No.
日付
タイトル
執筆者
29
2002/11/29
人気高まる讃岐うどん
小野小町
28
2002/11/29
閑中忙あり
駄洒落商会会長
27
2002/11/26
2002年を振り返る その1
大原部長
26
2002/11/26
現金から借金を引いたら、時価総額よりも大きかった
大原部長
25
2002/11/25
研究報告 アジアを取り込み業績を向上させている企業
炎のファンドマネージャー
24
2002/11/25
低位材料株研究
炎のファンドマネージャー
23
2002/11/25
株式相場展望
炎のファンドマネージャー
22
2002/11/22
為替相場動向
生涯遊人
21
2002/11/22
自動車企業の真の利益構造は?
両津勘吉
20
2002/11/19
グレアムに学ぶ
 収益変化以外の要因によるマーケットの行きすぎ
大原部長
19
2002/11/19
姥捨て山、日本が沈没する
大原部長
18
2002/11/18
特別寄稿
 新興企業投資へのチャンス到来
炎のファンドマネージャー
17
2002/11/18
商品先物会社研究
炎のファンドマネージャー
16
2002/11/18
株式相場展望
炎のファンドマネージャー
15
2002/11/15
債券バブルについて
生涯遊人
14
2002/11/15
閑中忙あり
駄洒落商会会長
13
2002/11/15
湾岸戦争時の株価パフォーマンス
海パン刑事
12
2002/11/15
開発進む機能性ヨーグルト
小野小町
11
2002/11/12
不動産投資と生命保険
大原部長
10
2002/11/11
銘柄研究
炎のファンドマネージャー
9
2002/11/11
歴史的な安値水準となってきたかつての中堅優良企業をチェックする!!
炎のファンドマネージャー
8
2002/11/11
配当利回りに注目
炎のファンドマネージャー
7
2002/11/11
株式相場展望
炎のファンドマネージャー
6
2002/11/08
為替相場動向
生涯遊人
5
2002/11/08
新製品群が羽ばたくか?
両津勘吉
4
2002/11/05
グレアムに学ぶ その2
大原部長
3
2002/10/04
ゼロクーポン債について
生涯遊人
2
2002/11/01
閑中忙あり
駄洒落商会会長
1
2002/11/01
健闘する食品スーパー
小野小町

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29
2002/11/29 人気高まる讃岐うどん
小野小町

 

 讃岐うどんがブームとなっています。発端は2年前、高松市のタウン誌編集長田尾和俊氏の著書「恐るべきさぬきうどん」がベストセラーとなり全国的に認知度が向上しました。

 讃岐うどんはその名の通り、讃岐地方(香川県)一帯に伝わる伝統食でこしの強い麺と旨みのきいた薄口の汁が特徴です。注文方法も独特で、初めにかけうどんの種類、次に天ぷらや卵など好みの具材を選んで会計するというセルフ形式が主流です。選ぶ楽しみも味わえ、かつ低カロリーのファストフードとして最近では女性の人気も集めています。

 夏場以降、地元チェーンが首都圏に相次ぎ進出してきました。8月にはJR四国の子会社「めりけんや」がJR東日本(9020)と提携し恵比寿駅構内に初めて進出。立ち食いそば屋からの業態転換ですが、客数は転換前の2〜3割増と上々。11月末には上野駅構内にもオープンしました。また9月には地元の人気チェーン「はなまるうどん」が渋谷に進出。かけうどんが一杯100円からという驚異的な安さが評判で、老若男女問わず列を作っています。

 こうした人気を背景に四国を地盤とする企業が業種を問わずチェーン展開に乗り出しています。
書籍・CDのリサイクル店を展開するフォー・ユー(7641)は10月に「さぬき小町うどん」を出店。今期の出店は15店の予定ですが、来期は100店舗体制を構築しリサイクルに並ぶ収益柱に育成する方針です。この他、紳士服のはるやま商事(7416)も10月に実験的に一店出店した他、外食大手のサンマルク(7479)も展開を検討している模様です。いずれもまだ実験段階で成功するかは不透明ですが、関東にはうどんの専門店が少なく他の外食に比べ立地開発が容易なため、今後は各社の相次ぐ参入が予想されます。

 関連商品の売れ行きも好調です。加ト吉(2873)は今秋「麺棒一番さぬきうどん」と「讃岐麺一番」シリーズを投入。売れ行きは好調な他、最近は外食向けの業務用製品も引き合いが増えているそうです。通販会社の千趣会(8165)は前述の田尾氏と共同で開発した商品「さぬきうどんの会」は月に一度本場名店の味が届くということで当初予想の3倍以上の注文が殺到、現在フル生産中とのことです。また現地で本場のうどんを食べたいという要望から香川県を訪れる消費者も増加しており、近畿日本ツーリスト(9726)やJTBなど旅行代理店が販売したツアーは予約が満席となる人気ぶりです。

 ブームの背景には現代のファストフードに通じる利便性が評価された他、健康志向から伝統的な食文化を見直そうとする消費者の姿勢が伺えます。まだ参入企業の事業規模は小さく一過性のブームに終わる可能性も高いですが、首都圏に文化として定着するか今後の動向を見守りたいです。(小町)

 

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28
2002/11/29 閑中忙あり
駄洒落商会会長

 

 駄洒落商会会長です。

 読者の皆さんは、小売店舗などでEDLP(Everyday Low Price)というキーワードをよく耳にしたり、ご覧になったりすると思います。直訳すれば「毎日が低価格販売」というような意味でしょうが、国内ではごく軽い意味に受けとられていますね。「今月のEDLP」とか「今週のEDLP」なんていう標語を掲げる店舗もあるようです(笑)。

 元来、「EDLP」とは世界最大の小売企業・米国ウォルマートが導入した極めて斬新な「流通イノベーション」です。安売りセールを否定し、年間を通して一定の低価格を維持する価格戦略です。卸など中間流通を排除し、小売とメーカーとの直接取引を実施し、メーカー、ベンダーから支払われるリベートや協賛金を拒否し、これらを込みにすることによる年間通じた同じ仕入れ値を要求する訳です。国内でいえば、まさに「多段階流通」という「日本的商慣行」を真っ向から否定することにつながりますね。

 EDLPのメリットとしては次の3点が挙げられます。
1)安売りセールを行わないわけですから、広告宣伝費が削減できる、
2)需要予測がし易くなり、在庫管理が容易になる、
3)買い控え、セール待ちを起こさない、などです。
また、EDLPの導入は、当然のことながら、サプライチェーンの簡素化につながります。

 ウォルマートは95年秋、ワーナーランバートとの間でCFAR(Collaborative Forecasting And Replenishment)の実験を開始しました。これは、取引企業間の売上げと発注予測を比較できるようにし、予測における差異を明らかした上で、小売業と製造業者が出来るだけ早く問題解決をしようとするものです。この背景には、従来のリテールサプライチェーンの欠陥すなわち、1)販売機会ロスの発生とマーケティングコストの増加、2)安全過剰在庫の存在、などを克服しようとの動きがあります。このCFARプロジェクトにおける実験では、リードタイムが半分に短縮され、在庫保有量は2週間分削減され、在庫切れ状態は87%から98%に改善されました。このため、大きな関心を呼び、次世代リテイル・サプライチェーン・イニシアティブとしての期待が高まったわけです。

 その後、名称はCPFR(Collaborative Planning Forecasting and Replenishment)に変更されます。これは、企業間コラボレーションを高め、未来情報である需要・販売・発注予測をインターネット上で共有し、消費者需要に適合した商品補充を「製販協働」で行うビジネスモデルです。チャネルメンバー間で情報を共有することによる競合他社への取引情報の漏洩、規模の大小によるイニシアティブ争い、関係不均衡などは今後の課題として残されていますが、こうした手法を駆使して、ウォルマートは収益成長を継続しています。

 それでは、日本国内では成功するでしょうか?現段階では、否というほかありません。ウォルマートの通常の「品揃え」では、国内の消費者は恐らく見向きもしないでしょう。それほど、独特の消費行動をとっているわけです。品揃えの増加によるアイテム数の増加は、コストアップ要因となり、EDLPの成立を阻んでしまいます。

 そこで、いつもの持論に戻りますが(笑)、菱食、伊藤忠食品など高度に情報化された大手卸の出番となるわけです。国内では、どうしても中間に入って様々なリスクをとる卸の存在は不可欠となりますね。(駄洒落)

 

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27
2002/11/26 2002年を振り返る その1
大原部長

 

 今年は多くの方が半値になってくれました。

日立さん
みずほさん
富士通さん
NECさん
三洋電機さん
アコムさん
UFJさん
オラクルさん
ソフトバンクさん
ジャフコさん
イオンクレジットさん
セガさん
ベネッセさん
C&Sさん
伊藤忠さん
JSATさん
などなんと300銘柄以上が半値以下になりました。
なんと大変な2002年だったのでしょう…

来週から、2002年を振り返り、来年に向けてのメッセージを発信したいと思います。(大原)

 

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26
2002/11/26 現金から借金を引いたら、時価総額よりも大きかった
大原部長

 

 保有現金から借金(負債)を引いて、時価総額と比べる。時価総額の方が大きい。そういう企業が70社程度日本にあります。

ソフトバンクの子会社なんちゃら証券とかもそうですよね。連結大王の会計ソフト会社とか。
でも、時価総額が数億円と小さい。

あと、理論的には銀行も目茶割安になっている。
資産が信じられないので、これはパスですな。
世界にはそういう株がごろごろしている。

しかし、時価総額1000億円以上でそういう株はないんですね。
時価総額が小さいと誰もバリエーションを気にしなくなるということです。

時価総額のちょっと大きいところ、250億円以上で、スクリーニングをしました(18日にしたのでその後株価は変動しています)。

8060キャノン販売
1833おくむら
1924パナホーム
9435光通信
天馬、アマダ、ダイドードリンコ、月島機械、日本無線、トランスコスモス、などなど18社が出てきました。
これらの会社は保有現金等価物が時価総額を上回っています。

これは、簡易的なブルームバーグ端末の情報を加工したものです。
間違っていたらごめんなさい。

財務分析の奥義というものがあるとすれば、それは資産の部の見極めでしょう。
負債は誰が分析しても違いがでません。
もちろん、潜在的負債を見抜く技はありますが、ここでは割愛します。

資産の部で一番信用できる項目は「現金」です。
現金の額。これは信用できる。
だから、これをスクリーニングするというのは正しいのです。

現金と時価総額の対比。
なんだ、目茶、簡単な理屈ですな。
そうです。財務分析は簡単なのです。

株価はバランスよく支えられているものがいい。
PEだけではなく、現金に支えられている株はより安定的です。(大原)

 

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25
2002/11/25 研究報告 アジアを取り込み業績を向上させている企業
炎のファンドマネージャー

 

 輸出統計が好調になってきたことが株式市場では好感されている。特にこのところのアジア、なかんずく中国向けの輸出は好調でこれをうまく取り込んで成長を辿っている企業には注目が集まりそうだ。

 アジア、とりわけ中国の動きが日本経済を下支えしてくれそうな状況になってきた。不良債権処理にてこずっている内に、日本経済は泥沼にはまってしまった感がするが、一方でアジア、とりわけ中国は2008年のオリンピック、2010年の万国博覧会まで、かつて日本が経験してような発展を続けようとしており、こうした流れに沿った企業の業績が向上しているのが目につくようになった。
 日経などをこまかくチェックしてみても、中国向けの伸びで業績が良くなってきている事例も大変多いのに驚かされる。台湾や中国の経済はこれまでどちらかと言うと米国向けの生産基地として、米国の景気が同様に悪化すると心配されてきたのであるが、このところはすっかり一大消費地としての魅力を高めており、アジア圏そのものが世界の中で重要な位置付けに変わろうとしている点が、多くの投資家にとって注目すべきところだと考えられる。
 今回はその中でもひときわ頑張っている企業を紹介してみることにしたい。
(本レポートは弊社の有料購読者向け特別レポート11月14日付で紹介したものに手を加えたものです)


◆アジアの成長続く歯科医療機器のナカニシ(7716)
 時価 2680円 今期連結EPS283円 同PER 9.5倍

○同社の8月中間決算の業績は16%の増収、20%の営業利益増となり、期初計画を上回る業績を達成した。
○通期では12%増収、23%の営業増益、15%の経常増益を見込む。
○歯科製品全体では前年同期比20%増の47億47百万円となったが、そのうち治療用が30%増の31億43百万円と大きく伸びた。従来品の伸びに加えて新製品チタン製ハンドピースの売上を3億円計上できたことが伸びの背景。
○外科用については口腔外科で世界最高級の新製品「SurgicXT」(インプランターNEO)の売上が好調
○地域別ではアジアが24%増の14億26百万円となった。中国向けが16%、韓国向けが57%伸びた。中国については前期の上期に60%も伸びたことから伸び率は小さいものの、前期の下半期に伸びがゼロだったことなどから見ると、在庫調整がある程度進展して回復基調に入ったものと考えられる。韓国は非常に好況。高級機種が売れている。
○中国市場の拡大に対応して北京、上海、広州、西都などの大都市で修理セミナーを開催。
○中間決算の増額修正後の株価は堅調な推移を辿ってきたが、先日の2990円高値からは調整の動きに入ってきた。(炎)

