンターにとってはこの特需でしばらくは美味しい思いができそうです。
(海パン)

 

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2002/10/15 株価の本源的価値とノアの箱舟
大原部長

 

 【株価の本質的な価値】

過去のPEを参考にして、いまが安いという議論はあまり意味がない。過去はいまの株価と全く関係がない。

たとえば、3年前の富士通の株価が4000円だったとしても、今の株価450円が安いという根拠にはならない。

それはバリエーションにも当てはまる。過去のPEのレンジが最高で70倍だったからといって、今期予想EPSに70倍をかけて、いまの株価は安いと判断してはならない。
PEの過去のレンジは意味がない。

大切なのは、いまから将来の会社の業績であり、その業績の成長具合である。
大きく伸びる可能性が高いなら、PEは高くなってもおかしくない。
そうではないなら、PEは低くて当たり前である。

いま、多くのアナリストが失敗に陥っているのは、過去のPEの残像が残っているからかもしれないし、過去の驚異的な成長の残像が残っているからかもしれない。
過去の残像が余韻として頭の中に残っているとき、将来についても過大な成長率を当てはめてしまう間違いを犯してしまう。

2000年末に業績がピークアウトした後、2001年前半はその反動で業績は低迷局面を迎えていた。
そして、テロ事件で決定的に業績は悪化すると思われたが、大胆な金融緩和で、業績は底打ちとの期待が高まった。
期待が高まったとき、アナリストたちは、「ボトムを打ったのだから、次はピーク。ピークは過去のピークをいつも越えたから、今回は2000年のピークを更新する」と思った。
結果として、2001年の12月ごろまでには、2002年は2000年を上回る好況状態が予想されてしまった。
ESPという無機的な数値の集計では、バブルを超えるバブルが予想されていた。
ところが、そうではなかった。株価は暴落し、再度、ボトムを探る展開に追い込まれていく。
底打ちは、「だまし」だったのだ。

さて、収益予想をして、理論株価を導くときに、無リスク資産の利回りにリスクプレミアムを加えたものを使用する。
この無リスク資産の利回りがいま非常に低い。
だが、この非常に低い利回りを使って、割安だと判断しても、投資は失敗する。
利回りは毎日変化する。
将来利回りが上昇すれば、当然、理論株価も下がってしまう。
だから、本当に安いといえる水準で株を買いたい人は、リスクフリーレートに3−4%の水準を使っている。
リスクプレミアムなら、5−6%は上乗せして、10%に届きそうな割引率をつかって、投資を決定している。

わかりにくいかもしれないので、例をあげる。
10%の割引率というのは、PEでいうと10倍のことである。
将来の収益が安定しているなら、PE10倍で買えれば、それは本質的な価値に基づく投資といえる。

将来の収益が安定していないなら、どうするのか?成長するなら、長期間で収益がどのくらい増えるのか、どの程度の成長率が適当なのかを決めることになる。
成長することが確実だと思えるなら、成長率は2%程度に設定してもいいかもしれない。
この成長率を割引率10%から差っぴく。すると10%から2%をひくと、8%となる。
8%とは、PEでいうと12倍である。7%なら、1/0.07で14倍である。

このことから、成長株は、収益がボトムアウト後、15倍以下で買えるなら、それは手間がかかる不動産投資よりもずっと割安な投資であるということである。
いま、中古不動産なら5%程度の利回りが確保できるだろう。
建物が価値はどんどん落ちていくために単利10%のものであったも、5−6%の利回りに収斂されると見ておく。
手間隙かかる不動産の5−6%と、まったく手間のかからない証券投資とが同じ利回りであるはずがない。
そういう意味で、証券投資の利回りは5%程度あればすばらしい成果といえよう。

もし、今期収益がボトムなら、PE20倍(利回り5%)は、まずまずの水準だ。
東証の平均PEはいま20倍。
不動産への実物投資と同様の経済効果が見込まれるということかもしれない。
ということは安いのかもしれない。

銘柄によっては財務リスクが少ないのにPE20倍割れというものがわんさかある。
投資を今すれば、掘り出しものが必ず見つかるだろう。

【ノアの箱舟をつくるゾ!!!】

不良債権ゼロの社会とは、膨大な機会損失を被る経済合理性にさえ欠けた社会になってしまう。
いつの世にも不良債権はある。
日本という国に投資するだけのインフラさえ整っていたら、当然、日本に残っただろう付加価値が山ほどあった。

膨大な取り逃がしたビジネスチャンス。
その責任はどうして問題にならないのだ?無作為の責任は政府にある。

弱者をより弱くすることで、強者を強くすることはできない。
金持ちを批判することで貧乏人が金持ちになることはない。
貧乏人をホームレスにすることで、金持ちはより金持ちになることができない。
貧乏人の購買力の向上がカネの源泉だからだ。

強者は弱者をいたわることで、精神的にも経済的にも成長する。
精神的な成長が強者が強者であるための条件であり、弱者の分け前を取り上げるような強者はもはや強者ではない。

教条的なゼロサムの教えに洗脳されている政府が、弱者と強者の二者択一を迫っている。
資本主義はゼロサムゲームではない。
敗者が復活できるが保証されている自由な契約社会が資本主義の特徴といえる。

起業が少ないと政府が嘆く。
そして、廃業もすくないと嘆く。
起業を沢山して、廃業を沢山して、そういう社会を目指すべきだと。

おいおい待ってくれ。考えてくれ。
廃業を多くすれば起業は増えるのか?起業を増やすため、廃業を促進する?そういう二者択一の発想は大概大きな間違いなのだ。

日本の自営業者の数ほど、「起業」はあった。
廃業しないのは、自営業や中小企業の方だ。
日本の中小企業は貸し渋りで困っている?困っているのは貸し渋りがあるからではない。
付加価値のある仕事がないから困っているのだ。
政府はそんなウソも見抜けなくなったのか?
弱いものに理由を聞けば、言い訳するだけに決まっているだろう。

