株式投資技法その１

大原の投資技法その１
　生活を振り返り、やりたいことだけを選択する
～時間がない人のための時間管理法～

　業績を見る目を養うには訓練が必要です。まず、業績評価の訓練を継続できる環境づくりから始めましょう。時間をどうつくるか、これが多忙な方にとって、最大の問題です。参考になるかどうかはわかりませんが、私は、調査時間をつくるために、いろいろ努力をしています。もう努力を努力と思わないようになったので、習慣といえるかもしれません。

　私は外資系の運用会社に勤めています。毎日、証券会社から、山のようなファックスや郵便、Ｅメールが届きます。しかし、私は証券会社のアナリストや営業の方とめったに会いませんし、電話もなるべく出ないようにしています。電話に出ないことで１日２時間程度、時間を節約できるからです。同様に、証券会社の投資レポートも読みません。価値のあるレポートも中にはあるでしょうが、価値のないものが多いからです。価値のないレポートなら、読まないで、時間を節約する方が賢いのです。価値のあるレポートはすでに万人に行き渡っていて、株価は、すでに反応しています。

　新聞も、さっと目を通すだけで、じっくりと読みません。日経新聞の記事は、情報源のひとつですが、株を選択する決め手にはなりません。新聞は、体系的な理論や業界や製品・サービスの本質について学べるものではありません。

　多くの投資家が出席する決算説明会も、時間の無駄になりかねません。説明会では、会社からの業績の説明は、特に苦痛です。時には１時間以上延々と損益計算書の細部の説明をする場合があります。説明会でさえ、株を選ぶ決め手にはなりません。

　ラッシュアワーに電車に乗りません。電車内で考え事や作業をすることができないからです。

　会社で会議はしません。ニューヨーク本社のスタッフとどうしても意思疎通する必要があるということで、２週間に一度30分の会議をするだけです。会議で他人に相談するような投資はしません。

　同僚と飲みに行くこともやめました。たばこも吸いません。ランチも前夜に余分に作っておいた弁当を持参します。レストランまで歩く時間が無駄ですし、どのメニューを頼むかで、さらに時間を取られるからです。

　同僚と世間話をしません。誰にも邪魔されない図書館で仕事をする場合もあります。テレビは見ません。時間のかかるスポーツ、とくに１日をつぶすことになるゴルフはやりません。麻雀やパチンコもしません。携帯電話は持ちません。夜の接待も受けません。お酒やたばこをやめたのは、かなりつらいこととお思いかもしれません。逆に、壮快な気分です。いつも、頭脳が明晰な状態でいられるからです。服の脱ぎ方も、注意して、服が裏側にならないようにしています。洗濯のとき、わざわざ裏側になってしまったものを、正しく直す手間がもったいないからです。

　酒やたばこを飲まない、ゴルフをしない、携帯を持たない、電話に出ない、テレビを見ない、新聞を読まない、レポートを読まない、ラッシュアワーの電車に乗らない、同僚と雑談しない、これだけで１日平均８時間以上の節約になるはずです。１日８時間、１つのことに集中して１年継続すれば、かなりいい線までいけます。時間をつくること、これが株式投資の第一歩です。

　わずかなことに気を配ることで時間は節約できるはずです。例えば、女性の場合、化粧をしたり落したり、長い髪の毛を洗ったり乾かしたり、服を選ぶのも大変です。化粧やヘアーメイク、お風呂などで女性が１日１時間かかるとき、１年で３６５時間、１日８時間労働とすれば２ヵ月分の労働となります。この１時間を30分に短縮できるようにならないでしょうか。それだけで１ヵ月分の仕事ができるようになります。継続して物事を進める分野、囲碁、語学、スポーツではその１ヵ月分の差は大きいと思います。まさに、株式投資はそのような継続性が必要とされる分野なのです。

　時間が10分だけ空いたとき、その10分で出来ることを用意できるでしょうか。
　例えば、サウナやゴルフに行きたいとき、10分の自由時間は何の意味もありません。しかし、語学や楽器の習得ではその10分の意味は大きいと思います。10分で２つや３つの単語を覚えることもできるでしょうし、ピアノの練習では、10分で数小節程度の譜読みができます。株式投資も同様に、10分で出来る準備があります。１日に３回の10分間の空き時間があれば、合計で30分です。１日30分間時間をつくること。これが、株式投資のための前提です。

　いくら時間をつくりたいからといって、睡眠時間を削ったり、食事を抜いたり、持続が困難なことは最初からやらない方がよいと思います。私は、きっちり６時間は寝ますし、家族とも毎日ゆっくり話しをするために、１日３時間は家族とともに楽しむ時間をとっています。だらだらとした付き合いを一切断れば、一生懸命働くことと自由時間を楽しむことは両立します。