 

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24
2002/11/25 低位材料株研究
炎のファンドマネージャー

 

 ●中国塗料(4617) 時価 284円 今期予想EPS31円 PER9.2倍

〜アジア需要拡大、今期最高利益更新へ〜

【事業内容】

 船舶用塗料で国内シェア50%超。世界4位。33カ国に約80拠点を持ち海外で積極的に事業展開

【アジア需要拡大】

 日本の造船業は低迷が続いており、2000年度竣工ベースで韓国に世界1位の座を譲ったが、更に3位の中国にも追い上げられている。中国も造船所の増設が活発化しており、東アジア地区が世界の造船基地となっている。
 こうしたことから韓国大手メーカーと合弁会社を設立。韓国を中核拠点として東アジア向けにも供給を行っている。また、中国でも上海、広州にも工場を保有。中国市場もカバーしている。なお、韓国でのシェア10%、中国では8%を確保している。

【今期業績】

 今期は過去最高を更新する見込み。韓国、中国を中心とした需要拡大が寄与し、売上高は前期比2%増の500億円。営業利益は同21%増の35億円を見込む。最終利益も23億円の黒字に転換。


●日本電工(5563) 時価 132円 今期予想EPS3.6円 配当金 3円 配当利回り 2.3%

環境システムが収益源に、上期減収減益だが通期では増収増益の見込み

【事業内容】

 新日鉄系合金鉄2位。新素材、環境システムの育成を強化。なかでもホウ素回収事業が急拡大。

【環境システムが収益源に】

 土壌汚染法をはじめ各種の公害規制の強化を映して環境システムが急成長。前期の15.85億円から今期は26億円を越える見込み。同部門は利益率も高く前期は営業利益の25%を稼ぎ出している。

【今期業績】

 今上期は主力の合金鉄が粗鋼生産の好調から販売数量は増加したが、市況は下落し、減収となった。新素材もIT不況の影響から低迷。下期に入りデジタル家電向け中心に新素材が回復に転じているほか、ホウ素回収の拡大などで、今12月期では増収増益を見込む。(炎)

 

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23
2002/11/25 株式相場展望
炎のファンドマネージャー

 

 【先週の株式相場を振り返って】

 週前半は引き続き下値模索を余儀なくされたものの、米国株高を映して週後半にかけては堅調な推移を辿り、日経平均は4日続伸し週末は8700円台乗せで終えた。
 景気対策への期待と米国株高を背景に、これまで売り込んできた向きの買い戻しの動きが加速された格好となってきた。
 株式相場でキャピタルゲインを得るには、上昇か下落かのどちらかの動きに乗るかしかないのだが、多くのマスコミ、市場関係者のコメントから問題企業の株価下落が再燃して、買い手不在のまま下落し続けてきたこれまでの展開とはやや趣きを変えてきた。
 空売りを実行すれば必ず反対売買をしないとならず、年末を控えて利益確定をしておきたい向きが買い戻しの動きに入ってもおかしくはない状況にあったので、ある程度までの戻り相場はあっても不思議ではなかった。ただ、日経平均に比べてTOPIXの動きが鈍いように、買戻しの主役は半導体関連を中心とした電機ハイテク株となったことに注目する必要がある。TOPIXの上昇が鈍いのは、相変わらず銀行セクターが買い戻し一巡後に頭重くなったことが象徴している。
 更に象徴的なのは、相変わらず日経JASDAQ平均株価が前週末に比べて下落していることだ。仮需の影響が小さいJASDAQ銘柄にとって、全体相場が更に上値追いしてこないと積極的に買いが入ってきにくいことになる。株式相場の本格反転には、割安感が強まってきた小型株の目もさめるような上昇が必要なのだが、順番からすればまずは市場をリードする大型主力銘柄への信用の空売りが止まり、買戻しによる株価上昇が起こり、相場が上値を試す必要がある。先週はこうした状況が見られたことを指摘しておきたい。

【インデックス動向】

日経平均週末株価  8772円  前週末比△269円 (△3.2%)
TOPIX 859ポイント   同△20ポイント(△2.4%)
日経ジャスダック平均 966円    同▲17円(▲1.7%)
NYダウ 8804ドル  前週末比△225ドル (△2.6%)
NASDAQ 1468ポイント   同△57ポイント(△4.0%)

【今週の株式相場展望】

 5月の高値から半年が経過して、ようやく日経平均が底入れしたとの見方が台頭してきた。
 23日の日経でも大手証券のテク二カルアナリストによる47ヶ月周期によるボトム形成の見方も紹介しているが、多くの市場関係者や投資家が株価下落の中でどこでボトムを打つかを固唾を飲んで見守ってきたことは事実。ここに来て竹中大臣から2兆円規模の先行減税の話も飛び出し、証券税制の改革にも前向きに対応する意向が示されるなど売り込み難い環境が整いだした。問題はあるが、産業再生に向けての方向性も見えてきた。問題企業の淘汰・再生も明確になってくるだろう。大手銀行の処理がこれによってどう進展するかまだまだ予断は許さないものの、ポジションを一旦手仕舞いしたいという心理はうなずける。
 上記の通り、株式相場でキャピタルゲインを得るかキャピタルロスを防ぐには、投資した株の値上がりがあるか、値上がりしないと思えば売りつなぎをしてその期間の値下がりによる損をカバーしないといけない。
 冷静に眺めると、これまでの半年間は下落相場を演出してきたことになり、多くの投資家はヘッジしていない場合においては値下がり損を被っていたに違いない。仮にヘッジ(空売りか繋ぎ売り)をかけていたなら、この間において相場が下落していても値下がりのロスは防げていたと考えられる。
 多くの投資家がこうしたヘッジ(先物によるヘッジも含む)をかけていたとしたら、いずれは相場の状況を見ながら買い戻しが必要となる。株式市場では今回の戻りが単に空売りの買い戻しだとしているが、ここから更にテクニカル上のある一定のポイントを抜けてくるようだと、相場は一段と強い動きを示すことになるだろう。
 ただ、先週の株価上昇が単に需給のなせるワザだとすれば戻りを試した後、相場は再び下落に転じることは容易に想像できる。
 4日続伸後の今週は一旦小安い場面も想定できるが、遅ればせの買い戻しの動きと好業績出遅れ銘柄への買いを交えて、底堅い展開を想定しておきたい。テク二カル上では25日線である8665円を抜けてきたばかりのところにあるが、次の目標は75日移動平均線の9138円というところになる。
 ただ、それまでに8900円〜9000円どころに転換足の節目が控えており、このあたりが上値の限界点と想定される。下値についてはひとまず8000円割れといった極端な弱気の見方は後退。11月14日の安値8300円がメドとなるため、今週以降年内までは日経平均で8300円〜9000円というレンジでのボックス相場が続くと考えている。(炎)

 

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22
2002/11/22 為替相場動向
生涯遊人

 

 ここのところマーケットには、悲観的な雰囲気が薄らいでいる。
 昨日の米国の新規失業保険申請件数は37.6万人と予想を2万人も下回り、4週間の平均も39.5万人と8月以来の低水準となった。
 またフィラデルフィア連銀の11月の景況感指数が+6.1と前回の−13.1から大幅に回復した。
 このふたつの指標を受けて、ダウ平均は8,845$(+222$、2.58%)、ナスダックは、1467(+48.2、3.4%)と大幅に上昇して終了した。
 米国債10年物は、4.1%から4.15%、30年物は、4.965%から5.025%と売り込まれた(債券は利回りの上昇は価格の上昇、この場合、指標で景気の回復感、による金利の打ち止め感、また株の上昇により、債券から株式市場への資金シフトという動きが起こったと考えられる)。
 ちなみに1997年以降の米国債の利回りは、4.84%から6.16%の間で推移している。
 また水曜日に発表された住宅着工件数は、160.3万戸と予想を下回ったが、8−10月期の平均は168.1万戸で、昨年の155.8万戸からかなり高いレベルにいる。

 また米国では、FOMCの利下げ以降、クレディトスプレッドが縮小している。これは、信用不安がひろがってくると、資金はより安全な資産(究極はキャッシュ、通常はより格付けの高い債権、最上級は米国債)に移動するために米国債とより格付けの低い債権との金利差が開く。
 S&PのAAA格クレディトインデックスは、10月につけた255bpから30bp縮小し、BBB格のインデックスもピークから200bp縮小している。それだけ安全な資産からより格付けの低い資産に資金が流れ、資金繰りも楽になってきているという傾向がある。…とここまでは米国のことでした。
 そのために今週はドルが対円でも、対ユーロでも買い戻されている。

 一方日本は、若干株価は戻しているが、昨日英国系格付け会社のフィッチが格付けを一段落とし、一部ジャパンプレミアムが付きはじめている。いまのところドル円の動きはスローだが、ジャパンプレミアムは要注意だろう。じわじわとドル買い方向に効いてくるのではないだろうか。

 ただ$円はまだ120−125円内の動きの中なので、その範囲内で来週にかけては、ドル高方向に推移するだろう。
(生涯)

 

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21
2002/11/22 自動車企業の真の利益構造は?
両津勘吉

 

 今中間期業績の発表では、セルサイドアナリストの意見の変更が見られた。多いのはトヨタの底力の確認と日産自動車の本格的復活、ホンダの減額修正に対する呟きなどなど。

 ホンダは営業利益を7200億円から1000億円ほど下方修正しましたが、真の実力あるセルサイドアナリストの方の意見は「2Qが良くないのはわかっている、3Qからはグッド」。私もその通りの考えです。改めてそれを説明するのは時間の都合上割愛します。
 ホンダの上期所在地別セグメントをみると、日本での収益が落ち込んでいることが理解されましょう。たぶん末端のディーラー収益を含めないとかなり厳しい状況に陥っていると推測されます。それは従来美味しいと言われていたオデッセイ、ステップワゴン等の販売が思わしくないことが要因になっており、ブランド力高いホンダが大幅値引きしている状況から推測されます。
 私が信頼している某米系アナリストは、値引き30万円といった行為は直営では現在止めていると聞きましたが、これはディーラーチェックを行う必要があると考えております。国内の新車ラッシュは物凄く、個性溢れる車がない状況下では仕方ないとも考えられますが、トヨタのシェア主義が要因にもなっている。

 しかしホンダはそれだけではない。ホンダの上期コスト削減は、日産やトヨタの1000億円以上と比較し、たかが240億円余りしかございません。彼らのコストカットはトヨタや日産と比較し、余力はないのでしょうか。

 一般に言われていることですが少しお伝えします。ホンダエンジンの贅肉の少なさは有名です。エンジンは腰上、腰下に大きく分けられ、腰下はクランクケースやシリンダーブロック、腰上とはシリンダーブロックの上の燃焼室部分、つまりバルブ、カムシャフト、ヘッドなどからなります。全てではありませんがホンダのシリンダーブロックには特徴があり、トヨタ、日産と比べると違いが明らかです。ブロックとは長方形状で4気筒ならピストンの行き来する穴が4つ空けられており、それらは互いに数ミリから1cmオーバーの間隔があります。しかし一部のホンダエンジンを見ると4つの穴が繋がってしまっており、しかもピストン径よりも大きな穴が空けられております。ここにシリンダーライナと呼ばれる敷居を作りピストンを挿入しておりますが、これだとブロックの余分な肉厚を取らないで済みます。しかしトヨタはホンダより、日産はトヨタより肉厚が取られており、耐久性高い思考が含まれているのです。ですから改造派にとってはブロックを削って径を広げ、大きなピストンを挿入することにより排気量アップの違法改造がいとも簡単に出来たわけであり、日産エンジンを好まれる理由の1つだった訳。つまりホンダエンジンには手を施す余地が少ない代わり、メーカーからすればコストは低く済むわけです。
 一方、かつての日産は技術者の作りたい車でしたから、良い車なのに理解されず、しかもコストは高かった。