おいおい、いくら中小企業や自営業を優遇すれば気が済むのか?
税金を払っていない自営業層や小企業を優遇し、税金をしっかり払っている大企業を冷遇する。
源泉徴収でしっかりと税金を納めているのは、大企業の社員たちだ。
彼らは膨大な所得税を払っているのに、まったく、恩恵がない。

起業を増やすとか、わけのわからないことをいう前に、大企業を優遇しなければ、日本は益々空洞化して、ビジネスチャンスがない国になる。
中小企業だけが下請けで泣いている?貸し渋りがけしからん?どれも的外れな議論。
本質的な価値がある議論ではない。

銀行はすでに合理的な行動をとっている。
リスクの小さな国債を買っていて、国民の資産を守っている。

空洞化する日本の中小企業にカネを与えても、日本はよくならない。
日本の景気対策はいつも中小企業や個人消費者へのばらまきだ。
なんの将来のキャッシュフローを生まない。

政府の投資成績は、まったくのゼロ。
不良債権があるから貸し渋りになっているというとんでもない勘違いをしない方がいい。
貸し渋りと不良債権は全く関係がない。無関係な事柄だ。

滅茶苦茶な政策と哲学を国政に持ち込んで、ワースト内閣の行く末には、国債の大暴落が待ち受けるだろう。
国債が大暴落しないのはなぜなのか。
国の国民に対するコントロールはもう効かなくなるだろう。
しっかり税金を払っても、無駄に中小企業にばらまかれるだけだ。

大企業は、自分を自分で守るしかない。
大銀行は、郵貯と戦いならがら、政府や市場とも戦うしかない。
そんなバカな話はない。

大企業の社員や大銀行の社員は、こんな国からおさらばした方がよい。
1月1日に住民票をガムかどっかに移すべきだ。
わたしが代わりに、無国籍の無人島を埋め立てでつくり、無人島に50万人分の穴を50万個掘ってくる。
その穴を新住所にするといい。旅費や工費は公共事業として税金で出してもらおう。
1週間ボケーとして、住民票をもどして、日本で生活しよう。
税金は払う意味がなくなった。もう、本社に寝泊りするしかない。
狭いところに密集して生きるしかない。
そうすると警察や消防署や学校は民間運営しても、国の1/10の経費で運営できるだろう。
千代田区あたりで、家族は、公園で野宿するか、キャンプするしかない。
そうして、大企業だけの政策減税を強行するしかない。
国へのストライキだ。
大企業や大銀行はその無人島に本社を登記上移した方がいい。

政府のいうことを聞いたばっかりに、この20年間まったく時間を無駄にしてしまったかわいそうな銀行よ。
銀行は、毎日言うことが変る政府のいうことに100%戦後ずーーーと従ってきた。
だが、その結果、どういういいことを国はしてくれたのか?
郵便貯金はずーーーとそのまま。
そして貸し渋るから国有化?もう、本社を外国に移した方がいいだろう。

大企業の社員は、税金を払う必要はまったくない。
明日から、人事部は、源泉徴収を止めた方がいい。
こんなバカな政府のいうことを聞いていたら、本当に自爆してしまう。

大企業と100万人の日本脱出は、現代のノアの箱舟となる。
ノアの箱舟にのって、脱出するしか、大企業の社員と大企業は手がなくなった。

税金がなくなったので、EPSは初年度に50%上昇する。
競争力がつき、日本企業の世界シェアが上がるので、2年目にEPSはさらに50%上昇する。
日経平均はPE20倍で2万円を回復できる。
成長力を取り戻したから、PE30倍でもいい。
すると日経平均は3万円を回復できる。

このことから、大企業がいかに理不尽に日本に搾取されているかがわかるだろう。
中小企業に大企業が搾取されているということは、誰もいわないので、わたしが言うことにした。
もちろん、わたしは間違っていることを言っている。物事の一面をいっているだけだ。
世の中は二者択一の世界ではない。(大原)

 

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2002/10/11 おまえはすでに死んでいる
生涯遊人

 

 私が学生だったころ『北斗の拳』という漫画があり、その中のフレーズに『おまえはすでに死んでいる』というフレーズがあったが、いまの日本の状態をみるとこのフレーズがあてはまるようだ。

 日銀が私企業の株式を買い取るような奇策を今行うのなら、なぜ7年前あるいは5年前、少なくとも3年前のITバブルの時に、税制改革、小さな政府への転換、不良債権処理などにつながる政策をとらなかったのだろうか。
 かつて、現在と同じような経済情勢の時に、浜口内閣は金解禁に踏み切り、デフレと不況に拍車をかけた。
 政治家として命を賭けて自分の信念を貫く、浜口雄幸の清さと、金解禁自体は、好景気の時に行えば正しい政策だったかもしれない。しかしあまりにもタイミングがわるく、経済政策は失敗し、浜口も暗殺という悲劇的な最後をとげてしまう。最悪の時に最悪の政策を実行してしまうことに、現在と奇妙な符合を感じてしまう。

 最近の10年をみても、金利を下げすぎてバブルを誘発してしまい、またバブルを潰すために、金利を上げすぎてしまうという愚挙を繰り返してきた歴史がある。
 やはり円は長期的には売られていくのではないか、と考えている人間が多い。それは外人だけではなく、日本人も含めて、あとはタイミングだけという雰囲気が市場を覆っている。

