No.
日付
タイトル
執筆者
24
2003/01/31
為替相場動向
生涯遊人
23
2003/01/28

自分で自分に値段をつけてみよう

大原部長
22
2003/01/27
ヒロとアキの何でだろう?
炎のファンドマネージャー
21
2003/01/27

株式市場雑感〜株の上げ下げと市場関係者との関係について〜

炎のファンドマネージャー
20
2003/01/27

アンジェスMG急騰の陰で見直したい意外なバイオ関連株アズワン(7476・T1)

炎のファンドマネージャー
19
2003/01/24
為替相場動向
生涯遊人
18
2003/01/24

C言語さんから要望の旭化成(3407)分析

両津勘吉
17
2003/01/24
ビール・発泡酒市場の動向
小野小町
16
2003/01/21
日本企業は明確な株主重視の姿勢を!
大原部長
15
2003/01/20
ヒロとアキの何でだろう?
炎のファンドマネージャー
14
2003/01/20
独自性の発揮で発展が期待されるグリーンシート市場
炎のファンドマネージャー
13
2003/01/20

日本のノーベル賞と意外な穴株的銘柄

炎のファンドマネージャー
12
2003/01/20

意外に強い小型株をチェックする

炎のファンドマネージャー
11
2003/01/20

1月前半の株式市場をチェックする

炎のファンドマネージャー
10
2003/01/17
為替相場動向
生涯遊人
9
2003/01/17
閑中忙あり
駄洒落商会会長
8
2003/01/10
為替相場動向
生涯遊人
7
2003/01/10
再開発本格化する2003年
小野小町
6
2003/01/07
イチオシ 渋く!ガメツク!粘り強く!
大原部長
5
2003/01/07
年初の挨拶
大原部長
4
2003/01/06
月曜新コーナー ヒロとアキの何でだろう?
炎のファンドマネージャー
3
2003/01/06
年頭のご挨拶
炎のファンドマネージャー
2
2003/01/06
株には買いもあれば売りもある
炎のファンドマネージャー
1
2003/01/06
昨年の株式相場を振り返って
炎のファンドマネージャー

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24
2003/01/31 為替相場動向
生涯遊人

 

 数年前から外資(特に米国企業)はグッドマネージメントで、日本の企業は劣っているという風潮が続いていますが、「AOL」の巨額損失には驚きました。ななんと987億$(11.6兆円)。M&A絡みの含み損の吐き出しなんでしょうが、よくぞこれだけ、含み損を隠していたもんだと思いました。

 やはりITバブル、グローバリゼーション、ニューエコノミーと行き過ぎていた部分の調整が米国でも起こっているということでしょう。

 AOLの件が氷山の一角とすれば、まだまだ米国株の調整は続き、まただからこそドル安の流れは、一時的なものではないと思います。

 直近では戦争のことに目が向いており、戦争開始とともにドル安、株安ですぐに反発がおこり、短期で戦争終了ならば、ドル高、株高という楽観的なシナリオも語られています。

 確かにマーケットは不確実性を嫌い、安全資産にマネーが向かうという傾向があり、最近の債券高はまさにそれを表しています。
 だからこそ戦争の短期終了は不確実性の終了ということなのでしょうが、はたしてそんなにうまくいくでしょうか。

 問題は米国経済のリバウンドにかかっています。
 仮に戦争が短期に終わり、経済がある程度回復しても、AOLにみられるような過去の清算はまだ続くのではないでしょうか。1990年代を通じて、日本企業が苦しんだことと同じことが、米国企業にも起こっているのではないだろうかという不安が実は、株安、ドル安の本質なのではないでしょうか。

 先週もお伝えしましたが、ドルに対して欧州通貨は買われています。特に英国ポンドの上昇が目立ち、3年ぶりに1ポンド=1.65と高値を更新しています。もともと英国は海外投資の比率が高い国ですが、年初からFTSEが大幅に下落し(9.18%)損失の穴埋めのため英国の機関投資家が、海外資産を売り国内に資金を戻している(所謂リパトリエーション)がここ最近ポンドが対ドルでも対ユーロでも上昇している原因ではないかといわれています。

 ブッシュ&ブレアーラインで鉄の同盟を誇り、対イラク戦を強力に推し進める英国ですが、本家では、不確実性を嫌い、資金が続々と自国に回帰しています。

 とりあえず戦争開始の期限といわれる2月末から3月にかけてに、ひとつの節目がくると思いますが、ドル安の継続がもっと長引く可能性も否定できません。戦争まではとりあえずドルは買えないし、問題は戦争後の期待が剥げ落ちたときドルの本格的な売りがくるのではないでしょうか。(生涯)

 

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23
2003/01/28 自分で自分に値段をつけてみよう
大原部長

 

 自分の値段が需給によって変わる。
そういうことに抵抗を感じる人も多い。
景気が悪い今、なかなかよい就職先がない。
これも、また、需給。

 自分の給料を客観的に評価するのは難しい。
大抵の場合、自分を過大評価し、他人を過小評価することになる。
しかし、それに気がつかない。

 わたしは、自分の値段には、2つの考え方があると思う。

 ひとつは、コスト。
自分と同じことができる人があと何人いるのか。
自分がやっている仕事は、数ヶ月もすれば、大体、誰でもマスターしてしまうものなのか、それとも、人が10人かかってもできないようなすばらしいパフォーマンスなのか。
日本語という参入障壁がなければ、コストは、発展途上国の給料まで下がってしまう。
実際は、それでは生活ができないし、法律で定められた最低賃金を下回るので、仕事は日本を飛び出し、中国やアジアに行ってしまう。
職が消滅するのだ。
それがブルーワーカーに起こっている。
いまは、ITの発達で、コンピュータ管理ができるようになって、本社社員などのホワイトカラーまでが、不要になってきている。
会計士や税理士の記帳や司法書士の書類作成業務なども、そのうちに、なくなってしまうだろう。
コストで自分の給料を計るのは、つらいものがある。

 給料(=代替コスト)というは、どこの国でも、なんとか贅沢をしなければ、ギリギリ暮らしていける水準に設定されている。
あれ?どうしてだろう?という疑問を持ったことのないあなたはすっごく幸せものだ。
若いうちは、独身で、コストも安い。
「世の中はきびしいゾ、こういうものだゾ」「仕事はきついのは当たり前」という「常識」を若者に教え込む。
それが社会というものだ。(ぐれて、なんでだよー、と騒ぐ若者は、実は社会がよくわかっている)

 中年になると、若者を安月給で働かせるのを正当化する仕事になる。
多くの若者を安月給で働かせる管理職は、家族を養うのにギリギリの給料に設定されている。
どの国でも、生活費=給料という具合に上手く設定されているのだ。
それが90%以上の人々の値段だ。

 もうひとつの自分の値段は、付加価値だ。
付加価値ベースの給料が当てはまるのは、世の中の10%以下の割合だろう。
しかし、その数%の人々が、ほとんどすべての付加価値を独り占めにするのだ。
もちろん、それに混じって、失敗して、大損するやつもいる。

 いったい、自分は何人の客を一生の間に呼ぶことができるのか。
自分のパフォーマンスを見たい客は何人いるのか。
客が払うカネの総額はいくらなのか。
そういう付加価値がある人とは、ビジネスを自分で組み立てることができ、主役を演じることができる人だ。

 ビジネスマンの付加価値とは、儲け話である。
具体的な儲け話の手続きを組み立てることである。
たとえば、タイ王国のGDPのわずか3%に過ぎない銀行が、株式時価総額の30%を占めているという事実がある。
へえーとやり過ごして終わる人もいれば、具体的にそのひずみから5年10年単位のカネ儲けの計画を具現化できる人もいる。
将来、中国元の切り上げが確実な情勢ならば、どうして、みんな、元を保有していないのだろうか。
(中国株なんかを買わないで、元という現金を保有すべきなのは明確なのに)
それにはいろいろな理由があるが、数々の裏道が用意されている。

 ディリバティブ取引というと、金融工学やら、ロケットサイエンスやら、難しいことを想像する人が多いかもしれない。
しかし、税法や会計基準の盲点を突くのが、新商品のコツなのである。
ディリバティブとは、税法や会計基準のズレや穴から、発展してきたということを知らない人も多い。
目の前に、一攫千金の話がある。
わたしたちは、銀行セクターの時価総額がどうなったかをしっかりと目撃してきたし、日本円が360円からどうなったかを経験してきた。
それにも関わらず、他国で同じことが起きていようが、まったくの無策である人が多い。
これは、なぜだろうか。

 自分の値段を決めるのは、ビジネスのアイデアであり、アイデアを具体化する実務の力であり、そういう力がある人を、みんなは、「おもしろい人」と形容するのであろう。
自分の値段を聞かれたら、そういうひとつひとつの確度の高い金儲け話の現在価値を算出してみたらどうだろうか。
そういう金儲け話が出てこない人は、どうしたらよいのか。

 そういう人々は、自分の生活コストを切り詰めて、生活できる分だけを給料として貰えるように健康に気をつけてがんばるしかないだろう。
イチローや松井の試合を見たいと思って、わざわざ米国まで行くファンがいるのである。
イチローのプレーをみて、カネを払って、満足、満足という人はいっぱいいる。
それがあの給料になっているわけだ。
昔のような、運命共同体は消滅した。
人々のニーズに、どう応えるかだ。

 元を安全に保有できて、海外に還流できるようなスキームを考えた人は、なにも自分のおカネだけを投資しなくてもよい。
そのスキームをビジネスにすればよい。
納得できるスキームが組めれば、それだけで、一生食っていける儲けがでる。

 自分の値段を数十億円にすることだって、夢ではないのだ。(大原)

 

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22
2003/01/27 ヒロとアキの何でだろう?
炎のファンドマネージャー

 

 ヒロ:株が上がったり下がったりするのは何でだろう?でも余り上がったり下がったりしない株もあるようだけど・・・。

アキ:将来の業績が良くなるとその株を見ている人たちが思って株を買うと上がるし、その株を持っている人たちが将来業績が悪くなると思えば下がるというのは常識的な簡単な答だけど基本的にはそうですよ。 でもでもまず普通にはそうした業績を予測するのは至難の技なのです。経済を勉強した人でも簡単には判りません。ましてや経済を勉強している大学の先生でも株の上げ下げを予測することは難しい筈です。
 将来の業績を向上させたり押し下げたりする事柄を材料と言うのです。時には需給面での話題も材料と称し、目先筋に珍重されます。
 つまりファンダメンタルズと需給に関する材料が株価の上げ下げを作り出しています。あまり上がったり下がったりしない株というのは電力株のように公共関連株、安定株といって業績が安定しているか、一部の小型株のように需給面でまとまった大株主がいて安定株の比率が高くて売り圧力が小さい場合に見られます。

ヒロ:アニメ「こちら亀有公園前派出所」のエンディングを見ていて、このコーナーを作ってもらいました。皆さんも株式についての素朴な疑問をお寄せ下さいね・・・。

(炎)

 

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21
2003/01/27 株式市場雑感〜株の上げ下げと市場関係者との関係について〜
炎のファンドマネージャー

 

 【単純ロングかヘッジファンドか】

 株式市場というのは国民共有の財産と言われています。ある事業目的のために資金調達したい企業と少しでも有利に運用したい投資家が集う場として様々な立場の企業や国民が参画することで経済の発展に寄与しているからです。
 しかしながら、企業としては株式によって長期資金を集めたいと願っている一方で、投資家には短期的な視点で株式市場に参画している方々と年金ファンドなどのように長期的視点で参画している人たちもいます。最近はヘッジファンドと言って、単に現金を株式に変えて持つというだけでなく、株式を持たないで下落のさやを抜くという運用手法を取ってパフォーマンスを得ようという方々も出てきています。
 経済発展を背景にした右肩上がりの相場が終焉して不確かな経済環境や市場環境を背景にした右肩下がりの相場が続いていることがヘッジファンドが市場で活躍する要因となっています。企業の収益が明らかに伸びないと考えられる場合は株式を売って収益水準が底入れするまでは買い戻ししないというのも確かに投資手法としては一法であります。確率から考えると多くの企業の収益が先細りの状況となっているからです。また、いくら今、順調で当面の業績が良いからと言って、ここから3年以上の先行きを安心して予測できるほど甘くはありません。

 ただ、運用手法の是非は全て運用成果に帰結しますから、これから先の成果は株価がこれからも下落し続けるかどうかによります。確かにまだまだ株式市場の先行きは暗いものがあるというのは否定できませんが、いくつかの観点からは日本株を下支えする指標も見出せるようになりました。

 国債の利回りが0.8%まで下落し1%割れの時代となる中、企業の行う配当利回りと比べると必ずしも有利ではなくなってきたからです。配当利回りの上昇に加えて、PBR(株価純資産倍率)、もちろんPER(株価収益率)などでもかつてに比べると水準は下がっており、投資家にとっては魅力的な水準となってきていることも長期的な投資チャンスが到来していると言える明らかな兆候となっています。