 次にボディですが、ホンダは一番薄い鉄板を使っているメーカーとして有名です。そのマイナス効果はボディ剛性に現われますが、ホンダスポーツ車が剛性弱いとの話はあまり聞きません。通常、スポット溶接の打数を多くすることで剛性を高めますが、ホンダの鉄板には多少細工がしてあるようです。
 これは自動車技術に詳しいセルサイドアナリストから聞いた話ですが、薄い鉄板をカバーするために端っこを折り曲げ、なおかつ溶接を施すことで剛性を出している模様です。ホンダの製造ラインは日本メーカーで一番コンパクトかつタクトが早いと言われております。昨年はフィットや他の乗用車でも50秒台の速度で流していると聞きましたから、これはライバルメーカーと比較して倍近い速度です。 量の方も好調に推移しましたから、ホンダ系部品メーカーはどこも最高益更新と好調ですが、なぜか好調とは言えないメーカーがある。丸順、ヒラタなどプレス屋さん達だ。
 ホンダは鈴鹿に導入したラインで8機種生産するフレキシブルラインを持つ。ボディサイズが違うものをラインで流すため汎用と専用機の区別を明確につけ、エアーガンからサーボガンに変えることで高速化を計った。ここでロボットメーカーの技術がものをいう。またモデルチェンジでもコストの高い治具を共通化する効果はプラットフォームの共通化よりコスト削減が可能だそうだ。これを生産ライン内の大型トランスファーで作るプレス部品だけでなく、コンプと呼ばれる構成部品までに降ろしたのがホンダの特徴。このコンプにも溶接を施すが、コレを作っているのが先ほどのプレス屋さんなのだ。

 話が反れましたが、ホンダの部品メーカーに対する要求精度は他社の比ではありません。先日の雑誌で取引先部品メーカーの方のコメントが載っておりますが、あるエンジン部品でホンダは1000分の2.8ミリに対しトヨタ、日産は1000分の4ミリなど。しかもかつてのホンダの単価は全てのメーカーの中で一番厳しいと言われていました。ですからトヨタや日産のように大幅なコスト削減が出来ないと思われます。

 ホンダの将来に一抹の不安を感ずることがあります。国内市場は当面期待できませんが、ホンダにとっては北米や他海外での拡販が可能でしょう。これは他のメーカーも共通です。しかしこうした販売面ではなく、彼らの販売した車に対するクレームが増加しているという事実です。また彼らのオプション部品販売がスローダウンしているのも事実です。

 自動車会社の収益は大きく分けて自動車事業と金融事業(ホンダは金融以外は2輪、4輪、汎用に分かれています)。 しかし自動車事業の内でもアフター部品や、新車購入時のオプション部品の利益は一体幾らあるのでしょうか?

 狭い路地に苦手な方がバンパーを傷つけてしまい、交換したとしよう。ウレタンバンパーでハイ5万円ですと言われ払う。トヨタソアラや他高級車なら補強のフレームまで含めて10万円かな。
 では原価計算をしましょう。バンパーに使われる樹脂はポリプロピレンやポリウレタン。メーカーである三井化学側にたったとして考えます。ポリウレタンはメチレンジフェニールジイソシアネート(MDI)とポリエーテルポリオールの混ぜ物。MDIは毒性強く未反応のまま残るとまずいので、ポリエーテルポリオールとモル比ベースで1:1以下の混合割合となり、単価はMDIが1kg=300円位、一方は200円位。ポリプロピレンは150−200円程度と言われ、バンパー1本の重量は精々5Kg程度で原料コストは1500円にも満たないと想定する。
 次に成形だが、バンパーは大型なので金型代も1つ1000万円程度で、他の飾りや加工入れても自動車メーカーの購入代金は3000−5000円の間が良い所。もっと安いかもしれない。仮に5千円で仕入れたとしても末端価格5万円に跳ね上がるわけだからこんな美味しいビジネスはないよな。しかもエアロパーツで前後左右のセットだったら十数万から2十数万円もする。
 一番美味しくないのはオーディオやカーナビ、それでも仕入れ価格は売り値の半分以下。1つずつ運ぶ物流費用としても自社網構築済みだから、部品事業の限界利益率は5割を下ることはない。しかもアフターパーツは新車販売より累積販売台数にリンクするから、着実に利益アップする。

 ホンダと日産のアフターパーツ利益や、OPパーツ利益を差し引かないと真の新車販売利益は求められない。
(両津)

 

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20
2002/11/19 グレアムに学ぶ
 収益変化以外の要因によるマーケットの行きすぎ
大原部長

 

 「配当が5ドルから6ドルに上昇したというだけの理由でその株価が20ドルも上がるなどというのは不合理である」

「株式配当というのは本質的に単なる紙切れにすぎない。株式数を増やすだけで株主にとってはなんらプラスにならない株式分割についても同じことが言える」

「ウォール街は企業合併に過剰反応するが、その逆である企業分割にも同様の熱狂をみせる。株式市場では「2+2」がしばしば「5」となり、その「5」が後に「3」と「3」に分割されるのである」
(パンローリング出版 「証券分析1934年版」より)

 株式配当の増額、株式分割の発表、企業合併、分割。
収益の変化以外の要因でマーケットが過剰な期待を持つことで、株価が大きく上昇するようなことがあれば、それはマーケットの行きすぎであるという。

 配当の増額は確かにいいニュースであり、株価にとってはプラスに働くはずである。
が、配当が1ドル増額されて株価が20ドルも上がってしまえば、投資家は増額分の20年分を先払いすることになる。
たしかに、企業分割や合併は、事業の選択と集中という観点から論じられる場合が多い。

アナリストは熱狂的にそのような経営の決断を評価しがちだ。
たとえば日本の半導体大手同士のジョイント・ベンチャーはアナリストに大きな期待を抱かせていると思われる。
世界と競い合える土俵が整うかもしれないという期待感がある。
株価はそこで一度評価されるが、その前提は、事業統合や事業分割が上手くいき、収益力が回復し、収益額が向上するというものである。
しかし、結果が出るのは、数年先のことである。
まだまだ先のことであり、実際は、事業統合が上手く行かないこともある。
数年先の不透明な事柄に対して、そして、今後も紆余曲折が予想される事柄について、アナリストがポジティブだの、ネガティブだのとそのときの市場の状況で判断することは非常に危険な行為である。
携帯電話がバカ売れしているときは、携帯関連というだけで高く評価をされたりする。
それも、平均的な収益イメージをもち、節度を守っている投資家からは異様に見える。
実際は、合併会社で非常に上手くいっているという会社は少ない。

合併、配当、分割、そういう理由で株価が大きく振れるときは、そこにはバリューが見つかるというアドバイスでもある。
(大原)

 

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2002/11/19 姥捨て山、日本が沈没する
大原部長

 

 先日のことだ。
高さ100メートルの塔の先にわたしは一人。助けを待っている。
降りようにも階段はなく、飛び降りようにも高すぎて、わたしは身動きがとれない。
わたしは焼き物製の小像を小脇にかかえていた。
100メートルの衝撃を確かめようと、小象を落してみた。
小象の焼き物はすーぅと落ちていき、小さくなり、地面でパリンと音を立てて粉々に砕け散った。
「やっぱり、どうしようもないな。」
わたしは死を覚悟した。
そして目が覚めた。
夢だった。
朝から溜息が出る毎日だ。

 ついに、100円以下の銘柄が500銘柄に達し、200円以下の銘柄が1000銘柄を突破した。
日本株3500社のうち、30%に当たる1000社以上の銘柄がなんらかの欠陥を抱えて、急落を繰り返している。

 急落銘柄の特徴は、一旦、心理的な抵抗線である200円を割れると、すぐに150円を割れ、150円を割れると、ストンと100円まで落ち、100円を割れると、ストンと急落して、すぐに50円を試すというものである。

 いびつな重力場を形成するブラックホールに吸い込まれ、株式会社日本が沈没していく。
限られた市場のパイを多くの企業が争奪する「過剰」な競争を改めようと、日本政府が舵をとった。

「生きている人間が多すぎるために、健康な人間さえ満足に食べられない。ならば、病気がちな者や非効率や者を殺してしまおうではないか。」
政府はそういう考えに基づいて政策を固めた。

 「弱いものや病気の者が沢山いるために、元気な人まで病気になってしまう」

ついに、日本は姥捨て山になってしまった。
企業は優良であるべきだ。
そして優良な企業は税金をしこたま収めるべきだ。
税金がとれる企業を狙い撃ちにしたくてたまらない。
借金があって税金が払えない企業は市場から退出させたくてたまらない。

税金を確保できる企業だけを大きくしようとしている。
税金がすべて。
政府の税金に対する執着心は強烈だ。

政府は、日本には金融機関は郵便局だけでいいという考えなのだろう。
それでなければ、個別銀行の価値をこれだけ短期間で破壊するはずがなかろう。
現代の魔女狩りだ。
政府系金融機関の相対的な肥大化を助長している。

弟3セクターの不良債権問題や自治体の借金漬け問題を素通りだ。
もっとも効率的な民間セクターを姥捨て山にした。
これは大失政だ。

日本人はつくづく運がないとしかいいようがない。
「銀行が悪いから中小企業にカネが回らない」という木村氏の亡国説がもたらした大失政。
制御不能になった市場を止められない。
日経平均は7000円台に突入するだろう。
失業率はフリータを「就業」と区分しているため、実際の失業率はもう10%を突破しているのではないか。
中高年のリストラと新規採用の永久凍結で失業率は来年は実質15%になるかもしれない。

日本の敵は中国や台湾や韓国であるということに政治家は気がつかない。
ライバルが自国の政府の援助を受けて、税金を払わず、土曜日も働いて、日本から大量の技術者を引き抜いて、日本からしこたま資金援助を受けて、日本から職を奪って、やりたい放題だ。
アジアのライバルが縦横無尽に日本勢を駆逐していく中で、銀行は日本という負け組に融資した。
負けたのは日本という国である。
勝ったのはアジアだ。

負けたのは銀行が悪いからではなく、銀行は自国の企業に融資をしただけだ。
アジアが不公平な条件で違う土俵で勝負をちょろまかした。
政治家はそれでも多額の資金援助をアジアにしている。
この国の政治家はグローバルな見方がまったくできないらしい。

アジアにやられて、日本の雇用者の半数以上がなんらかの形で影響を受けた。
200円を割れた千社の従業員は萎縮し、取引先は警戒する。
直接金融は収縮し、間接金融は官の独断場となる。
最先端の技術には減税をしようという差別的な国家戦略が成功するはずがない。

国は日本人を守り、雇用を守るべきだ。
アジアに強硬な政治圧力をかけるにはどうしたらよいのか、その方法論を磨くのが先決だ。
アジアから職を奪い返す。そのためには法人税の大幅減税が効果的だ。
しかし、それはありそうにない。
むしろ、増税になりそうだ。
雇用保険や年金や健保の負担が増えるからだ。

株式投資家はどうしたらよいのか。
残念ながら、誰がやっても、この国は上手く運営できない。
手遅れになってしまってからは、打てる手は少ない。

投資家はとりあえず200円割れ銘柄は外してくるだろう。
もちろん、100円割れ銘柄は積極的に売ってくるだろう。
この局面では安易に低位株に手を出さないことである。
この後、国債も暴落するかもしれない。
デフレ化で金利だけがどんどん上昇することも考えられる。

出来れば日本を脱出することだろう。
さもなければ、とんでもない重荷を背負わされるだろう。
この国は最終的に沈没し、姥捨て山となるリスクが高い。

株式をPERで議論することは全く不要になる。
配当利回りで3−4%というのが世界のこれからの基準になるだろう。
次の飛躍が来るまでは、少なくとも今後数年間が、各人の投資スタイルが激変するだろう。

となると、株価はまだ安定しない。
表面的、テクニカル的な、目先の反発があれば、きっちりと売りで対応したいところだ。
(大原)

 

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2002/11/18 特別寄稿
 新興企業投資へのチャンス到来
炎のファンドマネージャー

 

 相場低迷で気が滅入ってしまいそうな今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
 こうした局面だからこそいろいろな市場関係者の意見を聞くことも大切です。今日は特別に、独立系IR会社を経営されております株式会社フィナンテックの甲斐社長のコメントを、許可を得て掲載させて頂きます(なお、このメッセージは東京IPOのメールマガジン11月18日付にて登録読者向けに配信されております)。
 フィナンテックでは先般、IPO専門のメールマガジン運営を行っておりました東京IPOの営業権を譲り受けて活動を開始されました。IPO銘柄の動きが不振な中ではありますが、皆様も興味があれば一度WEBを覗いてみてはいかがでしょうか?(炎)http://www.tokyoipo.com/


「新興企業投資へのチャンス到来」
株式会社フィナンテック代表取締役 甲斐昌樹

 はじめまして、IRコンサルティング会社の立場から、最近の企業動向と証券市場の動向について、中長期的に「新興企業投資へのチャンス到来」というテーマで私見を述べさせていただきます。日本は、先進国の中でもまれな中央集権国家であり、官民連合のもとに最後のあだ花の時代として、バブル経済まで発展していきました。その体制が、巨大な体制擁護派の前に、政治も企業も進化できず、証券市場も活性化できない状況です。