 127−128円あたりを超えてきた場合、この動きに拍車がかかるだろう。しかしタイミング的には、米国株式市場の状態、イラクとの戦いなど、まだ難しい状態が続いている。
 しかし外国人の日本売り、米国株式市場の下落により米国人のリパトリエーション(日本資産を売り、米国に資産を戻すうごき)などが散見される。
 実際、日本のバブル崩壊以降、日本人投資家が海外に投資していた資金を日本国内に戻す動きがあり、不況時の円高となった。また日本人投資家もゆっくりとではあるが、外貨に投資している(日本株がこの状況なので消去法としてだが)。

 このように、円売りの動きは、じわじわと継続している。しばらくは120−125.00円の動きが続くであろうが、127−128.00円を抜ける時は要注意である。(生涯)

 

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2002/10/07 住友化学と三井化学
億近産業調査部化学班

 

 住友化学と三井化学との統合には、多大なコストメリットが働く事を両社はアナウンスしている。住友化学側では統合効果は約1000億円と伝えられ、石油化学中心に効果が生じて来ると考えられ、ホルダーの期待も高まる。
 しかし両社の統合はコスト面ばかりでなく、技術的な融合も同業他社を差別化するポイントとなろう。特に石油化学プラントでは世界的な特徴ある技術を保有する両社だけに、今後の可能性が期待される。

【両社の技術】

(1)三井化学のメタロセン触媒
 1980年に発見された二塩化ジルコノセンとアルミノキサンを組み合わせた触媒で、エチレンに対して高い重合性を示し、活性点が均一(Single Site Catalysts:SSC)であることが特徴。
 この触媒によるメリットは
1)狙った特性が出易い。希望の樹脂の作り込みが楽かつコスト低減効果が得られる
2)収率が高い
3)触媒が安定している
 発見以来、各企業が研究を続けているが、この触媒で世界トップを走っているのはダウケミカル、エクソンケミカル、三井化学の3社で、パテントも押さえポリエチレン製造に乗り出している。
 しかしこの3社でもダウだけは製造方法が異なる。エクソンケミカル、三井化学の気相法に対し、液相法を用いている。一般に液相と比較し気相法の触媒の方が安価であると言われているが、ダウケミカルでは狙ったものの得やすさや収率を考えると、溶液コストが必要でもトータルでは安いとの考えを持つ。ダウ法は触媒の中心金属に対する反応の方向性を持たせており、これが収率の高い要因、狙ったものがほぼ出来るとしている。ダウの収率は相当高いと想定され、三井はダウより低いものの収率差は1%以内に収まっていると推定する。

 しかし気相法でこれだけの収率を上げるのは特筆できそうだ。この触媒は長い年月をかけて研究されてきたが、工業化学にとっては業界図を大きく変える可能性を秘めていると言われる。パテントを保有し既に量産している3社にとっては有利な立場にあると考える。

 現在、この触媒を使って唯一ポリエチレンが製造されている。
 ポリエチレンには結晶化度の違いにより2種類に分類される。
LDPE(低密度ポリエチレン)…結晶化度低く引っ張りに弱い、但し透明
HDPE(高密度ポリエチレン)…引っ張り強いが不透明
 メタロセン触媒は均一触媒(SSC)であるためポリマーの分子構造を精密に設計でき、ポリマーの微細分子や共重合反応性を自由にコントロールできるため、従来のポリオレフィンでもない新しい性質を持つことが可能となり、今後のプラスチック材料の主流になると思われる。三井化学の飛躍を期待する。

(2)画期的なプロピレンオキサイド製造方法(住友化学)(Propylene Oxide)
 プロピレンオキサイドの2001年度内需は35.1万トン。住友化学とライオンデルの合弁である日本オキシランが17.1万トン、旭硝子が11万トン、トクヤマ7万トンが日本の勢力図。
 プロピレンオキサイドはエラストマー(ゴム状弾性を有する物質)、塗料、接着剤などの原料として工業上重要な物質。製造方法は旭硝子及びトクヤマのクロロヒドリン法に対し日本オキシランはハルコン法だ。
1)クロルヒドリン法:プロピレンに塩素と水を反応させ、生成したクロルヒドリンを水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウムで処理する。
塩(電気分解)⇒Cl(塩素)+苛性ソーダプロピレン+Cl=プロピレンクロロヒドリンプロピレンクロロヒドリン+H2O+H2O2⇒プロピレンオキサイド(HCl回収しClを再利用)
 海外から輸入した塩に水を混ぜ電気分解。ここで塩と苛性ソーダが得られるが、このプロセスは塩ビを手掛ける東ソーなどのプロセスそのもの。塩が元の原料なので原料コストこそ安価だが、電気分解コストは馬鹿にならない。プロピレンオキサイド製造を主目的としたクロロヒドリン法ではコストが見合わない。しかし現実に旭硝子は同製法を用いているが、これは硝子製造に大量の苛性ソーダを必要しているためであり、余ったClの活用方法がプロピレンオキサイドの製造なのだ。但し、塩化カリウムまたは塩化ナトリウムが併産される。