 今、最も国家の根幹を揺るがしている金融システムの混乱などマインドを暗くさせる市場の動向を見て、ますますヘッジファンドへのニーズは高まると主張する市場関係者もお見えです。新技術を追いかけて投資しようとする発想の方でも中にはヘッジファンドしかないと主張する方もいます。その考えが技術の先行きを熟知してのものなら、それはそれなりに傾聴に値するでしょうが、中長期的に見れば、ヘッジファンドのここからの船出も順風満帆とはいかないでしょう。(そうではないと主張する方もいるとは思います。)

 日本の株式市場はこれまで常に技術革新を背景に画期的な技術開発を背景とした企業の成長とともに発展してきたと言えるでしょう。
 そうした技術革新がこれから全く起こらないと断言できる人はどれだけいるでしょうか?
 株式市場では今、新たな技術革新を背景にした実力ある成長企業を模索しています。頭脳立国日本が進むべき道を株式市場自らが率先して示すならば、国民の共有財産としての価値は大いに増すものと思われます。そこに集う方々が目先を追うだけの浮利を求めて動くだけでは新たな発展は見込めないでしょう。

 億の近道に集う多くの投資家は企業の技術革新(ITを絡めたビジネスモデルも含む)に期待して長期投資しようという方々が多いのだろうと信じています。投資のよりどころとしての技術開発をバックグラウンドとして長期的なスタンスで株式市場を見る方がどのタイミングで本気で市場に参画して来られるのか大いに期待しております。へッジファンドのような売りの戦略を絡めた手法が優位な時代がなおも続いてはおりますが、長期スタンスでじっくりと宝を探す皆さんのような投資家が市場をリードする時にこの億の近道も使命を果たすことになるでしょう。

【株価の上げ下げと美人投票】

 株式市場には現在3千数百社の選ばれた企業が上場し、国民生活に貢献する意義ある活動をしています。上場した以上はきちんとしたディスクロージャーをその株を見ている人たち(市場関係者)にしていく義務があります。また上場予備軍が列をなし、上場に向けて準備しています。設立から3年程度で上場する企業もあるかと思えば、創業100周年を迎えて上場するようなケースもあって企業年齢も様々です。最近では設立間もない企業にも門戸を広げる動きがあって東証マザーズやヘラクレスなどの新興市場が注目されるようになりました。選ばれて上場したからと言って全ての企業が美人、美男という訳ではなく必ずしも健康体という訳でもありません。若くて元気があってばりばりと仕事をこなすバイタリティあふれる企業でも活動資金が潤沢ではない場合もありますし、たっぷりと資金や経営資源はあっても仕事に取り組む熱意もなく、非効率なやる気のない企業もあります。かつての美人、美男も今や、しわしわのおばあちゃんやおじいちゃんになってしまったのです。そこで最近は企業再生というビジネスが脚光を浴びたりしています。

 このようにこうした株式市場に関係している投資家も含めた市場関係者はそうした企業から貰ったデータを見て投資判断することになります。また、その企業の株を持っている人たちを株主と言います。株主のもとには決算期末を過ぎると黒字企業なら配当金と企業の内容を書いた報告書が送られてきます。時には株主優待制度を実施している企業からおコメなどの贈り物が送られてきます。市場関係者は企業の業績見通しだけでなく経済環境や金融環境など市場全般を取巻く環境を分析して株価の予測を行います。

 株主には長期に安定して持っている年金などの機関投資家の株主と比較的短期で売買している個人を中心にした浮動株主がいます。でも中には個人でもオーナーと同様に安定的に長期で持っているケースもあるでしょう。この億の近道には17000名の方々が集っていますが多くの方が何らかの形でどこかの株式をいくつか持っていて、業績の推移などに関心を持っておられるに違いありません。

 市場関係者には株式を短期で売買する職業的な活動をする証券会社のディーラーや年金基金などの長期資金や個人などから集めた資金を合同で運用するファンドマネジャーという職業の方々がいます。
 経済全般のことや中長期の市場動向を予測するエコノミストや戦略を考えるストラテジストなども市場関係者です。もちろん、証券会社の店頭にいる営業マンも個人投資家にアドバイスしてくれますから市場関係者の一人です。

 そして皆さんのような株式投資に興味をお持ちの方々ももちろん市場関係者の一人と言って良いでしょう。

 個別株の動向に大きな影響を与えるのが企業の業績を予測する証券アナリストと言われる職業の方々です。証券アナリストは誰にお金を貰って活動しているかと言えば、大半が証券会社や投資顧問会社などの内外の機関投資家に所属していて、リサーチ活動(企業の首脳に会って取材して投資レポートを作成するような活動)の対価を報酬として得ています。(通常は年収1000万円以上かと思います。)因みに私は全くの独立系で零細ながら個人的なリサーチ活動を家族の生活を犠牲にしてまでも行っているのです。(結果としての報酬の低さは驚異的です。ですから、欄外のコーナーにて一人でも多くの読者を募っています。)

 皆さんが大事なお金を投資する際の参考意見をどこから得るかと言えば、多くが新聞や雑誌、証券会社のリサーチレポートからとなります。もちろん、会社四季報や会社情報などの企業情報がコンパクトにまとまっている情報誌なども参考にされているでしょう。これらは通常企業から見ればIRのための有力なツールと考えられます。企業は通常自らもホームページで企業内容を開示しています。でも、それを見ただけでは株価が上がるのか下がるのかは大方が判りません。

 皆さんは時には親しい友達から情報を得ることもあるでしょうし、町の中を歩いていて売れ筋商品など見出してそのメーカーとなっている企業に投資することもあるでしょう。
 また、場合によっては工場見学や本社を訪れてから企業の首脳に会ってから納得の上で投資することもあるでしょう。しかしながら、自ら財務データや収益データなどを見るとともにしっかり将来を予測しながら投資する方は少ないのかも知れません。最近はインターネットで情報が得られるようになりましたが、遠隔地におられる皆さんは直接に企業の首脳にアクセスすることは難しいに違いありません。短期的な捉え方よりも近未来を予測して世の中の流れから有望株を見出すという手法は案外有効な方法かと考えられます。

 ところで、あの有名な経済学者ケインズ先生は株式投資のことについて美人投票論を主張しました。余りに意固地になって自分だけのアイデアで物事を考えても誰も見向きもしないのではいつまで経っても株式投資で成果を上げられるはずもありません。しからばと市場に参加する多くの方々が気に入るような銘柄を探せば成果が上がると考えた訳です。
 美人投票で見事1位となる美人に投票したら賞金が貰えるとしたら、自分の好みに拘ると誰もが気にいるだろうと思う美人には投票せずに賞金にはあずかれずに終わってしまいます。

 証券アナリストは彼らも自ら美人を見つけようと頑張っていますが、あくまでショーに参加した多くの美人の客観的な評価をしているに過ぎません。その評価データを彼らが所属している証券会社に手数料として落としてくれる機関投資家のファンドマネジャーや皆さんのような個人投資家に提供しているのです。

 ファンドマネジャーはその美人投票リストを元に1位ないし上位の栄冠に輝く美人探しを行い実際に投票する役割を担っていますが限界もあります。所属機関のために働いているサラリーマンである機関投資家のファンドマネジャーが必ずしも美人投票の能力があるのかどうかは疑い深いからです。かえって皆さんのような個人投資家の方が美人投票で1位にくる方を見分ける目を持っているのかも知れません。

 まあ、いずれにしても株式市場にはミス株式を選ぶような目で楽しみを持って参画するように致しましょう。株価に上げ下げは付き物です。あまり一喜一憂しないで、市場関係者の一員として市場の流れを十分に把握されて望むようになさることが必要かと思います。(炎)

 

 

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20
2003/01/27 アンジェスMG急騰の陰で見直したい意外なバイオ関連株アズワン(7476・T1)
炎のファンドマネージャー

 

 大阪大学発のバイオベンチャー企業としてアンジェスMG(東証マザーズ・4563)が昨年の上場以来、人気を集め急騰劇を演じている。

 その陰で意外なバイオ関連企業は全く見向きもされていない。これまで安定した業績を上げてきたカタログによる科学機器販売のアズワン(7476)である。
 私は同社とは上場来のおつきあいをしてきたが、堅実な経営を続けており、中期的な視点での種まきを経て新たな成長の芽が出てきそうな状況にあるため、皆さんには参考までに昨年末の取材をもとにレポートしておきたい。

 アンジェスMGは大阪大学の遺伝子治療薬に関係しているのだが、同社も実はこうした遺伝子治療に関連したベンチャー企業を支援。遺伝子治療と関係の深いジーンデザイン、ジェノミディアといったベンチャー企業がR&Dセンターに入居している点は見落とされている。

【株価関連データ】

 時価 1350円(1.24)
 今期予想連結EPS135.8円
 同PER9.9倍
 配当利回り1.5%
 時価総額 174億円
 今期予想連結経常利益 29.4億円
 単位株数:100株

【業績推移(連結)】

 
売上高
経常
利益
EPS
配当金
売上高
経常利益率
ROE
01.3
30617
3274
193.3
30.0
10.7%
01.9中
14282
1449
02.3
29331
2336
74.8
20.0
8.0%
02.9中
14906
1495
03.3予
30600
2940
135.8
20.0
9.6%
9.9%

【事業内容】

 カタログを使ったユニークな販売網を構築し、民間の研究所や大学など公的な研究機関、民間企業の生産現場、食品工場、病院、老人介護施設などの研究者、技術者、看護師等に対して主に消耗品を供給する事業を行っている。
 5万点にも及ぶ豊富な品揃えやクイックデリバリーサービスが特徴。1000社の生産協力企業を連携して商品調達するほか同社独自のオリジナルブランドの商品開発も行う。

【要約】

1.同社の業績は2001年3月期にピークを打って前期は上記の通りダウンしたが、今期はほぼピーク水準に回復する見通し。なお、上期の売上高は過去のピークを更新。通期も場合によっては過去のピークを更新する可能性もあるが、予算上は慎重な見方を取っている。11月も計画線上にあるもようで上記の見通しは多少ともクリアが可能だろう。

2.3.5%の販売価格ダウンはあったが、上期の連結売上高は+4.4%増となり実質的には8%増となった。販売価格低下による利益への粗利率への影響は0.5%のマイナスとなる予定だったが、実際には粗利率は0.7%アップ。実質の粗利率も1.2ポイントの改善を見た。上期の粗利率は30.8%、販売管理費も20.7%にアップしたが結果として営業利益率は横ばいとなった。通期の粗利率は30.1%と上期に比べやや低めに見込む。一方、販売管理費も20.2%と低下を見込む。

3.決算説明会の席上でこれらは営業努力の結果として社長は説明。強い企業としての足がかりができてきたことに自信をのぞかせていた。

4.特に需要が好調なのが企業研究者向けの科学機器部門。民間需要は厳しいものの、官公庁の予算化から堅調に推移している。上期は単体ベースで5.1%増となり売上構成比も59.6%となった。下期については+3%を見込み、通期では4.2%増とやや慎重な見方。

5.食品衛生に対するニーズの高まりから専用の新カタログを発刊。スタートして4年で今期は11億円の売上を見込む。この結果、サンクアスト部門の単体売上は上期7.7%増になった。通期では5.6%増を見込む。

6.病院、介護関係のナビスヘルスケアは上期0.8%増と若干の回復。7月に投入した新カタログの効果が下期に寄与するほか新商品を導入する予定で通期では3.8%増を見込む。

7.Eコマース分野の有力企業としてチャレンジを開始。今後の拡大が期待されるネットによる調達を積極的に行う方針。下期は14,5社がこれに参加予定。将来はEコマースによる売上が全体の3分の1程度まで高めていくことを狙う。こうしたEコマースに対応できる企業は数社に限られており、今後更に調達範囲を拡大させていく方針。

8.中期的にはバイオ関係に注力。4年後に20億円の売上を目指す。今年からバイオサイエンスグループで本格的に商品を育成。DNA検出ユニットや受託合成ニワトリ抗体などの試薬を既にリリースしているが、今年中に4,5点を立ち上げ来年より販売に移る予定。バイオベンチャーへも約5000万円のファンドを通じて支援を行っており、旧本社には阪大、奈良先端科学技術大学などのバイオベンチャーが集まるR&Dセンターを構築している。
(この点についての詳細は弊社の有料メルマガに掲載を予定しています。必要な方はこちらにてお申し込み下さい。)

9.海外にも展開する構えで、香港にオフィスを置き来年11月のカタログ用の低価格品を調達する拠点とする。来年にはNYにオフィスを置く予定で中国で調達した商品を海外で販売する戦略などを本格的に実行に移す予定。

10.物流機能の充実で少量多頻度のニーズに応える。研究者一人一人に届けることを狙っており、そのための低コスト化を図る構え。

11.優秀な人材の流動化が進展。人材の選択にとって同社はチャンスと見て積極的に中途採用を行っている。この結果人員は増加しているが全体的な人件費率は横ばいで推移している。