 国内大手や外資系証券会社は高コスト体質のままであり、手数料の不振にあえいでいます。また、成長力の止まった企業にアナリストを付け、収益機会を狙っています。どんなに有力な中小銘柄であっても、規模が小さく儲からないという理由から、市場にレポートも出されず、フォローもされないため、株価は低迷、流動性も低くなるという状況です。そのため、成長に必要な資金を、市場から調達できずにストレスを感じている経営者も多いのが実情です。この状況は、欧米でも同様なのです。ですから、企業自らがIRを積極的に行い、投資家に評価されるよう努力していき、成長に必要な資金調達がいつでも出来る状態を作っておかねばなりません。そうした企業の株価は市場でも注目されていきますので、流動性は高くなり、証券会社からも評価されるため、レポートも出てくるようになってきます。その結果、株価は企業の実力を反映した価格まで上昇していくのです。

 多くの個人投資家の方は、既に、有名どころの企業に投資しています。しかし、こうした企業には、プロの機関投資家などが莫大なコストを払って常にリサーチし、すばやく売り買いをしています。このようなプロと戦っても、個人投資家には、なかなか勝ち目はありません。一方、IPO後、間もない中小型企業には、投資リターンのチャンスが膨大にあります。中小特化型として、高いパフォーマンスを上げているファンドは、これらの成長企業に足繁く通うなど、独自のリサーチによる発掘をしています。インターネットの普及や、IRに熱心な企業経営者の増加により、企業の経営者や中長期的成長戦略、財務データ等の豊富なIR情報を入手できるようになりました。こうした情報を入手し、独自の知的好奇心と探究心を以って、将来の成長企業を探し、中長期的投資を行うことが大切です。

 大企業の多くは衰退産業である反面、成長企業の何割かは将来のリーディング企業となる可能性や、中長期的成長も確かと見られる先が多くあります。このような企業に投資をすれば、個人投資家の方でも、リターンの高い株式投資が可能となります。そのときのポイントとして、1)経営者の資質・情熱、2)提供するビジネスがユーザーの満足度を満たすものであるかどうか、3)競合・市場環境はどうか、4)過去の実績と成長戦略(中長期計画)が発表されているか、5)IRに熱心かどうか、がポイントとなります。

 いくら良い企業であっても、IRを行わなければ、投資家はなかなか買ってきません。また、投資家が買ってこなければ、株価も上がりません。バフェットが言っているように、いかに割安な銘柄を見つけ出すか、それをいかに多くの人に広めるか、それがIRなのです。IPO銘柄は、時として、人気により株価が沸騰することもありますが、じっくりと企業研究し、株価が落ち着いたところで、中長期の成長銘柄に投資を行うことをお勧めします。


【炎の一口コメント】

 相場環境の好転をいくら待っても埒があきません。甲斐社長のお考えのように中長期的視点からリスクチャレンジする方々が増えてくることを切望致します。(炎)

 

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2002/11/18 商品先物会社研究
炎のファンドマネージャー

 

 「評価不足の商品先物業界の動向と注目株」

 最近になって商品先物業界について研究を行ったので、そのさわりを紹介しておきたい。国民経済的には重要な役割を担っているには違いないが、かなり特殊な業界であり、暖かい目で理解するのはそうたやすいことではないかも知れない。更に今後研究の上、皆様にはこの業界の置かれている立場や課題などを披露していきたいと考えている。(炎)

○業界動向

 証券取引所が株式や債券などの有価証券取引の要であるのに対して、東京穀物取引所や東京工業品取引所などの商品取引所では、多くの農産物や石油やゴムなどの工業品の先物相場を管理・運営している重要な役割を担っている。
 そうした商品先物の世界に対してはわずか11万人が関与しているのみで、ごく限られた人たちだけが関心を持って取組んでいるに過ぎない。下記の委託者数の推移を見てもその増え方を見ても、ほとんど横ばいのまま推移しているのが現状だと言える。この億の近道の読者の皆さんも大半が商品先物取引について知識がない方々に違いない(かく言う私もそれほどの売買知識は持ち合わせていない。つまり経験がない)。
 このように書いてしまうとどこからか電話がかかってきそうだが、幸か不幸か商品先物に取組むだけの資金と余裕がないので心配はなさそうだ。それでも仕組みについては人から聞いて、多少の知識は持ち合わせしているつもりである。
 商品先物業界ではこうした現状に対して、少しでも商品先物市場に関心を持ってもらおうと啓蒙活動を続けているほか、新たな上場商品を市場に登場させ関心を集めようと必死である。この点は証券市場に新たにIPO銘柄を増やす努力をするのと似ているが、限られたパイの中では必ずしも市場スケールの拡大にすぐに結びつかないところに彼らの悩みがある。

 ところで、この業界の権威である杉江同志社大学院名誉教授によれば、世界の先物市場は商品から金融へとシフトしているとしている。これには、いろいろな理由が考えられるが、その重要な要因の一つは取り扱い業者が商品と金融の両市場にまたがって活動できるからである(ダブルライセンス)。
 それに対してわが国では、制度上の規制が依然として厳しく、商品取引員が金融先物(特に日経225や国債の先物・オプションなど証券先物)に参加するには証券会社のライセンスを取得しなければならない。
 それでも商品先物業界では、証券会社のライセンスを取得して業務拡大に乗り出そうという動きが目に付く。逆に証券会社が商品先物に参入する事例は見当たらない。

 先日お伝えしておいた九州に本社を置くオリエント貿易(未上場)では、米国でヘッジファンドを運用する会社を立ち上げて、熱心に取組んでいるというから凄い。彼らは商品先物取引で蓄積されたノウハウ(実際にはきったはったなのかも知れないが…)を商品ファンドや金融工学を駆使したヘッジファンドなどに応用していこうと努めている。
 ところで商品取引所では上場商品の拡充に努力しているが、委託者(当業者・投資家)数や預かり資産額は増えておらず、市場の奪い合いの中から東工取の突出だけが目立つ。

【参考データ】委託者数と預かり資産額推移 (杉江名誉教授の資料より)
    年・月  委託者数      預かり資産額
1996年3月  99,357人  492,454百万円
1997年3月 103,252   488,762
1998年3月 100,013   434,141
1999年3月 103,576   418,165
2000年3月 100,436   424,361
2001年3月 109,148   431,060
2002年3月 111,820   472,622

 いかにして商品先物市場の規模を拡大するかが業界の最大の課題であると言える。
 なお、2004年には委託手数料が完全自由化される。目下、各取引員は自由化対策に懸命だが、手数料自由化を機に業界再編成が起こる可能性があると杉江教授は指摘している。

○上場10社の株価動向と注目銘柄

 社会的信用向上を求めて「先行3社」(エース交易、岡藤商事、豊商事)が上場した後、大量の資金調達を求めるなどで続々と商品先物会社が上場を果たしてきた。現在、10社が株式を上場(95年=3社、96年=4社、97年=1社、99年=1社、2000年=1社)。最近は途絶えているが、今後は商品先物業界にも社会的な認知度向上によって積極的な成長を図る新たな上場企業が登場することも想定される。市場の人気が低く評価不足となっている商品先物業界だが、細かく見ていくと投資チャンスがあると思われる。

商品先物上場8社の株価動向 (以下の株価は先週終値)
小林洋行(8742) 株価 1598円 時価総額 157億円 連結PER10.8倍
グローバリー(8745)    2000円      237億円   10.1倍
エース交易(8749)    395円       82億円     6.4倍
フジトミ(8740)    705円       48億円    10.3倍
ユニコム(8744)    825円      107億円    10.3倍
豊商事(8747)    500円       22億円     7.1倍
岡藤商事(8748)    351円       35億円     12.0倍
第一商品(8746)     357円      45億円     4.2倍

以上の中でも、今回は特に第一商品(8746)に注目しておきたい。


●第一商品(8746) 時価 351円

ポイント
1)中間期において今期業績を上方修正した。(売上高84億円→95億円、経常利益17.3億円→20.6億円、EPS69.8円→85.7円)あしたば商品の吸収効果発生
2)低PER(4.2倍)、有利子負債2000万円
3)高配当利回り(一株配当金15円、配当利回り4.27%)…エース交易3.8%、豊商事3.0%4)セミナー活動を充実、証券評論家などとも連携し知名度向上(最近はS氏など株式評論家などのリコメンドが目につく)(炎)

 

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2002/11/18 株式相場展望
炎のファンドマネージャー

 

 【先週の相場を振り返って】

 前週の地合を引き継ぎ週初より日本の株式相場は、下値を模索。11月14日に日経平均は8303円の安値をつけ10月10日の8197円という安値水準に急接近した。週末は米国株の反発から国際優良株を中心に戻ってきたが、結局は前週末に比べ日経平均が2.2%のマイナス。TOPIXが2.7%のマイナスとなった。相変わらず米国株が週末比較でジリジリと上昇してきているにも関わらず、日本株は元気がない状態となっている。指数だけを見ると特に日経JASDAQ平均が冴えず、先行きの企業業績への不透明感を表して4%もの下落となっているのが目に付く。
 全体相場が不透明感を強める中で、個々の銘柄も値を消している銘柄が見られるが、特に銀行株、とりわけみずほHDやUFJ株が経団連の奥田会長発言等によって悪役を演じてしまった。この結果、セクター別に見ても銀行セクターが前週末比▲5.7%となったほか、証券が同▲10.6%となるなど金融セクターの下落が目についた。このほか、建設、不動産、造船、小売などのセクターが軒並み安くなった。
 一方で自動車が同△7.0%となったほか電機・精密などの国際優良株の多いセクターも週末において急反発。鉄道・バス、陸・海運や電力・ガス株なども下値抵抗力を示した。このように全体相場が相変わらず低迷する中にあってセクター内においても企業業績や財務内容の優劣などで二極化が進展している。
 企業基盤が脆弱な危ない企業への売り圧力が高まる一方で、訳ありで突飛高を演じる銘柄も散見され、冴えない相場ではあるが12月に向けて足の速い資金が動き出したとも感じられるようになった。限られた資金で短期売買を行おうとする動きだけに逃げ足は速く、一般投資家にとってせわしない動きとなるだろうが、短期と割り切った投資家が徐々に目を向けてきている格好だ。

【悪役銘柄】

 銀行2行のほか、先週はクラリオン(6796)、ケンウッド(6765)などの経営不振に陥った銘柄が安く、ダイワボウ(3107)、三井造船(7003)、明電舎(6508)、新日鉱HD(5016)、西友(8268)、丸紅(8002)、ミサワH(1923)などの低位株に加え、良品計画(7453)、東京製鐵(5423)などが悪役を演じた。

【突飛高銘柄】

 週末にS高を演じた銘柄としてはユニオンツール(6278)、白洋舎(9731)、コナミ(9766)、ジャックHD(7602)、タイトー(9646)などがある。

【好トレンド銘柄】

 訳ありなのか週を通じて堅調な動きを見せたのが志村化工(5721)、池上通(6771)などの低位株。このほか、アデランス(8170)、ファナック(6954)などが週末高となり、10月10日以来の上昇トレンドを維持して週末を終えた。
 また、エステー化学(4951)、オリンパス(7733)、トランコム(9058)、宮入バルブ(6495)などの上昇傾向も目についた。

【インデックス動向】

日経平均週末株価  8503円 前週末比▲187円 (▲2.2%)
TOPIX 839ポイント  同▲23ポイント(▲2.7%)
日経ジャスダック平均 983円     同▲42円(▲4.1%)
NYダウ 8579ドル   前週末比△42ドル (△0.5%)
NASDAQ 1411ポイント  同△52ポイント(△3.8%)

【今週の株式相場展望】

 今週の株式相場は相変わらず方向感が見えない中で前週末の日本株、米国株市場の好地合を引き継ぎ多少は堅調なスタートが想定される。先週、日経平均が10月10日の終値ベースの安値8439円を下回って終えた後に過ぎった日経平均の底割れ、8000円割れなどの不安が消えてなくなった訳ではないが、週末にかけて戻った地合からは一旦は25日線の水準である8700円程度までの戻りを試しにいくと想定される。
(**→残念ながら本日の日経平均は再び下値模索の状態に陥ってしまった。)
 今の株式相場で唯一の買い材料となるのは、株価水準が下がって配当利回りが高まっていること。PERは収益ダウンで株価が下落しても低下してこないという状態では、日本株が国際的な投資家の買い対象とはなりにくい。個人投資家が動けないのは税制の改悪があって、ややこしい申告制度が来年からスタートするという問題があるからで、このことは水面下で個人に混乱をもたらし、個人を市場から遠ざける要因となっている。本来ならここまで株価が下落していれば見えざる買いがもっと入ってくるものなのだが、限られた資金のみが、短期と割り切って入っているのみで、まともな善良な投資家の資金は遠のいている状態と拝察される。
 こうした地合から、上値が限定的とならざるを得ないことは言うまでもない。2003年を迎えるまで株式市場はじっと耐えていくしかないのか、それともこうした水準や局面を絶好の買い場と捉えるのかは賢明な多くの読者の判断に委ねられるが、ややこしい税制に慣れてくれば、株式市場に徐々に投資家が戻ってくることが期待される。5月高値期日を通過し、来年に向けての展望が開けてくれば臆病な資金も再び戻ってくるに違いない。
 現在の弱気相場が未来永劫に続くとは考えられないが、どこでボトムを打つかという点も容易に即断はできず、市場の変化をじっと待つしかないことも事実だ。
 個人投資家にとって取り組みやすいのは低位株が活発に動き出す時。年末を睨んで足の速い資金がうごめいてきてはいるが、相当の自信がないとこうした銘柄で成果を上げるのは危険を伴うこともよく考えて行動に移したい。
 私が経営するアイリス・ジャパンでは先週、有料会員向けに産直銘柄として2つの有望銘柄を紹介しておいたが、今後も業績面で安心感のある銘柄を中心として投資対象を選定していくことが重要と考える。(炎)

