No.
日付
タイトル
執筆者
25
2002/12/27

今年のIR大賞

両津勘吉
24
2002/12/27

ホンダの値引きはユーザーにとって魅力的

両津勘吉
23
2002/12/27

発泡酒・タバコ増税の影響

小野小町
22
2002/12/24

2002年をふりかえる その4

大原部長
21
2002/12/20

アートンvsゼオノア

両津勘吉
20
2002/12/20

ソニーと日亜化学工業が提携

両津勘吉
19
2002/12/17

ザイ・データブックでのわたしの投資判断(買い、強気、中立、弱気、売り)の背景

大原部長
18
2002/12/17

シリーズ 2002年を振り返る その3

大原部長
17
2002/12/16
キノコ産業は有望か
 ユニチカのハナビラタケ人気に見るキノコ産業への期待
炎のファンドマネージャー
16
2002/12/16
ベンチャー支援道半ば 〜炎の胸の内を明かす〜
炎のファンドマネージャー
15
2002/12/16
株式市場の機能麻痺
炎のファンドマネージャー
14
2002/12/16
今週の株式相場展望
炎のファンドマネージャー
13
2002/12/13

閑中忙あり

駄洒落商会会長
12
2002/12/13

見学&銘柄レポート

小野小町
11
2002/12/10

シリーズ 2002年を振り返る その2

大原部長
10
2002/12/09
頑張れ!!おこしやす京都チーム
炎のファンドマネージャー
9
2002/12/09
社会的責任投資について
炎のファンドマネージャー
8
2002/12/09
炎の高配当利回りJASDAQ銘柄紹介
炎のファンドマネージャー
7
2002/12/06
ブランド力の弱い自動車企業はどこがダメなのか?
両津勘吉
6
2002/12/06
為替相場動向
生涯遊人
5
2002/12/03
億近3周年ポートバトルに寄せて
大原部長
4
2002/12/03
シリーズ 2002年を振り返る その1
大原部長
3
2002/12/02
公認会計士が体験した決算説明会報告
炎のファンドマネージャー
2
2002/12/02
炎の注目株
炎のファンドマネージャー
1
2002/12/02
今月の株式相場展望
炎のファンドマネージャー

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25
2002/12/27 今年のIR大賞
両津勘吉

 

 今年も色々な役員、IR担当と出会いました。年末恒例、私の独断と偏見に基づく勝手なIR大賞を発表します。
その前にワースト大賞から。

<ワースト大賞受賞企業>

Sカンパニー:本人に電話しているにも関らず、日程の話になると「希望日をメールで送ってください」?今あなたと話してんのに! 経営評価するがIR部隊に問題がある。

Tカンパニー:電話して取材したい旨、連絡すると希望日をFAXするよう指示されるが、FAXして待っても待っても音沙汰なし。また電話すると担当者は電話に出ず。いつになったらアポが取れるのか?

Sカンパニー:セルサイドレポートをよーくチェックし、気に喰わないことがあるとアナリストを呼び出すって本当?

<IR大賞受賞企業>

ブービー賞:キーエンス(6861)情報開示がV字型?回復。

駆け込み寺:昭和電工(4004)化合物半導体を調べていると壁にぶち当たり身動き取れず。こういう時は決まってこの方に御相談。アナリストの駆け込み寺的存在。

 広報、IR担当者の方々、来年度も宜しくお願いします。(両津)

 

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24
2002/12/27 ホンダの値引きはユーザーにとって魅力的
両津勘吉

 

 車好き長男がホンダディーラーに行きたいとおねだり。私も価格チェックしなければと考えていましたので行って参りました。

 長男、長女、私もスポーツ後に訪れたため3人ともジャージ姿で、ディーラー営業マンもなんだか売る気の無い様子。しかし軽く買う素振りを見せ、どの位値引きするか聞きましたところ、オデッセイで30万円、ステップワゴンとストリームで20万円でした。1発目でこの価格ですから他社との競合を持ちかければオデッセイでキャッシュ40万円、オプション部品定価ベースで多少色を着けて45−50万円まで行くかどうか。いや〜 ホンダさんは凄い値引きをしますね。
 やっぱりトヨタ車との競争が厳しく、売り易いフィットにディーラー営業マンは動いています。

 もっと凄いのは自社登録。これって販売台数嵩上げのためにディーラー自らがナンバーを取って登録することです。皆さん、先ずはYAHOOのトップページを開いてください。そこのショッピングコーナーに自動車がありますので、そこをクリック。次いで中古車物件情報をクリックするとメーカー別ページが出てきますので、ホンダ、そしてステップワゴンの順にクリックしてみてください。そして東京地区→走行距離とクリックすると走行距離の少ない順に出てきます。2002年モデルで走行距離0.1万キロの物が現れます。Dタイプの169.8万円をクリックしますとオニキス京王八王子支店のものがありますが、コメントに登録済み未使用車と記載され、これが自社登録車です。しかし他の車を見ているとホンダディーラー自らが未走行車を販売しているケースもあり、如何に自社登録したかが窺えます。

 私はここに出てくる関東地方の某業者に電話しましたが、今年は全メーカー中、ホンダの自社登録による良質物件が非常に多かったと言っており、そこの企業の今年1年間における未走行車入手の内、ホンダが相当部分を占めたそうです。

 自社登録は売れないマツダや三菱が多いかと想像しましたが、この業者曰く、ある程度売れていてメーカーも強気で生産している車ほど自社登録が出易いそうです。ですからマツダのタマは意外に出てこないとか。

 先般、ホンダは来年度も国内販売を強気で行くことを宣言しました。車を購入される方は決算間近の2月、3月を狙うか、それとも強気の販売がコケソウな来年度の自社登録車を狙っては如何でしょうか。

 ちなみにマツダはディーラーの結集したチラシを12月に配布しており、ナビ付き3リッターMPV304万円、トータル340万円の自社登録を、ナント260万円で販売。2002年登録のデミオの短期レンタに回した1.5万キロを58万円ですからね。

 日産はウイングロードでかなりの自社登録を見かけますが、売れ筋モデルでは見かけませんし、ディーラーでの値引き交渉も容易ではありません。

 エルグランドで徹底的に粘ったのですが、営業マンは「ウチの外人経営者は値引きを絶対許さん」だそうです。(両津)

 

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23
2002/12/27 発泡酒・タバコ増税の影響
小野小町

 

 今月13日に来年度の税制改正大綱が発表され、発泡酒とたばこへの増税が決定しました。来年5月から発泡酒は1缶(350ml)当たり約10円、たばこは7月から1本当たり0.82円(1箱当たり16.4円)増税される予定です。アナリストの評価は多々分かれていますが、結論から申しますと現時点ではビール各社とJTへの影響は小幅に留まるとみられます。

 初めに発泡酒ですがそもそもビールの違いは何か?酒税法によればビールは麦芽使用比率が50%以上、発泡酒は50%未満の麦酒を指します。更に発泡酒は麦芽使用比率が25%以上・未満で分類されますが通常市販されているのは25%以下のものです。1缶(350ml)当たりの税金は、ビールが77.70円、発泡酒は36.75円と発泡酒はビールの半分以下です。

 発泡酒が普及したきっかけはキリンが98年に発売した「淡麗」です。ビールでアサヒに首位を奪われそうになったキリンは、シェアを死守するためより低価格の発泡酒を発売。これに追随し各社は次々と新商品を投入しました。味も家庭で飲む分にはビールに遜色ない水準に改良され、不況も追い風となり市場はここ数年で急拡大しました。

 増税案は以前から浮上していましたが2003年は実現可能性が高いといわれ、業界では最近まで1缶20円増税説が有力でした。しかし今回の増税幅が予想より小さかったため各社はそのまま価格を転嫁する可能性が高そうです。特に今年は2月にキリンが10円安い新商品「極生」を投入したのを皮切りに1缶135円という10円安い価格が定着。今回の増税を機に再びそれが10円戻る格好となります。10円の値上げをどう受け止めるかは消費者次第ですが、缶チューハイ等他製品にシフトする可能性もあり発泡酒の需要は若干減少するとみられます。また来年秋の酒類販売の規制緩和を控えディスカウントストア等で価格競争が激化する可能性もあり動向が注目されます。

 こうした中、早くも来年の新商品が発表されています。2月にはキリンが痛風の原因となるプリン体を90%カットした「淡麗アルファ」、アサヒがスーパードライに近い軽快な切れ味の「スパークス」、サッポロが炭酸を強化した「鮮烈発泡」を発売する予定です。2003年も厳しいシェア争いが続くのは確かなようです。

 一方たばこは98年12月以来4年ぶりの増税となりますが、値上げによる需要減少が懸念されます。前回1箱20円の値上げをした際には、前期までの3年間で市場は約5%縮小しました。

 国内市場シェア7割を持つJTの場合、たばこ1箱当たり20円値上げすると粗利ベースで約70億円の増益要因となります。ただ一方で販売数量が1〜2%減少するとこの分の利益は相殺されてしまいます。現時点で値上げ幅は不明ですが、1箱当たり20円の値上げで良くて収支トントンかマイナス、30円なら価格効果が数量減を十分カバーするとみられます。

 需要と価格のバランスが難しいですが、JT側からすれば30円の値上げが妥当な線かと思います。ただ前回の増税時にフィリップモリスが「ラーク」の価格を据え置きシェアが低下した経緯もあり20円に留まる可能性も高いです。ただ想定以上に需要が減少した場合でも追加的なコスト削減で対応する方針で、業績へ大きな影響はあまりなさそうです。

 ただこの冬のボーナスも減少(きびちー←実感)と消費者心理が悪化する中、身近な娯楽である酒類やたばこに影響が及ぶ可能性は十分考えられます。特に発泡酒は不況下で親しまれてきた商品だけに今後はいかに付加価値の高いブランドを開発できるか、各社の戦略が問われそうです。(小町)

 

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22
2002/12/24 2002年をふりかえる その4
大原部長

 

 【大原のイチオシ 辛うじて勝ち越し】

 今年のイチオシでは、外れまくってしまい、本当に、皆様にはご迷惑をおかけした一年となった。

<1月のイチオシ (1勝1敗)>

○弱気 太陽誘電 6976 ☆☆ →正解 2000円が1200円台
×買い ゴールドクレスト ☆☆☆☆→大失敗4000円台が3000円割れ

<2月のイチオシ (3勝1敗)>

○弱気 シチズン時計 7762☆☆ →正解 650円が530円台に
○売り 日立 6501 ☆ → 大正解 800円台が400円台に
○買い ブラザー6448 ☆☆☆☆☆ →正解 500円が一時930円に。今780円
×強気 NEC 6701 ☆☆☆☆ →大失敗 800円が450円に。

<3月のイチオシ (0勝1敗1分)>

オービック 4684 ☆☆☆☆☆ → 半分正解 2万円が2.5万円に。そして2万円に逆戻り
×ニコン 7733 ☆☆☆☆ → 大失敗 1300円が800円に

<4月のイチオシ (0勝1敗)>

×強気 村田 6981 ☆☆☆☆ 失敗。8700円が5000円に

<5月のイチオシ(0勝2敗)>

松下 6752 ☆☆☆ → 1700円が1100円台に
×メガチップス 6875 ☆☆☆☆☆ → 大失敗 3000円が1500円台に
×村田 6981 ☆☆☆☆☆ →失敗 8000円が5000円に

<9月のイチオシ (6勝1敗1分)>

○買い 日東電工 6988 ☆☆☆☆☆ → 正解 3000円が3600円に。今3300円
強気 ブラザー 6488 ☆☆☆☆ → 半分正解 800円が930円に。今780円
○売り NEC 6701 ☆ → 正解 610円が450円に
○売り 富士通 6702 ☆ → 正解 572円が351円に
○売り 松下 6752 ☆ → 正解 1400円が1130円に
○売り 東芝 6502 ☆ → 正解 400円が一時300円割れ。今363円に 
○弱気 日立 6501 ☆☆ → 正解 650円が450円に
×中立 UMCJ 6939 ☆☆☆ → 失敗 株価暴落 12万が7万へ

