No.
日付
タイトル
執筆者
25
2003/02/25
リスク管理の方法論
大原部長
24
2003/02/24
遂に発表された第3回日経STOCKリーグ・入賞レポー
炎のファンドマネージャー
23
2003/02/24
時流に乗って成長する不動産投資ファンド関連企業
炎のファンドマネージャー
22
2003/02/24
電力供給が止まる?? 迫る電力の全面自由化で注目される企業 エネサーブ(6519)
炎のファンドマネージャー
21
2003/02/21
政治力と通貨の力
生涯遊人
20
2003/02/21
ファナックとロボット
両津勘吉
19
2003/02/21
再び活気づく在宅介護市場
小野小町
18
2003/02/18
証券アナリストは公表されたプレスリリース程度は読みなさい
大原部長
17
2003/02/17
ヒロとアキの何でだろう
炎のファンドマネージャー
16
2003/02/17
一寸問題もあったが、配当利回りで買えそうな有利子負債ゼロの銘柄
炎のファンドマネージャー
15
2003/02/17
15日より施行された土壌汚染対策法
炎のファンドマネージャー
14
2003/02/17
大学発ベンチャー企業キックオフミーティングに出席して
炎のファンドマネージャー
13
2003/02/17
2月前半の株式相場を振り返って
炎のファンドマネージャー
12
2003/02/14
為替相場動向
生涯遊人
11
2003/02/14
閑中忙あり
駄洒落商会会長
10
2003/02/10
資本市場再生と企業経営改革 IT戦略で変革する新成長企業に注目
炎のファンドマネージャー
9
2003/02/10
業界再編の動きが出てきたゲーム業界で気になるゲームソフト関連銘柄
炎のファンドマネージャー
8
2003/02/07
台頭する韓国自動車メーカー
両津勘吉
7
2003/02/07
つわものどもの夢のあと
生涯遊人
6
2003/02/07
多様化するヘアケア市場
小野小町
5
2003/02/04
株式投資にはリスク管理が必要だ
大原部長
4
2003/02/03
成長性が高いと考えられる小型株をチェックする!!
炎のファンドマネージャー
3
2003/02/03
年頭のご挨拶
炎のファンドマネージャー
2
2003/02/03
ソフト大国を目指す中国
炎のファンドマネージャー
1
2003/02/03
1月の株式相場を振り返って
炎のファンドマネージャー

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25
2003/02/25 リスク管理の方法論
大原部長

 

 本当にお薦めできる本が出ました。
パンローリング出版 「魔術師たちの心理学」
A5判横組み 448ページ/定価本体2,800円+税
ISBN 4−939103−54−4 C2033
著者:バン・K・タープ/訳者:上野惠子、萩原重夫、戸張義雄

わたしは、読んで衝撃を受けました。
是非、ご一読を。

ターブ博士の考え方を取り入れ、わたしなりにリスク管理の方法論を書きました。
損切りの重要性を唱えたいと思います。

【適正なポジション・サイズを守っている投資家は少ない】

 資金を減らさないリスク管理という面から、売りと買いを組み合わせたヘッジファンドなるものが注目されていますが、適切なポジションサイズを取っていれば、リスクを限定しながら、利回りを確保することは比較的容易になります。
プロは一日中相場を見ることができます。
アマは仕事があったり用事があったりと相場に付きっ切りということが無理な方もいる。
そこで、仕事を持たれて、相場が見れないアマには、億近で提唱している長期の投資の考えが出てきます。

 長期の投資スタンスとは、できるだけ銘柄を厳選し、銘柄選びの段階で下落リスクをできるだけ落としたいとするやり方です。
しかし、それでは配当利回りなどの安全な銘柄が中心になり、迫力のないものになってしまう。
それでも我慢できるという方はいい。

 買うか買わないかは別にして、投資のためのアイデアや買い候補は多い方がよい。
なぜなら、たくさんの候補の中から選べば、少ない候補から選ぶよりリスクは低減するからです。

 その場合でも売買タイミングで、損を出すことは大いに考えられるのです。
そこから「正しいポジションのサイズ」という課題が出てきました。
セラーテム事件に見られるように、大きな損失を被った投資家は、ナンピンに走りがちです。
そして、さらに大きなリスクを抱えてしまう。

大きな損を抱えてしまうという問題は、銘柄分析、ファンダ分析、テクニカル分析というレベルの問題ではありません。
投資の手法や技法の話の前の段階です。
短期売買、長期売買の違いでもありません。
往々にしてファンダ分析=長期投資、長期投資=買いっぱなし、長期投資=少ない銘柄への集中投資というイメージがあるかもしれません。

集中投資は、母体となる銘柄候補が多いときには、それなりに有効ですし、プロは、相対的な運用をすればよいので、それでいい(インデックスに勝てばいい)。
しかし、個人投資家はそれでは犠牲になってしまう可能性がある。

投資金額を5等分して、5回コインの裏表で賭けをするとします。
最初の取引で20%の損、残りは当初資金の80%。
まだ、挽回のチャンスは残っています。

しかし、さらに2回目の投資でまた負け。
追加の20%を損してしまう。
そうなると、元金は残り60%。
元金回復には、60を100にしなければならない。
これはしんどい。

3回目の勝負も負け。
さらに元金が40%に減ってしまう。
40を100にするには、150%の利回りを達成しなければなりません。
これは回復不可能です。

しかし、100の元金をすべてひとつの株に投資をして、3回連続して失敗する確率はかなりあるわけです(10%以上の確率でありうる)。
ツキのない方には、5回も6回も、場合によっては10回連続して失敗するというケースもあります。
10回連続の失敗。これは十分にありえることです。

セラーテムを1株70万で買い、急落。
追加で5株15万で買うことにする。
平均価格24万円のセラーテムを6株保有。
しかし、リスクは70万円のポジションサイズが145万円にまでふくらみ、リスクは2倍以上になり、得られるものはなにもありません。

上値が20万、下値が10万と仮に置くと、運良く20万円で売れても、4万円の損失のために倍のリスクをとったことになるからです。
損失額を小さくしようとして、リスクはどんどん大きくなり、運が悪ければ、すべてを失うことになります。

⇒資産が減っているのに取引量を増やすというのはおろかなことです。
それによって、得られるものは、当初とったポジションだけです。
反対にリスクは増大していることがわかりますでしょうか。

【損切りの水準を決めておく】

損切りの水準を決めてから、投資をすべきだという意見がテクニカルのトレーディングをする人たちを中心にして出てきています。
そこで、ある銘柄を研究する際には、下落リスクがどの程度で、上値の余地がどの程度で、いま、株価はどの程度という大まかな読みと、そうならなかったときの対策が必要になります。

たとえば、PBRの低い銘柄であれば、こういうことができます。

TDKであれば、PBRは4500程度でしょうか(うろ覚え)。
それが安値の目処とします。
いま、5000円とします。
また、目標とする株価は6000円程度と設定されるとします。

そうなると
目標  6000円
いま  5000円
底値目処4500円

この場合は「買い」ということになります。
なぜなら、リスクは500円でリターンが1000円ですね。
リターン÷リスクは2倍です。

しかし、できれば4800円程度で買いたい。
そうなると、リスクとリターンの関係は劇的に改善します。

目標 5800円(控えめ)
いま 4800円
底値 4500円(PBRのストッパー)

そうなるとリスク300円でリターンは1000円。
リターン÷リスクは3倍以上です。

【リスクは限定できる】

重要なのは、底値を割ったら、すぐに撤退をしなければならないという鉄則です。
このケースでは4500円には「いかない」という前提で買いますが、もし、行ったら、売りです。
これが損切りです。

損切りの意味は、損失を確定できるという意味です。
絶えず、どのトレードでも、このリターン÷リスクが何倍になるかを想定して、相場に参加されるのが一番よいわけです。

300円(100株単位)の損をポートフォーリオの2%程度にとどめたいなら、ポートは、30000円の50倍の150万円ということになります。
150万円の運用資金で、TDKを100株買うのはリスクを2%に限定することになります。
なぜかというと4800円のTDKは4500円になれば強制的に投げるからです。

投げるという前提があるから、リスク管理が可能になったということがおわかりでしょうか。
これがポジションサイズのお話です。

株式運用資産が1000万円なら、とれるリスクは同様に2%。
1億円でも2%程度とすれば、10回程度の連続の失敗もまだまだ挽回のチャンスがあるのです。
もちろん、一回、一回のトレードのリターン÷リスクの倍率が重要になるのですけど。

多くの方が、失敗をするのは、下がれば下がるほど買いという錯覚に陥るからです。
下がったら撤退すべきです。
下がれば買いというのは、リスク管理ができなくなります。

下がればしっかりと撤退というリスク管理さえしていれば信用取引だって怖いものではないということがわかります。
しかし、下がれば買いで信用をやればすぐに破産してしまうでしょう。

⇒TDKが4500円になったら、もう100株買う。
そうなると、もはや、リスクの管理はできないということになります。
2%と決めたポジションサイズが4%になるばかりか、下値の目処が見えなくなりました。
そこで運良く上がったとしても、得られるものは、わずかです。

まず、ご自身の銘柄の上値と下値の余地をしっかりとイメージして、リターンとリスクの関係を無理やりはっきりさせること。
そして、下がれば撤退をすること。
適正なポジションサイズを心がけること。
そうすれば、月々のキャッシュフローがプラスになっていれば、挽回のチャンスがあります。
チャンスは無数にあるわけです。

ただし、ポジションサイズが小さいと、取引回数が少ない場合には、リターンが得られません。
ですが、大きなサイズでドンパチやるよりはずっといい。

アイデアを50出すのは大変ですね。
そこにプロとアマの違いがあって、時間がなくて資金が少ない方々は取引数が少なくポジションサイズが大きいということになってしまう。
それはとても不利なことなのです。

できるだけ時間がつくれて、できるだけのアイデアを持ち、できるだけポジションサイズを小さくできれば、リターンに直結するはずなんですけど、実践は難しいんですね。

プロは100回トレードすれば40%程度勝てばいいんです。
損切りをしていますから、リターン÷リスクで2倍、3倍の平均値を使っている。
3倍なら、勝率40%でいい。
損切りをすれば勝率は下がります。
それは仕方がない部分です。

アマは100%勝とうとしてしまう。
そうなると、ナンピンで、身動きがとれなくなりアウトになるかもしれない。
勝率を意図的に下げるという戦略がコツなのです。

機関投資家としての、わたしの立場上、個別銘柄の話はなかなかできないですが、テクニックや考え方の面で、もう少し、参考になる話をすべきだったと思い、このごろ、こういうお話をするようにしています。

【リスク管理と勝つ確率】

リスク管理ができているかどうかは、重大な結果をもたらします。
現に、いま、投資で失敗している方はリスク管理をしなかった結果です。
そのことに対して、わたしたちは、どのようなアドバイスができるのでしょうか。

もっと、「失敗しないトレードをするべきだ」というべきでしょうか??

 もちろん、そうではありません。
トレードは半分以上が失敗するものです。
60−70%が失敗です。

なぜなら、損失は小さく、利食いは大きくという鉄則を守れば、かならず損失の数は多くなる。
しかし、トレードはトータルでプラスしなければ意味がない。
そこで、みんな必死に勉強する。
練習する。
だから、テクニカルしかしらない人と、テクニカルもファンダもしっている人とでは差がつく。

それ以上に、毎日10時間以上も作戦を考えているわたしのような人間と毎日数時間しか考えられない一般の投資家とは、どうしても運用に差がでてしまいます。
わたしが考える毎日の数十の作戦のうち、採用されるのは、ゼロかひとつです。
潜在的なリスクは、頭の中で、随分と減ることになります。

そして、わたしたち、プロがリスクを管理するとき、そのリスクは、毎日計量が可能なシステムになっています。
必要以上にリスクをとっている、リスクが少なすぎる、
毎日、機械が計算をして、わたしたち人間は、その間で微調整を行なっている。
だから、リターンは多くても20−30%の間に入るし、リスクは数%の間に入るのです。

それでも、どの銘柄をいくらで買うべきだという判断はコンピュータよりも人間の方が上手い。
いまのところは。

相場にずっと参加できて、かなりの時間を投資にかけることができる人であれば、いろいろとアドバイスすることは可能です。
しかし、時間がないサラリーマンの方に対してどのようなアドバイスができるのか、わたしは疑問に感じています。
そして、テクニカル分析やファンダ分析などの手法を本当にわかっている人は少ないことも実感しています。

【資金に対する投資金額はリスクとはいわない】

資金に対する投資額はリスクとはいわないのです。
100万円の資金を投資する場合を考えます。
信用取引をします。
あなたが150万円をある株に投資したとします。
これは投資金額を超えた1.5倍のレバレッジです。
この株の株価が150万円だとします。
あなたが損切りの逆指値を149万円で指しているとします。
あなたのリスクは何%でしょうか。

1%です。
資金に対する投資額をリスクとはいいません。

おわかりいただけるでしょうか。
とっても肝心なところです。

資金の50%をある株に突っ込むということは、わたしが伝えたかったリスクとリターンの関係とは違う話なんですね。
50%をある株に突っ込んでも、しっかりとリスクを数%の範囲で管理できる方法はあるのです。

100万円と1000万円と1億円とを区別する必要はありません。
複利の力は平等なのです。
むしろ、小額金額に味方するように仕組まれています。
1億円でも100万円でもリスクの管理の方法も投資のスタイルもまったく同様なものであるべきです。
そうではないですか??