 

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2002/11/15 債券バブルについて
生涯遊人

 

 まず、債券価格が上下する理由について考えてみましょう。

□債権価格が上がるケース
 1.金利がこれから低下する場合
 2.その理由としては景気が悪くなるとき
 3.株式市場との関係、株式が売られるその資金が債券市場に向かうのはよくあること
 4.セーフへブンとしての機能、特に政治、経済の不安定なとき、去年のテロのようなことが起こったときは、「質への逃避」がおこるため、よりリスクが少ないと思われる資産に資金が向かう(不動産〜株式〜社債〜国債〜最上級の格付の国債という流れです)。このとき米国債が買われるのはその格付、市場規模からいつものパターンとなっている 
 5.国家の財政赤字が減る場合

 ここらへんを頭にいれて、最近の米国債のマーケットをみてみましょう。

 まず昨日の動きですが、小売売上高が+0.7%と上昇しました、予想は+0.3%だったので、市場予想を上回る上昇でした。
 またイニシャルクレーム(失業保険申請者数)が38.8万人と、先週より8000人減少(予想は39.6万人)とこれもよい数字がでました。
 この二つの経済指標は景気の回復(程度は別とし)を示すものであり、そのために米国債30年債は0.16%ほど上昇し、価格は下落しました。要するに、景気の回復を受け、株式市場へ債券市場から資金が流れたということです。
 昨晩は、ドルも買われましたから、海外から米国に資金が流入したとも考えられます。

 日本でも米国でもそうですが、この債券市場と株式市場のシーソーのような関係以外に為替が絡む動きもあり、これがトリプル高、トリプル安と呼ばれるもので、トリプル高の場合は、海外からの資本の流入が考えられ、トリプル安の場合は、資本の流失が考えられます。
 例えば、日本で株安、JGB安、円安が進めば、外国資金の流失も考えられ、より自体は深刻になります。

 昨年の9.11以降、質への逃避から、また株式市場からの資金流失の受け皿として、債券市場に資金が向かいました。
 米国のミューチュアルファンドの最大のものが、バンガード500インデックスから、ピムコのトータルリターンボンドファンドに取って代わったのもこの影響があります。ただ夏、以降の株式の上昇のため、債券市場から株式市場に資金がかなり移動していると思われます。
 またクリントン政権末期に単年度の財政の黒字化、またトータルの財政赤字の削減により、米国債はかなり上昇し、またもっとも期間の長い30年債の発行中止などがおこなわれてきました。国債は国の借金であるとともに、もっとも安全な運用先ですから、財政赤字の削減、発行量の減少による品薄感から、米国債の上昇という状況も米国債の上昇を助けました。

 しかし昨年以降、米国の財政出動、国防費の増大により、財政事情の悪化が、米国債の下落を誘いました。またこれからイラクとの戦いにより、さらなる国防費の増大は、米国債市場には、悪材料となります。

 国債市場には、株式市場と同じく、発行市場と流通市場があります、ふだんの債券市場の動向は流通市場によって売り買いされている価格によって決まります。
 債券投資は安全といわれますが、債券の価格変動もかなり大きなものがあります。株式や為替と同じように債券も激しく価格変動をし、そのなかでスペキュレーションなども行われています。
 債券の場合は、現物債の数に限りがあるために、また債券は償還まで年数、クーポンなど条件が様々あるために、条件をそろえた架空の債券である債券先物の取引が活発におこなわれています。

 現物債に関しては店頭の相対取引なのでサーキットブレカーはありませんが、先物の場合は、JGBの場合は2円、USTボンドの場合もあります。
 債券が元本保証というのは、あくまで新発債で購入し、償還か償還間際まで持ちきり売却する場合に限られます。この場合債券は、インフレによる通貨自体の価値の下落を除き、リスクフリーの投資といえます。
 逆にいうと、債券価格が落ちたところで購入し償還まで持ちきるとか、価格が上昇したところで売却することができればよいですが、高値で購入したときには、高い投資効率は望めないかもしれません。
 ですから債券価格が暴騰して(日本は10年債が1%割れ、米国債も歴史的に低い金利レベルにきています)債券バブルなるという表現も一面では正しいのです。
 日本でも10年債の利回りが1%を割れ、JGBが高値を更新し続けています、銀行は、貸出先がないため預金で集めた資金を、JGBで運用しています。また米国でも株式市場が下落し新たな投資先が見つからず、債券市場に資金が向かう傾向は世界的なのかもしれません。

 ただ債券バブルという意味では、日本のほうが重症であるように思えます。厳密にいうと、国の債務不履行、債券の早期償還(早く償還されると予定していた金利がもらえない)などのリスクが存在しますので、リスクフリーとはいえませんが、少なくとも先進国の債券において、デフォルトがおこることは今のところ考えられません。

 この意味では、債券の格付が重要になってきます、格付が高い債権は、クーポンが低く、格付が低い債権ほど、高いクーポンを提示しなければ投資家が集まりません。投資家はそれぞれ投資できる格付のレベルを決めていいますが、一般的にBBB以上が投資適格ということになっています。

 今回はいつもシャープな質問を寄せていただき、われわれに勉強の機会を与えてくださる方の質問に答える形にさせていただきました。
(生涯)

 

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2002/11/15 閑中忙あり
駄洒落商会会長

 

 駄洒落商会会長です。
 東京株式市場は週末こそ反発しましたが、総じて先週末からの下げ基調が継続した一週間でした。昨日などは、経団連奥田会長の談話が海外のマスコミで誤訳(?)されて伝わり、金融株が売り込まれたばかりか、「西武百貨店が明日倒産する」などというまことしやかな流言飛語(?)が乱れ飛ぶ始末。西武百貨店の件については、私のところにも何件か問合せがありましたが、むしろ私の方こそ事情を教えてほしかったですね(笑)。

 竹中経財・金融相が主導する金融システム改革は、一見して当初の構想より後退した感がありますが、竹中大臣自身の「5勝1分け」との談話はまんざら「強がり」ではありません。「繰延税金資産」の問題ばかりに焦点が当った感がありますが、「資産査定の厳格化」など肝心な部分はしっかり確保しています。奥田会長が述べたといわれる「4大銀行のうち脆弱な2行は国有化の可能性あり」との内容は、むしろ今後大いに可能性ありと考えた方がいいのでしょう。

 時節柄、私も「竹中チーム」の主要メンバーたる木村剛氏の著作を何冊か読んでみましたが、氏の主張は至ってシンプルでして、「不良債権問題は粉飾決算問題である。金融機関は融資先に対してきちんと引当金を積め。それが出来ない金融機関に対しては、公的資金を注入するなり対処しろ」といったものです。これは、これで正論かと思いますが、この10年あまりの金融行政の迷走ぶりを考え合わせますと、ばっさり断行するのも結構ですが、ディマンドサイドに対する配慮もやはり必要でしょう。

 そこで、補正予算を編成しての「デフレ対策」が求められているわけですが、政府頼みでない企業の自助努力による「デフレ脱却」の萌芽がうかがえる点にも注目したいと思います。
 代表的な例が、連日新聞紙上をにぎわす鉄鋼各社の再編問題です。国内は、2大グループに収斂しつつあり、韓国、中国の製鉄各社との資本提携、合弁が進みつつあります。事実上「国際カルテル」の形成が進みつつあるわけで、今後自動車鋼板などへ価格調整が進むものと予想されます。紙パルプなどもそうですが、長い間「構造不況業種」とされた素材各社が、企業集約によって価格調整力を取り戻しつつある点は、大きな注目ポイントであると考えています。

 私が以前から紹介しております菱食(7451)なども、市場全体が惨状を呈するなか、むしろ堅調な値動きが目に付きます。同業の伊藤忠食品(2692)も同様です。卸売業界も、先行きは非常に厳しいのですが、高度に情報化、広域化、大規模化した卸売企業はむしろ有望、との評価が市場でなされつつあるものと考えております。
(駄洒落)

 

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2002/11/15 湾岸戦争時の株価パフォーマンス
海パン刑事

 

 米・英国がイラクに対する大量破壊兵器の査察受入を国連に要求。全会一致で採択され、イラクが安保理決議を順守しなければ、米国がイラクへ攻撃を仕掛ける可能性が高まっている。
 もし、こうした状況になった場合、どんな業種が物色されるのだろうか。

1)1990年にイラクがクウェート侵攻時からアメリカ(多国籍軍)のイラク攻撃時まで
2)イラク攻撃時から大統領勝利宣言まで
の業種別日経平均のパフォーマンスを調べてみました。

当時の状況を簡単に書くと以下のとおり。
・イラクがクウェートに侵攻したのが1990年8月2日の日本時間午前。当日の日経平均は一時908円安まであり終値は593円安の30,245円。
・その後、1991年1月17日の朝方アメリカ(多国籍軍)がイラクに攻撃。日経平均は一時これを嫌気し、300円近く安くなる場面も見られたが、先物の戻しや戦争の早期終結期待から1004円高の23447円となった。
・ブッシュ元大統領の勝利宣言が2/28日。日経平均は315円高の26,409円。

1)クウェート侵攻後から多国籍軍イラク攻撃までの業種別日経平均
1990年8月2日 →1991年1月17日

業種別パフォーマンスベスト10
1/電力/▲1.2
2/保険/▲9.7
3/陸運/▲11.3
4/銀行/▲12.4
5/倉庫/▲13.2
6/ガス/▲13.8
7/鉄道・バス/▲17.5
8/医薬品/▲20.1
9/証券/▲21.6
10/繊維/▲22.7

とやはり、日経平均が2割以上も下がっていることもあり、パフォーマンス上位でもすべてがマイナス。電力はしっかり。

業種別パフォーマンスワースト10
1/パルプ・紙/▲49.4
2/海運/▲41.7
3/ゴム/▲38.1
4/その他製造/▲36.8
5/精密機器/▲36.7
6/不動産/▲34.5
7/その他金融/▲34.4
8/電気機器/▲32.3
9/サービス/▲32.2
10/空運/▲31.8

 業績不振もあいまって紙パルプ業の下げがきつい。この他では業績に直接影響を受ける海運業、ハイテクなどのマイナスが目立っている。

2)多国籍軍イラク攻撃からブッシュ元大統領勝利宣言までの業種別日経平均
1991年1月17日→1991年2月28日

業種別パフォーマンスベスト10
1/石油/+27.5
2/海運/+27.5
3/精密機器/+25.6
4/繊維/+24.5
5/ゴム/+23.9
6/鉄道・バス/+23.9
7/不動産/+23.0
8/鉄鋼/+21.3
9/化学/+20.8
10/造船/+20.7

 石油市況により業績が左右する業種やこれまで下落率の大きかった業種などが入っている。前回でワースト10に入っていた企業は海運や精密など5業種あった。

業種別パフォーマンスワースト10
1/電力/+2.0
2/自動車 /+9.0
3/倉庫/+9.6
4/保険/+9.9
5/通信/+10.9
6/銀行/+11.1
7/その他製造/+12.0
8/ガス/+12.4
9/陸運/+12.8
10/サービス/+12.8

 日経平均が大幅に下落する中、健闘していた電力は全体の戻り相場では弱くワースト1を強いられた。また、業績悪化が懸念されていた自動車も戻りが鈍かった。イラクのクウェート侵攻時からのパフォーマンスでベスト10だった5業種が逆にワースト10に入ってしまった。

もし、こうしたことが再び起った場合、以上のパフォーマンスは参考になると思います。
(海パン)

 

 

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2002/11/15 開発進む機能性ヨーグルト
小野小町

 

 ライフスタイルの欧米化から糖尿病など成人病の患者数は年々増加傾向にあります。しかし高齢化で医療費負担が増大する中、病気になってから薬品で治療する「治療医学」から、健康なうちに病気を防ぐ「予防医学」に注目が集まっています。こと毎日口にする食品に関して消費者の関心は高く、業界はより具体的な効果が見込める機能性食品の開発に力を入れています。