<10月のイチオシ(0勝1敗)>

×買い 兼松 8020 ☆☆☆☆☆ → 大失敗 120円が75円に

<11月のイチオシ>

売り 東芝 6502 ☆ → ? 今後の楽しみ 370円が360円に

今年のイチオシの成績表:10勝8敗

 ・・・トホホホホ 今年は、イチオシの半分を海パンさんに譲り、わたしは、株式投資の世界から見た日本の現状を紹介してきたつもりだ。しかし、やはり株のメルマガ。当たり外れで騒ぐのもたまにはいいかもしれない。

 わたしの失敗のクセがよく出ている。
 よい会社のPERを過大評価。人気のある銘柄ほど、時価総額が一定を下回ると暴落する。機関投資家の投げがきついからだ。
メガチップスはそういう銘柄のひとつだ。
バリエーションの切り下げと業績の見違いで全7敗のうち、2敗が村田だ。悲しい。
兼松は、竹中大臣の強攻策に抗議する形で、引き合いに出したが、見事に撃沈となった。

【居酒屋 元気に開業中】

 さて、今年は、ライコスの居酒屋掲示板も盛り上がった。 
昨年の8月に開業した居酒屋「億近」の店主として、1年4ヶ月が経過した。

 当初からのなじみ客で一杯になっており、積極的に発言していただいた皆様に感謝したい。
 もぐたん、イチローさん、Noriitoさん、ジョッキーさん、地の利さん、両津さん、リスクテイカーさん、C言語さん、Possiblさん、Hiroyukiさん、その他大勢のみなさま、今年一年間、お世話になりました。 http://club.lycos.co.jp/bbs/list.asp?cid=l0600001

【無料企業健康診断所開業中】

 4月に開業した無料企業診断所「ライコスのメイン掲示板」にたくさんの患者さんがいらっしゃいました。700を超えるカルテがそろった。初診大歓迎! http://club.lycos.co.jp/bbs/list.asp?cid=l0600001

【自分で選んだ今年のベスト・エッセイ】

 この1年で、わたしが自分で選んだベスト「大原の火曜日」は、2月19日号だ。
株主にとって、よい企業とは技術や才能や資産規模ではないことを実感した一年だった。

 一番大切なものは、戦う姿勢だ。
 たとえば、ボクシングで勝つためには、とにかく、リングに上がるしかない。
 リングに上がらないで勝つ方法を探している経営者が多い。
 やるか、やられるか。
 ボクシングは乱暴なスポーツだ。

 しかし、世界で、もっとも乱暴な競技は、ビジネスである。
 相手を叩きのめすつもりでみんな経営しているのだ。
 世界のどこかで、虎視耽々と次世代をになう企業が育っている。
 ビジネスは生きるか死ぬかの戦いだ。
 戦う意志が企業だけが、いわれなくても、血のにじむようなコストカットをするのである。


【再掲】2月19日号◆株式ショートコメント◆

●日立(6501) ☆
【成果主義が徹底できないのならリストラをするな】

 またも追加で希望退職制度。一定年齢以上ならボーナスを含めた年収で2年分の年収を退職金に上乗せする。希望者は拒まない。何人になるのかもわからない。大体4000人程度が今回は応募するのかなあと人事部。投資家を馬鹿にしているのか?

 多くの優秀な技術者が転職するだろう。ライバル企業へと。サムソンやTSMCはまた強くなる。

 サムソンを強くするために、インテルを強くするために、日立自身を弱くするために、日立は、つまり、株主は、従業員に割増で多額の退職金を払う。ふざけている。

 評価の一番低いものから強制的に解雇する。それが痛みを伴うリストラではないのか。

 どうして評価が一番低いのか、その理由がはっきりしている従業員には、しっかりと会社がフォローして、合格できるまで鍛え上げろといいたい。会社が死ぬ覚悟でフォローしてもやる気のない者がいるとすれば、それは、本人のせいだろう。強制解雇で割増退職金もゼロでいい。

 たとえば、ギターがやたら上手い者は、いつ、どこで練習しているのか?仕事をサボったものと全力で仕事に取り組んでいるものとを区別もできないようなら、リストラはするな。

 仕事ができるやつが抜けて組織は猛烈に弱体化する。
 仕事ができるやつにやめてもらいたくないなら、1億円以上払ってでもリーダーとしてとどめるべき。
 辞めてほしくないものを引き止めるものは、人情だけ。それでは実力のあるものの家族はどうなる?
 それこそ搾取ではないのか。もう日立は一生勝てない。そう投資家は考えるだろう。

 そもそも評価をAからFと仕事のできる順につけて、給料もランクにあわせるべき。仕事の内容自体に値段をつけて、誰がやっても同じ仕事(たとえば経理なら経理)なら同じ値段を払うべきだ。できないものから首にするのは企業が存続する最低の条件だ。その存続条件が守れないなら、解散を勧告したい。

 企業が存続するための最低条件をクリアしていないのに、どうしてリストラなんかをするのか。年金債務はどうするのか。割増退職金は誰が払っているのか。みんな株主の負担ではないか。
おまけに足元は計画を大幅に下回っている。もう業績予想の計画は発表しなくていい。
出来る人間はさっさと転職して世界を目指すべき。1年で2000万円給料が違えば、10年で2億円も違ってくる。台湾メーカーなら年収3000万円はざらである。
コスト競争力があるから、リストラはない。あっても、実力があればF評価になることはない。
実力は死ぬ気でつけるものだろう。毎日が勝負だ、絶対に勝ちたいと思っているやつが外資系にいく。
ところが外資系にはくだらない会議がない。自分のためだけの時間は倍近くに増える
退職金は年収の30%程度を毎年積み立てるから3年働けば年収程度は退職金がたまる。世界から一番優秀な人材が集まってくる中で、クリエイティブな仕事が存分にできる。
移動はファーストクラスが当たり前、夏休みだって何ヶ月取ろうが構わない。勝ちつづける限りは。そういう相手と今戦っているということを認識すべき。
(大原)(2月に書いたものです)


余談:【やめてほしくない人がやめる日本。やめてほしくない人はやめない外資】

 キーパーソンを社内に引き止めたかったら、多額の報酬を出さなければならない。多くの外資系では、勝手に転職したら、前年の多額のボーナスを返済してもらうといったコールオプションを会社が保有している。転職防止条項があるのだ。

 本当に事業を担って付加価値を創造しているのは誰なのかを定めるのが経営者の仕事だ。
利益に貢献している人材は多分全従業員の10%程度なのであろう。
その10%を大切に優遇すれば、残りの90%は自分もがんばろうという意識が働く。
やめたくないものにやめられたら、会社は困ってしまう。

 だから、やめたくないものがやめたら、会社が実質儲かる仕組みを会社は用意している。
優遇契約を結んだ従業員が、違反して途中で退職すれば、多額の損害賠償を会社に払うことになる。違約金だ。

【横並びの閉じた世界で泥棒になる】

 日本の会社員は、居酒屋で仲間と飲むことが多い。

 居酒屋で飲むことで、大体の従業員に泥棒従業員根性がしみついてしまう。
 居酒屋で飲んで、株主のことを考えるものはいない。
 みんな「自分はこれだけがんばったのに」と嘆く。泥棒は、同情されるのがすきなのだ。

 ひとりひとりの従業員がメチャクチャ会社に儲けさせるのは、契約上、当たり前のことだろう。
 会社に損害を与えているのに、給料をもらっているやつがいる。
 それを許している自分たちこそ、会社を私物化しているのだ。
 だから、「あいつと比べたら、自分は?」と比べるのはおかしなことだ。
 施設も人脈も顧客資産もすべて株主のものなのに、いつから従業員は我が物顔で会社を私物化するようになったのだろうか。
 それを使って、株主のために、全力でカネ儲けするのが、雇用契約の内容だろう。
 自分の会社ではなく、株主の会社なのに、株主総会で、株主に対して、「弊社」などといってしまう経営陣。

【2003年 反乱が始まるだろう】

 外人投資家は怒っている。
 日本人経営者は会社を私物化している。
 セブンイレブンや任天堂では外人株主の反乱が来年あたりに起こり、大幅な配当アップを要求するのではないか。
 あほな経営者と泥棒従業員、カネ食い政府に、借金好きの国会議員。
 日本株だけを運用していると痛い目にあうだろう。

 国際的な運用会議では、アジア株だけで日本株は不要だという意見が出始めている。
 来年は、日本株の本格的な凋落が始まる可能性がある。
 グローバルなヴィジョンがあるアジアの政治家が投資家から信頼されるだろう。日本のとんでもない「従業員企業」を買う理由はどこにもないのだ。

【東芝が好きな日本のアナリスト】

 日本株だけを選択肢にいれると、東芝は唯一の半導体関連銘柄になってしまい、フラッシュメモリーがいいときに、薦めたくなる。
 わたしは東芝が来年EPSで20円近く、稼げるかもしれないと思っているが、それでも売りだと思っている。

 単純に、サムソンの方がいいからである。PER7倍のサムソンは来期もフラッシュメモリーで増益になる。サムソンには液晶やDRAMがあり、リスクもある。しかし、両事業とも、グローバルでナンバーワンである。

 東芝の収益の殆どは、電力会社などの、国内成熟産業から来る。
社会インフラの将来を考えて、強気になれる人がいるだろうか?

 東芝の社会インフラ部門は従業員を半分にするだろうか?
 するはずがない。
 (台湾のTSMCは、従業員をカットするときに、何の保障も割り増し退職金も出さなかった)。

 半導体を買いたければ10人いれば、10人ともサムソンかTSMCを選ぶはずである。東芝を選ぶ人はゼロだろう。

 グローバルな会議で東芝の社長がプレゼンをしても、興味のある投資家は、数人しかいないだろう。
 しかし、日本のアナリストは、日本の会社を薦めなければならない。なんという苦行だろうか。

 財務が破綻しそうな会社のPEが2倍か3倍で取引されているときに、どうして同様に財務が悪い東芝に来期20倍も払う必要があるのか。

 これこそが、わたしが、グローバルな比較で、バリエーションが重要と主張する理由である。

 みなさま、今年一年間、ご購読ありがとうございました。 来年もよろしくお願いします。(大原)

 

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21
2002/12/20 アートンvsゼオノア
両津勘吉

 

 ●JSR(4185)

 同社の独壇場であったVAタイプTFT用フィルム、同社製品名アートンの対抗馬が10月から現れ、証券界化学アナリストの間で噂になっている。
 対抗馬は億近でご紹介している日本ゼオン製のゼオノアだ。もう何年になるのであろうか。ゼオンが液晶フィルムに参入と対外的にアピール、しかし投資家にとっては待っても世の中に出てこないゼオノアフィルムに痺れを切らしたはずだ。ところがようやく量産発売に漕ぎ付いた。
 フィルム生産の常識は所謂キャスト法であって、押し出しなる技術は古くからあってもそれを克服するのが難しい。しかしキャスト法では最後に乾燥工程が来るため、押し出し法と比較しスループットやコストで圧倒的な差がついてしまう。
 誰しもが押し出し法にチャレンジしたに違いないのだが、押し出しで量産するには技術的にクリアーするいくつもの問題がある。例えばJSRの現状アートンをそのまま押し出ししたら一体どうなることやら? 
 ではゼオンはなぜ押し出しに成功したのか?
 これは以前、ご紹介しました通り、アートンとゼオノアの構造の違いがポイントの模様。同じノルボルネン系でも先に開発されたのがゼオノア(ゼオネックス)で、そのパテントを回避するために出来たのがアートンと聞いておりますが、両者の構造は少し違う。その差が押し出し法が出来るか否やにつながっていると思われる。