リスクとは、投資額に対する一銘柄の構成比ではありません。
ストップを入れる水準とのかかわりであるのです。

【株数でリスク管理をしないこと ストップの置き方でリスク管理をする】

以下のような株があったとします。
投資案件がリターン÷リスクが10倍になっているのがおわかりでしょうか。

上値見通し 444円
株価    222円
下値見通し 200円

リターン222円(上値と現在値との差額)、リスク22円(下値と現在値との差額)。
そこで、リスクとリターンの関係で10倍ですから、10倍になったとき100%利食い。

こうしたらどうでしょうか。
リターン−リスク倍率10倍 444円。
 損切りレベル444円
 100%利食い 9倍 422円。
 90%の利益確保。
損切りレベルを400円まで上げる 8倍 400円。
 80%の利を確保。
損切りレベルを366円まで上げる 7倍 378円。
 70%の利を確保。損切りレベルを350円程度まで引上 6倍 356円。
 60%の利確保。損切りを290円程度に引き上げる。 5倍 334円。
 50%の利の確保。損切りオーダは278円に引上 4倍 312円。
 40%利確保。267円にストップロスをおく。 3倍 288円。
 利益30%の確保のため242円程度にストップおく。 2倍 266円。
 利益の20%確保のため231円程度に損切りをおく 1倍 244円。
 利益の10%を確保のため224円にストップロスおく。

さて、当初、200円に設定した、損切り(=下値見通し)は、値上がりとともに上昇していますね。
目論見では2倍になったらとりあえず全部利食いということでした。

しかし! その過程が重要なのです。
仮に250円に上昇したら、ストップを229円や230円に置けば、利益の一部はとりあえず確保できますよね。
一部を確保しておいて、さらに株価上昇の可能性を持ち続けることができます。

肝心なのは、どの価格帯にいったら、自分は具体的に、何をすればいいのか、決めておくことです。
こういう戦略を、みなさまは、お持ちでしょうか?

 お持ちでないなら、せっかくですから、こういう戦略を試してください。
これが、わたしの主張するところの、リスク管理のノウハウなのです。

⇒最初から取引のルールやシステムを十分考えておく。
⇒リスク管理は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析よりも重要な考えです。

(参考文献)「魔術師たちの心理学」 パンローリング
(大原)

 

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24
2003/02/24 遂に発表された第3回日経STOCKリーグ・入賞レポート
炎のファンドマネージャー

 

 =残念ながらわが同志社おこしやす京都チームは選に漏れる でもよくやったぞ!!素晴らしい活動を基に旅立つ4人にエール!!=

 先日、日本経済新聞社が主催した第3回「日経STOCKリーグ」のポートフォリオレポートの入賞チームが決定され、参加者には通知が届いた。このコンペには中学、高校、大学合わせて674チームよりのレポート提出があり、わが同志社大学証券アナリス講座受講生チーム(通称:おこしやす京都チーム)も参加。
 Human Resource Management−ヒトこそが長期的成長の鍵−というテーマで積極的に取組んで頂いたが結果は残念ながら入賞には至らず、私としても残念至極でありました。その内容については、彼らの了解を得て改めて紹介したいと思うが、ヒト=知的財産として株式評価にもつながる点を彼らなりの冷静な判断として捉えていたのが印象的であった。まあ、審査委員の方々の目にも力作とは映っていたに違いない。

 選に漏れたとは言っても彼らの活動は意味のあることであった。チームを構成していた4人はこの春から社会人として新たに旅立つこととなるが、証券アナリストとして今後の活躍が大いに期待されている。限られた活動領域の中で彼らは本当によく頑張ったし、この素晴らしい活動に参加したことを誇りに思っているに違いない。たった一人ではあるが指導担当者として彼らに敬意を払いたい。なお、彼らとは今後も末永くおつきあいさせて頂くつもりだから宜しくと言っておきたい。3月7日には大阪のアズワンへ一緒に企業訪問を予定している。
 アズワンは人を重視している企業の一つである。実際に企業訪問すること。私と彼らとの約束はこれで果たすことができる。最後にもう一度彼らによくやったぞ!!とエールを送りたい。
(炎)

 

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23
2003/02/24 時流に乗って成長する不動産投資ファンド関連企業
炎のファンドマネージャー

 

 =PERの低下で割安感が出てきたパシフィックマネジメント=

 バブル崩壊後の日本の株式市場には時代の流れを背景とした新たなサービス産業が台頭し急成長を遂げている。IT技術をバックグラウンドとして発展しているヤフー(4689)や楽天(4755)などのほか雇用の流動化で成長を遂げてきた人材のアウトプレースメントビジネスの日本ドレークビームモリンや保養所などの福利厚生の運営代行を行うリロホールディング(旧日本リロケーション)などがその典型だろう。

 今回ご紹介する不動産証券化事業や不動産ファンド事業を手掛ける各社、中でもパシフィックマネジメントはそうした時流性を備えて成長を辿っている。
 既にこの業界の上場企業としてはダヴィンチ(4314)、ケネディウィルソン(4321)、アセットマネジャーズ(2337)、クリード(8888)、レーサムリサーチ(8890)、パシフィックマネジメント(8902・J)が上場を果たしている。各社の予想PERは概ね14倍から15倍となっているが、その中にってPER水準だけを見ると割安感が出ているのはパシフィックマネジメントであろう。同社の時価は10.8万円(2.21現在)でPERは8.9倍の水準となっている。同業他社の水準と比べるとかなり割安と言える。12月19日払込の1.15万株公募の発行価格は11万920円であり、既にこの水準を株価が下回ってきた。

 各社の事業環境は概ね明るい。企業間によって多少の格差はあろうが、いずれも成長を指向している。
 政府主導による不良債権の集中処理や2005年施行予定の減損会計への対処を背景に金融機関や事業法人からの不動産売却がこれまで以上に増加することが予想されるほか、未曾有の低金利、株式市場の低迷等により有利な投資先を求める投資家ニーズの高まりから各社が中核事業として取組んでいる不動産投資ファンド事業への期待も大きい。

 とりわけ、パシフィックマネジメントでは既存の住居系・事業系不動産投資ファンドにおいて運用資産の更なる拡大並びに種類の多様化を図るとともに既存投資家との関係強化や新たな投資家層の獲得に注力。不動産投資ファンドを運用する子会社パシフィックインベストメントアドバイザーズとの協働で住居系不動産を対象としたファンドのJ−REITへの上場を目指し、同分野におけるリーディングカンパニーの地位確立を図る。
 国内子会社5社、関連会社2社で構成された同社グループは不動産投資ファンド事業を中核と位置づけ、不動産投資コンサルティングサービス事業、不動産投資事業を展開。「不動産と金融の架け橋となる新しい価値と技術の創造」を標榜し、多様で魅力的な資産運用商品並びに不動産投資・管理運営に関するトータルなサービスを提供することで、成長を遂げようとしている。

 開設後1年を経た不動産投資信託(J−REIT)市場の規模拡大、特定少数の投資家を対象とした私募形式による不動産投資ファンドの組成の活発化など不動産投資商品への投資資金の流入機会も拡大するなど同社の事業環境は良好。
 同社ではこうした事業環境の中でファンド運用資産の残高拡大並びに多様化に努めてきた。この結果、前11月期の売上高は前年比3.0倍の83億1500万円、経常利益は同3.6倍の16億3300万円を達成した。今期の業績も前期比33.4%の増収、同16.8%の経常増益を見込むなど好調に推移。
 また、三洋電機の金融子会社である三洋インベストメントとの共同出資により設立された三洋パシフィック投資顧問との協働によって日本経済復興のための重点施策である「企業再生」機会をサポートするファンドの運用を開始し、多様な投資家ニーズを着実に捉えて事業規模を拡大させ、他の不動産投資ファンド会社との差別化を図ろうとしている。

 更には、先般商業施設を対象とした不動産投資ファンド事業にも進出。同社は本年1月で267億4300万円の不動産投資ファンドを組成しており、他社預かり運用分と合わせて約318億円(昨年1月は159億円)を預かり運用資産として保有。株主価値の持続的な向上を経営目標とし、ストック収入中心型への収益構造転換を図る上での重要なビジネス原資となっている。
(炎)

 

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22
2003/02/24 電力供給が止まる?? 迫る電力の全面自由化で注目される企業 エネサーブ(6519)
炎のファンドマネージャー

 

 東電が所有している圧倒的な数の原子力発電所の操業を停止したことで電力不足が懸念されている。発電量以上の需要が生じると供給不足となり、電力の送電はストップされることになる。
 国民経済のインフラとして重要な役割を担っている電力の供給がストップすれば一体どういうことになるか?想像すると恐ろしいことになる。金融が産業活動の血液としての役割を担うのと同様に、電力もそれ以上に重要な役割を担っている。

 そもそも、今回の電力不足の問題は東電による原子力発電所の検査不備から生じたものだ。今、東電では省エネの実践を新聞やTVで盛んに訴えている。
 取り敢えずは検査が終了するまでは操業ができないのだから、この間は何かで補うか省エネで電力消費を節約してもらうしかない。

 こうしたトピックス的な動きとともに2000年3月から始まった電力部分自由化に続き昨年より検討されてきた大工場から家庭までの電力全面自由化が迫ってきた。
 創業以来、総合電気エネルギー業を指向してきたエネサーブ(6519・東証1部)は、この流れを大きなビジネスチャンスと捉え、電力小売事業への進出を図るなど新たな成長の道を歩もうとしている。
 近年の電力会社の新規大型発電所建設が延期されるようになってきたことを背景に電力自由化によって想定されるリスクとして予想以上に電力需要が増加して電力需給が逼迫する可能性も指摘されているが、これに対応する切り札として脚光を浴びているのがオンサイト型自家発電システムである。同社ではこのシステムの普及に努めてきたが、最近では170kW型に加えて495kW型を中心とした発電装置の大型化を推進して需給の負荷平準化に貢献しつつある。世界的なCO2削減に向けた取り組みの中で同社の事業も電力コストの削減だけではなく、環境改善に効果をもたらすものとして期待される。

 2000年9月に旧NASDAQジャパン市場に上場して以来、業績は極めて順調に推移してきた。これを反映して株価も市場環境が悪化する中にあってほぼ一貫した上昇傾向を辿ってきたが、このところの株価は4000円前後でやや調整含みの展開を続けている。
 発電燃料を含むコージェネレンタル事業が今期は大きく伸びる見通しにあるほか、大型の自家発電装置が下期より売上に貢献しはじめており、これまで続いてきた成長トレンドは維持されると見られる。売上の拡大とともに製造コストの削減や業務効率化を推進。
 今後もさらに付加価値の高い製品を開発し、サービス向上を目指すほか、ROEの向上を重視し収益と資産増大のバランスを図る考え。

 なお、電力自由化関連ではマイクロガスタービン事業に参入したデンヨー(6517・時価438円)やカナモト(9678・時価473円)などの動向も注目されるが、様々な問題を抱えており本格的なトレンドを描くには至っていない。
(炎)

 

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21
2003/02/21 政治力と通貨の力
生涯遊人

 

 今週の為替マーケットは、火曜日に大きく円高に振れる局面があった。ドル円では120.50円から118円台に、ユーロ円では130円台から126円台に、オージー円が71円台後半から70円割れ、ポンド円が198円台から188円台にいずれも大きく下落した。
 特に下落幅が大きかったのはポンド円で、先週も述べたが、経済が比較的好調だった(他国との相対評価による)英国の通貨がイラク情勢を受けて売られている状態が続いている。

 昨日は英国の小売売上高が月間平均で−1.0%と予想の−0.5%をも上回ったため、経済面の不安感がでて英国ポンドは対ユーロで大きく下落した。国連安保理の情勢や要人の発言をにらみながら、開戦近しとみると、ドル売り欧州買いとなり、開戦が遠のくとみると、その逆にドルが買われるという展開が続いている。
 また昨日は米国の12月貿易収支が発表され、442億$(5.25兆円)の赤字と、予想の387億$を上回り、2ヶ月連続で5兆円台の赤字を続けている。米国の2002年の貿易赤字は4,352億$(51.7兆円)を計上し、過去最高だった2001年度の3,787億$をあっさり上回ってしまった。しかも500億$(6兆円)以上も。 ちなみに日本の2002年度の貿易収支は、輸出52.1兆円、輸入42.2兆円でバランスは9.9兆円の黒字となっている。
 米国の輸入国の内訳をみてみると、1位カナダ(25兆円、前年比2.6%)、2位メキシコ(16兆円、+2.6%)、ここいらは、NAFTAの3国なのでわかるのだが、3位は中国(15兆円、前年比22.4%)と急速に貿易赤字を増やしている。
 このようにみると、やはり21世紀の米中関係は経済的にも政治的にもホットになっていくだろう。
 経済的には、米国が余裕がなくなればこの巨額の赤字は論争の的となり、かつて円が切り上げられたように、人民元の切り上げが現実味をおびてくるかもしれない。
 また政治的には、北東アジアがいまのように不安定な状態だと米中のせめぎあいがでてくるだろう。
 イラク問題はアジアにとっては、距離的に遠く切迫感にかけるが、米中は水面下ではかなりやりあっているのではないだろうか。

 米国は歴史的にみて地域のナンバー1の国を争う運命にある。これは米国が世界戦略でナンバー1をめざし、常に地域のナンバー1の国と利害がぶつかってきたからだ。
 かつて欧州ではドイツが台頭してきて2度の世界大戦が起こったが、第一次世界大戦では参戦に消極的だったが最後には参戦して盟友英国を勝利に導いた。第二次世界大戦でも同様に英国の危機を救った。
 アジアで台頭する地域ナンバー1国の日本と戦い勝利した。
 このように米国は時の地域ナンバー1の国と争う運命にあり、その場合地域ナンバー2の国である、英国や中国と同盟関係を結び、地域のナンバー1の国に対抗する。

 21世紀のアジアのナンバー1の国はおそらく中国であろうし、そのために米国はナンバー2の国(現在はナンバー1国かもしれないが)日本との同盟強化に動いているのだろう。
 国連での日本人国連大使の演説を聞けば、同盟というよりも従属関係といったほうがよいかもしれないが…。

 国連を舞台にした安保理での大国間の駆け引きはとっても面白い。
 今週の国連安全保障委員会でもフランス大使の発言をTVで見られた方も多いとおもう。「古い(大人のという意味の皮肉)国のフランスが新しい国の(子供のという意味の皮肉?)アメリカに忠告申し上げる…」で始まる発言は、「我々は、何度の戦争をしてもうこりごりだ」という内容で、米国も大人になれという内容だったと記憶するが、これを聞いていた米国のパウエル国務長官は憮然としていた。
 フランスとてかつて植民地を保有し、核兵器を持ち、世界中に武器を売りまくり、おまけにイラクに石油利権をもち、中東のプレゼンスを維持するために、敢えて戦争反対をとなえているという説もある。