 機能性食品の開発手法として近年、注目されているのが「プロバイオティクス」と「バイオジェニックス」です。「プロバイオティクス」は抗生物質(アンチバイオティクス)の反意語で、消化管内の細菌バランスを改善し有益な作用をもたらす生きた微生物を指し、乳酸菌、ビィフィズス菌、オリゴ糖などがこれに該当します。

 一方「バイオジェニックス」は身体を健康的に改善する生理活性化物質を指し、乳製品に含まれるMBPやラクトフェリンの他、ポリフェノール、DHA等種類も様々です。
 これらを活用した商品開発で最も進んでいるのが乳業業界です。例えばヤクルトは2000年から「プロバイオティクス」を前面に打ち出したマーケティングを強化、ヤクルト菌を増強した「ヤクルト400」などの製品を強化しています。
 またカルピスは「アミールS」を開発した際、企業で初めて「バイオジェニックス」という言葉を使用。血圧降下作用を持つ生理活性化物質ラクトポリペプチドを配合した銅製品は、96年の発売以来ロングセラーとして定着しています。

 しかし各社が最も力を入れているのが機能性ヨーグルトです。ヨーグルトは食品の中でも数少ない成長市場(規模は3000億円弱)です。「あるある大辞典」などテレビ番組のPR効果もありここ数年2けた増のペースで成長が続いています(2000年度は食中毒の影響もあり一旦マイナスに)。
 中でも明治乳業が2000年3月に発売した「LG21」は胃潰瘍の原因とされるピロリ菌を抑制する機能が中高年を中心に支持されヒット商品に成長しました(前期売上高130億円)。
 その後各社は相次いで新製品を投入。2001年には雪印乳業が「毎日骨太」、ネスレスノーが「LC21」、森永乳業が「ラクトフェリン」を発売。今年はカルピス味の素ダノンの「BIO」、雪印乳業が関東地区限定で「ガゼリ菌SPヨーグルト」、ヤクルトが「ピュアラ」を全国展開(一部地域は1年前から)するなど勢いは続いています。最近ではこの「ピュアラ」が計画を上回る勢いで売れているようです。

 某乳業メーカーの方に問い合わせたところ、今上期の市場は2割増の勢いで伸びているとのこと。最近巷でカスピ海ヨーグルトがブームになっていますが、これが既存の市場を圧迫する要因にはなっていないようです(ちなみに私も作っていますが)。各社の商品開発競争は今後も更に加熱しそうです。

 また各社は特定保健用食品の認可取得も積極的に進めています。これは厚生労働省が91年に導入した制度で、認定されると「おなかの調子を整える」など一定の効果をアピールできます。先に述べた中では「ヤクルト400」「アミールS」「毎日骨太MBP」「ガゼリ菌SPヨーグルト」「ピュアラ」等が挙げられます。

 乳製品以外でも申請件数は年々増加しており、表示許可品目は309品目(今9月末現在)に上ります。ちなみに特保の昨年の市場規模は4,120億円と4年前の約3倍に成長。花王の「健康エコナ」等ヒット商品も多く生まれています。
 昨年4月には新たに「栄養機能食品」という制度も追加されました。これはビタミンやミネラルなど一定の基準を満たせば、厚生労働省の認可を必要としないため参入企業は増加。現在の市場規模は100億円前後と小規模ですが、数年後には倍増するともいわれています。

 スーパーで栄養ドリンクが販売されたり、薬局で健康食品を購入したりと食品と薬品の境界は従来に比べ曖昧になっています。機能性食品の開発では米国など海外が先行するといわれますが、日本は歴史的にみそ・醤油・清酒など発酵技術を利用した食品を多く開発しており潜在的な技術力は高いと思われます。通常の食品需要は頭打ちですが、機能性食品のニーズは高まっており市場のけん引役として期待されます。

*参考までに主な機能性ヨーグルトの例

製品名     発売元   発売時期 特徴

LG21    明治乳業   00/3 胃がんの原因とされるピロリ菌抑制
毎日骨太MBP 雪印乳業   01/3 骨代謝促進、骨粗鬆症予防
LC21    ネスレ    01/5 ピロリ菌抑制、02/3リニューアル
ラクトフェリン 森永乳業   01/10 抗菌作用、がん抑制
BIO     味の素ダノン 02/3 腸のぜん動運動を活発化
ガゼリ菌SP株 雪印乳業   02/8 腸の定着率が高い、善玉菌を増やす
ピュアラ    ヤクルト   02/9 腸内環境改善
(小町)

 

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2002/11/12 不動産投資と生命保険
大原部長

 

 生命保険はたとえ貯蓄型だろうが税金が控除になる。
 貯金や株式投資をしたからといって、税金から投資額が控除されることはない。
 金融商品である生命保険は、税金で格別の優遇をされているが、なぜか解約が止まらない。

 解約が増えているのは、いくつかの要因があるだろう。
1) 配当が低い(運用実績に乏しい)
2) 倒産するかもしれない(保険が減額されるかもしれない)
3) もっと有利な金融商品が沢山ある

 生保を解約して、マンションを買うという動きが加速中である。
マンションを買うとき、借金をする。借金は税金控除が受けられる。
不動産購入にともなう借金は税制上優遇されている。
物件価格にもよるが高額所得者であれば100万円程度の税金が返ってくる。

 還付の額をみると、特に初年度は、不動産投資の方が、税制上有利といえる。
購入者が重度の障害になると、ローンは消滅する。
団体生命保険が代わりに支払うからだ。
団体生命保険は普通の生命保険の1/3〜1/4程度の負担で済む。

 港区などで駅から徒歩5分程度の新築マンションの利回りが6%程度。
新築であること、立地を考慮すると、6%の利回りは十分魅力的だ。
調達は、ローン金利は変動金利ベースになるが3%以下。
空室保証をつけ、地震保険に入り、火災保険に入り、頭金ゼロ。
都内で価格が2000−3000万のワンルームが収支月々1万円程度プラスになる新築物件が多数ある。

 わたしは月々2万円程度を生保に支払っているが、まったくバカらしくなり、解約しようと思っている。
全額借金マンションを買っても年間12万円程度の収入が入るし、翌年に税金もかなり戻ってくる。
予期しない礼金や敷金も入ってくる。2年ごとの更新料もはいってくる。
死んだら女房が受け取るが、贈与税が軽減される予定のため、税金はあまりかからない。
自宅のローンも消滅する。
投資用マンションのローンも消滅する。
つぶれるかもしれない生保より断然有利なのだ。

 もちろん、家賃が将来さがるリスクはある。
一方で、金利が上がるリスクは残る。
だから手取りの所得の3−4倍程度の物件に留めるべきかもしれない。
借金があるという自覚があれば、ちょっとしたボーナスが出ても、まず、借金を返済するという動機が働く。
生活は質素になり、収入は上がり、死んでも家族への義務を果たすことができる。

 わたしの場合、同時に2つの物件を違う不動産業者で見比べているうちに、両者とも値段を下げ始めた。
一方に決めると告げると、もう一方が、さらに5%価格を下げてくる。
やっぱりこっちに変えたと告げると、元の方がさらに価格を5%下げてくる。
それをもう一回りやった。
両者は完全なバトル状態になり、一方と契約した契約書を一方が、回収し、内容証明郵便で送り返すという荒業も見た。
やるかやられるかのすごいバトルである。
わたしは全力をつくして、両者とも20%の価格ダウンを実現した。
最初は月額収支がマイナスの提案だったのが、両方とも収支がプラスになり、納得はいかないが、よい具合に仕上がった。
それでも、わたしは、中古の利回りと比べて新築の利回りがまだまだ低すぎると感じている。
だから値引きが不十分だったと後悔している。
両方ともいい感じになって、わたしは一度に2つのマンションを買ってしまった。
デフレで借金をするのは馬鹿だといわれる。
しかし、キャッシュを生まない自宅や車や船を保有していてもしかたない。
借金の金利以上に実入りが多ければ、レバレッジが効いて、財政は豊かになる。(リスクも高くなる)。

わたしなりに、ベストセラー「金持ち父さん」の指示通りにやっているつもりだ。
結果として、わが家計のキャッシュフローは改善した。
不動産収入が金利の支払いを勝り、月々2万円の不労所得となった。
一方で生保を解約して月々2万円の支払いが減った。
差し引き4万円、年間では50万円の収支改善になる。
ボーナスで返済を加速し、数年以内に完済すれば、その後は月々20万円+αの不労所得になると見ている。

さらに自宅を賃貸に出し、上海かオーストラリアか米国か英国か、どこでもいいが、外国で子育てでもしようと思っている。
自宅は20万円程度で貸し出せるだろう。
そうなると月々40万円の不労所得になる。
キャッシュがキャッシュを生むという錬金術だ。

しかし、そうは簡単にいくまい。
人生には数々の試練が待ち受けるだろう。
どんな人生になるのか面白いことになってきた。(大原)

 

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2002/11/11 銘柄研究
炎のファンドマネージャー

 

 【シルバー向けコンビニの展開を狙うCVSベイエリア(2687・東証2部)】

【株式関連データ】

時価500円
時価総額 38億円 
今期予想EPS70.1円
予想PER7.1倍   
今期予想ROE 24%
一株当たり配当金 12円(中間配6円実施)
中間期末株主資本比率 43%
中間期末一株当たり株主資本 332円

【事業概要】

設立 昭和56年2月
事業内容 東京都ベイエリアを基盤に、コンビニエンスストアを主に直営方式で展開。便宜性を提供できるサービス事業を企画・起業している。
資本金 5億円
前期末総売上高 202億円 (営業総収入 124億円)
今期予想営業総収入 148億円(中間期 69億円)
店舗数 前期末 90店舗 中間期末96店舗 今期末見込み 107店舗
前期末従業員数 150名
代表取締役 泉澤 豊

【中間期業績】

 上期の既存店売上高は2.6%減となったが、期中に7店舗開店、1店舗閉鎖による出店増で前期比10.3%の営業総収入の増加をみた。連れて営業利益は12.2%増の5億2800万円、経常利益は20.8%増の5億7900万円となった。

【通期業績見通し】

 通期では加盟店を含めた総売上高235.84億円(+16.3%)、営業総収入147.6億円(+19.5%)、営業利益10.54億円(+24.4%)、経常利益11.13億円(+27.5%)を見込む。
 下期も既存店の伸びは期待できず、上期並みに前年比3%減が前提。

【業界動向と今後の展開】

 コンビニ業界は一般的に飽和の時代を迎え、一段と厳しい状況を迎えている。業界内では新たな出店場所を求める動きが活発化。駅の地下、病院、公共エリアなども出店場所となってきた。同社にも病院などへの出店の話が来ている。
 客の集まるエリアには競合チェーンが大挙しておしかけて来る状況になっており、同社では今後の出店戦略についてリスクを抱えないように身の丈に合わせて出店を考えていく方針。コンビニというのはかつては出店による成功率は95%と言われたが、いまやリスクが拡大しており、出店しても30〜40%を閉店しなければならなくなる。立地を精査してOKだとしても後から出店がなされると競合が発生してしまう。こうしたケースも日常茶飯事なのである。このため、ほどほどに出店し、特色のある店舗を作っていくことが大事と考えている。
 こうした中で同社の既存店のマイナスも同社がこれまでドル箱としてきた湾岸エリアにおける同業他社の進出が活発化していることによる。
 同社の場合の特徴は大半が直営方式(加盟店売上高が存在するが実体は直営)であり、競争激化に対応して同社では独自の戦略を打ち出している。なお、同社では千葉全県でのサンクスチェーンの展開が可能となり、エリア拡大への対応を図る構え。

【新サービスの展開】

 同社では物販よりも粗利率の高いクリーニングやネットランドリー、レンタルYシャツなどのサービス業態の拡大で成長を維持していく戦略を持っている。クリーニング業態については既に多くの経験を経て、クリーニング業特有のクレーム処理をなくす体制を構築。クリーニング工場とは別に検品部門を置いて、顧客との事前打ち合わせを行い、了解の上、洗濯を行う体制を構築した。
 これによってクレームは解消し、CVSの責任問題が解決されたことから他の大手CVSチェーンに導入を働きかけてきたが、明日、その第一号店がオープンする予定となっている。今後、他の大手チェーンでも導入が図られる可能性が高く、今後の展開が期待される。
 同社では業界最大手の白洋舎の販売インフラ(取次店2400店)を全国45000店と言われるコンビニの店舗で導入がなされることで抜くこともあると見ている。このほか、ネットランドリーについては老人介護施設と実際にビジネスを行っているほか、長期入院が見込まれる精神病院とも契約をした。今後も高齢化社会の到来で施設が増加するだろうから期待される。
 レンタルYシャツ(東南アジア製)については11−12月頃よりテストを開始し、うまくいけばネットワークに乗せていく方針。
 こうしたアイデアあふれる新サービスを大手チェーンでも展開してもらうことで事業の発展を図る構え。
 現状の売上規模は5億円であるが、同社では3年以内に売上の10%(約15〜20億円)を目標にして展開する意向であり、従来のコンビニの概念を越えた便利なコンビニの実現を推進する計画。