12.上場して8年を経過しており株主への還元に前向きに取組むことを検討している。

【アナリスト評価】

 今期は厳しい事業環境の中で利益率を改善し過去のピークに迫る業績改善を果たす予定でありこの点を大いに評価していきたい。バイオ関係への注力は国家予算がバイオなどの先端的な分野、特に蛋白質絡みに集中していることへの対応であるが、このあたりは今後3年程度のタームで業績貢献してくるものと大いに期待される。また、ネット調達やEコマースへの展開は諸刃の剣とは言え、大きな成長の可能性を秘めている。国内から海外へと活躍のフィールドを変えつつある点も評価の余地を残す。海外についてはリスクもあろうが、同社は基本的にはこれまで慎重でかつ堅実な企業行動しか取っておらず、グローバルな展開を行うにおいても堅実なものとなろう。消耗品ビジネスを効率的に行う高収益会社としての同社が様々な施策を通して安定成長型企業から再び高成長企業へと飛躍する時期も近いと考えられる。

 時価はPER10倍前後にあるが財務の安定性、将来性を勘案すればこの水準でじっくりと投資していくことで短期的なリターンのみならず中・長期的にも大きなリターンを得られるものと期待される。(炎)

 

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19
2003/01/24 為替相場動向
生涯遊人

 

 今週は、以前ドルの上値が重いことを確認した1週間だった。今週のドル円のレンジは高値119.15銭、安値117.65銭とわずか1円50銭のレンジだった。
 火曜日に119円台に戻り、一時は120円台を伺うかと思われたが、119円台の滞空時間は非常に短く、すぐに118円台に下落してしまい、1週間を通じて118円プラスマイナス20銭ぐらいの狭いレンジでの取引が多かった。

 ドルの先安感が市場のコンセンサスだが、ドル円に関しては動きが鈍いために、なかなかポジションが1方向に傾かないのではないだろうか。昨日、118円後半あたりでも米系投資銀行のまとまった売りがでて、外国人の日本株の買いのための円買いではないかなどという噂も出た。

 ユーロ円に関しては、堅調なユーロの上昇に支えられて、今週のレンジは高値127.24銭、安値125.65銭と2円近く上昇している。ユーロ円は2000年10月29日につけた90円からは、紆余曲折はあったもののひたすら上昇相場が続いている。特に120.00を超えたあたりから上昇が加速している。これはユーロ発足時からの下落が120.00を超えてから加速したことと方向は逆だが、同じレベルでマーケットの過熱感が出てきたことになる。
 ユーロ発足から下落を続け、90円を折り返し点に戻ってきたユーロ円は、はたして出発点の134−135円レベルまで戻るのであろうか。少なくとも130円台乗せはありそうな勢いはある。
 ユーロに関する限りは、少なくとも米国のファンダメンタルを素直に反映した相場が形成されているようだ。

 1998年から2000年までは、米国の一人勝ちでユーロ売り、ドル買いが続き、米国の株価下落、経済失速以降は、ユーロ買い、ドル売りとなり、振り返ってみるとこのレベルまで戻していたという展開になってしまった。
 いまの欧州の景気が、そんなに良くはないかもしれないが、少なくとも消去法としてのユーロ買い、あるいは米国からの資金の流出の継続が、ユーロの堅調さに裏付けられていると思う。

 昨日小売売上高が+1.1%と経済が好調な英国だが、金利の利下げ観測が一時後退したこともあり、ポンドは堅調に推移している。(生涯)

 

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18
2003/01/24 C言語さんから要望の旭化成(3407)分析
両津勘吉

 

 ●旭化成(3407)

 億近水曜版のC言語さんのテクニカル、素晴らしいですね。

 ファンダメンタルズで考えてもC言語さんのお考えの通りに推移すると考えます。旭化成に対する証券界の見方は冷ややかです。この最大の原因は経営にあるのですが、実は業績が良いらしいという話が化学アナリストの間で広まっており、株価が動意付いているようです。以下、簡単に説明いたしましょう。

 旭化成の住宅は機能的に優れており、他の住宅メーカーとは一線を画すほどの高機能と聞く。住居回りに万が一火災発生したら通常は逃げる。しかし旭化成へーベルハウスなら窓のカギをしっかり閉めて住居内で鎮火するのを待てばいいらしい(真実のほどはわかりません)。それだけ高密度、高耐熱住宅がウリのようだ。

 ところがそれだけの高機能住宅でも、庶民からのウケは今ひとつ。そこには高機能すぎてサラリーマンでは手の届き難い坪当り単価とデザイン性の問題がある。

 同社顧客の坪当たり建築単価は現在でも70−80万円と30代サラリーマンでは手が出ない。最近ではアイフルやユニバーサルの他、大手でも坪25万円程度からシリーズを提供しているが、旭化成の頑固なまで高機能に固執する姿勢は凄い。しかも窓が出っ張っていない、全体で見てもデコボコのないただの箱型の住宅は、デザイン性で魅力を感じない方が多い。つまり昔の日産の様に機能は良いがボディデザインが悪く売れないのと同じことだ。技術者の求めることと一般庶民の求めるものが異なるのは良くあること。

 建材事業は赤字状態。建材工場は6箇所を現在4箇所に。今年、松戸工場(マブチモーター、精工技研と隣合せのところ)を閉鎖しますが、黒字定着の決定打に成らず。住宅受注が10−12月二ケタプラス(8月以降プラス状況)なので来期上期の住宅建材事業の収益は心配はない模様。

 しかし住宅事業部は毎年30億円ずつコストダウンしているにも関らず、その分を品質アップに注ぎ込んでいった経緯があり、利益成長イメージ描けず。

 ケミカルは上期に水島の定修&立ち上ロス、延岡火災絡みなど特殊要因が上期にあったが、これが下期なくなる。さらに(下期は)モノマー市況がグッド。

 ANの上期単価国内外大まかな平均でキロ85円が3Qは95−100円。これはもう少し続伸しそうな気配。外販30万トンのプラス効果。
 MMAは昨年比国内15円、海外で30円ほど上昇。
 SMは上期キロ65円が3Qに国内外合わせて70−75円の間に。外販35万トン。

 一方、ポリエチレンやイオン交換膜、バッテリーセパレータは良くない。ナフサ価格は上期22650円が現在26000円超(但し、スポットベース) 実際は長期契約でこの価格がモロ効いて来るわけではないが、原料コスト増加は3月から出てくる。

 エレクトロニクスは子会社である旭化成マイクロニクスと旭化成電子が中心。
 前者がデータストレージ、ネットワーク、オーディオ、通信、水晶発信用LSIを後者は世界ナンバーワンのホール素子メーカー。
 旭化成マイクロは製造装置を中古で仕入れ固定を抑えているので有名なメーカー。しかし携帯用TCXO温度補正用LSIで国内5割のシェアを握る(ライバルは松下電子)メジャー企業だ。韓国GSMはTCXOを使うようになり同社の受注にも好影響を与えている模様。
 昨年6インチから8インチへの投資を行っており、現在稼動は92%以上。
 ホール素子は化合物半導体をどっかかから買ってきて加工処理。高級品では100%シェア。PC販売が出ないと成長せず。ポジティブなのは自動車向けにやっと出始めたことくらい。

 医薬医療では売上こそ微々たる物だが潰瘍性大腸炎治療用特殊フィルターに注目。

 酒類は焼酎をアサヒビールに売却したが、残りの富久娘をどうするか?これがなくなると年間20億円の赤字が消えることとなろう。

 要は業績が堅調で、会社が見込んでいる今期の営業利益540億円が大幅超過しそうなのだ。600億円は軽く到達し、市況次第では650億円も視野に。来期は一部のモノマーで単価下落が想定されるものがあろうが、増益路線となりそう。

 しかし旭化成は化学アナリストなら誰でも知っていることだが小型爆弾を抱えている。
 それは年金理差損。これは1年で償却するが、同社の場合、9月末の株式相場(インデックス)で180億円、現在のまま相場が推移と仮定すると3月末で200億円程度。この計上を来期にする必要が出てくる。しかも同社ではこの金額を特別損失ではなく費用として計上するため、営業利益が小さくなる。仮に来期700億円の営業利益が出ると仮定すると、200億円を差し引いて500億円、つまり減益になってしまう訳だ。こんな発表が新聞に出たらなにも知らない人は売ってしまうだろうな。

 旭化成の経営を評価できない。事業部が好き放題勝手に設備投資をしていると指摘する方もいるが、少なくとも私も同感。なぜその行為を経営陣は止められないのか。
 前述した住宅事業コスト削減だって、同社の品質はピカイチなのだから、これ以上の品質を上げたって単なるオーバースペックなだけでないの?
 利益を出そうと思えば出せる体制になっているのに、なぜかそうしない。
 管理職以下の従業員は士気が高く、労働組合も会社の体制建て直しに前向きだそうで、日本の企業からしてみれば非常に稀な部類。つまり取締役及び事業部幹部に原因がありそうだ。
 経営側は分社化による改革について言及しているが、現段階で得られる話では同社が大きな改革を実施するような感じではない。来年10月の分社化に向けて徐々に情報発信していくであろう。

 株価低迷の最大の理由は経営に対する不信任ではなかろうか。(両津)

 

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17
2003/01/24 ビール・発泡酒市場の動向
小野小町

 

 先日ビール・発泡酒市場の課税出荷数量と、各社の事業方針が発表されたので簡単にコメントさせて頂きます。

<2002年の課税出荷数量伸び率とシェア>

ビール
発泡酒
合計
シェア
サッポロ(2501)
▲12.3
▲2.5
▲8.6
14.1(▲0.9)
アサヒ(2502)
▲ 8.8
20.5
▲3.6
38.4(▲0.3)
キリン(2503)
▲14.0
21.7
▲1.5
36.2( 0.4)
サントリー(非上場)
▲ 7.6
15.4
6.6
10.5( 0.8)
市場(参考)
▲10.9
15.6
▲2.6
100.0( − )

  発泡酒は8年連続のプラスとなり、ビール・発泡酒市場における発泡酒の割合は37.2%と前年比5.9ポイント上昇。ただ2001年(42.2%増)と比較して伸び率は鈍化した。

 一方ビール市場は6年連続マイナスとなり、総市場全体では2年ぶりにマイナスに転じた。

 企業別にはサントリーのみ前年比プラスを確保。シェアはアサヒの首位が続いているが、キリンが4年ぶりにプラスに転じるなど僅かながら差を縮めている。

<2003年販売数量伸び率(計画)>

ビール
発泡酒
合計
サッポロ(2501)
▲6.1
10.2
0.4
アサヒ(2502)
▲0.9
21.3
4.1
キリン(2503)
▲4.9
6.4
0.1
サントリー(非上場)
5.3
3.7
4.2

 サントリーを除きビールは各社ともマイナス予想だが、アサヒの0.9%減はやや楽観的な印象。発泡酒はサッポロとアサヒが2けた増と強気。全体ではサッポロとキリンが若干のプラス、アサヒとサントリーが4%増とやや強気。

<2003年の発泡酒各社新製品>

発売日
商品名
発売元
ポイント
1/28
ダイエット(リニューアル)
サントリー
カロリー50%、糖質70%、プリン体50%カット
2/ 5
淡麗アルファ
キリン
独自技術でプリン体を90%カット
2/19
スパークス
アサヒ
副原料に大麦フレークを使用した軽快な味
2/19
鮮烈発泡
サッポロ
炭酸ガス圧を15%高め、刺激をアップ
3/ 5
生黒
キリン
極生の黒ビール版、後味はすっきりに
3月
生搾りハーフ&ハーブ
サッポロ
カロリー50%、糖質80%カット、オレンジピール使用
*サントリーは、この他大型新製品を計画中

 【まとめ】

 今年は5月の増税、9月の規制緩和と競争激化が予想され積極的な投資はしづらいが、あえてというなら個人的にはキリン(2503)と思う。ビールは不振だが、総合酒類メーカーとしての商品開発力やコスト削減の進捗はプラスに評価できる。

 ただ発泡酒は状況により値下げ合戦が再燃する可能性もある。注目したいのはサントリーの動向。4社の中で最も低価格路線を主導しており、足元12月の販売も4社の中で唯一プラスを確保。「純生」では期間中(3/4〜4/30)に購入すると最高1,000万円の住宅リフォームをプレゼントするキャンペーンなど大規模な販促を行う方針。

 商品別にみると発泡酒は伸び率鈍化が懸念されるためか特徴ある新製品が登場しそうだ。主に健康志向に配慮した商品と爽快感や刺激感を売り物にした商品に分かれている。

 また低アルコール飲料(アルコール度数9%未満)、中でも缶チューハイの人気が高い。キリンの「氷結果汁」は昨年、前年比3.6倍の2,229万ケースを販売しカテゴリートップブランドに成長。首位を奪われたサントリーは今年、新商品を投入しシェア奪回を狙う方針。

 その他ではノンアルコールビール(アルコール度数1%未満)の市場拡大も注目される。昨年6月の道路交通法改正の影響もあるが、ランチでの飲用や健康上の理由からも需要が増加。2002年の市場規模は58億円と前年の2倍に拡大、今年は70億円に達するともいわれる。サントリーが昨年11月に投入した「ファインブリュ」は2位以下を圧倒的に引き離し41.7%のトップシェアを獲得。新製品も相次いでおり各社のシェア争いが過熱しそうだ。(小町)