2)ハルコン法:イソブタンあるいはエチルベンゼンを酸素と反応させて得られたハイドロパーオキサイドでプロピレンを酸化する方法。
エチレン+ベンゼン⇒エチルベンゼンエチルベンゼン+酸素⇒EBHPO(エチルベンゼンハイドロパーオキサイド)プロピレン+EBHPO⇒酸化プロピレン+MBAMBA⇒スチレン+水
 全体の効率を上げるためにエチルベンゼンを酸化し、その酸化生成物EBHPOを酸化剤としてプロピレンを酸化し目的のプロピレンを得る。分解物としてMBAを得るが脱水しスチレンモノマー(SM)を合成する。
1)では塩化カリウムまたは塩化ナトリウムが、2)ではスチレンが併産物として大量に産出されてしまい、併産物の需要や価格動向の影響を受け易かった。しかし住友化学は2)の方法でイソプロピルベンゼンから併産物を生成しない、(キュメンを水素で還元さえ原料として戻す)全く新しい画期的なプロセス構築に成功し、年度内に工場が完成する。世界から注目されておりライセンス供与の話も来ているようだが、住友は一切応じず自社の優位性を存分に発揮していこう。(協力:某証券アナリスト)
(億近産業調査部化学班)

 

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7
2002/10/07 緊急提言:再び始まった恐慌相場
炎のファンドマネージャー

 

 =危機意識を持って対応しよう!!=

 ついに日経平均は8600円台となり底割れの状態に陥ってしまった。過度の悲観は禁物との別コラムでの主張は週末段階のものだが、本日の相場下落を眺めて改めて再び始まった恐慌相場を乗り切るための緊急提言をしておきたい。

 日本の株式所有構造は、戦後一貫して個人投資家の持株比率が減少する一方で、機関投資家が株式を保有する持合構造のあぐらの下で事業運営の非効率化に繋がってきた。お互いに株式を持ち合うことで非効率性をゴマかしてきたつけがここに来て回ってきたのだ。
 過剰とも言える投資によるROE(株主資本利益率)の低下が、株式市場に上場する企業への投資価値を下げてきた。

 高度成長時代を過ぎて低成長時代を迎える中での過剰な投資が15、6年前から巻き起こり、12年前あたりからバブル崩壊となって表われてきた。銀行、建設、流通、不動産などバブル時代の立役者は自らが蒔いた種で身を細らせてしまい、未だに存亡の危機に直面している。
 過去2回の公的資金の導入もむなしく、恐らく3回目の公的資金導入が議論され、早期の不良債権処理が実行に移されるだろうが、国民全般への政策不信が残ったまま時間だけが経過していくことは目に見えている。

 銀行経営の困難さは合併によっては容易に解決できない問題となっている。合併による効果は3年以上の時間経過を必要とするし、現在のような小出しの対応では市場での評価は得られるわけがない。既に有力都銀が国営銀行となるのではないかとの懸念から、株式市場では換金売りの対応がなされ始めている。ペイオフ延期が好感されるのではなく、深刻な事態と受け止められ、株式市場での評価を下げてしまうといった皮肉な現象を生んでしまった。

 経済復興の鍵は効率化。そのためのIT化投資が削られてしまおうとしているのは効率化に逆行するものとの認識がある。
 ROEの上昇には売上高利益率と総資産回転率、総資産を自己資本で割った財務レバレッジの3つの項目を上げていくことが求められる。このことはアナリスト講座で私が学生さんに何度も言ってきたこと。財務分析の定番とも言うべきポイントである。
 そこで処方箋。利益率向上のための方策は、メーカーであるなら過剰な設備を廃棄して需給を調整して販売価格を妥当な水準に高めていくこと。余分な経費をかけずに販売していく手法を構築すること。つまり販売費一般管理費の削減が急務。
 多くのメーカーが着実に取組もうとしていることだが、これが結構難しい。そこでせめて政策対応で税率を引き下げてあげれば、ほっておいても利益はアップするが、税収減となる政策に踏み込むことはできない状態。
 でもそうした躊躇は許されない。証券税制も含めて思い切った対応が求められている。
 売上高が伸びないのならリストラを行って総資産を絞り、総資産回転率を上げる必要があるし、良し悪しはともかくとして財務レバレッジを上げるためには自己資本を自社株買いなどによって抑える必要がある。企業の対応としてはこの際、自社株買いを積極的に行って市場から株式を吸い上げることだ。但し、この政策はより一層の自社株の啓蒙があって行うべきだろう。つまりIRの実行で投資機会をもっと投資家に与えておかないとならない。

 戦後営々として築いてきた日本国経済の発展の礎がもろくも崩れ去ろうとしているのなら、それを何とか再構築する必要がある。
 それには国民一人一人の危機意識が背景とならなければならない。 もはや政策頼みだけではいけない。
 仮に政策的見地を持つなら、冒頭に指摘しておいた株式持合構造の大転換を図る必要がある。また、起業家支援、エンジェル支援の体制を構築して多くの国民が自ら業をなして何らかの形で経済に参画していくインフラを整備しないとならない。
 土建国家からの決別を図り、知的財産をベースにした国家戦略を構築することこそが、正しい国の方向だと考えているが、いかがだろうか?