 最近の液晶フィルムパテントを検索していますとノルボルネン系で押し出しにチャレンジするものが目に付きます。JSRはアートン製造で他企業と組んで製造を行っておりますが、証券界ではゼオンに負けじとJSRが動きを見せるであろうと言われております。(両津)

 

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20
2002/12/20 ソニーと日亜化学工業が提携
両津勘吉

 

 ソニーと日亜化学工業が青紫色レーザーの共同開発に合意したとの報道が成された。それによると2003年春をメドに量産の可能性と記され、ブルーレイディスク用途の405nmレーザーだ。
 しかしこの報道にはベースとなる基板に関しては一言も明記されておらず、ソニー担当者も量産間近にならないと詳細は発表しないとコメント。ご存知の通り、現在市場に出ている日亜化学の青色LEDはサファイヤ基板をベースにGaNエピタキシャルを施した基板であってベストとは言えない。しかし元日亜化学工業に勤務していた中村氏のパテントを回避するのも非常に難しく、量産技術を確立したメーカーでもなかなか量産に進めない。

 今回の提携にはソニーが量産に踏み切るため、日亜化学工業からソニーへのパテント供与が必ず含まれていよう。しかし一方的なものではなく、一部クロスの形になっているのか?
 いざ量産となってもソニー単独の工場なのか、もしくは日亜化学との合弁工場なのか現段階ではわからない。また日亜と組むのだからサファイヤという事もないであろう。

 私の勝手な推測だが、ベースはGaN基板で量産立ち上げの為に問題になっているパテントの壁を突き破るために提携したと考えております。しかしそうなった場合、ソニーは日亜化学のパテントを回避することが出来なかったということになり、「優秀な技術者を多く抱える同社でさえも」と感じてしまう。しかしどの企業も新聞報道こそしないものの、業界技術は相当なレベルまで積み上がっている様子。日亜のパテントを回避する新技術がいずれ現れることでしょう。

 先般、パテント検索をしていましたらp型アニールとは違う方法のものを見つけましたが、その企業は青色量産をどうするのか楽しみです。
 いずれ主流になると思われるGaN基板はコストをどうやって下げるかがポイント。ある程度界面が凸凹でも想定通り電子が流れるエピタキシャルを施す技術はかなりアップしたと聞いておりますが、出てくる基板はどの程度のものなのでしょうか?
 良質な基板でなくとも横方向成長という技もありますし。青色技術から目が離せません。(両津)

 

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19
2002/12/17 ザイ・データブックでのわたしの投資判断(買い、強気、中立、弱気、売り)の背景
大原部長

 

 今回のデータブックへも、クレイフィンレイの山本として、わたしは100銘柄近くに投資判断している。
 前回、3ヶ月前は、1万円の大台割れ局面で、多くのアナリストがやや強気の判断に傾いていた。
 しかし、わたしは原則に厳しく従い「売り」の判断を比較的多く載せた。
 結果的にはそれでよかったわけだが、バリエーションに厳しく接する態度は今回も貫かれている。
 日経平均8000円台前半でも、割高に見える銘柄は30%以上にのぼり、そういう銘柄は容赦なく「売り」や「弱気」とした。

 今回、もっとも重視したのは、財務内容、配当利回り、株主優待、PBR、来期見通し、そしてPERのバランスである。
 買い銘柄も多く見つかった。各種指標にバランスよく支えられている銘柄のみを「強気」や「買い」にしている。
 単純に「強い企業」、「よい事業」に高いレーティングはつけていない。バリュー面を重視した投資判断にしている。
 見通しであるが、市場環境がよくなるのはまだ1−2ヶ月先と見ている。
 特に来年早々にも銀行セクターで波乱があり、「荒れる春場所」になるとみている。
 大荒れのときに、買い出動のチャンスがくるだろうが、そのときまでは、バリュー重視の判断が有効と見ている。(大原)

 

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18
2002/12/17 2002年を振り返る その3
大原部長

 

 =株式市場はグローバルな比較で成り立っている=

 企業が株主のものであり続けることができるかどうかは、株主が厳しい態度で経営者に接することが出来るかどうかにかかっている。
 コーポレート・ガバナンスがしっかりしている企業は公私混同がない。
 そして、予算に厳しい。
 従業員にすれば、タフな職場ということになる。
 従業員にタフな会社は株主にはよい会社であろう。

 われわれの眼から、もっとも効率的な企業に見えるマブチモータ(6592)は、世界からは、どうして中国に本社を移さないのかという疑問の声が絶えない。
世界で一番高いシェアを勝ち取って、中国で集中的に生産し、少ない本社人員(860人)で会社を指揮し、運営している、あのマブチでさえ、グローバルな視点でみれば、「なぜ、人件費がバカ高い日本で運営をしているのか、なぜ、税金がバカ高い日本で本社を置いているのか?」ということになる。

 日本株は外人にも開放されている。
だから、グローバルな視点で物事を考え、客観的な意見をしっかりといえる外人持ち株比率が高い企業は、そういう声に絶えずさらされている。
マネジメントのクオリティーが高いかどうかのひとつの基準は外人持ち株比率にあるのかもしれない。

 日本電産という会社を1年前、2002年の年初のチャートブック新年号に紹介した。
株主にとって、非常にありがたい企業だと思ったからだ。
 しかし、日本電産は、従業員にとっては、タフな職場に違いない。

 どうして安い給料で死ぬほど働かなければならないのか。
 仕事が合わなくてやめる人も多いと聞く。
 グローバルにみると、 韓国では5ヶ月ほど前までは土曜は平日だった。
 ヒュンダイの労働者は土曜日が休みになったため、怒ってストライキをした。
 もっと働かせろといって怒ったのだ。そして、彼らはまだ土曜に働いているのである。安い給料でも働く時間を長くすれば給料は増えるからだ。
 台湾は18ヶ月前まで土曜日に働いていた。
 世界の多くはまだ土曜日は平日である。
 (もちろん、日本の中小企業には土日もなにもあったものではない)。

 従業員にタフな企業は社長もタフだ。
 タフな交渉を成し遂げる経営者。
 タフな社長が率いる儲ける会社は技術や特許にさして注意を向けない。
 「訴えれるなら訴えてみろ」という態度で相手を威圧し、上手な交渉で難局を乗り切るのだ。難局を乗り切る交渉力こそが経営者が経営者である意義である。
 たんに管理をしているだけの経営者では、逃げの経営しかできない。

 価格交渉はタフな仕事だ。
 価格を上げるという努力を絶対にしない経営者が多すぎる。
 儲からない仕事を続けているのは、「顧客がいて、顧客に迷惑をかける」からだという。

 しかし、それでは株主が迷惑なのだ。
 上場企業は、外見上、完璧な株式会社に見える。しかし、実際は、そうではない。株主をだまして、楽をして生活をしたい人間がいっぱいいるからだ。
 泥棒は金持ちをねらう。
 本当に株主のことを考えてくれる企業かどうか、よく考えて投資してみてはどうだろうか。

 さて、今年も残り少なくなった。わたしは、今月初めから、出張でニューヨークにきている。新年まで滞在する予定だ。
 ニューヨークでは、アジアを分析しているアナリストたちと1ヶ月に及ぶ議論をすることになっている。
 チャイナスティールが配当利回りで6−7%あるときに、どうして新日鉄を買う理由があるだろうか。
 サムソンがPE7倍で取引されているときに、どうしてソニーの27倍を買う理由があるだろうか。
 わたしは日本株のアナリストとして、防戦一方の立場である。

 ここにも一人、アジアに職を奪われようとしている人間がいるのである。(大原)

 

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17
2002/12/16 キノコ産業は有望か
 ユニチカのハナビラタケ人気に見るキノコ産業への期待
炎のファンドマネージャー

 

 繊維、樹脂などの開発・販売を手掛けるユニチカの株価が先週末、大きく上昇を示した。業績的には黒字経営を続けている同社であるが多額の有利子負債を抱え、株式市場からはリスキーな株と見られていたのか、11月18日には30円という安値まで落ち込んでいた。この水準で時価総額は143億円。その後上昇傾向にはあったが、12月3日〜11日まで8日間にわたって41円という安値をつけた銘柄である。

 そのユニチカ株が先週末突然の急騰。株価50円で週末を迎えた。週明けの今日も株価は50円で変わらず。根強い人気を集めた。この結果時価総額は238億円となった。
 人気化した背景はハナビラタケの人工栽培に成功したこと。ハナビラタケは抗潰瘍活性が高いアガリクス茸の3−4倍のβ−グルカンを含有。美味であり食用に供すことができるが、これまで量産化ができず幻のキノコと言われてきた。同社では年間200トンの生産をめざし、新工場を立ち上げる予定。初年度5億円/年、5年後には50億円/年を目指す構えである。

 只のような原材料から高価な食材を作り出すという、まるで現代の錬金術のような産業がキノコ産業と言える。既に雪国まいたけ(1378)やホクト(1379)などの2銘柄が株式市場に上場され、認知されてきたが、今後も未開のキノコの人工栽培が続くことで、この産業は活気を帯びると期待される。

 世界的な問題として考えられるのが食糧危機。キノコ産業は食糧危機に答えを見出せる無限の可能性を秘めているとも考えられる。
 既にホクトが白いぶなしめじを開発し、10月から投入。各種野生キノコの人工栽培に成功しているとの話である。ホクトや雪国まいたけに続けと言わんばかりに長野や新潟ではキノコ産業が盛ん。ベンチャー企業の一つである上田市に本社を置くセレス農学ジャパンではトリュフの人工栽培に成功したとの話であり、今後の量産化に努める構えである。

 キノコ産業は既に上場した2社の成功からユニチカなど新規参入企業、ベンチャー企業などの新規参入など競争も激化するだろうが、新たな食糧資源、健康食品素材として市場ニーズに応えていきながら大いに飛躍が期待される。

 雪国まいたけ VS ホクト
売上高   230億円    373億円
経常利益 16.5億円     72億円
従業員数   933名     572名
主力製品  まいたけ     ぶなしめじ、エリンギ
株価     494円     2320円
時価総額  123億円     703億円
有利子負債 166億円      15億円

★あなたならどちらのキノコを食しますか?
★それとも新種にチャレンジするユニチカですか?(炎)

 

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16
2002/12/16 ベンチャー支援道半ば 〜炎の胸の内を明かす〜
炎のファンドマネージャー

 

 私の本業は「証券アナリスト&ファンドマネジャー」と胸を張って言いたいのだが、実はこのところセカンダリーマーケットだけではなくIPO前のベンチャー企業についてもウォッチする機会が増えた。いくらウォッチしても現実に多くの収入には繋がらないが、本業の勉強にも役立つと思い研究の意味もあって取り組み始めたと考えて頂くと幸いである。つまり、実際にほそぼそながらコンサルタント的な活動も行っている。

 有料メルマガの作成・配信は私の活動の糧となっているのだが、現実にはこの億の近道と同様にボランティアに近いものとなっている。私は両津氏や大原部長、ぢんぢ部長、駄洒落商会、生涯遊人などボランティア精神あふれる方々との交流から、この億の近道へスタート当時から参画し、少しでも証券市場の発展、多くの皆さんが少しでも株式市場の中に入って来られることを願って、日々活動を続けてきたとの思いを持っている。ある意味では私の活動こそが、ベンチャーなのかも知れない。それもまともな事業にもならないベンチャーなのかも知れない。自らが運営するベンチャー企業を家族の生活を犠牲にしてまで支援している姿を皆さんは想像できますか?決してまともではないと思われるでしょう。両津氏や大原氏など多くのスタッフは、財政事情にこと欠くベンチャー企業の経営者としての私を心配をしてくれている。

 でも私はやりたいことをやるだけ。最初から最後まで証券アナリストとしての職業をまっとうする覚悟はできている。でも家族の犠牲がいつまでも続く訳にはいかない。私にはこれまたベンチャラスな2人の子供たちがいて、日々の生活を送っている。