【未来形の企業イメージ】

 これまでのCVSは30歳前後の若年層をターゲットにしてきたが、今後は過当競争を避けるためにも新たな層をターゲットにしていく必要がある。ずばり高年齢層をターゲットとしたコンビニの展開である。高齢者層を対象としたコンビニという取り組みはこれまで業界では見られないが、同社ではこれを念頭に入れて展開する。
 高齢者対応では店舗に来てもらうのではなく、モノやサービスを持っていくスタイルとなる。カタログ+バーコードというスタイルですべてのモノやサービスがバーコードだけで購入できるシステムとするというのが近くビジネスモデル特許として出されるおおよその内容だ。
 実際に高齢者の住むケア付きマンションで高齢者が求めているものを調べているところであり、将来はこの事業が飛躍の材料になる可能性もあろう。高齢者に本当に必要なものを提供する。デリバリーインフラをクリーニング事業で構築した同社の今後に期待したい。

【株価】

 既存店売上高のマイナスが株価の頭を押えているが、出店エリアの拡大と粗利率の高いサービス業態の売上拡大はもっと評価されて良い。
 ただ、本格的にはサービス業の売上が20億円程度になってはじめてスケールメリットが発揮され、株価にもインパクトをもたらすだろう。
 当面は全体相場の先行き不透明さからなおも下値模索が続く可能性があろうが、中長期的な展開を考えるなら、ここでの調整場面での投資は成果をもたらす可能性が高いだろう。仮に大きな株価下振れがあるとするなら、理想と現実に大きなギャップを生じる時だろう。
 但し、社長の発言内容を聞く限りでは十分に事業上のリスクを考慮しているため、業績の大きな変動は考え難い。しかも株価のバリュエーションは十分に割安と言える水準となっていることもここからの投資を後押ししてくれるだろう。なお、当面は公募価格559円水準が目標となろう。
(炎)

 

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9
2002/11/11 歴史的な安値水準となってきたかつての中堅優良企業をチェックする!!
炎のファンドマネージャー

 

 ※本レポートはアイリス有料レポート10月9日号より抜粋したものを多少手直ししております。

●日本曹達(4041)
 時価178円
 時価総額 256億円
 今期予想連結経常利益 48億円
 前期末有利子負債 756億円

 農薬・医薬品などをはじめとするファインケミカルに注力する同社の今期業績は、前期に発生した米国での訴訟問題に伴う損失が解消するほか、主力製品の収益回復によって大幅な営業増益に転じる見込みで、10月上旬に同社IR担当者からは中間期の業績は順調だ(但しもともと赤字を予想)とのコメントを得たが、実際に連結ベースでは上期の経常黒字が達成された。但し、通期では10月15日付けで経常利益48億円に下方修正している。それでも前期の連結経常利益26億円から大きく黒字幅が拡大している点は注目できる。

 機能化学品では前期低迷したタッチパネル用透明導電ガラスやVPポリマーが2ケタ増収となるほか、今年2月に発売した新殺ダニ剤タイタロンも通期寄与。先般開発した多分子型の包接化合物を台所の排水洗浄剤「ぬめり取り」として商品化し花王にOEM供給しているが、これも好調を持続している。この多分子型の包接化合物は同社が90年から取組んできた世界的に見てもユニークな技術として注目される。

 一方、米国や南米での遺伝子組み替え大豆の普及加速から、畑作用除草剤ナブは前年比20%減収となる見込み。殺虫剤モスピランは95年の国内認可取得を皮切りにアジア・中近東などで認可を取得。昨年春にはギリシャで、本年3月には米国でも承認された。競争は激しいが販売エリアの拡大で売上拡大が期待される。

 利益貢献度の高い医薬中間体事業は、メルク向けエイズ薬中間体の売上減で低迷しているが、大型新製品向け原体の受託生産開始で来期以降は回復を期待。また、安全に十分配慮された農業用の新殺菌剤を本年末に投入するほか、今下期からはPCB無害化処理事業の売上貢献を見込むため来期も業績の向上が期待される。

 同社ではゲノムを利用した農薬開発に注力。既にサントリー、昭和電工、三菱化学とグリーンバイオコンソーシアムを結成し、理化学研究所が開発した植物育成ホルモン「ブラシノイド」の生成阻害物質を活用したバイオ農薬の共同開発で世界をリードしようとしている。

 こうした取り組みにも関わらず同社株は全体相場とともに下落歩調を辿ってきた。
 有利子負債の削減など課題は残るが、時価170円前後は歴史的に見ても格好の狙い目とも言える水準となってきた。
(炎)

 

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8
2002/11/11 配当利回りに注目
炎のファンドマネージャー

 

 株価が下落すると配当金が変わらないなら自ずと配当利回りは向上します。問題は配当金が業績悪で減らないかどうかです。今日は下記のリストにもある12月決算銘柄の中で、試しにかつて調べていたオリジナル設計に電話取材してみました。その結果については、また改めて報告したいと思いますが、12月決算を目前にして5%の配当利回りは結構いける水準との印象を持ちました。但し、業績は相変わらず公共予算の削減で厳しいようです。でも予算上は底打ちの兆しありとの感触です。期待の情報システムもIT予算の削減などもあって立ち上がりが遅れているようです。PERでは語れなくなりましたが、財務内容は依然として良好で、減配する予定は目先ないようですから、皆さんも良ければご注目下さい。
 なお、500株持っていれば1000円分のクオカードがもらえます。

 皆さんもこのように配当利回りに注目して銘柄を吟味してみてはいかがでしょうか?問題は来期の収益見通しが明るいかどうかです。

コード  銘柄名     利回り(日経予想ベース)
8805 中央地    5.882
7542 ビスケー   5.065
4642 オリジナル設 5.013
5337 ダントー   4.762
8854 日住     4.678
5012 東燃ゼネ   4.604
6870 フェンオール 4.444
8116 ダーバン   4.412
5398 日研紙    4.065
4284 ソルクシーズ 4.054
8090 昭光通商   3.937
4746 東計電算   3.883
8067 トミヤアパ  3.817
5997 協立エアテク 3.75
6886 グラフィック 3.717
4790 グレース   3.623
5002 昭和シェル  3.556
5959 岡部     3.46
4286 レッグス   3.353
2573 北海コカ   3.333
(炎)

 

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7
2002/11/11 株式相場展望
炎のファンドマネージャー

 

 【先週の相場を振り返って】

 9月中間決算発表シーズンとなってきた先週は米国株の上昇を反映して、週初こそ9100円までの上値トライがあり、やや明るさが見られたものの、その後、上値の重さが明確になったことから週末にかけては再び下落歩調を辿った。政策への期待が薄れ市場には個別決算に目を向けようとする動きもあるにはあるが、限定的。全体相場に影響をもたらす米国株がFRBによる0.5%の公定歩合引き下げ発表によってむしろ材料出尽くしとなり、この先のイラク問題がなおも気にされて反落に転じたことが週末にかけての日本の株式相場の下落にも繋がったと考えられる。結局、日経平均は基本的に想定していた8500円〜9000円のレンジから100円程度上のゾーンでの小動きの展開となった。

 週末に悪役を演じたのは週刊誌ネタにもなったUFJ銀行。藤和不への2度目の借金棒引きが売り材料となり、前日比1.5万円安の15.7万円に下落。みずほHDも連安するなど銀行株が指数の下落につながった。このほか、ここ直近の相場上昇をリードしたアドバンテスト、京セラ、村田などハイテク株の下落も目についた。業績悪化を発表したセガの急落が目に付いたほかFOMAの販売計画を下方修正したドコモが大きく下落した一方で電力・ガスなどのディフェンシブ銘柄やキャノンやトヨタなど好業績銘柄は比較的底堅い動きを見せた。

【時価総額】(提言:時価総額増大キャンペーンをやろう!!)

 東証1部時価総額  253.8兆円
 東証2部時価総額 4.4兆円
 JASDAQ時価総額 7.7兆円
 総額 265.9兆円 (国民1人当たり時価総額 約222万円)

 時価総額増大キャンペーンは一人一人がリスクを負担し、経済活動に参画することにほかありません。まずは、20万円から。小口資金でも集まれば大きい。日本の国を信じてリスク負担をしましょう。それにしても本当に日本は大丈夫なのかなあ・・・。

【インデックス動向】

日経平均週末株価  8690円     前週末比△5円 (△0.06%)
TOPIX 862ポイント   同▲4ポイント(▲0.5%)
日経ジャスダック平均 1025円     同▲6円(▲0.6%)
NYダウ 8537ドル     前週末比△20ドル (△0.2%)
NASDAQ 1359ポイント   同▲1ポイント(▲0.07%)

【今週の株式相場展望】

 デフレ不安が日本だけでなく米国においても広がり始めている点で今後の米国株に対しての先行き不安感が払拭できないことは明らかである。米国株についてはイラク問題の先行きがなおも見えないことも不安定要因となっている。日本株が頼りにしている米国株が再び下値模索となれば影響は免れないだろう。特にハイテク株が中心のNASDAQの動きは日本のハイテク株の動きを左右するだけに注目される。テク二カル上からNASDAQ指数は目先的には1260ポイント前後までの下落を想定。FRBによって公定歩合の0.5%引き下げが実施され、更に再引き下げの可能性も残していることは株価の大幅な下落を食い止めると考えられる。

 今週の日経平均も基本的には8500円〜9000円のゾーンでの展開を想定。前週の地合からすれば週初は8500円前後への押し目が想定されるが、8500円水準では公的資金の買いも想定され、下値の堅さを確認されれば再び8800円程度までは簡単に上昇してしまうことも考えられる。
 低水準のゾーンでの推移とは言え、こうした動きを割り切って考えて全体相場と同様に、個別銘柄も底練りの動きを冷静に捉えて押し目を買い、戻れば売りのパターンで売買を繰り返せば多少のリターンを上げられるとは思うが、本格的な買いタイミングは今月後半に照準を当てておくことにしよう。

 ここでは当面の間、日本を代表する優良銘柄群の押し目をじっくりと狙うことにしよう。更に、持ち合い解消売りとは無縁の小型材料株も年末に向けての短期資金ニーズにマッチした銘柄群として格好の投資対象となることも想定される。今期業績悪化を織り込みにいっている段階と見れば、株価へ今期業績悪が織り込まれてしまえばむしろ来期以降の展開を睨んで押し目買いスタンスを取ることで運用成果を上げること可能となるだろうが、問題はそれぞれの業績動向をいかに正しく理解するかということになる。

**本日はあっさりと日経平均は8500円を割れてきました。明日更に下押すとしたら10月10日の安値8200円割れ水準が意識されます。
(炎)

 

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6
2002/11/08 為替相場動向
生涯遊人

 

 FRBの0.5%の利下げにより$売りに拍車がかかっている。先週までの経済指標の回復と、企業業績の持ち直しにより、市場では、0.25%の利下げあるいは金利の据え置きになるのではないかという予想が直前になって増えてきた。そこに0.5%という大幅な利下げにより、為替市場はユーロとの金利差の拡大により、ドル売りユーロ買いが活発し、ドル円でもドル売りが加速し、ドルは全面安の様相を呈してきた。

 慎重なグリーンスパン議長の決断には、やはり、米国経済の不振が伺える。グリーンスパン議長は、コメントのなかで、地政学的リスクという言葉を使い、対イラク戦における経済的リスクを憂慮していた。イラクとの戦争により、不振の米国経済に最後のとどめをさすのか、すくなくともFRBの理事たちは、かなり悲観的に米国経済をみているようだ。

 戦争は起こったとしても短期的に終結するという予想が多いが、中東諸国を巻き込み泥沼化し、原油価格が高騰した場合は、相当重大な影響を米国経済のみならず、世界経済に与える可能性が多い。
 それに備えるためか、あるいはその前になんとか経済を立て直したいというのが、今回の利下げに繋がったのではないだろうか。

 もうひとつの考え方として、米国経済が1996−1997年ごろの日本経済のように、止まらないデフレの瀬戸際まできているのか、あるいはもうすでにそのような循環に陥ってしまい、なんとかそれに歯止めをかけるべく大幅な利下げに踏み切ったという考え方もできる。

 米国の利下げを受けた欧州中央銀行とイングランド銀行は、金利の据え置きを決定したが、次回12月には利下げに追い込まれるのではないかという予想が多い。
 世界同時不況また、デフレを阻止するために残された時間も方法もあまり残されていないような気がする。