 危機的状況の中で国、特にお役人たちの奮起と企業経営者の奮起を信じて投資家は経済復興を貢献する役割を担うことにしよう。
 本日の緊急事態を予見していた多くの投資家にとって、思い切った投資に踏み切るか否かの決断は近づきつつあるようには思えるが、その時期はなおも特定できない。その時期が到来するまでなおも固唾を飲んで見守るしかないのだろうか。秋の夜長は本当に長い…。それでもその時期は刻々と近づいている。なぜなら、総悲観の中にこそ新たな息吹が芽生えるものだからである。(炎)

 

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6
2002/10/07 ディフェンシブストック
炎のファンドマネージャー

 

 相場低迷の折ですから、ここではディフェンシブ銘柄に焦点をあてて紹介していきたいと思います。どうぞ参考になさって下さい。

1.キッコーマン(2801)
 時価746円 連結PER19.7倍 配当利回り 0.9%
 日本が生んだ世界を代表する食文化の一つ、醤油の生産販売を世界的規模で行っている日本発のグローバルカンパニー。欧米から東南アジア、中国へと世界中でその名前は広がっており、ブランド価値は大きい。
 株価は9月5日の安値712円を下回っておらず、現状株価の時価総額は1471億円。
 事業はグローバル化しており、子会社を含めた連結決算が評価のポイント。

【参考】
前期連単倍率: 売上高2.58倍、経常利益2.78倍、当期利益1.81倍 
連結子会社数 23社、持ち分法適用関連会社数 2社
前期末発行済み株式数 195,531,893株、現在:197,202千株
前期末資本金 11,599百万円
前期末1株当たり株主資本 676円
事業内容・特色:
 醤油及び醤油調味料最大手。シェア28%。丸大豆醤油では62%とダントツ。デルモンテブランドでトマト製品も展開。売上構成比(02.3):醤油26%、醤油関連調味料5%、デルモンテ12%、酒類8%、コカ・コーラ34%、食料品卸売14%、その他1%
業績見通し    売上高   経常利益  税引利益 EPS
02.3期   3369億円 132億円 54億円 27.4円
03.3期(予)3520億円 150億円 74億円 37.9円

【事業概況】
海外事業が好調 前期の醤油・醤油関連商品売り上げは、国内は醤油が4%減、関連商品はたれがBSEの影響で落ち込んだものの、つゆの好調で4%増となった。デルモンテ、酒類は価格競争激化で低迷したが、コカ・コーラは茶系飲料の好調で5%増となった。一方、海外は、醤油が8%増、食品卸が4%増と好調。この結果、海外比率は19%から21%に上昇し、営業利益では48%を占めるに至った。なお、食品卸部門は米国のアジア系食品の取扱いシェアトップとなっている。

【来3月期メドに中期計画を推進】
 丸大豆醤油など高付加価値醤油の拡大、和風惣菜の素「うちのごはん」の投入などたれ・つゆの強化、中国市場の開拓、デルモンテブランド洋風調味料の開発などを柱に、来3月期売上高3800億円、営業利益220億円、海外売上比率25%を目指す。なお、今期は海外の続伸で前期比4%増収、同14%経常増益の見込み。

 

2.シャルレ(9885・大証2部)
 時価 710円 予想PER9.5倍 時価総額 142億円 予想EPS75円
 一株当たり配当金 30円 配当利回り 4.2% PBR 0.48倍 株主資本比率 84.9%
 有利子負債0

【概要】
 神戸に本拠を置く会員組織の試着会形式による訪問販売会社。配当利回りの高さから株価は全体相場に比して底堅い。市場規模が縮小する中で新中期経営計画を策定して新たな成長を目指す。このところの業績の伸びは止まっているが、化粧品など新たな分野への参入など販売網を活用した戦略にも期待。
 株価は2000年以降、長期ジリ高歩調にある。
前期発行済み株式数 2047万株
前期末資本金  3,600百万円
前期末1株当たり株主資本  1,478円
事業内容・特色:
 主婦向けを中心とした下着メーカー。試着会による訪問販売が主力。
売上構成比(02.3): ファンデーション28%、レックニット13%、肌着・ショーツ31%、ランジェリー2%、ナィティ・Tシャツ、水着17%、タオル3%

【シャルレ・チャレンジ!30を策定】
 下着は成熟商品化、市場規模は98年の9260億円から00年には8720億円に縮小している。一方で嗜好の多様化、低価格化が進んでいる。売れ行き価格帯はブラジャーで2年前の5000円中心から3000円中心へ移り、素材・機能重視からデザイン優先へ移っている。また、大手集中化も進んでおり、ワコールの22%を筆頭にトリンプ、セシール、シャルレ、グンゼの上位5社で約50%のシェアを占めている。
 こうした市場環境のなか、15年3月期を初年度とする新中期経営3年経営計画「シャルレ・チャレンジ!30」を策定。フィッテング資格制度の導入、ブランドの再編成、商品開発力の強化に取り組み、新規顧客の獲得と既存顧客の安定継続購入度の向上を図る。

【9月化粧品をテスト販売へ】
 9月よりスキンケア化粧品のテスト販売を開始した。スキンケア市場は5600億円とみられるが、圧倒的な強者がなくトップの資生堂でもシェア13%、上位10社で46%に過ぎない。今期業績は前期比8%増収、同8%の経常増益を見込む。
(炎)

 

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5
2002/10/07 株式相場が下落する中で得する投資家はいるのか?
炎のファンドマネージャー

 

 〜本質的な投資価値の高まりで過度の悲観は禁物〜

 株式投資の本質は企業の収益性(過去、現在、未来)や過去の社業の結果として構築された財務内容の状態に応じて、価値評価しながら形成される金融取引と言える。
 IPO(新たに株式を上場すること)やエクイティファイナンス(株式を発行することで資金調達を行うこと)の段階では発行体と投資家の間で資金の動きがあるが、それ以外では投資家は発行体に資金を供給することはない。
 発行体は資金を供給してもらった見返りとして、事業活動から得られた収益の中から配当金を投資家に分配する。配当性向(稼いだ利益の中から分配する配当金の割合)は概ね30%前後となっている。
 つまり利益の30%を株主に還元し、残りは会社に留保して新たな投資チャンスに備えるのだ。