 さて、多くの上場企業との出会いを通じて知りえた情報は、株式投資に役立つだけではなく多くのベンチャー企業にも役立てて頂けるものと考え、取り組み始めた活動がベンチャー支援のための経営コンサルタント業である。これも相手が自分と同じような立場にあるベンチャー企業であるから法外な報酬を頂くわけにはいかず、ほとんどボランティア的な活動に留まってはいるが、そこでの一番の課題は資金調達。優れた特許を事業化するにも先立つものがないとどうしようもない。日本にはベンチャーキャピタルなるものが存在しているが、彼らはレイトステージでの投資が圧倒的。立ち上げ時に一緒に関与してくれるケースは少ない。しかも横並び。

 彼らの限界も大いに感じられる昨今であるが、最近では大手に混じって新たなベンチャーキャピタルも登場して、技術基盤のしっかりした企業への投資を行っているやに聞く。新横浜にある「TSUNAMI」もその一つ。
 ここでは大学発ベンチャーへの投資を積極的に行っているとのこと。私も近い将来、ベンチャーキャピタルのスタートに向けて目下、勉強中である。

 私のところには友好企業を通じて多くのベンチャー企業の社長が訪ねてくることが多い。それを私の有料コンテンツで紹介するケースもある。既にお会いしたベンチャー企業の社長さんの数はここ1、2年で100社近くに達しているかも知れない。これまでお目にかかった上場企業の社長さんの数には及ばないが相当な数になってきた。今後もこの数はますます増えてくるに違いない。

 将来のIPO企業を今から見出しておくのも私の重要な活動の一つと考えている。但し、ここに来ての株式市場の低迷はIPO企業にも影響しているだけではなく、まともに銀行の融資が受けられない中小ベンチャー企業の悲鳴に繋がっているとの思いがある。私の力の無さを痛感する日々の連続。お金は国民経済にとって大事な潤滑剤の役割を果たすもの。銀行や証券会社はその循環にとって極めて役割を担っている。

 銀行機能の喪失。国民の大事なお金がまともに循環しない閉塞状況を生じていることを多くの皆さんが感じているに違いないが、先日の大原部長だけではなく、私もこのところのベンチャー企業の苦しみを見ていて、このコラムで声を高らかに主張せざるを得ない。

 銀行は国民のお金を預かり、それを資金ニーズのある企業に短期的に貸し出す。企業は採算を考えその資金を短期で活用する。証券市場は長期資金ニーズの高い企業へエクイティの発行を通じて資金を提供する。中小ベンチャー企業は将来のIPOを図る条件で、株式を発行して資金調達するのが通例。このIPOの入り口が狭き門となっていることが資金循環の妨げになっている。

 つぶれるべき企業が居座り、お役所的特権に守られた大企業がわがままし放題、株主へのリターンも考えることのできないまともな経営ができない企業が野放図に活動している様は、日本経済の先行きを暗くする。

 ベンチャー=チャレンジャー。新たな世界に大いに挑戦する企業がいないと日本は良くならない。混沌とした閉塞的な状況を打破する人々がいてこそ、新たな世界が広がってくる。

 先般上場を果たした大学発ベンチャーであるアンジェスMGへの阪大の先生方からの批判が起きているそうだ。その詳細はわからないが、これとて一種のねたみがあってのものと推測する。これからも産学協同の事業が必要になってくるに違いない。証券市場はそうした世の中の流れを先取りしてIPOの道筋をつけたのであろうが、これがブームに終わってはいけない。株価のつき方がやや異常なだけに創業者はみかけ上は濡れ手に泡の状態だというのが問題なのかも知れないが、R&Dニーズの高い企業に資金供給する道筋がついたことは喜ばしい限りであるに違いない。

 私が今支援している企業にはこうした大学発ベンチャーも含まれるほか、省エネに繋がる有望商品を取り扱っている活躍期待の高い企業であるが、目の前の仕入れ資金調達ニーズに迫られているベンチャー企業、HACCPER水の事業化に努める有望ベンチャー、PCのパワーポイント上にマーカーを入れられるソフトを開発したベンチャー企業、シックハウス症候群を防ぐ天然接着剤・塗料を手掛けるベンチャー企業、IP電話のハード開発に努めるベンチャー企業、次世代型プリペイドカードの事業化を図ろうとしているベンチャー企業などなど数多い。これらにまともに資金援助をしていては私も体力がもたないのでベンチャーキャピタルや事業会社、エンジェルの力を借りることになる。これらの大半は特許を絡めた事業であり、今後ともますます目利きの能力が必要となってくるに違いない。

 幸いにも億の近道には多くの技術の造詣の深い方々が集まっており、今後、皆さんにお世話になることもあるかもしれません。いずれにしてもベンチャー支援も道半ば。2002年も残すところあとわずかになってきましたが、これからもセカンダリー市場だけではなくIPOを目指すベンチャー企業ともおつきあいしていく考えである

 日本経済の再生、復活を賭けて戦う私の活動はなおも苦難の道が続くだろうが、人との出会いを大切に、やりたいことをやれる今を大切にしていきたいと考えている。(炎)

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15
2002/12/16 株式市場の機能麻痺
炎のファンドマネージャー

 

 直接金融の仲介役割を果たすはずの証券市場の機能が麻痺してしまい、企業の一部では間接金融に頼ろうとする企業が見出せるようになった。

 今年のIPO(新規上場)銘柄の数は昨年に比べ大きく減少する見通しである。IPOしてもそれほど大きな資金調達ができる訳でもなく、上場しないで銀行からの借り入れで済ますケースも増えている。
 それでも銀行から借り入れできる企業の条件も厳しくなっており、某金融機関などは売上高が50億円以上ないと駄目だとのご託宣。せっかく成長の芽があっても、機械的に融資の条件を設定しているものだからお金が必要な企業は困ってしまう。

 株式市場は間接金融の機能が麻痺しても市場に潤沢な資金を供給できる基地的役割を果たす筈であるが、今年上場できた企業は限られていた。多少は問題があっても市場の判断に委ねられて資金を供給する機能を果たせないと株式市場は本当に機能不全に陥ってしまう。

 多くの優れた中小ベンチャー企業が私の事務所を訪ねて来られるが、彼らのズバリのソリューションは目先の資金調達。加えて事業アライアンス先である。私としては何とかして資金の調達をお手伝いしたいと考えて資金の出し手である金融機関やベンチャーキャピタルへの紹介を試みるのだが、そう簡単に資金供給ができる訳ではない。それでも最近のベンチャーキャピタルは比較的積極的に資金を出そうとしているケースが多いのが救い。結果としてうまくいくかどうかは不明であるが、理解するスピードが速まるなら彼らの存在意義は大いに高まるだろう。

 売上があっても利益がないと駄目だろうと私は考えているが、彼らの発想はまず売上。いくら黒字でも貸し出しはできないとの社内ルールがあって、実績のないベンチャーには貸し出せないとの返事。リストラで人員削減を実行しており限られたスタッフで活動していることが災いして、超多忙の中、ろくに吟味もしないで結論が出せるはずもなく、余りにそっけない返事である。

 こうしたIPO前のベンチャーへの処遇と同様にIPOを果たした企業への投資も同様に滞っているに違いない。業績展望が明るいにも関わらず市場性に乏しいJASDAQ銘柄を中心に投資ファンドを作ろうという気運が盛り上がりつつあるが、これは妥当な試みだろう。私のところにもJASDAQ上場の地方企業に足を運んで頂く機会が多いが、押しなべて業績は底堅いが市場性の問題から株価が低迷しているケースが多い。株価こそ低迷しているが高い配当利回りを背景に運用成果を高める機会は多いとの認識から、今後こうした市場性なき好パフォーマンス銘柄への投資が底流で着実に成果を上げるならかすかな希望が持てるのであるが、その解決までの道のりははるかに遠い。政策当局者のみならず、多くの投資家が株式市場の機能麻痺を重要な問題として意識し、市場に参画する意識が高まってくることを希望する。(炎)

 

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14
2002/12/16 今週の株式相場展望
炎のファンドマネージャー

 

 折角9200円台に戻ってきた日経平均が再び調整の動きを見せた地合からは、この先もなお重苦しい展開を続けるとの見方をせざるを得ない。週末の米国株式がミニトリプル安に見舞われ、NYダウ、NASDAQともに大きく売られたこともあり、ハイテク株に影響を受けやすい日経平均は週初更に下値を探るものと考えられる。
 ただ、既に日経平均は10−11月の安値水準(8200円前後)に接近しており、基本的にはこのあたりが下値目途となることには変わりがない。特に11月中旬に8日間、8300〜8500円で抵抗した格好であり、このあたりでは買いが入ってくる公算が高い。12月末までの株式相場は基本的には8300円〜9300円のボックス圏での推移が想定されるので、今週の下値模索局面で売り叩く必要はないと考えている。
 買い戻し一巡後の全体指数の調整局面を迎えている現状を念頭に、材料株中心の個別株へ目を向けて前向きに取り組む動きを見出すことができるようになったが、これはあくまで年末特有の動きと割り切って考えた方が良いだろう。
 セクター毎の動きを見ると中期的な上昇傾向を見出せる化学、非鉄、石油、自動車に加え、タンカー市況上昇でこのところ人気を集めている海運株の動向が注目される。
 ディフェンシブセクターである医薬品もボックス圏の下限に来ているので注目すべき水準と言えるだろうが、指数がボックス圏の動きを示すと考えられ、なおかつその下限ゾーンに到達している場合には、冷静に相場を見ながら慎重かつ大胆に代表的なセクター銘柄の押し目を買って、短期的な戻りのパターンを待つ作戦が有効であろう。
 各セクターによって、このところの動きはかなり異なっている点に注意が必要であり、タイミング投資と割り切れる時間的ゆとりのある賢明な投資家ならば、セクターごとの動きを十分に吟味の上に取り組む必要がありそうだ。

*このコメントは15日深夜に作成し、私の有料メルマガにて配信したものの一部を抜粋しております。
(炎)

 

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13
2002/12/13 閑中忙あり
駄洒落商会会長

 

  駄洒落商会会長です。

 前回書きました「EDLP(Everyday Low Price)」の本家、米国ウォルマートが西友の第1回新株予約権の行使を発表しました。これにより、ウォルマートは西友の株式33.4%を保有する筆頭株主となります。また、西友は520億円のキャッシュを手にして(払込みは27日)、脆弱な財務基盤を補強することが出来ます。

 ただ、気をつけていただきたいのは、今回の行使価格は270円ということ、株式数が増加することにより、西友の1株当り利益が薄まる(希薄化)などの点です。本日、西友の株価が331円(前日比18円安)で引けたことは、このあたりが原因ですね。

 今後は、ウォルマートの主導のもと、西友の費用構造改革が本格化し、文字通り「EDLP」実施へ向けた取組みが始まります。
 ウォルマートの収益構造は、「低マージン低コスト」型ですが、いわゆる粗利益率は低減傾向にあります。消費者に対し、低価格での商品提供を行い、「粗利額」を確保する戦法ですね。
 さらに、徹底的なコスト削減を実施により、販管費率は粗利益率を上回るペースで低下しています。これが、ウォルマートの利益成長を支えているわけです。

 西友における仕組み作りが注目されますが、前回も書きましたように、「日本人独特」の消費慣行に適応する形で、コスト削減が図れるかどうかがポイントですね。
 販売員が、ローラースケートに乗っているようでは(笑)、ダメなんでしょうね。

 今日はこのへんで。(駄洒落)

 

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12
2002/12/13 見学&銘柄レポート
小野小町

 

 ●イオンモール(8905)

 先日、9月19日に富山県高岡市にオープンしたイオン高岡SC(ショッピングセンター)を見学する機会がありました。今回は地方でこうした大型SCを開発・運営するディベロッパーのイオンモールを紹介致します。