 

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2003/01/21 日本企業は明確な株主重視の姿勢を!
大原部長

 

 ●みずほファイナンシャル(8305)  ☆☆
 ●三井住友ファイナンシャル(8316) ☆☆
 ●新生銀行 (将来上場・公開予定 ☆☆☆☆

【正しいことを行うのは経営者の使命だ】

 資本主義社会は、地球に優しい。

 なぜならば、有限な資源を、もっとも効率的に有効活用できる企業に大きな期待を課すシステムだからだ。
人もカネも材料もすべて有限である以上、もっとも上手くリソースを活用できる仕組みやビジネスモデルが栄えることになる。

 無駄に資源を浪費すれば、利益率が低下し、利益がゼロになる。
そうすれば、理論株価はゼロになる。
株価ゼロならば、淘汰される。

 そういうシステムだからこそ、経済成長というものが可能になる。

 一番安いところでつくり、一番売れる売り場で売らなければ、利益がでない。

 グローバルにみれば、売価はほとんど同じである。
ところが、人件費には格段の開きがある。
高いコストをかけて、多少の付加価値をつけたぐらいでは、モノは売れない。
売れないから、企業の資産は人もモノも不良資産と化してしまう。

 日本企業の経営者は、資本主義というシステムを誤解しているようだ。
正しい資本主義の理解とは、株主重視の姿勢ということにつきる。
株主以外を重視する経営は、高コストである。
株主以外、つまり、顧客や従業員や地域社会に奉仕するのは結構なことだ。
しかし、企業は、株主のためにあるのだ。
企業は株主のものである。
それが企業をみる正しい見方である。

 株主の取り分がゼロで、顧客や従業員や国だけが得をするシステムは、そうそうに立ち行かなくなるのだ。
企業経営者が「正しい」ことを行う場合は、それは株主に直接的なメリットがある場合に限る。
株主の利益が、しいては従業員や国にもおこぼれとして、渡ることがある。
それは副次的な現象にすぎない。

銀行の基本的な役割は、資本主義経済下では、儲からない事業から資金を回収して、儲かる事業に資金を回すことにある。
銀行は、ビジネスの目利き以上のことが、求められている。
企業の生き死にを申し渡す裁判官として、銀行は、融資先に、き然とした対応をとる義務が生じている。
銀行がき然とした対応をとらないと、儲からない事業が儲からないままに拡大して、行き詰まり、追い貸しをして、さらに行き詰まるということが起こる。
これは、有限な資源が、効率の悪いビジネスに浪費されているということになり、マクロ的にみると、地球を酷使することになる。
環境問題化するのだ。
ゆえに、銀行には、企業経営を見張る番人としてチェックを正しくし、社会システムを支えるという重大な使命がある。

ところが、何でも、救済するという姿勢をこの数年見せたために、銀行は疲弊していった。
そして、疲弊した結果、株主は大きな損失を被ることになった。

【馴れ合い日本型経営は株主軽視の経営だ】

日本の銀行は、企業の救済を社会的な責任としている。
そのため、社会的な責任の重大さから、企業が債権放棄を求めてきたら、みんなで一緒に足並みをそろえて、減免を認めてきた。
「困ったときはお互い様」ということなのだ。

グローバルな競争に敗れつつある日本。
その経済が不良化するとともに、お互いに困った者同士がお互いにファイナンスをするという「たこ足」的な資本関係が未だに膨張している。
相手に爆弾を与える代わりに、自分も相手の爆弾を引き受けるという「相互破壊」の関係が、日本的経営の問題点だ。
死ぬときは道連れ。(だから、株価が下がるときは、一方方向になりやすい)。

さて、新生銀行という銀行がある。
旧長銀といった方がわかりやすいかもしれない。
いまは、八城さんが社長を務めている。
日本型経営者のように株主軽視の行動をとらなかった。
そごうの破綻のとき、政府は、銀行に債権放棄を求めたが、結果として、そごうがつぶれてしまった。
各銀行が泥をかぶる中で、新生はほとんど無傷だった。
株主のために、正しいことをしたからである。
新生は、そごうの案を飲まなかった。
そごうの再建案が生ぬるかったからだとされている。
その当初の再建案では、そごう従業員2000人を守るスキームだった。
新生は債権放棄を認めなかった。
そして回収を終え、損を免れたのだ。
その後も、下手な取引を行わなかった。
「日本再生のために」というお題目を彼は信じなかった。
政府を、官僚を信じなかった。
債務者ダイエーの再三にわたる債権放棄と金利減免の願いをガンとして聞き入れなかった。
それから、官僚や政府や銀行業界から、相手にされない銀行になった。
新生銀行は、村八分になったのである。
しかし、業界や政府から村八分にはなったが、新生は、世界の基本的な枠組みである資本主義の原則に従った。
株主からみた正義を貫き通したのだ。

 株主の権利を守るということは、生半可な精神力では、難しいということがわかってもらえるだろうか。
株主の権利を守るためには、村八分にならなければならない。
株主の権利を守るには、政府さえ、敵に回さなければならない。
社会からは、融通の利かないバカとみなされなければならない。

 政治、官僚、業界、マスコミ、御用学者からの厳しいイジメを甘受しなければならない。
(たとえば、ダイエーは新生以外の銀行への債務の返済を優先させた。これは完全なイビリである)。

 株主重視の姿勢とは、この日本国では、大変な村八分的なイジメを受けるということなのだ。
あなたが株主として保有する企業は、あなたのために、徹底して戦ってくれるだろうか?

【子どもが経営する銀行】

 みずほこども銀行は、大蔵の言うとおりにやってきた。
その結果、2年で時価総額が6分の1になった。
時価総額で7兆円も8兆円も失うことになった。
日本的慣行や大蔵の規則を守った結果、そうなった。
それはいってみれば被害者の心情に近いのかもしれない。

 わたしも銀行に勤務したことがある。
銀行は、まるで、子どもが働くような場所だった。
就業のチャイムがなり、お昼のチャイムがなり、終業のチャイムがなる。
そのベルが基本的に上司だった。
ベルが鳴れば、仕事を始めたものだ。

 子どもが働き、子どもが経営する職場では、親のいうことを聞いて、時価総額が激減しても、子どもには罪悪感などない。

 時価総額が激減して、倒産株価に突入したら、子どもは怖くなる。
死ぬのは子どもでも怖いからだ。

 あれだけ、「日本型経営」と繰り返していってきたのに、ウォール街の荒業師であるゴールド・シルバーマンに助けを請うことになった。

 三井住友「子ども」銀行は、4.5%の利回りの資本主義下であってはならない「棚から牡丹餅・最優先プレゼント株」をゴールドシルバーマンに買ってもらった。
そして、せっかく貯めた大切なお年玉をインザマネーのオプションとして知らないおじさん(スーパーヒーロー)に贈呈した。
おまけに、子ども友達も紹介することになった。
子どもには、カネの価値がわからないので、しかたないといえば、それまでだが。

もうひとつ、日本の抱える問題がある。
学力低下の問題だ。
日本には、生保という、幼児がたくさんいる。
ただ、ただ、恐ろしいばかりだ。
幼児は、何をするのかわからない。
(経済原則が効かないので、ファンドマネージャーにとってもっとも恐ろしい存在。それがセイホだ)

 優先株をインザマネー状態で発行すれば、普通なら株価は暴落する。
が、それまでに、すでに倒産株価まで落ちていた。
だから、つぶれないというだけで、銀行株は年初からみれば急反発した。(子どもは怖い)

 子どもだって、死ぬのは怖い。
死ぬよりは、知らないおじさん(サラ金)にでもしがみつきたいという気分だろう。

【新生銀行】

 一方、この2年で、新生銀行は、不良債権比率を劇的に改善させた。
インベストメントバンキング部門の収益が全体の30%を占めるにいたった。
今3月期の純益は560億円程度を予想している。
あれだけ銀行界を騒がせた繰延税金資産はほとんどない。
年金債務もほとんどない。
正しいことをしたか、しなかったかで、これだけの明暗が分かれる。
ただし、残念なことに、ビジネスの現場には、ビジネスを理解できない「日本型子ども経営者」が残ることになる。
※この話はフィクションであり、実在の銀行とは係わり合いがありません。(大原)

 

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2003/01/20 ヒロとアキの何でだろう?
炎のファンドマネージャー

 

 
ヒロ&アキ:それでは今日もエンディングテーマソングです。皆さんもご一緒にどうぞ!!
なんでだろう♪なんでだろう♪なんでだなんでだろう♪

ヒロ:どうでも良いことかも知れませんが、証券会社なのに変額保険で飯食っているのはなんでだろう??

アキ:ズバリ!!株式では食っていけないからなのです。株をいくら奨めてもまだ下がるとお客につっぱねられてビジネスにならないし、手数料もオンライン証券に比べて高いので営業マンもやる気が出てこないのです。それで手っ取り早く手数料が稼げる変額保険に流れるという訳かな・・・?!頑張れ証券マン!!亀有公園前の近くにある郵便局に預けている人たちに配当利回りの高い銘柄に投資するようにもっと勇気を持って奨めろ!!(炎)

 

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2003/01/20 独自性の発揮で発展が期待されるグリーンシート市場
炎のファンドマネージャー

 

 皆さんはグリーンシートのことをご存じでしょうか?グリーンシートとは気配公表銘柄制度のことで証券会社が適切に創業段階のベンチャー企業を含む未公開会社の資金調達ニーズに応えるとともに投資家に対して自己責任を前提とした投資機会を提供できるよう、平成9年7月に創設された制度である。

 それから今年は6年目を迎えるが、既にその銘柄数は昨年11月段階で60を超えていて、そのうちベンチャー企業群である「エマージング」銘柄がおよそ3分の2を占めている状況にある。特に昨年後半から銘柄数が急増しその存在が注目されるようになってきた。

 ディーブレイン証券や未来証券など未公開企業の取引制度に熱心な証券会社がこの制度の普及に努めているが、特に既に非公開企業の取引市場であるVIMEX市場をスタートさせたディーブレン証券には多くの企業が関心を持って相談に来ているとの話である。ただ、こうしたグリーンシート銘柄を取扱う証券会社の数がまだまだ少なく流動性に欠ける点が問題となっており、今後の更なる活性化が求められている。

 日本証券業協会ではこうした流れを受けて実務者同士の勉強会を昨年10月に発足させた。そこにはディーブレイン証券や未来証券以外にもジェット証券、泉証券、野村証券大和SBCM、三菱証券、ソフトバンクフロンティア証券、松井証券、エンゼル証券、東洋証券などの担当者が参加していて今後の制度発展に向けて検討中だとされる。

 グリーンシートに期待されているのは証券会社による投資勧誘を介在させることによる、投資家にとっての未公開有価証券の売買の仕組みの提供(流通機能)及び未公開会社にとっての資金調達の場の提供(発行機能)である。

 流通機能について、流動性を向上させるためには発行会社が一般の投資家に対して一定の浮動株を放出し、また証券取引所等が定める株主数基準や時価総額基準などを設定することが必要となるが、グリーンシート銘柄、特にエマージングに属する銘柄は発行済み株式数が少なく放出できる株式数が限られるといった限界が考えられる。また、その資金調達額も限定的で一定の株主だけの市場になる可能性も否定できない。このために短期売買には不向きであることは明白。仮にグリーンシートに投機的な資金が入り、株価変動を過激にしてしまえば、単なる投機の場になるとの危惧もある。

 予期せぬ投資家の事情を考えると適度な換金の場として流通機能の向上を果たす必要があるが、投資家保護を念頭に入れた制度整備が不可欠だろう。

 また、発行機能は未公開有価証券であっても証券会社が投資勧誘を行うことができるというグリーンシートの特徴により、未公開会社に対して独自の役割を果たすことができるものと考えられる。自らの力で資金調達できる企業もあろうが、グリーンシートを活用することで多様な投資家に対して投資勧誘を行う機会ができ、より円滑な資金調達を実現することができると考えられる。

 プライベートエクイティ市場と証券取引市場等の公開市場の間に立って補完機能を果たす役割を担うことがグリーンシートには求められている。 日本証券業協会では今後のグリーンシートの改革について、未公開有価証券への中長期的な投資を前提としつつ投資家の換金・投資ニーズに応え得る未公開有価証券の売買の場及び未公開会社がより円滑に資金調達を行える場としての機能を提供していくことを目指している。それと同時にグリーンシートで投資を行おうとする投資家に対し、未公開有価証券に投資するということはジャスダック市場や証券取引所市場の上場銘柄に投資することとは大きく違い、企業内容、情報開示、流動性、売買手法等において注意すべき点があることを従来以上に周知し、これを十分に理解した上で参加すべき性格の売買であることをより明確にすることが大切だとしている。

 皆様もこうしたことを理解して頂き、今後のグリーンシート銘柄(ベンチャー、新興成長企業を対象としたエマージング、上場廃止、登録取消企業のフェニックス、これらに当てはまらないリージョナルの3区分がある)に対して取組んで頂ければ幸いです。まだ、そうした市場や制度を知らない人も、もう知っていて取組んでいる方も今後の行方に多少でも関心を持って頂ければ幸いです。