 そうした株主への配当金を株価で割ったものが配当利回りということになる。
 配当金は20%を勝手に国が徴収するので手元には80%が残るだけ。企業の利益は売上から売上原価を差し引き、販売や管理にかかったコストを引いて営業利益を計上する仕組み。
 それに営業活動以外の収益や経費を差し引いて経常利益が算出され、そこから有価証券売却などに伴う特別損益を差し引いた税引前利益に、約40%程度の税金を差し引かれて税引き利益を計上することとなるが、配当の二重課税問題はこのように既に計上された企業内の利益に掛けられた税金に更に社外分配する際の配当にも課税するという問題を指しているが、これをなくすことは株主の権利や意識を向上させるものであり、重要な政策と考えられる。

 さて、冒頭に掲げたテーマは、このところの下落相場で考えてみた点である。
 株式投資から得られる損益はキャピタルゲインないし、キャピタルロス、ないしは配当金だけを対象としたインカムゲインが挙げられる。この場合はインカムロスはありえないので、株式投資の収益=(売却株価−購入株価)+配当金/購入株価ということになる。
 もし、売却株価が購入株価より低い場合は、よほど配当金が多くないとキャピタルロスとなってしまう。
 この場合、先に購入した場合だけでなく後から購入した場合も考えられる。つまり、買った株が後から値上がりして売却するケースと、持ってはいなかったが株券を借りて売った株が後から値下がりして買ったケースのいずれもがキャピタルゲインが得られることになる。
 つまり株価下落で得する人たちも実際には数多く存在するのだ。マスコミが株式相場の動向を伝達する内容は表面的なものである。実際にはリスクヘッジを掛けた投資家が数多く存在していて、水面下では株価反騰の時期を戦々恐々と見守っている最中なのかも知れない。

 最近の下落相場が将来の株価下落を見越したスペキュレート(投機的)な行動もかなり後ろ盾になっているとするなら、彼らの投資行動の強力な動機付けとなっている株価下落の余地をなくせば良いだろう。
 日本経済における短期的な苦難を長期的苦難と断定しての行動ならば、それはそれなりに意味のあることかも知れないが、株価下落に伴って配当利回りは着実に上昇してくる訳だから、ここからの株式相場を過度に悲観する必要はないと考えられるが果たしてどうなるだろうか。このため、政策当局も配当の二重課税問題を解決するなど株式市場を活性化する施策を打ち出すべきだと考えられる。(炎)

 

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4
2002/10/04 為替相場動向
生涯遊人

 

 ドル円相場は、120−125円のレンジに張り付いてしまっている。ドルユーロも0.9600−1.000のレンジの中で止まっている。
 米国の経済のスローダウン、欧州もだめ、日本もだめということで、勝者の見えない中、3すくみの状態になっている。

 今週、金融対策プロジェクトチームがきまり、いよいよ、銀行の不良債権の抜本的な処理が始まるのではないかという期待感から株式市場は動き出しているようだが、為替市場では、まだこの問題を消化しきれていないように思える。
 金融対策プロジェクトチームに起用された木村剛氏は、市場重視、銀行の問題企業に対する貸し出し債権の厳格査定、それにより、銀行が過小資本に陥った場合は、公的資金の強制注入という、所謂ハードランディング論者です。
 彼は去年「30社問題」というのを提起し、これは、各銀行は、それぞれに30社ぐらいの問題企業をかかえており、これらの企業の淘汰、不良債権処理が必要だと説き、ここから30社とはどこだという悪者探しがはじまった。
 今回も、株式市場では、30社と目される、あるいは財務体質が弱い会社が売られ、優良企業が買われるという2極化がすすんでいる。

 しかし為替市場では、そもそも木村氏の知名度が特に海外で低いため、また日本政府の抜本的不良債権処理は、オオカミ少年とおなじで、またいつもと同じ先延ばしの政策なのではないかと懐疑的な部分がある。そのために、為替市場では、めだった円買いという動きはでていない。
 また新たな期に入り、日本人投資家による新期の外債投資も期待されるが、米国債の金利が今のレベル(歴史的に低いレベル)では投資意欲がないようである。米国債が魅力がないために、日本人投資家の外貨買いという動きもあまりみられない。
 そのためにドル円は狭いレンジのなかの動きになっている。(生涯)

 

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3
2002/10/04 国際航空貨物業界の動向
小野小町

 

 日本発の国際航空貨物の伸びが好調です。航空貨物運送協会のデータによれば、国際混載貨物の輸出実績はテロのあった昨年9月(前年同月比30%減)を底にマイナス幅が縮小、今4月には18ヵ月ぶりにプラスに転じました。
 四半期別にみると4〜6月が前年同期比16%増、7〜8月は同28%増と回復しています。主な要因として、アジア向けを中心としたIT関連製品の荷動き回復が挙げられます。
 航空貨物の国内物流に占める割合は僅か4%ですが、国際物流では4割を占める重要なインフラです。輸送時間が短い上、振動が少なく内陸部へも直接輸送が可能という利点もあり、納入時間の迅速性や在庫圧縮が重要視される製造業を中心に需要が拡大しています。運輸のアナリストの間でも、セクター内では比較的成長性のある分野として評価されているようです。

 さて日本発の国際航空貨物のシェア(2000年、取扱重量ベース)をみると、首位の日通(9062)が23.5%、近鉄エクスプレス(9375)が13.0%、郵船航空サービス(9370)が11.7%と大手3社合計で市場の約半分を占めます。日通の今4〜8月の海外向け貨物収入は同6.5%増とアジア(同15.9%増)や北米(同7.4%増)向けを中心に好調な他、近鉄エクスプレスや郵船航空サービスも4月以降、数量ベースで2けたの伸びを続けています。