【特徴】

 SCの開発・運営を専門に行う国内最大級のディベロッパー。明治44年創業の生糸を商う「岐阜繭糸」が前身。1970年にジャスコ(現イオン)が買収し、73年に「ジャスコ興産」へ商号を変更。89年からグループ内でSC開発を本格的に開始し昨年6月に「イオンモール」へ社名を変更、今7月24日に東証一部に上場した。現在全国で14のSCを運営しているが、近年はシネマコンプレックス(複合映画館)の誘致も積極的に手掛けている。
 開発の中心は自動車で30分以内の商圏人口40万人、敷地10万m2(3万坪以上)の大型SC。米国に多い2核1モール型(SCの両端に核店舗を配置する)の施設が特徴で、基本的に一方の核をジャスコ、もう一方をホームセンターや専門店等が占める。1施設当りの投資額は約100億円で、開発に3〜6年、投資回収に約20年を要する。1SC当り100以上のテナントを有するが、売上高の約10%が家賃収入として入る仕組みとなっている。

【業績】

 今中間期は既存店が好調の他、前期出店した3店舗の収益が上乗せされ2けたの増収増益を達成、通期予想を若干上方修正した(この数字には高岡SCの収益は織り込まず)。
 中期的には来期に盛岡と太田、再来期に宮崎への新規出店が決定しており05年度までに20SC体制を構築する方針。経済活性化策として地方自治体からも注目されており、市場としては日本全国で約100店舗の開発余地があるとみられる。
 経営目標として05.2期に連結売上高400億円、当期利益50億円、ROA3%以上(02.2期1.6%)を掲げているが、総資産1,507億円(02.8中間期末)を考慮し今後出店の半分はオフバランス方式で行う意向。過去の店舗は初年度から黒字を確保するなど収益は安定しているが、今後はREITやSPC等資金調達の多様化が課題。

【データ】

株価3000円(100株単位)
一株株主資本754.32円(前期)
ROA1.6%(同)
ROE14.3%(同)

【今期連結業績予想】

売上高300億円(前期比19%増)
経常利益66億円(同20%増)
EPS147.3円

【高岡SC概要】

 敷地面積128,094m2(商業施設64,534m2)、駐車台数3600台(無料)の北陸地方最大のSC。投資額137億円。核店舗にジャスコ、準核店舗として「トイザらス」やホームセンターなど大型専門店を配置。店内に吹き抜けを利用した全長200mのモールを導入し両側に約120の専門店を配置する構造。テナントにはスターバックス、タワーレコードなど人気チェーンの他、8つの大型スクリーンを有するシネマコンプレックスも導入。初年度は売上高200億円、来店客数1000万人が目標。営業時間は9:00〜22:00(一部23:00)

【見学の感想】

 地方のショッピングモールを見学したのは今回が初めてでしたが、吹き抜けを活用しているせいか室内とは思えないくらい明るく、スペースにゆとりを感じました。
 地方ではちょっと外出といっても車で1時間は当たり前で高岡、富山市内はもちろん観光客も含め金沢からも来店しています。オープン後の出足は好調で足元の売上は計画比17%増のペースで推移(ちなみに富山県は全国でも住みやすさ、持ち家率、車の保有率は全国1位、進学率はトップクラスで就業率も高く顧客層は割合裕福とのこと)。
 テナントもヤングファミリー層を意識し、衣料品、雑貨など人気の専門店が多数入っていました。私自身も田舎住まいですが、近くにこんなSCがあったら毎週行ってしまうかもと思いました。ただ平日の昼間だったせいか客足はそれほどでもなく映画館も空いていました(週末の客数は平日の1.6倍)。今後はリピート客の獲得が課題と思われます。 地方の失業率の上昇がいわれて久しいですが、この高岡SCだけで1,600人の新規雇用を創出。6月以降、富山県の求人倍率はわずかながら上昇傾向にあります。
 ただ開店までには様々な苦労があるようです。地元の有力者や商店街が反発するケースもある他、一店舗の開発で約70〜100人の地権者が絡むため交渉には時間もかかります。
 また高岡市内には他にもジャスコとサティが1店ずつあり地域、イオングループ内で食い合う部分もありそうです。余裕があればSCの周辺地域も見学したかったです。(小町)

 

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2002/12/10 2002年を振り返る その2
大原部長

 

 キーワードは日本迷走

1)肥大化した行政の非効率を是正できないことがはっきりとした2002年

インターネットやネットワーク環境が整備されつつあるのに、日本国の大規模な「バックオフィス」が効率化(縮小)されることがない。
役所の人数が劇的に少なくならない。
民間企業が間接部門を急速に効率化しているのとは対照的だ。
支出をコントロールできないだらしない国家だ。

2)税収が圧倒的に足りないことがはっきりとした2002年

税金が足りない。
圧倒的に足りない。
国家が税金を取り立てる姿勢が明確になった年だった。
日本は収入がないのに支出ばかりしているサラ金依存症国家になった。

3)グローバルなビジョンがないことがはっきりとした2002年

移民を受け入れないために、人口が減少しつつある。
人口減は経済の大敵。
それにもまして、国家には、アジアに職を奪われているという認識がない。
経済政策の基礎である他国への執拗なプレッシャーを与えることがない。
相手にフリーでシュートを打たせる弱いサッカーチームのような運営をしている。
アジアへの多大な経済支援を続け、日本国民を失業させている。

4)馴れ合いの果てにリスクがもはやコントロールできないことがはっきりとした2002年

アジアに職を奪われたために、日本人が破産し、銀行が不良債権を抱える。
銀行は余裕のある親戚にカネを借りる。
日本人からカネを借りる。
国民の監視が届かない政府や生保がどんどん銀行の優先株や劣後債を買った。
日本では株主の権利が消滅している。
結果として従業員が会社を占有しているが、事業に専念すべき株式会社も銀行の株を買い続けている。
UFJが懇願すればトヨタもそれに応じるだろう。
銀行株の継続的な買い増し。
銀行はまだまだ劣後債や優先株を大量に発行するだろう。
それを買うのは日本人である。
リターンはないが、リスクだけは国民の負担となる。
しかし、アジアへの潤沢な行政の援助は続くことになる。
日本人だけがカネと職を失い、経済は失速する。

5)為替以外に日本人を救うすべがないことがはっきりした2002年

為替が大幅に円安に行けば、アジアに奪われた職を取り戻すことができる。
しかし、アジア諸国の反発があるために実行に移せない。
日本の国富を円安誘導で激減させることでしか日本人はランニングコスト(生活費)を支払えない。

6)日本脱出がはじまった2002年

当然のことだが、国際的な企業は日本脱出して、国際市場で競争しようとする。
裕福な個人は海外に資産を移している。
金持ちは法人を外国でつくり、自らの富を守るだろう。
ノアの箱舟にのれるのは、一部の国際優良企業と裕福な金持ちだけ。
大半のサラリーマンは野垂れ死するだろう。
生活をどんどん質素にし、いまより数倍の税金を払い、銀行へ1人当たり数百万円単位でカネを寄付することになる。

 銀行の株が下がれば、日本人全体(個人、株式会社、国家)が大損をするということがわかる。追加でまたまた銀行にカネを寄付しなければならないからだ。
ほとんどの国民が毎月のように支払いを続けている生保は、聞き分けのない乱暴な営業部隊が必死でとんでもない商品を売りつけている。
売れないものを売るのが営業だ。
銀行のために生保は営業する。
生保が営業すれば国民は資産をどんどん失う。
こういうシステムは一方的な循環しかない。
売り込まれれば対応しようがない。
リスクがヘッジできない社会になっている。

 日本人はバブル崩壊をいち早く経験したが、その結果は、まだバブル後最安値の水準で株価は喘いでいる。
なんのためのバブル崩壊の経験だったのか、まったく理不尽なことだ。

 自己責任といえばそれまでだ。親戚からカネを貸してほしいといわれて、カネを貸す。
しかし、自分の身を守るためには、カネは友達にも親戚にも貸さないほうがいい。
最終的には貸したカネはもどってこない。
カネは他人(アジア)にむしりとられた。
あなたの親戚は(政府に)だまされているのだ。
政府は中小企業にもっとカネを貸せと銀行に迫る。
銀行は政府の言うとおりに日本人にカネを貸しただけだったのに。

 株主としての対策は、政府や銀行の親戚や友達には気をつけろということだろうか。
どんなによい技術や誇れるビジネスを有していても、友達に安易にカネを貸す企業は株主から徹底的に無視されるだろう。
すばらしい企業とされているトヨタとドライになった日産の株価の上昇率の差がそれを物語っている。
投資家は頼まれればすかさず政府の回し者のように世間からみられてしまう新日鉄の今井さんを反面教師にしている。
企業はいったい誰のものなのか?個人は個人だけの力で危機を打開しなければならない。

読者は、タイタニック号が沈むときに、自分だけは救命ボートに乗れるだけの準備をしているだろうか。

 先週に強烈に批判した「150分の149クラブ」を思い起こしてほしい。
世界で競うビジネスを有する東芝がどうしてこれだけの安値で放置されているのだろうか。
給料の支払いが株主の支払いの150倍に上る(=150分の149クラブ)ということで株主は会社の従業員支配いやになっている。
企業の99%は従業員の支配で、1%だけの発言権しか株主は持たない。
そういう企業の代表格である三菱重工は配当利回りが最上位になるぐらいまで売り込まれた。
彼らは政府や従業員の回し者であって、ROIのもっとも低いビジネス(銀行株)に投資する経営者だから。
「創造なき破壊者」が経営しているからである。
国家に対して「NOといえる重工」が求められている。

 2003年、運用の作戦は簡単な話となる。
 技術を日本から盗み、エンジニアを日本から盗み、カネを日本人から貰い受け、インフラを日本人につくってもらったアジア。
そのアジアをうまく活用する企業を選び、日本の銀行を親戚に持つ企業をそこから排除し、バリエーションが低く、市場から無視されている銘柄を買う。まったくそれだけのことで、運用成績のかなりは確保できるだろう。

 純粋にカネ儲けに徹する企業を買えばいい。社会的責任だとか福祉だとかいっている企業は最後には問答無用で株主を裏切るからだ。
投資とは利益率の見通しに投資するのである。
利益率が20%に達しない企業が社会的責任をまっとうしているとは思えない。
企業の社会的責務の第一はカネ儲けで株主を豊かにすることだ。国家も企業が栄えてこそ、税収が増えるということを知ってほしい。
世界中にビジネスチャンスがあるときに、どうして企業は日本にこれほどまで執着するのだろうか。

 中国語や英語がますます盛んになる。
国際税務、国際会計や国際訴訟などの個人対国家を扱う専門家が増えるだろう。
自分を救う救命具はたくさん用意したほうがいいからである。

〜プレスリリース〜 200x年xx月xx日

 本日、日立、東芝、NEC、富士通など、総合電機業態8社は、149/150クラブを設立する運びとなりましたことを発表させていただきます。
 149/150は、会社の支配実態をあらわす21世紀のキーワードです。社員への給料が株主への利益の150倍を超えているという意味です。
 わたしたち149/150クラブは、わずか1/150の持分しかない株主に対して、定期的なIR慈善活動を大胆にも行なってきましたが、本日をもって、IRの歴史的役割が終焉したことをここに宣言し、投資家との対話を全面的に停止することを誓います。
 今後は、限られた有効な資源を、149/150を占める21世紀日本の最高資源、人材へ積極投入し、企業社会主義革命を、まず、上場店頭登録企業3500社に広める活動をスタートいたします。
 この世の悪、資本主義を撲滅するために、みなさまの協力をお願いしたいと考えております。
 なお、総合電機業界は、業界の垣根を越えて、株主への利益の支払いが社員の給料支払いの150分の1以下の業界と、積極的な提携を提案させていただきます。
 また、株主へ正当な理由によって多額の純損失や特別損失を計上する勇気ある会社についても、特例として149/150クラブへの入会権利を与えるものです。
 ただし、株主への損失額の計算については、多年度中立主義はとらず、過去10年で1000億円以上の損失を計上していることが具体的な入会条件となります。
 149/150クラブへの入会は数々の特権を会員に用意しております。
●決算短信や有価証券報告書の廃止
●IR活動の永久凍結
●株主とのコンタクトに対する罰則の法制化
●株主総会の省略の法制化
●上場の廃止
●株主への年に2回の損害賠償請求訴訟の代行業務