 腐った1部銘柄よりも輝くグリーンシート銘柄に目を向ける時代はもう間もなく到来すると私もどういう企業が出てくるか大いに期待していますし、JASDAQ市場や新興市場などで時価総額10億円以下の市場から見放された企業はグリーンシートの優等生として登場しなおした方が余程良いと思うがいかがでしょうか。グリーンシートが新たな制度改革によって国民の新たなインフラとして機能することを大いに期待したいと思います。(F)

 

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2003/01/20 日本のノーベル賞と意外な穴株的銘柄
炎のファンドマネージャー

 

 昨年はノーベル賞を受賞した田中さんと小柴さんが大変な話題となった。大衆迎合主義の無知なマスコミ(バックにいる命令を出すスタッフが問題)がノーベル賞ばかり伝えてワイドショーネタにするものだから、さぞかし田中さんや小柴さんも困惑したに違いない。

 さて、その陰で日本のノーベル賞とも言うべき日本国際賞を受賞した日本人のことは話題になっていない。日本国際賞は故松下幸之助氏の肝いりで80年代に設立された国際科学技術財団が創設した賞で、国内外の研究者数名に毎年贈られている。私も10年以上も前であるが、国際科学技術財団の方々とは縁あって良く事務所を訪ねた記憶がある。その時も表彰式には天皇陛下がお見えになることなどを聞いていたので、科学者に与えられる賞としてはノーベル賞に匹敵するかなり由緒のある賞だとの認識を持っていた。

 昨年12月にこの日本国際賞の授賞者が決まったが、今年はその中に日本人が一人含まれていた。

 余り話題にはならなかったが、受賞したのは財団法人濱野生命科学研究財団小川脳機能研究所の所長である小川誠二博士である。小川博士は昨日1月19日が誕生日だったとのこと。今年で69歳となられる小川博士の功績としては磁気共鳴機能画像法の基礎原理の発見にある。

 授賞理由については以下の通り。

 小川誠二博士は、ヒトの体の生理的活動を非侵襲な視覚化技術にて測定する基本原理を発見し、広範な生命科学研究ならびに臨床医学応用への基礎を築いた。特に磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging,MRI)において、生理現象によって生じる信号変化を視覚化するBOLD(Blood Oxygenation Level Dependent)法の原理を確立した功績は大きく、ヒトの脳機能解析・臨床診断への道を拓いた。

 医学・医療の過去半世紀における飛躍的進歩のひとつは、視覚化技術・画像診断技術の開発によってもたらされた。これにより、生体臓器の正常な活動や病変によって生じた現象を眼で見ることが可能になったのである。X線CTによって生体の形態的特徴を計測する構造画像法が始まったが、ヒトのからだの生理的活動を画像化する方法、特に被験者に対してほとんど完全に無害な方法は、生体からの磁気共鳴信号中に含まれる生理活動依存的信号成分の画像化によってはじめて可能になった。今日BOLD信号と呼ばれているこの画像コントラストの原理は、1990年に、Bell研究所研究員であった小川誠二博士によって発見された。

 小川博士は、血液中のヘモグロビンが酸素との結合度によって磁気特性が変化することに着目し、生体の活動領域で血流が増加する際のデオキシヘモグロビンの相対的濃度低下をMR画像コントラストとして捕らえることが可能であることをラット実験で示し、この活動依存成分をBOLD信号と命名した。更に、BOLD信号によってヒトの脳活動の非侵襲的測定が実際に可能になることを、光刺激に対する大脳視覚野の神経反応を計測することによって実証した。

 このBOLD信号コントラストを用いた医用画像技術は、今日、磁気共鳴機能画像法(functional Magnetic Resonance Imaging,fMRI)と呼ばれて、ヒトの高次認知機能解明をめざす脳科学や心理学において正常被験者の脳活動計測の主要技術となっているのみならず、外科領域における術前診断、神経内科、精神科領域における診断、病態解明など広範な医療分野に応用されつつある。ヒトの精神活動の解明、精神疾患の予防、診断、治療は今後の人類社会に課された大きな課題であり、fMRI法の開発は人類の福祉への偉大な学術的貢献をなすものである。

 医用画像技術分野における画期的なブレークスルーを提供し、余人をもって替えがたい業績を挙げてきた小川誠二博士に本賞を授与することは、誠にふさわしい。なお、小川博士の業績はすでに世界的に広く認知されており、国際的にも数々の賞を受賞している。(以上、国際技術財団ホームページより)

 ノーベル賞を受賞した田中さんや小柴さんだけではなく日本にはまだまだ優秀な頭脳がたくさんあることを理解して頂くとともに、上場企業の中には島津や浜松フォトニクスだけではなく、こうした優秀な頭脳を駆使して開発された製品を事業化する機会を持っているところもあるのだ。

 因みに今回受賞した小川博士が所属する研究所を支援している濱野生命科学研究財団は上場企業である高砂電器産業(6423・時価810円)の会長である濱野氏が設立した財団で、同社ではこの小川博士の研究成果を医療環境製品として新たな製品群の開発に繋げていく計画である。
(炎)

 

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2003/01/20 意外に強い小型株をチェックする
炎のファンドマネージャー

 

 ここに来ての全体の株式相場がボックス圏で推移している一方でいくつかの銘柄が非常に強い動きをしていることが明らかになった。ここでは単純に最近のブル銘柄の値動きをいくつかピックアップしておきたい。これを見ると皆さんも小型株で一儲けしたいという気分になるかも知れませんよ。 だが、しかし・・・。

【JASDAQ市場】

銘柄(コード)
月日
安値
直近高値
月日
値上がり率
トネチカ(1800)
1.9
46
302
1.17
6.6倍
共栄冷(1830)
12.13
55
119
1.17
2.2倍
大成温(1904)
11.20
170
285
1.15
68%
エプコ(2311)
11.14
22
37
1.9
68%
高千穂電(2715)
11.20
870
1410
1.17
62%
テンポス(2751)
12.13
34
67.2
1.17
98%
EPS(4282)
11.20
48.5
71.5
1.17
47%
ジャストP(4287)
9.18
20.9
31.4
1.16
50%
シンプレックス(4340)
12.17
18
26.5
1.17
47%
ヒューマネジ(4778)
12.25
77.5
124
1.17
60%
東洋BE(4828)
12.25
775
1350
1.6
74%
インデックス(4835)
10.3
20.1
42
1.16
2.1倍
SES(6290)
12.25
296
570
1.17
93%
鉱研工(6297)
10.24
109
308
1.17
2.8倍
ソディックP(6401)
12.24
9.6
21.6
1.15
2.3倍
ジャルコ(6812)
11.18
216
385
1.16
78%
イリソ電子(6908)
12.16
261
540
1.16
2.1倍
ハイディ日高(7611)
11.21
440
605
1.17
38%
プレシジョンSC(7707)
1.10
16
25.3
1.17
58%
長野計器(7715)
11.21
600
990
1.17
65%
エイブル(8872)
12.19
1630
2420
1.9
48%
シノハラ建(8909)
12.19
9.3
18.2
1.6
96%
サンシティ(8910)
12.20
13.8
25
1.9
81%
インボイス(9448)
11.19
11.8
23.1
1.16
96%
イノテック(9880)
11.19
454
809
1.14
78%

【ヘラクレス・マザーズ銘柄】

銘柄(コード)
月日
安値
直近高値
月日
値上がり率
トランスジェニック(2342)
1.8
155
205
1.17
32%
IBE(2347)
12.26
14.8
23.9
1.17
61%
アンジェスMG(4563)
1.7
45
64.8
1.17
44%
ノース(6732)
12.11
33.6
51.8
1.17
54%
クボテック(7709)
11.19
6.6
20.4
1.17
3.1倍
Vテクノロジー(7717)
11.20
21.8
45.5
1.16
2.1倍
インターアクション(7725)
10.11
13.8
40
1.15
2.9倍


(炎)

 

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11
2003/01/20 1月前半の株式市場をチェックする
炎のファンドマネージャー

 

 【昨年末と17日までの株価を比較して】

 日本で6連休中に米国市場では上昇を描いていたことで日本株は年初2日間だけは米国に連れ高する格好で強含んだが、後が続かず1月10日には日経平均で8378円まで売られるなど日本の株式相場は全く元気がない。それでも17日の株価と年末を比べてみるとプラスにあることが判る。週末の米国株式市場はGEやマイクロソフト、IBMといった大手企業の業績見通しが悪化したことを嫌気して大きく下落してきたが、それでもこの間の米国株式市場は日本株をアウトパフォームしたことが判る。

【各指数の動き

日経平均 8578(12.30)
 高値 8829(1.7)
 安値 8378(1.10)
 時価8690(1.17)  高値までの値上がり率 +2.9% 時価比較 +1.3%

TOPIX   843(12.30)
 高値 870(1.7)
 安値 829(1.9)
 時価859(1.17) 高値までの値上がり率 +3.2% 時価比較 +1.9%

日経JASDAQ 991(12.30)
 高値1007(1.7)
 安値 987(1.14)
 時価1000(1.17) 高値までの値上がり率 +1.6% 時価比較 +0.9%

NYダウ 8341(12.31)
 高値 8869(1.13)
 安値 8342(1.2)
 時価 8586(1.17) 高値までの値上がり率 +6.3% 時価比較 +2.9%

NASDAQ 1335(12.31)
 高値 1467(1.13)
 安値 1336(1.2)
 時価 1376(1.17) 高値までの値上がり率 +9.9% 時価比較 +3.1%

 日本の株式市場では日経平均に寄与するハイテクセクターより問題視されてきた銀行セクターが意外にも強く、結果としてTOPIXの上昇率が日経平均を上回る結果となった。

 昨年末からここまでの動きでは海運、造船、証券、水産などのセクターがとりわけ堅調であった。

 一方で弱含んでいるセクターは石油、ゴム、小売、サービス、保険、ガスなど。自動車も年初は強含んだがここに来て調整している。

 日本株は先週末の米国株下落の影響を受けて今週初めは下落して始まることが予想されるが、そう悲観視する必要はないだろう。政策対応で景気の回復期待が背景となって米国株は年初強い動きを見せたが、この背景には年金資金が年初ということもあって市場に流入してきたことが考えられる。大手企業の業績回復期待が裏切られて週末の株価は下落に転じたが、統計データを見る限りは米国の景気は徐々に明るくなってきていることが判る。クリスマス商戦は不振だったとの見方がなされているが、PDPやDVDなど映像機器や自動車などの消費財が好調で、更に年末にかけてはこれまで極端に不振だった光関連などの通信機器にも回復の兆しが見えてきたとの指摘もある。

 日本株は米国株の動向になおも影響を受けてしまいそうだが、基本的にはボックス圏の展開が続くものと考えられる。米国の景気回復はまだ本格的とは言えないが、中国などのアジア向けの輸出が日本の景気や企業業績を下支えしている現状から、意外と底堅いまま推移するのではないかとの見方も可能である。一部に相当な弱気の意見もあるが昨年の安値を大きく下回るような動きにはならないとの見方がまだ有力であり、当面は個別株物色の動きが続くと考えられる。為替が円高傾向を続けていることに加え、米国株がやや波乱含みであることから国際優良株など値嵩ハイテク株への投資よりも小型株の方がなおも有利と考えられる。(炎)

 

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10
2003/01/17 為替相場動向
生涯遊人

 

 ドル円は久しく120.00円以下にへばりつき、そろそろこのレベルにも目が慣れてきました。前回、戻りの高値は122−123円ぐらいになるのではないか、と述べましたがここから120円まで戻るとものすごく円安に思えてきます。

 昨晩は米国の新規失業保険申請件数が、予想の39.5万人に対して、36万人と良い数字が発表されたが、結局米国株も為替も、株高、ドル高方向には反応しなかった。ここのところマーケットでは、ドル先安感が台頭してきている。

 いまのところ117−121円のレベルで推移してはいるが、121−122円のゾーンがかなり重石となってきている。最近ではドル売りのニュースには反応しやくなっており、ユーロドルも、1ユーロ=1.06台までユーロ買い、ドル売りが進んでいる。

 米国の経済および株価が短期的には、劇的に好転することが難しい現状で、仮に戦争がはじまれば、とりあえずドルはかなり暴落するのではないだろうか。このレベルからのスタートだと、110.00円近辺まで落ちるのではないだろうか。

 また3月末の本邦決算時期を控えて、外貨売り円買いのリパトリエーションの出やすい時期でもあり、当面ドル円の上値は抑えられるだろう。

 昨晩は欧州市場でハンガリーの通貨であるフォリントが対ユーロで売られた。ハンガリーは東欧諸国ではユーロ参加の第一陣として、欧州や、日本の工場が進出し、経済的にも発展し、為替の取引もかなり活発におこなわれている。マーケットでは対ユーロでの取引が主流で、2002年5月にそれまで上下2.25%の変動幅しか許されていなかったものが、上下15%と管理通貨をはなれたため、1ユーロ=267フォリントであったものが240近辺まで12%ほど切り上がった(フォリント高)。