(生涯)

 

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5
2002/11/08 新製品群が羽ばたくか?
両津勘吉

 

 「高機能樹脂シクロオレフィンポリマー 日本ゼオン(4205)」

 独自技術で開発した熱可塑性樹脂であるシクロオレフィンポリマー(商品名:ZEONEX)が光学レンズ、プリズムで高いシェアを獲得済み。1990年に上市され、レーザービームプリンターやFAX用途のfθレンズ(非球面レンズ)で95%、CD,MD,DVDプレーヤー用ピックアップレンズで73%、カメラレンズ、プリズム用途で75%のシェアを誇る。

 従来は高機能樹脂原料のみ供給し、自ら加工に乗り出さなかったため想定したほど応用範囲が広がらなかった。そこで会社側は子会社オプテスを通じ加工販売に乗り出した。2000年から液晶導向板を手掛け始め、ZEONORを世に送り出した。しかし彼らのターゲットは導光板だけではなく多岐に渡る。

 まずはJSRのアートンを追撃する。アートンはVAのTFTパネル向けで王者だが、材質はZEONORと同じノルボルネン系。ではゼオンがアートンのマネをしているかというと違うようである。C5留分から得られるZEONORだが、ZEONORは全ての結合がシグマ結合で完結されている。その結果が同業他社品と比べて低吸収性、高い透明性、低複屈折性、低比重、耐熱性、耐薬品性といった形で現れている。その優秀な素材と戦うためJSRのアートンは同じC5留分からだが5%ほどエステル基を混ぜることでゼオンのパテントを回避しているらしい。しかしこの結合は2重結合であり、完全シグマ結合と比較したらその差は歴然という専門家もいる。
 富士フィルムで液晶向けフィルムの研究をなさっていた方がゼオンの光学研究所所長で経験も充分。

 次に製造方法。フィルム製造には乾燥工程が付き物だが、これがスループットを極端に悪化させる。しかしゼオンでは押し出し方で低コスト製法が特徴。ダイラインの問題もクリアーとなっており、投資家が心配していた量産も問題なさそう。ライバル側からはまともに製品が出来ない、顧客の要求する長さまで巻けない、などと揶揄する声も聞こえたが、ゼオン側は自信満々の様子。

 10月から出荷と先頃新聞発表され、内山社長、山崎常務、荒川研究所長による説明会が開催され、(私は出席していません)たぶん某メーカー向けにと説明したのかな?
 けれど最終セットメーカーはともかく、日東電工以外の張り合わせメーカーに出荷しており、ZEONORの拡販のためにはシェア6割を誇る日東電工が鍵を握る。JSRは元は半官半民で商売、政治力はゼオンより上。技術のみで攻めても政治力がなければ効果は半減。今回の拡販が成功するか否か? 注目している。

(両津)

 

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4
2002/11/05 グレアムに学ぶ その2
大原部長

 

 【グレアムに学ぶ その2 当期利益は企業評価の基準とはならない】

「当期利益は企業評価の基準とはならない」p578
 「証券分析1934年版」 パンローリング社 関本博英など訳 (9800円)

「当期利益が常に変化していることを考えれば、それをベースに普通株の価値を評価するというその考え方自体がおかしいことになる。10倍とか15倍などというPERは基本的には恣意的な基準でしかないのである」

今回のテーマは株の評価の基になっているはずの当期利益である。

PERは時価総額を当期利益でわったものである。
しかし、当期利益で株を評価してはならないとグレアムは書いている。
当期利益で測ると好況と不況の利益のブレが大きすぎるために適格な評価ができないという。

好況のときは過去の収益が順調に拡大して、その出来すぎの収益にマルチプルをかけてしまう。
不況のときは平均的な収益力よりも随分と低い当期利益から不当に安い株価で売買してしまう。

好況のときには、なにもかもがばら色に見え、「外部環境がよいだけだ」という常識的な意見が薄れ、「マネジメントが改革に成功した」とか「この企業固有の技術が今花開いた」とか個別企業の特性をアナリストが取り上げるようになる。
単に、「外部環境がよかったから」という味気ない真実は面白み無く、抹消されるのである。

⇒投資家は単年度の当期利益で企業を評価すべきではなく、当期利益の平均値を用いるべきだ。

わたしたち、現代の投資家は、当期利益で評価ができないほど高い株価を正当化している。
そのために、EBITDAで企業価値を測り、営業利益の額で本業の収益を考えてきた。

たとえば、NECを評価するときは、100億円規模の純利益ではなく、1000億円規模の営業利益で8000億円の時価総額を説明している。
企業は営業利益をかさ上げすることができ、純利益を犠牲にすることができる。
投資家にとっては最終利益の将来の平均値で企業を評価すべきであるが、都合よく、営業利益の見通しで安い高いを判断している面がある。

わたしたちは、2重の誤りをしている。
ひとつは、重要な最終利益を重視せず、操作可能な営業利益などベースに株価を評価している。
さらに、単年度の最終利益をベースに株価を評価している。

株式市場は非常に非合理な論理が通っている。

〜つづく〜
(大原)

 

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3
2002/11/01 ゼロクーポン債について
生涯遊人

 

 ストリップ債についてご質問が寄せられましたので、簡単に解説いたします。

 ストリップ債、あるいはゼロクーポン債というのは、債券の元本部分と利札部分を分離して売買されているものの中で、元本部分の債券のことを呼びます。日本では発行されていませんが、米国ではきわめて活発に売買されています。

 年利4%の10年債を100万円で購入するとします。利払いは、半年毎なので、半期に2万円ずつ入ってくる利札が20枚あります。
 この20枚の利札(2万円*20=40万円)を投資家に40万円−X(割引料)で売ります。元本部分の10年後に100万円もらえる債券が残り、これを投資家に100万円−40万円+X(割引料)で売ります。
 この値段が60万だとすると、10年間満期まで持ちきり100万円もらい40万の儲けでアバウトに計算すれば単利で年4%の利回りとなり、10年債でクーポン4%の利付き債と整合性があります。

 ストリップ債という意味は、債券の元本部分とクーポン部分を分離するという意味です。
 またゼロクーポン債は、元本部分の割引債のことで利付き債に対して、クーポンのつかない割引債という意味で使っています。
 たとえば同じ債券投資でも、毎年のキャッシュフローの選好によって、投資家の好みもちがってきます。

 たとえば半年に1回夫婦で旅行がしたい方、あるいは年に2回ずつお孫さんをディズニーランドに連れて行きたい方は、半年毎に利払いのある利付き債を選ぶでしょう。
 これと同じように、毎年(半期ごと)のキャッシュフローを取りたい投資家は、利付き債を選好します。

 一方、10年後の子供の大学の資金を手当てしたい方は、あるいは手前のキャッシュフローを低く抑えたい投資家は割引債を選好します。割引債の場合キャッシュフローは最初と最後だけで、また初期の投資を低い価格で抑えられる利点があります。
 とくに30年間と期間が長くなると、最初のキャッシュフローはかなり低くおさえることができます。
 またゼロクーポン債は、セカンダリーマーケットで売買されているために、当然金利の影響で価格が上下します。

 債券の場合、金利が上昇すれば価格は下がり、金利が下降すれば価格は上昇します。また価格の変動は期間の長い債券のほうが大きくなります。
 このために、ゼロクーポン債の市場価格は、金利状況、債券の残存期間によって異なってきます。

 米国では投資家の好みによってさまざまなキャッシュフロー(=投資家の資金需要)に応じた債券が用意されているわけです。

(生涯)

 

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2
2002/11/01 閑中忙あり
駄洒落商会会長

 

 駄洒落商会会長です。中間決算発表たけなわですね。

 私どものような「季節労働者」にとっては、まさに「閑中忙あり」、最も多忙な時期です。

 どうでもいいことですが、「閑中忙あり」とは「忙中閑あり」が正しい成語です。北杜夫が「どくとるマンボウ航海記」のなかで、「閑中忙あり」と使ったのを勝手に借用しております。

 さて、この時期何をしなければならないかといいますと、まず決算説明会に出席し、経営トップの見解を確認します。さらに説明会資料をもとにデータを打ち込み、整理します。
 企業業績とともに、バランスシート及びキャッシュフローに関しても、数期先まで予測し、レポートを改定していきます。
 決算発表期は、この作業を集中的に行うわけですから、ひとりのアナリストが詳細なフルレポートを書き、それを常に見直して投資家に提供していくとすれば20銘柄程度が適当かもしれませんね。
 アシスタントがおられるケース、「チーム」でセクターをカバーされるケースなどはこの限りではないのでしょうが、私のようにすべてをひとりでこなす場合には、バックデータの整理だけでも膨大な時間を要するのが実情です。勿論、私自身の能力不足も大いにあずかってはおりますが(笑)。

 冗談まじりに「アナリストは体力勝負」などと言われますが、あながちはずれてはいませんね。
 こうした地道な基礎作業なしにアナリストレポートを書かれる方を、私は「ライター」ないし「アジテーター」と呼んでおります(笑)。
 もちろん、ベテランの方々ですと、企業を見る視点をきちんとお持ちですから、普段カバーしていない企業でも適切な投資判断をくだされます。

 当「億近」はそうした方々が集うボランティア集団ですから、どうかご安心ください。本日はこの辺で。
(駄洒落)

 

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1
2002/11/01 健闘する食品スーパー
小野小町

 

 食品スーパーの業績が好調です。今中間期も単価下落の中、客数を伸ばし各社は軒並み増益を確保しました。日本チェーンストア協会のデータによると、食料品は今4〜6月が前年同期比2.0%増、7〜9月が同0.7%増と衣料、住居関連がマイナスとなる中健闘しています。

 客数増加の背景には共働き・単身世帯の増加に対応した深夜営業の拡大、惣菜等の商品開発力の強化が挙げられます。共働きや単身世帯の増加による中食(テイクアウト)市場の拡大は以前から言われてきましたが、また最近のBSEや相次ぐ不祥事により食の安全に対する意識の高まりも背景にあるようです。(他には飲酒運転の取締り強化という声もあります…単に家で飲むようになっただけ?)。

 特に商品へのこだわりは強くなっています。例えば生鮮品ではヨークベニマルは抗生物質や化学飼料を使用しない畜産品のプライベートブランド「あじわい健味」を展開している他、マルエツも約3,000軒の農家と契約し新鮮な地場野菜を販売しています。加工食品ではヤオコーの取り組みが注目されます。惣菜・寿司・ベーカリーの3分野で店内調理を行うオープンキッチン形式の売り場を導入、デパ地下にも劣らない製品を提供しています。
 この他、夕食のメニュー提案や魚の下ごしらえ、果てはミネラルウォーターの提供を行う企業もあり、今後は多様化したサービスを武器に地域内での顧客囲い込みが進みそうです。

 新規出店にも積極的な姿勢が伺えます。今期の大手15社合計の出店数は前期比倍の70店以上となる見通しです。マイカルやダイエー等大手GMSの店舗閉鎖が相次ぐ中、残存者利益の得られるこの機会に商圏を拡大する狙いです。ヨークベニマルは今期以降毎年10店以上を出店する他、ヤオコーも今期は前期比倍の7店舗を出店する方針です。

 また都心部へ出店するケースも増えています。マルエツは深夜営業を行う都心型スーパーを今後2、3年で30〜50店出店する計画です。最近は23区内でもマンションが建設されていますが、周辺に未だスーパーは少なく出店余地があるとみられています。

 現在、業界ではイオンがいなげや、丸紅がマルエツ株を取得するなど大手総合スーパーや商社を軸に全国的にM&Aが加速しています。またウォルマートと西友の提携や先月日本に3店目をオープンした仏カルフールなど外資の動向も気になります。しかし食品スーパーの場合、規模の追求が必ずしもプラスになるとは限りません。地域特性にあったサービスを展開するにはむしろ小規模の方が都合の良い場合もあります。各社が出店を加速する今後数年間をどう乗り切るか、食品スーパーにとって勝負の分かれ目となりそうです。

*参考までに
◇主要食品スーパーの動向

銘柄・コード
株価
売上
増減率
経常
増減率
地盤
店舗数
マルエツ(8178)
520
13
12
首都圏
192
いなげや(8182)
833
三多摩地区
126
ヨークベニマル(8188
2640
東北・福島
97
ライフコーポ(8194)
874
▲2
45
近畿・首都圏
187
カスミ(8196)
400
105
北関東
106
東急ストア(8197)
368
▲3
69
東京・神奈川
89
オークワ(8217)
1266
▲2
18
南近畿
120
ヤオコー(8279)
1820
12
20
埼玉県
62
マックスバ西(8287)
1080
20
26
姫路圏
127
(単位:%、円)

 株価・店舗数は10月31日現在、業績数字は今期予想で連結(マックスバリュ西は単独)

(小町)

 

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