 当然大国はそれぞれの国の利害で動くだろう。しかしそこには哲学もあり、表向きにはみな大義名分をとなえている。
 一人日本だけが、米国のイエスマンでおまけに、スポンサーまで努めているようにわれわれ国民にはみえるのだが…。
 たしかに、外務省の役人、大臣たちがだらしないかもしれない。しかしそもそもこの国には自国に有利に進める外交政策や、ポリシーというものが存在しないのではないだろうか。
 また国民もそれを強く求めてこなかったから政治家もその部分にふれないできたように思える。

 なにせ「金と票」にはならないことはやらない日本の政治家のことですから。
(生涯)

 

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20
2003/02/21 ファナックとロボット
両津勘吉

 

 最近、ファナックの新聞記事をよく見かける。内容はポジティブに書かれているものが多いのだが、2月18日に稲葉副社長が写真入で日刊工業新聞に登場している記事が特に印象的だ。

 2003年見通しは2002年度比横バイで御の字と思っていたが、11月から回復が著しい。特にロボットは絶好調。これまでの月産1000台ペースが現在では1500台ペースになっている。自動車業界からは従来通り順調だが、機械加工、食品、建材、物流などの分野でロボットが普通に使われ出した。

…と記載されているが、ここでファナックIR側が提示している生産計画は以下。

CNC生産台数及び生産計画
4−9月   6200〜6300台
10月    7500
11月    7000
12月    6200〜6300
1−3月計画 6200〜6300

ロボット
4−6月   850台
7−9月   900+α
10−12月 950
1−3月計画 950

 ロボットは950台程度とアナウンスされているが、副社長のおっしゃる1500台とはかけ離れすぎている。しかしもっと不思議なのはロボットは建屋ベースで月産1500台の製造能力を有するが、製造ラインは1000台と発表されているのだ。いつの間に増強にしたのだろう?さすがディスクローズの悪いファナック?
 通常、メーカーが製造能力をアップする場合、建屋より製造ライン投資の方が大きいのが普通だが、ファナックの場合は異なる。自動化を得意とするファナックにおいてライン構築は得意中の得意。
 先日、日経新聞にどこの企業か忘れたが、製造ラインを自社構築すると費用は10分の1程度で済むと紹介されていたが、ファナックも同様であろう。

 さて日刊工業新聞では知能化ロボットの導入が進むことを紹介されているが、これはいずれ報告するとしよう。
 今回は自動車向けのロボットについて少し触れさせて頂く。

 前述のIR担当執行役員は自動車向けが好調だとしている。しかし現状の中国モータリゼーション加速でも1プラント当り30〜50万台規模にならないと中国ではロボットは使われないとコメント。しかし本当かな〜?
 本田技研は中国の駿威汽車(Denway Motors)と合弁で広州ホンダを立ち上げ、1年前の製造能力5.5万台を12万台に増強中である。しかし先日、アナウンスがあり1年後の春頃までに2倍の24万台に引き上げることを発表している。

 現在の中国での自動車製造はほとんど人手で製造するのが普通だが、広州ホンダはロボット導入に踏み切る。現在のラインは途中で折り返す時に、人が台車を使って車体を移動させているが、これを自動搬送する他、溶接中心にロボットを入れていくこととなろう。日本の鈴鹿や狭山のような8機種(溶接&トリムライン)ものフレキシブル性を持たせる訳ではないが、欧米諸国の低位レベル並みの工場に仕上げるようだ。ホンダの一般的なスポット溶接打数は1台当りコンプ部品を含んで約2000〜2500点である。

 次に日本メーカーに負けずと中国でも頑張ろうとしている韓国メーカーはどうであろうか。現代自動車を例に取る。(韓国メーカーは所詮、日本のビッグ3には勝てませんし、彼らも日本メーカー上位3社と争う気持はありません。たぶんスズキあたりとバッティングするでしょう)
 現代自動車の製造能力は2002年度188万台から2003年度は195万台に引き上げられ、主力工場はソウルから飛行機で1時間のところにあるUlsan工場だ。ここは150万坪の敷地に建坪70万坪からなる5工場が存在し、年間製造能力は今年度で163万台と、ホンダの鈴鹿や狭山の3倍の規模で現代自動車の生産台数の8割を担当。従業員数は27000名プラス協力工場6000名で、自動車製造に必要な部品の約7割はこのUlsan工場の回りに部品企業が存在し、輸出用バースも大型船が一度に3隻入りロケーションも抜群。ここの工場ラインは結構イケている?電力代金は1日に約2000万円だ。溶接は自動化100%です。

 現代自動車は中国合弁工場を増強するが、その工場もホンダ同様にロボットを導入する。現代自動車のElantraを例に取る。
 Elantraの大型部品のスポット打数は年々少なくなってきているが、それでも約4900点、コンプ部品は約2000点と車種にもよるがホンダよりはるかに多く打っている。Elantoraの溶接ラインは初めから終わりまでで1時間30分。
 ところがホンダさんの溶接ラインは某工場のデータだがたった35分で終了する。えらい違いがありますね。

 良く、ホンダの工場はコンパクトとか組み立てライン速度が速いとのコメントを見ますが、ホンダさんは溶接工程にも特徴があります。
 スポット溶接の打電数を増加させると一般的にボディ剛性が高まります。ですからチューニングショップでボディー剛性の改造するところは補強を入れたり、スポットを打ちまくる訳です。
 しかしなぜ日系企業は溶接ポイントが少ないのか?これは部品に理由がありそうです。

 日系のボディ設計は世界でも指折りであり、ユーザーから見えないところの設計力には素晴らしいものがあるようです。
 例えば、通常の乗用車は全長約5メーター弱ですが、走行中は約5ミリの伸縮が常に発生し、部位によっては5ミリ以上の間隔を空けなければならない。しかしよーく見ると5ミリ以下の間隔のところもある。なぜ可能なのか?
 これが日系メーカーの技術力でありまして、ボディの数十箇所で応力を分散するような設計が成されているのです。溶接も同様でして部品段階またはそれの組み合わせで設計の段階でスポットを減らすような工夫がされている。このような芸当が出来るのは日系と欧州系の一部メーカーでしょう。

 話は反れましたが5000点近いスポットを手でやっていたら大変ですね。現代自動車の中国工場は塗装及び溶接工程でロボットを使用することになりましょう。だからといって現代自動車がファナックや安川製は買いません。彼らは当初、不二越製ロボットを購入し技術蓄積、現在購入する新機種はほぼ全量が現代重工製です。

 中国工場のロボット導入は既に始まっています。
(両津)

 

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19
2003/02/21 再び活気づく在宅介護市場
小野小町

 

 介護保険制度が3年ぶりに見直され、4月から新しい報酬体系に変わります。介護保険で利用できるサービスは主に在宅サービスと施設サービスに大別できますが、昨年10月に厚労省が実施した調査では施設サービスの黒字に対し、訪問介護など在宅サービスの赤字が鮮明となりました。このため政府は在宅介護に重点をおいた制度へ修正を行いました。

 ところで介護保険は2000年に導入された制度で原則として40歳以上の国民全員が加入、65歳以上の要介護者及び早期痴呆などで要介護者となった40〜64歳の人がサービスを受けられる制度です。要介護度は6段階あり、段階毎に月々の給付限度額が定められています。市町村から要介護度の認定を受けた後、介護支援専門員(ケアマネジャー)と相談し自分にあったプランを策定、1割の自己負担でサービスを受けることができます。

 1月23日に了承された見直し案によれば、介護報酬全体では2.3%のマイナス。施設サービスが4.0%の引き下げとなる一方、在宅サービスは0.1%引き上げられるなど在宅重視路線が鮮明となりました。在宅サービスのうち、訪問介護は2.3%増と在宅介護事業者にとってはプラスになりそうです。厚労省の推計によれば要介護者は高齢者の1割を占め、その数は2010年に377万人、2020年には477万人に拡大。政府の負担する介護費用は現在の約5兆円から2010年には倍の10兆円に膨らむともいわれ、関連市場の拡大が予想されます。

 さて今回の改正で最も注目されるのは在宅サービスです。30分未満の身体介護は10%、家事などの生活援助が36%引き上げられました。在宅介護事業者には全般に有利となりますが、身体介護は1時間以上30分おきの加算がなくなるため、長時間の介護はマイナスとなりそうです(その分家族の負担は増えそうですね)。

 身体介護と家事援助の複合サービスは廃止され家事援助は生活援助に一本化されますが、金銭的負担が少なく利用者増加が期待されます。またケアプラン作成も17%増と大幅にアップしました。要介護度に関わらず月額8,500円に値上げされ、更に4種類以上のサービスを含む複雑なプランは1,000円加算されます。これら事業を展開する企業には朗報でしょう。

 さて今回の報酬見直しを受け、各社は事業拡大を鮮明に打ち出しています。ニチイ学館(9792)は今春ケアマネジャーを2割増員。全国600ヵ所の訪問介護拠点にプランを作成する施設を併設し、同時にホームヘルパーも年2〜3割増員する予定です。グッドウィル(4723)が運営するコムスンも今期末までに450ヵ所と拠点を急拡大。従来のサービスに加え訪問歯科やヘルパー付旅行企画など幅広い商品を展開し顧客獲得を狙います。ジャパンケアサービス(7566)も2005.3期までに訪問介護拠点を283ヵ所に拡大、同時にレンタル事業も強化し顧客を3割増やす計画です。

 周辺事業の強化にも積極的に取り組んでいます。中でもタクシー事業は参入が相次いでおり、コムスンは3月から14都道府県で事業を開始、初年度8億円の売上を目指す計画です。また有料老人ホーム大手の日本ロングライフ(4355)も会員制で利用者を募り初年度1億円の売上を見込んでいます。

 また今回の改訂で対象品目が拡大する福祉用具のレンタルも注目されます。具体的には浴槽への出入りを補助するバスリフトや、車椅子を乗せ玄関等へ出入りしやすくする段差解消機等新たに5品目が追加されます。バスリフトなどは単価が30万円前後と高いためこれまでなかなか普及しませんでしたが、これが1割の自己負担で月々数百〜千円程度で借りられるようになるため需要拡大が期待されます。

 ニチイ学館は独福祉用具大手アクアテック社のバスリフトの国内販売権を取得した他、TOTO(5332)も自社製バスリフトをレンタル向けに改良しました。この他、三菱商事(8058)の子会社の日本ケアサプライは段差解消機のオリジナル商品を開発した他、フランスベッド(7977)の子会社も営業体制を強化しています。

 教育関連ビジネスも盛況です。ニチイ学館は来期ホームヘルパー1級の受講者を前期比倍の2,400人に増やす計画です。日本医療事務センター(9652)も来期中にホームヘルパー2級講座の開催地を現在の倍の100ヵ所に拡大。今期の受講者数は前期比6割増の15,000人となる見通しですが、来期はその2.3倍の35,000人に増える見通しです。

 折しも不況で介護関連の資格受講者は年々増加、またホテルマンやタクシー運転手がサービス向上のため取得する例も出てきています。ヘルパー受講者が実際就労する率は2割といわれていますが、今回の改正で受講者の更なる増加が予想されます。

 介護保険導入直後は苦戦した民間企業の業績も徐々にですが好転し始めており、来期以降はこの改定がさらなる追い風になると期待されます。しかし核家族化が進む中、依然施設での介護を希望する世帯も多く市場開拓には課題が山積しています。それには介護される側だけでなくする側のケアの充実も必要でしょう。訪問介護市場における民間企業のシェアは2割と未だ低い水準ですが、需要を喚起できるか否か、来期は正念場となりそうです。
(小町)

 

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18
2003/02/18 証券アナリストは公表されたプレスリリース程度は読みなさい
大原部長

 

 ●セラーテムテクノロジー ☆

また、悲劇が繰り返された。
財務分析をしっかりしていれば避けられた事故だ。
財務分析を怠った多くのプロの投資家には同情の余地はない。

セラーテムテクノロジー(4330)という会社がある。
茶髪の社長が率いる画像処理ソフトの会社だ。
日経新聞で華々しく紹介されるなど、注目度抜群で、マスコミや証券会社から絶大なる人気を誇った。
それもつい2週間前までのこと。
2月6日に会社が大幅な下方修正を発表。
株価は2月6日の74万円から急落し、14日にようやく23万5000円で寄る。
なんと、ほんの数日間で時価総額の70%が吹っ飛びました。
これを執筆している17日(月)現在、株価は15万5000円のストップ安を記録している。

 野村、ING、HSBC、UFJつばさのトップアナリストたちが、こぞって買いを推奨していた。
この株を保有していた投資家は、ブルームバーグ端末からの情報によれば、フィデリティー、インベスコ、野村アセット、ジャーデン投信、ニッセイアセットなど、そうそうたるメンバーだ。
日米欧を代表するような有名な機関投資家も大きな被害にあったと思われる。

【財務分析をしていれば、この悲劇は避けられた】

 わたしの見るところ、9月の段階で、すでに、カラ売りの決定的な証拠がプレスリリースから出ていた。
 大手及び外資系証券会社や大手欧米運用会社が茶パツの社長に騙され、マスコミもこぞって賞賛されている中、多くのヘッジファンドが空売りで大きなゲインを得ています。
 お時間のある方は、 http://www.celartem.com/jp/company/ir.htmlから9/10のプレスリリースと11/29のプレゼン資料をご参照ください。または、お手元にご用意ください。
その上で、わたしの解説を読んでください。

〜最初の空売りのサイン〜

9月10日、急落の5ヶ月前。(9/10のプレスリリースを参照)セラーテムは米国のソフト会社のExtensisを買収すると発表。従業員数はセラーテムと同規模。そのExtensis社の過去の業績が開示された。

 
00/12
01/12
02/1〜6(6ヶ月)
売上
17610
11758
6885
営業利益
▲7655
▲8321
551
総資産
44750
31173
7823
純資産
38873
29653
804

(単位:千ドル)

また、注記に「2002/3に過去の買収に関連する営業権30195千ドル(36億円相当)を償却しています」とある。

【空売りサインその1】

 おかしいと思いませんか?
資産が31173千ドルしかない会社の営業権が30195千ドル。
つまり、35億円の資産しかなかった会社が35億円の営業権を一括償却。
おいおい、資産はすべて営業権なのか!そんなバカなことあるか??
営業権は、米国では償却対象でない。
しかし、償却するときは、ビジネスが無価値になったと宣言するとき。
異常。