 わたしたち、149/150クラブの存在にも関わらず、資本主義の犬である、証券会社、運用機関の証券アナリストなるものたちが、積極的に、われわれの株式を推奨している事態を早急に改善する必要を訴えます。
 わたしたちは、会社の株価が毎日動くということ事態が資本主義の嘘を如実にあらわすと考えます。株価は数年間はすくなくとも固定されるべきです。
 いくらに固定すればよいかという議論はありますが、公平な見地からは、ゼロが好ましいと考えます。株価ゼロというのがわたしたちの究極の努力目標であります。しかし、当面は、時価総額が給料支払いを同等になるように働きかけます。それにより、過大な時価総額の大半を社員へと還元できるからです。最終的には株主配当を廃止し、社員配当制度を導入し、1/1という完璧な比率を達成するために、正義の力を結集することを誓います。


 株主がいくらなにを主張しても、まったく変わらないという会社がこの世にはごろごろごろごろしている。
 よい会社は社員に1を払い、株主に1を払い、国や社会に1を払う。それで3つの円が書ける。

 しかし149/150クラブは社員に1、国にゼロ、株主はマイナス1である。(大原)

 

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2002/12/09 頑張れ!!おこしやす京都チーム
炎のファンドマネージャー

 

 大学生で編成されたおこしやす京都がスタート以来頑張ってきたが、ついに最下位に落ちてしまった。
 この相場だから仕方がないというのはよく敗者が言うセリフなのだが、確かにアマチュアとは言えここまで成績が悪いのは私の監督不行き届きかとも思い、改めて銘柄のチェックをしてみることとした。彼らのポートは以下の通り。株価は先週末の終値である。

銘柄(コード)      株価(12/05) 差異%
トヨタ自動車(7203)     3180円 + 2.25
アドバンテスト(6857)    5930円 +37.59
フジクラ(5803)        295円 +15.69
みずほHD(8305)    114000円 ▲37.36
スズケン(9987)       2970円 ▲ 8.90
日本新薬(4516)        549円 ▲ 1.96
ドウシシャ(7483)      1609円 ▲18.24
バンダイ(7967)       4280円 ▲ 5.31
ドトール(9952)       2045円 ▲ 8.71
トレンドマイクロ(4704)   2205円 ▲20.11
TOTAL               ▲33.13%

平均すれば▲4.51%だと思いますが、どうなのでしょうか?

 さて、本ポートフォリオトータルの評価はともかく、今回のバトルでは日経平均がプラスでTOPIXはマイナスとなるなど225優位の展開です。全体相場は銀行株などを中心になお不安定な動きを見せておりますが、225の上昇に寄与するような国際優良株(特にアドバンテスト)が牽引役となり下値を支えている格好です。
 このポートでは値上がり3銘柄と悪役3銘柄が綱引きの状態です。マイナス圏にはありますが、スズケンやバンダイ、ドトールなど中堅優良株を選定している点が特徴的ですが、これらはボラティリティが低いので、25日までに形勢を逆転することはかなり厳しいと言わざるを得ないのが現状です。
 一縷の望みをつなぐとすれば、20日に予定しているスズケン(9987)の会社説明会ではないでしょうか?ここでは子会社である三和化学研究所のフィダレスタット(糖尿病性神経障害治療剤)のアメリカにおける臨床試験(フェーズII)結果に関する説明会を予定しています。
 悪役を演じているみずほHD(8305)の反転底打ちは期待薄のようですが、今日あたりからはトレンドマイクロが上昇を開始しておりますのでまだまだ最後まで予断を許さないでしょう。

 頑張れおこしやす京都チーム!!皆さんもぜひとも応援願います。(炎)

 

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9
2002/12/09 社会的責任投資について
炎のファンドマネージャー

 

 私のところに一通のアンケート用紙が届いた。そこには社会的責任投資(SRI)アンケート調査と書かれてあったが、大手証券系IR会社からと見られるこのアンケートは、恐らく大勢の機関投資家のアナリストやファンドマネジャーの皆さんにも送付されたに違いない。

 このところ企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)を問う声が高まっているが、そのアンケートはそうした社会的責任への取り組みを投資基準とする社会的責任投資(SRI:Socially Responsible Investment)への調査を狙いとするものである。
 アンケート調査依頼書によれば、SRIファンドについては現在、日本国内に9種類あり、純資産額が2002年11月28日現在で約820億円であるとのこと。先行する米国では総資産総額が昨年末で約300兆円に達しており、日本においても今後の成長が見込まれているとのことだ。

 一般投資家の皆さんも単に目先の株価の上下に惑わされず、きちんとした社会的責任を果たしている企業に投資する習慣を身につけることがこれからは必要なのではないでしょうか。投資のポイントとして今後は多少気になさると意外と成果が上がる可能性もあるかも知れませんよ。

 以下にこのアンケートから抜粋した質問事項の一部を掲載しますので、皆さんも考えてみて下さい。(炎)

Q1:社会的責任投資をご存じですか?
Q2:SRIの項目の中でどれに関心がありますか?
 1.ガバナンス・アカウンタビリティ(法令遵守、情報開示等)
 2.マーケット(消費者対応、取引先対応、顧客満足、調達方針等)
 3.雇用(雇用関係、人材育成、基本的人権の保護等)
 4.社会貢献(地域社会への貢献、NGOとの協働等)
 5.環境(環境リスクの低減、環境汚染物質対策等)
 6.その他
Q3:SRIの判断材料として重視するものは何ですか?
 1.各種インデックス
 2.環境報告書
 3.サステイナビリティレポート
 4.事業報告書
 5.取材、インタビュー
 6.インターネットホームページ
 7.その他
Q4.今後、日本でSRIは普及すると思いますか?

 

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2002/12/09 炎の高配当利回りJASDAQ銘柄紹介
炎のファンドマネージャー

 

 ●イフジ産業(2924)
 時価 490円
 今期予想EPS 81.4円
 PER6.0倍
 今期予想一株配当 20.0円
 配当利回り 4.1%
 時価総額 24.8億円
 今期予想経常利益 7.33億円
 ROE 20.5%

【事業内容】

 液卵、冷凍卵の大手。業界3位であるが製パン・製菓、外食・惣菜大手への納入シェアではトップ。

【発行済み株式数】

 505万7308株

【業績動向】

 今上期の販売数量は1万7650トンと前年同期比7%増となった。鶏卵相場が4%上昇し、液卵売上が11%増となる一方、ゆで卵や茶碗蒸しなどは原料高による採算悪化や販売先の与信の問題などから販売を抑制したことから、38%減となった。この結果、全体では同5%の増収、同17%の経常増益となり、四季報の数値を下回ったが経済環境悪化の中では好調さが目についた。通期では下期の卵価弱含みを想定。前期比3%の増収、15%の経常増益を見込む。

【液卵需要の伸びが続く】

 液卵は鶏卵から卵殻を除いたものであるが割卵の手間が省け、しかも卵殻汚染による心配もなく衛生的で卵殻の廃棄問題もない。また、保管・輸送効率が高く、製品の均質化が図りやすいなどの利点からコスト削減を進める食品加工・惣菜メーカーなどでの採用が増加しており、年率5%前後の伸びが続いている。
 液卵業者は全国で2000社程度と見られるが、零細企業が多く、需要の大型化などに対応しきれず、大手集中化が続いている。大手4社で50%を占めているが、上位2社はそれぞれマヨネーズ大手の関連会社でほとんどがマヨネーズ向けに消費されており、外販メーカーとしては当社がトップにある。

【株価動向】

 昨年8月に公募価格735円でデビュー。上場後に840円の高値まであったが、その後は500円前後に低迷。安定した成長を続けている割には株価の人気は今ひとつ。同族経営の色彩があることや、市場性の問題が株価の頭を抑えてきたが、ここまで下落すると配当利回りが4%台に達し、配当狙いの買いも入る可能性が高い。

 地味な銘柄ではあるが、シェア拡大が期待できる隠れた成長企業としてマークしておきたい。
(炎)

 

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2002/12/06 ブランド力の弱い自動車企業はどこがダメなのか?
両津勘吉

 

 ●三菱自動車編

【自動車ダメ企業の特徴】

1)デザイン悪し(かつての日産)
2)内装イマイチ(現在の日産)
3)ディーラーが日曜日なのに休み?
 私の実家近くのディーラーは日曜日に店を閉めていた事がある。(三菱)
4)ディーラー営業マンがやる気なし(トヨタ以外)
 トヨタ以外のディーラーに共通しているが、車を見に行っても積極的対応しない所が多い。アンケートに答えても後で連絡して来ない。販売チャンスを逃している。
5)故障が多い(いすゞ、マツダ 最近はホンダ)
6)故障してもディーラーで直せず(トヨタ以外)
7)故障で部品がなかなか届かず
8)1台当り開発費が大きい(三菱)
9)車は良いが客に理解できない(三菱、かつての日産)
10)燃費悪い(マツダ)
11)高い(かつての日産)
12)売れないからインセンティブを積む
 (ほとんどのメーカー、但し、売れ筋でもトヨタとホンダは積む。その点は 日産がマトモ)

 今回は製造面から自動車メーカーを覗いて見よう。三菱自動車を例にとる。私は製造技術に疎いので間違っていたら後でご指摘願います。

<三菱自動車水島製作所>

 水島製作所は効率化のチャンピオンで、98年に優秀賞を受賞しているほどだ。自動化率が16%(大体こんなもん)程で、タイヤやフロントガラスは勿論のこと、ダッシュボードまでもロボットで自動装着している程である。
 プレス工場は300×100mでプレスライン11本中、4本がトランスファーマシン4000tだ。ここでは500品目を190名でこなす。
 日立造船製トランスファーマシン(No3)はタクト5.4秒、金型交換は大型クレーンを用いて5−7分で交換可能。
 乗用車溶接ラインは72台/h、溶接自動化率は100%、ロボット台数は318台である。318台の内訳は溶接270台、部品ハンドリング41台、シーリング7台。

 同社は各ロボットメーカーの得意分野を把握した構成にしており、川重、ファナック製などを使い分けている。つまり不二越、安川など1メーカーの比率を高めてライン組換え時のテーチング軽減を図るよりも、むしろセクション毎にメーカーを換えてプログラミングを実施している。非常に思考は素晴らしいと考える。

 しかしながらスポット溶接を見ているとどうも気になるところがあった。同社にはスポットで非常に強いファナック製ロボットを導入しているが、ロボット動作が遅く感じてしまう。
 日産自動車追浜の第2工場で製造しているフェアレディZとマキシマの混成ラインと比べると、その差は歴然。特にボディ下廻りでのフェアレディZの溶接打電数は非常に多く、Z、マキシマの順に流れた場合などZの約半分の時間でマキシマの溶接が終了するロボットもいる。その間、マキシマを溶接担当するロボットは止まったままの状態。しかしながらこのZやマキシマの溶接を担当するファナックの最新鋭ロボットR2000−iの動きは相当速い(日産はいまだに火の粉全開ですから廻りにいるとたくさんの火の粉が飛んできます)。このロボットを見ていると三菱自動車の溶接ラインが遅く感じてしまうわけだ。

 けれど遅い原因はファナックにある訳でも、三菱のテーチングにある訳でもなさそう。その後のトリム工程にいけば理由がわかる。
 乗用車トリム工程は850m長で140工程をこなしタクトは53台/hだ(実際の流れている時間ではない)。
 しかし良く見ると人の数が物凄い。通常、自動車メーカーのトリムラインでは流れてくる車の1台ないし2台、もしくは3台おき といった具合に人が配置されているが、三菱の場合、ほぼ全車に人が配置され、しかもほとんど2人、場所によっては3人いるところもある。
 勝手な想像だが、トリムラインでの作業効率を極限まで考慮した自動車設計が成されているのかどうかが疑問に思った。溶接ラインをフルに動かせば後のトリム工程がパンクしてしまいそう。 会社側は1分タクトを目指し頑張るといいながらも、この10年間タクトは変っていない。ホンダのラインが50秒台だが、同社に言わせると「速ければ良いという訳ではない」という。しかし1分を目指す? なんか矛盾していない???