　無理をしなければ、時間が取れないという方は、生活をよく振り返り、本当にやりたいことを選択してください。時間管理のコツは、余計なことはやらないという意志の強さです。

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業績を見る目を養うには訓練が必要です。まず、業績評価の訓練を継続できる環境づくりから始めましょう。時間をどうつくるか、これが多忙な方にとって、最大の問題です。参考になるかどうかはわかりませんが、私は、調査時間をつくるために、いろいろ努力をしています。もう努力を努力と思わないようになったので、習慣といえるかもしれません。　私は外資系の運用会社に勤めています。毎日、証券会社から、山のようなファックスや郵便、Ｅメールが届きます。しかし、私は証券会社のアナリストや営業の方とめったに会いませんし、電話もなるべく出ないようにしています。電話に出ないことで１日２時間程度、時間を節約できるからです。同様に、証券会社の投資レポートも読みません。価値のあるレポートも中にはあるでしょうが、価値のないものが多いからです。価値のないレポートなら、読まないで、時間を節約する方が賢いのです。価値のあるレポートはすでに万人に行き渡っていて、株価は、すでに反応しています。　新聞も、さっと目を通すだけで、じっくりと読みません。日経新聞の記事は、情報源のひとつですが、株を選択する決め手にはなりません。新聞は、体系的な理論や業界や製品・サービスの本質について学べるものではありません。　多くの投資家が出席する決算説明会も、時間の無駄になりかねません。説明会では、会社からの業績の説明は、特に苦痛です。時には１時間以上延々と損益計算書の細部の説明をする場合があります。説明会でさえ、株を選ぶ決め手にはなりません。　ラッシュアワーに電車に乗りません。電車内で考え事や作業をすることができないからです。　会社で会議はしません。ニューヨーク本社のスタッフとどうしても意思疎通する必要があるということで、２週間に一度30分の会議をするだけです。会議で他人に相談するような投資はしません。　同僚と飲みに行くこともやめました。たばこも吸いません。ランチも前夜に余分に作っておいた弁当を持参します。レストランまで歩く時間が無駄ですし、どのメニューを頼むかで、さらに時間を取られるからです。　同僚と世間話をしません。誰にも邪魔されない図書館で仕事をする場合もあります。テレビは見ません。時間のかかるスポーツ、とくに１日をつぶすことになるゴルフはやりません。麻雀やパチンコもしません。携帯電話は持ちません。夜の接待も受けません。お酒やたばこをやめたのは、かなりつらいこととお思いかもしれません。逆に、壮快な気分です。いつも、頭脳が明晰な状態でいられるからです。服の脱ぎ方も、注意して、服が裏側にならないようにしています。洗濯のとき、わざわざ裏側になってしまったものを、正しく直す手間がもったいないからです。　酒やたばこを飲まない、ゴルフをしない、携帯を持たない、電話に出ない、テレビを見ない、新聞を読まない、レポートを読まない、ラッシュアワーの電車に乗らない、同僚と雑談しない、これだけで１日平均８時間以上の節約になるはずです。１日８時間、１つのことに集中して１年継続すれば、かなりいい線までいけます。時間をつくること、これが株式投資の第一歩です。　わずかなことに気を配ることで時間は節約できるはずです。例えば、女性の場合、化粧をしたり落したり、長い髪の毛を洗ったり乾かしたり、服を選ぶのも大変です。化粧やヘアーメイク、お風呂などで女性が１日１時間かかるとき、１年で３６５時間、１日８時間労働とすれば２ヵ月分の労働となります。この１時間を30分に短縮できるようにならないでしょうか。それだけで１ヵ月分の仕事ができるようになります。継続して物事を進める分野、囲碁、語学、スポーツではその１ヵ月分の差は大きいと思います。まさに、株式投資はそのような継続性が必要とされる分野なのです。　時間が10分だけ空いたとき、その10分で出来ることを用意できるでしょうか。　例えば、サウナやゴルフに行きたいとき、10分の自由時間は何の意味もありません。しかし、語学や楽器の習得ではその10分の意味は大きいと思います。10分で２つや３つの単語を覚えることもできるでしょうし、ピアノの練習では、10分で数小節程度の譜読みができます。株式投資も同様に、10分で出来る準備があります。１日に３回の10分間の空き時間があれば、合計で30分です。１日30分間時間をつくること。これが、株式投資のための前提です。　いくら時間をつくりたいからといって、睡眠時間を削ったり、食事を抜いたり、持続が困難なことは最初からやらない方がよいと思います。私は、きっちり６時間は寝ますし、家族とも毎日ゆっくり話しをするために、１日３時間は家族とともに楽しむ時間をとっています。だらだらとした付き合いを一切断れば、一生懸命働くことと自由時間を楽しむことは両立します。　無理をしなければ、時間が取れないという方は、生活をよく振り返り、本当にやりたいことを選択してください。時間管理のコツは、余計なことはやらないという意志の強さです。