 エリア別で最も期待されるのはやはり中国です。昨年の日本発の航空貨物は全体で前年比21.4%減となりましたが、中国向けだけは同2.7%増とアジアで唯一前年を上回りました。
 国内メーカーが上海等沿岸部を中心に生産拠点の移転を加速する中、物流各社も基盤整備に力を入れています。日通は現在沿岸部を中心に38の拠点を構築、近鉄エクスプレスも今月大連に子会社を設立、今後3年間で拠点を24から34ヵ所まで増やす計画です。

 その他、サービスの高付加価値化も進んでいます。日通は世界で24時間体制(外国では少ない)のシステムを構築、他社より半日早く貨物を納入できるスピードが強みです。出荷国で貨物を搭載した時点で到着国に貨物情報を送信、手続きを前倒しで行っています。
 ハイテク業界に強い近鉄エクスプレスは、今春から成田空港内で米シスコシステムズの検査業務の受託を行っています。まだ試験段階ですが、将来は他企業からの需要も取り込む構えです。他にも半導体製造装置の据付事業など独自のサービスを強化する方針です。

 各社にヒアリングしたところ、足元の荷動きはアジアが引き続き順調な他、米西海岸港湾のストの影響で自動車部品等が一部、船便からシフトしていることもあり堅調です。ただ仮に航空便の需要が急増した場合、仕入れる航空機のスペースの価格が上昇するとそれがそのままコスト増要因となる可能性もあります。
 こうした一時的な需要は別として、各社とも下期については慎重な見方をしています。しかし世界の航空貨物需要は多少の波はあっても、中長期的な成長が続くと思われます(米ボーイング社は年率6%前後の成長を予想)。今後は取扱量の拡大もさることながら、いかに付加価値の高いサービスを展開できるかがポイントとなりそうです。

* 参考までに(数字は連結ベース、今期予想、株価は10月4日現在)

●日通(9062)
 総合物流首位。航空輸送は単体売上高の15%、営業利益の3〜4割を占める最大の収益源。今中間期は国内の苦戦もあり売上高は計画を下回ったが、ペリカン便の収益改善は着実に進んでおり経常利益は計画線を確保した模様。株価:536円売上高17,310億円(前期比1%増)、経常利益448億円(同23%増)EPS 24.1円

●近鉄エクスプレス(9375)
 近鉄の子会社(37%保有)、国際航空貨物が売上の7割を占める。70年代から米国に進出、米国の顧客の7割はエレクトロニクス関連。今10月に国内営業部門を分社化。株価:1,080円(100株単位)売上高 1,882億円(同1%増)、経常利益43億円(同4%減)、EPS57.5円

●郵船航空サービス(9370:店頭)
 日本郵船の子会社。アジア向け輸送が売上げの半分を占める。8月30日に中間期の業績を上方修正したが、通期見通しは変更せず。事業所統合や人件費削減などリストラ推進。株価:1,340円(100株単位)売上高  955億円(同4%増)、経常利益33億円(同26%増)、EPS96.6円
(小町)

 

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2
2002/10/01 厳しい環境は続くが、よい銘柄を拾う時期でもある
大原部長

 

 厳しい市場環境が続いている。

 米国市場があたふたしている中ではなかなかバリエーションの落ち着きどころが見えない。
 株価は比較で安い高いを判断しているため、比較する対象がどんどん切り下がると、「適性」株価なるものもどんどんつられて下がってしまう。
 ついに、金利水準との比較における配当水準で見ても割安と判断されるレベルまで株価は下落してしまった。
 確かに、配当水準において安いといわれている銘柄群においては下げ止まり感のあるものも出てきている。
 しかし、おおくのテクノロジー株についてはまだまだ下期の下方修正を織り込んでいないために、なかなか手が出せない。
 その上、民エレにしても産エレにしても元々バリエーションがやや高めだったため、株価の調整は深刻になっている。

 とりあえず、今期の業績がしっかりとしていて、下期の計画も慎重であり、なおかつ、バリエーションが魅力的な銘柄に関心が集中する。(低バリュー)
 また、将来に対する不安がない競争力が高い企業群についても平均でPEが30倍を割り込んできているため、投資に踏み切るケースも出てきている。(成長性)

 そのような銘柄群とは ネット・ワン・システム(成長性)、HOYA(成長性)、日本電産(成長性)、コニカ(低バリュー)、ブラザー(低バリュー)などであろう。
 バリエーション的に割高にみえるテクノロジーセクターであるが、ロームやソニーはいいところまで下落しているので押し目は拾いたい。

 さすがに松下もPBR0.8倍ということで買いを薦めるアナリストが多くなっている。その根拠は「会社が変ってきている」というものだが、官僚的な組織をが急に改善できるはずもなく、十分な結果が出ることが確信できない。総合電気は2週間前に書いたように、機関投資家にとって、そもそも投資対象としての条件から外れてしまっている。

 ということで、反発は優良株からというのが自然な流れになるのではないだろうか。問題はいつ反騰するのかということであり、米国がこんな調子では立ち直りが危ぶまれる。
 お膝元の米国では、エンロンに始まった会計偽悪による騒ぎの中で、粛々と経営改善の動きが報告されている。(今週のビジネスウイークのベストボード&ワーストボードは興味深い記事だった)。
 こういう悪い時期に、教科書的な経営改善努力がなされるというのは興味深いことである。トップ企業は不況を友達と思い、不況期にまとめて好況時に出来なかったことをやってくる。
 連載「負けない投資その10」で8月27日に書いているが、(http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000020640) 不況期における取り組みや不況を前向きに捉える経営者像について述べてきた。不況下での寡黙な取り組みや努力は、精神的な強さがなければなかなか難しい。