 重い、売れず、インセンティブ 販売面で問題ある三菱自動車。ブランド力弱い背景には、製造面での問題も抱えているといえよう。(両津)

 

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6
2002/12/06 為替相場動向
生涯遊人

 

  ここにきて、クロス円の円売りがリードしながら、ドル円がじわじわとあがっている。ドル円は125円を超えたが、まだ127−128.00円という強力なレジスタンスがあるために、まだ120−125プラスマイナス2円のレンジの中のマーケットと解釈している。

 ここにきて円売りを仕掛けている主体はまだ、短期のプレーヤーか、モデル系が主体で、とくに資本移動を伴う実需の円売りが出ている感じもしない。
 JGB,日本株ともに、外国人が激しく売っているわけではなく、その意味では先週からの円売りは、まだ半信半疑の状態といえよう。

 海外のヘッジファンドや投資銀行は12月が新年度入りなので、例年12月の第2週からクリスマスをはさんで、年末年始は相場が動くことが多い。彼らが新規の仕掛けをしてくることが多いのと、クリスマス年末年始をはさんで、市場が薄くなることも関係している。
 ここから127−128円をブレークできるかどうかは、実需を含めた本格的な円売りが出てこないと無理だろう。

 いまのところ日本サイドとしての悪材料はある程度、織り込み済みだと思うので、米国が焦点になってくるのだろう。米国は昨日も、新規失業保険申請件数が355,000と約1年9ヶ月ぶりの低水準となり、経済がいったんは落ち着きをみせている。それを受けて米国株もダウが一時9000ドルまで戻し、落ち着いた状態になっている。
 ただこの先、この経済の好調が企業業績を引き上げ、さらなる株価の上昇を伴うか、あるいは、このまま来年には失速するのか、ドルの方向を占うには、まだ材料がそろってないような気がする。

 そのため、ユーロの1ユーロ=1ドルというドロー状態でマーケットが膠着しているのだろう。また、イラクの査察後の戦争の問題もいずれは注目材料となってくるだろう。 しかし当局はやはり円安方向にもっていきたいのだろう。円安方向に動いているときは、「まだ1円しか動いてない、たいしたことない」とか、「為替は市場がきめること」といったコメントが124−125円あたりでは出始めている。
 これが120円を切るレベルのときは、「マーケットに対して行動する準備がある」などと勇ましいことを述べていたことを思うと、やはり最低120円以上、できれば130円あるいは135円ぐらいまでいってくれればありがたいと思っているのではないだろうか(そのため敢えて行動はしないが)。
 中途半端な改革、減税、手詰りの経済政策をみると、為替に頼りたくなるのもわからなくはないが。

 仮に127−128円を抜けてくる場合は、ドル円は125−135円の円安方向にシフトする可能性がある。
 当局の思う壺になってしまう。(生涯)

 

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5
2002/12/03 億近3周年ポートバトルに寄せて
大原部長

 

 狙いどおり絶対水準で10%のリターンを確保。面目を保った。

 折り返し点でなかなかの好成績だが、財務リスク銘柄がいけなった。
大誤算の兼松は、踏み上げを狙いすぎて、リスクが高すぎた。
やはり山っ気を出すといけない。

 また、東北Pは、PBRでみると安いのだが、PEでは買えない水準にある。
赤字企業を選んではいけない。
赤字は罪悪だ。
赤字企業は問答無用で叩き売らなければならない。
それが市場における鉄則だ。
東北Pは、ミスキャストだったと反省している。

 足元、投信が高配当利回り銘柄を物色しているために、利回り中心でポートを組んだ成果が出ている。
ここでも、配当がでてない兼松の誤算が痛い。
東北Pは赤字で配当40円(利回り2.6%)はやってくれるだろうか?
ここでも配当が予定されていても、気が気でない。
やはり赤字企業は駄目だ。

 ポートはひとつでも足を大きく引っ張る銘柄があると負ける。
 成功することよりは、大きな失敗しないことが、バトルで勝つための条件なんだろう。

 そういう意味で、バリエーションにこだわる大切さを痛感している。
PEだけではなく、配当利回り、PBR、財務、将来性など、バランスよく個々の銘柄を選ぶ必要があろう。

 失敗しないためには、PEだけではなく、PBRの裏付けがあるとか、配当利回りの裏付けがあるとか、株価をバランスよく支えるものがなければならない。
 PBRや配当だけでも駄目で、やはりPEを基本にしながら、PBRと配当も十分に魅力的な銘柄選びをお薦めしたい。

 11月4日の段階 (実は11月1日、2−3日早めにすでに提出していた)
 オラクル(4716) 2920円
 シグマ光機(7713) 400円
 ソラン(9750) 525円
 タツタ電線(5809) 98円
 テクノクオーツ(5217) 506円
 和泉電(6652) 442円
 伯東(7433) 959円
 東北バイオニア(6827) 1500円
 兼松(8020) 100円
 三菱重工(7011) 262円

 あとは、今、わたしが一瞥して、いいなあと思っているが、調べる時間がなくて調べられない企業は、
 ●帝人 3401 とにかく指標をみてください。安い。
 ●旭化成 3407 安い。
 ●アイホン 6817
 ●東陽テクニカ 5181
 ●東京電力 9501
 ●平和 6412(それにしてもすんげー下方修正。売られれば買いチャンス??)
こんなところか。

 でも、マーケットは本当に偉い。
だって、配当利回りが高いだけでは株価は安定しない。
収益力があって、財務がよくて、そういうバランスがないとこの1ヶ月のリターンは散々なものになる。
そして、わたしのバトル銘柄でも、PEがしっかりあって、配当が高く、財務内容がすばらしい銘柄のみがすばらしいパフォーマンスを上げているからである。(大原)

 

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4
2002/12/03 シリーズ 2002年を振り返る その1
大原部長

 

 日本企業の構造的な問題点がくっきりと現れた2002年だった。

 昨年秋から、借金の多い企業を狙い撃ちにした動きが表面化。
2002年の年初は政府の空売り規制などが発令され、一時的な踏み上げ相場になった。
春先には、小泉内閣の構造改革期待や景気実態に明るさが出てきたことで、株価は持ち直した。
しかし、秋口になると、再び、米国株安と景気後退局面に遭遇し株価は低迷期に入った。
その上、内閣改造で不良債権問題を抜本解決する強硬姿勢を竹中大臣が見せると市場は動揺し、株価が100円を割れる銘柄が全市場で500近くに達するなど、日本は壊滅状態になった。

 日経平均はバブル後最安値(ザラ場8200円台)を記録した。
その後、銀行の国有化を政府が否定すると、買戻し中心に株価はようやく底打ち、9000円を回復している。

 しかし、ここからの上値は限られるという見方が一般的だ。
景気がよくないからだ。

 わたしが年初に立てた計画は以下のようなものだった。

〜ライコス掲示板 居酒屋億近 ログ480より 1月7日(抜粋)〜
「なぜアナリストは失敗するのか 失敗をしないためにどうすればよいのか」
●類似企業で高いPERを正当化する
●PSRやEBITDAの罠
●PER、PBRへの伝統回帰「現実の企業像」
●会計処理は信じられるのか
●なぜ特別損失の嵐が吹いているのか
●経営者のリスク分散論は正しかったか
●不況に対する考え方
●BS重視となる必然性
●悪い組織への転落はなぜ生じるのか「理想企業のバリエーション」
●確実性に払うプレミアム

 2002年 億近 火曜日 合計40〜50回を1年間通して見たときに、ちゃんとした書籍のようになっている美しさを備えていたいと思います


 今年については言いたいことをしっかり主張し、それにそったマーケット展開になった。

(1)投資家としての過去の失敗の原因を検証
(2)特別損失の発生のメカニズムを分析
(3)パリエーションの考え方のまとめ

 とくにグレアムから学ぶ 特別損失を学ぶことで、日本企業の構造的な問題点が明らかになり、そのような構造的な問題点のあった総合電機各社のパフォーマンスは散々だった。

 時価総額が大きいだけで、バリエーションの支えがないNECや富士通は特に悲惨な結末となった。
 11月29日現在、日経225銘柄で一番パフォーマンスが悪かったのはNECで60%も下落している。
 銘柄選びでは、徹底的に総合電機株を外すことができたため、2002年のテク・セクターの運用はこれまでで一番楽だった。
 銘柄の研究では、HOYA(7741)の事例を何回か紹介した。資産効率の高さ、従業員の生産性、経営のスピードなど、よく研ぎ澄まされた企業だ。

 「HOYA基準」で企業を見ると、駄目な企業の駄目なところがよくわかる。過去ログ649〜659「居酒屋億近」を参照。(http://club.lycos.co.jp/bbs/list.asp?cid=l0600001

 わたし個人の株式運用は、3月にスパっと日本株から完全撤退。
なんと最後の保有銘柄はみずほ銀行だった。
最後のディールで結構儲けることができた。

 そのみずほ銀行は3月に連続ストップ高を演じた。
あのころは元気だったのだ。
日経平均12000円という高値のときに株式投資から撤退した。(もちろん、3月の日本株の出来高は出来すぎだった。そして、銀行がストップ高するような相場がしばらく続くと、それが相場のピークだろう。今回も、銀行がストップ高すれば、それがピークになる可能性が高い。わたしは今月(12月)にも銀行がピークをつけるような気がしている。最大の買い手がヘッジファンドの買戻しという情けない状況ですからね)。

 その後、日本株は5月にダブルトップを形成し、その後は下落の一途をたどった。

 その後は、ご承知の通り、暴落。
 日本の抱える構造問題は、痛みなくして解決できないことを市場が理解したためだった。

 日本は増税しなければもうやっていけない。
減税の議論があるが、あれは真っ赤なウソで、今後は増税や負担増を覚悟しなければならない。

 日本の高い法人税は全く改善されない。
アジアとの戦いは終わった。
日本は負け組となった。
非効率な公共部門は温存される。
郵貯は大きな影響力を維持する。

 企業のリストラ努力が今後本格化する。
不良債権処理を断行することによって消費者心理は真っ暗になる。
借金の大きい企業は、すでに株価を防衛するすべがない。
モノいわぬ大株主である銀行は、強烈に問答無用で株価を叩き売るだろう。

 アジア企業にくらべて日本企業はバリエーションが高い。
 外人もアジアを買い、日本を売る戦略をとっている。

 そういう最悪の環境下に陥っても、通用する投資スタイルというものがある。
それが配当利回りやPBRという伝統的な投資スタイルだ。
グレアムからバフェットに通じる投資技法である。

 株が利回りで買えるようになった意味は大きい。
それもこれも、株に対する将来の過大な期待感が剥げ落ちたから、これほどのチャンスが生じているのだ。
時代と共に投資スタイルは変わる。〜つづく〜

(大原)

 

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2002/12/02 公認会計士が体験した決算説明会報告
炎のファンドマネージャー

 

 このレポートは私が懇意にしております公認会計士の資格を持った方が実際に決算説明会に出席して率直なコメントを寄せて頂いたものです。証券系のアナリストとは多少違った切り口でズバリのコメントを寄せて頂きました。ご参照下さい。(炎)