 これはハンガリーに対して、欧州の製造業メーカーが直接投資しているとともに、8.5%という高金利に引かれて、所謂キャリートーレードという投機資金が流入していた。

 ここらへんの事情はアジア通貨危機前のアジア諸国と似ている。昨年の7月あたりから、フォリント高が1年かけて8%ほどさらに進んだが、今週ハンガリー中銀が2%金利を引き下げ通貨高を牽制し、また介入を実施したため、一気にフォリント安が進み、一晩で7%程ほぼ昨年のレベルまで戻してしまった。中進国、新興国の宿命として、通貨が切りあがるとともに、高い経済発展と外資の導入のための高金利。それを目指して足の速い投機資金なども流入するといった構図がここでもアジア同様起こったわけだ。

 ただ今回の動きは通貨危機と呼ぶようなものでなく1日の動きとしてはワイルドだが、それによってハンガリー経済がどうこうするというレベルの話ではない。(生涯)

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9
2003/01/17 閑中忙あり
駄洒落商会会長

 

 駄洒落商会会長です。読者の皆様、明けましておめでとうございます。本年も何卒宜しくお願いいたします。

 さて、年末年始の商戦は、日米ともに冴えなかったですね。国内では、雇用の悪化にともなう所得環境の悪化、消費マインドの冷え込みという環境要因が同時に作用しているようです。米国と比べ、金融ストックが分厚い国内(特に首都圏)では、「消費マインド」が消費そのものへ与える影響の度合いが強くなっています。

 某大手百貨店によれば、店頭売上高が最も連動するのは「日経平均」とのことです。高額品を扱う百貨店の商況は、ある意味では小売全体の先行指標といえます。昨年半ばから、百貨店売上高が振るわない状況からすれば、当面消費全体の回復は期待できそうもありませんね。

 昨年は、菱食(7451)、しまむら(8227)など一握りの銘柄しか、ご紹介しなかったわけですが、本年は、より個別銘柄の紹介に力を注ぐつもりでおります。

 昨年の「ひよこ」さん同様、「消費」関連の調査でお手伝いいただける方がおられましたら、ご連絡お待ちしております。(駄洒落)

 

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8
2003/01/10 為替相場動向
生涯遊人

 

 あけましておめでとうございます。
今年も、有意義な情報をお伝えしてしていきたいと思います。宜しくお願いします。

 さて毎年年末から年始にかけては、海外市場で(東京がおとそ気分で休んでいる間に)一方向にトレンドが出るのですが、今年にかけては、ドル売りのトレンドが若干進んだものの、まだ強いトレンドというわけではありません。

 毎年、日本勢はこの時期、海外勢にしてやられるのですが、今年は逆に参加しないほうが良かったのかもしれません。

 年末ドルのダウントレンドが123円を切れたあたりから始まり、120円をブレークして加速しましたが、118.30で一旦底を打ち、いまのところ118.50−121.00のレンジで推移しています。

 ユーロに関しても、1.000を抜けたあと加速したドル売りですが、1.0550で底をうち、1.0300−1.0500のレンジを形成しています。

ドルが売られている原因としては、
1、いわゆる地政学的リスク、戦争が近いという心理では、なかなか消費の拡大またドルへの投資へ積極的にはなりません。心理的な阻害要因ともなっています。
2、米国の企業業績に対する不信感
いつも挙げられるドル売りの理由ですが…。

 一昨日の海外マーケットでピムコ(最大の債券運用の投資信託)のビル・グロスが「財政赤字の拡大によりドルは下落する」と述べて、ドルが売られましたが、戦争、景気底上げのための減税、財政出動で、米国の財政赤字が拡大するのは避けられないために、このことは米国への債券投資により海外からの資金流入により支えられている、米国の財政には打撃となります。

 今回ブッシュ大統領は2004年の再選を目指して、財政出動、減税と大盤振る舞いで経済を支えようとしています。このことにより米国経済が下支えされるかどうかまだ分かりませんが、米国の財政赤字を拡大させることだけは確かです。

 このことが海外投資家にとって嫌気されドル売りが加速されてきたというところです。

 また昨日は、ドイツの12月失業率が10.4%(+0.4%)失業者406万人(+20.87万人)増加したこと、またドイツ連銀総裁のWeltekeの発言(ユーロ高は長期的に国際競争力を損なう可能性)により欧州通貨が売られました。

 また米国の新規失業保険申請者件数が389,000件と予想の394,000を下回ったこともあり、米国株、ドルともに買い戻されました。

 ドルは当面118円〜123円、1.0300〜1.0600のレンジを形成するでしょうが、ドル売りのトレンドは継続するでしょう。
 120−125円のレンジが115〜123と下方にシフトするでしょう。(生涯)

 

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7
2003/01/10 再開発本格化する2003年
小野小町

 

 新年明けましておめでとうございます。
皆様お正月はいかがお過ごしでしたか?私は来る日も食っちゃ寝状態だったため、スカートのファスナーに怯える日々を送っております。くだらないことばかり書いておりますが、本年もどうぞ宜しくお願い致します。

 さて新年初のコラムということで、今年本格化するとみられる都市再開発を取り上げたいと思います。

 昨年6月に都市再生法が施行され、民間業者も都市計画の提案が可能になり都心部で大型開発が相次いでいます。昨年最も話題を集めたのはご存知9月にオープンした東京駅前の丸ビルです。この年末年始も120万人の人が訪れ(一日当り10万人)、オープン4ヶ月売上高は120億円と早くも計画(初年度180億円)の7割を達成しています。 この他12月にオープンした大型商業施設「カレッタ汐留」も客足は好調で、電通四季劇場(海)のこけら落とし「マンマ・ミーア」は早くも9月までの公演延長が決定しました。

 さて今年最も注目を集めそうなのが4月にオープンする「六本木ヒルズ」です。森ビルが足掛け17年かけ約400人の地権者(大変そう)をまとめあげ、総事業費は2,700億円と国内最大級の開発です。目玉は54階建てのメインタワー「六本木ヒルズ森タワー」と9つのスクリーンを備え深夜営業も行うシネマコンプレックス。物販店もルイ・ヴィトン等海外ブランドが4割を占め、レストランも仏の三ツ星シェフ、ジョエル・ロプション氏の店など話題の店がオープンする予定です。一日あたりの来場者は10万人、初年度売上高400億円を目指しています。

 この他秋に東海道新幹線が開通し新駅が誕生する品川周辺も注目されます。4月にオープン予定の「グランドコモンズ」は竣工済の「インターシティ」と連結されオフィスビルやレストラン、ホテルまで備えた首都圏の新しい玄関口となる見通しです。最近はりんかい線や半蔵門線など首都圏で鉄道の延長工事が進んでおり、駅周辺開発に取り組む鉄道各社の動きも注目されます。また地方都市でも今年は札幌と北九州、2004年は大阪、2005年には名古屋と大型プロジェクトが次々と進行しています。

 開発が加速する中、懸念されているのが2003年問題です。90年代に落札された旧国鉄用地(汐留、品川、飯田橋等)で大型施設が相次ぎ竣工するため新規供給は平均的な年の3倍に拡大、空室率上昇や家賃相場の下落が懸念されています。ただ前回大量供給のあった92年と比較して供給自体は低い水準にあり徒に懸念する必要はなさそうです。とはいえ空室率は競争力のある首都圏でもITバブルの崩壊した2001年以降上昇しており、新規ビルであってもテナント獲得は容易ではありません。ただ競争力のある物件は長期的にオフィス需要を取り込むことも可能な他、家賃相場も既に低水準にあるため収入が激減ということはなさそうです。今後は立地、築年数、機能(IT化対応等)を含め物件の持つ収益力格差が鮮明になり淘汰が進むとみられます。

 昨年日本を訪れた外国人観光客は500万人を突破するなどここ数年増加傾向にあります。加えて景気浮揚効果への期待もあり再開発の勢いはしばらく続きそうです。消費不況の中でもこれら大型商業施設は連日賑わいをみせており、人の流れを促すという意味で数少ない商流の火付け役として期待したいです。

◇2003年竣工予定の主な大型開発

札幌 JRタワー 3月6日 北海道最大規模、大丸やシネコンも進出
神保町 ジェイシティ東京 3月15日 29階建て高層マンションは即日完売
飯田橋 アイガーデンエア 3月末 地上35階のガーデンエアタワーが目玉
品川 品川グランドコモンズ 4月上旬 秋には東海道新幹線開業で客数増加
北九州 リバーウォーク北九州 4月 大型モール併設、初年度集客目標1000万人
六本木 六本木ヒルズ 4月25日 規模は国内最大、初年度売上目標400億円
汐留 日本テレビタワー 4月30日 資生堂、日通等大手企業も移転予定
(小町)

 

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6
2003/01/07 イチオシ 渋く!ガメツク!粘り強く!
大原部長

 

 【経営者が株主を軽視するのは当然?】

 株主が、経営者や従業員にとって、重要なファクターとはいえない確固たる証拠があります。
売上が100あがるとすれば、もっとも優秀な企業でさえ、最終利益は5しかないという事実です。

 例えば、ある企業の売上が1000億円であれば、最終利益は50億円(純利益率5%)が精一杯という環境です。

 1000億円の売上の殆どは従業員や納入業者への経費に消えてしまいます。
1000億円の価値のうち、300億円は従業員の雇用費用と消え、200億円は設備購入費用(減価償却)と消え、300億円は業者への仕入れ代(材料費など)と消え、100億円は金利費用や光熱費などのランニングコストとなり、残った税引き利益はたった100億円が精一杯で、その半分(50億円)は政府が巻き上げるわけです。

 リスクを負った株主とリスクを追わない政府が取り分が同じという資本家奴隷制度を日本は採用しているのです。

 株主は最後の最後で50億円を手にできれば御の字という情けない状況に追いやられています。

 残りの950億円は、株主以外の重要な関係者に消えてしまいます。
実に会社の活動の95%は株主以外の関係者への支払いに消えるのです。
経営者がたった5%の取り分しかない株主にいい待遇をするはずがありません。

 そこでこういうことが起こります。
経営者は沢山の経費が自由に使えます。
その経費は、顧客への接待か社内の仲間内の夜の遊びに消えます。
顧客はよくない製品であっても接待目当てで、接待をしてくれる企業の製品を買い続けるかもしれません。
多分、顧客を1人接待するときに、接待する会社からは3人が出席するでしょう。
4人分の会食費のうち、3人は社内の仲間の交友費になるわけです。
従業員は、業者からの接待を受けます。

納入業者は価格にうるさくない企業が好きなはずです。
業者からの接待を受ければ、業者に厳しく接することができないでしょう。
そこで、設備投資も同様に、いい値で取引されることになるでしょう。

これは極めて重要な事実です。
売上の95%が業者や従業員への経費と消えるとき、業者や従業員や経営者がお互いに甘い態度をとったらどうなるでしょうか。
お互いにラブラブの3角関係になったらどうなるでしょうか。
だらしない「従業員企業」では、甘い設備投資が行われ、高めの材料購入が行われ、大目の経費がかかりということです。
経営サイド、購買サイド、営業サイドの企業私物化が始まるというわけです。

こういう会社の実態は、会計的には、どういう指標で現れるか。
他社よりも低い利益率。
他社よりも大きい固定資産額、他社よりも大きい接待費となるでしょう。
特に、特定の業者と結びつきやすい会社は要注意です。
(電力会社やNTTとの長年の付き合いがあるなど)。

投資家はどうして効率を重視すべきなのか。
ある企業の資産効率がよいか、悪いかは、投資家にとって一番重要な問題です。
効率がよい企業とは、必要なときだけ、必要なだけのモノに「安く」アクセスできるという経営です。

効率が悪い企業とは、不要な贅沢を抱え、不要なモノを「高く」保有している経営です。

効率がよい企業。
たとえば、設備投資額を本来よりも20%削減すれば、200億円かかる減価償却費が160億円で済むわけです。
たった50億円しか手元に残らない株主にとっては、この税引き前の40億円は大きなプレゼントです。

投資家は、必死で、投資金額を値切ってくれる経営を高く評価するのは必然でしょう。
松下がいかに優秀な人材をそろえていても、多くの投資家がそっぽを向く理由は、明らかです。
松下はいい顔をして、カッコをつけるでしょう。
設備投資を船井電機のように値切って値切って値切りまくることはカッコ悪くてしないはずです。

元来、男は値切るのが下手です。
男の多くは値切るのがかっこ悪い。
高く買ってやりたいと逆に考えてしまいます。
業者からすれば高く買ってくれる購買が一番いいはずで、接待の対象になるでしょう。

1人でできることを2人でしている企業は、従業員にとっては天国です。
従業員にとって、自分がいつも張り詰めた持ち場で奮闘しなければならないのは悲惨です。
従業員に支払われる300億円を150億円で仕上げてくれるような企業がいれば、投資家はよろこんでプレミアムを払うかもしれません。
たった50億円しか手元に残らない投資家にとって、150億円余計の税引き前利益をプレゼントしてくれる経営者なんて、まったくもって信じがたいからです。
神様のような経営者です。