【空売りサイン2】

⇒ほとんど資産のない、無価値な会社を高値で買収する。
純資産ほとんどゼロの会社の67%を取得、買収に約11億円を費やした。

⇒毎年、10億円近い損失を出している会社を買収している。
すなわち、今後も、10億円近い損失が出そうだなあと予想できる。
連結合算される12月期は、すさまじいマイナスの効果でる可能性があると予測できた。

 この時点で、一般教養のあるアナリストなら、カラ売り指令を出していただろう。
連結対象にした会社が赤字になりそうな雰囲気がプンプンしていることがわかる。
そうなれば、誰がなんと言おうが減益決算になることがわかるからだ。

〜決定的な空売りのサイン〜

11月。急落まであと2ヶ月。(11月29日の会社側のプレゼン資料を参照)
会社は事業説明会を開催。
思わぬところで、決定的なボロが出た。
ここで多くのヘッジファンドが空売りを仕掛けたようだ。

【決定的な証拠】

 11月の会社側の資料によると、9月15日時点でのExtensis社の総資産と純資産はそれぞれ、6736千ドル、5309千ドルとなっている。
これは、増資の後だ。
つまり、9000千ドルの増資をしたあとの、Extensisの純資産が、わずかに5409千になっている。
9000千ドルはどこへいったのだ??
 プレスリリースとおりの日程なら、当然、この会社の資産は9000千ドルを超えるはずだ。
セラーテムの持分である6000千ドル以下の純資産しかない。
 7月から9月の間、つまり連結対象期間になったとたん、Ex社の業績はガタガタになったのか。
いずれにしても、信じられないことが進行していることぐらいはわかる。
7−9の業績が大きく崩れる決定的な証拠だろう。
その赤字の額も推定できる。
すでに3億円程度の赤字と推定される(なぜなら出資9000千ドルから9/15時点での総資産6736千ドルを引いた額が赤字になっていると推定できるからだ)。

【粉飾決算の疑念】

 会社側が紛らわしい報告をして、問題点が見えにくくなった。
会社側のプレスリリースによると、2002年1月〜6月までは、Extensisが黒字になっている。
投資家にすれば、「ああ、赤字会社が黒字になった。いいことだ。これで、この黒字分も利益に上乗せだ。EPSも増える。問題なし」ということになったのだろう。

 しかし、リリースされた数字を見るだけで、Ex社の「黒字」の前提が薄弱であることがわかる。
 営業権償却の前、総資産と純資産の差額はほんの1500千ドル程度。
 償却あとには、総資産と純資産の差額が7000千ドルに膨張している。
 これは、本来の費用(人件費)を急速に資産化(ソフトウエア資産)化したことによるものではないか。
5〜6億円程度の利益を粉飾していることがわかる。
そして、その会計期間中の営業利益が6億円となって、ぴったりと粉飾決算であることがわかる。

 さらに、9/15時点での総資産と純資産の差額は、また1500千ドルと元に戻っている。
これは、投資家向け説明会の間だけ、会社側は虚偽に5〜6億円程度の利益を粉飾していたということをあらわしている。
会社側は、「米国ではソフトウエア資産は費用化される」と書いてある。
一度、米国で無理やりに資産化し、利益を水増しできる段取りだったのだろう。
しかし、米国の会計士がそれはダメだといったのだろう。
そこで、会社は、資産化できるように当局といま協議中。
そういうことなのであろう。

 セラーテムとしては、5億円の費用を、資産に計上して、そのまま日本的会計を当てはめる計画だったのだろう。
ここに、日米両国の会計制度の違いが出ている。
米国会計制度の良心が、日本的粉飾を封じたのだ。

 買収を繰り返して、利益を粉飾するスキームはよくあることだ。
なぜなら、営業権の償却は遅く(ときには不要)、期間利益の貢献は早いからだ。
見かけ上、買収によって、利益はかさ上げされる。
成長段階にある小さな企業にとって、市場からの過剰な期待にこたえるためには、こうした手段しか残されていなかったのかもしれない。

 いずれにしても、まったくおかしな資料が会社側から公開されていた。
にもかかわらず、どうして、証券アナリストたちは、騙されたのだろうか。
まったくのなぞである。

【プロの運用の現場での恐ろしい手抜き調査の実態】

 ここで引用した9月や11月の資料は、会社側から投資家に渡っていた。
わたしも彼らのHPを見て、この文書を書いている。
だから、責任は、投資家にあるのだろう。
このような幼稚なスキームを見抜けないのは、投資家に、ファンダメンタルズの分析力がないからであろう。
※大原は、セラーテムから発表されたプレスリリースからこの事件の真相を推定しているだけで、会社側への訪問取材、電話取材を行なったわけではありません。
実際、一度も、彼らとは接触、コンタクトした事実はありません。
この記事は、プレスリリースから推定される会計の仕組みの説明を試みたものであります。

セラーテムテク事件でわかるように、機関投資家の調査能力や証券会社の調査能力はちょっと心もとない。
1)社長に定期的にあっているとか、
2)スモールミーティングの常連だとか、
3)証券会社のアナリストとのホットラインができているとか
4)会社のだれだれを良く知っているとか
多くの運用の現場は、ファンダメンタルズ分析を怠っている。
いい加減な電話取材で、馴れ合いで友達のようなIR担当者と、くだらない世間話をしているだけで、「本日も異常なし!」を点呼しているのだろう。
その前に、公表されているリリースぐらい分析しろといいたい。
業界の恥。
許せない怠慢だ。
財務分析のできないアナリストは即刻首にすべきだ。
参考までに、プロの言い訳を聞こうではないか。
槍玉にあげるようで申し訳ないが、この会社に登場してもらう。

【安田ペインウェバー投信株式会社】

小型株ファンド(愛称) グローイング・アップウイークリーレポート

『今週の活動メモご承知の通り、グローイング・アップは、「世の中何が起こるかわからないため、一社に依存しすぎず、三ヶ月毎に定期面談する」ことを常に肝に銘じ、慎重な分散投資を徹底しています。
この姿勢が奏効し、2月7日夕方の中間決算発表で突如明らかになったセラーテムテクノロジーの期待を裏切る大幅減益の発表がありましたがファンドに対する影響は限定的であり、その他の革新高成長企業群の株価上昇により補えると考えています。
もちろん、「同じ過ちは繰り返さない」反省も決して忘れません。
振り返りますと、同社の新藤社長様には2001年12月の新規株式上場前直前にお会いして以来、昨年8月9日までは数度個別面談できました。
しかし、昨夏以降は何度申し込みましても面談できませんでした。
通常であれば、面談ができないこの時点で売却するのですが、1)それ以前に何度かお会いし優れた技術力に魅力を感じていた、2)10月発表の第1四半期の業績が絶好調であった、3)11月に実施された公募増資の際にも危険な兆候は公表されなかった、4)証券各社の投資判断もほぼ全社が強気一辺倒、等から売却しなかったことが響きました。』 

さて、この会社のこのファンドのHPには、以下の文言が掲載されている。

『リスク管理を充実させることは、厳選投資と並んで重要なことであるとの認識を持って運営しております。ファンドの組入企業への訪問ですが、投資を行う前の事前調査だけでなく、投資後も定期的に企業訪問を行いあらゆる変化の兆候を捉えるようにしております。』

 社長に会って、インサイダーを狙うのはいいが、単純に、会計を基礎から勉強した方がいいのではないか。
投資を行う前の事前調査を怠ったのですね。
ファンダメンタルズ分析をなめてはいけない。
(大原)

 

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17
2003/02/17 ヒロとアキの何でだろう
炎のファンドマネージャー

 

 ヒロとアキの何でだろうのコーナー!!
 エンディングは「何でだろう!!何でだろう!!何でだ何でだろう!?」のリズムに乗って今日も幕を閉じたいと思いますので宜しくな!!

ヒロ:ここは日本なのにやたらと横文字の企業名が多くなっているのは何でだろう!?

DyDo、JT、JSR、TOTO、MARUWA、TYK、JFE、OSG、OKK、SMC、TOWA、TCM、CKD、SANKYO、JUKI、NTN、THK、NEC、TDK、SMK、TOA、YUASA、、FDK、KOA、JMS、HOYA、TOKAI、MrMax、JBCC、SBI、JAFCO、SFCG、SRL、NOKURBAN、JAL、NTT、JSAT、KDDI、NSSOL、OLC、BML、FSAS、CAC、USS、CTC、ISID、TBS、NSW、TKC、TISなどなどもううんざり。
 これらは一部銘柄だからまだ多少は知られているでしょうけど、2部やJASDAQなど新興市場ではEPS(一株利益ではないよ)、IPS、CTS、BSC、GFC、MTI、YKT、HKS、DMS、RSC、BSL、TCC、CSS、ASK、SRA、CIJ、CSP、NJK、SPK、JSP、IMJ、NCG、CSI、ITX・・・・!?もうやめてくれ!!と言いたくなるような横文字の連続。

アキ:なぜこうなるかと言えば、日本企業がグローバル化しようとしているからかな???でも本当のところは判らない。名前ばかりがグローバル化してもしょうがないよな…。
 こんな時代だから余計漢字の企業名が目立ちます。新聞で株価見つけるのも楽だし…。花王、日立、大丸、郵船、京王、松竹、日通、日毛…。些かノスタルジックな漢字二文字の企業名がこれほど親しみを覚えることはない。 ところで、あなたはどっちに親しみを持てますか?
(炎)

 

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16
2003/02/17 一寸問題もあったが、配当利回りで買えそうな有利子負債ゼロの銘柄
炎のファンドマネージャー

 

 ●ジャパンメンテナンス(9787)
 東証1部
 時価444円
 信用取引可
 100株単位
 時価総額 92億円
 今期予想経常利益 18億円
 決算期 2月
 配当金 年16円(中間期8円実施)
 配当利回り 3.6%
 今期予想EPS40.1円
 PER 11.1倍

【事業内容と株価】

 マイカル系のビル・施設メンテ会社。マイカルの倒産に伴う店舗閉鎖で収益が大幅にダウン。今期から自立の道を歩みはじめており、マイカルの店舗閉鎖も一巡したことから収益水準は下げ止まった格好。元来、無借金経営でマイカル依存ということを除けば収益性は高く、財務内容も良好であったことから株価的には96年の上場以降、1000円以上の水準をつけてきた。ただ、マイカル倒産の影響からその後の株価は低迷。2001年9月には250円の安値をつけた。ここにきての株価はその一昨年の9月安値250円をボトムにして上昇傾向を続けている。
 マイカル倒産の影響を過大視した結果の売られ過ぎ局面を経て、徐々に実体が再評価されつつある状況と言える。

【雇用吸収力大】

 同社の従業員数は連結ベースで3378名。(02.8期末)ビルメンテナンス業界の雇用吸収力は大きく、不況下でも着実な事業展開が可能なサービス業態として今後も社会的な意義は大きい。
 マイカル依存からの脱却を図るために新たな顧客先の開拓に注力。新事業としての施設の価値向上維持を図るための資産管理業務への参入によっても事業の再拡大が期待される。

【注目されるマイカルの持株の行方】

 倒産したマイカルやマイカルファイナンスの持株の行方に注目。大手流通業などが関心を高めている可能性があると考えられる。無借金経営であることから資産価値からすれば株価700円も妥当なところだろうが、仮に時価で株主が交代したとしても株価的に注目をされる可能性があるだろう。なお、大株主の移動についての結論は延びている。時期は未定。

【マイカル店舗閉鎖の影響と対応】

 今期は既に一巡しているが、来期以降あと10店舗の閉鎖が予定されている。残り120店のうちの10店舗。ただ、これらはいずれも小規模店舗で影響は少ないと考えられる。

【配当政策について】

 基本的な配当性向は30%ですが、安定配当が基本で今期は16円配当という予定です。今期のEPS40円からは配当性向40%となりますが、安定的な配当を心掛ける方針に基づいている。

【従業員数】

 現状の従業員数は自然減となっていきます。メンテ対象となる施設の入れ替えで極端なリストラはやっていない。

【決算発表予定】

 4月11日を予定。

【業績推移】

連結  *今期予想は会社予想、来期は四季報予想(単位億円)

決算期
売上高
経常利益
税引利益
EPS
配当金
02.2
653
39
▲14
20円
03.2予
535
18
8.3
40.1
16円
04.2予
520
19.2
8.9
43.0
16円

(炎)

 

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15
2003/02/17 15日より施行された土壌汚染対策法
炎のファンドマネージャー

 

 =注目される環境関連ビジネス=

 商業施設や住宅に転用する工場跡地などの土壌汚染の確認を企業に義務付ける、土壌汚染対策法が15日より施行された。今後、環境対策が軽視された時期に稼働した古い工場を中心に、汚染が表面化する例が大幅に増えそうとの見方もある一方で、工場のリストラを進める企業にとっては対策費の負担や計画の遅れなど新たなリスクを負うことになる。この問題は工場経営を行う企業のみならず、不動産業界、不動産投資ファンド業界、金融機関などにとっても大きな問題となりそう。
 既存マンションの購入者にとっても、今のマンション用地が昔どうなっていたかは分かっていないケースも多く、思わぬ資産価値の目減りに繋がる恐れもあるだけに個々人にとっても関心度は高いだろう。

 こうした法的整備だけでなく環境意識の高まりから土壌汚染を調べたり、汚染された土壌を処理するビジネスが注目を集めており、既に数社が進出に名乗りを上げている。
 地質調査大手の応用地質(9755)が土壌汚染調査の簡易手法を開発。年内にもサービス開始の予定であるほか、ジャパンエナジーや同和鉱業も新規参入に名乗りを上げた。既にライト工業(1926)や日本基礎技術(1914)、アタカ工業(1978)、前沢工(6489)、関東天然ガス開発(1661)などが土壌汚染浄化分野などの環境事業に注力しているほか、法律施行で市場の拡大が予想されることから今後、様々な企業が一層注力してくると考えられる。
 産業廃棄物処理大手のダイセキ(9793)では子会社に土壌汚染処理会社を有し、2年後の上場を目指している。また、貴金属リサイクルビジネスのアサヒプリテック(5855)も環境保全事業に注力。
 もちろん、環境管理センター(4657)、川崎地質(4673)、エヌエス環境(4675)、プレック研究所(4701)などの中規模企業の活躍も今後期待されるだろうが、いかにこうした汚染状況の測定などを効率的に行うかが事業の収益性を長期的に高める鍵を握っていると考えられる。そうした観点からもサンプリングの要らないレーザー活用への期待は大きい。
 更に荏原、タクマ、栗田工、月島機械、栗本鉄工、三菱マテリアルといった機械、非鉄などの大手企業の活躍期待も大きく、環境という古いけど息の長いテーマに沿った活躍銘柄が数多く輩出されると期待される。
(炎)