◆株式会社高速(7504:東証)
 中間決算説明会 2002年11月11日
 時価:712円
 予想連結EPS73.2円
 同PER9.7倍

 2002年9月中間期は概ね会社予想通り、M&Aによる拡大策を継続連結経営成績        

【百万円、%】
売上高
経常利益
13年9月中間期
14,635(9.0)
584( 4.0)
14年9月中間期
14,996(2.5)
575(−1.6)
14年3月期
28,572(5.7)
1,253( 9.3)
15年3月期
29,400(2.9)
1,343( 7.2)
( )は、対前年中間期(前期)増減率

 

1.厳しい景況の中、着実に業容を拡大

1)高成長と財務健全性の両立
 同社は、食品向け軽包装資材の専門商社であり、取扱い商品はトレーや弁当容器などのプラスチック容器、ラベルやシールなどの消耗品など、こういっては失礼であるが、極めてありふれたものである。また、ビジネスモデルは伝統的な問屋ビジネスであり、これといった目新しさはないように考えられる。
 このように見てくると、一般的には低収益、低成長の魅力のない企業の姿が浮かび上がってくるのが通常である。しかし同社は、純営業資本(有利子負債+株主資本−金融資産)に対する営業利益の比率が20%を超える収益性を継続的に保っているうえ、売上高も年によってばらつきはあるものの、5%以上の成長率で推移している。15年3月期は大手ユーザー向けの売上がコミッションホールセールに変更になったことにより、名目上約17億円だけ売上高が減少するため、成長率が鈍っているように見えるものの、実質的な成長率は10%近いものとなっている。
 このような売上高の増大は、主に関東地域への営業所設置とM&A戦略によってもたらされているが、これらは財務内容への負担という副作用をほとんど伴わない形で行われており、高成長と財務内容の健全性の維持が両立されている。

2)14年9月中間期の業績
 14年9月中間期の業績は、売上高は2.5%の微増収、経常利益は1.6%の微減益となった。売上高については先に述べたような特殊要因を考慮する必要がある。経常利益については前期買収した旭包装が現在も再建途上であり、上期において40百万円ほどの赤字を計上したことが主な減益要因である。売上高も経常利益も会社公表の予想値は上回っており、サプライズではない。ただ、ここ数年は売上高の成長に対し、経常利益の成長が大幅に低くなるケースが続いている。これは積極的なM&A戦略に伴い、初期において大きな費用負担が生じるということでエクスキューズできるが、再建が思うように進まないようなケースが出てくると、会社の収益性を長い間にわたって蝕む要因になりかねないのも事実である。傘下入りした会社の再建状況について、より注目してみてゆく必要があるように考えられる。

2.成長戦略の裏づけ ― 同社の財務構造に注目!

 商社は取扱高、すなわち、売上高が非常に大きいため、運転資金の外部資本依存度が高い場合には、売上高を増加させるための運転資金負担をキャッシュフローで賄うことが難しくなり、結果として成長の代償として、有利子負債の大幅な増加、すなわち、財務内容の大幅な悪化を余儀なくされることが多い。
 しかし同社の財務内容は、かつての「商社金融」という言葉に代表されるような、短い支払いユーザンスと長い受け取りユーザンスを莫大な有利子負債の借り入れで賄うといったようなものでなく、少ない資本投入で売上高の増大を図ることができる理想的なものとなっている。直接金融市場及び間接金融市場が機能不全に陥っている中でも、財務的な憂いを抱くことなく成長路線を邁進できるのは、外部資本依存度の低い財務構造があってこそということができる。運転資金と月商の関係を月間平均売上高に対する運転資金(ここでは受取手形及び売掛金+棚卸資産−支払手形及び買掛金で計算している。)の比率でみると、平成14年9月中間期末では0.3ヶ月となっており、卸売業としては異例なほど、外部資本依存度が低いことが理解できる。 有利子負債の圧縮を進めながら10%近い売上成長を実現し、かつ20%以上の配当性向を維持することができる会社は、わが国にはそう多くはない。常日頃から財務分析に携わっている者からみても、同社の財務構造は驚くに値するものであるということを再度強調しておきたい。
(参考)運転資金/月商 機械商社A   1.8ヶ月 電子機器商社B 3.3ヶ月

3.今後の見通し及び投資スタンス

 食品用軽包装資材業界では同社はガリバー的存在であり、零細または小規模な製造業者と各地に点在するユーザーを繋ぐという商社機能が未だに高い価値を持つ数少ないマーケットである。製造業者や小売業者が実力を蓄積することによって、商社機能を代替するということは、この業界ではまだ現実的なものとは思われない。特に製造業者に対しては、かなり強力な交渉力を有しており、ユーザーからの値引き要請はほとんどメーカーに転化できている模様である。
 売上債権のユーザンスは売上債権/1ヵ月あたり売上高で計算すると2.2ヶ月、仕入債務のユーザンスは仕入債務/1ヶ月あたり売上原価で計算すると2.8ヶ月となっており、売上債権のサイトよりも半月以上長くなっている。こうしてみてくると値引き要請の転嫁といい、資金繰り負担の転嫁といい、製造業者に対するプレゼンスは相当に強いものと想像される。地味な業態ながらも同社が着実に成長し、収益を獲得しつつけることができることの源泉はここにあるように思われる。
 このような背景から考えてみると、消費の低迷や金融波乱は同社の成長戦略にまたとない機会を提供しているものと捉えることができる。なぜならば、それは中小製造業者および流通業者の自陣への取り込みが容易になることを意味するからである。不景気だからといって、また金融情勢が風雲急を告げているからといって、新規投資に消極的になる理由はないように思われる。
 ただ、中期的には中小製造業者の疲弊が進み、ユーザー側の値引き要請が製造業者に転嫁しきれなくなる可能性がないとはいい切れない。その場合には、利益率の悪化が一気に進むことになるであろう。このような事態は自動車メーカーと系列部品メーカーないしは下請け会社との関係で実証済みである。コスト管理に優れた自動車メーカーは、下請け会社にどの程度のコストダウン余地があるのかさえ、正確に把握しているものである。適正利潤の獲得まで否定してしまっては、部品の安定供給が得られなくなるということを彼らはよく理解している。
 この点に関し、どのような問題意識を持っているのか、機会があれはさらに調査をしてみたいと考えている。(炎)

 

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2002/12/02 炎の注目株
炎のファンドマネージャー

 

 ●レントラックジャパン(2314)
 時価 795円
 今期予想EPS110.36円
 予想連結PER7.2倍

 カルチャーコンビニエンスクラブとの関係が深い同社を私は今年の7月の上場以来、ウォッチしてきたが、公募価格1300円に対して情けないほど下落を示してきた。どこに問題があるのか判らないが、まだまだ理解されていないためだろうと考えている。

 貸し出し回数に応じた収益分配方式をビジネスモデルをバックにレンタルビデオ業界とともに大きく成長を遂げてきた。その同社であるが、上場後の株価は冴えない。
 今期の予想連結PER7.2倍でROEは28%、今期も増収、増益基調だし、DVDの伸びで業績は順調。そのレントラックジャパンが本日、以下の重大な発表を行った。「株式会社角川書店との業務提携に基づく資本提携実施のお知らせ」 角川書店と言えば映画の製作でも有名だし、東京ウォーカーなどの雑誌でも有名。その角川とDVD制作を意図して資本提携を行ったというのだ。

 その内容をもう少し見てみると、角川の持つ映像コンテンツライブラリーをPPTシステムに乗せる目的で提携を行ったとしており、同社は既に角川の株式26万2000株を取得。角川は同社株の40万株(6.79%)を今後取得するというのだ。
 早速に同社の担当役員に取材したところ、「角川さんとは一緒にコンテンツ作りに合意しました」との明るい説明。同社の株を既に取得したのかを確認したところ、まだこれからとのこと。これだけの株数を市場で買うわけにはいかないだろうからと思いこっそり確認したところ、増田氏の株式が移動する可能性を示唆していたので、今後の商いに注目が寄せられる。

 角川グループとの関係構築で同社はCCCとの関係重視から他社との事業アライアンスを組みながらの展開を期待できることとなった。角川にはDVD化していない映像や紙媒体も豊富で今後は双方のメリットを考えた展開が大いに期待できるだろう。この出資で角川書店は第3位の大株主となる点も意外性を持たれるだろう。

 こうした発表はあったが、株価的にはまったく反応薄だが、株価水準の低さなどから考えて格好の投資タイミングだと考えられる。(炎)

 

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2002/12/02 今月の株式相場展望
炎のファンドマネージャー

 

 いつもは今週の相場展望をお伝えすることになっていますが、本日は月初ということもあって今月の株式相場を展望することと致します。

 さて、先日、日興ビーンズ証券より年末までの相場展望についてアンケートを頂いたが、これに対して私は以下のように答えておいた。

「75日線の突破によって多少、ムードは好転。但し、ここに来ての株価上昇は先物も含めてヘッジ売りの買戻しが大半と見る。買い戻し一巡後は再び頭重い展開を想定。個人は年内一杯タンス株中心に売り継続。外国人投資家が不在となるクリスマスシーズンを控え、一気の上昇は考え難い。9300円程度では目先の上値の壁が意識され、反落の公算。一旦は8800円程度までの押しも想定され、その後再び戻りを入れる可能性はあるが、9300円を抜ける確率は極めて小さい。」

 こう答えておいてまた研究をしてみた。その結果としては先週の日経平均がもしかしたら高値になるのではないかとの判断もできる。日経平均は一部の指数の上昇に寄与度の高い約5銘柄が買い上げられてのものだけに信憑性に乏しい。むしろTOPIXの動きに注目すべきではないか。有力テク二カルアナリストにも話しを聞いてみたが、その結果としては、11月19日の安値8246円を2番底として上昇を続けてきた日経平均を含めた株式相場が本格的な上昇基調になったとは断言できないとの考えを持った。テク二カル的には10月10日の安値をつける前の高値である9884円を抜けてはじめて基調が転換することになる。その前に上値サポートラインとして9458円があるので、一旦はこのラインまで上昇することはあっても、基本的には戻り売りのパターンが続くと見ている。

 年内の日経平均は25日線のレベルである8703円程度までの押し目を形成し、再度上値挑戦があっても、このあたりが限界となるものと考える。既に日経平均は一目均衡表の雲の上限を突破しているが、TOPIXはまだ実現しておらず、本当の2番底が実現しているとは断言できない。通常は1番底に対して2番底形成は約3ヶ月が必要であり、再び到来するだろう3月危機に向けては再度下値を模索する動きも想定できることに十分な注意が必要と考える。つまり、先日の10月10日で大底をつけたという点もまだ予断を許さない。来年2月頃において訪れる市場環境の悪化場面を想定すれば今買いの対象となっている銘柄が逆に悪役を演じることもありうる。

 結論から言って今月の相場は慌しい個別銘柄中心の展開となり、全体相場が一部のインデックス貢献型銘柄によって上昇するような展開は考え難い。日経JASDAQ平均に見られるような現物小型銘柄の中から個別に独歩高するものが登場して年末特有の動きをするとの期待を残しているが、目先的な動きに個人投資家が乗るかどうかはそれぞれの判断に委ねられる。出遅れ銘柄を中心に買いの対象を絞っての売買に心掛けて頂くことが肝要かと考える。

 また、全体相場の動向を踏まえて大きく上昇した銘柄については売りを念頭に入れておくと成果が上がる確率が高いだろう。セクター的には化学や鉄鋼(電炉)などの基礎資材絡みが中国向けの輸出好調から注目される。自動車はボックス圏の動きであり、高値圏に接近する場面では一旦の売りが望ましい。銀行、証券などの金融セクターはまだまだ動きが鈍いだろう。ガスなどディフェンシブな銘柄への人気も地味ながら継続しよう。

 いずれにせよ、今年も残すところ1ヶ月足らず。苦しい1年ではありましたが、冷静な目で相場を眺めつつ新たな年に向けての希望を持って臨みたいものです。皆さんもお体を大切に年末相場を乗り切って下さい。(炎)

 

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