よい技術、よいパテント、頭のよい従業員、一流の人材、研究所、政府からの援助、投資の判断にすべきものは、いろいろあっても、本当に投資にとって重要なファクターとは何か、もう一度、はっきりさせる必要があります。
それは案外、簡単なところに見えるはずです。

〜株主にとってよい企業の2つの特徴〜

●必死で値切る企業かどうか:設備投資をガンガン値切って、シブチンと言われている。製造装置メーカの営業マンに評判が悪い⇒いい企業です

●必死で働く企業かどうか:残業が多く、手当てが少ない。結婚したくても、安月給で結婚できない男性従業員ばかり⇒いい企業です

この2点がもっとも重要なファクターです。そして、この2つのファクターは、結果として、はっきり現れるのです。
⇒他社よりも高い利益率=他社よりも高い効率。そして、高い効率を達成した企業は、多くの自由な選択肢が残されている。

リアル・オプションの概念を少しご説明します。
簡単な例ですが、従業員への経営者の態度やコミットメントを考えて見ます。

〜イチオシ銘柄〜

 よい企業の☆☆☆☆ マブチモーター(6592)

買いゾーン 1万円割れ 
目標株価1万2000円
リスク:中国元の切り上げが国際政治の話題なる可能性も

 マブチモーターは、従業員の殆どが中国での雇用です。
雇用期間は基本的に3ヶ月です。
3ヶ月ごとの雇用契約になると、元来固定費と考えられている労務費は変動費となります。

 需要動向を見ながら雇用者数を柔軟に決定できるオプションを経営が保有していることになります。

 そういうオプションがあるマブチは、売上変動を雇用者の変動で対応できるため、業績変動のリスクも少なくなるのです。

 一方で、松下(6752)はどうでしょうか。
モーター大手としての松下の技術的な実力は他を圧倒するかもしれません。

 しかし、松下には、10万人を超える国内雇用があり、それを3ヶ月ごとに需要にあわせて変動させるという芸当はできません。

 その結果、コスト削減をするためには、多額の費用が前倒しでかかるという実に奇怪なことが起こってしまいます。

 たとえば、需要減にあわせて2万人の人員を削減するためには、平均年収の1年以上を特別退職金として株主の資本から負担することになります。

 これは金額にして2000億円程度です。そのリスクがあるために、松下はPBRが1倍を下回っているのかもしれません。

 労働組合との話し合いで、松下の各カンパニーの給料に差をつけるかもしれないとの報道があった。
「え?差がいままでなかったの!?」と多くの投資家は思ったことだろう。
それに引き換えマブチ?比較的安定した業績を達成できる「仕組み」を備えています。
もちろん、需要の減少に伴いEPSは減ってしまいますが、赤字になるはずがない。
爆弾を抱えていないわけです。
資産内容についても、同様に、オプションの議論が成り立ちます。
殆ど、償却の終わったようなラインで生産しているマブチには、固定資産が小さい。
中国よりもいい生産拠点があれば、ラインの移転は比較的容易でしょう。
もっとも効率的な生産拠点があれば、いつでもそこに移れる「自由な旅人」と定義してもいいでしょう。

大きな投資を毎年のようにしている松下には、拠点を移動する自由がありません。
莫大な固定資産が世界中に点在しているからです。
松下は比較的保守的な会計をしているために、会計上のリスクはさほどありません。
しかし、大きな資産を保有していれば、減損会計などの新会計基準の影響を受けないわけにはいきません。

人が多く、資産が多い企業が、爆弾を抱えている可能性が高いことは、確率論からも明らかです。
投資家にとって、もっとも危険なネガティブ・サプライズの温床は、非効率な資産と非効率な生産性の両面から論じられるのです。
リアル・オプションを沢山有する企業は、よい企業であり、それだけの価値で取引されるべきでしょう。

そういうバリエーションの説明を、わかりやすく、定量的に、できるアナリストの存在がこれから重要になってくると思われます。
本社ビルを保有しないで、設備投資も他社にやらせて、雇用もろくにしないで、しっかりと儲けている企業が沢山存在します。
その多くは、社長自らがオーナーであり、株主であるということが多い。

なんといっても、シブイのがいい。
シブく、がめつい企業に投資しないと投資は結果がでません。
いつの世も、「カッコつけ」は駄目です。

わたしが厳しく接しているのは、主に大企業の諸君に対してです。
普通に生活して、普通に資材を購入して、ありきたりのままに、販売して、気楽にビジネスをして、成功するでしょうか?
(独立している人は、サラリーマンの何十倍と大変でしょう)。

先日に述べたように、日本にある企業200万社のうちの、上場企業3000社のうちの、さらにその頂点に君臨する200社をわたしは調査対象にしているわけです。
その日本(世界)に君臨する200社の企業がだらしないことに腹を立てているわけです。

なんだか、大企業の諸君は、自分達は選ばれた頭のいいエリートのような面をしていますが、やっていることは原始的な利ざや稼ぎだったりする。
(「おいしい」ビジネスをハイエナのように探している。そんなもんあるか!)

大企業の社員は、競争を避けて、利益が上がるところを探そうとするが、そんなもんあるかといいたい。
かっこつけて、戦略論を書けば、何十枚もレポートを書けるだろうが、大企業の戦略論は、まったく価値のない場合が多すぎます。
競争を避け、シェアを上げ、利益を確保し、特許で守るなど。

おかしすぎる。
大企業の描く、形而上学的な戦略は、ファンドマネージャーにとっては「お笑い」ものである。
同様に経営コンサルの描く戦略論はちゃんちゃらおかしい。
挨拶や礼儀作法の問題を、コンサルは、たいそうな戦略論に仕上げる。
こっけいだ。

そうではなく、単に、値切ってくれ!100億かかる投資を50億円で仕上げてくれ!100人必要な仕事を50人で運営してくれ!礼儀正しくしてくれ。
(来客がいたら、エレベータの中でも、しっかりと挨拶してくれ!)
他人の仕事でも、仕事ならサポートしてくれ!相手を叩き潰すにはどうしたらよいのか、えぐく、えぐく、とことんえぐい経営をしてくれ!!

中小企業の方が何倍も努力しているのではないかなあと思うときさえあります。
なにせ、この時価総額上位200社に日本の株のインデックスの命運がかかっているので。。。
日本株が下がると仕事があがったりになってしまう。

あと、わたしはテクノロジー担当でよかったなあと最近思います。
ヘッジファンド的考えがやはり相場を生き抜くには必要だからです。

テクノロジーは金融と並んで、みなさまがもっとも稼げる分野のひとつです。
そもそも、テクノロジーを論ずる前に、基本的な動作がなっていない諸君には、厳しい小言をぶつけざるをえません。
相手にされない残りの上場企業3200社のことを考えて、200社の大企業にはビシっとしてもらいたい。

〜イチオシ コニカ(4902)〜

☆☆☆☆☆合併比率が問題。
ミノルタ(7753)を完全子会社に。

さて、合併比率。16日に正式に発表されます。
本日の終値は:コニカ(4902)  864円ミノルタ(7753) 536円
 ⇒ コニカ 1.0 : ミノルタ 1.61

 市場は今の時点で、合併比率をこのように考えていると解釈できます。
わたしの予想は、1.7程度としておきます。
BPS、収益、株価などを参考にして、この程度かなと思っています。
さて、みなさんは、どう比率を考えますか?(大原)

 

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5
2003/01/07 年初の挨拶
大原部長

 

 みなさま
新年 明けましておめでとうございます。

 億近の火曜日の執筆であるわたしの今年の課題は、保守的な財務会計分析への回帰(&リアルオプション)です。
公表資料を丁寧に分析することで、会社のIRの虚偽の説明を見破ることができると考えています。

IRは定性的な説明が多い。
細かい財務内容の変化の説明はできないことも多い。
投資家は会社の言い分を鵜呑みにしないことです。

 会社のIRがもっともらしい説明をして、それを信じて、大方、そのとおりになるとしても、それは株価に織り込み済みです。
それを信じて、そのとおりにならないと暴落です。
会社を信じていること自体が株主には不利な選択なのです。

財務面で要注意な傾向のある場合は、次期の決算まで、大変な爆弾をかかえるリスクがあるので、そういう企業については、注意を継続的に促すつもりです。
財務分析と会社の言い分を両立させることはできない。
そういう毅然とした態度をとるつもりです。

 株主のことを考えるアナリストとは、日本のことを考えるアナリストとは違ってしまうかもしれません。
149/150クラブと揶揄した日本企業の従業員支配の実態を鑑みましょう。
株主ばかりが損をしている日本は、ある面、平等王国で、持たざるものにとってのいごごちのよい国といえましょう。

 株主はもっともっと権利を主張するべきです。
株主は、いまよりも沢山の配当を貰うべきです。

 また、一部の国家神道系アナリストに見られるような「日本復活神話創作組」とも徹底的な議論をするつもりです。

 安易に明るい未来をかざして、安易に株式市場に新しい被害者を呼び込むような行為には反対の立場です。

 日本は、最大の危機に瀕している。がけっぷちです。
アジアや北米やユーロにも、いい企業が沢山ある。

 近年では、国際比較をすればするほど、日本株を買う意味がなくなってきているのです。

 技術に対しても、過度な期待をかけません。

 本当の顧客のニーズをもっとも経済的なリソースで解決できる利口な経営者やコストダウンの力量がある現場を保有する企業を適正な価格以下の場面で勧めるにとどめるつもりです。
ひとつひとつの特別な技術的な視点は、事業評価の一環としてご紹介する場面があるでしょう。
しかし、それと株式評価とは別物です。
むしろ、相場で一番、難しいとされるテクノロジー企業の評価については、それが過大な評価である恐れがある場合は、躊躇することなく、売りの判断をするつもりです。

 テクアナリストの本髄は、「売り」です。
なぜなら、技術系企業は、一時的に、恐ろしいまでの高値で評価されることが常だからです。
安易な売りは踏み上げられるので、踏み上げの恐れが遠のいた時点での売りの評価はどんどんやってしかるべきです。
アナリストの売り推奨は少なすぎる。
わたしは、去年に引き続き、売り推奨を連発する予定です。

 よい経営についても、それは投資への最低の基準にすぎません。

 株主にとってよい経営を行なう企業については、最低の基準を満たしているだけであって、よい経営を行なう企業が、適正な株価以下になったときに、紹介するように勤めたいと思います。
よい企業をよい企業だからという理由で高値で勧めるアナリストの問題点は、今年、一番のテーマになります。
1年間かけて、慎重にリアルオプションのアプローチを用いて、30倍程度のPEが正当化できる場合を限定していきたいと考えています。
仮に、オプション理論を用いても、20%以上の上値余地が確保できない場合、よい経営を過大評価する連中を徹底的に批判していくつもりです。
これには少々時間がかかります。
だから、これがわたしの1年間のテーマということになっているのです。

 結局、自分を守るのは、自分しかありません。
自分の財産を増やすも減らすも自分しだいです。
相場のプロがいい加減な馴れ合い関係を上場企業のトップと続けている以上、株主は将来の大きな損害を絶えず覚悟していなければなりません。
通常のマインドの投資家であれば、昨年、一時1万円近くに上昇した日本電産を売却したはずです。
ところが、証券会社のアナリストで売りとはっきり言ったアナリストは何人いたでしょうか。
わたしは、年初、日本電産を6000円程度であれば「買い」と書きましたが、8000円を超える水準では、躊躇なく「売り」と判断しています。テクノロジーを見ているアナリストの価値は、「売り」のタイミングを計れることにあるはずです。

 テクノロジー、小売、金融の3つのセクターは、「売り」で大もうけができるセクターです。
この3つのセクターの共通の特徴も、今年は明らかにしていく予定です。

それでは、みなさま、今年もよろしくお願いします。(大原)

 

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2003/01/06 月曜新コーナー ヒロとアキの何でだろう?
炎のファンドマネージャー

 

 突然ですが、今回からヒロとアキの何でだろうのコーナーがスタートします。

何でだろう、何でだろう、なんでだなんでだろう…。アニメ「こちら亀有公園前派出所」のエンディングテーマソングがお正月からこの曲に変わったことを記念して、新コーナーをスタートさせました。

 このコーナーは株式愛好家のヒロが株式市場で疑問に思っていることを友達のアキにぶつけて、アキに素直に答えてもらうというものです。皆さんも経験のありそうなことを疑問にして答えますからどうぞ宜しく。
 なお、読む時はテツアンドトモの振り付けを思い出しながらお願いします。

【株で儲けた時に気前が良くなるのはなぜ?】

ヒロ:何でだろう、何でだろう、なんでだなんでだろう…。滅多に儲けることはないのに、たまたまオクチカを見て50万円の投資資金で1000株買った株が3日目にストップ高して10万円ばかり儲けたら、急に気前が良くなって人におごろうとするのは何でだろう?