 株の投資でも同様であって、株価が下がっているときこそ、平常心で戦わなければならない。
 各企業で行われている経営努力がすぐに報われることはないだろうが、1−2年のタームでみても、よい経営を続けている企業はそうでない企業の株価を上回ることが確認されている。とくに、経営環境が不透明で冴えない時期こそ、しっかりと運営されている企業体に高い保険料を払うべきであるからだ。
 ウシオ電機などは最近訪問した企業の中では感心した会社のひとつである。経営力を感じる企業だ。
 日本におけるベストボードでは多分HOYAが一番であろう。
 私見偏見でわたしの選んだベストボードを載せることにする。

【ベストボード】

1.HOYA 日本的労働慣行にいち早く決別。資産効率でトップクラス
2.ローム 勝負にこだわり、組織の末端まで意識が徹底している
3.日東電工 グローバルニッチという勝利の方程式を確立
4.ウシオ 成熟技術で高い利益率を実現する工夫
5.キャノン 特許戦略を事業運営に活かしている

【最も経営が改善したと思える企業】

1.日産 業績のV字回復 
2.資生堂 利益率重視へ転換(当たり前のことをやっただけで利益が出た)
3.ブラザー 実行力のあるリストラ
4.コニカ ミノルタとの提携で攻勢 光学レンズも高水準で安定
5・トヨタ グローバルな視点からグループ経営を見直し

 (大原)

 

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1
2002/10/01 デジタルアーツ(2326)
海パン刑事

 

 ●デジタルアーツ(2326)

業績(単位・百万円)

 
売上高
営業利益
経常利益
当期利益
EPS
00/3期
104
11
 
01/3期
241
▲226
▲236
▲236
 
02/3期
546
80
80
131
 
03/3期
予820
――
210
120
8571円

                                           
注:最近公開した企業なのでEPSは予想のみ。

【フィルタリングソフトの製造・販売】

 同社はインターネット上でアダルトページを始めとした有害なホームページへのアクセスを遮断するフィルタリングソフトを開発・販売している。

【アダルトサイトをブロック】

 学校では教育の一環としてインターネットを使った教育が増加傾向にある。とはいえ、最近の子供たちは相当、マセているので、授業中にアダルドサイトやゲームサイト等にアクセスしたりして遊ぶ生徒が出てくることが想定される。したがって、学校サイドから考えるとインターネット教育を行うか否かは小学生→中学生→高校生に年齢が上がれば上がるほど有害サイトが遮断されるということが必要不可欠。
 そこで必要となるのがフィルタリングソフト。フィルタリングソフトとはそのソフトをインストールすることにより、有害と見られるサイトにアクセスできないように遮断するソフトをいう。
 具体例はセックス、ヌード、暴力、カルト・オカルト、言葉(チャットや掲示板)・表現、ギャンブルといったユーザーの指定したカテゴリーに係る表現が該当ホームページ(HP)にあった場合にアクセスできないようにブロックする。
ブロック対象は
1)同社が収集しているブラックリストに該当したHP、
2)有害である語句や単語のデータベースとマッチングするHP、
3)HP作成者が自主的に規制信号を発信しているHP、
など。もちろん、管理者が指定すればフィルターをはずすこともできる。また、カテゴリーごとにレイティングが設定(弱〜強に数段階)できるようにしている。

【既に3400校に納入済】

 2002/3期末現在、累計約3400校の学校に同ソフトが導入(12.8万ライセンス)されている。日本PTA協会全国協議会も推奨しており、個人ユースとしてマセたお子様をお持ちの父さん母さんのニーズも掴めそう。
 ビジネスシーンにおいても同様の仕組みで社員が業務上関係のないサイトにアクセスするのを防止している。我々、使用するサイドからみるとこういうソフトがあると非常に迷惑だが、管理する側からするとネットサーフィンで遊ぶ社員を減らすことができるので業務効率改善を考えると、導入は今後も進みそう。ちなみにかわいそうなことに同社の主幹事証券会社も同製品を納入、その他幹事会社も同製品を導入している模様。
 同ソフトの金額は参考として「i−フィルター Business Edition Ver.4」の場合、1000ライセンスの定価で152.8万円、更新料が76.4万円となっており、バージョンアップにより収益を得られるウィルスソフトメーカーに似たビジネスモデルとなっている。

【クライアントの誹謗中傷も発見】

 この他、企業に対する誹謗中傷といった書き込みなどの情報をフィルタリングソフトの技術を利用してホームページや掲示板などをパトロールし、該当企業に係る情報を収集・提供する技術を開発。企業のリスクマネジメントやIR活動、マーケティングなどに利用できるサービスを提供している。

【強み】

 国内で開発したソフトであるため(国内ではここだけという)、日本語環境にマッチしているほか、有害サイトのブラックリスト情報量(ブラックリスト件数163万サイト、ブラックリストページ数4895万ページ)が多いのも同社の強み。

【押し目は拾い場】

 公募価格8.1万円に対して、公開後初値は初日買い気配で引け、公開翌日に23.1万円と公募価格の約3倍の初値がついた。会社計画の経常利益は2.1億円、EPS8571円。今期予想PERは23倍程度と直近公開しているIPO銘柄では予想PERに割安感はない(大体、1ケタ後半〜15倍以下)が、フィルタリングソフトの普及はまだ進んでいない点を考慮すると下がったところでの押し目は拾い場と言えそうだ。

 9/19ナスダック・ジャパン新規公開企業。なお、上位大株主にはロックアップが掛かっている。
(海パン)

 

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