 

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2003/02/17 大学発ベンチャー企業キックオフミーティングに出席して
炎のファンドマネージャー

 

 大阪大学でレーザー研究をなさってきた先生たちを中心にした大学発ベンチャー企業のキックオフミーティングが14日に大阪大学の吹田キャンパス内で開催された。その企業名はLASERエコバイオ。LASER技術をエコロジー(環境)やバイオテクノロジーに活かせないかを模索しながら先生方の知的資産の有効活用を図ろうという目的で設立された企業ということができるだろう。
 先生達が持っておられるシーズと産業界のニーズをつなぐ役割を持つほか、大学の中に眠っている様々な最先端の計測機器群を有効活用してもらうことで新たな製品開発に役立ててもらうとの狙いもある。
 LASERなどという最先端技術には疎い私もこのキックオフミーティングに出席させて頂いたが、増原先生をはじめとした著名な先生方にお目にかかれて大変光栄であったし、こうした機会を与えて頂いたことに心より感謝申し上げたい。

 レーザーと言えば昨年ノーベル化学賞を受賞した田中耕一さんのことが思い出されるが、「ソフトレーザー脱離イオン化法」と呼ばれるこの手法は調べたい蛋白質とレーザー光を吸収する物質(マトリックス)を混ぜた試薬にレーザーを照射し、たんぱく質の分子を壊さずにイオン化する手法(MALDI)である。
 このようにレーザーを利用すると微量物質を高感度で測定できるという利点があるから環境や医療などの分野で今後、様々に活用されていくものと期待される。

 さて、ミーティングでは出資して頂く先生方からのLASERエコバイオへの期待、思い、研究領域などをのお話をお聞きしたが、それぞれに熱き思いがあって些か感動を覚えた。フェムト秒レーザー、キャビティリングダウン分光法(浜松フォトニクスの研究分野でもある)などなど、飛び交う専門用語には些か戸惑いもあったがこれは先生方も同じこと。私たちが発するポートフォリオ、IRなどという言葉に逆に質問を受けた。
 企業経営と最先端分野の研究とは異質な世界。お互いにギャップが存在していることだけは判った。
 このギャップを埋める役割を担うLASERエコバイオの藤井社長も元々は研究者。それでも企業経営を行ってきた実績があるから現実の社会状況を伝える役割は担えるだろう。
 少なくとも先生達には研究に対するあくことなき探究心があることだけは確かだし、大学に求められている期待の大きさを感じておられることも事実だろう。

 企業の発足にあたっては様々な困難が付き纏うだろうが、ぜひとも世の中に役立つ活動を積極的に実践して頂きたいと願っている。微力ながら私もサポートをさせて頂くこととなったが、これを契機にLASERについての知識を得ることができれば良いかと思っています。(それにしても難しそうだ…。)
 なお、今回のキックオフミーティング出席のついでに数社の企業訪問を行って参りました。高砂電産(6423)、アズワン(7476)、メック(4971)などですが、今後改めて皆様にご報告させて頂ければと思っております。
(炎)

 

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2003/02/17 2月前半の株式相場を振り返って
炎のファンドマネージャー

 

 先週のバレンタインデーはチョコならぬ意外な株高に見舞われた格好となってしまいましたが、皆様の運用成果はいかがでしょうか。
 米国株が弱いのに日本株は意外と底堅い。こんな印象が持たれる2月前半の相場となりました。

 株価が堅調に推移する背景にはいくつかのポイントがあります。以下に勝手に思いつくままに書いてみました。
1)不良債権処理の進展や様々な景気刺激策から景気が底入れすると考えられる。
2)国債の金利が0.8%台となるなど金利低下が顕著である。
3)既に株価水準が企業業績や企業価値以上に売り込まれている。
4)配当利回りなどから考えられる投資採算に合う水準となって自然体で資金が流入する。
5)特定の投資主体が介入して相場を下支えしている。
6)企業経営の革新、リストラによる企業収益の改善が期待できる。
7)中国をはじめとして海外などで新たな市場が拡大する。
8)ベンチャー企業の成長など国内市場における活性化が期待される。
9)個人のマネーがリスク商品に流れる。
10)3月末の配当取りを狙った動き
11)外国人投資家のグローバル運用の中での日本株の比重アップ
12)生き残りを賭けた産業再編の活発化
13)M&Aの活発化
14)技術革新の動き
15)新成長産業の萌芽及び発展
16)知的財産権への市場評価の高まり
17)配当課税など税制の改善
18)資金循環の改善
 まだまだ多くの要因が考えられるでしょうが、まあこのぐらいにしておきましょう。

 さて、NYダウやNASDAQが下落歩調を辿る中で日経平均、TOPIXともに1月末と比べて4%台の上昇となりましたが、上記のような様々な要因が重なり合ったものと考えられます。
 日経平均は昨年10月10日の安値8197円、11月19日の安値8246円、12月19日の安値8256円、本年1月31日の安値8237円とほぼ8200円前後での下値抵抗を見せています。
 TOPIXは日経平均とは多少異なった動きを取っていますが、10月10日814ポイント、11月19日808ポイント、12月19日807ポイントという格好で12月のボトムを打っています。直近の安値は2月3日の816ポイント。およそ810ポイント前後で下値抵抗を示しています。

 こうした全体相場の流れの中でセクター別には海運、倉庫、銀行、証券、不動産、輸送用機器、造船、ゴム、鉄鋼、窯業、建設、水産など比較的、中低位銘柄が多く含まれるセクターが堅調でこのほかでは自動車も堅調に推移していました。
 前月末と比べてマイナスとなったのは紙・パルプ、非鉄、陸運など3つのセクターに留まりました。
 また、上昇はしたけれど電機、精密などの値嵩ハイテク銘柄が多いセクターではTOPIXをアンダーパフォームした状況となり、中低位銘柄物色の流れが鮮明となりました。
 このため、個別銘柄の動きを見ても中低位銘柄が堅調な推移を辿っており、多くの50円〜200円前後の銘柄が循環的に物色される状況が見られました。

 兼松(8020)、ダーバン(8116)、神戸製鋼(5406)、五洋建(1893)、日本化成(4007)などの低位無配株が買われたほか、洋ラジ(7236)、近畿車輛(7122)、日本信販(8583)など有配低位銘柄も物色された。
 材料性のある銘柄では洋ラジと同様に燃料電池関連で荏原(6361)が買われ、板状形状記憶合金の開発に成功した日金工(5479)、軽量マグネシウム合金開発が伝えられたアーレスティ(5852)など大学の先生と組んで製品開発に至った企業の株価が跳ねた。また、増配、分割発表のアズワン(7476)や好決算見通し発表の川崎汽船(9107)などが人気を集めた。
 食品セクターなどでもヤクルト(2267)や日本食品加工(2892)がこの期間においても継続的な人気を集めていた。
 これらの多くは新高値銘柄となっているが、この他でも横河ブリッジ(5911)、サンデン(6444)、トピー(7231)、日新(9066)、ボッシュオート(6041)、日野自(7205)、ライフコーポ(8194)など多くの新高値銘柄が登場した。
 一方で、イビデン(4062)、トッパンフォーム(7862)、サンドラッグ(9989)、BML(4694)、オークネット(9669)などの中堅優良株の動きが冴えず、コーエー(9654)、セガ(7964)などのゲーム関連も下落歩調をたどった。

 全面物色という訳ではなく銘柄の選別色が高まり、明暗分ける展開とはなっているが、相場の底流には何かを物色しようというエネルギーが盛んにうごめいていることだけは確かなようだ。
 今月後半以降もこうした展開は継続すると考えておいた方が良いだろうが、何をポイントにするか投資戦略は各自の判断に委ねられる。配当利回り、株価の位置、業績の動向などそれぞれの視点で取り組まれることをお奨めしたい。

【指数の動向】

日経225 1.31 8339 → 2.14 8701 +4.3% 1.24の高値8825を抜けていない。
TOPIX 1.31 821 → 2.14 858 +4.5% 1.24の高値870を抜けていない。
日経JASDAQ 1.31 997 →2.14 1005 +0.8% 1.27の高値1012を抜けていない。
NYダウ 1.31 8053 → 2.14 7908 ▲1.8%
NASDAQ 1.31 1320 → 2.14 1310 ▲0.8%

【主要セクターパフォーマンストップ10】

1.倉庫 +15.0%
2.海運 +13.5%
3.輸送用機器 +10.1%
4.ゴム +8.3%
5.証券 +7.3%
6.造船 +7.1%
7.自動車 +6.9%
8.不動産 +6.7%
9.窯業 +6.4%
10.建設 +6.4%
(炎)

 

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2003/02/14 為替相場動向
生涯遊人

 

 昨日の米国の小売売上高は−0.9%となったが、これは自動車が前月の+7.9%の反動で−7.8%となったためで、自動車を除く+1.3%と事前の−0.5%より低いが良い数字が出て、個人消費の底堅さを裏付けた。 また英国は金利を下げ何十年かぶりの低金利とはいえ、依然好調な経済状況で、失業率もやはり何十年かぶりの低水準となった。

 いま世界のなかで経済ということだけみれば、G7諸国のなかでは、英国、2番目が米国ということになろうが、昨日を含めここ1週間ほどこれらの通貨は売られている。

 昨日は、ロンドンのガトウィック空港で手榴弾騒ぎ、ニューヨークでは不審物さわぎで、トンネルの閉鎖など、週末にむけてテロへの警戒感が一段と強まっている。
 対イラク強硬派の米英連合の通貨が売られ、穏健派の欧州ユーロが買われるといった状態になっている。

 やはり戦争が数週間以内に起こるのではないだろうかということで、経済的側面より、地政学的側面が重視されているのではないだろうか。
 地政学的側面といえば、北朝鮮も気になるところだが、これに関しては日本株売り、円売りとはならないところが、また不思議なところだ。世界の注目はやはり、アジアより中東イラクなのだろうか。これはやはり石油がからんでくるためか、あるいは北朝鮮の問題は単に北東アジアの局地的なこととナメられているのかもしれない。日本人にとっては、核兵器を開発するかもしれないイラクより、すでに持っている北朝鮮の方がよほど危険度が高いように思えるのだが…。

 やはり戦争の行方が決まるまでは、ドルは不安定な動きが継続していくものと思われる。
 覆面介入が思ったより効いたため、当面117−118円のゾーンを底値とし、上値は121−122円のレンジを予想する。(生涯)

 

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2003/02/14 閑中忙あり
駄洒落商会会長

 

 駄洒落商会会長です。

 本日は、02年10‐12月の国内総生産(GDP)の速報値が発表されました。事前は、GDPそのものは前期比、年率ともマイナス、特に、個人消費が5四半期ぶりにマイナスに転じるものとの予想が優勢でした。既に発表されました10−12月の勤労者世帯コア家計消費が前年同期比1.1%減と、前期の同1.2%増から大幅に悪化していたことなどもあり、GDPの発表によって個人消費の失速がさらに確認される、というのが大方の事前予想であったわけです。

 ところが、ふたを開けてみますと、GDPは前期比0.5%増、年率換算2.0%増、個人消費は前期比0.1%増となるなど、「意外な」結果となりました。私なども、小売企業各社の月次売上高をフォローしているわけですが、個人消費が「プラス」という実感は湧きません。

 ただ、気をつけていただきたいのは、実質GDPの数値はGDPデフレーター(総合的な物価変動を表す。今回は前年同期比2.2%のマイナス)で修正した数値であることです。
 企業の売上高などはあくまでも「名目」すなわち「物価変動」で修正していない数値です。
 名目ベースですと、個人消費も前期比0.4%減、5四半期ぶりのマイナスとなります。
 やはり、個人消費には陰りが見えるという結論になるのでしょう。

 本日は、日本マクドナルドの決算説明会、すかいらーくの業績下方修正にともなう説明会が行なわれました。外食各社、めがねなど一部専門店、百貨店などの売上高は昨夏以降、ダウントレンドが鮮明になっています。

 やはり、「財布のヒモは締まりつつある」と感じざるをえませんね。(駄洒落)

 

 

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2003/02/10 資本市場再生と企業経営改革 IT戦略で変革する新成長企業に注目
炎のファンドマネージャー

 

 明日、2月11日は建国記念日である。国民の祝日でもあるが国家とは何か、日本という国がこれから一体どうなるのかを問いかけ改めて資本市場のあり方、企業経営のあり方、株式投資の心構えや、あり方などを考えておく必要があるように思われる。

 思い返せば1945年の第2次世界大戦での敗北を喫した日本が戦後の復興過程で経済的発展を遂げるとともに、国民の生活レベルも向上する一方で、環境破壊や社会風潮の退廃、企業モラルの低下、国民全般のモラルの低下など悪い面も目につくようになった。ここに来ては不良債権処理に手間取っているうちに経済成長が鈍化しこれまでにない壁にぶち当たっている状況が感じられる。国家発展の過程でたまった垢を落とすべき時期だし、企業経営改革が今こそ求められている時はないように思われる。

 さて、私のところに送られてくるアナリスト必携の雑誌、証券アナリストジャーナル1月号では資本市場再生と企業経営改革について9名の方々が論文を寄せていたが、それぞれに意味のある示唆に富む内容であった。

 とりわけ、グローバル化時代の企業革新というテーマで鴇田正春(ときたまさはる)関東学園大学経済学部教授が日本IBM勤務の経験を踏まえて日本企業の今後のあり方を興味深い内容で示唆。

 日本型経営システムはグローバル化とIT化が一体となった新しい経営環境の中で様々な不適合を起こし競争力の低下をもたらしている。今、日本企業に求められているのは新しい環境変化に対応するための企業革新である。グローバル時代に日本企業が満たすべき経営システムの基本的な要件について筆者の意見が述べられている。

 スイス国際経営開発研究所の発表した国際競争力比較で日本は1990年代初頭に1位を維持してきたが、2002年では30位へと大きく後退しているがその背景となっているのは輸出産業の花形だった製造業中心に企業収益力が大幅に低下し、利幅の減少が新製品開発への投資減少となり、更には企業の競争力低下、収益の圧迫となって悪循環してきた結果と言える。