アキ:このような現象を資産効果と言います。もともと50万円の資金はほとんど期待もしていなかったお金でしたから、これで短期で10万円も(利回り20%)儲けたらつい財布の紐が緩んでしまいます。これまでの株式相場ではデフレ傾向で株価も買うとすぐに下落する確率が高くて大方が損してしまいますから、こうした現象に出くわすことはありませんでした。株式相場の上昇が継続すれば資産効果で消費が上向き、きっと景気も良くなるに違いありません。でも、そんな時代がいつ来るのやら??春よ来い、早く来い。(炎)

 

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2003/01/06 年頭のご挨拶
炎のファンドマネージャー

 

 新年明けましておめでとうございます。

 お正月も過ぎてしまい、多くの皆様が元気に本日から新しい年の活動をスタートされたものと存じます。

 さて、多くの国民の期待むなしく昨年は失われた12年となってしまいました。2001年末の日経平均は10542円。これに対して昨年末は8578円。何と18.6%もの下落となってしまいました。今年もまた日本経済再生に向けての努力が続けられるでしょうが、今年こそはの年にしたいものです。

 しかしながら、その結果に過大な期待は禁物です。ましてや株式相場は経済の停滞を背景に今年も下値を模索するという多くの評論家、エコノミストの暗い見通しが描かれていますので強気にはなり難い情勢です。年の前半はまだまだ強気にはなれませんから慎重姿勢をなおも堅持しておかないとならないでしょう。

 さて、こうした暗いムード漂う2003年ではありますが、皆様にとって多少でも億の近道となる奥深いコメントをお届けできるよう、他の執筆陣ともども私も頑張っていきたいと思いますので宜しくお願い申し上げます。

 今年話題になりそうなキーワードとしては昨年からの流れを受けて「企業再生」、「癒し」、「個の時代」、「戦い」などとなるのではないかと考えております。

 それぞれの言葉の意味を簡単に私なりに解説すると、「企業再生」は今の日本に求められている大きな命題ですから言うまでもないことでしょう。水面下で多くの企業が生き残りを賭けて様々な経営施策を取ってきましたが、その集大成が今年から企業業績になって反映されてくることに期待を寄せたいと思います。

 「癒し」というのは「戦い」の対にある考えかも知れません。日々、何らかの形で戦いに明け暮れる人々が求める「癒し」へのニーズはタマちゃんブームやノーベル賞受賞の田中さんを勝手に癒し系としてブーム状態にしました。これらはマスコミが作り出した現象なのかも知れませんが、イラクへの米国による攻撃が秒読み段階にある中で、一方で癒しへのニーズも高まっていると思われるのです。「癒し」ビジネスの代表と言えば、温泉ビジネスやアミューズメントビジネス。最近はアシモに代表される人型ロボットやAIBOに代表されるペット型ロボットの登場も注目されておりますね。

 ところで、昨年はスーパー銭湯を展開する自然堂が株式上場を果たしましたし、エステビジネスからもラ・パルレが上場するなど癒しビジネスが台頭してきております。なお、東京お台場には今年大江戸温泉が開業する予定だそうですから、ますます温泉などへの話題は高まるに違いありません。また、東京平和島に昨年オープンしたアトラスの大型アミューズメント施設「ゲームパニック」は予想以上に好調だとされています。人々の癒しへのニーズは意外な成長企業を作り出すのかも知れません。単に物を購入して消費するのではなく、日常生活に疲れた消費者は「癒し」を求めて新たな消費をしようとしています。ですから今年もまた、そうした「癒し」の流れが続くのではないかと思っております。

 「個の時代」には個性豊かな企業が独自の技術や戦略で成長する姿を想像しています。モノマネではない独自性のある技術を世に送り出している企業を注目したいと思います。このあたりは技術に造詣の深いオクチカ執筆陣にとっては1年を通じて大きなテーマになるものと考えております。私も拙い執筆陣の一人として特許の事業化に関わりたいとも思っておりますので、独自性のある技術への関心をもっと高めていきたいと願っております。理系ではない文系人間の「何でだろう?」という素朴な疑問を皆さんとともに考えていければ幸いです。

 最後に掲げた「戦い」というキーワードは意味深ですが、歴史は繰り返すということを念頭におけば、このキーワードも当然なものとなります。

 ただ、これは何も武力による悲惨な戦争を意味しているもではありません。テロや殺戮のない、ましてや核戦争、細菌戦争など人類にとって悲惨な出来事を起こさないための人々の壮絶なる「戦い」でもあるのです。つまり平和を求めるための「戦い」というべきかも知れません。

 「戦い」というキーワードから浮かび上がる企業のイメージは余り良いものではありませんが、資源(鉱業・石油、非鉄など)や防衛(造船など)といったそのイメージに近い産業がやや短期的な観点から注目をされる可能性を想定しておきたいと思います。

 こうしたキーワードを念頭に、今年も株式・企業情報を着実に皆様のもとにお届けしたいと考えておりますので本年も宜しくご支援、ご愛読の程をお願い申し上げます。今年こそは「億の近道」・・・!?一寸回り道して遠くなったゴールを目指して皆様とともに着実に歩んで参りたいと思います。
(炎)

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2003/01/06 株には買いもあれば売りもある
炎のファンドマネージャー

 

 2002年は売り方優勢の相場展開が続いてきた。単純な買いだけでは同じ資金運用でも効率性が悪い。割高だと思えば空売り(株式を所有せずに借りて売ること、但し、6ヶ月以内に反対売買が必要)を実行すれば値下がりのリスクに対応することが可能となる。ミスミス値下がりしそうな株をだまって指をくわえて見ていてもしょうがない。折角の売りチャンスを有効に生かせば良いのだ。

 多くの投資家がバイアンドホールドに慣れてしまい、売りのチャンスを逃してきたが、株式相場の達人は最近の下落相場を有効に活用するノウハウを持ちだしているのかも知れない。空売りが多いことは個別銘柄の取り組み状況を見れば一目瞭然だ。

 空売り増加で株不足(売りが買いを上回って日証金など証券金融会社の株券の調達が不足する状態)となり、逆日歩(通常は売り方は日歩を貰えるのだが、逆に買い方に日歩を払うことになる)の状態となっている銘柄が増えていることからも判るだろう。

 個人投資家で空売りまでなさっている方は既に相当なベテラン投資家と言えるだろうから、余り細かい話をするのは避けておきたいが、多くの読者がもう既に多少の経験をなさっているものと想像する。まだ、こうしたことに親しみをもっていない方にとっては、無縁の制度なのかも知れないが、この信用取引制度を活用することで多少でもヘッジのノウハウが身につけば、より運用の幅が広がってくるに違いない。

 但し、間違っても過大にポジションを持たないこと。ヘッジの観点で持ち株の保全を行うための売りに努めてみてはいかがでしょうか?

 人の心理は微妙なものである。株価が買い値から下落してくると売りたくなるし、買わずに上がってくると買いたくなったりして高値掴みをしてしまうケースも多い。それもこれも全てが人の心理のなせるワザだろう。

 多くの指南役が逆指値などと言って、ある一定の株価を下回ると売りを実行するようにリコメンドするものだから株価下落に拍車がかかることになる。全体相場のレンジを自分自身で考えながら一定の株価のレンジの上限では持株をヘッジの意味で売ることも重要な投資戦略となるだろう。

 時間分散で2、3回に分けて売り上がる一方、想定下限ゾーンでは買い建てしてみる臨機応変の対応が必要である。

 そうは言っても実際には売買は難しい。人が人である所以である。往々にして逆の行動を取ってしまいがち。それでも株式相場では買いだけではなく売りもまた大事な要素と考え、リスクヘッジを絡めた投資戦略を実行したいものである。その場合はトレンドが下落傾向にある銘柄とボックスゾーンにある銘柄とで戦略が異なる点に注意が必要なことは言うまでもない。

 株式市場には表と裏がある。まともに言えば株式市場は企業にとっての資金調達の場であるが、株式という投資対象を睨む運用者にとっては単なるリスク商品の売買の場でもある。リスク商品なら必ず、そこにはヘッジの機能がないと万が一の値下がりに対応できない。

 信用取引制度はそうした値下がりリスクに備えて作られた制度と心得たい。現金で株式を買い、その株式が値上がりした場合に売却してキャピタルゲインを得るだけの単純な株式投資はもはや過去のもの。

 仮に値下がりしていても躊躇することなく割高と思えば売却し、割安ゾーンで買い戻すことで、この間の値下がりのリスクは回避されたことになる。

 信用取引は現物で持っている株のリスク(上昇するかどうかの不確実性)を回避するための有効な活用手段と考えておきたい。但し、初心者はくれぐれも用心して過大なポジションを持たないことをお奨めしておきたい。(炎)

 

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2003/01/06 昨年の株式相場を振り返って
炎のファンドマネージャー

 

 〜今年前半の株式相場を大胆に予測する〜

【結果は約18%の下落に〜2002年の株式相場〜】

 昨年の株式相場は前年に起きた米国での同時多発テロの混乱から経済の先行き不透明感が生じるとともに、日米ともに株安傾向を強めました。
 デフレ経済の進行、不良債権処理の遅れなど日本の株式市場を取巻く環境も悪化の一途を辿り、10月にかけムードは一段と悪くなりました。
 結果として日経平均、TOPIXとも昨年末に比べそれぞれ18.6、18.3%の下落率となり、ほぼNYダウの下落率と同じ程度の下落となりました。NASDAQは30%の下落とやや大きくなってしまいましたが、日経JASDAQ平均は逆に13%の下落と穏健なものとなりました。
 NYダウやNASDAQは一時最大で3割から4割もの下落を示していましたが、その分逆に比較的大きな戻りを入れていました。

 日本株は10月に当面のボトムを入れて来ましたが、依然として反発力は鈍いままです。
 特に銀行セクターの弱さを反映してTOPIXの下落が続き、日経平均とは異なった動きとなっているのが特徴的となっています。
 なお、昨年末においての株式相場は売り物薄の中、年末のお化粧買い期待から上昇基調を辿っておりましたが、大納会では早くもお化粧買いの勢いが途切れてしまいました。

 新年の株式相場はNY株高から多少の明るさが見られるでしょうが、イラク問題などの懸念材料が相場の頭を抑えることについて異論を唱える向きは少ないかと思われます。このため、ここからの相場についても9000円どころでの上値の壁が意識されますので新年相場への過度な期待は避けておきましょう。ここは冷静に相場の流れを見極め、基本的には2〜3月あたりに想定されるボトム形成時の大きな投資チャンスを待つべきではないかと思われます。意外高があるとしても限界がありますので余り無理をして爪を伸ばさないことです。

【各指標の昨年の推移と今年前半の高値・安値予測】

 日本株は3月危機説の高まりを前にボトム形成を見込みます。米国株はイラク問題の早期解決が困難な場合は変化しますが、楽観的なシナリオでは2月にボトム、4月に短期上昇で前半の高値をつけるとの予測をしています。

日経平均     10542円(01.12.28)
      9420円(2.6)
     12034円(3.11)
 最高値 12081円(5.27)   +14.6%
 最安値  8197円(10.10)  ▲22.2%
      8246円(11.19)
      9320円(12.3) ボトムからの値上がり率 +13.7%
      8256円(12.19)
 年末終値 8578円(02.12.30)▲18.6%
 今年前半の高値 9800円(5月) 安値 7900円(2月)

TOPIX     1032ポイント(01.12.28)
      921ポイント(2.6)
     1128ポイント(3.11)
 最高値 1144ポイント(5.27)+10.9%
 最安値  807ポイント(12.19)▲21.8%
  年末終値 843ポイント(02.12.30)▲18.3% 
今年前半の高値 960ポイント(5月) 安値 780ポイント(2月)

日経JASDAQ     1138ポイント(01.12.28)
     1087ポイント(2.20)
 最高値 1270ポイント(6.6)+11.6%
 最安値  942ポイント(12.24)▲17.2%
 年末終値 991ポイント(02.12.30)▲12.9%
  今年前半の高値 1150ポイント(6月) 安値 950ポイント(3月)

NYダウ     10021ドル(01.12.31)
 最高値 10673ドル(3.19)+6.5%
 最安値  7197ドル(10.10)▲28.2%
      9043ドル(12.2)
  ボトムからの値上がり率 +25.6%
 年末終値 8303ドル(02.12.27)▲17.1%
   時価 8601ドル(+3.6%)
 今年前半の高値 9700ドル(4月)

 ※イラク問題が2月〜3月にかけ短期で終結したと仮定9000ドル(1月) 
 ※イラク問題が長引いた場合において上値は年初近辺での高値に留まる安値 7600ドル(6月)
 ※イラク問題が長引くとともに北朝鮮の問題がこじれてきたと仮定8000ドル(2月) 
 ※イラク問題が短期に終結した場合は攻撃開始の時期にボトムをつける

NASDAQ     1950ポイント(01.12.31)
 最高値 2098ポイント(1.9)+7.6%
 最安値 1108ポイント(10.10)▲43.2%
     1521ポイント(12.2)  ボトムからの値上がり率 +37.3%
 年末終値1348ポイント(02.12.27)▲30.9%
 時価  1387ポイント(+2.9%)
 今年前半の高値 1550ポイント(4月)ないし1480ポイント(1月)
      安値 1180ポイント(6月)ないし1290ポイント(2月)
  ※各条件は上記と同様(炎)

 

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