 また、企業の収益力低下でこの10年間で法人税は半分程度まで減少し財政赤字の原因にもなった。誰でも恩恵を得られる安定成長の時代は終わり、勝ち組、負け組の二極化が明確化する時代になってきたと筆者は指摘している。

 → 必ずしも筆者の言うような製造業の弱体化が一方的に進んでいるとは思えない。グローバル化に成功した企業の活力は以前にも増して増しているように思われる。むしろ金融やサービスセクターなどの非効率運営が問題なのではないだろうか?(炎)

 企業経営を取巻く変化も著しい。グローバル化の進展でメガコンペティションが生じている。中国の台頭による世界的な供給構造の変化で日本企業に知識集約型産業への構造的見直しを迫っている。

 また、共通化の波が押し寄せ、グローバルスタンダード化 企業に国際的な共通ルールによる経営を意識させるようになった。(例:時価会計主義、連結決算中心主義、年金負債オンバランス化など会計ビッグバン)また、IT化の進展も以下のようなボーダーレス化を生んだ。

 インターネットの爆発的普及で2005年の世界のインターネット人口は10億人に達する見通しだとされるが、これによって国家間のボーダーレス化だけでなく、産業間の境界のボーダーレス化、企業間の境界のボーダーレス化が進みつつある。

 こうした環境変化に適応する企業革新が今求められている。企業価値経営はその一つ。経営指標として日本企業の従来の業績評価の指標は売上高利益率であったが欧米企業はROE(株主資本利益率)やROA(総資産利益率)を重視している。この結果、日本企業は市場シェア至上主義である一方、欧米企業は資金をできるだけ効率的に使って利益を上げる点に狙いが定まっている。2001年の日本企業のROEは2%に過ぎないが、米国企業は22%、ドイツ企業は17%となっており、違いが歴然としている。つまり、グローバル資本主義ではバランスシートを軽視することはできない。

 経済的利益の追求が求められている今、グローバル化時代に使われる共通の評価は「企業価値」である。 企業の上げた当期利益のうち資本コストを上回る部分が企業の創造した価値とされ、会計上の利益とは区分されている。

 企業価値を創造しない企業はグローバル市場から淘汰されると筆者は唱えている。また、キャッシュフローに貢献していない利益は不良債権の転化する危険があるため本当の利益とは言えない。キャッシュフロー重視の経営が求められる所以である。

 戦略的IR活動によって資本コスト引き下げ効果を狙うことが必要だし、トップマネジメント革新としてトップマネジメントのリーダーシップで確固たるビジョンを基に経営戦略を策定し、それを実行に移すことが重要。

 3つの経営トップの価値とは
(1)企業内にビジョンと価値観を浸透させ、それを実現させる。
(2)経営環境の変化に合わせて企業を変革すること。
(3)コーポレートガバナンス(企業統治)を機能させること。

 日本企業はビジネスモデルの再構築を図り、戦略パラダイムを変化させる必要がある。米国企業は技術イノベーションだけからビジネスモデルのイノベーションに傾注し、ナンバーワン企業からオンリーワン企業になろうとした。

 その象徴はインテルであり、ROE30%を維持することに成功。これに対して日本のメモリーメーカーは赤字決算を余儀なくされている。

 ビジネスモデルとしては(1)どこで利益を上げるか?という点がまず考えられる。スマイルカーブ現象というのは原料の調達から、製造、販売、サービスまでの一連のバリューチェーンの中で中央に位置する製品の製造より両端にある部品の開発製造や販売サービスの方が高い収益性を上げているという現象であるが、その典型事例はIBMの変革に見ることができる。2001年のIBMの売上構成比はハードウェア37%に対してITサービス43%、ソフトウェア16%で合計58%に達している。競合他社のサービス比率15%。ソフトウェアの粗利率は81.5%に達している。売上拡大の原動力はITサービス、利益拡大の源泉はソフトウェアというのがIBMのビジネスモデルらしい。また、(2)顧客と自社の中核となるコアコンピタンスをどのようにつなぐか?という点では顧客を基点としたバリューチェーンを再構築すること。どこをアウトソーシングし、どの部分を内製化するかで企業の事業ドメインと競争力を決定する。

 → こうしたバリューチェーンの構築については各企業が様々に試みている状況にある。文具のアスクル(2678・時価3270円)、購買代理業を標榜するミスミ(9962・時価3250円)、科学機器のカタログ販売を行うアズワン(7476・同1398円)などインターネット活用の新しいビジネスモデル構築で成功を収めつつある企業群が登場してきている点には注目したい。先日決算発表を行った京都に本社を置くニッセン(8248・同1039円)もSCM(サプライチェーンマネジメント)の構築で成功を収めはじめていることが注目ポイントとなっている。(炎)

 情報ネットワークの戦略的活用については筆者の出身企業がIBMだけあってエクストラネットの重要性が増大することやネットワーク化の2つの流れ、一つはeビジネス、もう一つはソリューション化について指摘がなされている。

 eビジネスによってデルコンピュータのパソコンのBTO(BULIT TO ORDER)体制が見込み生産から受注生産に変革したが、デルはこの方式で急成長し世界第2位のPCメーカーとなった。また、IBMにおいては世界の3万3000のサプライヤーとの購買業務はインターネット経由で実行(年間4億ドルの節約効果)しているし、GEにおいても世界規模の調達によるコスト削減 電子市場を生かしたサプライチェーンマネジメントによる世界レベルのジャストインタイム方式による部品調達を実現する(*文章内容からはGMと思われる。)など先進的な試みがなされている。

 ソリューション化によって企業組織は階層型からネットワーク型へ移行すると見られ、管理による仕事から対話による仕事への転換が図られ、「いかにつくる」から「なにを作る」かが重要視される時代となる。これからの時代はネットワークに向けて情報を発信できない人は存在価値がなくなる。人間の持つ情報や知識といった知的資産をいかに顧客満足と社員の自己実現に結びつけるかが大事な要件になると筆者は言う。

 また、多様性のマネジメントという観点から異なる発想、知識、経験を持った人材がお互いに切磋琢磨することでイノベーションを起こすとの考えから、国内においても異なった文化や価値観の人々と共存していく必要があると指摘している。

 このような基本要件を満たし、なおこれらの基本要件を超えて自らの個性を最大限に発揮し、自己表現できる企業がグローバル競争に勝ち残ることができると筆者は最後に指摘している。つまり、アジア諸国の工業化とIT革命という新しい環境条件に適応する企業革新がわが国にとって最重要課題となっているというのだ。

 こうした経営改革の事例として日本で先進的に行われた事例が日産自動車(7201・時価934円)の構造改革である。同誌では日産自動車の構造改革と題して日産自動車副社長兼最高財務責任者 ティエリー・ムロンゲ氏が論じている。ゴーン氏の改革が財務的な指標に裏打ちされていることと、それと並行してアカウンタビリティとコンプライアンス強化を中心とした社内体制の確立が思い切った経営改革をする上での重要な役割を果たしていることが氏の論点から汲み取れる。ゴーン氏は大胆にも2002年度14円、2003年度19円、2004年度24円の増配計画を打ち出しているがこれもこうした基盤を背景としていることは言うまでもない。ゴーン氏の目標はグッドカンパニーからグレートカンパニーへの脱皮にあるという。ムロンゲ氏の論点は以下の通りだ。

 日産自動車は1999年10月に発表した日産リバイバルプランを1年前倒しで達成。現在新3ヵ年計画であるN180を実行中である。この急速な業績回復には財務部門も大きな役割を果たしている。組織全体にアカウンタビリティ(説明責任)を徹底させることや社内に高い透明性を維持していくことなどである。今後日産がグレートカンパニー(卓越した企業)になるためには社員すべてがあらゆるものについて世界最高水準を目指して活動に関わっていくことが重要である。
(…以下略。その他の方々の意見は次回以降にまた改めて紹介していくことにする。)
(炎)

 

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2003/02/10 業界再編の動きが出てきたゲーム業界で気になるゲームソフト関連銘柄
炎のファンドマネージャー

 

 日本が世界に誇るゲーム産業。任天堂やセガ、ソニーと世界的プラットフォームは日本企業ばかり(セガは生産中止で現在は2つが競う)。そこにあのXBOXで殴りこみをかけたのがマイクロソフト。いかにマイクロソフトと言えどもソニー、任天堂を前に出足は良くないとの話であるが、新たな戦いが繰り広げられていることだけは確かだ。そこに連なるゲームソフトウェア業界も世界的な規模で発展してきたが、そうしたゲームソフト業界では本年4月のスクウェア(9620)とエニックス(9684)の合併を皮切りに業界再編の足音が近づいている。

 ゲームソフト業界は米国での市場拡大から今世界的にも最も注目を集めやすくなっている。今や米国ではハリウッドの映画産業9000億円を上回る勢いを持って伸びているのがゲームソフト産業で、その市場規模は1兆2000億円と言われている。

 その中でもスポーツ物に強いとされるエレクトロニックアーツ(EA)が脚光を浴びている。なぜならEAはハリーポッターのゲームソフトを全世界で1000万本も売ったからだ。1本 6000円としてこれだけで600億円を販売したことになるからこれは凄い。

 そんな勢いのある家庭用に強い企業も業務用は弱いらしい。かれらは恐らく日本の業務用に強いメーカーに近づいてくることが予想される。そうしたことから今後、ゲームソフト会社の動向に注目しておく必要がありそうだ。

 既にハドソン(4822)がコナミの支援を受け再出発をしたほか、市場内部ではセガ(7964)とコナミ(9766)の関係が噂されているし、ナムコ(9752)、コーエー(9654)、カプコン(9697)、テクモ(9650)なども注意して見ておきたいところだ。

 経営環境の悪化を映してゲーム各社の株価はいずれも低迷しているが、業界再編の流れの中で注目すべきタイミングになってきたことを指摘しておきたい。

 この中で今回はプリクラを手掛けるアトラス(7866)を取り上げておきたい。

●アトラス(7866)
 時価 490円
 今期予想連結EPS106.6円(実質53円)
 連結PER4.6倍(実質9.2倍)
 時価総額 60億円
 ROE 9%
 無配
 単位株:100株

【アミューズメント施設関連事業が想定以上に好調】

 床面積1000坪を誇る大型アミューズメント施設である「ゲームパニック平和島」を7月にオープン。月商1億円を超えるなど想定以上に好調。12月には床面積2000坪の「ゲームパニックつくば」をオープンするなど積極的な出店で成長を図る。つくばの月商も1億円に接近中で浜野のムー大陸と合わせて大型施設の好調が目につく。

【中間期の利益上方修正で通期の業績見込みにも余裕】

 市場環境の悪化を織り込んで下期は慎重な計画をたてているが、上期好調から通期は期初計画を上回る見込み。2月20日に同社のキラーコンテンツである「真・女神転生?NOCTURNE」(販売価格7800円)を発売する予定で、今下期の業績に寄与する見込み。丁度同時期に発売予定だったエニックスのスターオーシャンの発売がずれたこともプラス要因となろう。

期初計画   →      現在
売上高 170億円   175億円
経常利益 10億円    11億円
税引利益 8億円     11億円

【消耗品ビジネスは強い】

 プリクラのシェアは本家本元にも関わらず日立の後塵を拝していた。しかしながら、ここに来てローティーンをターゲットにした新市場での展開や、テーマパークなどへの設置からシェアを回復。下期は新型マシン「いつか王子様が・・・」の投入で堅調見込む。消耗品ビジネスだけに収益性は高い。プリクラのアトラスとしてのイメージがアップ。

【ナビゲティがブレーク?】

 フレパーネットワークスとの事業アライアンスによるナビゲティ事業がここに来て注目を集めている。これは携帯電話につないで遊ぶための新たなコミュニティアイテムを使ったビジネス展開である。携帯電話にこのナビゲティを差し込んでお気に入りのショップを見つけたり友達を見つけたり、様々な遊びができる同一モード、同一エリアコミュニケ−ターとしてマスコミで話題になったりしているので既にご存じかもしれない。但し、このナビゲティは現在、品不足で供給が間に合わない状態だそうだから皆さんのお手元には当分届かないかと思います。ユーザーはこのハード(2980円)を購入しているだけでOK。情報の配信はそのエリアのショップで行う仕組みで、フレパーネットワークスには広告収入(初期登録料30000円、月額使用料5000円)に該当する収益が入る。浜崎あゆみのファンクラブにまとめて5万台が売れたとの話もあり、携帯電話が必須アイテムの若者向けの新たなビジネスとして注目される。但し、この事業の成否の判断はこれからで過大な期待は避けておきたい。

【株価の推移】

11月20日の422円安値から11月25日に高値530円をつける。その後12月10日に安値450円をつけた後、12月13日に565円の高値をつけたが、12月25日には再び470円の安値をつける。その後は500円前後での小動きを続けている。過去最低の株価水準であり、下値不安には乏しい位置にある。JASDAQ指数が堅調に推移している中ではやや出遅れ感も出てきた。有利子負債が7億6200万円と少ない上にPBRが0.4倍と低い点が株価を下支え。過去の失敗を踏まえた新経営陣による事業改革が成果を上げるかどうかが長期のポイント。ゲーム業界再編も念頭に入れておきたい。(炎)

 

 

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2003/02/07 台頭する韓国自動車メーカー
両津勘吉

 

 =セカンドカーなら是非とも欲しい現代自動車グループ製車=

 韓国の自動車メーカーブランド力が向上していると聞く。コンサルタント会社の顧客満足度調査ではかなり良い数値が出ており、数値的には日本のメーカー並だ。しかしこの数値には大きな落とし穴が存在する。

 多くの日本人は韓国車に乗った事はなく品質が悪いと思っている筈だ。しかし乗ってみると意外や意外、良いのだ。悪いと思っていたのが良い訳だから満足度としては良好な結果となる。一方、ブランドメーカーと言われる企業の車は初めから良いモノだと普通は思うだろう。しかし乗ってみて少しでも不具合があれば、それは満足度の低下となる。つまり自分の思い込みと乗ってみた結果とのギャップが満足度に現れ、満足度とは決して車としての品質イコールではない。

 ところが新車としての出来映えは日本のビッグ3を除くメーカー並に近付きつつあり、米国では韓国車のブランド力は上昇中なのだ。

 ここで米国市場にターゲットを絞る。
 米国で勝負を賭ける韓国メーカーは現代、起亜、大字自動車の3社。この3社は日本メーカーと競合を避け、USビッグ3からシェアを奪うことを戦略としている。

 米国販売台数は現代で37.5万台と三菱より大きく、起亜は24万台でマツダ並。全ての販売車は韓国からの輸出となっており、現代は2005年稼動に向けて米国で30万台(実質23.5万台の工場建設に踏み切った)。現代は乗用車ラインがメインでSUVに弱い。今後はSUV拡充に力を注ぐ。

 起亜は会社更生法申請後、現代自動車の出資を仰ぎ、ほぼ同一企業体となっているが、今後の課題はプラットフォームの統合や他シナジー効果。プラットフォーム統合は当然の方向と考えるがうまくいくかどうか。シナジー効果は両社とも読めない状況。特に規模で劣る起亜自動車は現代自動車グループ入りしたことは非常に”ラッキー”といえるが、現代自動車のメリットは何なのか?と韓国の方は見ている。

 韓国メーカーはUSビッグ3の顧客を確実に奪っている。品質はビッグ3より上で、日本の下位グループにどんどん近付いている。特に初期品質に関して言えば、三菱、マツダ並と言える。

 特に私が注目しているのが、起亜自動車のソレント(SORENTO)。エンジンは2.5リッターディーゼルターボ、2.4リッターガソリン、3.5リッターガソリンの3種類。スペックは以下の通り。
             パワー     トルク
2.5Lディーゼル  140PS/3800rpm 32.0Kg/2000rpm
2.4Lガソリン   141PS/5500rpm 19.8Kg/2500rpm
3.5Lガソリン   197PS/5500rpm 30.1Kg/3000rpm

 特にディーゼルエンジンのスペックには脱帽。4気筒4バルブ+直墳プラス、ボッシュ製のコモンレールを搭載し、燃調もボッシュに相当お任せした結果だろう。いくらデンソーが優秀といえども、現状ではセッティング、熟成ともボッシュに軍配が上がろう。

 しかしソレントはエンジンだけではない。外見のデザインも良いし、内装は日産より上ではなかろうか。ボディーシーリングは一部樹脂を利用。燃料タンクも一番後ろより少し前の後部座席付近に配置し、物置のスペースを確保。スペアタイヤは後部ドア外側につけていないため、物置のスペースを利用する必要性=燃料タンクを前方配置。燃料タンクは当然?樹脂製である。フロントはダブルウイッシュボーン、リアは5リンク。ブレーキは4輪ともベンチ。

 このソレント、昨年10月から米国で販売しており、昨年はたったの8千台販売。しかし今年は全世界向けに倍増させるとの事で、製造を担当する現代モービスが繁忙だろう(しかし現代モービスにとって利益貢献とはならない)。ところが、何を考えているのかよくわからんが、2月から1000ドル程度のインセンティブを積むらしい。積む必要があるのかな?
 このソレント、自動車関係者に結構受けが良いのだ。(韓国ではレギュラーガソリンがソウル市内で1リッター=1300−1350ウオン。軽油は1リッター=690ウオンとガソリンが日本以上に高い)

 一方の現代自動車も負けてはいない。日本ではクラウンやセドリックに相当するXG(日本でも走っています)がある。
 先日、東京から自宅まで帰った時、運転手さんに ”これはクラウンですね”と聞いたら”ヒュンダイのXGだよ”と言われ唖然。夜間のイルミネーションもバッチシで、インパネはグッド。(インパネは)白色LEDを使っている感じがする。

 しかし韓国車には日本勢に絶対敵わない事がある。それは耐久性。いくら初期品質が高くとも、日本人は耐久性の高い車に慣れてしまっている。先日のXGタクシーもリアのサスペンションが弱く、異音と凹凸時の突き上げが大きく、たった1年(8万キロ)で劣化してしまっている。この原因を追求したアナリストはいるのかな?
 日本株の地位低下が激しい現在、自動車に自信のあるアナリストは韓国銘柄にチャレンジしてみては如何かな!!!
 きっとトップになれるかも?

 両津偏見で申し訳ないが、お勧めの韓国車はSORENTO、SANTA−FE、REXTON(RXもしくはRF290)などなど。韓国車は米国なら安く売っているが、日本や韓国国内では高いよ(TBなどコンパクトカーは安い)。(両津)

 

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2003/02/07 つわものどもの夢のあと
生涯遊人

 

 昨日のニュースステーションをご覧になった方も多かったと思いますが、腹がたって仕方がないのでマーケットには関係ありませんが書きます。

 特殊法人の「雇用能力開発機構」という組織は、ものすごいリスク管理をしていますね。数千万かかった施設を1050〜10500円と驚くべき安値で損切りするわ、500億円かけた施設を8億円で売りにだすわ、もうめちゃくちゃなことやってますね。 私は、いままでこの特殊法人の名前をしりませんでした、こんなのは氷山の一角なのかもしれませんね。もっとメジャーな特殊法人やらで、これとおなじような無駄使いというより、雇用保険料の垂れ流しや、税金やら、簡保、郵貯のお金がブラックホールに吸い込まれていく様は悲劇を通り越して喜劇ですね。

 日本中にこの手の施設はたくさんあります。厚生年金〜、郵貯〜、しかしほとんどの施設では赤字なのではないでしょうか。

 そもそも厚生年金やら、雇用保険の本来の目的は被保険者に対する保険金の支払いであり、保養施設はあくまで付属的な事業ではないだろうか、保険料の支払いもままならず保険料の値上げがなされている昨今、まだまだこんなものを持っていたとは驚きであり、ここにきて考えらないぐらいの安値で売却というより、贈与しているのは、なにやら批判をかわすための証拠隠滅の香りがしてならない。

 官庁、特殊法人をはじめとする官は、そもそも事業などに直接のりだすべきではなく、法律作り(厳密にいえば国会がつくるものだが)、環境整備、広報活動などに徹するべきであり、事業主体になるべきではないと思う。

 そこで国民の福祉に沿う環境をつくればいいし、それに反する要因があれば、排除していくことが本来の仕事であるはずだ。
 アンパイヤーみずからが、プレーヤーになってしまうからおかしなことになってしまう。

 今、国会中継をみています。民主党の枝野議員が小泉首相に郵政事業がまだ民業(この場合銀行であるとか宅配業者)を圧迫しているのではないかと切り込み、それに対して、首相が「そのような郵政民営化の話が国会で議論できるようになったこと自体が進歩である」とお得意の煙にまくような応答をしている。

 厚生年金は、「ハートピア」という宿泊施設を全国で17ヶ所「サンピア」という施設を25ヶ所、厚生年金会館が21ヶ所という箱物を全国に所有しています。この他に結婚式場、レストラン、スポーツ施設、病院など様々なものを所有し(www.kjp.or.jp/)ています。

 簡保は「かんぽの宿」を93ヶ所、他に会館などを18ヵ所、診療所を4ヶ所所有しています。 これらの施設の多さは、規模サービスなどを別としても、日本最大のホテルチェーン「プリンスホテル」(国内74ヶ所、海外84ヶ所)も真っ青な規模です。

 ちなみに、西武鉄道は連結で1625人の従業員を雇い、数十億円の法人、地方税を払っていますが、これらの特殊法人はどうでしょうか…。
 最近銀行などが、不良債権処理を加速させ、不動産なども売却されていますが、これら特殊法人の施設もかなり売却されているのでしょうか?ものによっては買い取って事業をしたいという民間企業も多いのではないでしょうか?(これらの宿泊施設はとても商業ベースにのらないような人里はなれたところにある施設もあります)

 雇用能力促進機構の売却の仕方をみるとバルクセールというよりも、贈与に近いでしょう。
 善意の寄付であっても税金の控除が厳しい日本でこんなこと(数千万で建てたものを数万円で売却する)ができるのも、税金を払わず、会計も杜撰な特殊法人ならではのことでしょう。普通の法人ではこんな取引があれば、税務署がだまっていないでしょうね。

 これらの施設は中曽根行革で宿泊施設はつくらないという取り決めがなされたにもかかわらず造り続り続けられ、多くはバブル前後と思われますが、彼らが懲りないことには、今現在も造り続けられています。

 まともな会計処理もされず、課税もされず、要するに誰の監視も受けないで官庁と、特殊法人のなかだけでこれらの資金が使われるかぎり、このようなことは残念ながら繰り返されていくのでしょう。(生涯)

 

 

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2003/02/07 多様化するヘアケア市場
小野小町

 

 ヘアケア市場ではシャンプーやリンスなど既存の商品が頭打ちとなる中、髪をカラーリングする染毛剤やかつらなど新たなニーズに即した商品が市場を牽引しています。

 近年、最も成長が著しいのが染毛剤です。経済産業省の調べによれば2001年の出荷額は1,114億円と初めてシャンプーを上回りました。白髪染め需要の増加に加え、若者の間におしゃれ染めが定着。現在女性の7割、男性の4割が髪を染めているといわれます。最近は若い男性にもヘアカラーが浸透しており、マンダム(4917)が「ギャツビー」ブランドで販売した製品は前期40億円を売り上げるヒット商品となりました。またヘアカラーは基本的に髪を傷めるためトリートメントやスタイリング剤など周辺商品の需要も拡大しています。

 さて、メーカー各社が新たなターゲットとして狙っているのがこれから高齢化を迎える団塊の世代です。例えば美容室向け製品を製造するミルボン(4919)は、今月から色の種類を豊富に揃えた(46色)染毛剤の新商品「プロマティスレフィナ」を投入する予定です。

 白髪染め利用者は染毛剤市場の6割を占めますが、従来中高年女性は自宅で髪を染めるケースが殆どでした。しかし団塊の世代はおしゃれへの意識も高く、流行を取り入れた品揃えを強化することで美容室でのヘアカラーを促す方針です。

 またこの春は育毛剤の動向が注目されます。薄毛や抜け毛に悩む男性は全国に1,000万人、内3割が育毛剤を使用しているといわれます。育毛剤市場はヒット商品の不在もありここ数年低迷していますが今年は新製品が相次ぎ登場、市場の活性化が期待されます。

 現在のトップシェアを誇るのは大正製薬(4535)の「リアップ」です。99年6月の発売以降、昨年7月までの累計で2,000万本を販売するなど根強い支持を獲得しています。年後半には女性用「リアップ」も販売される予定です。ちなみに2位は資生堂(4911)の「不老林」、3位は、花王(4452)の「サクセス」、4位は第一製薬(4505)の「カロヤン」と続きます。

 新製品では第一製薬が1月30日にスプレータイプの育毛剤「カロヤン21ジェット」を発売しました。若年層にも購入しやすいよう価格も3,000円と低く抑えたのが特徴です。
 2月22日には花王が新しい育毛成分「t−フラバノン」を配合した「サクセス薬用フラバサイト」を投入する予定で、今年はシェアを現在の20%から30台%に引き上げる構えです。

 かつらや育毛技術も進化しています。新製品では1月20日にアートネイチャー(非上場)が発売した「ヘア・フォーライフ」が注目されます。研究開発に3年を要した力作で、従来のかつらと違い3週間連続での装着が可能です。分け目を自由に入れられる他、カラーバリエーションが豊富でおしゃれがしやすいのも特徴です。

 また女性用かつらもここ10年で需要が拡大、現在かつら市場の6割を占めています。男性同様薄毛に悩む女性も増えている他、トップやサイドなど部分的におしゃれに活用できる商品が豊富です。女性かつら最大手のフォンテーヌ(7423)の主力ブランドも2けた増と好調ですが、販売ルートの開拓費用がかさみ本格的な利益貢献は少し先になりそうです。

 植毛技術の研究では業界最大手のアデランス(8170)がリードしています。2001年に米国の毛髪移植の最大手ボズレー社を買収、毛髪再生医療の研究機関も設立しました。医療の規制の緩いせいかこの分野の研究では米国が先行しており、近年かつらよりも毛髪移植の市場が伸びています。普及にはまだ時間がかかりそうですが、当社は5年後をめどに日本での事業化を計画しており動向が注目されます。(小町)

 

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2003/02/04 株式投資にはリスク管理が必要だ
大原部長

 

 以下の質問にお答えください。

●株式は資産の何%以下に設定すべきとかんがえていらっしゃいますか。
●株は日本株だけですか。
●日本株の中で銘柄数は何銘柄保有されていますか。何銘柄程度を保有すべきとお考えでしょうか。
●買っておいて、数年間そのままにするのでしょうか。
●それとも毎月コツコツと買っていくのでしょうか。
●損切りはされるのでしょうか。損切りレベルは設定されているのでしょうか。
●月々の資金源であるキャッシュフロー収入はどの程度を見込んでいますか。キャッシュフローは今後どの程度に改善できるのでしょうか。
●キャピタルゲインを生活費に費やすつもりですか。月々のキャッシュフローの中でどの程度を運用資金として回すべきとお考えでしょうか。
そして、それぞれの解答の根拠もお願いします。

 テクニカル分析においてもファンダ分析においても、そのどちらを信用するかという問題はそれほど重要なものではありません。

 もっとも重要な問題は、自分はいくらの目標を設定して、どれだけのリスクならとれるのかという大枠が出来ているかどうかです。

 一回のトレードは資金のいくら程度を占めるのか、そういうことをきっちりと決めることが重要です。損はしたくないが儲けたいという抽象的な方々が多いような気がします。
テクニカルの方々は、そういう面で、しっかりとドローダウンや一回のトレードの規模を管理されていると思いますが、ファンダ分析の方々は前提もなしに戦っているような気がします。

 ファンダ分析といえども、しっかりとしたリターンの目標とリスク管理規定があった方がよいのだと思います。
いや、なければならないと思います。

 投資は単なるゲームではありません。
金儲けです。
ビジネスです。

 長期投資といえども、年間の目標や毎月の目標が必要になります。
損を分散させるような投資のやり方もありますし、一発狙いの投資のやり方もあります。

●損失は最大でどの程度許容できますか
●リターンはどの程度に設定されていますか

 この2つを決めるだけで、どういう方法ができるか、決まってきます。
ある方は、最大の損失は10%程度に止めたいが、リターンは40%も50%もほしいという。
それは極めて難しいことです。

さらに質問に答えてください。

●売買コストは何%以下にしたいと願っていますか。
●トレードの回数はどの程度を目標にしていますか。売買頻度を設定していますか。

さらに、肝心な質問です。

●一回当たりのトレードのポジションサイズはいくらに設定していますか。

 これらをしっかりと考えてください。
それからが、ファンダメンタルズなり、テクニカルなりの勉強です。
実戦の前に、どうか、しっかりと枠組みを考え、枠組みを守って投資をされることをお薦めします。

 さて、あなたが10回連続してトレードに失敗するとします。
損切りレベルは10%に設定してあるとします。

 あなたはそれに耐えられますか?
それはどんなに運用が上手な人でも起こりえる不運です。
10回連続の失敗。

 ありえないことではありません。
10回失敗して、手元にはいくら残っていなければならないでしょうか。
60%程度でしょうか。
70%程度でしょうか。
それも考える必要があります。

 あなたが投資している証券の過去のボラティリティや一日の平均的な上昇・下落の率とその分布状況は頭にはいっていますか。
まず、自分が何をしているのか。
そのことを客観的に説明できますか。

それからです。
銘柄を勉強するのは。(大原)

 

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2003/02/03 成長性が高いと考えられる小型株をチェックする!!
炎のファンドマネージャー

 

 ●テイクアンドギブニーズ(4331)
 時価95万円
 今期予想EPS 3.05万円
 PER 31倍(一般水準より高いが成長性の観点からはこのPERは概ね妥当)

 2001年12月に上場を果たした同社はハウスウェディング業界(貸切でガーデン風の豪華な施設を利用して結婚式披露宴を行うユーザーをサポートするビジネス)の最有力企業。都内での直営店出店を経て今後は地方での出店を積極的に図る意向で、中期計画では2005年3月期においてEPS13.68万円を見込む。

【直営店が急成長】

 創業時のメインビジネスはレストラン提携型であったが、現状においては収益性の高い直営店の売上が急増。02年9月中間期で52%を占めるに至っている。出店のピッチが上がってきていることから今期末には更に60%へと上昇。粗利率も47%へと上昇が見込まれる。建築コストを抑えた店舗開発でROI30%以上を実現。
 同社のクライアントは一生のうち1回の利用となるため、リピーターに頼るところはなく、それによる価格の下落は考え難いという特徴を持つ。このため、直営による出店増が収益性を押し上げていくと想定される。

【2006年3月期の直営店30店を目指す、更に将来は全国で50店舗が目標】

 今期の直営店数は8店舗、来期14店舗、さ来期21店舗へと急拡大、06年3月期は30店舗が目標。将来的には最大50店舗を目標としている。06年3月期からはM&Aによる積極的な事業拡大を計画。

【高まる一軒家ウェディングへのニーズ】

 結婚披露宴を挙げたいと願う顧客のニーズはこれまで主流だったホテルや専門式場より貸切のハウスへと圧倒的にシフト。しかしながら、現実は未だにホテルや専門式場が主流となっており、同社の事業展開の余地は大きい。

【中期計画】

 ROE20%、ROA10%以上を目指す

03年3月期
 売上高 49億7600万円(+68.1%)
 経常利益 4億5800万円(+100%)
 当期利益 2億1100万円
 EPS 3.05万円

04年3月期
 売上高 97億4700万円(+95.9%)
 経常利益 9億700万円(+98.0%)
 当期利益 4億7100万円
 EPS 6.8万円

05年3月期
 売上高152億1900万円(+100.9)
 経常利益18億2200万円(+100.9%)
 当期利益 9億4700万円
 EPS 13.68万円

【東証上場目指す】

 企業成長と同時に現在のヘラクレス市場から東証上場を目指す。まずは今年東証2部、その後来年には東証1部上場を目論む。現状の株主数は528名。2部上場に必要な株主数800名をクリアするための株主作りが課題。

 人、物、金が一段とスケールアップ。東証上場時には新たな資金調達を企図。テレビなど活用して知名度を向上させ更なる事業拡大を図る。更に将来はウェディング市場2兆円の5%のシェア、1000億円を目指す意向でブライダルをベースとした様々な事業アイテム(保険、旅行、金融など)を企業とのアライアンスを組みながら発展させていく考え。M&Aも近い将来は視野に入ろう。

【上場後の株価は比較的堅調】

 01年12月の上場時に67万円の安値から一気に138万円まで上昇したが、その後はジリ安ながら市場全体と比べれば比較的堅調に推移している。現状においては80万円〜100万円のレンジでの推移であるが、中期計画を発表してからはより堅調な推移を辿っている。

 出来高が薄いという問題はあるが、成長株ファンドには組入れられやすく、今後の株価は成長度の高さから反転の期待が高い。但し、全体相場との兼ね合いから本格的な上昇に至るにはあと数ヶ月程度の期間を要すだろう。それまでは押し目買い、突込み買いスタンスを堅持することが望ましい。(炎)

 

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2003/02/03 上場接近する日韓の掛け橋企業KNテレビ
炎のファンドマネージャー

 

 日本の女性たちの間で韓国の俳優が人気だと言われる。昨日のEZTVでも伝えられたが、この情報源となっているのがSKYパーフェクTVで唯一の韓国放送を流しているKNTVなのだ。

 同社ではこれまで日本の在日韓国人に対して月額3000円で韓国の番組を流すような放送を衛星を使って行ってきたが、昨年のワールドカップを契機にようやく損益分岐点を越えるまでに視聴者が集まってきたとのこと。昨年12月末の加入世帯数は26000世帯。今年は32000世帯を目指しているとのことで、東京だけを拠点にしていたが、昨年9月に福岡支店を開設、今年1月には大阪支店を開設し、加入世帯の増加を図る構えである。東京では月間300世帯が増加、福岡が50〜100世帯、大阪が100〜200世帯の増加を見込み、計月間500世帯の増加を見込んでいる。

 同社では現状において韓国の番組を中心に放映するビジネスをメインに考えているが、いずれは日本の番組を韓国で放映する方向で話を進めているとのことだ。既に某経済ニュース番組を放送することを考えており、今後の韓国新大統領の政策を考えながら歌番組などへも拡大するためのの対応を検討している。

 KNTVでは現在の1CHをよりエンターテインメント性を高まるためもう1CH増やしていく構えで日本での想定市場規模100万世帯の10%、10万世帯に普及させていく計画である。韓国人俳優などの情報取得など日本人のニーズも高まっていることから意外な加入者増に繋がるケースも考えられる。

 つれて業績も既に損益分岐点を越えて黒字化してきたが、今期以降も比較的安定した利益成長が期待される。

 こうした業績の好転を背景として同社は株式市場に株式上場を目指している。北朝鮮問題などから日本でもハングル語への関心が高まる中、韓国のドラマなどを日本語の字幕付きで流すような放送を日本人向けに行うなど日韓の掛け橋としても役割を担う同社の活躍はこれからも大いに期待される。
(なお、同社についてのより詳細のレポートはアイリス・ジャパンのベンチャー企業紹介でも行う予定です。ご興味があればご購読をお申し込み下さい。)(炎)

 

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2003/02/03 ソフト大国を目指す中国
炎のファンドマネージャー

 

 (参考資料:サーチナポスト)

 日本の経済停滞の一方で元気なのが中国。今や世界の工場から世界の市場へと大きく変貌を遂げつつあることは明らかで、多くの日本企業が進出し、工場進出から消費市場を当て込んでの展開を見せている。

 本田が広州で立ち上げ成功を収めたほか、バス・トイレ用品のTOTO、レトルトカレーのハウス食品、味の素など日本の代表的な企業が進出していることを昨日のサンデーモーニングで伝えていた。

 人口12億人という中国には優秀なソフトウェア技術者も多い。中国株や中国企業・産業情報を伝えるサーチナポスト(*)2003年2月1日号では中国がソフト大国を目指していることを伝えている。

 2001年の中国のソフトウェア産業規模は約97億ドル。世界全体の規模の1.56%となる。世界シェアは依然低いのだが、成長率は1996年以来30%以上に達しており、全世界でIT産業が低迷する中で中国のソフト産業は急速に成長してきている。

 中国での企業規模はいずれもなおも小さいが、マイクロソフトやIBM、オラクル、SAPなどの世界的ソフト企業が中国での展開に意欲的で中国がソフト大国になる日も近いと同紙は結論づけている。

【各国ソフトウェア産業規模比較】

2001年        規模       シェア
中国      97億ドル    1.56%   (1999年 53億ドル 2000年 72億ドル)
アメリカ   2612億ドル  42.00%
 日本     660.5億ドル 10.62%
アイルランド 107億ドル    1.72%
インド    102.3億ドル  1.64%
韓国     99億ドル     1.59%
世界   6219億ドル      100%
*サーチナポストは中国経済産業新聞として東京新宿に本社を置く株式会社サーチナ社が発行しています。現状は月2回(1日、15日)の発行で、年間購読料は3600円です。中国株の情報なども充実しておりますのでご興味のある方はぜひお申し込み下さい。サーチナ社の端木(もとき)社長は若手中国人経営者で、日本で様々な苦労をしながら日中の掛け橋となるインフラを整備してきました。株式会社サーチナ 東京都新宿区下落合1-8-10 (03-5348-6695) E−メール:feedback@searchina.ne.jp(炎)

 

 

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2003/02/03 1月の株式相場を振り返って
炎のファンドマネージャー

 

 月の半ばまでの日本の株式相場は米国株が比較的堅調に推移したことを背景に案外底堅い展開となったが、月末にかけてはイラク攻撃が迫ってきたことなどを背景に米国株が再び調整の動きとなったことで調整色を強める格好となった。

 日経平均は11月19日の8246円、12月19日の8256円と肩を並べる水準にまで落ち込み月末には一時8237円という安値をつけた。TOPIXも一時817ポイントまで下落し12月19日の安値807ポイントに接近。

 ただ、個別株物色の継続から中小型材料株に対する物色は継続。この結果、日経JASDAQ平均は比較的堅調に推移。月末の指数は997ポイントで12月末の991ポイントを上回って終え12月24日の942ポイントボトム形成以来の上昇トレンドが続いた。

 為替相場は月半ばまでは円高基調を継続。1ドル=117円台までの円高となったが、昨年7月の115円80銭高値に接近したことから、やや警戒感も出てその後は円安に振れ直近の円高トレンドが修正される動きとなった。

 セクターの動きを見ると先月は中低位株への物色人気が高まったことから水産、造船、輸送用機器、陸運、海運、空運、紙パルプなどの指数がプラスとなったぐらいで、大半のセクターが前月比マイナスとなった。また、証券株も前月比プラスとなった。 主力の電機、機械、精密のほか、銀行、サービス、小売など押しなべて調整色を強めた。

【各指数の動向】

日経平均
 8578円(12.30)
 高値 8829(1. 7) +2.9%
 安値 8237(1.31) ▲4.0%
    8339(1.31) ▲2.8%

TOPIX
 843ポイント(12.30)
 高値 870(1.7、1.24) +3.2%
 安値 817(1.31) ▲3.1%
    821(1.31) ▲2.6%

日経JASDAQ
 991ポイント(12.30)
 高値1012(1.27) +2.1%
 安値 997(1.31) +0.6%
    997(1.31) +0.6%

NYダウ
 8341(12.31)
 高値 8869(1.19) +6.3%
 安値 7938(1.30) ▲4.8%
    8053(1.31) ▲3.5%

NASDAQ
 1335(12.31)
 高値 1467(1.13) +9.9%
 安値 1320(1.27、1.31) ▲1.1%
    1320(1.31) ▲1.1%

【セクター動向】

1.プラスとなったセクター

セクター名 12.30 1.31(高値) 比較率(高値比)
水産    133   147(148) +10.5%(+11.3%)
紙パルプ  236   240(259) +1.7%(+9.7%)
造船    115   126(135) +9.6%(+17.4%)
輸送用機器 143   149(152) +4.2%(+6.3%)
証券   1718  1811(1980)+5.4%(+15.3%)
陸運    469   480(501) +2.3%(+6.8%)
海運    184   185(203) +0.5%(+10.3%)
空運    158   160(169) +1.3%(+7.0%)

2.マイナスが目に付いたセクター

セクター名  12.30  1.31  比較率
建設      376    360  ▲4.3%
食品      553    535  ▲3.3%
石油      516    474  ▲8.1%
医薬品    2873   2781  ▲3.2%
ゴム      833    772  ▲7.3%
機械      611    566  ▲7.4%
電機     2191   2117  ▲3.4%
精密     1870   1782  ▲4.7%
自動車    1551   1478  ▲4.7%
その他製造   577    545  ▲5.5%
小売     1113   1027  ▲7.7%
銀行      993    956  ▲3.7%
倉庫      595    561  ▲5.7%
通信     1647   1582  ▲3.9%
ガス      649    618  ▲4.8%
サービス    902    839  ▲7.0%

【今月の相場展望】

 基本的な相場展望は年初に描いていたものと大きくは変化していない。年初の見通しでは2月に安値をつけ4,5月に向け上昇するというものだった。ここまでの展開は2月に安値をつけにいく過程とも思える。

 ここに来ての市場関係者の一部から日経平均で7500円程度までの下落を想定しているとの声も聞こえるようになった。私も今年の安値を2月に7900円と見込んでいたので、いよいよそうした展開になるのかと覚悟せざるを得ない。 問題は2月安値で本当に本気を出して買って良いのかという点である。週末のNASDAQは続落の動きであったがNYダウはとりあえず8000ドル台に戻って終えた。一般的な見方として3月中旬が攻撃開始の時期だと言われているが、イラク攻撃を前にした米国市場はなおも下値不安が残っている。

 これに対して日本の株式市場は週明けに再度もたつくとしても多少の買い戻しの展開も期待される。これは日本株全体の株価水準がバリュー面から相当に割安な水準になっていることが背景になっている。銀行の不良債権処理の進展に対してはなお、積極的な期待はできないものの、先月に安値トライしかかった時に、結果としては8200円台で抵抗を見せたことも事実で、実際に8000円割れを演じるかどうかも予断ができない。銀行の含み損をこれ以上膨らます訳にもいかず、今後3月末に向けて公的資金での買い支えもありうるからだ。(炎)

 

 

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